JP2001234042A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2001234042A
JP2001234042A JP2000108908A JP2000108908A JP2001234042A JP 2001234042 A JP2001234042 A JP 2001234042A JP 2000108908 A JP2000108908 A JP 2000108908A JP 2000108908 A JP2000108908 A JP 2000108908A JP 2001234042 A JP2001234042 A JP 2001234042A
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polyester
copolymer
block copolymer
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aromatic vinyl
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JP2000108908A
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Yoko Furuta
洋子 古田
Taiji Kawaguchi
泰治 川口
Kazuteru Akiba
和輝 秋葉
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Du Pont Toray Co Ltd
Original Assignee
Du Pont Toray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】柔軟性と高い反発弾性を備え、強靱で十分な耐
屈曲性と引裂強さを有し、しかも射出成形に適し、層状
剥離のない成形品を与える樹脂組成物を提供する。 【解決手段】ポリエステルブロック共重合体にアイオノ
マ樹脂と酸変性芳香族ビニル系共重合体またはポリエス
テル−芳香族ビニル系共重合体ブロックコポリマを配合
することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、柔軟かつ高い反発
弾性を備え、強靱で十分な耐屈曲疲労性と引裂強さを有
し、しかも溶融時の流動性が良好なため射出成形に適
し、層状剥離のない成形品を与える樹脂組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ポリブチレンテレフタレート単位のよう
な結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントと
し、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールのような脂
肪族ポリエーテル単位および/またはポリラクトンのよ
うな脂肪族ポリエステル単位をソフトセグメントとする
ポリエステルブロック共重合体は、強度、耐衝撃性、弾
性回復性、柔軟性などの機械的性質や低温、高温特性が
優れ、さらに熱可塑性で成形加工が容易であることか
ら、自動車部品および電気・電子部品、繊維、フィルム
などに用途を拡大している。このように優れた物性を有
するポリエステルブロック共重合体であるが、機械強度
や耐衝撃性の点では不十分で、特に、高速で大きな変形
を与えられた際には、破断してしまうという欠点があ
る。
【0003】一方、α−オレフィンとα,β−不飽和カ
ルボン酸の共重合体を1〜3価の金属イオンで中和した
アイオノマ樹脂は、熱可塑性で成形加工が容易であるう
えに、極めて強靭で、特に高速で大きな変形を与えられ
た際にも破断しにくい。このように有用なアイオノマ樹
脂であるが、柔軟性が不足していて硬い感触があり、ま
た、ゴム的な反発弾性も十分ではない。
【0004】そこで、ポリエステルブロック共重合体と
アイオノマ樹脂を混合することによって、両者の欠点を
補い合った樹脂組成物を製造することが試みられてい
る。例えば特開昭51−143055号公報と特開昭5
1−36268号公報に、ポリエステルブロック共重合
体とアイオノマ樹脂を混合した樹脂組成物が開示されて
いる。しかし、ポリエステルブロック共重合体とアイオ
ノマ樹脂は、それほど相溶性に優れた組合せではないた
め、開示された上記の樹脂組成物も、高い溶融張力を有
する樹脂組成物や、透明で引張破断伸度や衝撃強度に優
れ、適度な柔軟性を示す樹脂組成物であるものの、耐屈
曲疲労性のような繰り返し変形を受けた場合の耐久性
や、引裂強さのような機械的物性や、例えば射出成形に
よって長い形状の成形品を製造する場合のように樹脂が
配向しやすい成形品における層状剥離の点においては、
不十分な性能を有するものであった。そこで、このよう
な樹脂組成物を、さらに改良する試みがなされている。
例えば、特開昭59−184251号公報にはポリエス
テルブロック共重合体にアイオノマ樹脂とα−オレフィ
ンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなる樹
脂組成物が、特表平6−50308号公報にはポリエス
テルブロック共重合体とアイオノマ樹脂とエポキシ含有
化合物を含む樹脂組成物が、特開平9−176429号
公報にはポリエステルブロック共重合体とアイオノマ樹
脂とエポキシ化ジエン系ブロック共重合体からなる樹脂
組成物が開示されている。確かに、上記3つの公報に開
示された樹脂組成物は、ポリエステルブロック共重合体
とアイオノマ樹脂の相溶性を改良することによって、層
状剥離が改善されたり、柔軟性と反発弾性に優れた樹脂
組成物になっていたりするが、これらのようなエポキシ
基含有重合体を配合すると、樹脂組成物の溶融粘度が上
昇して高粘度となってしまい、押出成形やブロー成形に
は有利であっても、射出成形には不向きな材料となるこ
とが多かった。
【0005】したがって、柔軟かつ高い反発弾性を備
え、強靱で十分な耐屈曲疲労性と引裂強さを有し、しか
も溶融時の流動性が良好で射出成形に適し、層状剥離の
ない成形品を与える樹脂組成物は見いだされていない現
状にあった。
【0006】また、特開平10−147690号公報に
