JP2001234211A - 金属磁性粉末及び磁気記録媒体 - Google Patents

金属磁性粉末及び磁気記録媒体

Info

Publication number
JP2001234211A
JP2001234211A JP2000052302A JP2000052302A JP2001234211A JP 2001234211 A JP2001234211 A JP 2001234211A JP 2000052302 A JP2000052302 A JP 2000052302A JP 2000052302 A JP2000052302 A JP 2000052302A JP 2001234211 A JP2001234211 A JP 2001234211A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic recording
recording medium
magnetic powder
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000052302A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroki Tetsukawa
弘樹 鉄川
Makoto Inoue
誠 井上
Masashi Meguro
政志 目黒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2000052302A priority Critical patent/JP2001234211A/ja
Publication of JP2001234211A publication Critical patent/JP2001234211A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気特性の劣化が低減され、レベルダウンが
低減される。 【解決手段】 非磁性支持体2と、Feを主体とする中
心部と中心部の周面を覆う酸化皮膜とからなる金属磁性
粉末を含有する磁気記録層4とを備える磁気記録媒体1
において、金属磁性粉末は、Pを中心部及び/又は酸化
皮膜に含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属磁性粉末と、
この金属磁性粉末を磁気記録層に含有する塗布型の磁気
記録媒体とに関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオ装置やビデオ装置、コンピュ
ータ装置等の記録再生装置に用いられる記録媒体とし
て、少なくとも金属磁性粉末と結合剤とを含有する磁性
塗料を塗布して形成される磁気記録層を備える、いわゆ
る塗布型の磁気記録媒体が広く使用されている。
【0003】近年、磁気記録の分野では、記録再生装置
の小型軽量化や記録時間の長時間化が進行しており、こ
れに伴い、上述した塗布型の磁気記録媒体においても、
短波長信号を用いることで高密度記録化が進行してい
る。
【0004】ところで、このような磁気記録媒体は、記
録再生装置を用いた走行時に、磁気ヘッドと高い接触圧
力で高速摺動している。このため、走行時には、磁気記
録媒体と磁気ヘッドとの接触面における摩擦係数が非常
に大きく、高温の摩擦熱が生じている。言い換えると、
磁気記録媒体は、高い接触圧力と高温の摩擦熱との高温
高圧環境下という過酷な条件下で、走行されている。
【0005】このような高温高圧環境下では、磁気記録
層に含有される金属磁性粉末は非常に酸化されやすい。
金属磁性粉末は、酸化されると非磁性である酸化物が形
成されるため、飽和磁化量が劣化してしまう。その結
果、磁気記録媒体は出力が劣化していた。また、磁気記
録媒体と磁気ヘッドとの接触面における摩擦係数が大き
いため、磁気ヘッドには、金属磁性粉末の酸化物等から
なる焼付きが生じやすい。この焼付きはスペーシングロ
ス等の原因となり、磁気記録媒体のレベルダウンを引き
起こすことがあった。言い換えると、金属磁性粉末を含
有する磁気記録層を備える磁気記録媒体は、走行を繰り
返す程、磁気特性が劣化していた。
【0006】そこで、従来では、潤滑剤を磁気記録層等
に内添したり、あるいは磁気記録層上にトップコートす
ることにより、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの接触面間
に生じる摩擦係数を低減させて、金属磁性粉末の酸化
や、磁気記録媒体の磁気ヘッドへの焼付きを防止する試
みがなされている。
【0007】例えば、Feを主体とする金属磁性粉末を
含有する磁気記録層を備える磁気記録媒体では、潤滑剤
としてリン酸エステルを用いる。このリン酸エステル
は、磁気記録媒体の走行時において、Fe及びPを含有
する化合物(例えば、Fe2P、FeP2、FePO4
2H2O)へと分解する。そして、これらの化合物が走
行時に生じる摩擦を低下させている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録媒体の走行時
における摩擦係数をより低減させるには、磁気ヘッドと
の接触面における摩擦係数を低減し、更に焼付きを防止
する極圧効果を有する潤滑剤を、磁気記録媒体により多
く保持させることが必要である。
【0009】しかしながら、潤滑剤を磁気記録層に含有
させる場合、非磁性物質である潤滑剤の占める割合が大
きいと、金属磁性粉末の充填量が少なくなる。その結
果、磁気記録媒体の記録容量が小さくなるという問題が
あった。また、潤滑剤を磁気記録層上に塗布する場合、
潤滑剤の塗布厚みが大きいと、磁気記録媒体表面と磁気
ヘッドとの間にスペーシングロスが生じる虞があり、ド
ロップアウト等の原因となる可能性があった。言い換え
ると、磁気記録媒体に潤滑剤をより多く保持させること
は、極めて困難であった。
【0010】本発明はこのような従来の実情に鑑みて提
案されたものであり、磁気記録媒体に含有させたとき
に、極圧効果を発揮する金属磁性粉末を提供することを
目的とする。また、本発明は、磁気記録層が極圧効果を
発揮する金属磁性粉末を含有することにより、耐候性に
優れた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る金属磁性粉末は、Feを主体とする
中心部と中心部の周面を覆う酸化皮膜とからなる金属磁
性粉末において、Pを中心部及び/又は酸化皮膜に含有
することを特徴とする。
【0012】以上のように構成された本発明に係る金属
磁性粉末は、Pを含有する化合物を生成する。このPを
含有する化合物は潤滑性を備えるので、磁気記録媒体に
含有された金属磁性粉末は、走行時に極圧効果を発揮す
る。
【0013】また、本発明に係る磁気記録媒体は、非磁
性支持体と、Feを主体とする中心部と中心部の周面を
覆う酸化皮膜とからなる金属磁性粉末を含有する磁気記
録層とを備える磁気記録媒体において、金属磁性粉末
は、Pを中心部及び/又は酸化皮膜に含有することを特
徴とする。
【0014】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体は、極圧効果を発揮する金属磁性粉末を含有す
るので、磁気ヘッドとの接触面に生じる摩擦係数が低減
される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る金属磁性粉末
及び磁気記録媒体の実施の形態について、図面を参照し
て詳細に説明する。
【0016】本発明を適用した磁気記録媒体1は、図1
に示すように、非磁性支持体2と、非磁性支持体2上に
形成された中間層3と、中間層3上に形成され磁気記録
層4とからなる。
【0017】非磁性支持体2としては、通常の塗布型の
磁気記録媒体で用いられるものは、いずれも使用可能で
ある。具体的には、ポリエチレンテレフタレート等のポ
リエルテル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン系、セルローストリアセテート、セルロース
ダイアセテート、セルロースブチレート等のセルロース
誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニ
ル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド
イミド等のプラスチックの他、アルミニウム合金、チタ
ン合金等の軽金属、アルミナガラス等のセラミック等が
挙げられる。
