JP2001237115A - 金属磁性粉末及び磁気記録媒体 - Google Patents

金属磁性粉末及び磁気記録媒体

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JP2001237115A
JP2001237115A JP2000052300A JP2000052300A JP2001237115A JP 2001237115 A JP2001237115 A JP 2001237115A JP 2000052300 A JP2000052300 A JP 2000052300A JP 2000052300 A JP2000052300 A JP 2000052300A JP 2001237115 A JP2001237115 A JP 2001237115A
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powder
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Hiroki Tetsukawa
弘樹 鉄川
Masashi Meguro
政志 目黒
Makoto Inoue
誠 井上
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性に優れ、高出力である。 【解決手段】 非磁性支持体2と、金属磁性粉末を含有
する磁気記録層4とを有する磁気記録媒体1において、
当該金属磁性粉末は、Feを主体とする中心部の外殻
に、NiFe24、CuFe24、ZnFe24、Mn
Fe24のうち少なくとも1種類以上を含有する酸化皮
膜を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Feを主体とする
金属磁性粉末と、この金属磁性粉末を磁気記録層に含有
する塗布型の磁気記録媒体とに関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオ装置やビデオ装置、コンピュ
ータ装置等の記録再生装置に用いられる記録媒体とし
て、少なくとも磁性粉末と結合剤とを含有する磁性塗料
を塗布して形成される磁気記録層を備える、いわゆる塗
布型の磁気記録媒体が広く使用されている。
【0003】近年、磁気記録の分野では、記録再生装置
の小型軽量化や記録時間の長時間化が進行しており、こ
れに伴い、上述した塗布型の磁気記録媒体においても、
短波長信号を用いることで高密度記録化が進行してい
る。
【0004】このため、塗布型の磁気記録媒体では、磁
性粉末として、従来より使用されている酸化鉄系磁性粉
末より飽和磁化量が大きく、且つ微粒子である金属磁性
粉末を用いていることにより、高密度記録化を目指して
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】金属磁性粉末は、一般
に、例えばα−Fe等の金属で構成される中心部と、中
心部を被覆している酸化皮膜とを有する。
【0006】酸化被膜は、中心部のα−Feが酸化する
ことを防止するものである。酸化皮膜としては、酸化皮
膜を形成する酸化反応により、初めにFe34が形成さ
れる。このFe34は、FeがFe2+又はFe3+のイオ
ン状態で存在しているので、電気抵抗値が小さい、即ち
電荷の移動が容易であるので酸化され易い。更に酸化反
応が進行してFe34が酸化されると、γ−Fe23
形成される。
【0007】ところでγ−Fe23の結晶構造は、Fe
OFe5/31/33(但し、式中Vは空孔点を示す。)
であり、Fe34のスピネル構造、具体的にはFeOF
23から6配位のFeイオンが一部抜けた構造であ
る。
【0008】このように、γ−Fe23の結晶構造には
空孔点があるため、γ−Fe23を含有する酸化皮膜
は、大気中の酸素が空孔点から金属磁性粉末の中心部に
侵入し、α−Feの結晶格子内に拡散していた。その結
果、金属磁性粉末は、中心部のα−Feの一部が酸化さ
れて非磁性である酸化物となるため、飽和磁化量が低下
するという問題があった。
【0009】このため、この金属磁性粉末を含有する磁
気記録層を備える磁気記録媒体は、例えば高温多湿な環
境下に長期間保存された場合、金属磁性粉末が徐々に酸
化されて飽和磁化量が低下するため、磁気特性が劣化す
るという問題があった。
【0010】また、金属磁性粉末を含有する磁気記録層
を備える磁気記録媒体は、例えば記録再生装置を用いて
記録再生をされる場合、磁気ヘッドと磁気記録層との高
速摺動により生じた高温の摩擦熱に晒されている。つま
り、磁気記録層に含有される金属磁性粉末は、非常に酸
化されやすい環境に置かれているといえる。このため、
金属磁性粉末を磁気記録層に含有する磁気記録媒体は、
繰り返し走行をされた場合、金属磁性粉末が徐々に酸化
されて飽和磁化量が低下するため、レベルダウンが生じ
るという問題があった。
【0011】言い換えると、上述した金属磁性粉末を含
有する磁気記録層を備える磁気記録媒体は、耐候性が不
十分であった。
【0012】本発明はこのような従来の実情に鑑みて提
案されたものであり、耐酸化性に優れた金属磁性粉末を
提供することを目的とする。また、本発明は、磁気記録
層が耐酸化性に優れた金属磁性粉末を含有することによ
り、種々の環境下に保存された場合であっても耐候性に
優れ、様々な状況下で繰り返し走行された場合であって
も高出力を維持できる磁気記録媒体を提供することを目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る金属磁性粉末は、Feを主体とする
中心部の外殻に、NiFe24、CuFe24、ZnF
24、MnFe24のうち少なくとも1種類以上を含
有する酸化皮膜を有することを特徴とする。
【0014】以上のように構成された本発明に係る金属
磁性粉末は、酸化に対して安定な酸化皮膜を有するの
で、大気中の酸素が金属磁性粉末の中心部であるα−F
eの結晶格子内に侵入することが防止される。従って、
金属磁性粉末は酸化され難い。
【0015】一方、本発明に係る磁気記録媒体は、非磁
性支持体と、金属磁性粉末を含有する磁気記録層とを有
する磁気記録媒体において、当該金属磁性粉末は、Fe
を主体とする中心部の外殻に、NiFe24、CuFe
24、ZnFe24、MnFe24のうち少なくとも1
種類以上を含有する酸化皮膜を有することを特徴とす
る。
【0016】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体は、磁気記録層が酸化に対して安定な酸化皮膜
を有する金属磁性粉末を含有する。この金属磁性粉末
は、大気中の酸素が金属磁性粉末の中心部であるα−F
eの結晶格子内に侵入することが防止されているので、
酸化され難い。従って、磁気記録媒体は、磁気記録層の
酸化が確実に防止される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る金属磁性粉末
及び磁気記録媒体の実施の形態について、図面を参照し
て詳細に説明する。
【0018】本発明を適用した磁気記録媒体1は、図1
に示すように、非磁性支持体2と、非磁性支持体2上に
形成された中間層3と、中間層3上に形成され磁気記録
層4とからなる。
【0019】非磁性支持体2としては、通常の塗布型の
磁気記憶媒体で用いられるものは、いずれも使用可能で
ある。具体的には、ポリエチレンテレフタレート等のポ