は、ポリエステル系樹脂と付加重合系ブロック共重合体
とポリエステル系ブロック共重合体とアイオノマ樹脂と
からなる熱可塑性重合体組成物が開示されている。ここ
に開示された熱可塑性重合体組成物は引張強度や曲げ強
度の高い材料であるが、曲げ弾性率なども極めて高い硬
い素材であって、柔軟性と高い反発弾性を備えたゴム的
な素材ではない。また、十分な耐屈曲疲労性を備えたも
のではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
ポリエステルブロック共重合体とアイオノマ樹脂の両者
の欠点を補いあって、破断強さや衝撃強さなどが高く、
適度な柔軟性と高い反発弾性などのゴム的性質を有し、
特に耐屈曲疲労性などの耐久性と引裂強さに優れ、しか
も溶融粘度が低く射出成形性が良好で、層状剥離のない
成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を得るべく検討した
結果、ポリエステルブロック共重合体とアイオノマ樹脂
と、特定の共重合体を配合した熱可塑性樹脂組成物が、
良好な性能を有することを見いだし本発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(1)主として
結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重
合体セグメント(a1)と、主として脂肪族ポリエーテ
ル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる
低融点重合体セグメント(a2)とを主たる構成成分と
するポリエステルブロック共重合体(A)5〜95重量
%、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル
(b3)を含有していてもよいα−オレフィン(b1)
と炭素原子数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸(b
2)の共重合体を1〜3価の金属イオン(b4)で中和
したアイオノマ樹脂(B)95〜5重量%、およびポリ
エステルブロック共重合体(A)とアイオノマ樹脂
(B)の合計100重量部に対し、芳香族ビニル系単量
体(c1)と、共役ジエン(c2)とからなるブロック
またはランダム共重合体(C1)および/またはそれら
の水素添加物(C2)の酸変性物である酸変性芳香族ビ
ニル系共重合体(C)1〜40重量部を配合した熱可塑
性樹脂組成物であること、(2)主として結晶性芳香族
ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメン
ト(a1)と、主として脂肪族ポリエーテル単位および
/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体
セグメント(a2)とを主たる構成成分とするポリエス
テルブロック共重合体(A)5〜95重量%、アクリル
酸エステルまたはメタクリル酸エステル(b3)を含有
していてもよいα−オレフィン(b1)と炭素原子数3
〜8のα,β−不飽和カルボン酸(b2)の共重合体を
1〜3価の金属イオン(b4)で中和したアイオノマ樹
脂(B)95〜5重量%、およびポリエステルブロック
共重合体(A)とアイオノマ樹脂(B)の合計100重
量部に対し、ポリエステルからなるブロック(D1)
と、芳香族ビニル系単量体と共役ジエンとからなるブロ
ックまたはランダム共重合体(d1)および/またはそ
れらの水素添加物(d2)から形成されるブロック(D
2)とからなるポリエステル−芳香族ビニル系共重合体
ブロックコポリマ(D)1〜40重量部を配合した熱可
塑性樹脂組成物であること、さらに、前記酸変性芳香族
ビニル系共重合体(C)が、スチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体またはスチレン−イソプレンブロック共重
合体および/またはそれらの水素添加物の無水マレイン
酸変性物であること、さらに、前記ポリエステル−芳香
族ビニル系共重合体ブロックコポリマ(D)におけるポ
リエステルブロック(D1)が芳香族ポリエステルであ
り、芳香族ビニル系単量体と共役ジエンとからなるブロ
ックまたはランダム共重合体(d1)および/またはそ
れらの水素添加物(d2)から形成されるブロック(D
2)が芳香族ビニル系単量体と共役ジエンからなるブロ
ック共重合体および/またはその水素添加物であるこ
と、さらに、前記ポリエステル−芳香族ビニル系共重合
体ブロックコポリマ(D)におけるポリエステルブロッ
ク(D1)がポリブチレンテレフタレートであり、芳香
族ビニル系単量体と共役ジエンとからなるブロックまた
はランダム共重合体(d1)および/またはそれらの水
素添加物(d2)から形成されるブロック(D2)がス
チレン−ブタジエンブロック共重合体またはスチレン−
イソプレンブロック共重合体および/またはそれらの水
素添加物であること、さらに、前記高融点結晶性重合体
セグメント(a1)が、主にポリブチレンテレフタレー
ト単位で構成されること、さらに、前記低融点重合体セ
グメント(a2)がポリ(テトラメチレンオキシド)グ
リコール単位で構成されること、さらに、前記ポリエス
テルブロック共重合体(A)における低融点重合体セグ
メント(a2)の共重合量が15〜90重量%であるこ
と、さらに、前記ポリエステルブロック共重合体(A)
における低融点重合体セグメント(a2)の共重合量が
50〜90重量%であること、さらに、前記アイオノマ
樹脂(B)が、異なる金属イオンで中和されたものを組
合わせた2種以上のアイオノマ樹脂からなる熱可塑性樹
脂組成物であること、さらに、ASTM D−2240
に従って測定したデュロメーター硬度が25D〜70D
であること、さらに、BS規格903に従って測定した
反発弾性率が40〜90%であること、さらに、AST
M D−2240に従って測定したデュロメーター硬度
が25D〜70Dであり、かつBS規格903に従って
測定した反発弾性率が40〜90%であること、がいず
れも好ましい条件であり、これらの条件を適用すること
により、一層優れた効果の取得を期待することができ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