【0018】また、非磁性支持体2としてAl合金板や
ガラス板等の剛性を有する基板を使用した場合には、基
板表面にアルマイト処理等の酸化被膜やNi−P被膜等
を形成して、その表面を硬くするようにしても良い。こ
の非磁性支持体2の形状は特に限定されるものではな
く、テープ状、ディスク状又はカード状等のいずれの形
状であっても良い。
【0019】中間層3は、少なくとも非磁性粉末及び/
又は磁性粉末を結合剤中に分散してなる中間層用塗料を
塗布して形成される。
【0020】非磁性粉末としては、従来より使用されて
いる公知の非磁性粉末、例えばα−Fe23、TiO
2、Cr2O3、α−FeOOH、CaO、SiO2等
を用いることができる。また、磁性粉末としては、従来
より公知のものが何れも使用可能であり、酸化物磁性粉
末であっても良い。酸化物磁性粉末としては、例えば、
γ−Fe23、Co含有γ−Fe23、Fe34、Co
含有Fe34、Co被着γ−Fe23、Co被着Fe3
4、CrO2等が挙げられる。
【0021】中間層3に含有される結合剤としては、従
来より使用されている公知の結合剤を用いることができ
る。具体的には、後述する磁気記録層4に含有される結
合剤と同様のものが挙げられる。
【0022】磁気記録層4は、金属磁性粉末を結合剤中
に分散してなる磁性塗料を、中間層3上に塗布すること
により形成される。
【0023】この金属磁性粉末は、Feを主体とする中
心部と中心部の周面を覆う酸化皮膜とからなり、且つ、
Pを中心部及び/又は酸化皮膜に含有する。
【0024】具体的な金属磁性粉末としては、Feの粉
末や、Fe−Co合金粉末、Fe−Al合金粉末、Fe
−Al−Ni合金粉末、Fe−Al−Zn合金粉末、F
e−Al−Co合金粉末、Fe−Al−Ca合金粉末、
Fe−Ni合金粉末、Fe−Ni−Al合金粉末、Fe
−Ni−Co合金粉末、Fe−Ni−Si−Al−Mn
合金粉末、Fe−Ni−Si−Al−Zn合金粉末、F
e−Al−Si合金粉末、Fe−Ni−Zn合金粉末、
Fe−Ni−Mn合金粉末、Fe−Ni−Si合金粉
末、Fe−Mn−Zn合金粉末、Fe−Co−Ni−P
合金粉末、窒化鉄、炭化鉄等の金属磁性粉末を挙げるこ
とができる。
【0025】Feを主体とする金属磁性粉末中におい
て、Pは、Fe100重量部に対して0.1重量部以
上、30重量部以下の範囲で含有されることが好まし
く、0.5重量部以上、25重量部以下の範囲で含有さ
れることがより好ましく、1重量部以上、20重量部以
下の範囲で含有されることが最も好ましい。Pの含有量
がFe100重量部に対して0.1重量部未満の場合、
金属磁性粉末は、所望の極圧効果が得られない虞があ
る。一方、PがFe100重量部に対して30重量部を
越える場合、金属磁性粉末は、飽和磁化量が小さくなる
虞がある。
【0026】このPは、金属磁性粉末の中心部に固溶し
ていても良く、酸化皮膜中に存在していても良いが、特
に、酸化皮膜中に多く存在していることが好ましい。
【0027】また、酸化皮膜上にPを含有する可溶性イ
オン、例えばHPO4 2-等として存在していても良い。
Pを含有する可溶性イオンが金属磁性粉末の酸化皮膜上
に存在するとき、その表面存在量は5ppm/g以上、
2000ppm/g以下の範囲であることが好ましい。
【0028】Pを含有する可溶性イオンの表面存在量が
5ppm/g未満の場合、Pを含有する可溶性イオンが
磁気記録層表面を十分に被覆することができず、磁気記
録層表面が磁気ヘッド等に直接接触する虞がある。その
結果、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの接触面における摩
擦係数が増加する可能性がある。一方、Pを含有する可
溶性イオンの表面存在量が2000ppm/gを越える
場合、Pは容易に溶出及び脱離する虞がある。その結
果、所望の極圧効果が得られない可能性がある。
【0029】更に、金属磁性粉末の飽和磁化量は、80
emu/g以上、150emu/g以下であることが好
ましい。金属磁性粉末の飽和磁化量が80emu/g未
満の場合、磁気記録媒体1は所望の出力が得られない虞
がある。一方、金属磁性粉末の飽和磁化量が150em
u/gを越える場合には、磁気記録層4中において金属
磁性粉末が凝集する虞がある。従って、磁気記録媒体1
としては、磁気記録層4の表面性が劣化して電磁変換特
性が低下する可能性がある。なお、金属磁性粉末の飽和
磁化量は、通常の金属磁性粉末を作製した後に、徐酸化
工程の反応温度と雰囲気条件とを調整することにより制
御する。
【0030】そして、金属磁性粉末の平均長軸長は、
0.01μm以上、0.10μm以下の範囲であること
が好ましく、0.03μm以上、0.10μm以下の範
囲であることがより好ましい。且つ、金属磁性粉末のX
線結晶粒径(Dx)は、50Å以上、250Å以下の範
囲であることが好ましい。
【0031】金属磁性粉末は、平均長軸長が0.01μ
m未満の場合、超常磁性となることがある。従って、磁
気記録媒体1は、電磁変換特性が著しく低下する可能性
がある。一方、金属磁性粉末は、平均長軸長が0.10
μmを越える場合、短波長記録ではノイズ成分が増加す
る虞がある。従って、磁気記録媒体1は、SNが悪く、
電磁変換特性が低下する可能性がある。また、金属磁性
粉末は、X線結晶粒径が50Å未満の場合、超常磁性と
なることがある。その結果、この金属磁性粉末を含有す
る磁気記録層4を有する磁気記録媒体1としては、電磁
変換特性が著しく低下する可能性がある。一方、金属磁
性粉末のX線結晶粒径が250Åを越える場合には、短
波長記録ではノイズ成分が増加する虞がある。従って、
磁気記録媒体1としては、電磁変換特性が低下する可能
性がある。
【0032】この金属磁性粉末には、酸化安定性、焼結
防止、形状安定等を目的とした添加元素又は酸化物等を
添加してもよい。これら添加元素及び酸化物としては、
例えばY、Nd、La、Sm等の希土類元素及びAl、
Si等や、これらの酸化物、Feの酸化物が挙げられ
る。
【0033】また、金属磁性粉末には、飽和磁化量を向
上させる目的で、Coを添加しても良い。なお、Coの
添加により、金属磁性粉末の酸化皮膜にはCoFe24
が存在していてもよい。
【0034】磁気記録層4に含有させる結合剤として
は、従来より使用されている公知の結合剤、例えば、熱
可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂及びこれらの混
合物等を使用することができる。具体的な熱可塑性樹脂
としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニル−アクリルニトリル共重合体、アクリル
酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩
化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エス
テル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル
−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩
化ビニリデン共重合体、メタアクリル酸エステル−エチ
レン共重合体、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹
脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、スチレ
ンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステ
ル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等の樹脂等、あるいはこ
れらの混合物等が挙げられる。
【0035】また、具体的な熱硬化性樹脂又は反応型樹
脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹
脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアル
デヒド樹脂等が挙げられる。
【0036】また、結合剤として使用可能である上記樹
脂は、顔料の分散性を向上させる目的で、下記に示す極
性官能基から選ばれる少なくともー種の極性基が導入さ
れていても良い。極性官能基としては、−SO3M、−
OSO3M、−COOM、−PO=(OM)2(但し、式