リエルテル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン系、セルローストリアセテート、セルロース
ダイアセテート、セルロースブチレート等のセルロース
誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニ
ル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド
イミド等のプラスチックの他、アルミニウム合金、チタ
ン合金等の軽金属、アルミナガラス等のセラミック等が
挙げられる。
【0020】また、非磁性支持体2としてAl合金板や
ガラス板等の剛性を有する基板を使用した場合には、基
板表面にアルマイト処理等の酸化被膜やNi−P被膜等
を形成して、その表面を硬くするようにしても良い。
【0021】非磁性支持体2の形状は特に限定されるも
のではなく、テープ状、ディスク状又はカード状等のい
ずれの形状であっても良い。
【0022】中間層3は、少なくとも非磁性粉末及び/
又は磁性粉末を結合剤中に分散してなる中間層用塗料を
塗布して形成される。
【0023】非磁性粉末としては、従来より使用されて
いる公知の非磁性粉末、例えばα−Fe23、TiO
2、Cr2O3、α−FeOOH、CaO、SiO2等
を用いることができる。また、磁性粉末としては、従来
より公知のものが何れも使用可能であり、酸化物磁性粉
末であっても良い。酸化物磁性粉末としては、例えば、
γ−Fe23、Co含有γ−Fe23、Fe34、Co
含有Fe34、Co被着γ−Fe23、Co被着Fe3
4、CrO2等が挙げられる。
【0024】中間層3に含有される結合剤としては、従
来より使用されている公知の結合剤を用いることができ
る。具体的には、後述する磁気記録層4に含有される結
合剤と同様のものが挙げられる。
【0025】磁気記録層4は、金属磁性粉末を結合剤中
に分散してなる磁性塗料を、中間層3上に塗布すること
により形成される。
【0026】金属磁性粉末は、Feを主体としたもので
あり、α−Fe等の金属で構成される中心部と、中心部
の外殻に、NiFe24、CuFe24、ZnFe
24、MnFe24のうち少なくとも1種類以上を含有
する酸化皮膜とを有する。
【0027】Feを主体とする金属磁性粉末としては、
Feの粉末や、Fe−Co合金粉末、Fe−Al合金粉
末、Fe−Al−Ni合金粉末、Fe−Al−Zn合金
粉末、Fe−Al−Co合金粉末、Fe−Al−Ca合
金粉末、Fe−Ni合金粉末、Fe−Ni−Al合金粉
末、Fe−Ni−Co合金粉末、Fe−Ni−Si−A
l−Mn合金粉末、Fe−Ni−Si−Al−Zn合金
粉末、Fe−Al−Si合金粉末、Fe−Ni−Zn合
金粉末、Fe−Ni−Mn合金粉末、Fe−Ni−Si
合金粉末、Fe−Mn−Zn合金粉末、Fe−Co−N
i−P合金粉末、窒化鉄、炭化鉄等の金属磁性粉末を挙
げることができる。
【0028】酸化皮膜は、NiFe24、CuFe
24、ZnFe24、MnFe24のうち少なくとも1
種類以上のみから構成されていても良く、あるいは、例
えばFe34等の酸化物と、NiFe24、CuFe2
4、ZnFe24、MnFe24のうち少なくとも1
種類以上とが混在していても良い。また、酸化皮膜はN
iFe24を含有することが好ましい。
【0029】NiFe24、CuFe24、ZnFe2
4、MnFe24は、電荷の移動度が小さい、言い換
えると電気抵抗値が大きい。Fe34の電気抵抗値は4
×10-3Ωcmであるのに対して、NiFe24、Cu
Fe24、ZnFe24、MnFe24の電気抵抗値
は、それぞれ109Ωcm、105Ωcm、102Ωc
m、104Ωcmである。
【0030】従って、金属磁性粉末の酸化皮膜は、Fe
34が含有される場合であってもNiFe24、CuF
24、ZnFe24、MnFe24のうち少なくとも
1種類以上を含有することにより、Fe34の酸化の進
行が抑制されるので、酸化皮膜中に空孔点のあるγ−F
23が形成されることが抑制される。
【0031】また、NiFe24、CuFe24、Zn
Fe24、MnFe24は、熱力学的に安定であるの
で、これ以上酸化が進行しない。つまり、金属磁性粉末
は、酸化に対して安定である酸化皮膜を有する。従っ
て、金属磁性粉末は、大気中の酸素が酸化皮膜を通り抜
けて金属磁性粉末の中心部に侵入し、拡散することが確
実に防止されるので、中心部のα−Feが酸化され難
い。
【0032】また、この金属磁性粉末は、NiFe
24、CuFe24、ZnFe24、MnFe24のう
ち少なくとも1種類以上を、3重量%以上、30重量%
以下の範囲で含有することが好ましい。
【0033】金属磁性粉末においてNiFe24、Cu
Fe24、ZnFe24、MnFe24のうち少なくと
も1種類以上の含有量が3重量%より少ない場合、中心
部のα−Feが酸化されることを十分に防止できない虞
がある。従って、金属磁性粉末の飽和磁化量が低下する
可能性がある。一方、金属磁性粉末においてNiFe2
4、CuFe24、ZnFe24、MnFe24のう
ち少なくとも1種類以上の含有量が30重量%より多い
場合、非磁性であるこれらの酸化物が金属磁性粉末中に
占める割合が大きいため、金属磁性粉末の飽和磁化量が
低下する虞がある。
【0034】更に、金属磁性粉末は、飽和磁化量が10
0emu/g以上、150emu/g以下であることが
好ましい。金属磁性粉末の飽和磁化量が100emu/
gより小さい場合には、磁気記録媒体1が十分な出力を
示さない可能性がある。一方、金属磁性粉末の飽和磁化
量が150emu/gより大きい場合には、磁気記録層
4中において金属磁性粉末が凝集する虞がある。従っ
て、磁気記録媒体1としては、磁気記録層4の表面性が
劣化する虞があり、電磁変換特性が低下する可能性があ
る。なお、金属磁性粉末の飽和磁化量は、通常の金属磁
性粉末を作製した後に、徐酸化工程の反応温度と雰囲気
条件とを調整することにより制御することができる。
【0035】更にまた、金属磁性粉末は、平均長軸長が
0.01μm以上、0.15μm以下の範囲であること
が好ましく、0.03μm以上、0.1μm以下の範囲
であることがより好ましい。且つ、金属磁性粉末のX線
結晶粒径(Dx)が50Å以上、200Å以下の範囲で
あることが好ましい。
【0036】金属磁性粉末は、平均長軸長が0.01μ
mより小さい場合、超常磁性となる虞がある。その結
果、この金属磁性粉末を含有する磁気記録層4を有する
磁気記録媒体1は、電磁変換特性が著しく低下する可能
性がある。一方、金属磁性粉末は、平均長軸長が0.1
5μmより大きい場合、短波長記録ではノイズ成分が増
加する虞がある。その結果、この金属磁性粉末を含有す
る磁気記録層4を有する磁気記録媒体1は、SN比が劣
化する虞があり、電磁変換特性が低下する可能性があ
る。また、金属磁性粉末は、X線結晶粒径が50Åより
小さい場合、超常磁性となること虞がある。その結果、
この金属磁性粉末を含有する磁気記録層4を有する磁気
記録媒体1は、電磁変換特性が著しく低下する可能性が
ある。一方、金属磁性粉末のX線結晶粒径が200Åよ
り大きい場合には、短波長記録ではノイズ成分が増加す
る虞がある。その結果、この金属磁性粉末を含有する磁
気記録層4を有する磁気記録媒体1としては、電磁変換
特性が低下する可能性がある。
【0037】この金属磁性粉末には、酸化安定性、焼結
防止、形状安定等を目的とした添加元素又は酸化物等を
