JP2001232943A - 光情報記録媒体の製造方法、色素溶液及び光情報記録媒体 - Google Patents

光情報記録媒体の製造方法、色素溶液及び光情報記録媒体

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JP2001232943A
JP2001232943A JP2000047649A JP2000047649A JP2001232943A JP 2001232943 A JP2001232943 A JP 2001232943A JP 2000047649 A JP2000047649 A JP 2000047649A JP 2000047649 A JP2000047649 A JP 2000047649A JP 2001232943 A JP2001232943 A JP 2001232943A
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JP2000047649A
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Michihiro Shibata
路宏 柴田
Naoki Saito
直樹 斎藤
Shinichi Morishima
慎一 森嶌
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な記録再生特性(特に、ジッタの低減)
を示し、より低コストで製造することができる光情報記
録媒体の製造方法を提供すること。 【解決手段】 表面にトラックピッチが0.2〜1.0
μmのプリグルーブが形成された透明な円盤状基板上に
レーザ光の照射による情報の記録が可能な色素記録層を
塗布形成する工程を含む光情報記録媒体(DVD−Rで
代表される光情報記録媒体)の製造方法において、該色
素記録層の形成を、ヒドロキシカルボン酸エステル(特
に乳酸エステル)を主成分として含む溶剤に特定の一般
式で表されるオキソノール色素あるいはシアニン色素を
溶解して調製した塗布液を基板上に塗布し、乾燥するこ
とにより光情報記録媒体の製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、追記型の光情報記
録媒体の製造方法、色素溶液、及び該色素溶液を用いて
製造した光情報記録媒体に関するものである。本発明は
特に、DVD−Rと一般的に呼ばれている追記型の光情
報記録媒体の製造方法、その製造に適した色素溶液、及
び該色素溶液を用いて製造したDVD−R型の光情報記
録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザ光により一回限りの情報の記録が
可能な光情報記録媒体(ライトワンス型の光ディスク)
は、追記型CD(所謂CD−R)として知られている。
CD−R型の光ディスクの代表的な構造は、透明な円盤
状基板上に有機色素からなる記録層、金などの金属から
なる反射層、そして樹脂製の保護層がこの順に積層状態
で設けられたものである。このCD−R型の光ディスク
への情報の書き込み(記録)は、一般に近赤外域のレー
ザ光(通常は780nm付近の波長のレーザ光)を光デ
ィスクに照射することにより行われ、色素記録層の被照
射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇が発生し、
その結果として、物理的あるいは化学的な変化(例え
ば、ピットなどの生成)が生じてその光学的特性が変化
することにより行われる。一方、情報の読み取り(再
生)は通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を
光ディスクに照射することにより行われ、色素記録層の
光学的特性が変化した部位(ピットなどの生成による記
録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の
違いを検出することにより実施される。
【0003】最近では、より大きな記録容量を有する光
情報記録媒体が求められており、この要望に対応したも
のとして、追記型DVD(ディジタル・ビデオ・ディス
ク)(DVD−R)が提案されている。たとえば、上記
CD−R型の光ディスクに対応するDVD−R型の光デ
ィスクとして、照射されるレーザ光のトラッキングのた
めの案内溝(プレグルーブ)がCD−R型に比べて、幅
がかなり狭くなり、またトラックピッチも1.0μm以
下と更に小さくなった透明な円盤状基板上に、有機色素
からなる記録層、そして通常は記録層の上に更に金属反
射層および樹脂製の保護層を設けてなる二枚の積層体
を、該記録層を内側にして接着剤で貼り合わせた構造の
もの、あるいは二枚で構成される積層体のうち、その一
枚を円盤状保護基板に代えて、一方の基板のみに記録
層、金属反射層及び樹脂製の保護層を順に設けた構成の
ものが知られている。DVD−R型の光ディスクへの情
報の書き込み(記録)及び読み取り(再生)は、CD−
R型の光ディスクで一般的に用いられている780nm
よりは短波長側のレーザ光(通常は600〜700nm
の波長の範囲のレーザ光)を照射することにより行なわ
れる。
【0004】CD−R型やDVD−R型の光ディスクの
基板材料としては、高い寸法安定性を有するなどの理由
から、ポリカーボネート樹脂が多く用いられている。そ
してこの基板の表面には通常、スパイラル状の案内溝
(プリグルーブ)が形成され、色素記録層はこの表面上
に設けられる。色素記録層の形成は、一般に色素を溶剤
に溶解させた塗布液を調製した後、この塗布液をスピン
コート法を利用して基板上に塗布することにより行われ
ている。光ディスクの記録層形成用の色素としては、シ
アニン系色素(特開平4−175188号公報)、フタ
ロシアニン系色素(特開平10−222884号公報に
記載)、あるいはアゾ系色素の金属錯体などが主に使用
されている。また、光情報記録媒体の記録層製造のため
の色素材料として、有機対イオンを持つシアニン色素な
どの色素が、特開平1−291987号公報、特開平4
−59387号公報、特開平11−48615号公報、
そして特開平11−277904号公報に記載されてい
る。また、同じく、光情報記録媒体の記録層製造のため
の色素材料として、オキソノール色素が特開平11−3
21108号公報に記載されている。
【0005】塗布液調製用の溶剤としては、色素に対し
て高い溶解性を示し、かつ基板材料であるポリカーボネ
ート樹脂を溶解させない性能を有することが要求される
が、このような性能を持つ溶剤として、例えば、特開昭
63−159090号公報に記載のフッ素含有化合物
(特に、フッ素化アルコール)が一般的に用いられてい
る。そして上記公報には、アニオン成分として過塩素イ
オン(ClO4 -)を持つシアニン色素を2,2,3,3
−テトラフルオロ−1−プロパノール溶剤に溶解させて
塗布液を調製した例が記載されている。
【0006】前記特開平10−222884号公報に
は、フタロシアニン色素をヒドロキシカルボン酸エステ
ル溶剤に溶解させた色素溶液(塗布液)を基板上に塗布
して光吸収層(色素記録層)を形成することからなる光
情報記録媒体(CD−R)の製造方法が開示されてい
る。フタロシアニン色素に対しては、溶剤としてヒドロ
キシカルボン酸エステルを用いて調製した塗布液を用い
ることにより、記録再生特性(特に、反射率)が向上し
た光ディスクを製造できると記載されている。そして、
特開平2−165487号公報には、シアニン色素など
のメチン色素の溶剤の例が記載されているが、そのなか
には、ジアセトンアルコールなどと共に、乳酸エチル、
乳酸メチルの記載がある。
【0007】特開平10−244755号公報には、C
D−R型の光記録媒体の色素記録層の色素材料として特
定の構造を持つアゾ系化合物と金属との錯体化合物、イ
ンドレニン系シアニン色素、およびメタロセン系化合物
との組成物を用いることの発明が記載されており、また
その色素組成物の塗布液を調製する際に用いるの溶剤と
して、ケトンアルコール系溶媒、セロソロブ系溶媒、炭
化水素系溶媒、パーフルオロアルキルアルコール系溶
剤、そしてヒドロキシカルボン酸エステル系溶剤が利用
できる旨の記載がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、入手
が容易な材料を用いながら、記録再生特性(特に、ジッ
タの低減)を示す光情報記録媒体を製造する方法を提供
することにある。本発明は特に、DVD−Rのようなト
ラックピッチが狭く、記録再生波長が700nm以下と
いったような短波長の光を発振するレーザを用いる光記
録再生システムに利用するのに適した記録再生特性(特
に、ジッタの低減)を示す光情報記録媒体を製造する方
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、記録特性に
優れる色素記録層を持つ追記型の光情報記録媒体の製造
を工業的に有利に行なう方法を検討する過程において、
色素記録層の色素材料と塗布液組成との関係を研究し
た。その結果、特定の色素材料と特定の塗布液調製用溶
媒とを組合わせて用いた場合に、他の組合わせでは達成
されにくい優れた記録特性を有する色素記録層の形成が
実現できることを見出した。
【0010】すなわち、前述のように、光情報記録媒体
の基板の表面には通常、プリグルーブが形成されている
が、そのプリブルーブ付き基板は一般に、透明性と機械
的特性が優れたポリカーボネートなどの樹脂材料の射出
成形によって製造される。そして、ポリカーボネート基
板の上に色素記録材料溶液をスピンコート法によって塗
布し、乾燥することにより、色素記録層が形成される。
従って、色素記録材料溶液(塗布液)の溶剤は、色素記
録材料を必要量溶解し、かつ樹脂基板(あるいは樹脂基
板の表面上に設けられた被覆層)を溶解させることのな
い溶剤であることが要求されるが、例えば、追記型光情
報記録媒体の色素記録層材料として一般的に使用される
シアニン色素を例にとると、上記の色素溶解性と樹脂不
溶解性とを兼ね備えた溶媒は少ない。従って、現在で
は、そのような好ましい特性を備えた前述のフッ素アル
コールが色素溶媒として一般的に利用されている。
【0011】フッ素アルコールは、シアニン色素などの
各種色素に対して優れた溶解性を示し、ポリカーボネー
トなどの樹脂基板に障害を与えにくい点において、優れ
た溶媒ではあるが、市場価格が比較的高く、追記型光情
報記録媒体の工業的な生産に不利になるという問題があ
る。さらに、本発明者の検討によると、フッ素アルコー
ルを色素溶媒として用いた色素塗布液から形成される色
素記録層の均一性が必ずしも満足できるものとならない
場合があることが判明した。すなわち、本発明者の研究
によると、フッ素アルコールと色素材料との親和性やフ
ッ素アルコールの低い沸点などに起因するものと推定さ
れるが、シアニン系色素のフッ素アルコール溶液を色素
塗布液として用いて、これをプリグルーブが表面に形成
された樹脂基板の表面に塗布し、乾燥して形成した色素
記録層の表面の状態は、プリグルーブの形状がそのまま
反映しにくく、色素記録層は、グルーブ部において厚く
なり、グルーブ間(ランド部)において薄くなる傾向に
ある。そして、その結果として形成される記録層におい
て、グルーブ部でのレーザ光反射特性とランド部でのレ
ーザ光反射特性の差が不充分となり、ジッタが発生しや
すくなるため、記録媒体としての性能が低下しやすいこ
とが判明した。このような現象は特に、DVD−Rのよ
うなトラックピッチが小さくなった光情報記録媒体にお
いて顕著に現われる。
【0012】上記の知見に基づいて、本発明者は、追記
型光情報記録媒体(特に、DVD−R)の色素記録材料
とその塗布形成用の溶媒との関係をさらに研究した。そ
の結果、色素材料としての特定の化学組成を有するオキ
ソノール色素あるいは特定のシアニン色素(具体的に
は、対イオンが有機対イオンであるシアニン色素)と、
溶媒としてのヒドロキシカルボン酸エステル(例、乳酸
メチル、乳酸エチル)との組合わせが、層厚が小さく
て、かつ均一な(すなわち、プリグルーブ付きの基板上
のグルーブ部とランド部とにおける記録層の層厚が高い
均一性を示す)色素記録層を形成するのに特に有効であ
ることを見出し、本発明に到達した。このような、層厚
