JP2001223359A - 薄膜半導体装置の製造方法 - Google Patents

薄膜半導体装置の製造方法

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JP2001223359A JP2000020819A JP2000020819A JP2001223359A JP 2001223359 A JP2001223359 A JP 2001223359A JP 2000020819 A JP2000020819 A JP 2000020819A JP 2000020819 A JP2000020819 A JP 2000020819A JP 2001223359 A JP2001223359 A JP 2001223359A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優良な多結晶薄膜半導体装置を比較的低温で
製造する。 【解決手段】 多結晶半導体膜形成後、希ガス元素イオ
ンを半導体膜に注入する。その後溶融結晶化を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は600℃程度以下
の比較的低温にて、基板上に形成された結晶性半導体膜
の品質を向上せしめ、且つ其の品質変動を最小にし得る
技術に関する。取り分け此の技術を適応して、基板上に
形成された結晶性半導体膜を半導体装置のチャンネル形
成領域として活用している薄膜半導体装置の性能を著し
く改善し、且つ半導体装置素子間の品質が均一と成り得
る、薄膜半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多結晶硅素薄膜トランジスタ(p−Si
TFT)に代表される半導体装置を汎用ガラス基板を
使用し得る600℃程度以下の低温にて製造する場合、
従来以下の如き製造方法が取られて居た。まず基板上に
半導体膜と成る非晶質硅素膜を低圧化学気相堆積法(L
PCVD法)で形成する。次に此の非晶質膜にエキシマ
レーザー等を照射して多結晶硅素膜(p−Si膜)とし
た後、ゲート絶縁膜と成る酸化硅素膜を化学気相堆積法
(CVD法)や物理気相堆積法(PVD法)にて形成す
る。次にタンタル等でゲート電極を作成して、金属(ゲ
ート電極)−酸化膜(ゲート絶縁膜)−半導体(多結晶
硅素膜)から成る電界効果トランジスタ(MOS−FE
T)を構成させる。最後に層間絶縁膜を此等の膜上に堆
積し、コンタクトホールを開孔した後に金属薄膜にて配
線を施して、半導体装置が完成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら此等従来
の半導体装置の製造方法では、半導体特性を良好する為
に照射レーザー光のエネルギー密度を増すと、僅かなエ
ネルギー密度の変動に依っても半導体特性が同一基板内
に於いてすら大きくばらつ居ていた。それ故、基板内で
比較的均質な多結晶半導体膜を得るには、レーザー光の
エネルギー密度を最適値よりも可成り低く設定する必要
が有った。又、レーザー光の出力変動に対して非晶質硅
素膜が窮めて敏感である為に、同一基板上に形成された
薄膜半導体素子間で移動度や閾値電圧に代表される電気
特性の偏差が非常に大きい物となっていた。斯くした事
実に則し、従来の製造方法にてp−Si TFT等の半
導体装置を製造すると、完成した半導体装置の電気特性
の平均値は、例えばNMOSの移動度の平均値ならば8
0cm2-1-1と低く、加えて偏差も平均値に対して
20%程度認められるとの課題を有して居た。
【0004】そこで本発明は上述の諸事情を鑑み、その
目的とする所は600℃程度以下との低温工程で優良な
半導体装置を安定的に製造する方法を提供する事に有
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は基板上に形成さ
れた結晶性半導体膜を半導体装置のチャンネル形成領域
として活用している薄膜半導体装置の製造方法に於い
て、基板上に半導体膜を形成する半導体膜形成工程と、
此の半導体膜に希ガス元素イオンを打ち込むイオン注入