中Mは水素原子またはNa、K、Li等のアルカリ金属
を表わす。)等や、−NR12、−NR123 +-
末端基を有する側鎖型のもの、あるいは−NR12 +-
の主鎖型のものが挙げられる(但し、式中R1、R2、R
3は水素あるいは炭化水素基であり、式中X-はフッ素、
塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子イオンあるいは無
機又は有機イオンである。)。さらに、極性官能基とし
ては、−OH、−SH、−CN、エポキシ基等が挙げら
れる。
【0037】更に、上述した結合剤には、樹脂を架橋硬
化させるポリイソシアネートを併用することができる。
ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネー
ト又はこの付加体、アルキレンジイソシアネート又はこ
の付加体等が挙げられる。
【0038】中間層3及び/又は磁気記録層4には、必
要に応じて潤滑剤、界面活性剤、研磨材、帯電防止剤等
の添加剤が添加されていても良い。これら添加剤として
は、従来より公知である添加剤を用いることができる。
【0039】具体的な研磨剤としては、酸化アルミニウ
ム(α、β、γ)、酸化クロム、炭化ケイ素、ダイヤモ
ンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタンカー
バイト、炭化チタン、酸化チタン(ルチル、アナター
ゼ)等が挙げられる。具体的な潤滑剤としては、黒鉛、
二流化モリブデン、二流化タングステン、シリコーンオ
イル、炭素数10〜22までの脂肪酸、またはこれらの
オリゴマー等が挙げられる。具体的な界面活性剤として
は、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性の界面
活性剤を用いることが可能である。
【0040】また、各種添加剤は磁気記録層のみに添加
しても良く、複数の層を有する磁気記録媒体である場合
には、何れの層に添加しても良い。
【0041】以上のように構成された磁気記録媒体1
は、次のようにして作製される。
【0042】まず、Pを含有する金属磁性粉末を作製す
る。金属磁性粉末にPを含有させるため、Pを添加する
方法としては、従来より公知の方法を用いることができ
る。例えば、通常の工程でゲーサイトを作製する初期に
FeにPを添加して合金化する方法、針状ゲーサイトを
作製した後にPを被着させ、これを加熱してゲーサイト
内部に拡散させる方法、あるいはその両方を組み合わせ
ることによる方法等が挙げられる。具体的には水系でリ
ン化合物を添加したり、気相中でリン化合物を処理する
方法などが挙げられる。
【0043】次に、中間層用塗料及び磁性塗料を、混練
機及び希釈分散機を用いて、上述した各成分を溶剤とと
もに混練分散することにより調製する。
【0044】混練分散の際に用いられる溶剤としては、
従来より塗料化の際に用いられている公知の溶剤、例え
ばメチルエチルケトン、トルエン、酢酸ブチル、シクロ
ヘキサノン等を使用することができる。また、混練機及
び希釈分散機としては、従来から公知の機械が使用可能
である。具体的に混練機としては、連続二軸混練機(エ
クストルーダ)、コニーダ及び加圧ニーダ等が挙げられ
る。また、希釈分散機としては、縦型サンドミル、横型
サンドミル、スパイクミル、パールミル及びダブルシリ
ンダーパールミル等が挙げられる。
【0045】そして、中間層3及び磁気記録層4を、中
間層用塗料及び磁性塗料をこの順に非磁性支持体2上に
塗布して形成する。
【0046】塗布の方法としては、中間層用塗料及び磁
性塗料を一層ずつ塗布して乾燥を行ういわゆるウェット
・オン・ドライ方式を用いても良く、湿潤状態にある中
間層用塗料の上に磁性塗料を重ねて塗布するいわゆるウ
ェット・オン・ウェット方式を用いても良い。ウェット
・オン・ウェット方式により塗布を行うときは、塗布装
置として主にダイコータを用いる。
【0047】更に、非磁性支持体2上に少なくとも磁気
記録層4を形成した後に配向処理を施し、湿潤状態の塗
膜を乾燥させた後、必要に応じてカレンダー処理等の表
面平滑処理を施して、磁気記録媒体原反を作製する。な
お、必要であればバックコート層を非磁性支持体2の磁
気記録層4を形成した面とは反対側の面に形成する。
【0048】このようにして得られた磁気記録媒体原反
を所望の形状にスリット又は打ち抜くことで、磁気記録
媒体1が作製される。
【0049】ところで、金属磁性粉末の耐酸化性は、酸
化皮膜が厚くなるほど向上する。従って、磁気記録媒体
1は、酸化皮膜の占める割合が多い金属磁性粉末を磁気
記録層4に含有すると、耐候性がより向上する。しかし
ながら、酸化皮膜は非磁性であるので、金属磁性粉末の
飽和磁化量は、酸化皮膜が厚くなるほど小さくなる。
【0050】つまり、酸化皮膜を厚くした金属磁性粉末
を含有する磁気記録媒体1は、磁気ヘッドとしてインダ
クティブヘッドを用いた磁気記録再生装置に用いられた
場合、金属磁性粉末の飽和磁化量が小さいので、十分な
再生出力が得られない可能性がある。
【0051】しかし、磁気記録媒体1がインダクティブ
ヘッドを用いた磁気記録再生システムに用いられた場合
に十分な再生出力を得られる程度に大きい飽和磁化量を
備える場合、磁気ヘッドとして磁気抵抗効果型再生ヘッ
ド(以下、MRヘッドと称する。)を用いた磁気記録再
生システムに用いられると、飽和磁化量が大きすぎて磁
気抵抗変化の線形性が損なわれる虞があり、出力特性が
劣化する可能性がある。
【0052】そこで、酸化皮膜を厚くした金属磁性粉末
を含有する磁気記録媒体1は、MRヘッドを用いた磁気
記録再生システムに用いられることが好ましい。言い換
えると、磁気記録媒体1に書き込まれた記録信号の再生
にMRヘッドを用いる場合、耐候性を主体に考えて、金
属磁性粉末の酸化皮膜を厚くし、その結果、飽和磁化量
を低下させることが好ましい。
【0053】この場合、MRヘッドとしては、MR素子
をシールドで挟み込んだシールド型のMRヘッドを用
い、これを回転ドラムに搭載して記録再生装置を構成す
る。
【0054】MRヘッドを用いたヘリカルスキャン磁気
記録システムと本発明に係る磁気記録媒体1とを組み合
わせることにより、これまでにない高密度記録システム
を構築することができる。
【0055】上記ヘリカルスキャン磁気記録システムの
磁気記録再生装置は、回転ドラムを用いて記録再生を行
うヘリカルスキャン方式の磁気記録再生装置であり、回
転ドラムに搭載された再生用磁気ヘッドとして、MRヘ
ッドを使用する。
【0056】この磁気記録再生装置に搭載される回転ド
ラム装置の一構成例を図2及び図3に示す。なお、図2
は回転ドラム装置11の概略を示す斜視図であり、図3
は回転ドラム装置11を含む磁気テープ送り機構20の
概略を示す平面図である。
【0057】図2に示すように、回転ドラム装置11
は、円筒状の固定ドラム12と、円筒状の回転ドラム1
3と、回転ドラム13を回転駆動するモータ14と、回
転ドラム13に搭載された一対のインダクティブ型磁気
ヘッド15a,15bと、回転ドラム13に搭載された
一対のMRヘッド16a,16bとを備える。
【0058】上記固定ドラム12は、回転することなく
保持されるドラムである。この固定ドラム12の側面に
は、上述の構成の磁気記録媒体1を適当な幅にスリット
してなる磁気テープ17の、走行方向に沿ってリードガ
イド部18が形成されている。後述するように、記録再
生時に磁気テープ17は、このリードガイド部18に沿
って走行する。そして、この固定ドラム12と中心軸が
一致するように、回転ドラム13が配されている。
【0059】回転ドラム13は、磁気テープ17に対す
る記録再生時に、モータ14によって所定の回転速度で
回転駆動されるドラムである。この回転ドラム13は、
固定ドラム12と略同径の円筒状に形成されてなり、固
定ドラム12と中心軸が一致するように配されている。
そして、この回転ドラム13の固定ドラム12に対向す
る側には、一対のインダクティブ型磁気ヘッド15a,
15b及び一対のMRヘッド16a,16bが搭載され
ている。
【0060】インダクティブ型磁気ヘッド15a,15
bは、一対の磁気コアが磁気ギャップを介して接合され
るとともに、磁気コアにコイルが巻装されてなる記録用
磁気ヘッドであり、磁気テープ17に対して信号を記録
する際に使用される。そして、これらのインダクティブ
型磁気ヘッド15a,15bは、回転ドラム13の中心
に対して互いに成す角度が180°となり、それらの磁
