JP2000323316A - 磁性粉末および磁気記録媒体 - Google Patents

磁性粉末および磁気記録媒体

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JP2000323316A
JP2000323316A JP11303137A JP30313799A JP2000323316A JP 2000323316 A JP2000323316 A JP 2000323316A JP 11303137 A JP11303137 A JP 11303137A JP 30313799 A JP30313799 A JP 30313799A JP 2000323316 A JP2000323316 A JP 2000323316A
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Masashi Meguro
政志 目黒
Hiroki Tetsukawa
弘樹 鉄川
Makoto Inoue
誠 井上
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布型磁気記録媒体における高出力化と低ノ
イズ化が相容れないことによる高S/N化の阻害を解決
して、高S/N化を図る。 【解決手段】 金属系磁性粉末2p中に、非磁性部分
が、15重量%以上50重量%以下、好ましくは30重
量%以上50重量%以下をもって含有された構成とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる磁性塗料
を塗布してなる磁性層に使用される磁性粉末に関し、ま
た、磁性塗料を塗布してなる磁性層を有する磁気記録媒
体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオ装置やビデオ装置、コンピュ
ータ装置等に用いられる記録媒体としては、磁性粉末、
結合剤及び各種添加剤を有機溶媒に混練・分散すること
により調製される磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布
し、その後当該磁性塗料を乾燥させることで磁性層を形
成する、いわゆる、塗布型の磁気記録媒体が知られてい
る。この塗布型の磁気記録媒体は、生産性及び汎用性に
優れることから、上述したような記録媒体として主流を
占めている。
【0003】磁気記録媒体は、インダクティブヘッド等
の磁気ヘッドを備える記録再生装置により記録再生が行
われる。この記録再生装置においては、近年、小型軽量
化、高画質化、長時間化が進められている。これに伴
い、上述した塗布型の磁気記録媒体においても、高密度
記録化が強く要求されている。
【0004】この塗布型の磁気記録媒体では、インダク
ティブヘッドを用いた記録再生システムにおいて高密度
記録を達成するため、飽和磁束密度が大きく、且つ、微
粒子である磁性粉末が使用される。このような磁性粉末
としては、従来より使用されている酸化鉄系磁性粉末に
代わって鉄を主体とする金属磁性粉末を使用するように
なってきている。
【0005】金属磁性粉末は、酸化鉄系磁性粉末と比較
して飽和磁束密度が大きく、高密度記録に適していると
いえる。また、具体的に、組成として、鉄を主体として
これにコバルトを添加してなるような磁性粉末が使用さ
れる。これにより、磁性粉末は、更に高い飽和磁束密度
を示すこととなる。したがって、このような磁性粉末を
使用することによって、磁気記録媒体としても、高飽和
磁束密度を有することとなり、インダクティブヘッドを
用いた記録再生システムにおいて高密度記録に適応した
ものとなる。
【0006】また、近年、塗布型の磁気記録媒体を、イ
ンダクティブヘッドよりも感度が高い磁気抵抗効果型の
磁気ヘッド(MRヘッド)を用いて再生する記録再生シ
ステムが提案されている。MRヘッドを用いた記録再生
システムでは、MRヘッドの感度が高いため、上述した
ようなインダクティブヘッドによる記録再生システムに
適当な磁気記録媒体を使用すると、磁気記録媒体から発
生する磁束量が大きすぎるため、MRヘッドが直線性を
保つ領域を外れてしまい、歪みのない特性を得ることが
困難となる。このため、MRヘッドを用いた記録再生シ
ステムにおいては、MRヘッドの特性に適応した磁気記
録媒体の設計が必要となってくる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、塗布型
の磁気記録媒体では、金属磁性粉末が高い飽和磁束密度
を示すために高い出力を得ることができるが、反面、隣
接する金属磁性粉末間に磁気的相互作用が強く働く結
果、ノイズが大きいといった問題があった。特に、塗布
型の磁気記録媒体を上述したMRヘッドにより再生する
システムを考えた場合、MRヘッドにおけるノイズの許
容範囲が狭いため、従来の金属磁性粉末を使用した磁気
記録媒体をMRヘッドで再生することは困難であった。
言い換えると、従来の磁気記録媒体は、MRヘッドを用
いて再生するにはS/Nが低すぎるといった問題があっ
た。
【0008】そこで、本発明は、上述した従来の実情に
鑑みて案出されたものであり、充分な低ノイズ化を図る
ことによって、高S/N化を図ることができるようにし
た磁性粉末及び磁気記録媒体を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成した
本発明にかかる磁性粉末は、磁性領域を有し、当該磁性
領域を覆うように非磁性領域が形成されてなり、上記非
磁性領域が15重量%以上50重量%以下であることを
特徴とする。
【0010】以上のように構成された本発明にかかる磁
性粉末は、非磁性領域が所定の範囲に規定されることに
よって、隣接する他の磁性粉末との間の磁気的相互作用
を低減することができる。磁性粉末において、非磁性領
域が15重量%未満の場合には、隣接する他の磁性粉末
との間の磁気的相互作用を低減することができない。ま
た、磁性粉末において、非磁性領域が50重量%を超え
る場合には、十分な磁気特性を得ることができない。
【0011】また、本発明にかかる磁性粉末は、磁性領
域を有し、当該磁性領域を覆うように非磁性領域が形成
されてなり、上記非磁性領域はヘマタイト(α−Fe2
3)が含有されてなることを特徴とする。
【0012】以上のように構成された本発明にかかる磁
性粉末は、非磁性領域がヘマタイト(α−Fe23)を
含有することによって、隣接する他の磁性粉末との間の
磁気的相互作用を低減することができる。
【0013】さらに、本発明にかかる磁気記録媒体は、