工程と、イオン注入工程後に半導体膜を溶融結晶化させ
る結晶性半導体膜形成工程とを含む事を特徴とする。
【0006】半導体膜形成工程は化学気相堆積法(CV
D法)や物理気相堆積法(PVD法)等の気相堆積法に
依り行われる。此等の内でも特に化学気相堆積法(CV
D法)の適応が好ましい。更には化学気相堆積法で有っ
ても低圧化学気相堆積法(LPCVD法)で執り行われ
るのがより望ましい。
【0007】半導体膜形成工程にて形成される半導体膜
は多結晶半導体膜である。此の多結晶半導体膜は最初に
非晶質膜として堆積された後、非晶質膜を結晶化して多
結晶半導体膜とされる。非晶質膜から多結晶膜を得るに
は非晶質膜を固相状態にて結晶化しても良いし、或いは
非晶質膜を基板全体の0.1%程度未満の局所的で、且
つ10ns程度から1μs程度の極短時間の溶融状態を
経て結晶化しても良い。固相状態で結晶化させるには、
例えば非晶質膜を略熱平衡状態にある熱処理炉に挿入し
て、500℃程度から700℃程度の温度で数分から数
日間に渡り熱処理を施したり、或いは急速熱処理法(R
TA法)を用いて600℃程度から900℃程度の温度
で0.1秒程度から数分間に渡り熱処理を施す。非晶質
半導体膜を局所的な極短時間の溶融状態を経て結晶化さ
せるには、非晶質膜にレーザー光を照射するのが最も簡
便である。
【0008】イオン注入工程にて打ち込まれる希ガス元
素イオンはアルゴン(Ar)イオン或いはヘリウム(H
e)イオン、又はネオン(Ne)イオンが好ましい。此
等のイオンが半導体膜に打ち込まれる際には、希ガス元
素イオンの半導体膜内での最大濃度(飛程中心に於ける
濃度)が2×1019cm-3程度以上1×1021cm-3
度以下と成る様にする。更に打ち込まれる希ガス元素イ
オンの飛程中心は半導体膜の下側界面と半導体膜の下側
界面からの厚みの40%程度との間に存在する様に工程
処理を行う。此は半導体膜の下側界面近傍に後の結晶性
半導体膜形成工程での結晶核が多く存在し、此等を効率
的に破壊する事が求められるからで有る。換言すれば、
イオン注入工程にて打ち込まれる希ガス元素イオンの飛
程中心が、半導体膜の下側界面から10nm±10nm
内に来るようにイオン注入工程を行う。希ガス元素イオ
ンは半導体装置のチャンネル形成領域及び其の周辺とな
る近傍領域のみに選択的に注入するのが殊の外望まし
い。具体的に近傍領域とはチャンネル形成領域から1μ
m程度以内の領域を示す。
【0009】結晶性半導体膜形成工程は半導体膜に表側
より光照射を施して半導体膜の溶融結晶化を進めるのが
好ましい。光照射としてはレーザー光照射が望まれる。
レーザー光は半導体膜の膜厚方向に対して85%程度以
上97%程度以下を溶融させるエネルギー密度で半導体
膜を照射する。レーザー光の内ではエキシマレーザー光
が利用でき、より具体的にはキセノン塩素(XeCl)
エキシマレーザー光(波長308nm)やクリプトン弗
素(KrF)エキシマレーザー光(波長248nm)等
が用いられる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は薄膜半導体装置の製造方
法に関し、ガラスの歪点温度が600℃程度から750
℃程度と云った低耐熱性ガラス基板、或いは単結晶硅素
基板等の各種基板上に硅素膜(Si)や硅素ゲルマニウ
ム膜(SixGe1-x:0<x<1)に代表される半導体
物質を半導体薄膜として形成する半導体膜形成工程と、
此の半導体膜に希ガス元素イオンを打ち込むイオン注入
工程と、イオン注入工程後に半導体膜の一部を溶融させ
た後に冷却固化過程を経て半導体膜の溶融結晶化を進め
る結晶性半導体膜形成工程とを少なくとも含む事を特徴
とする(図1)。
【0011】半導体膜形成工程では下地保護膜の形成方
法や其れに引き続く半導体膜堆積工程直前の洗浄工程、
及び半導体膜堆積工程等を工夫してまず結晶粒が比較的
大きい多結晶膜を形成する(図2A)。此の状態では結
晶粒は十分に大きくなく、其の分布も広がっている。そ
こで次のイオン注入工程にて希ガス元素イオンを多結晶
半導体膜に打ち込み、多結晶体を構成していた結晶粒の