気ギャップ部分が回転ドラム13の外周から突き出すよ
うに、回転ドラム13に搭載されている。なお、これら
のインダクティブ型磁気ヘッド15a,15bは、磁気
テープ17に対してアジマス記録を行うように、アジマ
ス角が互いに逆となるように設定されている。
【0061】一方、MRヘッド16a,16bは、磁気
テープ17からの信号を検出する感磁素子としてMR素
子を備えた再生用磁気ヘッドであり、磁気テープ17か
ら信号を再生する際に使用される。そして、これらのM
Rヘッド16a,16bは、回転ドラム13の中心に対
して互いに成す角度が180°となり、磁気ギャップ部
分が回転ドラムの外周から突き出すように、回転ドラム
13に搭載されている。なお、これらのMRヘッド16
a,16bは、磁気テープ17に対してアジマス記録さ
れた信号を再生できるように、アジマス角が互いに逆と
なるように設定されている。
【0062】そして、磁気記録再生装置は、このような
回転ドラム装置11に磁気テープ17を摺動させて、磁
気テープ17に対する信号の記録や、磁気テープ17か
らの信号の再生を行う。
【0063】すなわち、記録再生時に磁気テープ17
は、図3に示すように、供給リール21からガイドロー
ラ22,23を経て、回転ドラム装置11に巻き付くよ
うに送られ、この回転ドラム装置11で記録再生がなさ
れる。そして、回転ドラム装置11で記録再生がなされ
た磁気テープ17は、ガイドローラ24,25、キャプ
スタン26、ガイドローラ27を経て、巻き取りロール
28へと送られる。すなわち、磁気テープ17は、キャ
プスタンモータ29により回転駆動されるキャプスタン
26によって所定の張力及び速度にて送られ、ガイドロ
ーラ27を経て巻き取りロール28に巻き取られる。
【0064】このとき、回転ドラム13は、図2中の矢
印Aに示すように、モータ14によって回転駆動され
る。一方、磁気テープ17は、固定ドラム12のリード
ガイド部18に沿って、固定ドラム12及び回転ドラム
13に対して斜めに摺動するように送られる。すなわ
ち、磁気テープ17は、テープ走行方向に沿って、図2
中矢印Bに示すようにテープ入口側から固定ドラム12
及び回転ドラム13に摺接するようにリードガイド部1
8に沿って送られ、その後、図2中矢印Cに示すように
テープ出口側へと送られる。
【0065】次に、上記回転ドラム装置11の内部構造
について、図4を参照して説明する。
【0066】図4に示すように、固定ドラム12及び回
転ドラム13の中心には、回転軸31が挿通されてい
る。なお、固定ドラム12、回転ドラム13及び回転軸
31は導電材料からなり、これらは電気的に導通してお
り、固定ドラム12が接地されている。
【0067】そして、固定ドラム12のスリーブの内側
には、2つの軸受け32,33が設けられており、これ
により、固定ドラム12に対して回転軸31が回転可能
に支持されている。すなわち、回転軸31は、軸受け3
2,33により、固定ドラム12に対して回転可能に支
持されている。一方、回転ドラム13には、その内周部
にフランジ34が形成されており、このフランジ34が
回転軸31の上端部に固定されている。これにより、回
転ドラム13は、回転軸31の回転に伴って回転するよ
うになされている。
【0068】また、回転ドラム装置11の内部には、固
定ドラム12と回転ドラム13との間で信号の伝送を行
うために、非接触型の信号伝送装置であるロータリトラ
ンス35が配されている。このロータリトランス35
は、固定ドラム12に取り付けられたステータコア36
と、回転ドラム13に取り付けられたロータコア37と
を有している。
【0069】ステータコア36及びロータコア37は、
フェライト等のような磁性材料が、回転軸31を中心と
する円環状に形成されてなる。また、ステータコア36
には、一対のインダクティブ型磁気ヘッド15a,15
bに対応した一対の信号伝送用リング36a,36b
と、一対のMRヘッド16a,16bに対応した信号伝
送用リング36cと、一対のMRヘッド16a,16b
の駆動に必要な電力を供給するための電力伝送用リング
36dとが、同心円状に配置されている。同様に、ロー
タコア37にも、一対のインダクティブ型磁気ヘッド1
5a,15bに対応した一対の信号伝送用リング37
a,37bと、一対のMRヘッド16a,16bに対応
した信号伝送用リング37cと、一対のMRヘッド16
a,16bの駆動に必要な電力を供給するための電力伝
送用リング37dとが、同心円状に配置されている。
【0070】これらのリング36a,36b,36c,
36d,37a,37b,37c,37dは、回転軸3
1を中心として円環状に巻回されたコイルからなり、ス
テータコア36の各リング36a,36b,36c,3
6dと、ロータコア37の各リング37a,37b,3
7c,37dとがそれぞれ対向するように配されてい
る。そして、このロータリトランス35は、ステータコ
ア36の各リング36a,36b,36c,36dと、
ロータコア37の各リング37a,37b,37c,3
7dとの間で、非接触にて信号や電力の伝送を行うよう
になっている。
【0071】また、回転ドラム装置11には、回転ドラ
ム13を回転駆動させるモータ14が取り付けられてい
る。このモータ14は、回転部分であるロータ38と、
固定部分であるステータ39とを有している。ロータ3
8は、回転軸31の下端部に取り付けられており、駆動
用マグネット40を備えている。一方、ステータ39
は、固定ドラム12の下端部に取り付けられており、駆
動用コイル41を備えている。そして、駆動用コイル4
1に電流を供給することにより、ロータ38が回転駆動
される。これにより、ロータ38に取り付けられている
回転軸31が回転し、それに伴って、回転軸31に固定
されている回転ドラム13が回転駆動されることとな
る。
【0072】つぎに、以上のような回転ドラム装置11
による記録再生について、この回転ドラム装置11並び
にその周辺回路についての回路構成の概略を示す図5を
参照して説明する。
【0073】上記回転ドラム装置11を用いて磁気テー
プ17に信号を記録する際は、先ず、モータ14の駆動
用コイル41に電流が供給され、これにより、回転ドラ
ム13が回転駆動される。そして、回転ドラム13が回
転している状態にて、図5に示すように、外部回路50
からの記録信号が記録用アンプ51に供給される。
【0074】記録用アンプ51は、外部回路50からの
記録信号を増幅し、一方のインダクティブ型磁気ヘッド
15aによって信号を記録するタイミングの時、当該イ
ンダクティブ型磁気ヘッド15aに対応したステータコ
ア36の信号伝送用リング36aに記録信号を供給し、
また、他方のインダクティブ型磁気ヘッド15bによっ
て信号を記録するタイミングの時、当該インダクティブ
型磁気ヘッド15bに対応したステータコア36の信号
伝送用リング36bに記録信号を供給する。
【0075】ここで、一対のインダクティブ型磁気ヘッ
ド15a,15bは、上述したように、回転ドラム13
の中心に対して互いに成す角度が180°となるように
配されているので、これらのインダクティブ型磁気ヘッ
ド15a,15bは、180°の位相差を持って交互に
記録することとなる。すなわち、記録用アンプ51は、
一方のインダクティブ型磁気ヘッド15aに記録信号を
供給するタイミングと、他方のインダクティブ型磁気ヘ
ッド15bに記録信号を供給するタイミングとを、18
0°の位相差を持って交互に切り換える。
【0076】そして、一方のインダクティブ型磁気ヘッ
ド15aに対応したステータコア36の信号伝送用リン
グ36aに供給された記録信号は、非接触にてロータコ
ア37の信号伝送用リング37aに伝送される。そし
て、ロータコア37の信号伝送用リング37aに伝送さ
れた記録信号は、インダクティブ型磁気ヘッド15aに
供給され、当該インダクティブ型磁気ヘッド15aによ
り、磁気テープ17に対して信号の記録がなされる。
【0077】同様に、他方のインダクティブ型磁気ヘッ
ド15bに対応したステータコア36の信号伝送用リン
グ36bに供給された記録信号は、非接触にてロータコ
ア37の信号伝送用リング37bに伝送される。そし
て、ロータコア37の信号伝送用リング37bに伝送さ
れた記録信号は、インダクティブ型磁気ヘッド15bに
供給され、当該インダクティブ型磁気ヘッド15bによ
り、磁気テープ17に対して信号の記録がなされる。
【0078】また、上記回転ドラム装置11を用いて磁
気テープ17からの信号を再生する際は、先ず、モータ