非磁性支持体上に、磁性粉末を結合剤とともに分散して
なる磁性塗料を塗布することによって磁性層が形成され
てなり、上記磁性粉末は、磁性領域を有し、当該磁性領
域を覆うように非磁性領域が形成されてなり、上記非磁
性領域が15重量%以上50重量%以下であることを特
徴とする。
【0014】以上のように構成された本発明にかかる磁
気記録媒体では、非磁性領域が所定の範囲に規定された
磁性粉末を用いているため、磁性層に含有される磁性粉
末間の磁気的相互作用を低くなっている。このため、磁
気記録媒体は、ノイズ成分が低減されたものとなる。
【0015】さらにまた、本発明にかかる磁気記録媒体
は、非磁性支持体上に、磁性粉末を結合剤とともに分散
してなる磁性塗料を塗布することによって磁性層が形成
されてなり、上記磁性粉末は、磁性領域を有し、当該磁
性領域を覆うように非磁性領域が形成されてなり、上記
非磁性領域がヘマタイト(α−Fe23)が含有されて
なることを特徴とする。
【0016】以上のように構成された本発明にかかる磁
気記録媒体では、非磁性領域としてヘマタイト(α−F
23)を含有する磁性粉末を用いているため、磁性層
に含有される磁性粉末間の磁気的相互作用を低くなって
いる。このため、磁気記録媒体は、ノイズ成分が低減さ
れたものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる磁性粉末及
び磁気記録媒体の具体的な実施の形態を図面を参照して
詳細に説明する。
【0018】本発明を適用した磁性粉末は、図1に示す
ように、非磁性支持体1と、非磁性支持体1上に磁性塗
料を塗布してなる磁性層2とを備える磁気記録媒体に使
用される。すなわち、磁性粉末は、図1に示す磁気記録
媒体における磁性層2中に含有されるものである。
【0019】非磁性支持体1としては、例えば、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオ
レフイン類、セルローストリアセテート、セルロースダ
イアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、アラ
ミド樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック等が挙げ
られる。非磁性支持体は、単層構造であっても多層構造
であってもよい。また、例えば、非磁性支持体の表面に
は、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい
し、易接着層等の有機物層が形成されていてもよい。
【0020】磁性粉末は、略中心部分がα−Fe等から
なる磁性領域となっており、この磁性領域を覆うように
非磁性領域が形成されてなる。非磁性領域は、例えばA
23、SiO2、ヘマタイト(α−Fe23)等の非
磁性材料からなり、15重量%以上50重量%以下とな
っている。なお、磁性粉末としては、表面に被膜が形成
されたような構成のものであってもよい。
【0021】また、磁性領域を構成する材料としては、
α−Fe等の金属磁性材料に限定されず、γ−Fe
23、Fe34、γ−Fe23とFe34とのベルトラ
イド化合物、Co含有γ−Fe23、Co含有Fe
34、Co含有γ−Fe23とCo含有Fe34とのベ
ルトライド化合物、CrO2、一種以上の金属元素(例
えば、Te、Sb、Fe、Bi等)を含有させたCrO
2等の酸化物磁性材料であっても良い。さらに、磁性領
域を構成する材料としては、Fe−Al系、Fe−Al
−Ni系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、
Fe−Al−Ca系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Al
系、Fe−Ni−Co系、Fe−Ni−Si−Al−M
n系、Fe−Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Al−
Si系、Fe−Ni−Zn系、Fe−Ni−Mn系、F
e−Ni−Si系、Fe−Mn−Zn系、Fe−Co−
Ni−P系、Ni−Co系等を主成分とする合金磁性材
料であっても良い。さらに、磁性領域を構成する材料と
しては、窒化鉄であっても良い。
【0022】このうちFe系の強磁性粉末は電磁変換特
性に優れている。また、耐蝕性および分散性の点では、
Fe−Al系、Fe−Al−Ca系、Fe−Al−Ni
系、Fe−Al−Zn系、Fe−Al−Co系、Fe−
Ni−Si−Al−Zn系、Fe−Ni−Si−Al−
Mn系等のFe−Al系の強磁性粉末が好ましい。ま
た、磁性粉末としては、還元時の焼結防止や形状維持等
の目的によりAl、Si、Y、P及びB等の金属元素を
適用含有したものであってもよい。
【0023】このように構成された磁性粉末は、磁性領
域を覆うように形成された非磁性領域の割合が15重量
%以上50重量%以下とさているため、非磁性領域を有
さない磁性粉末と比較すると飽和磁束等の磁気特性は劣
化するが、反面、磁性層内において隣接する磁性粉末と
の間の磁気的相互作用は低減されることとなる。磁性粉
末において、非磁性領域が15重量%未満の場合には、
隣接する他の磁性粉末との間の磁気的相互作用を低減す
ることができない。また、磁性粉末において、非磁性領
域が50重量%を超える場合には、十分な磁気特性を得
ることができない。したがって、磁気記録媒体は、非磁
性領域の割合を15重量%以上50重量%以下とするこ
とによって、磁気特性の劣化に起因する出力劣化より
も、磁気的相互作用の低減に起因するノイズ成分低減の
ほうを大きくすることができ、S/Nを向上させること
ができ、電磁変換特性に優れたものたものとなる。
【0024】ところで、磁気記録媒体に使用される磁性
粉末としては、非磁性領域がヘマタイト(α−Fe
23)を含有するものが好ましく使用される。すなわ
ち、磁性粉末は、α−Feを主体とする磁性領域と、こ
の磁性領域を覆いヘマタイト(α−Fe23)を主体と
する非磁性領域を備える。
【0025】このような磁性粉末を作製する際には、通
常の工程で磁性粉末を作製した後、再度、除酸化工程を
行い、その際の反応温度と雰囲気導入条件とを調製する
ことにより行われる。
【0026】また、非磁性領域がヘマタイト(α−Fe
23)からなる場合、ヘマタイト(α−Fe23)の含
有量としては、5重量%以上50重量%以下であること
が好ましい。
【0027】非磁性領域にヘマタイトが含有されている
場合も、非磁性領域を有さない磁性粉末と比較すると飽