添加してもよい。これら添加元素及び酸化物としては、
例えばY、Nd、La等の希土類元素及びAl、Si、
Ca等や、これらの酸化物、α−Fe23、γ−Fe2
3、Fe34等のFeの酸化物が挙げられる。
【0038】更に、この金属磁性粉末は、飽和磁化量の
向上、酸化に対する安定性の向上等を目的とした添加元
素、例えばCo等を添加しても良い。なお、Coの添加
により、金属磁性粉末の酸化皮膜にはCoFe24が存
在していてもよい。
【0039】磁気記録層4に含有させる結合剤として
は、従来より使用されている公知の結合剤を用いること
ができる。具体的には、ポリビニル系共重合体樹脂、ポ
リエステルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウ
レタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、或いはこれらの樹
脂の混合物等が挙げられる。
【0040】中間層3及び/又は磁気記録層4には、必
要に応じて潤滑剤、研磨材、帯電防止剤等の添加剤が添
加されていても良い。これら添加剤としては、従来より
公知である添加剤を用いることができる。
【0041】以上のように構成された磁気記録媒体1
は、次のようにして作製される。
【0042】まず、NiFe24、CuFe24、Zn
Fe24、MnFe24のうち少なくとも1種類以上を
含有する酸化皮膜を有する金属磁性粉末を作製する。
【0043】金属磁性粉末に酸化皮膜を形成する方法と
しては、従来より公知の方法を用いることができる。例
えばNiFe24を含有する酸化皮膜を形成する場合に
は、通常の工程でゲーサイトを作製する初期にFeを合
金化した後に、添加元素としてNiを内添させ、通常の
徐酸化工程を行うことで酸化皮膜を形成する方法や、針
状ゲーサイトを作製した後に添加元素としてNiを被着
させ、これを加熱してゲーサイト内部にNiを拡散させ
ることにより酸化皮膜を形成する方法、あるいはその両
方を組み合わせることによる方法等が挙げられる。
【0044】また、酸化皮膜としてCuFe24、Zn
Fe24、MnFe24を形成する場合には、添加元素
としてCu、Zn、Mnを、ゲーサイトに対して内添ま
たは被着させる。なお、これらの添加元素、即ちNi、
Cu、Zn、Mnは、金属磁性粉末に対して酸化皮膜を
作製する際に、1種類のみを添加してもよく、複数を添
加してもよい。
【0045】更に、金属磁性粉末は、酸化皮膜を形成す
るために添加した添加元素Ni、Cu、Zn、Mnの何
れか又は複数が、中心部のα−Feに固溶し、合金化さ
れていてもよい。
【0046】次に、中間層用塗料及び磁性塗料を、混練
機及び希釈分散機を用いて、上述した各成分を溶剤とと
もに混練分散することにより調製する。
【0047】混練分散の際に用いられる溶剤としては、
従来より塗料化の際に用いられている公知の溶剤、例え
ばメチルエチルケトン、トルエン、酢酸ブチル、シクロ
ヘキサノン等を使用することができる。また、混練機及
び希釈分散機としては、従来から公知の機械が使用可能
である。具体的に混練機としては、連続二軸混練機(エ
クストルーダ)、コニーダ及び加圧ニーダ等が挙げられ
る。また、希釈分散機としては、縦型サンドミル、横型
サンドミル、スパイクミル、パールミル及びダブルシリ
ンダーパールミル等が挙げられる。
【0048】そして、中間層用塗料及び磁性塗料をこの
順に非磁性支持体2上に塗布して、中間層3及び磁気記
録層4を形成する。
【0049】塗布の方法としては、中間層用塗料及び磁
性塗料を一層ずつ塗布して乾燥を行ういわゆるウェット
・オン・ドライ方式を用いても良く、湿潤状態にある中
間層用塗料の上に磁性塗料を重ねて塗布するいわゆるウ
ェット・オン・ウェット方式を用いても良い。ウェット
・オン・ウェット方式により塗布を行うときは、塗布装
置として主にダイコータを用いる。
【0050】更に、非磁性支持体2上に少なくとも磁気
記録層4を形成した後に配向処理を施し、湿潤状態の塗
膜を乾燥させた後、必要に応じてカレンダ処理等の表面
平滑処理を施して、磁気記録媒体原反を作製する。な
お、必要であればバックコート層を非磁性支持体2の磁
気記録層4を形成した面とは反対側の面に塗布する。
【0051】このようにして得られた磁気記録媒体原反
を所望の形状にスリット又は打ち抜くことで、磁気記録
媒体1が作製される。
【0052】ところで、金属磁性粉末の耐酸化性は、酸
化皮膜が厚くなるほど向上する。従って、磁気記録媒体
1は、酸化皮膜の占める割合が多い金属磁性粉末を磁気
記録層4に含有すると、耐候性がより向上する。しかし
ながら、酸化皮膜は非磁性であるので、金属磁性粉末の
飽和磁化量は、酸化皮膜が厚くなるほど小さくなる。
【0053】酸化皮膜を厚くした金属磁性粉末を含有す
る磁気記録媒体1は、インダクティブヘッドを用いた磁
気記録再生システムに用いられた場合、金属磁性粉末の
飽和磁化量が小さいので、十分な再生出力が得られない
虞がある。
【0054】しかし、磁気記録媒体1がインダクティブ
ヘッドを用いた磁気記録再生システムに用いられた場合
に十分な再生出力を得られる程度に大きい飽和磁化量を
備える場合、磁気抵抗効果型再生ヘッド(以下、MRヘ
ッドと称する。)を用いた磁気記録再生システムに用い
られると、飽和磁化量が大きすぎて磁気抵抗変化の線形
性が損なわれる虞があり、出力特性が劣化する可能性が
ある。
【0055】そこで、酸化皮膜を厚くした金属磁性粉末
を含有する磁気記録媒体1は、MRヘッドを用いた磁気
記録再生システムに用いられることが好ましい。言い換
えると、磁気記録媒体1に書き込まれた記録信号の再生
にMRヘッドを用いる場合、耐候性を主体に考えて、金
属磁性粉末の酸化皮膜を厚くし、その結果、飽和磁化量
を低下させることが好ましい。
【0056】この場合、MRヘッドとしては、MR素子
をシールドで挟み込んだシールド型のMRヘッドを用
い、これを回転ドラムに搭載して記録再生装置を構成す
る。
【0057】MRヘッドを用いたヘリカルスキャン磁気
記録システムと本発明に係る磁気記録媒体1とを組み合
わせることにより、これまでにない高密度記録システム
を構築することができる。
【0058】上記ヘリカルスキャン磁気記録システムの
磁気記録再生装置は、回転ドラムを用いて記録再生を行
うヘリカルスキャン方式の磁気記録再生装置であり、回
転ドラムに搭載された再生用磁気ヘッドとして、MRヘ
ッドを使用する。
【0059】この磁気記録再生装置に搭載される回転ド
ラム装置の一構成例を図2及び図3に示す。なお、図2
は回転ドラム装置11の概略を示す斜視図であり、図3
は回転ドラム装置11を含む磁気テープ送り機構20の
概略を示す平面図である。
【0060】図2に示すように、回転ドラム装置11
は、円筒状の固定ドラム12と、円筒状の回転ドラム1
3と、回転ドラム13を回転駆動するモータ14と、回
転ドラム13に搭載された一対のインダクティブ型磁気
ヘッド15a,15bと、回転ドラム13に搭載された
一対のMRヘッド16a,16bとを備える。
【0061】上記固定ドラム12は、回転することなく
保持されるドラムである。この固定ドラム12の側面に
は、上述の構成の磁気記録媒体1を適当な幅にスリット
してなる磁気テープ17の、走行方向に沿ってリードガ
イド部18が形成されている。後述するように、記録再
生時に磁気テープ17は、このリードガイド部18に沿
って走行する。そして、この固定ドラム12と中心軸が