が小さく、かつ均一な色素記録層を持つ光情報記録媒体
の製造は、トラックピットが小さく、また記録再生用レ
ーザ波長が短く、かつビームスポットが微小であること
を要求されるDVD−Rのような光情報記録媒体を製造
する際に特に重要である。
【0013】従って、本発明は、表面にトラックピッチ
が0.2〜1.0μm(特に、0.4〜0.9μm、さ
らには0.6〜0.8μm)のプリグルーブを有する透
明な円盤状基板の表面上にレーザ光の照射による情報の
記録が可能な色素記録層を塗布形成する工程を含む光情
報記録媒体の製造方法において、該色素記録層の塗布形
成を、ヒドロキシカルボン酸エステルを主成分として含
む溶剤に下記のアニオン性成分とカチオン性成分とから
なる下記一般式(I−1)または(I−2)で表される
オキソノール色素を溶解した塗布液を基板上に塗布し、
乾燥することにより行なうことを特徴とする光情報記録
媒体の製造方法にある。
【0014】
【化10】
【0015】[式中、A1、A2、B1、及びB2は、各々
独立に置換基を表し、Y1及びZ1は、各々独立に、炭素
環もしくは複素環を形成するために必要な原子団を表
し、EとGは、各々独立に、共役二重結合鎖を完成する
ために必要な原子団を表し、X1は、=O、=NR0、又
は=C(CN)2を表し、X2は、−O、−NR0、また
は−C(CN)2を表す。但し、R0は置換基を表す。L
1、L2、L3、L4及びL5は各々独立に、置換されてい
てもよいメチン基を表し、Xk+は、カチオン性成分を表
す。n1及びn2は、各々独立に0、1または2を表
し、xおよびyは、各々独立に、0または1を表し、そ
してkは、1〜10の整数を表す]。本発明はまた、レ
ーザ光の照射により物性の変化を示す上記一般式(I−
1)または(I−2)で表されるオキソノール色素をヒ
ドロキシカルボン酸エステルを主成分として含む溶剤に
溶解させてなる色素溶液にもある。
【0016】本発明はまた、表面にプリグルーブを有す
る透明な円盤状基板の該表面上にレーザ光の照射による
情報の記録が可能な色素記録層が設けられた光情報記録
媒体において、該色素記録層が、上記一般式(I−1)
または(I−2)で表されるオキソノール色素をヒドロ
キシカルボン酸エステルを主成分として含む溶剤に溶解
させた色素含有塗布液を該基板上に塗布、乾燥して形成
されたものであることを特徴とする光情報記録媒体にも
ある。
【0017】本発明はさらに、表面にプリグルーブを有
する透明な円盤状基板の該表面上にレーザ光の照射によ
る情報の記録が可能な色素記録層を塗布形成する工程を
含む光情報記録媒体の製造方法において、該色素記録層
の塗布形成を、ヒドロキシカルボン酸エステルを主成分
として含む溶剤に下記一般式(III)で表されるシアニ
ン色素を溶解した塗布液を基板上に塗布し、乾燥するこ
とにより行なうことを特徴とする光情報記録媒体の製造
方法にもある。
【0018】
【化11】[DYE+nn- (III)
【0019】[式中、DYE+は、アニオン性の置換基を
有することのない1価のシアニン色素カチオンを表わ
し、Xn-は、n価の有機アニオンを表わし、そしてnは
2以上の整数を表わす]。
【0020】本発明はまた、レーザ光の照射により物性
の変化を示す上記一般式(III)で表されるシアニン色
素をヒドロキシカルボン酸エステルを主成分として含む
溶剤に溶解させてなる色素溶液にもある。
【0021】本発明はまた、表面にプリグルーブを有す
る透明な円盤状基板の該表面上にレーザ光の照射による
情報の記録が可能な色素記録層が設けられた光情報記録
媒体において、該色素記録層が、上記一般式(III)で表
されるシアニン色素をヒドロキシカルボン酸エステルを
主成分として含む溶剤に溶解させた色素含有塗布液を該
基板上に塗布、乾燥して形成されたものであることを特
徴とする光情報記録媒体にもある。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の光情報記録媒体の製造方
法は、色素記録層の塗布形成に際して、上記一般式(I
−1)または(I−2)で表されるオキソノール色素、
あるいは上記一般式(III)で表わされるシアニン色素
と、溶剤としてのヒドロキシカルボン酸エステルを組合
わせて用いることを特徴とするものである。
【0023】まず、本発明で用いられる上記オキソノー
ル色素を表わす一般式(I−1)または(I−2)につ
いて詳しく説明する。
【0024】一般式(I−1)または(I−2)の
1、A2、B1、及びB2で表される置換基の例には、以
下のものが含まれる。
【0025】炭素原子数1乃至18(好ましくは炭素原
子数1乃至8)の置換もしくは無置換の直鎖状、分岐鎖
状、又は環状のアルキル基;炭素原子数2乃至18(好
ましくは炭素原子数2乃至8)のアルケニル基;炭素原
子数2乃至18(好ましくは炭素原子数2乃至8)のア
ルキニル基;炭素原子数6乃至18(好ましくは炭素原
子数6乃至10)の置換又は無置換のアリール基;炭素
原子数7乃至18(好ましくは炭素原子数7乃至12)
の置換又は無置換のアラルキル基;炭素原子数2乃至1
8(好ましくは炭素原子数2乃至8)の置換又は無置換
のアシル基;炭素原子数1乃至18(好ましくは炭素原
子数1乃至8)の置換又は無置換のアルキル又はアリー
ルスルホニル基;炭素原子数1乃至18(好ましくは炭
素原子数1乃至8)のアルキルスルフィニル基;炭素原
子数2乃至18(好ましくは炭素原子数2乃至8)のア
ルコキシカルボニル基;炭素原子数7乃至18(好まし
くは炭素原子数7乃至12)のアリールオキシカルボニ
ル基;炭素原子数1乃至18(好ましくは炭素原子数1
乃至8)の置換又は無置換のアルコキシ基;炭素原子数
6乃至18(好ましくは炭素原子数6乃至10)の置換
又は無置換のアリールオキシ基;炭素原子数1乃至18
(好ましくは炭素原子数1乃至8)のアルキルチオ基;
炭素原子数6乃至18(好ましくは炭素原子数6乃至1
0)のアリールチオ基;炭素原子数2乃至18(好まし
くは炭素原子数2乃至8)の置換又は無置換のアシルオ
キシ基;炭素原子数1乃至18(好ましくは炭素原子数
1乃至8)の置換又は無置換のスルホニルオキシ基;炭
素原子数2乃至18(好ましくは炭素原子数2乃至8)
の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基;無置換のア
ミノ基、又は炭素原子数1乃至18(好ましくは、炭素
原子数1乃至8)の置換アミノ基;炭素原子数1乃至1
8(好ましくは、炭素原子数1乃至8)の置換もしくは
無置換のカルバモイル基;無置換のスルファモイル基、
もしくは炭素原子数1乃至18(好ましくは、炭素原子
数1乃至8)の置換スルファモイル基;ハロゲン原子;
ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基;ヘテロ環基。こ
れらの置換基は、更に上記の置換基で置換されていても
よい。
【0026】Y1に結合する[−C(=L1)−(E)x
−C(=X1)−](以下、W1と略記する)と、Z1に結
合する[−C(=L5)−(G)y−C(−X2-)−]
(以下、便宜的にW2と称する)とは、それぞれ共役状
態にあるため、Y1とW1とで形成される炭素環もしくは
複素環、及びZ1とW2とで形成される炭素環もしくは複
素環はそれぞれ共鳴構造の一つと考えられる。上記炭素
環、もしくは複素環は、4〜7員の環員数のものが好ま
しく、更に好ましくは、5員又は6員環である。これら
の環は、更に他の4〜7員の環員数のものと縮合環を形
成していてもよい。又これらは置換基を有していてもよ
い。置換基としては、前述のA1、A2、B1、及びB2
表される置換基の例を挙げることができる。
【0027】上記のY1とW1とで形成される炭素環、及
びZ1とW2とで形成される炭素環としては、例えば、下
記のA−1〜A−4の式で表わされる基を挙げることが
できる。下記式において、Ra及びRbは各々独立に、水
素原子または置換基を表す。
【0028】
【化12】
【0029】上記のY1とW1とで形成される複素環、及
びZ1とW2とで形成される複素環としては例えば、下記
のA−5〜A−42の式で表わされる基を挙げることが
できる。下記の式において、Ra、Rb、及びRc は各々
独立に、水素原子または置換基を表す。
【0030】
【化13】
【0031】
【化14】
【0032】
【化15】
【0033】
【化16】
【0034】
【化17】
【0035】上記の式において、Ra、Rb、及びRcで
表される置換基は、前記A1、A2、B1、及びB2で表さ
れる置換基として挙げたものと同義である。またRa 、
Rb及びRc はそれぞれ互いに連結して炭素環又は複素
環を形成してもよい。
【0036】一般式(I−1)及び(I−2)におい
て、x及びyは、共に0であることが好ましく、X
1が、=Oであって、X2が、−Oである場合が好まし
い。kは、好ましくは、1乃至4の整数であり、更に好
ましくは2である。
【0037】本発明のオキソノール色素のアニオン性成
分(以下、単にアニオン部という)は、下記の一般式
(I−2−A)で表される化合物であることが好まし
い。以下にアニオン部について詳述する。
【0038】
【化18】
【0039】一般式(I−2−A)において、R1
2、R3、及びR4は、各々独立に、置換基を有してい
てもよいアルキル基を表す。L11、L12、及びL13は、
各々独立に、置換基を有していてもよいメチン基を表
す。但し、L11、L12、及びL13が、置換基を有する場
合には、これらのうちの二以上が結合して環を形成して
いてもよい。n3は、0乃至3の整数を表す。R1
2、あるいはR3とR4はそれぞれ互いに連結して環を
形成してもよい。
【0040】上記R1、R2、R3、及びR4で表されるア
ルキル基の好ましい例としては、置換基を有していても
よい、直鎖状、分岐鎖状、あるいは環状の炭素原子数1
乃至20(更に好ましくは、炭素原子数1乃至8)のア
ルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イ
ソブチル、tert−ブチル、イソアミル、シクロプロピ
ル、シクロペンチル、シクロヘキシル)を挙げることが
できる。
【0041】上記置換基の例には、下記のものが含まれ
る。炭素原子数1乃至20のアルキル基(例、メチル、
エチル、プロピル、カルボキシメチル、エトキシカルボ
ニルメチル);炭素原子数7乃至20のアラルキル基
(例、ベンジル、フェネチル);炭素原子数1乃至8の
アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ);炭素原子数
6乃至20のアリール基(例、フェニル、ナフチル);
炭素原子数6乃至20のアリールオキシ基(例、フェノ
キシ、ナフトキシ);ヘテロ環基(例、ピリジル、ピリ
ミジル、ピリダジル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチア
ゾリル、ベンゾオキサゾリル、2−ピロリジノン−1−
イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイ
ミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリ
ジン−3−イル、スクシンイミド、フタルイミド、マレ
イミド);ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、沃
素);カルボキシル基;炭素原子数2乃至10のアルコ
キシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシ
カルボニル);シアノ基;炭素原子数2乃至10のアシ
ル基(例、アセチル、ピバロイル);炭素原子数1乃至
10のカルバモイル(例、カルバモイル、メチルカルバ
モイル、モルホリノカルバモイル);アミノ基;炭素原
子数1乃至20の置換アミノ基(例、ジメチルアミノ、
ジエチルアミノ、ビス(メチルスルホニルエチル)アミ
ノ、N−エチル−N’−スルホエチルアミノ);スルホ
基;ヒドロキシル基;ニトロ基;炭素原子数1乃至10
のスルホンアミド基(例、メタンスルホンアミド);炭
素原子数1乃至10のウレイド基(例、ウレイド、メチ
ルウレイド);炭素原子数1乃至10のアルキルスルホ
ニル基(例、メタンスルホニル、エタンスルホニル);