和磁束等の磁気特性は劣化するが、反面、磁性層2内に
おいて隣接する磁性粉末との間の磁気的相互作用は低減
されることとなる。したがって、この場合にも、磁気記
録媒体では、出力の低下分よりもノイズ成分を低減する
ことができ、優れたS/Nを達成することができる。
【0028】ここで、非磁性領域中のヘマタイトの量と
S/Nとの関係を図2に示す。この図2に示すように、
非磁性領域中にヘマタイトを含有させるとS/Nを向上
させることができている。また、ヘマタイト(α−Fe
23)の含有量を5重量%以上50重量%以下とする場
合には、特に、顕著にS/Nを向上させることができて
いる。
【0029】一方、磁性層2に使用される結合剤として
は、磁気記録媒体の結合剤として従来から使用されてい
るものが使用可能であるが、磁性粉末の分散性と磁性層
2の塗膜強度の観点からは、親水性極性基を含有してい
るものが好ましい。親水性極性基としては、スルホン酸
基、硫酸エステル基、カルボン酸基及びその塩、3級ア
ミン基、4級アンモニウム塩基、りん酸基、りん酸エス
テル基等を例示することができる。なかでも、親水性極
性基としては、スルホン酸基,硫酸エステル基のアルカ
リ全属塩、或いは4級アンモニウム塩基等が好ましい。
【0030】具体的に結合剤としては、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン
酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩
化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エス
テル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル
−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩
化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレ
ン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニト
リル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重
合体、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、セルロ
ース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエス
テル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、尿素
−ホルムアルデヒド樹脂又はこれらの混合物等を例示す
ることができる。
【0031】さらに、磁性層2に使用される架橋剤とし
ては、3官能イソシアネート化合物、例えばトリメチロ
ールプロパン1モルとトリレンジイソシアネート3モル
との反応生成物、或いは、ジイソシアネート3モルの環
状付加重合物であるイソシアヌレート等を併用すれば、
耐久性等をさらに向上させることができる。
【0032】さらにまた、磁性塗料に使用される溶剤と
しては、磁気記録媒体を製造する際に通常用いられてい
るもの、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等
のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、乳酸エチル、エチレングリコールセノアセテート等
のエステル類;グリコールジメチルエーテル、グリコー
ルモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン等のエーテル類;ベンセン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素を挙げることができる。この溶剤は、単
独で用いても2種類以上を混合して用いても構わない。
【0033】ところで、磁性層2を形成する際には、上
述したような磁性粉末を結合剤とともに分散して作製さ
れた磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、塗布された磁
性塗料を乾燥した後にカレンダー処理等により平坦化す
る。
【0034】磁性塗料を調製する際には、従来より公知
の手法、例えば混練機を使用する。混練機は、比較的固
形分の高い磁性粉末を、結合剤を含む混合物中で高せん
断で分散する混練工程で用いられる。また、希釈分散機
は、比較的固形分の低い磁性粉末を、結合剤を含む混合
物中でビーズ等の衝撃力で分散する希釈分散工程で用い
られる。
【0035】これら混練機及び希釈分散機としては、従
来より公知のものを使用することができる。具体的に、
混練機としては、連続二軸混練機(エクストルーダ
ー)、コニーダー、加圧ニーダー等が挙げられる。ま
た、希釈分散機としては、縦型サンドミル、横型サンド
ミル、スパイクミル、パールミル、ダブルシリンダーパ
ールミル等が挙げられる。
【0036】さらに、調製された磁性塗料は、例えば、
リバースロール、グラビアロール、エアドクターコータ
ー、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズ
コーター、含浸コーター、トランスファロールコータ
ー、キスコーター、キャストコーター、スプレイコータ
ー等を用いて非磁性支持体1上に塗布される。
【0037】なお、上述では、非磁性支持体1上に磁性
塗料を塗布してなる磁性層2を有するような磁気記録媒
体を例示したが、本発明は、これに限定されるものでは
ない。すなわち、本発明に係る磁気記録媒体としては、
非磁性支持体上に非磁性塗料と磁性塗料とを同時重層塗
布し、その後、これら非磁性塗料と磁性塗料を乾燥さ
せ、非磁性支持体上に非磁性層と磁性層とがこの順で積
層されてなる構成であってもよい。
【0038】一方、磁気記録媒体においては、磁性層2
は、使用される磁性粉末の種類、磁性粉末と結合剤との
混合比、その他に使用される添加剤の種類及び配合比等
を制御することによって、磁気抵抗効果型再生ヘッド
(以下、MRヘッドと称する。)を飽和させず、歪みの
無い状態で、最大の出力が得られるように規制すること
ができる。具体的には、磁性層2の残留磁化量Mrと膜
厚δとの積Mr・δの値が0.8〜6.5memu/c
2 となるようにすることが好ましい。
【0039】上記積Mr・δの値が0.8memu/c
2 未満であると、十分な再生出力が得られない虞があ