【0010】本発明に用いられるポリエステルブロック
共重合体(A)の高融点結晶性重合体セグメント(a
1)は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性
誘導体と脂肪族ジオールから形成されるポリエステルで
あり、好ましくはテレフタル酸および/またはジメチル
テレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導され
るポリブチレンテレフタレートであるが、この他に、イ
ソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボ
ン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル
−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカル
ボン酸、5−スルホイソフタル酸、あるいはこれらのエ
ステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分と、分子量
300以下のジオール、例えば、エチレングリコール、
トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、
ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメ
チロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコー
ル、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2
−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4
−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビ
ス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロ
ヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニ
ル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニル
などの芳香族ジオールなどから誘導されるポリエステ
ル、あるいはこれらのジカルボン酸成分およびジオール
成分を2種以上併用した共重合ポリエステルであっても
良い。また、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官
能オキシ酸成分および多官能ヒドロキシ成分などを5モ
ル%以下の範囲で共重合することも可能である。
【0011】本発明に用いられるポリエステルブロック
共重合体(A)の低融点重合体セグメント(a2)は、
脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステル
である。脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレン
オキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グ
リコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコー
ル、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチ
レンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ
(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド
付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの
共重合体などが挙げられる。また、脂肪族ポリエステル
としては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナント
ラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペ
ート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。これ
らの脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエス
テルのなかで得られるポリエステルブロック共重合体の
弾性特性からポリ(テトラメチレンオキシド)グリコー
ル、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレン
オキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブ
チレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが好ま
しく、これらの中でも特にポリ(テトラメチレンオキシ
ド)グリコールが好ましい。また、これらの低融点重合
体セグメントの数平均分子量としては共重合された状態
において300〜6000程度であることが好ましい。
【0012】本発明に用いられるポリエステルブロック
共重合体(A)における低融点重合体セグメント(a
2)の共重合量は、好ましくは15〜90重量%で、さ
らに好ましくは50〜90重量%である。
【0013】本発明に用いられるポリエステルブロック
共重合体(A)は公知の方法で製造することができる。
例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過
剰量の低分子量グリコール、および低融点重合体セグメ
ント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得ら
れる反応生成物を重縮合する方法。あるいはジカルボン
酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント
成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反
応生成物を重縮合する方法。また、あらかじめ高融点結