14の駆動用コイル41に電流が供給され、これによ
り、回転ドラム13が回転駆動される。そして、回転ド
ラム13が回転している状態にて、図5に示すように、
オシレータ52から高周波の電流がパワードライブ53
に供給される。
【0079】オシレータ52からの高周波の電流は、パ
ワードライブ53によって所定の交流電流に変換された
上で、ステータコア36の電力伝送用リング36dに供
給される。そして、ステータコア36の電力伝送用リン
グ36dに供給された交流電流は、非接触にてロータコ
ア37の電力伝送用リング37dに伝送される。そし
て、ロータコア37の電力伝送用リング37dに伝送さ
れた交流電流は、整流器54により整流されて直流電流
とされレギュレータ55に供給され、当該直流電流はレ
ギュレータ55により所定の電圧に設定される。
【0080】そして、レギュレータ55によって所定の
電圧に設定された電流は、一対のMRヘッド16a,1
6bにセンス電流として供給される。なお、一対のMR
ヘッド16a,16bには、当該MRヘッド16a,1
6bからの信号を検出する再生用アンプ56が接続され
ており、レギュレータ55からの電流は、この再生用ア
ンプ56にも供給される。
【0081】ここで、MRヘッド16a,16bは、外
部磁界の大きさによって抵抗値が変化するMR素子を備
えている。そして、MRヘッド16a,16bは、磁気
テープ17からの信号磁界により、MR素子の抵抗値が
変化し、これにより、センス電流に電圧変化が現れるよ
うになされている。
【0082】そして、再生用アンプ56は、この電圧変
化を検出し、当該電圧変化に応じた信号を再生信号とし
て出力する。なお、再生用アンプ56は、一方のMRヘ
ッド16aによって信号を再生するタイミングの時、当
該MRヘッド16aによって検出した再生信号を出力
し、また、他方のMRヘッド16bによって信号を再生
するタイミングの時、当該MRヘッド16bによって検
出した再生信号を出力する。
【0083】ここで、一対のMRヘッド16a,16b
は、上述したように、回転ドラム13の中心に対して互
いに成す角度が180°となるように配されているの
で、これらのMRヘッド16a,16bは、180°の
位相差を持って交互に再生することとなる。すなわち、
再生用アンプ56は、一方のMRヘッド16aからの再
生信号を出力するタイミングと、他方のMRヘッド16
bからの再生信号を出力するタイミングとを、180°
の位相差を持って交互に切り換える。
【0084】そして、再生用アンプ56からの再生信号
は、ロータコア37の信号伝送用リング37cに供給さ
れ、この再生信号は、非接触にてステータコア36の信
号伝送用リング36cに伝送される。ステータコア36
の信号伝送用リング36cに伝送された再生信号は、再
生用アンプ57によって増幅された上で、補正回路58
に供給される。そして、再生信号は、補正回路58によ
り所定の補正処理が施された後、外部回路50へと出力
される。
【0085】なお、図5に示したような回路構成とした
場合、一対のインダクティブ型磁気ヘッド15a,15
b、一対のMRヘッド16a,16b、整流器54、レ
ギュレータ55及び再生用アンプ56は、回転ドラム1
3に搭載され、回転ドラム13と共に回転する。一方、
記録用アンプ51、オシレータ52、パワードライブ5
3、再生用アンプ57及び補正回路58については、回
転ドラム装置11の固定部分に配するか、或いは、回転
ドラム装置11とは別に構成された外部回路とする。
【0086】つぎに、上記回転ドラム13に搭載される
MRヘッド16a,16bについて、図6を参照して詳
細に説明する。なお、MRヘッド16a及びMRヘッド
16bは、アジマス角が互いに逆となるように設定され
ている他は、同一の構成を有している。そこで、以下の
説明では、これらのMRヘッド16a,16bをまとめ
てMRヘッド16と称する。
【0087】MRヘッド16は、回転ドラム13に搭載
され、ヘリカルスキャン方式によって磁気テープ17か
らの信号を、磁気抵抗効果を利用して検出する再生専用
の磁気ヘッドである。このMRヘッド16は、図6に示
すように、Ni−Zn多結晶フェライト等のような軟磁
性材料からなる一対の磁気シールド61,62と、絶縁
体63を介して一対の磁気シールド61,62によって
挟持された略矩形状のMR素子部64とを備える。な
お、MR素子部64の両端からは、一対の端子が導出さ
れており、これらの端子を介して、MR素子部64にセ
ンス電流を供給できるようになされている。
【0088】MR素子部64は、磁気抵抗効果を有する
MR素子と、SAL(Soft Adjacent Layer)膜と、M
R素子とSAL膜との間に配された絶縁体膜とが積層さ
れてなる。MR素子は、異方性磁気抵抗効果(AMR)
により、外部磁界の大きさによって抵抗値が変化するN
i−Fe等のような軟磁性材料からなる。SAL膜は、
いわゆるSALバイアス方式により、MR素子にバイア
ス磁界を印加するためのものであり、パーマロイ等のよ
うに低保磁力で高透磁率の磁性材料からなる。絶縁体膜
は、MR素子とSAL膜との間を絶縁し、電気的な分流
損を防ぐためのものであり、Ta等のような絶縁材料か
らなる。
【0089】このMR素子部64は、略矩形状に形成さ
れてなり、一側面が磁気テープ摺動面65に露呈するよ
うに、一対の磁気シールド61,62によって絶縁体6
3を介して挟持されている。詳細には、このMR素子部
64は、短軸方向が磁気テープ摺動面65に対して略垂
直となり、長軸方向が磁気テープ摺動方向に対して略直
交するように、一対の磁気シールド61,62によって
絶縁体63を介して挟持されている。
【0090】このMRヘッド16の磁気テープ摺動面6
5は、当該磁気テープ摺動面65にMR素子部64の一
側面が露呈するように、磁気テープ17の摺動方向に沿
って円筒研磨されているとともに、磁気テープ17の摺
動方向に対して直交する方向に沿って円筒研磨されてい
る。これにより、このMRヘッド16は、MR素子部6
4或いはその近傍部分が最も突出するようになされてい
る。このように、MR素子部64或いはその近傍部分が
最も突出するようにすることにより、MR素子部64の
磁気テープ17に対する当たり特性を良好なものとする
ことができる。
【0091】そして、以上のようなMRヘッド16を用
いて磁気テープ17からの信号を再生する際は、図7に
示すように、磁気テープ17をMR素子部64に摺動さ
せる。なお、図7中の矢印は、磁気テープ17が磁化さ
れている様子を模式的に示している。
【0092】そして、このように磁気テープ17をMR
素子部64に摺動させた状態で、MR素子部64の両端
に接続された端子64a,64bを介して、MR素子部
64にセンス電流を供給し、当該センス電流の電圧変化
を検出する。具体的には、MR素子部64の一端に接続
された端子64aから、所定の電圧Vcを印加するとと
もに、MR素子部64の他端に接続された端子64b
を、回転ドラム13に接続しておく。ここで、回転ドラ
ム13は回転軸31を介して固定ドラム12に電気的に
導通しており、また、固定ドラム12は接地されてい
る。したがって、MR素子部64に接続された一方の端
子64bは、回転ドラム13、回転軸31及び固定ドラ
ム12を介して接地されている。
【0093】そして、磁気テープ17を摺動させた状態
でMR素子部64にセンス電流を供給すると、磁気テー
プ17からの磁界に応じて、MR素子部64に形成され
たMR素子の抵抗値が変化し、その結果、センス電流に
電圧変化が生じる。そこで、このセンス電流の電圧変化
を検出することにより、磁気テープ17からの信号磁界
が検出され、磁気テープ17に記録されている信号が再
生される。
【0094】なお、用いるMRヘッド16において、M
R素子部64に形成されるMR素子は、磁気抵抗効果を
示す素子であれば良く、例えば、複数の薄膜を積層する
ことにより、より大きな磁気抵抗効果を得られるように
した、いわゆる巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)も
使用可能である。また、MR素子にバイアス磁界を印加
する手法は、SALバイアス方式でなくてもよく、例え
ば、永久磁石バイアス方式、シャント電流バイアス方
式、自己バイアス方式、交換バイアス方式、バーバーポ
ール方式、分割素子方式、サーボバイアス方式等、種々
の手法が適用可能である。なお、巨大磁気抵抗効果並び
に各種バイアス方式については、例えば、丸善株式会社