る。逆に6.5memu/cm2 を越えると、MRヘッ
ドが飽和してしまい、歪みが生ずる虞がある。
【0040】上記範囲であれば膜厚δや残留磁化量Mr
は任意に設定することが可能であるが、膜厚δや残留磁
化量Mrがあまり小さすぎると、上記積Mr・δの値を
0.8memu/cm2 以上確保することが難しい。逆
に、膜厚δや残留磁化量Mrがあまり大きすぎると、歪
みが問題となる。
【0041】ヘリカルスキャン磁気記録システムの磁気
記録再生装置は、回転ドラムを用いて記録再生を行うヘ
リカルスキャン方式の磁気記録再生装置であり、回転ド
ラムに搭載された再生用磁気ヘッドとして、MRヘッド
を使用する。
【0042】この磁気記録再生装置に搭載される回転ド
ラム装置の一構成例を図3及び図4に示す。なお、図3
は回転ドラム装置3の概略を示す斜視図であり、図4は
回転ドラム装置3を含む磁気テープ送り機構10の概略
を示す平面図である。
【0043】図3に示すように、回転ドラム装置3は、
円筒状の固定ドラム4と、円筒状の回転ドラム5と、回
転ドラム5を回転駆動するモータ6と、回転ドラム5に
搭載された一対のインダクティブ型磁気ヘッド7a,7
bと、回転ドラム5に搭載された一対のMRヘッド8
a,8bとを備える。
【0044】上記固定ドラム4は、回転することなく保
持されるドラムである。この固定ドラム4の側面には、
磁気テープMの走行方向に沿ってリードガイド部9が形
成されている。後述するように、記録再生時に磁気テー
プMは、このリードガイド部9に沿って走行する。そし
て、この固定ドラム4と中心軸が一致するように、回転
ドラム5が配されている。
【0045】回転ドラム5は、磁気テープMに対する記
録再生時に、モータ6によって所定の回転速度で回転駆
動されるドラムである。この回転ドラム5は、固定ドラ
ム4と略同径の円筒状に形成されてなり、固定ドラム4
と中心軸が一致するように配されている。そして、この
回転ドラム5の固定ドラム4に対向する側には、一対の
インダクティブ型磁気ヘッド7a,7b及び一対のMR
ヘッド8a,8bが搭載されている。
【0046】インダクティブ型磁気ヘッド7a,7b
は、一対の磁気コアが磁気ギャップを介して接合される
とともに、磁気コアにコイルが巻装されてなる記録用磁
気ヘッドであり、磁気テープMに対して信号を記録する
際に使用される。そして、これらのインダクティブ型磁
気ヘッド7a,7bは、回転ドラム5の中心に対して互
いに成す角度が180°となり、それらの磁気ギャップ
部分が回転ドラム5の外周から突き出すように、回転ド
ラム5に搭載されている。なお、これらのインダクティ
ブ型磁気ヘッド7a,7bは、磁気テープMに対してア
ジマス記録を行うように、アジマス角が互いに逆となる
ように設定されている。
【0047】一方、MRヘッド8a,8bは、磁気テー
プMからの信号を検出する感磁素子としてMR素子を備
えた再生用磁気ヘッドであり、磁気テープMから信号を
再生する際に使用される。そして、これらのMRヘッド
8a,8bは、回転ドラム5の中心に対して互いに成す
角度が180°となり、磁気ギャップ部分が回転ドラム
の外周から突き出すように、回転ドラム5に搭載されて
いる。なお、これらのMRヘッド8a,8bは、磁気テ
ープMに対してアジマス記録された信号を再生できるよ
うに、アジマス角が互いに逆となるように設定されてい
る。
【0048】そして、磁気記録再生装置は、このような
回転ドラム装置3に磁気テープMを摺動させて、磁気テ
ープMに対する信号の記録や、磁気テープMからの信号
の再生を行う。
【0049】すなわち、記録再生時に磁気テープMは、
図4に示すように、供給リール11からガイドローラ1
2,13を経て、回転ドラム装置3に巻き付くように送
られ、この回転ドラム装置3で記録再生がなされる。そ
して、回転ドラム装置3で記録再生がなされた磁気テー
プMは、ガイドローラ14,15、キャプスタン16、
ガイドローラ17を経て、巻き取りロール18へと送ら
れる。すなわち、磁気テープMは、キャプスタンモータ
19により回転駆動されるキャプスタン16によって所
定の張力及び速度にて送られ、ガイドローラ17を経て
巻き取りロール18に巻き取られる。
【0050】このとき、回転ドラム5は、図3中の矢印
Aに示すように、モータ6によって回転駆動される。一
方、磁気テープMは、固定ドラム4のリードガイド部9
に沿って、固定ドラム4及び回転ドラム5に対して斜め
に摺動するように送られる。すなわち、磁気テープM
は、テープ走行方向に沿って、図3中矢印Bに示すよう
にテープ入口側から固定ドラム4及び回転ドラム5に摺
接するようにリードガイド部9に沿って送られ、その
後、図3中矢印Cに示すようにテープ出口側へと送られ
る。
【0051】次に、上記回転ドラム装置3の内部構造に
ついて、図5を参照して説明する。
【0052】図5に示すように、固定ドラム4及び回転
ドラム5の中心には、回転軸21が挿通されている。な
お、固定ドラム4、回転ドラム5及び回転軸21は導電
材料からなり、これらは電気的に導通しており、固定ド
ラム4が接地されている。
【0053】そして、固定ドラム4のスリーブの内側に
は、2つの軸受け22,23が設けられており、これに
より、固定ドラム4に対して回転軸21が回転可能に支
持されている。すなわち、回転軸21は、軸受け22,
23により、固定ドラム4に対して回転可能に支持され
ている。一方、回転ドラム5には、その内周部にフラン
ジ24が形成されており、このフランジ24が回転軸2
1の上端部に固定されている。これにより、回転ドラム
5は、回転軸21の回転に伴って回転するようになされ
ている。
【0054】また、回転ドラム装置3の内部には、固定
ドラム4と回転ドラム5との間で信号の伝送を行うため
に、非接触型の信号伝送装置であるロータリトランス2
5が配されている。このロータリトランス25は、固定
ドラム4に取り付けられたステータコア26と、回転ド
ラム5に取り付けられたロータコア27とを有してい
る。
【0055】ステータコア26及びロータコア27は、
フェライト等のような磁性材料が、回転軸21を中心と
する円環状に形成されてなる。また、ステータコア26
には、一対のインダクティブ型磁気ヘッド7a,7bに
対応した一対の信号伝送用リング26a,26bと、一
対のMRヘッド8a,8bに対応した信号伝送用リング
26cと、一対のMRヘッド8a,8bの駆動に必要な
電力を供給するための電力伝送用リング26dとが、同
心円状に配置されている。同様に、ロータコア27に
も、一対のインダクティブ型磁気ヘッド7a,7bに対