晶性セグメントを作っておき、これに低融点セグメント
成分を添加してエステル交換反応によりランダム化せし
める方法。高融点結晶性セグメントと低融点重合体セグ
メントを鎖連結剤でつなぐ方法。さらにポリ(ε−カプ
ロラクトン)を低融点重合体セグメントに用いる場合
は、高融点結晶性セグメントにε−カプロラクトンモノ
マを付加反応させるなど、いずれの方法をとってもよ
い。
【0014】本発明に用いられるアイオノマ樹脂(B)
を構成するα−オレフィン(b1)の具体例としては、
エチレン、プロピレン、ブテン−1などが挙げられ、こ
のなかでもエチレンが好ましい。
【0015】本発明に用いられるアイオノマ樹脂(B)
を構成する炭素原子数3〜8のα,β−不飽和カルボン
酸(b2)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル
酸、エタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げ
られるが、このなかでもアクリル酸、メタクリル酸が好
ましく使用される。共重合体中のα,β−不飽和カルボ
ン酸成分の共重合量は、好ましくは0.2〜25モル
%、特に好ましくは1〜10モル%である。
【0016】本発明に用いられるアイオノマ樹脂(B)
は、上記のようなα−オレフィン(b1)と、炭素原子
数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸(b2)に加え
て、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル
(b3)を共重合したものであってもよい。アクリル酸
エステルまたはメタクリル酸エステル(b3)の具体例
としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸イソブチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどを挙
げることができるが、これらの中でもアクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチルなどが
好ましく使用される。
【0017】本発明に用いられるアイオノマ樹脂(B)
は、上記成分からなる共重合体を1〜3価の金属イオン
(b4)で中和したものであるが、中和に適した1〜3
価の金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチ
ウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウ
ム、第1鉄、第2鉄イオンなどが挙げられる。共重合体
へのイオンの導入は、共重合体に1〜3価金属の水酸
塩、メトキシド、エトキシド、炭酸塩、硝酸塩、ギ酸
塩、酢酸塩および酸化物などを反応させることによって
達成される。共重合体中のカルボン酸基の少なくとも1
0%が金属イオンによって中和されていることが好まし
い。
【0018】本発明に用いられるアイオノマ樹脂(B)
は、異なる金属イオンで中和されたものを組合わせた2
種以上のアイオノマ樹脂からなることが好ましい。異な
るイオンタイプのアイオノマ樹脂を組み合わせて使用す
ることによって、溶融時の流動性と耐屈曲疲労性や引裂
強さのバランスがさらに良好なものとなる。
【0019】アイオノマ樹脂(B)の配合量は、強靱
性、柔軟性、反発弾性の観点からポリエステルブロック
共重合体(A)5〜95重量%に対して95〜5重量
%、好ましくは90〜10重量%、特に好ましくは80
〜20重量%である。
【0020】本発明に用いられる酸変性芳香族ビニル系
共重合体(C)の芳香族ビニル系単量体(c1)は、ス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メ
チルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−エチルス
チレン、o,p−ジクロルスチレンなどである。これら
の中でもスチレンが好ましい。
【0021】本発明に用いられる酸変性芳香族ビニル系
共重合体(C)の共役ジエン(c2)は、ブタジエン、
イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジ
エン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,
3−オクタジエン、3−ブタル−1,3−オクタジエ
ン、クロロプレンなどである。これらの中でもブタジエ
ンとイソプレンが好ましい。
【0022】本発明に用いられる酸変性芳香族ビニル系
共重合体(C)は、これらの芳香族ビニル系単量体と共
役ジエンとからなるジブロック、トリブロック、マルチ
ブロックなどのブロック共重合体またはランダム共重合
体および/またはそれらの水素添加物を、カルボキシル
基含有不飽和化合物または酸無水物含有不飽和化合物な
どによって変性したものである。カルボキシル基含有不
飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げ
られる。酸無水物含有不飽和化合物としては、無水マレ
イン酸、無水イタコン酸、クロロ無水マレイン酸、無水
シトラコン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無
水フタル酸などが挙げられる。これらの中でも、スチレ
ンとブタジエンあるいはイソプレンから得られるブロッ
ク共重合体および/またはその水素添加物を無水マレイ
ン酸で変性したものが好ましい。
【0023】本発明の樹脂組成物においては、ポリエス
テルブロック共重合体(A)とアイオノマ樹脂(B)の
合計100重量部に対し、酸変性芳香族ビニル系共重合
体(C)を、耐屈曲疲労性、引裂強さ、層状剥離を考慮
して1〜40重量部、好ましくは2〜30重量部、特に
好ましくは3〜20重量部配合する。
【0024】本発明に用いられるポリエステル−芳香族
ビニル系共重合体ブロックコポリマ(D)のポリエステ
ルからなるブロック(D1)としては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ−