炭素原子数1乃至10のアルキルスルフィニル基(例、
メタンスルフィニル);および炭素原子数0乃至10の
スルファモイル基(例、スルファモイル、メタンスルフ
ァモイル)。上記カルボキシル基およびスルホ基は塩の
状態であってもよい。
【0042】上記の置換基の中の好ましい例としては、
アルキル基(特に、メチル)、アルコキシ基(特に、メ
トキシ)、アリール基(特に、フェニル)、アルコキシ
カルボニル基(特に、エトキシカルボニル)、置換アミ
ノ基(特に、ジメチルアミノ)、ヒドロキシル基、ハロ
ゲン原子(特に、フッ素原子)、及びスルホンアミド基
(特に、メタンスルホンアミド)を挙げることができ
る。
【0043】R1とR2、及び/又はR3とR4とは、それ
ぞれ互いに連結して炭素環、もしくは複素環を形成して
いることが好ましい。R1とR2或いはR3とR4とが互い
に連結して炭素原子数3乃至10(更に好ましくは、炭
素原子数4乃至6)の炭素環または炭素原子数2乃至9
(更に好ましくは、炭素原子数3乃至5)の複素環を形
成している場合が好ましい。炭素環の例としては、シク
ロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘ
キシル、2−メチルシクロヘキシル、シクロへプチル、
及びシクロオクチルを挙げることができる。複素環の例
としては、ピペリジル、クロマニル、及びモルホリルを
挙げることができる。
【0044】L11、L12、及びL13は、各々独立に、置
換または無置換のメチン基を表し、置換基としては前記
のR1、R2、R3、及びR4で表されるアルキル基の置換
基の例を挙げることができる。L11、L12、及びL
13は、各々独立に、無置換のメチン基、もしくは炭素原
子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数7乃至10のア
ラルキル基、炭素原子数6乃至10のアリール基、炭素
原子数1乃至6のアルコキシ基、飽和または不飽和のヘ
テロ環基、又はハロゲン原子で置換されたメチン基であ
ることが好ましい。L11、L12、及びL13が、置換基を
有する場合には、これらのうちの二以上が結合して環を
形成している場合も好ましい。形成される環としては、
シクロヘキセン環を挙げることができる。n3は1、2
又は3であることが好ましく、特に好ましくは2であ
る。
【0045】一般式(I−2−A)で表されるオキソノ
ール色素のアニオン部の好まし具体例(A−1〜A−8
8)を以下に記載する。
【0046】
【化19】
【0047】
【化20】
【0048】
【化21】
【0049】
【化22】
【0050】
【化23】
【0051】
【化24】
【0052】
【化25】
【0053】
【化26】
【0054】次に、カチオン性成分(以下、単にカチオ
ン部という)について詳述する。Xk+で表されるカチオ
ン部としては、例えば、水素イオン又はナトリウムイオ
ン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオ
ン、鉄イオン、銅イオン等の金属イオン、金属錯体イオ
ン、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、オキソ
ニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオ
ン、セレノニウムイオン、及びヨードニウムイオン等が
挙げられる。Xk+は、シアニン色素ではないことが好ま
しい。好ましくは、第4級アンモニウムイオンである。
【0055】第4級アンモニウムは、一般に第3級アミ
ン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ト
リブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルピ
ロリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルピ
ペラジン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’
−テトラメチルエチレンジアミンなど)あるいは含窒素
複素環(ピリジン環、ピコリン環、2,2’−ビピリジ
ル環、4,4’−ビピリジル環、1,10−フェナント
ロリン環、キノリン環、オキサゾール環、チアゾール
環、N−メチルイミダゾール環、ピラジン環、テトラゾ
ール環など)をアルキル化(メンシュトキン反応)、ア
ルケニル化、アルキニル化あるいはアリール化して得ら
れる。
【0056】第4級アンモニウムイオンとしては、含窒
素複素環からなる第4級アンモニウムイオンが好まし
く、特に好ましくは第4級ピリジニウムイオンである。
【0057】第4級アンモニウムイオンは、下記一般式
(II)で示されるものが好ましい。これらの化合物は、
通常2,2’−ビピリジルあるいは4,4’−ビピリジ
ルを目的の置換基をもつハロゲン化物とのメンシュトキ
ン反応(例えば、特開昭61−148162号公報参
照)あるいは、特開昭51−16675号公報及び特開
平1−96171号公報に記載の方法に準ずるアリール
化反応により容易に得ることができる。
【0058】
【化27】
【0059】式中、R20及びR21 は、各々独立に置換
基を表し、R22及びR23は、各々独立に、アルキル基、
アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール
基または複素環基を表し(アリール基、又は複素環基は
他の環と更に縮合していてもよい)、R20とR21、R20
とR22、またはR21とR23は各々互いに連結して環を形
成してもよく、r及びsは、各々独立に0乃至4の整数
を表し、そしてrとsが2以上の場合には、複数のR20
及びR21は各々互いに同じであっても異なっていてもよ
い。
【0060】R22及びR23で表されるアルキル基は、炭
素原子数1乃至18の置換もしくは無置換のアルキル基
が好ましく、より好ましくは炭素原子数1乃至8の置換
もしくは無置換のアルキル基である。これらは、直鎖
状、分岐鎖状、あるいは環状であってもよい。これらの
例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ネオペ
ンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロヘキシ
ル、及びアダマンチル等が挙げられる。
【0061】アルキル基の置換基の例には、以下のもの
が含まれる。炭素原子数2乃至18(好ましくは炭素原
子数2乃至8)の置換もしくは無置換のアルケニル基
(例、ビニル);炭素原子数2乃至18(好ましくは炭
素原子数2乃至8)の置換もしくは無置換のアルキニル
基(例、エチニル);炭素原子数6乃至10の置換もし
くは無置換のアリール基(例、フェニル、ナフチル);
ハロゲン原子(例、F、Cl、Br等);炭素原子数1
乃至18(好ましくは炭素原子数1乃至8)の置換もし
くは無置換のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキ
シ);炭素原子数6乃至10の置換もしくは無置換のア
リールオキシ基(例、フェノキシ、p−メトキシフェノ
キシ);炭素原子数1乃至18(好ましくは炭素原子数
1乃至8)の置換もしくは無置換のアルキルチオ基
(例、メチルチオ、エチルチオ);炭素原子数6乃至1
0の置換もしくは無置換のアリールチオ基(例、フェニ
ルチオ);炭素原子数2乃至18(好ましくは炭素原子
数2乃至8)の置換もしくは無置換のアシル基(例、ア
セチル、プロピオニル);
【0062】炭素原子数1乃至18(好ましくは炭素原
子数1乃至8)の置換もしくは無置換のアルキルスルホ
ニル基またはアリールスルホニル基(例、メタンスルホ
ニル、p−トルエンスルホニル);炭素原子数2乃至1
8(好ましくは炭素原子数2乃至8)の置換もしくは無
置換のアシルオキシ基(例、アセトキシ、プロピオニル
オキシ);炭素原子数2乃至18(好ましくは炭素原子
数2乃至8)の置換もしくは無置換のアルコキシカルボ
ニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニ
ル);炭素原子数7乃至11の置換もしくは無置換のア
リールオキシカルボニル基(例、ナフトキシカルボニ
ル);無置換のアミノ基、もしくは炭素原子数1乃至1
8(好ましくは炭素原子数1乃至8)の置換アミノ基
(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミ
ノ、アニリノ、メトキシフェニルアミノ、クロロフェニ
ルアミノ、ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミ
ノ、n−ブトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボ
ニルアミノ、メチルカルバモイルアミノ、エチルチオカ
ルバモイルアミノ、フェニルカルバモイルアミノ、アセ
チルアミノ、エチルカルボニルアミノ、エチルチオカル
バモイルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、ベ
ンゾイルアミノ、クロロアセチルアミノ、メチルスルホ
ニルアミノ);
【0063】炭素原子数1乃至18(好ましくは炭素原
子数1乃至8)の置換もしくは無置換のカルバモイル基
(例、無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、エ
チルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、tert−ブ
チルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、モルホリノ
カルバモイル、ピロリジノカルバモイル);無置換のス
ルファモイル基、もしくは炭素原子数1乃至18(好ま
しくは炭素原子数1乃至8)の置換スルファモイル基
(例、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイ
ル);シアノ基;ニトロ基;カルボキシル基;ヒドロキ
シル基;ヘテロ環基(例、オキサゾール環、ベンゾオキ
サゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミ
ダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、
ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン
環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾー
ル環、ピロール環、クロマン環、クマリン環)。
【0064】R22及びR23で表されるアルケニル基は、
炭素原子数2乃至18の置換もしくは無置換のアルケニ
ル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数2乃至8の
置換もしくは無置換のアルケニル基であり、例えば、ビ
ニル、アリル、1−プロペニル、1,3−ブタジエニル
等が挙げられる。アルケニル基の置換基としては、前記
アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。
【0065】R22およびR23で表されるアルキニル基
は、炭素原子数2乃至18の置換もしくは無置換のアル
キニル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数2乃至
8の置換もしくは無置換のアルキニル基であり、例え
ば、エチニル、2−プロピニル等が挙げられる。アルキ
ニル基の置換基は、前記アルキル基の置換基として挙げ
たものが好ましい。
【0066】R22及びR23で表されるアラルキル基は、
炭素原子数7乃至18の置換もしくは無置換のアラルキ
ル基が好ましく、例えば、ベンジル、メチルベンジル等
が好ましい。
【0067】R22及びR23で表されるアリール基は、炭
素原子数6乃至18の置換もしくは無置換のアリール基
が好ましく、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ
る。アリール基の置換基は前記アルキル基の置換基とし
て挙げたものが好ましい。またこれらの他に、アルキル
基(例えば、メチル、エチル等)も好ましい。
【0068】R22及びR23で表される複素環基は、炭素
原子、窒素原子、酸素原子、あるいは硫黄原子から構成
される5員又は6員の飽和又は不飽和の複素環であり、
これらの例としては、オキサゾール環、ベンゾオキサゾ
ール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾ
ール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリ
ジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、
スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール
環、ピロール環、クロマン環、及びクマリン環が挙げら
れる。複素環基は置換されていてもよく、その場合の置
換基としては、前記アルキル基の置換基として挙げたも
のが好ましい。
【0069】R20及びR21で表される置換基は、前記ア
ルキル基の置換基として挙げたものと同義である。また
これらの他に、アルキル基(例えばメチル、エチル等)
も挙げることができる。R20及びR21で表される置換基
は、水素原子またはアルキル基であることが好ましい。
特に好ましくは、水素原子である。
【0070】第4級アンモニウムイオンとしては、下記
一般式(II−A)で示されるものが特に好ましい。
【0071】
【化28】
【0072】式中、R24及びR25は、それぞれ前記一般
式(II)におけるR20及びR21で表される置換基と同義
であり、またそれぞれについて、その好ましい範囲も同
一である。R26及びR27は、それぞれ前記一般式(II)
におけるR22及びR23で表される置換基と同義であり、
またそれぞれについて、その好ましい範囲も同一であ
る。r1及びs1は、各々独立に0乃至4の整数を表
し、そしてr1とs1が2以上の場合には、複数のR24
及びR25は各々互いに同じであっても異なっていてもよ
い。
【0073】一般式(II)で表されるオキソノール化合
物のカチオン部の好ましい具体例を以下に記載する。
【0074】
【化29】
【0075】
【化30】
【0076】
【化31】
【0077】
【化32】
【0078】
【化33】
【0079】
【化34】
【0080】
【化35】
【0081】
【化36】
【0082】
【化37】
【0083】
【化38】
【0084】本発明で用いるオキソノール色素の好まし
い具体例を下記の表1に示す。表1において、具体例
(色素番号で表示)は、アニオン部(「A−」により表
示)とカチオン部(「B−」により表示)との組み合わ
せた化学式から構成される。たとえば、色素番号1(ア
ニオン部がA−1でカチオン部がB−21)のオキソノ
ール色素は、下記の式で表わされる化合物である。
【0085】
【化39】
【0086】
【表1】 表1(その1) ────────────────────────────────── 色素 色素 番号 アニオン部 カチオン部 番号 アニオン部 カチオン部 ────────────────────────────────── 1 A−1 B−21 2 A−1 B−77 3 A−1 B−124 4 A−2 B−21 5 A−2 B−78 6 A−3 B−22 7 A−4 B−22 8 A−7 B−78 9 A−7 B−117 10 A−2 B−124 11 A−8 B−85 12 A−11 B−21 13 A−11 B−77 14 A−11 B−113 15 A−12 B−1 16 A−12 B−149 17 A−12 B−169 18 A−18 B−15 19 A−18 B−103 20 A−20 B−78 21 A−21 B−78 22 A−24 B−78 23 A−30 B−21 24 A−30 B−78 25 A−30 B−87 26 A−31 B−21 27 A−31 B−41 28 A−31 B−78 29 A−31 B−113 30 A−31 B−117 ──────────────────────────────────
【0087】
【表2】 表1(その2) ────────────────────────────────── 色素 色素 番号 アニオン部 カチオン部 番号 アニオン部 カチオン部 ────────────────────────────────── 31 A−31 B−119 32 A−32 B−117 33 A−32 B−134 34 A−32 B−85 35 A−33 B−23 36 A−33 B−33 37 A−33 B−55 38 A−33 B−78 39 A−33 B−85 40 A−33 B−117 41 A−33 B−124 42 A−33 B−169 43 A−34 B−21 44 A−34 B−55 45 A−34 B−78 46 A−34 B−85 47 A−34 B−89 48 A−34 B−113 49 A−34 B−117 50 A−34 B−169 51 A−35 B−21 52 A−38 B−33 53 A−38 B−50 54 A−38 B−78 55 A−38 B−94 56 A−38 B−98 57 A−38 B−117 58 A−38 B−133 59 A−39 B−21 60 A−39 B−53 ──────────────────────────────────
【0088】
【表3】 表1(その3) ────────────────────────────────── 色素 色素 番号 アニオン部 カチオン部 番号 アニオン部 カチオン部 ────────────────────────────────── 61 A−42 B−24 62 A−42 B−33 63 A−42 B−55 64 A−42 B−84 65 A−42 B−110 66 A−42 B−117 67 A−43 B−78 68 A−43 B−94 69 A−43 B−115 70 A−43 B−117 71 A−44 B−78 72 A−49 B−18 73 A−49 B−82 74 A−49 B−114 75 A−51 B−78 76 A−53 B−33 77 A−53 B−78 78 A−53 B−117 79 A−54 B−17 80 A−54 B−79 81 A−57 B−27 82 A−57 B−77 83 A−61 B−78 84 A−61 B−117 85 A−62 B−26 86 A−62 B−76 87 A−64 B−77 88 A−65 B−77 89 A−65 B−94 90 A−66 B−24 91 A−66 B−78 92 A−74 B−78 93 A−79 B−21 94 A−79 B−78 95 A−80 B−78 96 A−82 B−78 97 A−2 B−24 ──────────────────────────────────
【0089】尚、オキソノール色素は、例えば、特開平
10−297103号公報に記載の合成法、あるいは該
合成法に準じて合成することができる。また、本願出願
人の出願になる特願平11−155688号明細書に記
載のオキソノール色素とその製造法も有利に利用でき
る。
【0090】次に、本発明に用いるシアニン色素につい
て詳しく説明する。本発明で用いるシアニン色素は、下
記の一般式(III)で表される化合物である。
【0091】
【化40】[DYE+nn- (III)
【0092】DYEで表されるシアニン色素カチオン
は、アニオン性の置換基を有することのない1価のカチ
オンを表す。また Xn-は、n価のアニオンを表し、n
は2以上の整数を表す。即ち、 Xn-は、2価以上の多
価有機アニオンを表す。Xn-は、2〜4価の有機アニオ
ンであることが好ましく、更に好ましくは、2又は3価
の有機アニオンであり、特に好ましくは、2価の有機ア
ニオンである。
【0093】Xn-で表される多価の有機アニオンの例に
は、以下のものが含まれる。カルボン酸イオン(例え
ば、コハク酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオ
ン、テレフタル酸イオン);芳香族ジスルホン酸イオン
(例、ベンゼン−1,3−ジスルホン酸イオン、3,
3’−ビフェニルジスルホン酸イオン、ナフタレン−
1,5−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−1,6−ジ
スルホン酸イオン、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸
イオン、1−メチルナフタレン−2,6−ジスルホン酸
イオン、ナフタレン−2,7−ジスルホン酸イオン、ナ
フタレン−2,8−ジスルホン酸イオン、2−ナフトー
ル−6,8−ジスルホン酸イオン、1,8−ジヒドロキ
シナフタレン−3,6−ジスルホン酸イオン、1,5−
ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジスルホン酸イオ
ン);芳香族トリスルホン酸イオン(例、ナフタレン−
1,3,5−トリスルホン酸イオン、ナフタレン−1,
3,6−トリスルホン酸イオン、ナフタレン−1,3,
7−トリスルホン酸イオン、1−ナフトール−3,6,
8−トリスルホン酸イオン、2−ナフトール−3,6,
8−トリスルホン酸イオン);芳香族テトラスルホン酸
イオン(例、ナフタレン−1,3,5,7−テトラスル
ホン酸イオン);脂肪族ポリスルホン酸イオン(例、ブ
タン−1,4−ジスルホン酸イオン、シクロヘキサン−
1,4−ジスルホン酸イオン);ポリ硫酸モノエステル
(例、プロピレングリコール−1,2−ジスルフェー
ト、ポリビニルアルコールポリ硫酸エステルイオン)。
【0094】Xn-で表される多価の有機アニオンは、上
記芳香族ジスルホン酸イオン、又は芳香族トリスルホン
酸イオンであることが好ましい。特に好ましくは、芳香
族ジスルホン酸イオンであり、中でも、ナフタレン−
1,5−ジスルホン酸イオン、ナフタレン−1,6−ジ
スルホン酸イオン、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸
イオン、1−メチルナフタレン−2,6−ジスルホン酸
イオン、ナフタレン−2,7−ジスルホン酸イオン、又
はナフタレン−2,8−ジスルホン酸イオンであること
が好ましい。最も好ましいものは、ナフタレン−1,5
−ジスルホン酸イオンである。
【0095】上記DYEで表されるシアニン色素陽イオ
ンは、下記の一般式(IV)で表される化合物であること
が好ましい。
【0096】
【化41】
【0097】一般式(IV)において、Z11及びZ12は、
置換基を有していてもよいインドレニン核もしくはベン
ゾインドレニン核を完成するために必要な原子群を表
す。R 31及びR32は各々独立に、アルキル基またはアリ
ール基を表す。R33 、R34 、R35 及びR36 は各々独
立に、アルキル基を表す。L31 、L32 、L33 、L34
及びL35 は各々独立に、置換又は無置換のメチン基を
表す。またL31 〜L35上に置換基を有する場合には、
互いに連結して環を形成しても良い。jは0、1又は2
を表し、mは0または1を表す。そしてnは、2以上の
整数を表す。
【0098】上記インドレニン核もしくはベンゾインド
レニン核の置換基(又は原子を含む)としては、ハロゲ
ン原子(特に、塩素原子)、又はアリール基(特にフェ
ニル)であることが好ましい。
【0099】R31およびR32で表されるアルキル基は置
換基を有していてもよく、好ましくは炭素原子数1〜1
8(更に好ましくは1〜8、特に1〜6)の直鎖状、環
状、もしくは分岐状の置換基を有していてもよいアルキ
ル基である。R31およびR32で表されるアリール基は置
換基を有していても良く、好ましくは炭素原子数6〜1
8の置換基を有していても良いアリール基である。
【0100】R31およびR32で表されるアルキル基また
はアリール基の置換基の好ましい例としては、以下のも
のを挙げることができる。炭素原子数6〜18の置換又
は無置換のアリール基(例えば、フェニル、クロロフェ
ニル、アニシル、トルイル、2,4−ジ−t−アミルフ