応した一対の信号伝送用リング27a,27bと、一対
のMRヘッド8a,8bに対応した信号伝送用リング2
7cと、一対のMRヘッド8a,8bの駆動に必要な電
力を供給するための電力伝送用リング27dとが、同心
円状に配置されている。
【0056】これらのリング26a,26b,26c,
26d,27a,27b,27c,27dは、回転軸2
1を中心として円環状に巻回されたコイルからなり、ス
テータコア26の各リング26a,26b,26c,2
6dと、ロータコア27の各リング27a,27b,2
7c,27dとがそれぞれ対向するように配されてい
る。そして、このロータリトランス25は、ステータコ
ア26の各リング26a,26b,26c,26dと、
ロータコア27の各リング27a,27b,27c,2
7dとの間で、非接触にて信号や電力の伝送を行うよう
になっている。
【0057】また、回転ドラム装置3には、回転ドラム
5を回転駆動させるモータ6が取り付けられている。こ
のモータ6は、回転部分であるロータ28と、固定部分
であるステータ29とを有している。ロータ28は、回
転軸21の下端部に取り付けられており、駆動用マグネ
ット30を備えている。一方、ステータ29は、固定ド
ラム4の下端部に取り付けられており、駆動用コイル3
1を備えている。そして、駆動用コイル31に電流を供
給することにより、ロータ28が回転駆動される。これ
により、ロータ28に取り付けられている回転軸21が
回転し、それに伴って、回転軸21に固定されている回
転ドラム5が回転駆動されることとなる。
【0058】つぎに、以上のような回転ドラム装置3に
よる記録再生について、この回転ドラム装置3並びにそ
の周辺回路についての回路構成の概略を示す図6を参照
して説明する。
【0059】上記回転ドラム装置3を用いて磁気テープ
Mに信号を記録する際は、先ず、モータ6の駆動用コイ
ル31に電流が供給され、これにより、回転ドラム5が
回転駆動される。そして、回転ドラム5が回転している
状態にて、図6に示すように、外部回路40からの記録
信号が記録用アンプ41に供給される。
【0060】記録用アンプ41は、外部回路40からの
記録信号を増幅し、一方のインダクティブ型磁気ヘッド
5aによって信号を記録するタイミングの時、当該イン
ダクティブ型磁気ヘッド5aに対応したステータコア2
6の信号伝送用リング26aに記録信号を供給し、ま
た、他方のインダクティブ型磁気ヘッド5bによって信
号を記録するタイミングの時、当該インダクティブ型磁
気ヘッド5bに対応したステータコア26の信号伝送用
リング26bに記録信号を供給する。
【0061】ここで、一対のインダクティブ型磁気ヘッ
ド7a,7bは、上述したように、回転ドラム5の中心
に対して互いに成す角度が180°となるように配され
ているので、これらのインダクティブ型磁気ヘッド7
a,7bは、180°の位相差を持って交互に記録する
こととなる。すなわち、記録用アンプ41は、一方のイ
ンダクティブ型磁気ヘッド5aに記録信号を供給するタ
イミングと、他方のインダクティブ型磁気ヘッド5bに
記録信号を供給するタイミングとを、180°の位相差
を持って交互に切り換える。
【0062】そして、一方のインダクティブ型磁気ヘッ
ド5aに対応したステータコア26の信号伝送用リング
26aに供給された記録信号は、非接触にてロータコア
27の信号伝送用リング27aに伝送される。そして、
ロータコア27の信号伝送用リング27aに伝送された
記録信号は、インダクティブ型磁気ヘッド5aに供給さ
れ、当該インダクティブ型磁気ヘッド5aにより、磁気
テープMに対して信号の記録がなされる。
【0063】同様に、他方のインダクティブ型磁気ヘッ
ド5bに対応したステータコア26の信号伝送用リング
26bに供給された記録信号は、非接触にてロータコア
27の信号伝送用リング27bに伝送される。そして、
ロータコア27の信号伝送用リング27bに伝送された
記録信号は、インダクティブ型磁気ヘッド5bに供給さ
れ、当該インダクティブ型磁気ヘッド5bにより、磁気
テープMに対して信号の記録がなされる。
【0064】また、上記回転ドラム装置3を用いて磁気
テープMからの信号を再生する際は、先ず、モータ6の
駆動用コイル31に電流が供給され、これにより、回転
ドラム5が回転駆動される。そして、回転ドラム5が回
転している状態にて、図6に示すように、オシレータ4
2から高周波の電流がパワードライブ43に供給され
る。
【0065】オシレータ42からの高周波の電流は、パ
ワードライブ43によって所定の交流電流に変換された
上で、ステータコア26の電力伝送用リング26dに供
給される。そして、ステータコア26の電力伝送用リン
グ26dに供給された交流電流は、非接触にてロータコ
ア27の電力伝送用リング27dに伝送される。そし
て、ロータコア27の電力伝送用リング27dに伝送さ
れた交流電流は、整流器44により整流されて直流電流
とされレギュレータ45に供給され、当該直流電流はレ
ギュレータ45により所定の電圧に設定される。
【0066】そして、レギュレータ45によって所定の
電圧に設定された電流は、一対のMRヘッド8a,8b
にセンス電流として供給される。なお、一対のMRヘッ
ド8a,8bには、当該MRヘッド8a,8bからの信
号を検出する再生用アンプ46が接続されており、レギ
ュレータ45からの電流は、この再生用アンプ46にも
供給される。
【0067】ここで、MRヘッド8a,8bは、外部磁
界の大きさによって抵抗値が変化するMR素子を備えて
いる。そして、MRヘッド8a,8bは、磁気テープM
からの信号磁界により、MR素子の抵抗値が変化し、こ
れにより、センス電流に電圧変化が現れるようになされ
ている。
【0068】そして、再生用アンプ46は、この電圧変
化を検出し、当該電圧変化に応じた信号を再生信号とし
て出力する。なお、再生用アンプ46は、一方のMRヘ
ッド6aによって信号を再生するタイミングの時、当該
MRヘッド6aによって検出した再生信号を出力し、ま
た、他方のMRヘッド6bによって信号を再生するタイ
ミングの時、当該MRヘッド6bによって検出した再生
信号を出力する。
【0069】ここで、一対のMRヘッド8a,8bは、
上述したように、回転ドラム5の中心に対して互いに成
す角度が180°となるように配されているので、これ
らのMRヘッド8a,8bは、180°の位相差を持っ
て交互に再生することとなる。すなわち、再生用アンプ
46は、一方のMRヘッド6aからの再生信号を出力す
るタイミングと、他方のMRヘッド6bからの再生信号
を出力するタイミングとを、180°の位相差を持って