1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポ
リカプロラクトン、ポリブチレンアジペートなどを挙げ
ることができる。これらの中でも芳香族ポリエステルが
好ましく、特にポリブチレンテレフタレートが好まし
い。
【0025】本発明に用いられるポリエステル−芳香族
ビニル系共重合体ブロックコポリマ(D)の芳香族ビニ
ル系単量体と共役ジエンとからなるブロックまたはラン
ダム共重合体(d1)および/またはそれらの水素添加
物(d2)から形成されるブロック(D2)としては、
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−
メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−エチル
スチレン、o,p−ジクロルスチレンなどの芳香族ビニ
ル系単量体と、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2
−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエ
ン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブ
タル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどの共役
ジエンから得られるブロックまたはランダム共重合体お
よび/またはそれらの水素添加物を挙げることができ
る。これらの中でも、スチレンとブタジエンあるいはイ
ソプレンから得られるブロック共重合体および/または
その水素添加物が好ましい。
【0026】本発明に用いられるポリエステル−芳香族
ビニル系共重合体ブロックコポリマ(D)は、ポリエス
テルからなるブロック(D1)と、芳香族ビニル系単量
体と共役ジエンとからなるブロックまたはランダム共重
合体(d1)および/またはそれらの水素添加物(d
2)から形成されるブロック(D2)とを共重合してブ
ロックコポリマとしたものであり、中でもポリブチレン
テレフタレートからなるブロックと、スチレン−ブタジ
エンブロック共重合体またはスチレン−イソプレンブロ
ック共重合体および/またはそれらの水素添加物からな
るブロックを化学的に結合してなるブロックコポリマが
好ましい。ブロックコポリマの種類としては、ポリエス
テルからなるブロック(D1)1個と、芳香族ビニル系
単量体と共役ジエンとからなるブロックまたはランダム
共重合体(d1)および/またはそれらの水素添加物
(d2)から形成されるブロック(D2)1個とが結合
しているジブロックコポリマ、ポリエステルからなるブ
ロック(D1)を挟んでその両側にそれぞれ芳香族ビニ
ル系単量体と共役ジエンとからなるブロックまたはラン
ダム共重合体(d1)および/またはそれらの水素添加
物(d2)から形成されるブロック(D2)1個ずつが
結合しているトリブロック共重合体、芳香族ビニル系単
量体と共役ジエンとからなるブロックまたはランダム共
重合体(d1)および/またはそれらの水素添加物(d
2)から形成されるブロック(D2)を挟んでその両側
にポリエステルからなるブロック(D1)1個ずつが結
合しているトリブロック共重合体、ポリエステルからな
るブロック(D1)と、芳香族ビニル系単量体と共役ジ
エンとからなるブロックまたはランダム共重合体(d
1)および/またはそれらの水素添加物(d2)から形
成されるブロック(D2)が交互に合計で4個またはそ
れ以上の個数で結合しているマルチブロック共重合体な
どを挙げることができる。
【0027】本発明の樹脂組成物においては、ポリエス
テルブロック共重合体(A)とアイオノマ樹脂(B)の
合計100重量部に対し、ポリエステル−芳香族ビニル
系共重合体ブロックコポリマ(D)を、耐屈曲疲労性、
引裂強さ、層状剥離を考慮して1〜40重量部、好まし
くは2〜30重量部、特に好ましくは3〜20重量部配
合する。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は
特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル
ブロック共重合体(A)、アイオノマ樹脂(B)、酸変
性芳香族ビニル系共重合体(C)またはポリエステル−
芳香族ビニル系共重合体ブロックコポリマ(D)を一緒
に配合した原料をスクリュー型押出機に供給し溶融混練
する方法、およびスクリュー型押出機にポリエステルブ
ロック共重合体(A)を供給して溶融し、さらに他の供
給口からアイオノマ樹脂(B)と酸変性芳香族ビニル系
重合体(C)またはポリエステル−芳香族ビニル系共重
合体ブロックコポリマ(D)を供給混練する方法、スク
リュー型押出機にアイオノマ樹脂(B)を供給して溶融
し、さらに他の供給口からポリエステルブロック共重合
体(A)および芳香族ビニル系重合体(C)またはポリ
エステル−芳香族ビニル系共重合体ブロックコポリマ
(D)を供給混練する方法などが挙げられる。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ASTM
D−2240に従って測定したデュロメーター硬度が
25D〜70Dの柔軟なものであることが好ましい。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、BS規格
903に従って測定した反発弾性率が40〜90%と高
いものであることが好ましい。
【0031】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ASTM
D−2240に従って測定したデュロメーター硬度が
25D〜70Dの柔軟なものであり、かつBS規格90
3に従って測定した反発弾性率が40〜90%と高いも
のであることが好ましい。
【0032】また本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本
発明の目的を損なわない範囲で、種々の添加剤を添加す
ることができる。例えば公知のヒンダードフェノール
系、ホスファイト系、チオエーテル系、芳香族アミン系
などの酸化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ
ール系、ヒンダードアミン系などの耐光剤、顔料、染料
などの着色剤、帯電防止剤、導電剤、難燃剤、補強剤、
充填剤、可塑剤、離型剤などを任意に含有せしめること
ができる。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂組成物は射出成形な
どにより成形品とされ、柔軟かつ高い反発弾性を備え、
強靱で十分な耐屈曲疲労性と引裂強さを有し、しかも層
状剥離のない成形品を与える。溶融時の流動性に優れる
ため長尺成形品の成形も容易である。このため、自動
車、電子・電気機器、精密機器、一般消費財用途の成形
品などに有用である。
【0034】
【実施例】以下に実施例によって本発明の効果を説明す
る。なお、実施例中の%および部とは、ことわりのない
場合すべて重量基準である。また、例中に示される物性
は次のように測定した。 [融点]差動走査熱量計(Du Pont社製DSC−
910型)を使用して、窒素ガス雰囲気下、10℃/分
の昇温速度で加熱した時の融解ピークの頂上温度を測定
した。 [溶融粘度指数(MFR値)]ASTM D−1238
に従って荷重2160gで測定した。 [硬度(デュロメーターD)]ASTM D−2240
に従って測定した。 [反発弾性率]BS規格903に従って測定した。 [耐屈曲疲労性]80℃で5時間乾燥した各ペレットを
温度230℃でプレス成形して、厚さ2mm、幅20m
mの試験片を作った。この試験片を用いて下記の条件で
耐屈曲疲労性を試験し、50万回の屈曲サイクル後の亀
裂長さを測定した。
【0035】試験条件: 試験機 :デマッチャ屈曲疲労試験機 試験温度 :23℃ チャック間距離:25mm←→5.6mm 屈曲サイクル :300回/分 この試験において、発生した亀裂の長さが短い方が耐久
性に優れる。 [引裂強さ]ASTM D−624に従って測定した。
ダイはタイプCを用い、2mm厚さの試験片で測定し
た。 [参考例] [ポリエステルブロック共重合体(A−1)の製造]テ
レフタル酸234部、1,4−ブタンジオール215部
および数平均分子量約2000のポリ(テトラメチレン
オキシド)グリコール723部をチタンテトラブトキシ
ド2部と共にヘリカルリボン型攪拌翼を備えた反応容器
に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を
系外に留出しながらエステル化反応をおこなった。反応
混合物に”イルガノックス”1010(チバガイギー社
製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.5部を添加
した後、245℃に昇温し、次いで40分かけて系内の
圧力を27Paの減圧とし、その条件下で2時間50分
重合をおこなった。得られたポリマを水中にストランド
状で吐出し、カッティングをおこなってペレットとし
た。 [ポリエステルブロック共重合体(A−2)の製造]ジ
メチルテレフタレート406部、1,4−ブタンジオー
ル257部、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコー
ル(数平均分子量約1400)576部を、チタンテト
ラブトキシド1.5部およびトリメリット酸無水物3部
と共にヘリカルリボン型攪拌翼を備えた反応容器に仕込
み、210℃で2時間30分加熱して、理論メタノール
量の95%のメタノールを系外に留出させた。反応混合
物に”イルガノックス”1010 0.75部を添加し
た後、245℃に昇温し、次いで40分かけて系内の圧
力を27Paの減圧とし、その条件下で2時間40分重
合をおこなった。得られたポリマを水中にストランド状
で吐出し、カッティングをおこなってペレットとした。 [ポリエステルブロック共重合体(A−3)の製造]テ
レフタル酸100部、1,4−ブタンジオール110
部、テトラブチルチタネート0.05部を精留塔および
ヘリカルリボン型攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、1
90〜225℃で加熱して反応水を系外に留出しながら
エステル交換反応をおこなった。その後、反応物を重合
缶に移液し、250℃に昇温しつつ、系内の圧力を27
Paの減圧とし、その条件下で2時間重合をおこなっ
た。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カ
ッティングをおこなって融点225℃のポリブチレンテ
レフタレートを得た。該ポリブチレンテレフタレートと
ε−カプロラクトンをそれぞれ0.9kg/hr、1.
7kg/hrで直径30mm、L/D=40、中間部と
先端部に長さ200mmの混練ユニットを有する3条ネ
ジタイプスクリューを備えた2軸押し出し機の最後部供
給口に供給し、シリンダー中間部の設定温度を240
℃、スクリュー回転数30rpmで付加重合反応をおこ
なった。ダイスからポリマを水中にストランド状で吐出
し、カッティングをおこなってペレットとした。該ペレ
ット100部、トリフェニルホスフィン0.1部を直径
30mm、L/D=40でフルフライトスクリューを備
えたベント付き単軸押し出し機を使用して、ベント口の
真空度1330Pa、押し出し温度200℃で混練し、
脱ε−カプロラクトンと触媒失活をおこない、ダイスか
らポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティング
をおこなってペレットとした。プロトンNMR分析の結
果ポリカプロラクトンからなるセグメントの共重合量は
55wt%であった。
【0036】表1にA−1、A−2、A−3の組成と物
性を示す。なお、表中、低融点重合体セグメントの種類
で、PTMGはポリ(テトラメチレンオキシド)グリコ
ールを表し、数字は数平均分子量を示す。
【0037】
【表1】 [アイオノマ樹脂]下記実施例において使用したアイオ
ノマ樹脂を表2に示す。
【0038】
【表2】 [酸変性芳香族ビニル系共重合体]下記実施例において
使用した酸変性芳香族ビニル系共重合体を表3に示す。
【0039】
【表3】 [ポリエステル−芳香族ビニル系共重合体ブロックコポ
リマ]下記実施例において使用したポリエステル−芳香
族ビニル系共重合体ブロックコポリマを表4に示す。
【0040】
【表4】 [実施例1〜12]参考例で得られたポリエステルブロ