一致するように、回転ドラム13が配されている。
【0062】回転ドラム13は、磁気テープ17に対す
る記録再生時に、モータ14によって所定の回転速度で
回転駆動されるドラムである。この回転ドラム13は、
固定ドラム12と略同径の円筒状に形成されてなり、固
定ドラム12と中心軸が一致するように配されている。
そして、この回転ドラム13の固定ドラム12に対向す
る側には、一対のインダクティブ型磁気ヘッド15a,
15b及び一対のMRヘッド16a,16bが搭載され
ている。
【0063】インダクティブ型磁気ヘッド15a,15
bは、一対の磁気コアが磁気ギャップを介して接合され
るとともに、磁気コアにコイルが巻装されてなる記録用
磁気ヘッドであり、磁気テープ17に対して信号を記録
する際に使用される。そして、これらのインダクティブ
型磁気ヘッド15a,15bは、回転ドラム13の中心
に対して互いに成す角度が180°となり、それらの磁
気ギャップ部分が回転ドラム13の外周から突き出すよ
うに、回転ドラム13に搭載されている。なお、これら
のインダクティブ型磁気ヘッド15a,15bは、磁気
テープ17に対してアジマス記録を行うように、アジマ
ス角が互いに逆となるように設定されている。
【0064】一方、MRヘッド16a,16bは、磁気
テープ17からの信号を検出する感磁素子としてMR素
子を備えた再生用磁気ヘッドであり、磁気テープ17か
ら信号を再生する際に使用される。そして、これらのM
Rヘッド16a,16bは、回転ドラム13の中心に対
して互いに成す角度が180°となり、磁気ギャップ部
分が回転ドラムの外周から突き出すように、回転ドラム
13に搭載されている。なお、これらのMRヘッド16
a,16bは、磁気テープ17に対してアジマス記録さ
れた信号を再生できるように、アジマス角が互いに逆と
なるように設定されている。
【0065】そして、磁気記録再生装置は、このような
回転ドラム装置11に磁気テープ17を摺動させて、磁
気テープ17に対する信号の記録や、磁気テープ17か
らの信号の再生を行う。
【0066】すなわち、記録再生時に磁気テープ17
は、図3に示すように、供給リール21からガイドロー
ラ22,23を経て、回転ドラム装置11に巻き付くよ
うに送られ、この回転ドラム装置11で記録再生がなさ
れる。そして、回転ドラム装置11で記録再生がなされ
た磁気テープ17は、ガイドローラ24,25、キャプ
スタン26、ガイドローラ27を経て、巻き取りロール
28へと送られる。すなわち、磁気テープ17は、キャ
プスタンモータ29により回転駆動されるキャプスタン
26によって所定の張力及び速度にて送られ、ガイドロ
ーラ27を経て巻き取りロール28に巻き取られる。
【0067】このとき、回転ドラム13は、図2中の矢
印Aに示すように、モータ14によって回転駆動され
る。一方、磁気テープ17は、固定ドラム12のリード
ガイド部18に沿って、固定ドラム12及び回転ドラム
13に対して斜めに摺動するように送られる。すなわ
ち、磁気テープ17は、テープ走行方向に沿って、図2
中矢印Bに示すようにテープ入口側から固定ドラム12
及び回転ドラム13に摺接するようにリードガイド部1
8に沿って送られ、その後、図2中矢印Cに示すように
テープ出口側へと送られる。
【0068】次に、上記回転ドラム装置11の内部構造
について、図4を参照して説明する。
【0069】図4に示すように、固定ドラム12及び回
転ドラム13の中心には、回転軸31が挿通されてい
る。なお、固定ドラム12、回転ドラム13及び回転軸
31は導電材料からなり、これらは電気的に導通してお
り、固定ドラム12が接地されている。
【0070】そして、固定ドラム12のスリーブの内側
には、2つの軸受け32,33が設けられており、これ
により、固定ドラム12に対して回転軸31が回転可能
に支持されている。すなわち、回転軸31は、軸受け3
2,33により、固定ドラム12に対して回転可能に支
持されている。一方、回転ドラム13には、その内周部
にフランジ34が形成されており、このフランジ34が
回転軸31の上端部に固定されている。これにより、回
転ドラム13は、回転軸31の回転に伴って回転するよ
うになされている。
【0071】また、回転ドラム装置11の内部には、固
定ドラム12と回転ドラム13との間で信号の伝送を行
うために、非接触型の信号伝送装置であるロータリトラ
ンス35が配されている。このロータリトランス35
は、固定ドラム12に取り付けられたステータコア36
と、回転ドラム13に取り付けられたロータコア37と
を有している。
【0072】ステータコア36及びロータコア37は、
フェライト等のような磁性材料が、回転軸31を中心と
する円環状に形成されてなる。また、ステータコア36
には、一対のインダクティブ型磁気ヘッド15a,15
bに対応した一対の信号伝送用リング36a,36b
と、一対のMRヘッド16a,16bに対応した信号伝
送用リング36cと、一対のMRヘッド16a,16b
の駆動に必要な電力を供給するための電力伝送用リング
36dとが、同心円状に配置されている。同様に、ロー
タコア37にも、一対のインダクティブ型磁気ヘッド1
5a,15bに対応した一対の信号伝送用リング37
a,37bと、一対のMRヘッド16a,16bに対応
した信号伝送用リング37cと、一対のMRヘッド16
a,16bの駆動に必要な電力を供給するための電力伝
送用リング37dとが、同心円状に配置されている。
【0073】これらのリング36a,36b,36c,
36d,37a,37b,37c,37dは、回転軸3
1を中心として円環状に巻回されたコイルからなり、ス
テータコア36の各リング36a,36b,36c,3
6dと、ロータコア37の各リング37a,37b,3
7c,37dとがそれぞれ対向するように配されてい
る。そして、このロータリトランス35は、ステータコ
ア36の各リング36a,36b,36c,36dと、
ロータコア37の各リング37a,37b,37c,3
7dとの間で、非接触にて信号や電力の伝送を行うよう
になっている。
【0074】また、回転ドラム装置11には、回転ドラ
ム13を回転駆動させるモータ14が取り付けられてい
る。このモータ14は、回転部分であるロータ38と、
固定部分であるステータ39とを有している。ロータ3
8は、回転軸31の下端部に取り付けられており、駆動
用マグネット40を備えている。一方、ステータ39
は、固定ドラム12の下端部に取り付けられており、駆
動用コイル41を備えている。そして、駆動用コイル4
1に電流を供給することにより、ロータ38が回転駆動
される。これにより、ロータ38に取り付けられている
回転軸31が回転し、それに伴って、回転軸31に固定
されている回転ドラム13が回転駆動されることとな
る。
【0075】つぎに、以上のような回転ドラム装置11
による記録再生について、この回転ドラム装置11並び
にその周辺回路についての回路構成の概略を示す図5を
参照して説明する。
【0076】上記回転ドラム装置11を用いて磁気テー
プ17に信号を記録する際は、先ず、モータ14の駆動
用コイル41に電流が供給され、これにより、回転ドラ
ム13が回転駆動される。そして、回転ドラム13が回
転している状態にて、図5に示すように、外部回路50
からの記録信号が記録用アンプ51に供給される。
【0077】記録用アンプ51は、外部回路50からの
記録信号を増幅し、一方のインダクティブ型磁気ヘッド
15aによって信号を記録するタイミングの時、当該イ