ェニル、1−ナフチル)、アルケニル基(例えば、ビニ
ル、2−メチルビニル)、アルキニル基(例えば、エチ
ニル、2−メチルエチニル、2−フェニルエチニル)、
ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、シアノ
基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アシル基(例え
ば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイ
ル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、ブトキシ、シ
クロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(例えば、フ
ェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(例え
ば、メチルチオ、ブチルチオ、ベンジルチオ、3−メト
キシプロピルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニ
ルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニ
ル基(例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニ
ル)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホ
ニル、パラトルエンスルホニル)、炭素原子数1〜10
のカルバモイル基、炭素原子数1〜10のアミド基、炭
素原子数2〜10のアシルオキシ基、炭素原子数2〜1
0のアルコキシカルボニル基、ヘテロ環基(例えば、ピ
リジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリ
ル、ピラゾリルなどの複素芳香族環、ピロリジン環、ピ
ペリジン環、モルホリン環、ピラン環、チオピラン環、
ジオキサン環、ジチオラン環などの脂肪族ヘテロ環)。
【0101】R31およびR32は、それぞれ無置換の炭素
原子数1〜8(好ましくは、炭素原子数1〜6、特に炭
素原子数1〜4)の直鎖状のアルキル基、あるいはアル
コキシ基(特に、メトキシ)又はアルキルチオ基(特
に、メチルチオ)で置換された炭素原子数1〜8(好ま
しくは、炭素原子数1〜6、特に炭素原子数1〜4)の
直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
【0102】R33 、R34 、R35 及びR36 で表される
アルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜18の直鎖
状、分岐状、あるいは環状の置換基を有していてもよい
アルキル基である。またR33とR34 及びR35 とR36
はそれぞれ連結して環を形成しても良い。置換基として
好ましいものは、前記R31およびR32で表されるアルキ
ル基またはアリール基の好ましい置換基の例として挙げ
たものを挙げることができる。R33 、R34 、R35
びR36 で表されるアルキル基は、ぞれぞれ炭素原子数
1〜6の直鎖状の無置換のアルキル基(特に、メチル、
エチル)であることが好ましい。
【0103】L31 〜L35 で表されるメチン基は、置換
基を有していても良い。好ましい置換基の例としては、
炭素原子数1〜18のアルキル基、アラルキル基、およ
び前記R31およびR32で表されるアルキル基またはアリ
ール基の好ましい置換基の例として挙げたものを挙げる
ことができる。これらの中では、アルキル基(例、メチ
ル)、アリール基(例、フェニル)、ハロゲン原子
(例、Cl、Br)、アラルキル基(例、ベンジル)が
好ましい。特に好ましいのはメチル基である。前記式に
おいては、jが2でmが0である場合、あるいはj、m
が、各々独立に0又は1である場合が好ましい。上記L
31 〜L35 上の置換基は互いに連結して環を形成しても
良い。好ましい環員数は5員環または6員環であり、特
にシクロヘキセン環であることが好ましい。
【0104】以下に、一般式(III)で表されるシアニ
ン色素の好ましい具体例を挙げる。
【0105】
【化42】
【0106】
【化43】
【0107】
【化44】
【0108】
【化45】
【0109】
【化46】
【0110】
【化47】
【0111】
【化48】
【0112】一般式(III)で表されるシアニン色素
は、単独で用いても良いし、あるいはまた二種以上を併
用しても良い。上記シアニン色素は、特開平11−48
615号公報に記載に記載されており、該公報を参照し
て合成することができる。本発明のように、シアニン色
素として対イオンが有機アニオンであると、色素記録層
にレーザが照射されて色素の熱分解が発生した場合で
も、発生するガスは記録層上に形成されている金属反射
層に腐食等の悪影響を与えにくい。従って、光情報媒体
の保存安定性に好影響を与える。特に、従来において光
情報記録媒体の金属反射層材料として用いられてきた金
の金色光沢を避けて、表面への印字特性と印字の視認特
性とが優れている銀、アルミニウムなどの白色光沢を持
つ金属材料を金属反射層材料として用いる場合が多くな
っているが、そのような金属材料を用いる場合に問題と
なりやすい金属反射層の腐食の発生を、本発明の有機対
イオンを持つシアニン色素を記録層形成用色素として用
いることによって効果的に防ぐことができるという利点
がある。
【0113】本発明の光情報記録媒体の製造方法には、
前記のオキソノール色素またはシアニン色素をヒドロキ
シカルボン酸エステル溶剤を用いて調製する工程、及び
調製したした塗布液を基板上に塗布し、乾燥させて色素
記録層を形成する工程が含まれる。本発明の方法によっ
て製造される光情報記録媒体には、CD−R型の光ディ
スク及びDVD−R型の光ディスクが含まれるが、特
に、本発明の方法は、高密度記録用のDVD−R型の光
ディスクの製造に有利であるため、以下では、DVD−
R型の光ディスクを例にとって、本発明の光情報記録媒
体の製造方法を説明する。
【0114】DVD−R型の光ディスクの代表例は、透
明な円盤状基板上に、色素記録層と、金属反射層、そし
て樹脂保護層をこの順に積層してなる積層体を二枚作製
し、該二枚の積層体をそれぞれの記録層が内側となるよ
うに貼り合わせることにより製造される。あるいは、上
記積層体と、該積層体と略同一の形状の透明な円盤状保
護基板上に、金属反射層及び樹脂保護層をこの順に積層
してなる積層体とを、記録層が内側となるように貼り合
わせることにより製造される。以下に、後者の光情報記
録媒体の製造方法を例にとって説明する。
【0115】透明基板(保護基板としても用いられる)
は、従来の光情報記録媒体の基板として用いられている
各種の材料から任意に選択することができる。基板材料
としては、例えばガラス;ポリカーボネート;ポリメチ
ルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、
塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹
脂;アモルファスポリオレフィンおよびポリエステルな
どを挙げることができる。これらの材料は所望により併
用してもよい。なお、これらの材料はフィルム状として
または剛性のある基板として使うことができる。上記材
料の中では、耐湿性、寸法安定性および価格などの点か
らポリカーボネートが好ましい。
【0116】色素記録層が設けられる側の基板表面に
は、平面性の改善、接着力の向上および記録層の変質防
止の目的で、下塗層が設けられてもよい。下塗層の材料
としては例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル
酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸
共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアク
リルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロ
ルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩
化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ
イミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・
酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリカーボネート等の高分子物質;およびシランカップ
リング剤などの表面改質剤を挙げることができる。
【0117】下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解ま
たは分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピン
コート、ディップコート、エクストルージョンコートな
どの塗布法を利用して基板表面に塗布することにより形
成することができる。下塗層の層厚は一般に0.005
〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μ
mの範囲である。
【0118】基板(または下塗層)上には、トラッキン
グ用溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プリ
グルーブ)が形成されている。このプリグルーブは、ポ
リカーボネートなどの樹脂材料を射出成形あるいは押出
成形する際に直接基板上に形成されることが好ましい。
【0119】また、プリグルーブの形成を、プリグルー
ブ層を設けることにより行ってもよい。プリグルーブ層
の材料としては、アクリル酸のモノエステル、ジエステ
ル、トリエステルおよびテトラエステルのうちの少なく
とも一種のモノマー(またはオリゴマー)と光重合開始
剤との混合物を用いることができる。プリグルーブ層の
形成は、例えば、まず精密に作られた母型(スタンパ)
上に上記のアクリル酸エステルおよび重合開始剤からな
る混合液を塗布し、更にこの塗布液層上に基板を載せた
のち、基板または母型を介して紫外線を照射することに
より塗布層を硬化させて基板と塗布層とを固着させる。
次いで、基板を母型から剥離することにより得ることが
できる。プリグルーブ層の層厚は一般に、0.05〜1
00μmの範囲にあり、好ましくは0.1〜50μmの
範囲である。
【0120】本発明の製法によって得られる光情報記録
媒体は、そのプリグルーブのトラックピッチは、通常、
0.1〜1.0μm、好ましくは0.3〜0.9μm、
更に好ましくは、0.6〜0.8μmの範囲にある。プ
リグルーブの深さは通常、30〜170nm、好ましく
は50〜160nm、更に好ましくは、70〜150n
mである。プリグルーブの幅(半値幅)は通常、50〜
400nm、好ましくは、700〜350nm、特に好
ましくは、100〜300nmの範囲にある。これらの
プリグルーブの形状の寸法特性は、色素記録層形成前の
基板の測定、あるいは色素記録層形成後に、色素記録層
をメタノール等の色素溶解性の高い溶媒を用いて洗浄除
去し、その後に基板の表面の各寸法を測定することによ
っても確認することができる。本発明に従って基板の表
面に形成される色素記録層の厚さは、プリグルーブ内で
通常、50〜170nm(特に、60〜150nm、さ
らには70〜130nm)であり、ランド部で通常、5
0〜150nm(特に、60〜100nm)である。
【0121】基板(又は下塗層)上には、前記のオキソ
ノール色素またはシアニン色素を含む記録層が設けられ
る。この色素記録層の形成には、その塗布液を調製する
ために、溶剤としてヒドロキシカルボン酸エステルが用
いられる。
【0122】ヒドロキシカルボン酸エステルの例として
は、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸n−
ブチル、乳酸イソブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸
メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒド
ロキシプロピオン酸プロピル、2−ヒドロキシ酪酸メチ
ル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、3−ヒドロキシ酪酸メ
チル、3−ヒドロキシ酪酸エチル、3−ヒドロキシ酪酸
プロピル、4−ヒドロキシ酪酸メチル、4−ヒドロキシ
酪酸エチル、4−ヒドロキシ酪酸プロピル、2−ヒドロ
キシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、
2−ヒドロキシ酪酸プロピル、3−ヒドロキシ酪酸メチ
ル、3−ヒドロキシ酪酸エチル、3−ヒドロキシイソ酪
酸プロピル、2−ヒドロキシ吉草酸メチル、2−ヒドロ
キシ吉草酸エチル、及び2−ヒドロキシ吉草酸プロピル
を挙げることができる。これらの中では、乳酸メチル、
乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、
及び2−ヒドロキシ酪酸エチルが好ましい。更に好まし
いものは、乳酸メチル、乳酸エチル、及び乳酸ブチルな
どの乳酸エステルであり、特に好ましくは、乳酸エチル
である。乳酸メチル、乳酸エチル、及び乳酸ブチルなど
の乳酸エステルは、沸点や引火点の観点からも塗布液の
調製工程や塗布工程において有利である。即ち、乳酸メ
チルの沸点は145℃、その引火点は55℃、乳酸エチ
ルの沸点は154℃、その引火点は53℃、及び乳酸ブ
チルの沸点は188℃、その引火点は75℃であり、沸
点がこれらの値より高い場合には、塗布工程において、
塗布液が乾燥しにくくなり、一方、引火点がこれらの値
より低くなると発火などを生じる危険が伴う。なお、乳
酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステルは、シアニン
色素の対イオンが無機イオンである場合には、溶解性が
非常に低くなり、本発明で目的とする均一な厚さで、か
つ膜厚が小さい色素記録層の製造には不利となる。これ
に対して、シアニン色素として有機イオンを対イオンと
するシアニン色素を用いると、目的の均一かつ小さい膜
厚の色素記録層を容易に製造することができる。
【0123】色素記録層の形成は、ヒドロキシルカルボ
ン酸エステル溶剤に前記のオキソノール色素もしくはシ
アニン色素を溶解して塗布液を調製し、この塗布液を基
板表面に塗布して塗膜を形成したのち乾燥することによ
り行われる。塗布液の調製に際しては、所望により、退
色防止剤や結合剤を加えることもできる。また、塗布液
中には酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各
種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0124】色素記録層形成用塗布液の調製に際して
は、従来から知られている溶剤を50容量%未満の量
(特に30容量%未満の量)にて併用してもよい。この
ような溶剤の例としては、酢酸ブチル、セロソルブアセ
テートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘ
キサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジク
ロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムな
どの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミ
ド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラ
ン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタ
ノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブ
タノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメ
チルエーテルなどのグリコールエーテル類、フッ素アル
コールなどを挙げることができる。上記溶剤は使用する
色素の溶解性などを考慮して単独または二種以上を適宜
併用することができる。
【0125】退色防止剤の代表的な例としては、ニトロ
ソ化合物、金属錯体、ジインモニウム塩、アミニウム塩
などを挙げることができる。これらの例は、特開平2−
300288号、同3−224793号、あるいは同4
−146189号等の各公報に記載されている。退色防
止剤を併用する場合には、その使用量は、色素の量に対
して、通常0.1〜50重量%の範囲であり、好ましく
は、0.5〜45重量%の範囲、更に好ましくは、3〜
40重量%の範囲、特に5〜25重量%の範囲である。
【0126】結合剤の例としては、例えば、ゼラチン、
セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの
天然有機高分子物質;およびポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化
ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポ
リアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアク
リル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレ
ン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェ
ノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期
縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。色
素記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤
の使用量は、色素100重量部に対して、上限が20重
量部、好ましくは10重量部、更に好ましくは5重量部
にとどめるべきである。
【0127】このようにして調製される色素記録層の塗
布液中の色素の濃度は一般に0.01〜10重量%の範
囲にあり、好ましくは0.1〜5重量%の範囲にある。
【0128】塗布方法としては、スプレー法、スピンコ
ート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート
法、ドクターロール法、及びスクリーン印刷法などを挙
げることができる。色素記録層の形成は、スピンコート
法を利用して行うことが好ましい。色素記録層は単層で
も重層でもよい。色素記録層の層厚(乾燥後の平均厚
み)は一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましく
は50〜300nmの範囲にある。更に好ましくは、5
0乃至120nm(特に好ましくは、55乃至100n
m、最も好ましくは、60乃至95nm)の範囲にあ
る。
【0129】色素記録層の上には、特に情報の再生時に
おける反射率の向上の目的で、金属反射層が設けられて
いる。金属反射層の材料である光反射性物質はレーザ光
に対する反射率が高い物質であり、その例としては、M
g、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、
Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、C
d、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、P
o、Sn、Biなどの金属及び半金属あるいはステンレ
ス鋼を挙げることができる。これらの物質は単独で用い
てもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金
として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、
Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステン
レス鋼である。特に好ましくは、Au金属、Ag金属、
あるいはこれらの合金である。好ましいAu又はAg合
金としては、それぞれPt、Cu、及びAlからなる群
より選ばれる少なくとも一種の金属を含む合金を挙げる
ことができる。最も好ましくは、Ag金属又はAg合金
である。金属反射層は、例えば、光反射性物質を蒸着、
スパッタリングまたはイオンプレーティングすることに
より、色素記録層の上に形成することができる。金属反
射層の層厚は、一般的には10〜800nmの範囲にあ
り、好ましくは20〜500nmの範囲、更に好ましく
は50〜300nmの範囲である。
【0130】金属反射層の上には通常、色素記録層や金
属反射層を物理的および化学的に保護する目的で樹脂保
護層が設けられる。保護層に用いられる材料の例として
は、SiO、SiO2 、MgF2 、SnO2 、Si3
4 等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬
化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。保護層
は、例えば、プラスチックの押出加工で得られたフィル
ムを接着剤を介して金属反射層上及び/または基板上に
ラミネートすることにより形成することができる。ある
いは真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設
けられていてもよい。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂の場合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を
調製したのち、この塗布液を塗布し、乾燥することによ
っても形成することができる。UV硬化性樹脂の場合に
は、溶剤を用いることなくそのままもしくは適当な溶剤
に溶解して塗布液を調製したのちこの塗布液を塗布し、
UV光を照射して硬化させることによっても形成するこ
とができる。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、
酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて
添加してもよい。樹脂保護層が設けられていることが好
ましい。樹脂保護層の層厚は一般には0.1〜100μ
mの範囲にある。この樹脂保護層は、基板の色素記録層
が設けられていない側にも耐傷性、耐湿性を高める目的
で設けることもできる。
【0131】以上の工程により、基板上に色素記録層、
金属反射層、そして保護層を設けた積層体を作製するこ
とができる。また、得られた積層体の基板と略同じ寸法
の円盤状保護基板上に、色素記録層を設けることなく、
上記と同様な方法で金属反射層及び保護層を形成するこ
とにより、記録層のない積層体を作製することができ
る。そして記録層が内側となるように接着剤等で上記の
積層体を貼り合わせることにより、片側のみに記録層を
持つDVD−R型の光情報記録媒体を製造することがで
きる。接着は、前記UV硬化性樹脂を用いて行ってもよ
いし、合成接着剤を用いて行ってもよい。あるいはまた
両面テープなどを用いて行ってもよい。接着剤層は、通
常は0.1〜100μm(好ましくは、5〜80μm)
の範囲の厚みで設けられる。
【0132】尚、基板上に色素記録層、金属反射層、そ
して保護層を設けた二枚の積層体を、それぞれの記録層
を内側となるように同様に貼り合わせることにより、二
つの記録層を持つDVD−R型の光情報記録媒体を製造
することもできる。また、積層体として、保護層を設け
ることなく、基板上に色素記録層と金属反射層を設けて
なる積層体を用いることもできる。また、片側のみに記
録層を有する光情報記録媒体の場合には、一方の基板
(記録層を設けていない基板)に円盤状の保護基板を用
いることもできる。いずれの態様のDVD−R型の光情
報記録媒体においてもその全体の厚みは、1.2±0.