大半を破壊する。結晶粒の大半が破壊され、結晶粒の一
部のみが僅かに残る為、希ガス元素イオンを打ち込まれ
た半導体中の結晶核密度は著しく低下する(図2B)。
此の原理に則りイオン注入工程後の結晶核密度は確実に
半導体膜形成工程直後の多結晶半導体膜の結晶粒密度よ
りも小さくなる。その後に結晶性半導体膜形成工程が行
わる。結晶核密度が低下した半導体膜を溶融結晶化させ
るので、最終的に得られる結晶性半導体膜は必ずイオン
注入工程以前に形成された膜よりも結晶粒密度が小さ
く、故に平均結晶粒径は増大するに至る(図2C)。
【0012】イオン注入工程に於ける希ガス元素イオン
の半導体膜への打ち込みを、半導体膜の特定な領域にイ
オン注入保護膜を設けるなどとして局所的に行えば(図
3A)、半導体膜内でイオン注入保護膜に被われていな
い領域の結晶粒のみが選択的に破壊され、其の一方でイ
オン注入保護膜に被われていた領域の結晶粒は保護され
て生き残る(図3B)。その後に結晶性半導体膜形成工
程が行われ、保護されて生き残った結晶粒が溶融再結晶
化時の結晶種として機能するので結晶は横方向に成長
し、大粒径の結晶粒となる(図3C)。加えて此の場合
には結晶粒界の位置を或程度制御出来るので、ゲート長
やベース長が4μm程度未満の小さい半導体装置で有れ
ば、半導体装置の電流方向(MOSFETではソース・
ドレイン方向、バイポーラトランジスタではエミッター
・コレクター方向)を横切る結晶粒界を無くし、窮めて
高性能な結晶性半導体装置を作成し得る。結晶粒界を或
程度制御可能なので半導体装置の移動度や閾値電圧など
の変動は著しく小さくなり、常に高性能な半導体装置を
安定的にばらつきなく製造出来るのである。以下、本願
発明の薄膜半導体装置の製造方法を図面を用いて詳述す
る。
【0013】半導体膜形成工程では基板上に硅素(S
i)を主体とした半導体膜を形成する。半導体膜は硅素
をその主構成元素(硅素原子構成比が80%程度以上)
として居り、多結晶状態にある。基板としては単結晶硅
素等の半導体基板、或いは無アルカリガラスやセラミッ
ク等の絶縁性基板が用いられるのが通常だが、基板の耐
熱性が600℃程度以上有れば其の種類に囚われない。
此等の基板の表面には半導体膜に対する下地保護膜とし
て、酸化硅素膜が100nm程度から10μm程度堆積
されて居るのが好ましい。下地保護膜としての酸化硅素
膜は単に半導体膜と基板との電気的絶縁性を取ったり、
或いは基板が含有する不純物の半導体膜への拡散混入を
防ぐにのみならず、下地酸化膜と結晶性半導体膜との界
面を良質な物として居る。本願発明では薄膜半導体装置
の半導体膜は10nm程度から150nm程度の厚みを
有し、半導体膜の膜厚方向全域に渡ってエネルギーバン
ドが曲がって居る場合(SOIの完全空乏化モデルに相
当する)が考えられる。斯様な状況下ではゲート絶縁膜
と半導体膜との界面と共に、下地保護膜と半導体膜との
界面も電気伝導に無視できぬ関与を及ぼす。酸化硅素膜
は半導体膜と界面を成す際に界面捕獲準位を最も低減し
得る物質で有るから下地保護膜として適している訳で有
る。半導体膜は此の下地保護膜上に形成される。従って
下地保護膜としては半導体膜との界面に1012cm-2
度以下の界面準位を有する酸化硅素膜が望まれる。更に
本願発明では半導体膜下部に於ける結晶核発生を抑制す
る事が重要な役割を演ずる。斯うした意味からも下地保
護膜は半導体膜との界面に生ずる結晶核の密度を3×1
7cm-2程度未満とし得る絶縁膜で有る事が求められ
る。結晶核となりうる物は1nm程度以上の凹凸や段
差、塵、埃、微粒子(パーティクル)等である。従って
此等の絶縁膜表面での濃度は3×107cm-2程度未満
でなければならない。
【0014】下地保護膜はプラズマ化学気相堆積法(P
ECVD法)や低圧化学気相堆積法(LPCVD法)、
スパッター法と云った気相堆積法や硅素の熱酸化法等で
形成される。基板が高純度の石英から成る時には下地保
護膜と石英基板とが兼用される事も可能で有る。此等下
地保護膜上に半導体膜が化学気相堆積法(CVD法)で
堆積される。CVD法としてはプラズマ化学気相堆積法