ンダクティブ型磁気ヘッド15aに対応したステータコ
ア36の信号伝送用リング36aに記録信号を供給し、
また、他方のインダクティブ型磁気ヘッド15bによっ
て信号を記録するタイミングの時、当該インダクティブ
型磁気ヘッド15bに対応したステータコア36の信号
伝送用リング36bに記録信号を供給する。
【0078】ここで、一対のインダクティブ型磁気ヘッ
ド15a,15bは、上述したように、回転ドラム13
の中心に対して互いに成す角度が180°となるように
配されているので、これらのインダクティブ型磁気ヘッ
ド15a,15bは、180°の位相差を持って交互に
記録することとなる。すなわち、記録用アンプ51は、
一方のインダクティブ型磁気ヘッド15aに記録信号を
供給するタイミングと、他方のインダクティブ型磁気ヘ
ッド15bに記録信号を供給するタイミングとを、18
0°の位相差を持って交互に切り換える。
【0079】そして、一方のインダクティブ型磁気ヘッ
ド15aに対応したステータコア36の信号伝送用リン
グ36aに供給された記録信号は、非接触にてロータコ
ア37の信号伝送用リング37aに伝送される。そし
て、ロータコア37の信号伝送用リング37aに伝送さ
れた記録信号は、インダクティブ型磁気ヘッド15aに
供給され、当該インダクティブ型磁気ヘッド15aによ
り、磁気テープ17に対して信号の記録がなされる。
【0080】同様に、他方のインダクティブ型磁気ヘッ
ド15bに対応したステータコア36の信号伝送用リン
グ36bに供給された記録信号は、非接触にてロータコ
ア37の信号伝送用リング37bに伝送される。そし
て、ロータコア37の信号伝送用リング37bに伝送さ
れた記録信号は、インダクティブ型磁気ヘッド15bに
供給され、当該インダクティブ型磁気ヘッド15bによ
り、磁気テープ17に対して信号の記録がなされる。
【0081】また、上記回転ドラム装置11を用いて磁
気テープ17からの信号を再生する際は、先ず、モータ
14の駆動用コイル41に電流が供給され、これによ
り、回転ドラム13が回転駆動される。そして、回転ド
ラム13が回転している状態にて、図5に示すように、
オシレータ52から高周波の電流がパワードライブ53
に供給される。
【0082】オシレータ52からの高周波の電流は、パ
ワードライブ53によって所定の交流電流に変換された
上で、ステータコア36の電力伝送用リング36dに供
給される。そして、ステータコア36の電力伝送用リン
グ36dに供給された交流電流は、非接触にてロータコ
ア37の電力伝送用リング37dに伝送される。そし
て、ロータコア37の電力伝送用リング37dに伝送さ
れた交流電流は、整流器54により整流されて直流電流
とされレギュレータ55に供給され、当該直流電流はレ
ギュレータ55により所定の電圧に設定される。
【0083】そして、レギュレータ55によって所定の
電圧に設定された電流は、一対のMRヘッド16a,1
6bにセンス電流として供給される。なお、一対のMR
ヘッド16a,16bには、当該MRヘッド16a,1
6bからの信号を検出する再生用アンプ56が接続され
ており、レギュレータ55からの電流は、この再生用ア
ンプ56にも供給される。
【0084】ここで、MRヘッド16a,16bは、外
部磁界の大きさによって抵抗値が変化するMR素子を備
えている。そして、MRヘッド16a,16bは、磁気
テープ17からの信号磁界により、MR素子の抵抗値が
変化し、これにより、センス電流に電圧変化が現れるよ
うになされている。
【0085】そして、再生用アンプ56は、この電圧変
化を検出し、当該電圧変化に応じた信号を再生信号とし
て出力する。なお、再生用アンプ56は、一方のMRヘ
ッド16aによって信号を再生するタイミングの時、当
該MRヘッド16aによって検出した再生信号を出力
し、また、他方のMRヘッド16bによって信号を再生
するタイミングの時、当該MRヘッド16bによって検
出した再生信号を出力する。
【0086】ここで、一対のMRヘッド16a,16b
は、上述したように、回転ドラム13の中心に対して互
いに成す角度が180°となるように配されているの
で、これらのMRヘッド16a,16bは、180°の
位相差を持って交互に再生することとなる。すなわち、
再生用アンプ56は、一方のMRヘッド16aからの再
生信号を出力するタイミングと、他方のMRヘッド16
bからの再生信号を出力するタイミングとを、180°
の位相差を持って交互に切り換える。
【0087】そして、再生用アンプ56からの再生信号
は、ロータコア37の信号伝送用リング37cに供給さ
れ、この再生信号は、非接触にてステータコア36の信
号伝送用リング36cに伝送される。ステータコア36
の信号伝送用リング36cに伝送された再生信号は、再
生用アンプ57によって増幅された上で、補正回路58
に供給される。そして、再生信号は、補正回路58によ
り所定の補正処理が施された後、外部回路50へと出力
される。
【0088】なお、図5に示したような回路構成とした
場合、一対のインダクティブ型磁気ヘッド15a,15
b、一対のMRヘッド16a,16b、整流器54、レ
ギュレータ55及び再生用アンプ56は、回転ドラム1
3に搭載され、回転ドラム13と共に回転する。一方、
記録用アンプ51、オシレータ52、パワードライブ5
3、再生用アンプ57及び補正回路58については、回
転ドラム装置11の固定部分に配するか、或いは、回転
ドラム装置11とは別に構成された外部回路とする。
【0089】つぎに、上記回転ドラム13に搭載される
MRヘッド16a,16bについて、図6を参照して詳
細に説明する。なお、MRヘッド16a及びMRヘッド
16bは、アジマス角が互いに逆となるように設定され
ている他は、同一の構成を有している。そこで、以下の
説明では、これらのMRヘッド16a,16bをまとめ
てMRヘッド16と称する。
【0090】MRヘッド16は、回転ドラム13に搭載
され、ヘリカルスキャン方式によって磁気テープ17か
らの信号を、磁気抵抗効果を利用して検出する再生専用
の磁気ヘッドである。このMRヘッド16は、図6に示
すように、Ni−Zn多結晶フェライト等のような軟磁
性材料からなる一対の磁気シールド61,62と、絶縁
体63を介して一対の磁気シールド61,62によって
挟持された略矩形状のMR素子部64とを備える。な
お、MR素子部64の両端からは、一対の端子が導出さ
れており、これらの端子を介して、MR素子部64にセ
ンス電流を供給できるようになされている。
【0091】MR素子部64は、磁気抵抗効果を有する
MR素子と、SAL(Soft Adjacent Layer)膜と、M
R素子とSAL膜との間に配された絶縁体膜とが積層さ
れてなる。MR素子は、異方性磁気抵抗効果(AMR)
により、外部磁界の大きさによって抵抗値が変化するN
i−Fe等のような軟磁性材料からなる。SAL膜は、
いわゆるSALバイアス方式により、MR素子にバイア
ス磁界を印加するためのものであり、パーマロイ等のよ
うに低保磁力で高透磁率の磁性材料からなる。絶縁体膜
は、MR素子とSAL膜との間を絶縁し、電気的な分流
損を防ぐためのものであり、Ta等のような絶縁材料か
らなる。
【0092】このMR素子部64は、略矩形状に形成さ
れてなり、一側面が磁気テープ摺動面65に露呈するよ
うに、一対の磁気シールド61,62によって絶縁体6
3を介して挟持されている。詳細には、このMR素子部
64は、短軸方向が磁気テープ摺動面65に対して略垂