2mmとなるように調製することが好ましい。
【0133】本発明のDVD−Rを用いた情報の記録再
生方法は、例えば、次のように実施される。DVD−R
を所定の定線速度(CDフォーマットの場合は1.2〜
1.4m/秒)または所定の定角速度にて回転させなが
ら、基板側から半導体レーザ光などの記録用のレーザ光
を光学系を通して集光し、照射する。レーザ光の照射に
より、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温
度上昇し、物理的あるいは化学的な変化が生じて、その
光学特性を変えることにより、情報が記録される。記録
光としては、可視域のレーザ光、通常600nm〜70
0nm(好ましくは620〜680nm、更に好ましく
は、630〜660nm)の範囲の発振波長を有する半
導体レーザービームが用いられる。また記録光は、NA
が0.55〜0.7の光学系を通して集光されることが
好ましい。最小記録ピット長は、通常は0.05〜0.
7μm(好ましくは、0.1〜0.6μm、更に好まし
くは、0.2〜0.4μm)の範囲である。上記のよう
にして記録された情報の再生は、DVD−Rを所定の定
線速度で回転させながら記録時と同じ波長を持つ半導体
レーザ光を基板側から照射して、その反射光を検出する
ことにより行うことができる。本発明のDVD−Rは、
通常のCDフォーマットの場合の1倍速はもとより、そ
れ以上の高速での記録再生も可能である。
【0134】以上の記載は、DVD−R型の光ディスク
の製造方法を例にして本発明の光情報記録媒体の製造方
法を説明したものであるが、CD−R型の光ディスクに
おいても従来と同様な方法で製造することができる。
【0135】
【実施例】以下に本発明の実施例と比較例とを記載す
る。 [実施例1]
【0136】
【化49】
【0137】上記式で表わされるオキソノール色素(前
記化合物番号31)1.5gを乳酸エチル(溶剤)10
0mLに添加し、攪拌溶解させて記録層形成用塗布液を
調製した。
【0138】この塗布液を、表面にスパイラル状のプリ
グルーブ(トラックピッチ:0.74μm、プリグルー
ブ幅:290nm、プリグルーブの深さ:156nm)
が射出成形により形成されたポリカーボネート基板(外
径:120mm、内径:15mm、厚さ:0.6mm)
のそのプリグルーブ側の表面に、スピンコートにより塗
布し、乾燥して色素記録層(平均の厚さ:90nm、グ
ルーブ部の厚さ:100nm、ランド部の厚さ:80n
m)を形成した。この時の塗布液の塗布は、温度23
℃、相対湿度50%RHの条件にて行なった。
【0139】次に、DCマグネトロンスパッタ装置を用
いて色素記録層上に銀をスパッタして、膜厚約150n
mの金属反射層を形成した。更に該金属反射層上に、U
V硬化性樹脂(商品名:ダイキュアクリアSD−31
8、大日本インキ化学工業(株)製)をスピンコートに
より塗布した後、メタルハライドランプにて紫外線を照
射し、硬化させ、層厚約7μmの樹脂保護層を形成し
た。このようにして積層体Aを製造した。
【0140】別に基板上に、色素を塗布することなく、
DCマグネトロンスパッタ装置を用いて銀をスパッタし
て、膜厚約150nmの金属反射層を形成した。更に該
金属反射層上に、UV硬化性樹脂(商品名:ダイキュア
クリアSD−318、大日本インキ化学工業(株)製)
をスピンコートにより塗布した後、メタルハライドラン
プにて紫外線を照射し、硬化させ、層厚約7μmの樹脂
保護層を形成した。このようにして積層体Bを製造し
た。
【0141】次に、積層体A及びBの保護層上にそれぞ
れ遅効性カチオン重合型接着剤(商品名:SK700
0、ソニーケミカル(株)製)をスクリーン印刷(印刷
板のメッシュサイズ:300メッシュ)によって塗布し
た。次いで、メタルハライドランプを使用して紫外線を
照射した。照射直後に積層体AとBとを保護層側同士で
貼り合わせ、圧縮した。約5分間放置後、接着剤は完全
に硬化した。以上の工程により、片側のみに色素記録層
を有する本発明に従う光ディスク(DVD−R)を製造
した。
【0142】[比較例1]実施例1において、色素記録
層の塗布液の調製に際し、乳酸エチルの代わりに2,
2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TF
P)を使用したこと以外は同様にして、比較用のDVD
−Rを製造した。
【0143】[実施例2]実施例1において、色素化合
物として、オキソノール色素の代わりに下記の式で示さ
れるシアニン色素を用いたこと以外は同様にして、本発
明に従うDVD−Rを製造した。
【0144】
【化50】
【0145】[比較例2]実施例2において、色素記録
層の塗布液の調製に際し、乳酸エチルの代わりに2,
2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TF
P)を使用したこと以外は同様にして、比較用のDVD
−Rを製造した。
【0146】[実施例3]実施例1において、色素化合
物として、オキソノール色素の代わりに下記の式で示さ
れるシアニン色素を用いたこと以外は同様にして、本発
明に従うDVD−Rを製造した。
【0147】
【化51】
【0148】[比較例3]実施例3において、色素記録
層の塗布液の調製に際し、乳酸エチルの代わりに2,
2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(TF
P)を使用したこと以外は同様にして、比較用のDVD
−Rを製造した。
【0149】[光情報記録媒体としての評価] (ジッタの測定)得られた実施例及び比較例のDVD−
Rに、OMT2000(パルステック社製)を用いて波
長635nmのレーザ光をNA0.60のピックアップ
を用い、定線速度4.5m/秒で、8−16変調信号を
記録パワーを3〜10mWまで変化させて最適記録パワ
ーで記録した。その後、DDU1000(パルステック
社製)を用いて波長650nmのレーザ光をNA0.6
0のピックアップを用い、定線速度4.5m/秒、0.