(PECVD法)や低圧化学気相堆積法(LPCVD
法)が適応される。堆積された半導体内に結晶核と成り
得る不純物が少ないと云う高純度半導体膜を得る立場か
らは、高真空型LPCVD法にて半導体膜を堆積するの
が好ましい。この際に高次シラン(Sin2n+2:n=
2,3,4)を原料気体の一種として半導体膜を堆積す
る。これは本願発明が対象としている600℃程度以下
の低温工程でも、速い堆積速度で半導体膜が堆積される
為に、不純物混入の割合が減り、以て半導体膜の純度が
上がるからである。斯うした気相堆積法で形成された半
導体膜は堆積直後には非晶質状態に有る。非晶質状態に
有る薄膜は非晶質膜と呼ばれ、薄膜は多くの非晶質粒か
ら、或いは非晶質粒と僅かな量の結晶粒から構成されて
居る(M. Miyasaka, et al.: Jpn. J. Appl. Phys. vo
l.36 (1997) p.2049)。本願発明では斯様にして得られ
た非晶質膜をまず結晶化して多結晶性半導体膜を得る。
次にイオン注入工程にて多結晶半導体膜の大半を破壊す
る。イオン注入は半導体膜の表側より執り行われ、飛程
中心は半導体膜の下部に合わせられるので、注入された
領域では半導体膜の下側界面近傍のみに僅かな結晶核が
残留する事になる。最後に結晶性半導体膜形成工程にて
イオン注入された半導体膜の下部を除いた他の部分を溶
融させ、溶融した半導体膜の冷却固化時に残留した下部
を結晶源として半導体膜の再結晶化を進めて結晶性半導
体膜(溶融結晶化膜)を得る。最初に化学気相堆積法に
て堆積される非晶質膜を構成する非晶質粒が大きけれ
ば、此の非晶質膜から得られる多結晶半導体膜を構成す
る結晶粒も大きく成る。即ち結晶核密度が小さくなる。
結晶核密度が小さいので、イオン注入後に残留する結晶
核の密度も自ずから小さくなる。従って結晶性半導体膜
形成工程後に得られる結晶性半導体膜を構成する結晶粒
も大きく成り、斯くして薄膜半導体装置の高性能化が実
現されるので有る。更に上述の条件を満たすと、イオン
注入工程が半導体装置のチャンネル形成領域とその周辺
の近傍領域とに限定される場合、注入領域では結晶核発
生確率が窮めて小さく、其の反面で注入領域の外側は大
粒径の結晶粒から構成される多結晶膜で有る為に、結晶
性半導体膜形成工程時に注入領域の外側から内側に向か
って大粒径の結晶成長が生じる。最終的には此の領域に
半導体装置の心臓部であるチャンネル形成領域が作られ
るので、窮めて優良な薄膜半導体装置が実現される事に
なる。斯うした意味に於いて、半導体膜形成工程に先立
つ下地保護膜形成、及び半導体膜形成方法が重要とな
る。
【0015】本願発明では半導体膜形成工程に先立ち下
地保護膜形成工程として、基板上に半導体膜に対する下
地保護膜と成る酸化硅素膜を気相堆積法等で形成する。
更に此の下地保護膜形成工程が終了した後に、此の基板
を洗浄する洗浄工程を設ける。洗浄工程は酸を含む水溶
液を少なくとも含んでおり、酸の内でも弗化水素酸水溶
液にて基板を洗浄する事が殊の他重要で有る。下地保護
膜上の塵や埃は其の上に形成される半導体の純度を落と
にのみならず、更には非晶質膜を堆積する時に非晶質核
と成ったり、或いは非晶質膜を結晶成長させる時に結晶
核とも成る。即ち、下地保護膜上の塵や埃の存在は最終
的に得られる結晶性半導体膜の純度を落とすと同時に非
晶質膜の非晶質粒を小さくし、多結晶膜の結晶粒を小さ
くし、イオン注入後の結晶核密度を上げ、斯様にして溶
融結晶化膜の結晶粒を小さくし、結局薄膜半導体装置の
性能を落とす事に繋がるので有る。従って優良な半導体
装置を得る為には、半導体膜堆積前に基板を十分洗浄す
る必要が有る。此に依り純度が高く、結晶粒の大きい結
晶性半導体膜が後に得られる事と成る。下地保護膜の付
いた基板は石鹸等の界面活性剤を含む水溶液や酸を含む
水溶液、或いはアルカリを含む水溶液、更にはエタノー
ル等のアルコールやアセトン等のケトンなどの有機溶剤
にて洗浄される。酸を含む水溶液としては硫酸(H2
4)や塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、弗酸(H
F)等の水溶液、或いは硫酸と過酸化水素水(H22