交互に切り換える。
【0070】そして、再生用アンプ46からの再生信号
は、ロータコア27の信号伝送用リング27cに供給さ
れ、この再生信号は、非接触にてステータコア26の信
号伝送用リング26cに伝送される。ステータコア26
の信号伝送用リング26cに伝送された再生信号は、再
生用アンプ47によって増幅された上で、補正回路48
に供給される。そして、再生信号は、補正回路48によ
り所定の補正処理が施された後、外部回路40へと出力
される。
【0071】なお、図6に示したような回路構成とした
場合、一対のインダクティブ型磁気ヘッド7a,7b、
一対のMRヘッド8a,8b、整流器44、レギュレー
タ45及び再生用アンプ46は、回転ドラム5に搭載さ
れ、回転ドラム5と共に回転する。一方、記録用アンプ
41、オシレータ42、パワードライブ43、再生用ア
ンプ47及び補正回路48については、回転ドラム装置
3の固定部分に配するか、或いは、回転ドラム装置3と
は別に構成された外部回路とする。
【0072】つぎに、上記回転ドラム5に搭載されるM
Rヘッド8a,8bについて、図7を参照して詳細に説
明する。なお、MRヘッド6a及びMRヘッド6bは、
アジマス角が互いに逆となるように設定されている他
は、同一の構成を有している。そこで、以下の説明で
は、これらのMRヘッド8a,8bをまとめてMRヘッ
ド6と称する。
【0073】MRヘッド6は、回転ドラム5に搭載さ
れ、ヘリカルスキャン方式によって磁気テープMからの
信号を、磁気抵抗効果を利用して検出する再生専用の磁
気ヘッドである。一般に、MRヘッドは、電磁誘導を利
用して記録再生を行うインダクティブ型磁気ヘッドより
も感度が高く再生出力が大きいので、高密度記録に適し
ている。したがって、再生用磁気ヘッドとしてMRヘッ
ド6を用いることで、より高密度記録化を図ることがで
きる。
【0074】そして、このMRヘッド6は、図7に示す
ように、Ni−Zn多結晶フェライト等のような軟磁性
材料からなる一対の磁気シールド51,52と、絶縁体
53を介して一対の磁気シールド51,52によって挟
持された略矩形状のMR素子部54とを備える。なお、
MR素子部54の両端からは、一対の端子が導出されて
おり、これらの端子を介して、MR素子部54にセンス
電流を供給できるようになされている。
【0075】MR素子部54は、磁気抵抗効果を有する
MR素子と、SAL(Soft Adjacent Layer)膜と、M
R素子とSAL膜との間に配された絶縁体膜とが積層さ
れてなる。MR素子は、異方性磁気抵抗効果(AMR)
により、外部磁界の大きさによって抵抗値が変化するN
i−Fe等のような軟磁性材料からなる。SAL膜は、
いわゆるSALバイアス方式により、MR素子にバイア
ス磁界を印加するためのものであり、パーマロイ等のよ
うに低保磁力で高透磁率の磁性材料からなる。絶縁体膜
は、MR素子とSAL膜との間を絶縁し、電気的な分流
損を防ぐためのものであり、Ta等のような絶縁材料か
らなる。
【0076】このMR素子部54は、略矩形状に形成さ
れてなり、一側面が磁気テープ摺動面55に露呈するよ
うに、一対の磁気シールド51,52によって絶縁体5
3を介して挟持されている。詳細には、このMR素子部
54は、短軸方向が磁気テープ摺動面55に対して略垂
直となり、長軸方向が磁気テープ摺動方向に対して略直
交するように、一対の磁気シールド51,52によって
絶縁体53を介して挟持されている。
【0077】このMRヘッド6の磁気テープ摺動面55
は、当該磁気テープ摺動面55にMR素子部54の一側
面が露呈するように、磁気テープMの摺動方向に沿って
円筒研磨されているとともに、磁気テープMの摺動方向
に対して直交する方向に沿って円筒研磨されている。こ
れにより、このMRヘッド6は、MR素子部54或いは
その近傍部分が最も突出するようになされている。この
ように、MR素子部54或いはその近傍部分が最も突出
するようにすることにより、MR素子部54の磁気テー
プMに対する当たり特性を良好なものとすることができ
る。
【0078】そして、以上のようなMRヘッド6を用い
て磁気テープMからの信号を再生する際は、図8に示す
ように、磁気テープMをMR素子部54に摺動させる。
なお、図8中の矢印は、磁気テープMが磁化されている
様子を模式的に示している。
【0079】そして、このように磁気テープMをMR素
子部54に摺動させた状態で、MR素子部54の両端に
接続された端子54a,54bを介して、MR素子部5
4にセンス電流を供給し、当該センス電流の電圧変化を
検出する。具体的には、MR素子部54の一端に接続さ
れた端子54aから、所定の電圧Vcを印加するととも
に、MR素子部54の他端に接続された端子54bを、
回転ドラム5に接続しておく。ここで、回転ドラム5は
回転軸21を介して固定ドラム4に電気的に導通してお
り、また、固定ドラム4は接地されている。したがっ
て、MR素子部54に接続された一方の端子54bは、
回転ドラム5、回転軸21及び固定ドラム4を介して接
地されている。
【0080】そして、磁気テープMを摺動させた状態で
MR素子部54にセンス電流を供給すると、磁気テープ
Mからの磁界に応じて、MR素子部54に形成されたM
R素子の抵抗値が変化し、その結果、センス電流に電圧
変化が生じる。そこで、このセンス電流の電圧変化を検
出することにより、磁気テープMからの信号磁界が検出
され、磁気テープMに記録されている信号が再生され
る。
【0081】なお、用いるMRヘッド6において、MR
素子部54に形成されるMR素子は、磁気抵抗効果を示
す素子であれば良く、例えば、複数の薄膜を積層するこ
とにより、より大きな磁気抵抗効果を得られるようにし
た、いわゆる巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)も使
用可能である。また、MR素子にバイアス磁界を印加す
る手法は、SALバイアス方式でなくてもよく、例え
ば、永久磁石バイアス方式、シャント電流バイアス方
式、自己バイアス方式、交換バイアス方式、バーバーポ
ール方式、分割素子方式、サーボバイアス方式等、種々
の手法が適用可能である。なお、巨大磁気抵抗効果並び
に各種バイアス方式については、例えば、丸善株式会社
発行の「磁気抵抗ヘッド−基礎と応用 林和彦訳」に詳
細に記載されている。
【0082】上述した磁気記録媒体において、磁性層2
の残留磁化量Mrと膜厚δの積Mr・δの値を0.8〜
6.5memu/cm2とした場合には、MRヘッド6
が磁気記録媒体を確実に再生できる。Mr・δの値を