5mWのレーザパワーで記録信号を再生し、11Tピッ
トジッタをTIA(ヒューレットパッカード社製)を用
いて測定した。ジッタ値は小さいほど記録信号が均一で
あることを示す。評価結果を表2に示す。
【0150】
【表4】 表2 ──────────────────────────── 塗布液の 11Tピット 色素化合物 溶剤 ジッタ(%) ──────────────────────────── 実施例1 オキソノール色素 乳酸エチル 8.3 比較例1 同上 TFP 8.8 ──────────────────────────── 実施例2 シアニン色素 乳酸エチル 8.5 比較例2 同上 TFP 10.0 ──────────────────────────── 実施例3 シアニン色素 乳酸エチル 8.4 比較例3 同上 TFP 9.6 ────────────────────────────
【0151】表2の結果から、本発明で規定したオキソ
ノール色素あるいはシアニン色素を用い、かつ溶剤とし
て乳酸エチルを用いて調製した塗布液を使用して色素記
録層を設けた本発明に従うDVD−R型の光ディスク
(実施例1、2及び3)の場合には、フッ素化アルコー
ルとしてTFP溶剤を用いて調製した塗布液を使用して
色素記録層を設けたDVD−R型の光ディスク(比較例
1、2及び3)に比べて低いジッタ値が得られることが
わかる。
【0152】
【発明の効果】追記型光情報記録媒体の色素記録層の色
素形成用溶液組成物(色素溶液)として、本発明で特定
した一般式で表わされるオキソノール色素またはシアニ
ン色素と、溶剤としてヒドロキシカルボン酸エステル
(特に乳酸エステル)とを組み合わせた色素溶液を用い
ることにより、フッ素アルコールなどの高価な溶剤を用
いることなく、特にジッタの低減した追記型の光情報記
録媒体を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森嶌 慎一 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H111 EA12 FA01 FB42 GA05 5D029 JA04 WB11 WC01 WD11 5D121 AA01 EE21 EE23

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にトラックピッチが0.2〜1.0
    μmのプリグルーブを有する透明な円盤状基板の該表面
    上にレーザ光の照射による情報の記録が可能な色素記録
    層を塗布形成する工程を含む光情報記録媒体の製造方法
    において、該色素記録層の塗布形成を、ヒドロキシカル
    ボン酸エステルを主成分として含む溶剤に下記のアニオ
    ン性成分とカチオン性成分とからなる一般式(I−1)
    または(I−2)で表されるオキソノール色素を溶解し
    た塗布液を基板上に塗布し、乾燥することにより行なう
    ことを特徴とする光情報記録媒体の製造方法: 【化1】 [式中、A1、A2、B1、及びB2は、各々独立に置換基
    を表し、Y1及びZ1は、各々独立に、炭素環もしくは複
    素環を形成するために必要な原子団を表し、EとGは、
    各々独立に、共役二重結合鎖を完成するために必要な原
    子団を表し、X1は、=O、=NR0、又は=C(CN)
    2を表し、X2は、−O、−NR0、または−C(CN)2
    を表す。但し、R0は置換基を表す。L1、L2、L3、L
    4及びL5は各々独立に、置換されていてもよいメチン基
    を表し、Xk+は、カチオン性成分を表す。n1及びn2
    は、各々独立に0、1または2を表し、xおよびyは、
    各々独立に、0または1を表し、そしてkは、1〜10
    の整数を表す]。
  2. 【請求項2】 オキソノール色素のカチオン性成分が、
    下記の一般式(II−A)で表される化合物であることを
    特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体の製造方
    法: 【化2】 [式中、R24及びR25は、各々独立に、置換基を表し、
    26及びR27は、各々独立に、アルキル基、アルケニル
    基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素
    環基(アリール基又は複素環基は、更に他の環と縮合し
    ていてもよい)を表し、R24とR25、R24とR26、ある
    いはR25とR27はそれぞれ互いに連結して環を形成して
    もよく、r1及びs1は、各々独立に、0乃至4の整数
    を表し、そしてr1とs1が、2以上の場合には、複数
    のR24及びR25は、各々互いに同じであっても異なって
    いてもよい]。
  3. 【請求項3】 オキソノール色素のアニオン性成分が、
    下記一般式(I−2−A)で表される化合物であること
    を特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体の製造方
    法: 【化3】 [式中、R1、R2、R3、及びR4は、各々独立に、置換
    基を有していてもよいアルキル基を表し、L1、L2、及
    びL3は、各々独立に、置換基を有していてもよいメチ
    ン基を表し(但し、L1、L2、及びL3が、置換基を有
    する場合には、これらのうちの二以上が結合して環を形
    成していてもよい)、nは、0乃至3の整数を表し、そ
    して、R1とR2、あるいはR3とR4はそれぞれ互いに連
    結して環を形成してもよい]。
  4. 【請求項4】 一般式(I−2−A)において、R1
    2あるいはR3とR4とが互いに連結して炭素原子数3
    乃至10の炭素環もしくは炭素原子数2乃至9の複素環
    を形成していることを特徴とする請求項3に記載の光情
    報記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 ヒドロキシカルボン酸エステルが、乳酸
    エステルであることを特徴とする請求項1に記載の光情
    報記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 乳酸エステルが、乳酸メチル、乳酸エチ
    ル、及び乳酸ブチルからなる群より選ばれる少なくとも
    一種の化合物であることを特徴とする請求項5に記載の
    光情報記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 レーザ光の照射によって物性の変化を示
    す下記一般式(I−1)または(I−2)で表されるオ
    キソノール色素をヒドロキシカルボン酸エステルを主成
    分として含む溶剤に溶解させてなる色素溶液: 【化4】 [式中、A1、A2、B1、及びB2は、各々独立に置換基
    を表し、Y1及びZ1は、各々独立に、炭素環もしくは複
    素環を形成するために必要な原子団を表し、EとGは、
    各々独立に、共役二重結合鎖を完成するために必要な原
    子団を表し、X1は、=O、=NR0、又は=C(CN)
    2を表し、X2は、−O、−NR0、または−C(CN)2
    を表す。但し、R0は置換基を表す。L1、L2、L3、L
    4及びL5は各々独立に、置換されていてもよいメチン基
    を表し、Xk+は、カチオン性成分を表す。n1及びn2
    は、各々独立に0、1または2を表し、xおよびyは、
    各々独立に、0または1を表し、そしてkは、1〜10
    の整数を表す]。
  8. 【請求項8】 表面にプリグルーブを有する透明な円盤
    状基板の該表面上にレーザ光の照射による情報の記録が
    可能な色素記録層が設けられた光情報記録媒体におい
    て、該色素記録層が、下記一般式(I−1)または(I
    −2)で表されるオキソノール色素をヒドロキシカルボ
    ン酸エステルを主成分として含む溶剤に溶解させた色素
    含有塗布液を該基板上に塗布、乾燥して形成されたもの
    であることを特徴とする光情報記録媒体: 【化5】 [式中、A1、A2、B1、及びB2は、各々独立に置換基
    を表し、Y1及びZ1は、各々独立に、炭素環もしくは複
    素環を形成するために必要な原子団を表し、EとGは、
    各々独立に、共役二重結合鎖を完成するために必要な原
    子団を表し、X1は、=O、=NR0、又は=C(CN)
    2を表し、X2は、−O、−NR0、または−C(CN)2
    を表す。但し、R0は置換基を表す。L1、L2、L3、L
    4及びL5は各々独立に、置換されていてもよいメチン基
    を表し、Xk+は、カチオン性成分を表す。n1及びn2
    は、各々独立に0、1または2を表し、xおよびyは、
    各々独立に、0または1を表し、そしてkは、1〜10
    の整数を表す]。
  9. 【請求項9】 表面にプリグルーブを有する透明な円盤
    状基板の該表面上にレーザ光の照射による情報の記録が
    可能な色素記録層を塗布形成する工程を含む光情報記録
    媒体の製造方法において、該色素記録層の塗布形成を、
    ヒドロキシカルボン酸エステルを主成分として含む溶剤
    に下記一般式(III)で表されるシアニン色素を溶解し
    た塗布液を基板上に塗布し、乾燥することにより行なう
    ことを特徴とする光情報記録媒体の製造方法: 【化6】[DYE+nn- (III) [式中、DYE+は、アニオン性の置換基を有することの
    ない1価のシアニン色素カチオンを表わし、Xn-は、n
    価の有機アニオンを表わし、そしてnは2以上の整数を
    表わす]。
  10. 【請求項10】 一般式(III)で表されるシアニン色
    素において、有機アニオンが、芳香族ジスルホン酸イオ
    ンまたは芳香族トリスルホン酸イオンであることを特徴
    とする請求項9に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 一般式(III)で表されるシアニン色
    素において、シアニン色素カチオンが、下記の一般式
    (IV)で表される化合物であることを特徴とする請求項
    9に記載の光情報記録媒体の製造方法: 【化7】 [式中、Z11及びZ12は、置換基を有していてもよいイ
    ンドレニン核もしくはベンゾインドレニン核を完成する
    ために必要な原子群を表し、R31及びR32は各々独立
    に、アルキル基またはアリール基を表し、R33 、R
    34 、R35 及びR36は各々独立に、アルキル基を表し、
    31 、L32 、L33 、L34 及びL35 は各々独立に、
    置換又は無置換のメチン基を表し、L31 〜L35 上に置
    換基を有する場合には、互いに連結して環を形成しても
    よく、jは0、1又は2を表し、mは0または1を表
    し、そしてnは、2以上の整数を表す]。
  12. 【請求項12】 ヒドロキシカルボン酸エステルが、乳
    酸エステルであることを特徴とする請求項9に記載の光
    情報記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 乳酸エステルが、乳酸メチル、乳酸エ
    チル、及び乳酸ブチルからなる群より選ばれる少なくと
    も一種の化合物であることを特徴とする請求項12に記
    載の光情報記録媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】 レーザ光の照射により物性の変化を示
    す一般式(III)で表されるシアニン色素をヒドロキシ
    カルボン酸エステルを主成分として含む溶剤に溶解させ
    てなる色素溶液: 【化8】[DYE+nn- (III) [式中、DYE+は、アニオン性の置換基を有することの
    ない1価のシアニン色素カチオンを表わし、Xn-は、n
    価の有機アニオンを表わし、そしてnは2以上の整数を
    表わす]。
  15. 【請求項15】 表面にプリグルーブを有する透明な円
    盤状基板の該表面上にレーザ光の照射による情報の記録
    が可能な色素記録層が設けられた光情報記録媒体におい
    て、該色素記録層が、下記一般式(III)で表わされる
    シアニン色素をヒドロキシカルボン酸エステルを主成分
    として含む溶剤に溶解させた色素含有塗布液を該基板上
    に塗布、乾燥して形成されたものであることを特徴とす
    る光情報記録媒体: 【化9】[DYE+nn- (III) [式中、DYE+は、アニオン性の置換基を有することの
    ない1価のシアニン色素カチオンを表わし、Xn-は、n
    価の有機アニオンを表わし、そしてnは2以上の整数を
    表わす]。
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