と純水(H2O)との混合液(以下本願明細書中では硫
酸過水と略す)、塩酸と過酸化水素水と純水との混合液
(塩酸過水と略す)、硝酸と過酸化水素水と純水との混
合液(硝酸過水と略す)、硫酸と弗酸と純水(H2O)
との混合液、塩酸と弗酸と純水との混合液、硝酸と弗酸
と純水との混合液、アンモニアと弗酸と純水との混合液
等が特に適して居る。アルカリを含む水溶液としてはア
ンモニア(NH3)水溶液や、アンモニアと過酸化水素
水と純水との混合液(アンモニア過水と略す)が適して
居る。半導体膜堆積前には此等の各種洗浄を適宜組み合
わせ、最終的には純水で十分洗い流す必要が有る。ガラ
ス基板の好ましい洗浄の一例としては次の方法が有る。 (1)有機溶剤洗浄 (1−1)アセトン等のケトン洗浄(有機物除去) (0℃程度から30℃程度で1分程度から10分程度) (1−2)エタノール等のアルコール洗浄(有機物除
去) (0℃程度から30℃程度で1分程度から10分程度) (1−3)純水洗浄(ケトン、アルコール除去) (0℃程度から30℃程度で1分程度から10分程度) (2)アルカリ洗浄 (2−1)アンモニア過水洗浄(金属除去) (50℃程度から100℃程度で1分程度から10分程
度) (2−2)純水洗浄(アンモニア除去) (0℃程度から50℃程度で1分程度から10分程度) (3)酸洗浄 (3−1)硫酸過水洗浄(金属除去) (50℃程度から100℃程度で1分程度から10分程
度) (3−2)純水洗浄(硫酸除去) (0℃程度から50℃程度で1分程度から10分程度) (3−3)塩酸過水洗浄(金属除去) (50℃程度から100℃程度で1分程度から10分程
度) (3−4)純水洗浄(塩酸除去) (0℃程度から50℃程度で1分程度から10分程度) (4)表面酸化膜除去 (4−1)弗酸水溶液洗浄(酸化膜表面除去及び酸化膜
表面の水素終端化) (0℃程度から30℃程度で1分程度から10分程度) (4−2)純水洗浄(弗酸除去) (0℃程度から30℃程度で1分程度から10分程度) 此の四工程から成る洗浄の内で最も重要なのは表面酸化
膜除去の洗浄で有る。下地保護膜を成す酸化膜の表面層
を除去すれば表面層に付着していた金属や塵等も自動的
に取り除かれるからで有る。従って工程簡略化等の要請
に依り半導体膜堆積前の洗浄工程を最少とさせたい時に
は、少なくとも表面酸化膜除去の洗浄だけは含まれる様
に洗浄工程を設定すれば良い。但し、表面酸化膜除去に
用いる洗浄液の寿命を長くして生産性を上げ、且つ下地
保護膜上の不純物をより確実に除去するとの視点からは
表面酸化膜除去工程の前にアルカリ洗浄乃至は酸洗浄を
行うのが好ましい。表面酸化膜除去の洗浄では上例の如
く弗酸と純水の混合液(弗化水素酸水溶液)の他に弗酸
水溶液とアンモニア等のアルカリ水溶液との混合液を用
いても良い。此の混合液はガラスへの損傷を小さくする
との利点が有り、汎用無アルカリガラスを基板として用
いる時の表面酸化膜除去の洗浄として最も適して居る。
弗酸水溶液とアルカリ水溶液の混合液の一例としては弗
化アンモン(NH4F)水溶液が考えられる。
【0016】上述の洗浄と最後の純水に依る洗い流しが
済んだ後に、下地保護膜上に非晶質半導体膜を堆積す
る。半導体膜堆積には各種気相堆積法が可能で有るが、
高純度の半導体膜が容易に堆積されるとの立場からは、
其の内でも特に低圧化学気相堆積法(LPCVD法)が
適して居る。基板は純水に依る洗い流しが終了した後、
基板に新たな塵や埃の付着を防ぐ為に、直ちに(長くと
も2時間程度以内に)気相堆積装置内に設置されるべき
で有る。低圧化学気相堆積法は高真空型低圧化学気相堆
積装置にて行われる。此は半導体膜の純度を高める事
と、不純物に起因する非晶質核の発生を最小として、本
願発明で最終的に得られる結晶性半導体膜を高純度で且
つ大きな結晶粒から構成される様にする為で有る。高真
空型とは非晶質半導体膜堆積直前の背景真空度が5×1
-7Torr程度以下とし得る装置で、具体的には成膜
室への装置外部からの漏洩流量が、洗浄した基板からの
最大脱ガス総流量(例えば300mm×300mmのガ
ラス基板17枚で最大脱ガス総流量は1×10-2(sc