6.5memu/cm2より大とした場合には、MR素
子部54を磁気的に飽和させ、当該MR素子部54の抵
抗変化を略々線形とすることができない虞がある。この
ため、Mr・δの値を6.5memu/cm2より大と
した場合には、MRヘッド6からの再生出力に歪みが生
じてしまい、磁気記録媒体を確実に再生できない虞があ
る。また、Mr・δの値を0.8memu/cm2より
小とした場合には、MRヘッド6が磁気記録媒体からの
信号磁界を検出できない虞がある。したがって、Mr・
δの値を0.8〜6.5memu/cm2とした磁気記
録媒体を用いれば、上述したMRヘッド6を用いたヘリ
カルスキャン磁気記録システムの磁気記録再生装置によ
り、従来にない高密度記録システムを構築することがで
きる。
【0083】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて、実験結果に基づき詳細に説明する。
【0084】実施例1 実施例1では、先ず、下記のような磁気特性及び粉体特
性を示す磁性粉末を準備した。なお、磁気特性は、試料
振動型磁力計(東英工業社製)を用いて測定した値であ
る。
【0085】<磁性粉末磁気特性及び粉体特性> 保磁力 =176.0kA/m 飽和磁化 =146Am2/kg α−Fe =40重量% γ−Fe23及びFe34=45重量% 非磁性領域 =15重量% 次に、この磁性粉末を用い、下記の組成に準じて磁性塗
料の各組成物を秤取り、混練及び分散させることにより
磁性塗料を調製した。
【0086】<磁性塗料組成> 磁性粉末 100重量部 バインダー樹脂 20重量部 研磨剤:Al23 3重量部 帯電防止剤:カーボン粉末 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 50重量部 次に、調製された磁性塗料を、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)フィルムからなる非磁性支持体上に塗
布、配向および乾燥処理を行って磁性層を形成した。
【0087】次に、磁性層が形成された非磁性支持体を
8mm幅に裁断し、実施例1の磁気テープを作製した。
【0088】そして、このように作製された磁気テープ
における磁気特性をVSMにより測定し、また、電磁変
換特性についても評価を行った。電磁変換特性は、磁気
テープと磁気ヘッドとの相対速度を3.8m/s、記録
信号を7.6MHz(0.5μm)としたときの出力
と、7.6MHz±1.0MHzのノイズと、これら出
力及びノイズから求められるS/Nとを評価した。
【0089】実施例2〜実施例4 実施例2〜実施例4では、表1に示すような磁気特性及
び粉末特性を示す磁性粉末を使用した以外は実施例1と
同様にして磁気テープを作製し、同様に評価を行った。
【0090】なお、実施例3及び実施例4では、それぞ
れ、非磁性領域を、Al2320重量%と残部をα−F
23とするものを使用した。
【0091】比較例1及び比較例2 比較例1及び比較例2では、表1に示すような磁気特性
及び粉末特性を有する磁性粉末を使用した以外は、実施
例1と同様にして磁気テープを作製し、同様に評価を行
った。
【0092】なお、比較例2では、非磁性領域を、Al
2315重量%とα−Fe2355重量%とするものを
使用した。
【0093】
【表1】
【0094】この表1から明らかなように、実施例1〜
実施例4は、比較例1及び比較例2と比較してS/Nが
向上している。したがって、非磁性領域が15重量%〜
50重量%である磁性粉末を用いた場合には、再生出力
の低下以上にノイズの低減を達成することができ、その
結果、優れたS/Nを実現することができることがわか
る。
【0095】実施例5〜実施例13 実施例5〜実施例13では、非磁性領域にα−Fe23
を含有する磁性粉末を使用した例である。これら実施例
5〜実施例13では、表2に示すような磁性粉末を使用
した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作製し
た。また、これら実施例5〜実施例13では、磁性粉末
の表面に非磁性層としてAl23が被着されている。
【0096】比較例3 比較例3では、α−Fe23を含有しない磁性粉末を使
用した以外は実施例1と同様にして磁気テープを作製し
た。
【0097】
【表2】
【0098】この表2から明らかなように、実施例5〜
実施例13は、比較例3と比較してS/Nが向上してい
る。したがって、非磁性領域にヘマタイトを含有する磁
性粉末を使用した場合には、再生出力の低下以上にノイ
ズの低減を達成することができ、その結果、優れたS/
Nを実現することができることがわかる。
【0099】特に、実施例5〜実施例13を比較する
と、ヘマタイトの割合が5重量%〜50重量%である場
合には、S/Nをより優れたものとなる。したがって、
磁性粉末中のヘマタイトの割合は、5重量%〜50重量
%であることが好ましいことがわかった。
【0100】実施例14〜実施例22 実施例14〜実施例22では、非磁性支持体上に、下層
磁性層及び上層磁性層を順次塗布してなる2層塗布媒体
に関する例である。下層磁性層及び上層磁性層の組成
は、下記の通りである。
【0101】<上層磁性塗料組成> 金属系磁性粉末 100重量部 バインダー樹脂 20重量部 研磨剤:Al23 3重量部 帯電防止剤:カーボン粉末 2重量部 潤滑剤 1重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 50重量部 <下層磁性塗料組成> 酸化鉄粉 100重量部 バインダー樹脂 20重量部 潤滑剤 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 50重量部 そして、これら磁性塗料を、順次非磁性支持体上に、そ
れぞれその厚さを、上層磁性層が0.3μm、下層磁性
層が1.5μmとなるように形成した。
【0102】特に、実施例14〜実施例22では、表3
に示すような割合で、非磁性領域にα−Fe23を含有
する磁性粉末を使用した。
【0103】比較例4 比較例4では、α−Fe23を含有しない磁性粉末を使
用した以外は実施例14と同様にして磁気テープを作製
した。
【0104】
【表3】
【0105】この表3から明らかなように、実施例14
〜実施例22は、比較例4と比較してS/Nが向上して
いる。したがって、2層塗布媒体の場合でも、非磁性領
域にヘマタイトを含有する磁性粉末を使用した場合に
は、再生出力の低下以上にノイズの低減を達成すること
ができ、その結果、優れたS/Nを実現することができ