直となり、長軸方向が磁気テープ摺動方向に対して略直
交するように、一対の磁気シールド61,62によって
絶縁体63を介して挟持されている。
【0093】このMRヘッド16の磁気テープ摺動面6
5は、当該磁気テープ摺動面65にMR素子部64の一
側面が露呈するように、磁気テープ17の摺動方向に沿
って円筒研磨されているとともに、磁気テープ17の摺
動方向に対して直交する方向に沿って円筒研磨されてい
る。これにより、このMRヘッド16は、MR素子部6
4或いはその近傍部分が最も突出するようになされてい
る。このように、MR素子部64或いはその近傍部分が
最も突出するようにすることにより、MR素子部64の
磁気テープ17に対する当たり特性を良好なものとする
ことができる。
【0094】そして、以上のようなMRヘッド16を用
いて磁気テープ17からの信号を再生する際は、図7に
示すように、磁気テープ17をMR素子部64に摺動さ
せる。なお、図7中の矢印は、磁気テープ17が磁化さ
れている様子を模式的に示している。
【0095】そして、このように磁気テープ17をMR
素子部64に摺動させた状態で、MR素子部64の両端
に接続された端子64a,64bを介して、MR素子部
64にセンス電流を供給し、当該センス電流の電圧変化
を検出する。具体的には、MR素子部64の一端に接続
された端子64aから、所定の電圧Vcを印加するとと
もに、MR素子部64の他端に接続された端子64b
を、回転ドラム13に接続しておく。ここで、回転ドラ
ム13は回転軸31を介して固定ドラム12に電気的に
導通しており、また、固定ドラム12は接地されてい
る。したがって、MR素子部64に接続された一方の端
子64bは、回転ドラム13、回転軸31及び固定ドラ
ム12を介して接地されている。
【0096】そして、磁気テープ17を摺動させた状態
でMR素子部64にセンス電流を供給すると、磁気テー
プ17からの磁界に応じて、MR素子部64に形成され
たMR素子の抵抗値が変化し、その結果、センス電流に
電圧変化が生じる。そこで、このセンス電流の電圧変化
を検出することにより、磁気テープ17からの信号磁界
が検出され、磁気テープ17に記録されている信号が再
生される。
【0097】なお、用いるMRヘッド16において、M
R素子部64に形成されるMR素子は、磁気抵抗効果を
示す素子であれば良く、例えば、複数の薄膜を積層する
ことにより、より大きな磁気抵抗効果を得られるように
した、いわゆる巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)も
使用可能である。また、MR素子にバイアス磁界を印加
する手法は、SALバイアス方式でなくてもよく、例え
ば、永久磁石バイアス方式、シャント電流バイアス方
式、自己バイアス方式、交換バイアス方式、バーバーポ
ール方式、分割素子方式、サーボバイアス方式等、種々
の手法が適用可能である。なお、巨大磁気抵抗効果並び
に各種バイアス方式については、例えば、丸善株式会社
発行の「磁気抵抗ヘッド−基礎と応用 林和彦訳」に詳
細に記載されている。
【0098】以上のようにして作製された磁気記録媒体
1は、磁気記録層4が、Feを主体とする中心部の外殻
に、NiFe24、CuFe24、ZnFe24、Mn
Fe24のうち少なくとも1種類以上を含有する酸化皮
膜を有する金属磁性粉末を含有する。
【0099】この金属磁性粉末は、中心部のα−Feが
酸化され難く、且つ酸化に対して安定である酸化皮膜を
有するので、耐酸化性に優れる。従って、磁気記録媒体
1は、磁気記録層4が耐酸化性に優れた金属磁性粉末を
含有するので、耐候性に優れる。これにより、磁気記録
媒体1は、高温多湿な環境下に長期間保存された場合で
あっても磁気特性が劣化することが防止される。また、
磁気記録媒体1は、繰り返し走行をされた場合であって
もレベルダウンが低減されて高い出力を維持できる。
【0100】また、磁気記録媒体1は、NiFe24
CuFe24、ZnFe24、MnFe24のうち少な
くとも1種類以上を、3重量%以上、30重量%以下の
範囲で含有する金属磁性粉末を含有することにより、耐
候性に非常に優れ、高出力を確実に維持できる。
【0101】更に、磁気記録媒体1は、飽和磁化量が1
00emu/g以上、150emu/g以下の範囲であ
る金属磁性粉末を含有することにより、所望の出力が確
実に実現される。
【0102】そして、磁気記録媒体1は、平均長軸長が
0.01μm以上、0.15μm以下の範囲であり、X
線結晶粒径(Dx)が50Å以上、200Å以下の範囲
であることにより、電磁変換特性に優れ、高密度記録に
適した記録媒体となる。
【0103】また、磁気記録媒体1は、非磁性である酸
化皮膜の占める割合の多い金属磁性粉末を磁気記録層4
に含有することにより耐候性が非常に向上し、高出力を
維持できる。特に、MRヘッドを用いたヘリカルスキャ
ン磁気記録システムに用いられることにより、高出力が
得られる。
【0104】なお、上述した実施の形態では、非磁性支
持体2、中間層3及び磁気記録層4を備える磁気記録媒
体1について説明したが、本発明に係る磁気記録媒体
は、磁気記録層が多層であってもよく、非磁性支持体上
に磁気記録層が形成されていてもよい。また、本発明に
係る磁気記録媒体は、例えばインダクティブヘッドを用
いた磁気記録再生システムに用いられた場合でも記録信
号の記録再生が可能であり、十分な出力を示す。
【0105】
【実施例】以下、本発明に係る磁気記録媒体について、
具体的な実験結果に基づいて詳細に説明する。
【0106】なお、ここでは磁気記録媒体として、中間
層と磁気記録層とを備える磁気テープを作製した。
【0107】実施例1 まず、Feを主体とする中心部の外殻に、NiFe24
を含有する酸化皮膜を有する金属磁性粉末を作製した。
この金属磁性粉末の金属磁性粉末組成と、磁気特性及び
粉体特性とは、下記の通りである。
【0108】<金属磁性粉末組成> ・α−Fe含有量 :50重量% ・NiFe24含有量:10重量% ・Co含有量 :5重量% <磁気特性及び粉体特性> ・飽和磁化量 :115emu/g ・長軸長 :0.08μm ・X線粒径(Dx) :115Å なお、格子定数はX線回析により測定した。また、飽和
磁化量は試料振動型磁力計を用いて測定した。
【0109】次に、下記の組成に準じて、磁性塗料の各
成分を計り採り、混練分散させることで磁性塗料を調整
した。
【0110】 <磁性塗料組成> ・金属磁性粉末 100重量部 ・バインダー樹脂:塩化ビニル系共重合体 20重量部 ・研磨剤:Al23 3重量部 ・潤滑剤:ミリスチン酸 1重量部 ・メチルエチルケトン 100重量部 ・トルエン 100重量部 ・シクロヘキサノン 50重量部 次に、下記の組成に準じて、中間層用塗料の各成分を秤
取り、混練分散させることで中間層用塗料を調整した。
【0111】 <中間層用塗料組成> ・酸化鉄粉 100重量部 ・バインダー樹脂:塩化ビニル系共重合体 20重量部 ・潤滑剤:ミリスチン酸 2重量部 ・メチルエチルケトン 100重量部 ・トルエン 100重量部 ・シクロヘキサノン 50重量部 上述のように調整した中間層用塗料及び磁性塗料を、ポ
リエチレンテレフタレートからなる非磁性支持体上に塗
布した後に乾燥させて、磁気テープ原反を作製した。そ
して、この磁気テープ原反を8mmの幅に裁断し、実施
例1の磁気テープを得た。なお、この磁気テープにおい
て、磁気記録層の厚さは0.3μm、中間層厚さは1.