ック共重合体(A−1)、(A−2)、(A−3)に、
アイオノマ樹脂(B−1)、(B−2)および本発明の
酸変性芳香族ビニル系共重合体(C−1)、(C−
2)、(C−3)、(C−4)、または本発明のポリエ
ステル−芳香族ビニル系共重合体ブロックコポリマ(D
−1)、(D−2)を表5に示す配合比率でV−ブレン
ダーを用いて混合し、直径45mmで3条ネジタイプの
スクリューを有する2軸押出機を用いて240℃で溶融
混練し、ペレット化した。
【0041】
【表5】 これらのペレットを用いて、溶融粘度指数(MFR)、
硬度、反発弾性率、耐屈曲疲労性、引裂強さを測定し
た。結果を表6に示す。
【0042】
【表6】 [比較例1〜10]表7に示す配合比率で、酸変性芳香
族ビニル系共重合体あるいはポリエステル−芳香族ビニ
ル系共重合体ブロックコポリマを配合しないで実施例1
〜12と同様に溶融混練し、ペレット化した。これらの
ペレットを用いて実施例1〜12と同様に物性を評価し
た。結果を表8に示す。 [比較例11〜13]ポリエステルブロック共重合体の
代わりにポリブチレンテレフタレート(P−1)を用い
て、表7に示す配合比率で実施例1〜12と同様に溶融
混練し、ペレット化した。このペレットを用いて実施例
1〜12と同様に物性を評価した。結果を表8に示す。 [比較例14〜16]参考例で得られたポリエステルブ
ロック共重合体(A−1)、(A−2)、(A−3)そ
のもののペレットを用いて、実施例1〜12と同様に物
性を評価した。結果を表8に示す。
【0043】
【表7】
【0044】
【表8】 実施例に示す本発明の熱可塑性樹脂組成物は、柔軟性と
高い反発弾性率を有し、さらに耐屈曲疲労性に優れ、引
裂強さが大きい。これに対し、比較例に示した本発明の
酸変性芳香族ビニル系共重合体あるいはポリエステル−
芳香族ビニル系共重合体ブロックコポリマを含有しない
熱可塑性樹脂組成物や、本発明のポリエステルブロック
共重合体以外のポリエステル樹脂を用いた樹脂組成物
や、ポリエステルブロック共重合体そのものは、耐屈曲
疲労性が劣り、引裂強さも小さい。 [実施例13〜15]参考例で得られたポリエステルブ
ロック共重合体(A−1)に、アイオノマ樹脂(B−
3)、(B−4)、および本発明の酸変性芳香族ビニル
系共重合体(C−2)、またはポリエステル−芳香族ビ
ニル系共重合体ブロックコポリマ(D−2)を表9に示
す配合比率でV−ブレンダーを用いて混合し、直径45
mmで3条ネジタイプのスクリューを有する2軸押出機
を用いて240℃で溶融混練し、ペレット化した。これ
らのペレットを用いて溶融粘度指数(MFR)、硬度、
反発弾性率を測定した。また、80℃で5時間乾燥した
各ペレットを、温度240℃で射出成形することによっ
て、幅20mm、長さ300mm、厚さ2mmの平板状
の成形品を得た。成形品の表面に表層剥離が発生してい
ないかどうかを肉眼で観察した。結果を表9に示す。 [比較例17〜19]表9に示す配合比率で実施例13
〜15と同様に溶融混練し、ペレット化した。これらの
ペレットを用いて、実施例13〜15と同様に評価し
た。結果を表9に示す。
【0045】
【表9】 実施例に示す本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形した
成形品には、表層剥離が観察されなかった。これに対
し、比較例に示した本発明の樹脂組成物を構成する酸変
性芳香族ビニル系共重合体やポリエステル−芳香族ビニ
ル系共重合体ブロックコポリマを含有しない熱可塑性樹
脂組成物から成形した成形品には、表層剥離が観察され
た。 [比較例20〜22]本発明の樹脂組成物を構成する酸
変性芳香族ビニル系共重合体やポリエステル−芳香族ビ
ニル系共重合体ブロックコポリマとは異なるエポキシ変
性芳香族ビニル系重合体(S−1)、(S−2)を用い
て表9に示す配合比率で実施例13〜15と同様に溶融
混練し、ペレット化した。これらのペレットを用いて、
実施例13〜15と同様に射出成形を試みた。しかし、
溶融粘度が高すぎて、金型内に樹脂を十分に流し込むこ
とができなかった。
【0046】
【発明の効果】本発明の、ポリエステルブロック共重合
体にアイオノマ樹脂と酸変性芳香族ビニル系共重合体ま
たはポリエステル−芳香族ビニル系共重合体ブロックコ
ポリマを配合した熱可塑性樹脂組成物は、柔軟で高い反
発弾性を備え、強靱で十分な耐屈曲疲労性と引裂強さを
有し、しかも溶融時の流動性が良好なため射出成形に適
し、層状剥離のない成形品を与えることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08F 212/02 C08F 212/02 (72)発明者 秋葉 和輝 愛知県名古屋市港区本星崎町字北3804番地 の19 東レ・デュポン株式会社名古屋事業 場内 Fターム(参考) 4J002 BB23X BC053 BP013 BP033 CF10W CF17W FD070 FD080 4J031 AA38 AA49 AB01 AD01 AF10

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主として結晶性芳香族ポリエステル単位か
    らなる高融点結晶性重合体セグメント(a1)と、主と
    して脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリ
    エステル単位からなる低融点重合体セグメント(a2)
    とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合
    体(A)5〜95重量%、アクリル酸エステルまたはメ
    タクリル酸エステル(b3)を含有していてもよいα−
    オレフィン(b1)と炭素原子数3〜8のα,β−不飽
    和カルボン酸(b2)の共重合体を1〜3価の金属イオ
    ン(b4)で中和したアイオノマ樹脂(B)95〜5重
    量%、およびポリエステルブロック共重合体(A)とア
    イオノマ樹脂(B)の合計100重量部に対し、芳香族
    ビニル系単量体(c1)と、共役ジエン(c2)とから
    なるブロックまたはランダム共重合体(C1)および/
    またはそれらの水素添加物(C2)の酸変性物である酸