ることがわかる。なお、2層塗布媒体であっても、磁性
粉末中のヘマタイトの割合は、5重量%〜50重量%が
好ましいことがわかる。
【0106】実施例22〜実施例31 実施例22〜実施例31は、実施例5〜実施例13で作
製した磁気テープを用いて、電磁変換特性の評価をMR
ヘッドを用いた例である。使用されるMRヘッドは、M
R素子としてFeNi−AMR(異方性磁気抵抗効果素
子)とこのMR素子を挟み込むように配設されたNiZ
nからなる一対のシールドとを備え、トラック幅が18
μmであり、アジマス角が25度である。FeNi−A
MRは、飽和磁化が800emu/ccであり、膜厚が
40nmである。一対のシールドは、0.17μmの間
隔をもって配設されている。
【0107】比較例5 比較例5は、比較例3で作製した磁気テープを用いて、
電磁変換特性の評価をMRヘッドを用いた例である。
【0108】
【表4】
【0109】この表4から明らかなように、実施例22
〜実施例31は、比較例5と比較してエラーレートが低
く、優れた電磁変化特性を示している。したがって、非
磁性領域にヘマタイトを含有する磁性粉末を使用した磁
気記録媒体は、ノイズに対する許容範囲が狭いMRヘッ
ドを用いても優れた電磁変換特性を示し、MRヘッドを
有する再生システムに好適であることがわかった。
【0110】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、所定の磁性粉末を使用することによって充分な低
ノイズ化を図ることができ、高S/N化を図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気記録媒体の模式的断面図であ
る。
【図2】磁性粉末中のα−Fe2O3含有量とS/Nと
の関係を示す特性図である。
【図3】ヘリカルスキャン磁気記録方式の磁気記録再生
装置に搭載される回転ドラム装置の一構成例について、
その概略を示す斜視図である。
【図4】上記回転ドラム装置を含む磁気テープ送り機構
の一構成例について、その概略を示す平面図である。
【図5】上記回転ドラム装置の内部構造を示す断面図で
ある。
【図6】上記回転ドラム装置並びにその周辺回路につい
て、回路構成の概略を示す図である。
【図7】上記回転ドラムに搭載されるMRヘッドの一例
について、一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図8】MRヘッドを用いて磁気テープからの信号を再
生する様子を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 誠 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BA01 BA04 BA07 FA09 5E040 AA11 AA19 AB02 CA06 NN02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性領域を有し、当該磁性領域を覆うよ
    うに非磁性領域が形成されてなる磁性粉末において、 上記非磁性領域が15重量%以上50重量%以下である
    ことを特徴とする金属系磁性粉末。
  2. 【請求項2】 磁性領域を有し、当該磁性領域を覆うよ
    うに非磁性領域が形成されてなる磁性粉末において、 上記非磁性領域はヘマタイト(α−Fe23)が含有さ
    れてなることを特徴とする金属系磁性粉末。
  3. 【請求項3】 上記ヘマタイト(α−Fe23)は、5
    重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求
    項2記載の磁性粉末。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体上に、磁性粉末を結合剤と
    ともに分散してなる磁性塗料を塗布することによって磁
    性層が形成されてなる磁気記録媒体において、 上記磁性粉末は、磁性領域を有し、当該磁性領域を覆う
    ように非磁性領域が形成されてなり、 上記非磁性領域が15重量%以上50重量%以下である
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッドで
    記録信号の再生が行われることを特徴等する請求項4記
    載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記磁気ヘッドは、ヘリカルスキャン磁
    気記録システムに用いられることを特徴とする請求項5
    記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 非磁性支持体上に、磁性粉末を結合剤と
    ともに分散してなる磁性塗料を塗布することによって磁
    性層が形成されてなる磁気記録媒体において、 上記磁性粉末は、磁性領域を有し、当該磁性領域を覆う
    ように非磁性領域が形成されてなり、 上記非磁性領域がヘマタイト(α−Fe23)が含有さ
    れてなることを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記ヘマタイト(α−Fe23)が、上
    記金属系磁性粉末中に5重量%以上50重量%以下含有
    されてなることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒
    体。
  9. 【請求項9】 磁気抵抗効果素子を用いた磁気ヘッドで
    記録信号の再生が行われることを特徴等する請求項7記
    載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 上記磁気ヘッドは、ヘリカルスキャン
    磁気記録システムに用いられることを特徴とする請求項
    9記載の磁気記録媒体。
JP11303137A 1999-03-10 1999-10-25 磁性粉末および磁気記録媒体 Abandoned JP2000323316A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003017259A1 (fr) * 2001-08-15 2003-02-27 Hitachi Maxell, Ltd. Bande magnetique et cartouche de bande magnetique

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