5μmとした。
【0112】実施例2 Feを主体とする中心部の外殻に、CuFe24を含有
する酸化皮膜を有する金属磁性粉末を組成が表1に示す
ようにして作製すること以外は、実施例1と同様にして
磁気テープを作製した。
【0113】実施例3 Feを主体とする中心部の外殻に、ZnFe24を含有
する酸化皮膜を有する金属磁性粉末を組成が表1に示す
ようにして作製すること以外は、実施例1と同様にして
磁気テープを作製した。
【0114】実施例4 Feを主体とする中心部の外殻に、MnFe24を含有
する酸化皮膜を有する金属磁性粉末を組成が表1に示す
ようにして作製すること以外は、実施例1と同様にして
磁気テープを作製した。
【0115】実施例5 Feを主体とする中心部の外殻に、NiFe24及びZ
nFe24を含有する酸化皮膜を有する金属磁性粉末を
組成が表1に示すようにして作製すること以外は、実施
例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0116】実施例6 Feを主体とする中心部の外殻に、NiFe24、Cu
Fe24、ZnFe24、MnFe24を含有する酸化
皮膜を有する金属磁性粉末を組成が表1に示すようにし
て作製すること以外は、実施例1と同様にして磁気テー
プを作製した。
【0117】比較例1 Feを主体とする中心部の外殻に、NiFe24、Cu
Fe24、ZnFe24、MnFe24のうち何れも含
有しない酸化皮膜を有し、α−Feの含有量が55重量
%である金属磁性粉末を作製すること以外は、実施例1
と同様にして磁気テープを作製した。
【0118】以上のようにして作製した実施例1〜実施
例6及び比較例の金属磁性粉末について、その金属磁性
粉末組成、磁気特性及び粉体特性を表1に示す。
【0119】
【表1】
【0120】以上のようにして作製された実施例1〜実
施例6及び比較例1の磁気テープに関して、まず、耐候
性を以下に示すようにして評価した。
【0121】<耐候性>温度60℃、湿度90%の環境
下において1週間保存し、磁気テープの飽和磁化量(σ
S)を保存前後においてそれぞれ測定し、1週間経過後
の飽和磁化量の劣化を百分率で表し、ΔσSとして評価
した。
【0122】次に、実施例1〜実施例6及び比較例1の
磁気テープに関して、MRヘッドを搭載した磁気テープ
記録再生装置と、インダクティブ再生ヘッドを搭載した
磁気テープ記録再生装置との2種類を用いて、種々の電
磁変換特性を以下に示すようにして評価した。
【0123】なお、MRヘッドを搭載した磁気テープ記
録再生装置において、MRヘッドの素子としてはFeN
i−AMR(異方性磁気抵抗効果素子)を用いた。ま
た、このMRヘッドにおいて、飽和磁化量は800em
u/gであり、膜厚は40nmであり、シードル素材は
NiZnであり、シードル間距離は0.17μmであ
る。更に、トラック幅は18μmであり、アジマス角は
25度である。
【0124】<出力>温度40℃、湿度20%の環境下
において、比較例1で得られた出力を0dBとしたとき
の相対出力を、出力測定値として測定した。
【0125】<レベルダウン(L.D.)>温度40
℃、湿度20%の環境下において、デッキ走行にて10
pass後の出力を測定し、初回の出力測定値からの低
下分をレベルダウンとして評価した。
【0126】また、ノイズレベル、SNも測定した。更
に、MRヘッドを搭載した磁気テープ記録再生装置を用
いた場合には、エラーレートを測定した。
【0127】以上の測定結果を表2に示す。
【0128】
【表2】
【0129】表2から明らかなように、金属磁性粉末の
有する酸化皮膜がNiFe24、CuFe24、ZnF
24、MnFe24のうち少なくとも1種類以上を含
有する実施例1〜実施例6の磁気記録媒体は、高温多湿
環境下での長期保存による飽和磁化量の劣化が小さいこ
とがわかった。また、これらの磁気記録媒体は、繰り返
し走行後のレベルダウンが小さいことがわかった。
【0130】一方、金属磁性粉末の有する酸化皮膜がN
iFe24、CuFe24、ZnFe24、MnFe2
4のうち何れも含有しない比較例1の磁気記録媒体
は、長期保存による飽和磁化量の劣化が著しく、また、
繰り返し走行後のレベルダウンが大きいことがわかっ
た。
【0131】従って、磁気記録媒体は、磁気記録層に含
有する金属磁性粉末が酸化皮膜にNiFe24、CuF
24、ZnFe24、MnFe24のうち少なくとも
1種類以上を含有することにより、耐候性に優れ、高出
力を維持できることがわかった。
【0132】実施例7〜10、実施例12,13 Feを主体とする中心部の外殻に、NiFe24を含有
する酸化皮膜を有する金属磁性粉末を組成が表3に示す
ようにして作製すること以外は、実施例1と同様にして
磁気テープを作製した。
【0133】実施例11 NiFe24を含有する酸化皮膜を有する金属磁性粉末
を作製する際に、ゲーサイトからNiを添加してα−F
eに固溶させ、FeとNiとを合金化させること以外
は、実施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0134】実施例14 Co含有量を増加して10重量%とした金属磁性粉末を
作製すること以外は、実施例1と同様にして磁気テープ
を作製した。
【0135】実施例15 Coを含有させない金属磁性粉末を作製すること以外
は、実施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0136】実施例16 金属磁性粉末に酸化皮膜を形成する際に徐酸化工程温度
を高くして、酸化皮膜の膜厚を実施例1より厚くし、α
−Feの含有量を45重量%とした金属磁性粉末を作製
すること以外は、実施例1と同様にして磁気テープを作
製した。
【0137】以上のようにして作製した実施例7〜実施
例16の金属磁性粉末について、その金属磁性粉末組
成、磁気特性及び粉体特性を表3に示す。
【0138】
【表3】
【0139】実施例17〜実施例19、実施例21 Feを主体とする中心部の外殻に、CuFe24を含有
する酸化皮膜を有する金属磁性粉末を組成が表4に示す
ようにして作製すること以外は、実施例1と同様にして
磁気テープを作製した。
【0140】実施例20 CuFe24を含有する酸化皮膜を有する金属磁性粉末
を作製する際に、ゲーサイトからCuを添加してα−F
eに固溶させ、FeとCuとを合金化させ、α−Feの
含有量を45重量%とすること以外は、実施例1と同様
にして磁気テープを作製した。
【0141】以上のようにして作製した実施例17〜実
施例21の金属磁性粉末について、その金属磁性粉末組
成、磁気特性及び粉体特性を表4に示す。
【0142】
【表4】
【0143】実施例22〜実施例25、実施例27 Feを主体とする中心部の外殻に、ZnFe24を含有
する酸化皮膜を有する金属磁性粉末を組成が表5に示す
ようにして作製すること以外は、実施例1と同様にして
磁気テープを作製した。
【0144】実施例26 ZnFe24を含有する酸化皮膜を有する金属磁性粉末
を作製する際に、ゲーサイトからCuを添加してα−F
eに固溶させ、FeとZnとを合金化させ、α−Feの
含有量を45重量%とすること以外は、実施例1と同様
にして磁気テープを作製した。
【0145】以上のようにして作製した実施例22〜実
施例27の金属磁性粉末について、その金属磁性粉末組
成、磁気特性及び粉体特性を表5に示す。
【0146】
【表5】
【0147】実施例28〜実施例33 Feを主体とする中心部の外殻に、MnFe24を含有
する酸化皮膜を有する金属磁性粉末を組成が表6に示す
ようにして作製すること以外は、実施例1と同様にして
磁気テープを作製した。
【0148】以上のようにして作製した実施例28〜実
施例33の金属磁性粉末について、その金属磁性粉末組
成、磁気特性及び粉体特性を表6に示す。
【0149】
【表6】
【0150】実施例34〜実施例42 Feを主体とする中心部の外殻に、NiFe24、Cu
Fe24、ZnFe24、MnFe24のうち少なくと
も2種類以上を含有する酸化皮膜を有する金属磁性粉末
を、組成が表7に示すようにして作製すること以外は、
実施例1と同様にして磁気テープを作製した。
【0151】以上のようにして作製した実施例34〜実
施例42の金属磁性粉末について、その金属磁性粉末組
成、磁気特性及び粉体特性を表7に示す。
【0152】
【表7】
【0153】上述のようにして作製された実施例7〜実
施例42の磁気テープに関して、耐候性、種々の電磁変
換特性を上述した方法と同様にして測定した。
【0154】金属磁性粉末がNiFe24を含有する酸
化皮膜を有する実施例7〜16の磁気テープにおける、
これらの測定結果を表8に示す。
【0155】
【表8】
【0156】金属磁性粉末がCuFe24を含有する酸
化皮膜を有する実施例17〜21の磁気テープにおける
これらの測定結果を表9に示す。
【0157】
【表9】
【0158】金属磁性粉末がZnFe24を含有する酸
化皮膜を有する実施例22〜27の磁気テープにおける
これらの測定結果を表10に示す。
【0159】
【表10】
【0160】金属磁性粉末がMnFe24を含有する酸
化皮膜を有する実施例28〜33の磁気テープにおける
これらの測定結果を表11に示す。
【0161】
【表11】
【0162】金属磁性粉末がNiFe24、CuFe2
4、ZnFe24、MnFe24のうち少なくとも2
種類以上を含有する酸化皮膜を有する実施例34〜実施
例42の磁気テープにおけるこれらの測定結果を12に
示す。
【0163】
【表12】
【0164】実施例7及び実施例8の磁気テープ、実施