    変性芳香族ビニル系共重合体(C)1〜40重量部を配
    合した熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】主として結晶性芳香族ポリエステル単位か
    らなる高融点結晶性重合体セグメント(a1)と、主と
    して脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリ
    エステル単位からなる低融点重合体セグメント(a2)
    とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合
    体(A)5〜95重量%、アクリル酸エステルまたはメ
    タクリル酸エステル(b3)を含有していてもよいα−
    オレフィン(b1)と炭素原子数3〜8のα,β−不飽
    和カルボン酸(b2)の共重合体を1〜3価の金属イオ
    ン(b4)で中和したアイオノマ樹脂(B)95〜5重
    量%、およびポリエステルブロック共重合体(A)とア
    イオノマ樹脂(B)の合計100重量部に対し、ポリエ
    ステルからなるブロック(D1)と、芳香族ビニル系単
    量体と共役ジエンとからなるブロックまたはランダム共
    重合体(d1)および/またはそれらの水素添加物(d
    2)から形成されるブロック(D2)とからなるポリエ
    ステル−芳香族ビニル系共重合体ブロックコポリマ
    (D)1〜40重量部を配合した熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記酸変性芳香族ビニル系共重合体(C)
    が、スチレン−ブタジエンブロック共重合体またはスチ
    レン−イソプレンブロック共重合体および/またはそれ
    らの水素添加物の無水マレイン酸変性物である請求項1
    に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記ポリエステル−芳香族ビニル系共重合
    体ブロックコポリマ(D)におけるポリエステルからな
    るブロック(D1)が芳香族ポリエステルであり、芳香
    族ビニル系単量体と共役ジエンとからなるブロックまた
    はランダム共重合体(d1)および/またはそれらの水
    素添加物(d2)から形成されるブロック(D2)が芳
    香族ビニル系単量体と共役ジエンからなるブロック共重
    合体および/またはその水素添加物である請求項2に記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】前記ポリエステル−芳香族ビニル系共重合
    体ブロックコポリマ(D)におけるポリエステルからな
    るブロック(D1)がポリブチレンテレフタレートであ
    り、芳香族ビニル系単量体と共役ジエンとからなるブロ
    ックまたはランダム共重合体(d1)および/またはそ
    れらの水素添加物(d2)から形成されるブロック(D
    2)がスチレン−ブタジエンブロック共重合体またはス
    チレン−イソプレンブロック共重合体および/またはそ
    れらの水素添加物である請求項2に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】前記高融点結晶性重合体セグメント(a
    1)が、主にポリブチレンテレフタレート単位で構成さ
    れる請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】前記低融点重合体セグメント(a2)がポ
    リ(テトラメチレンオキシド)グリコール単位で構成さ
    れる請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  8. 【請求項8】前記ポリエステルブロック共重合体(A)
    における低融点重合体セグメント(a2)の共重合量が
    15〜90重量%である請求項1〜7のいずれか1項に
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】前記ポリエステルブロック共重合体(A)
    における低融点重合体セグメント(a2)の共重合量が
    50〜90重量%である請求項1〜8のいずれか1項に
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】前記アイオノマ樹脂(B)が、異なる金
    属イオンで中和されたものを組合わせた2種以上のアイ
    オノマ樹脂からなる請求項1〜9のいずれか1項に記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】ASTM D−2240に従って測定し
    たデュロメーター硬度が25D〜70Dである請求項1
    〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】BS規格903に従って測定した反発弾
    性率が40〜90%である請求項1〜11のいずれか1
    項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】ASTM D−2240に従って測定し
    たデュロメーター硬度が25D〜70Dであり、かつB
    S規格903に従って測定した反発弾性率が40〜90
    %である請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱可塑
    性樹脂組成物。
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JP2012530808A (ja) * 2009-06-19 2012-12-06 ポリワン コーポレイション 酸素を捕捉するターポリマー
US10626270B2 (en) 2016-03-04 2020-04-21 Toyobo Co., Ltd. Polyester elastomer resin composition for blow molding

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