発行の「磁気抵抗ヘッド−基礎と応用 林和彦訳」に詳
細に記載されている。
【0095】以上のようにして作製された磁気記録媒体
1は、Pを中心部及び/又は酸化皮膜に含有する金属磁
性粉末を含有する磁気記録層4を備える。この金属磁性
粉末は、Pを含有することにより潤滑性を備える化合物
を生成する。従って、磁気記録媒体1に含有された金属
磁性粉末は、磁気記録媒体1の走行時に磁気ヘッドとの
接触面における摩擦を低減し、更に焼付きを防止する極
圧効果を発揮する。
【0096】これにより、磁気記録媒体1は、磁気記録
層4の酸化が防止されて耐候性が向上する。また、磁気
記録媒体1は、磁気ヘッド等への貼り付きが防止されて
耐摩耗性が向上し、ドロップアウトが確実に防止され
る。つまり、磁気記録媒体1は、磁気特性の劣化が低減
され、レベルダウンが低減される。
【0097】また、この磁気記録媒体1は、PをFe1
00重量部に対して0.1重量部以上、30重量部以下
の範囲で含有する金属磁性粉末を磁気記録層4に含有す
ることにより、レベルダウンが著しく減少する。
【0098】更に、この磁気記録媒体1は、酸化皮膜上
に可溶性イオン、例えばHPO4 2-が存在するとき、そ
の表面存在量は5ppm/g以上、2000ppm/g
以下の範囲であることにより、レベルダウンが著しく減
少する。
【0099】そして、磁気記録媒体1は、飽和磁化量が
80emu/g以上、150emu/g以下の範囲であ
る金属磁性粉末を含有することにより、所望の出力が確
実に得られる。
【0100】更にまた、磁気記録媒体1は、平均長軸長
が0.01μm以上、0.10μm以下の範囲であり、
X線結晶粒径(Dx)が50Å以上、250Å以下の範
囲であることにより、電磁変換特性に優れ、高密度記録
に適したものとなる。
【0101】また、磁気記録媒体1は、非磁性である酸
化皮膜の占める割合の多い金属磁性粉末を磁気記録層4
に含有することにより耐候性が非常に向上し、高出力を
維持できる。特に、MRヘッドを用いたヘリカルスキャ
ン磁気記録システムに用いられることにより、高出力が
得られる。
【0102】なお、上述した実施の形態では、非磁性支
持体2、中間層3及び磁気記録層4を備える磁気記録媒
体1について説明したが、本発明に係る磁気記録媒体
は、磁気記録層が多層であってもよく、非磁性支持体上
に磁気記録層が形成されていてもよい。また、本発明に
係る磁気記録媒体は、例えばインダクティブヘッドを用
いた磁気記録再生システムに用いられた場合でも記録信
号の記録再生が可能であり、十分に高い出力を示す。
【0103】
【実施例】以下、本発明に係る磁気記録媒体について、
具体的な実験結果に基づいて詳細に説明する。
【0104】なお、ここでは磁気記録媒体として、中間
層と磁気記録層とを備える磁気テープを作製した。
【0105】<実験1>ここでは、Pの含有量が異なる
金属磁性粉末を含有する磁気テープを複数作製し、各々
の磁気テープについて磁気特性を評価した。
【0106】実施例1 まず、Feを主体とし、PをFe100重量部に対して
0.2重量部含有する金属磁性粉末を作製した。金属磁
性粉末にPを添加する方法としては、ゲーサイトを作製
した後にPを被着させ、被着させたPをゲーサイト内部
に拡散させることにより、酸化物を形成する方法を用い
た。この金属磁性粉末の磁気特性及び粉体特性は、下記
の通りである。
【0107】 <磁気特性及び粉体特性> ・飽和磁化量 :120emu/g ・平均長軸長 :0.08μm ・X線粒径(Dx):160Å ・Co含有量 :Fe100重量部に対して3重量部 ・Al含有量 :Fe100重量部に対して5重量部 なお、格子定数はX線回析により測定し、飽和磁化量は
試料振動型磁力(商品名:P7−15、製造会社:東英
工業)を用いて測定した。また、金属磁性粉末の表面に
可溶性イオンとして存在するHPO4 2-は、その表面存
在量が6ppm/gであった。この表面存在量は、金属
磁性粉末に純水を加え、ロールミルを用いた処理を20
時間した後に得られた水溶液の上澄み液を、イオンクロ
マトグラフィ(商品名:DIONEXアナライザー、製
造会社:日本ダイオネクス)を用いて測定した。
【0108】次に、下記の組成に準じて、磁性塗料の各
成分を計り採り、混練分散させることで磁性塗料を調整
した。
【0109】 <磁性塗料組成> ・金属磁性粉末 100重量部 ・バインダー樹脂:塩化ビニル系共重合体 20重量部 ・研磨剤:Al23 3重量部 ・潤滑剤:ミリスチン酸 1重量部 ・メチルエチルケトン 100重量部 ・トルエン 100重量部 ・シクロヘキサノン 50重量部 次に、下記の組成に準じて、中間層用塗料の各成分を秤
取り、混練分散させることで中間層用塗料を調整した。
【0110】 <中間層用塗料組成> ・酸化鉄粉 100重量部 ・バインダー樹脂:塩化ビニル系共重合体 20重量部 ・潤滑剤:ミリスチン酸 2重量部 ・メチルエチルケトン 100重量部 ・トルエン 100重量部 ・シクロヘキサノン 50重量部 そして、上述のように調整した中間層用塗料及び磁性塗
料を、ポリエチレンテレフタレートからなる非磁性支持
体上に塗布した後に乾燥させて、磁気テープ原反を作製
した。そして、このテープ原反を8mmの幅に裁断し、
実施例1の磁気テープを得た。なお、この磁気テープに
おいて、磁気記録層層の厚さは0.3μm、中間層厚さ
は1.5μmとした。
【0111】実施例2〜実施例9 Fe100重量部に対するPの含有量、磁気特性及び粉
体特性が表1に示す通りである金属磁性粉末を用いるこ
と以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0112】比較例1 Pを含有しない金属磁性粉末を用いること以外は、実施
例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0113】実施例1〜実施例9、比較例1の金属磁性
粉末における磁気特性、粉体特性、及び金属磁性粉末の
表面に存在するHPO4 2-の表面存在量を、表1に示
す。
【0114】
【表1】
【0115】以上のようにして作製された実施例1〜実
施例9、比較例1の磁気テープについて、磁気特性を評
価するために出力、ノイズ、SN及びレベルダウンを測
定した。これらの測定方法を以下に示す。
【0116】<出力>各々の磁気テープに対して、記録
波長が0.5μmである信号を記録した後に、温度40
℃、湿度20%の環境下において、記録信号を再生した
ときの出力値を記録再生装置を用いて測定した。そし
て、比較例1で得られた出力値を0dBとしたときの相
対出力を、出力とした。
【0117】なお、磁気テープの記録再生装置としては
8mmVTR(製造会社:ソニー(株))を改造し、再
生ヘッドとしてMRヘッドを搭載した記録再生装置と、
インダクティブ再生ヘッドを搭載した記録再生装置との
2種類を用いた。また、MRヘッドの素子としては、F
eNi−AMR(異方性磁気抵抗効果素子)を用いた。
このMRヘッドは、飽和磁化量が800emu/gであ
り、膜厚は40nmであり、シードル素材はNiZnで
あり、シードル間距離は0.17μmである。更に、ト
ラック幅は18μmであり、アジマス角は25度であ
る。
【0118】<ノイズ>出力値の測定と同様にしてノイ
ズレベルを測定し、比較例1で得られたノイズレベルを
0dBとしたときの相対ノイズを、ノイズとした。 <SN>出力からノイズを減じた値をSNとした。 <レベルダウン(L.D.)>温度40℃、湿度20%
の環境下において、記録再生装置を用いて走行を10回
行った。そして、10回走行後の出力を測定し、初期の
出力からの低下分をレベルダウンとした。
【0119】また、MRヘッドを搭載した磁気テープ記
録再生装置を用いた場合には、エラーレートも測定し
た。以上の測定結果を表2に示す。
【0120】
【表2】
【0121】表2から明らかなように、Pを含有する金
属磁性粉末を含有する実施例1〜実施例9の磁気テープ
は、レベルダウンが非常に低減することがわかった。一
方、Pを含有しない金属磁性粉末を含有する比較例1の
磁気テープは、レベルダウンが非常に大きいことがわか
った。
【0122】従って、磁気テープは、Pを含有する金属
磁性粉末を含有する磁気記録層を備えることにより、耐
候性に優れることがわかった。
【0123】また、実施例1及び実施例9の磁気テープ
を比較すると、PがFe100重量部に対して0.1重
量部以上含有される金属磁性粉末を磁気記録層が含有す