例17及び実施例18の磁気テープ、実施例22及び実
施例23の磁気テープ、実施例28及び実施例29の磁
気テープ、実施例34及び実施例35の磁気テープとを
比較すると、NiFe24、CuFe24、ZnFe2
4、MnFe24のうち少なくとも1種類以上を3重
量%以上含有する実施例8、実施例18、実施例23、
実施例29、実施例35の磁気テープは、長期保存によ
る飽和磁化量の劣化がより少なく、レベルダウンがより
低減していることがわかった。
【0165】また、実施例9及び実施例10の磁気テー
プ、実施例20及び実施例21の磁気テープ、実施例2
6及び実施例27の磁気テープ、実施例32及び実施例
33の磁気テープ、実施例40及び実施例41の磁気テ
ープとを比較すると、NiFe24、CuFe24、Z
nFe24、MnFe24のうち少なくとも1種類以上
を30重量%以下含有する実施例9、実施例20、実施
例26、実施例32、実施例40の磁気テープは、より
高い出力が得られることがわかった。
【0166】従って、磁気記録媒体は、NiFe24
CuFe24、ZnFe24、MnFe24のうち少な
くとも1種類以上を3重量%以上、30重量%以下の範
囲で含有する酸化皮膜を有する金属磁性粉末を磁気記録
層に含有することが好ましく、これにより、優れた耐候
性を有し、レベルダウンが非常に低減され、高出力示す
ことがわかった。
【0167】また、実施例40及び実施例42の磁気テ
ープを比較すると、金属磁性粉末の飽和磁化量が100
emu/g以上である実施例40の磁気テープは、実施
例42の磁気テープよりも良好な出力を示すことがわか
った。
【0168】従って、磁気テープは、飽和磁化量が10
0emu/g以上である金属磁性粉末を磁気記録層に含
有することが好ましく、これにより所望の出力が確実に
得られることがわかった。
【0169】更に、実施例11及び実施例12の磁気テ
ープを比較すると、長軸長が0.01μm以上であり、
且つ、X線結晶粒径(Dx)が50Å以上である金属磁
性粉末を含有する実施例11の磁気テープは、長軸長が
0.01μmより小さく、且つ、X線結晶粒径(Dx)
が50Åより小さい金属磁性粉末を含有する実施例12
の磁気テープよりも、飽和磁化量の劣化が少ないことが
わかった。
【0170】一方、実施例11及び実施例13の磁気テ
ープを比較すると、長軸長が0.15μm以下であり、
且つ、X線結晶粒径(Dx)が200Å以下である金属
磁性粉末を含有する実施例11の磁気テープは、長軸長
が0.15μmより大きく、且つ、X線結晶粒径(D
x)が200Åより大きい金属磁性粉末を含有する実施
例13の磁気テープよりも、ノイズ及びSN比が低減し
ていることがわかった。
【0171】従って、磁気テープは、長軸長が0.01
μm以上、0.15μm以下の範囲であり、且つ、X線
結晶粒径(Dx)が50Å以上、200Å以下である金
属磁性粉末を磁気記録層が含有することにより、長期間
に亘って電磁変換特性を維持することができ、高密度記
録に適した記録媒体となることがわかった。
【0172】そして、これら実施例1〜実施例42の磁
気テープは、インダクティブヘッド又はMRヘッドを搭
載した磁気記録再生装置を用いて記録信号を再生された
場合、どちらのヘッドを用いた場合でも良好な再生出力
が得られることがわかった。特に、MRヘッドを用いて
再生された場合には、よりレベルダウンが低減すること
が表2、表8〜表12よりわかった。
【0173】従って、この磁気テープは、特に、飽和磁
化量が小さい場合、MRヘッドを搭載した磁気記録再生
装置とあわせて用いられることにより、十分に高い出力
が得られることがわかった。
【0174】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係る金属磁性粉末は、Feを主体とする中心部の外
殻に、NiFe24、CuFe24、ZnFe24、M
nFe 24のうち少なくとも1種類以上を含有する酸化
皮膜を有するので、耐酸化性に優れる。
【0175】従って、磁気記録媒体は、この金属磁性粉
末を磁気記録層に含有するので、耐候性に優れ、高出力
を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体の断面図であ
る。
【図2】ヘリカルスキャン磁気記録システムの磁気記録
再生装置に搭載される回転ドラム装置の一構成例につい
て、その概略を示す斜視図である。
【図3】上記回転ドラム装置を含む磁気テープ送り機構
の一構成例について、その概略を示す平面図である。
【図4】上記回転ドラム装置の内部構造を示す断面図で
ある。
【図5】上記回転ドラム装置並びにその周辺回路につい
て、回路構成の概略を示す回路図である。
【図6】上記回転ドラムに搭載されるMRヘッドの一例
について、一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図7】MRヘッドを用いて磁気テープからの信号を再
生する様子を示す模式図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体、2 非磁性支持体、3 中間層、4
磁気記録層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 誠 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4K017 AA03 BA06 CA02 DA03 EH19 FB06 4K018 BA13 BB05 BC28 BC33 BD02 5D006 BA04 BA08 5E040 AA11 AA19 AB03 AB09 AC05 BC01 CA06 NN05 NN06 NN15

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを主体とする中心部の外殻に、Ni
    Fe24、CuFe24、ZnFe24、MnFe24
    のうち少なくとも1種類以上を含有する酸化皮膜を有す
    ることを特徴とする金属磁性粉末。
  2. 【請求項2】 NiFe24、CuFe24、ZnFe
    24、MnFe24のうち少なくとも1種類以上を、3
    重量%以上、30重量%以下の範囲で含有することを特
    徴とする請求項1記載の金属磁性粉末。
  3. 【請求項3】 飽和磁化量(σS)が100emu/g
    以上、150emu/g以下の範囲であることを特徴と
    する請求項1記載の金属磁性粉末。
  4. 【請求項4】 平均長軸長が0.01μm以上、0.1
    5μm以下の範囲であり、X線結晶粒径(Dx)が50
    Å以上、200Å以下の範囲であることを特徴とする請
    求項1記載の金属磁性粉末。
  5. 【請求項5】 非磁性支持体と、金属磁性粉末を含有す
    る磁気記録層とを有する磁気記録媒体において、 当該金属磁性粉末は、Feを主体とする中心部の外殻
    に、NiFe24、CuFe24、ZnFe24、Mn
    Fe24のうち少なくとも1種類以上を含有する酸化皮
    膜を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記金属磁性粉末は、NiFe24、C
    uFe24、ZnFe24、MnFe24のうち少なく
    とも1種類以上を、3重量%以上、30重量%以下の範
    囲で含有することを特徴とする請求項5記載の磁気記録
    媒体。
  7. 【請求項7】 上記金属磁性粉末の飽和磁化量(σS
    が100emu/g、以上150emu/g以下の範囲
    であることを特徴とする請求項5記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記金属磁性粉末の平均長軸長が0.0
    1μm以上、0.15μm以下の範囲であり、上記金属
    磁性粉末のX線結晶粒径(Dx)が50Å以上、200
    Å以下の範囲であることを特徴とする請求項5記載の磁
    気記録媒体。
  9. 【請求項9】 磁気抵抗効果型再生ヘッドを用いた磁気
    記録システムに用いられることを特徴とする請求項5記
    載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 上記磁気記録システムは、ヘリカルス
    キャン磁気記録システムであることを特徴とする請求項
    9記載の磁気記録媒体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20140070916A1 (en) * 2011-10-14 2014-03-13 Murata Manufacturing Co., Ltd. Metal powder and electronic component
US8852314B2 (en) 2005-10-14 2014-10-07 Dowa Electronics Materials Co., Ltd. Method of producing magnetic powder for magnetic recording medium
JP2018148103A (ja) * 2017-03-08 2018-09-20 株式会社豊田中央研究所 磁心用粉末とその製造方法、圧粉磁心および磁性フィルム
JP2018195802A (ja) * 2017-05-16 2018-12-06 株式会社デンソー 磁粉及び磁石

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