る実施例1の磁気テープは、PがFe100重量部に対
して0.1重量部より少なく含有される金属磁性粉末を
磁気記録層が含有する実施例9の磁気テープよりも、レ
ベルダウンがより低減されることがわかった。
【0124】一方、実施例7と実施例8とを比較する
と、PがFe100重量部に対して30重量部以下の範
囲で含有される金属磁性粉末を磁気記録層が含有する実
施例7の磁気テープは、PがFe100重量部に対して
30重量部より多く含有される金属磁性粉末を磁気記録
層が含有する実施例8の磁気テープよりも、出力が高
く、SNが良いことがわかった。
【0125】従って、磁気テープは、Pが、Fe100
重量部に対して0.1重量部以上、30重量部以下の範
囲で含有される金属磁性粉末を磁気記録層が含有するこ
とが好ましく、これにより耐候性がより向上し、高出力
が得られることがわかった。
【0126】また、実施例7及び実施例8の磁気テープ
を比較すると、飽和磁化量が80emu/g以上である
金属磁性粉末を含有する実施例7の磁気テープは、飽和
磁化量が80emu/gより小さい金属磁性粉末を含有
する実施例8の磁気テープよりも、より高い出力が得ら
れることがわかった。
【0127】従って、磁気テープは、飽和磁化量
(σS)は80emu/g以上である金属磁性粉末を含
有する磁気記録層を備えることが好ましく、これにより
所望の出力が確実に得られることがわかった。
【0128】また、実施例1及び実施例9の磁気テープ
を比較すると、金属磁性粉末の表面に可溶性イオンとし
て存在するHPO4 2-の表面存在量が5ppm/g以上
である金属磁性粉末を含有する実施例1の磁気テープ
は、表面存在量が5ppm/gより少ない金属磁性粉末
を含有する実施例9の磁気テープよりも、レベルダウン
がより低減することがわかった。
【0129】一方、実施例7及び実施例8の磁気テープ
を比較すると、金属磁性粉末の表面に可溶性イオンとし
て存在するHPO4 2-の表面存在量が2000ppm/
g以下である金属磁性粉末を含有する実施例7の磁気テ
ープは、表面存在量が2000ppm/gより多い金属
磁性粉末を含有する実施例8の磁気テープよりも、出力
がより高く、SNが良いことがわかった。
【0130】従って、金属磁性粉末は、Pがその表面に
可溶性イオンHPO4 2-として存在するときに、その表
面存在量が5ppm/g以上、2000ppm/g以下
の範囲であることが好ましく、これにより、この金属磁
性粉末を含有する磁気テープは、耐候性がより向上する
ことがわかった。
【0131】<実験2>ここでは、長軸長及び平均粒径
が異なる金属磁性粉末を含有する磁気テープを複数作製
して磁気特性等を評価し、金属磁性粉末の好ましい平均
長軸長及び平均粒径を考察した。
【0132】実施例10〜実施例13 Fe100重量部に対するPの含有量、磁気特性及び粉
体特性が表3に示す通りである金属磁性粉末を用いるこ
と以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0133】実施例10〜実施例13の金属磁性粉末に
おける磁気特性、粉体特性、及び金属磁性粉末の表面に
存在するHPO4 2-の表面存在量を、表3に示す。
【0134】
【表3】
【0135】上述のようにして作製された実施例10〜
実施例13の磁気テープについて、磁気特性を評価する
ために出力、ノイズ、SN及びレベルダウンを上述した
測定方法と同様にして測定した。以上の測定結果を表2
に示す。
【0136】
【表4】
【0137】表4から明らかなように、実施例10及び
実施例12の磁気テープを比較すると、長軸長が0.0
1μm以上であり、且つ、X線結晶粒径(Dx)が50
Å以上である金属磁性粉末を含有する実施例10の磁気
テープは、長軸長が0.01μmより小さく、且つ、X
線結晶粒径(Dx)が50Åより小さい金属磁性粉末を
含有する実施例12の磁気テープよりも、ノイズがより
小さいことがわかった。
【0138】一方、実施例11及び実施例13の磁気テ
ープを比較すると、長軸長が0.10μm以下であり、
且つ、X線結晶粒径(Dx)が250Å以下である金属
磁性粉末を含有する実施例11の磁気テープは、長軸長
が0.10μmより大きい金属磁性粉末を含有する実施
例13磁気テープよりも、ノイズがより小さいことがわ
かった。
【0139】従って、磁気テープは、長軸長が0.01
μm以上、0.10μm以下の範囲であり、且つ、X線
結晶粒径(Dx)が50Å以上、250Å以下である金
属磁性粉末を磁気記録層が含有することが好ましく、こ
れにより、電磁変換特性に優れ、高密度記録に適した磁
気テープとなることがわかった。
【0140】<実験3>ここでは、Pを含有させること
以外の作製条件を変化させた金属磁性粉末を含有する磁
気テープを複数作製し、各々の磁気テープの磁気特性を
評価した。
【0141】実施例14 Fe100重量部に対するPの含有量、磁気特性及び粉
体特性が表5に示す通りである金属磁性粉末を用いるこ
と以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0142】実施例15 Co添加量を増加して10重量部とした金属磁性粉末を
用いる以外は、実施例14と同様にして磁気テープを作
製した。
【0143】実施例16 Coを添加しない金属磁性粉末を用いること以外は、実
施例14と同様にして磁気テープを作製した。
【0144】実施例17 徐酸化工程時間を長くして、酸化皮膜の厚みを増やした
金属磁性粉末を用いること以外は、実施例14と同様に
して磁気テープを作製した。
【0145】実施例18 Alの添加量を増加して10重量部とした金属磁性粉末
を用いる以外は、実施例14と同様にして磁気テープを
作製した。
【0146】実施例19 Pの添加方法として、ゲーサイトを作製する初期にPを
添加して合金化した金属磁性粉末を用いること以外は、
実施例14と同様にして磁気テープを作製した。
【0147】実施例14〜実施例19の金属磁性粉末に
おける磁気特性、粉体特性、及び金属磁性粉末の表面に
存在するHPO4 2-の表面存在量を、表5に示す。
【0148】
【表5】
【0149】上述のようにして作製された実施例14〜
実施例19の磁気テープについて、磁気特性を評価する
ために出力、ノイズ、SN及びレベルダウンを上述した
測定方法と同様にして測定した。以上の測定結果を表6
に示す。
【0150】
【表6】
【0151】表6から明らかなように、Coの添加量を
増加した金属磁性粉末を含有する実施例15の磁気テー
プは、実施例14の磁気テープと比較するとレベルダウ
ンがより低減することがわかった。
【0152】また、酸化皮膜の厚みを増加させた金属磁
性粉末を含有する実施例17の磁気テープは、実施例1
4の磁気テープと比較すると出力が低下するものの、レ
ベルダウンがより低減することがわかった。
【0153】更に、Alの添加量を増加した金属磁性粉
末を含有する実施例18の磁気テープは、実施例14の
磁気テープと比較するとレベルダウンがより低減するこ
とがわかった。
【0154】また更に、Pの添加方法が異なる実施例1
9の金属磁性粉末は、実施例14の金属磁性粉末と比較
するとHPO4 2-の表面存在量が少ない。しかし、金属
磁性粉末中に含有されるPの含有量が同じならば、実施
例19の磁気テープは、実施例14の磁気テープと同様
にレベルダウンが低減されることがわかった。
【0155】そして、これら実施例1〜実施例19の磁
気テープは、磁気記録再生装置の搭載する磁気ヘッドが
MRヘッドであっても、インダクティブヘッドである場
合と同様に高い出力が得られることが、表2、表4、表
6よりわかった。
【0156】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係る金属磁性粉末は、Feを主体とする中心部と中
心部の周面を覆う酸化皮膜とからなり、Pを中心部及び
/又は酸化皮膜に含有するので、磁気記録媒体に含有さ
れたときに極圧効果を発揮する。
【0157】また、本発明に係る磁気記録媒体は、極圧
効果を発揮する金属磁性粉末を磁気記録層に含有するの
で、磁気記録層の酸化が防止されて、耐候性が向上す
る。更に、磁気ヘッド等への貼り付きが防止されて、耐
摩耗性が向上する。従って、この磁気記録媒体は、磁気
特性の劣化が低減され、レベルダウンが低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体の断面図であ
る。
【図2】ヘリカルスキャン磁気記録システムの磁気記録
再生装置に搭載される回転ドラム装置の一構成例につい
て、その概略を示す斜視図である。
【図3】上記回転ドラム装置を含む磁気テープ送り機構
の一構成例について、その概略を示す平面図である。
【図4】上記回転ドラム装置の内部構造を示す断面図で
ある。
【図5】上記回転ドラム装置並びにその周辺回路につい
て、回路構成の概略を示す回路図である。
【図6】上記回転ドラムに搭載されるMRヘッドの一例
について、一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図7】MRヘッドを用いて磁気テープからの信号を再
生する様子を示す模式図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体、2 非磁性支持体、3 中間層、4
磁気記録層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/06 H01F 1/06 K (72)発明者 目黒 政志 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4K017 AA04 BA06 CA02 CA07 DA03 4K018 AA31 BA13 BB04 BB06 BD02 KA43 5D006 BA04 BA08 5E040 AA11 AA19 BC01 CA06 NN01 NN06 NN11

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを主体とする中心部と中心部の周面
    を覆う酸化皮膜とからなる金属磁性粉末において、 Pを中心部及び/又は酸化皮膜に含有することを特徴と
    する金属磁性粉末。
  2. 【請求項2】 上記Pは、Fe100重量部に対して
    0.1重量部以上、30重量部以下の範囲で含有される
    ことを特徴とする請求項1記載の金属磁性粉末。
  3. 【請求項3】 上記酸化皮膜上にPを含有する可溶性イ
    オンが存在することを特徴とする請求項1記載の金属磁
    性粉末。
  4. 【請求項4】 上記可溶性イオンの表面存在量は5pp
    m/g以上、2000ppm/g以下の範囲であること
    を特徴とする請求項1記載の金属磁性粉末。
  5. 【請求項5】 飽和磁化量(σS)は80emu/g以
    上、150emu/g以下の範囲であることを特徴とす
    る請求項1記載の金属磁性粉末。
  6. 【請求項6】 平均長軸長は0.01μm以上、0.1
    0μm以下の範囲であり、X線結晶粒径(Dx)は50
    Å以上、250Å以下の範囲であることを特徴とする請
    求項1記載の金属磁性粉末。
  7. 【請求項7】 非磁性支持体と、Feを主体とする中心
    部と中心部の周面を覆う酸化皮膜とからなる金属磁性粉
    末を含有する磁気記録層とを備える磁気記録媒体におい
    て、 当該金属磁性粉末は、Pを中心部及び/又は酸化皮膜に
    含有することを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記Pは、Fe100重量部に対して
    0.1重量部以上、30重量部以下の範囲で含有される
    ことを特徴とする請求7記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 上記酸化皮膜上にPを含有する可溶性イ
    オンが存在することを特徴とする請求項7記載の磁気記
    録媒体。
  10. 【請求項10】 上記可溶性イオンの表面存在量は5p
    pm/g以上、2000ppm/g以下の範囲であるこ
    とを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 飽和磁化量(σS)は80emu/g
    以上、150emu/g以下の範囲であることを特徴と
    する請求項7記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 平均長軸長は0.01μm以上、0.
    10μm以下の範囲であり、X線結晶粒径(Dx)は5
    0Å以上、250Å以下の範囲であることを特徴とする
    請求項7記載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 磁気抵抗効果型再生ヘッドを用いた磁
    気記録システムに用いられることを特徴とする請求項7
    記載の磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 上記磁気記録システムは、ヘリカルス
    キャン磁気記録システムであることを特徴とする請求項
    13記載の磁気記録媒体。
JP2000052302A 2000-02-24 2000-02-24 金属磁性粉末及び磁気記録媒体 Withdrawn JP2001234211A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000052302A JP2001234211A (ja) 2000-02-24 2000-02-24 金属磁性粉末及び磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000052302A JP2001234211A (ja) 2000-02-24 2000-02-24 金属磁性粉末及び磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001234211A true JP2001234211A (ja) 2001-08-28

Family

ID=18573843

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000052302A Withdrawn JP2001234211A (ja) 2000-02-24 2000-02-24 金属磁性粉末及び磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001234211A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6927405B2 (ja) 磁気記録媒体
JP7363450B2 (ja) 磁気記録媒体、テープカートリッジ、及びデータ処理方法
JP2002008910A (ja) 磁性粉末及び磁気記録媒体
JPH09190623A (ja) 磁気記録媒体
JP2002373414A (ja) 磁気記録媒体および磁性塗料
JP2024012616A (ja) 磁気記録媒体、磁気記録再生装置および磁気記録媒体カートリッジ
JP4383336B2 (ja) 磁気テープ
JP2008084419A (ja) 磁気記録媒体
JP2001237115A (ja) 金属磁性粉末及び磁気記録媒体
JP2001093138A (ja) 磁気記録媒体
JP2001234211A (ja) 金属磁性粉末及び磁気記録媒体
JP2000076642A (ja) 磁気記録再生装置
JP2002123926A (ja) 金属磁性粉末、金属磁性粉末の製造方法および磁気記録媒体
JP2001237114A (ja) 金属磁性粉末及び磁気記録媒体
JP2001313207A (ja) 金属磁性粉末及び磁気記録媒体
JP2002056517A (ja) 磁気記録媒体
JP2001102206A (ja) 金属磁性粉末及び磁気記録媒体並びにその製造方法
JP2002100021A (ja) 磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法
JP2002170219A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JP2002025037A (ja) 磁気記録媒体
JP2002050021A (ja) 磁気記録媒体
JP2001023145A (ja) 磁気記録媒体
JP2002170218A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JP2000323316A (ja) 磁性粉末および磁気記録媒体
JP2002056521A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070501