cm)程度)の十分の一程度以下(先の例に則ると装置
外部からの漏洩流量は1×10-3(sccm)程度以
下)の気密性を有する装置で有る。装置成膜室の気密性
は避け得ない基板からの脱ガスの最大流量の十分の一程
度以下で有れば、仮令気密性に多少の変動が有ろうと
も、総不純物流量(成膜室への装置外部からの漏洩流量
と基板からの脱ガス流量との和)に対して著しい影響を
及ぼさないからで有る。斯様な高真空型低圧化学気相堆
積装置は単に成膜室の気密性が優れて居るにのみなら
ず、成膜室に於ける排気速度が100sccm/mTo
rr(不活性ガスを100sccm成膜室に流した時に
得られる平衡圧力が1mTorrと成る排気速度)程度
以上の排気能力を有して居る事が更に望まれる。斯うし
た高排気能力を有する装置では1時間程度の比較的短時
間で、十分な洗浄を施された基板からの水等の脱ガス流
量を装置の漏洩流量程度以下の水準迄低下せしめ、生産
性を著しく高める事が可能と成るからで有る。
【0017】非晶質硅素膜に代表されるシリコンを主体
とする半導体膜は高次シラン(Si n2n+2:nは2以
上の整数)を原料気体の一種として堆積される。価格や
安全性を考慮すると高次シランとしてはジシラン(Si
26)が最も適している。さて、高純度で高品質の半導
体膜を堆積するには、低圧化学気相堆積装置に於ける装
置外部からの漏洩流量(QL)の高次シラン流量
(QSiH)に対する比(R=Q L/QSiH)を10ppm
程度以下(R≦10-5)とせねばならない。(先の漏洩
流量が1×10-3(sccm)程度の例の場合、ジシラ
ン流量は100sccm程度以上とする。)前述の如
く、本願発明では高真空型低圧化学気相堆積装置を用い
て基板からの脱ガス流量が最大脱ガス総流量の十分の一
程度以下になってから、即ち外部からの漏洩流量
(QL)程度以下に成ってから半導体膜の堆積を試み
る。従って総不純物流量は外部からの漏洩流量(QL
と同程度の水準で有る。装置外部から成膜室へ漏洩する
物質は主として空気で有る。空気中の80%を占める窒
素は不活性で有るから、半導体品質に対して大きな問題
は生じせしめず、不純物として問題と成るのは残りの2
0%を占める酸素で有る。一方、成膜室に導入された高
次シランの内で、実際に反応に関与して半導体膜に取り
込まれる物は、成膜条件に依存して多少の変動は有るも
のの、大凡20%程度で有る。それ故、仮令成膜室内に
存在する酸素等の不純物が総て半導体膜中に取り込まれ
るとの現実には有り得ぬ最悪の状況を想定しても、外部
からの漏洩流量(QL)の高次シラン流量(QSiH)に対
する比(R=QL/QSiH)を10ppm程度以下(R≦
10-5)とすれば、堆積された半導体膜中の硅素原子に
対する酸素原子等の不要な不純物の濃度は多くとも10
17cm-3程度以下(実際は1016cm-3程度以下)と成
り、高純度な半導体膜が得られるので有る。高純度な多
結晶半導体膜はそれを薄膜半導体装置の活性層(電界効
果トランジスタのソース・ドレイン領域やチャンネル形
成領域、或いはバイポーラトランジスタのエミッター・
ベース・コレクター領域)として用いた時に、半導体膜
禁制帯中の捕獲準位を減らすと共に不純物元素に起因す
る移動度低下を最小限に押さえるとの効果を有する。
【0018】上述の諸条件に加え、更に本願発明では4
30℃程度未満との比較的低温で非晶質半導体膜の堆積
を行う。この際に半導体膜の堆積速度が0.5nm/m
in程度以上と成る様に成膜室の圧力や高次シランの流
量、或いは挿入基板枚数が設定される。斯様な低温(4
30℃程度未満)で且つ比較的速い堆積速度を以て非晶
質半導体膜を堆積すると、堆積により得られる非晶質膜
を構成する非晶質粒が総じて大きくなり、斯くして此の
非晶質膜を結晶化させた際に得られる多結晶膜の結晶粒
は著しく増大するに到る。此の説明から分かる様に高性
能薄膜半導体装置を実現する上での一つの重要要件は非
晶質膜の堆積条件に有る。430℃程度未満との低温で
且つ0.5nm/min程度以上の堆積速度で非晶質半
導体膜を堆積すると、非晶質粒の成長元と成る核(非晶
質核)の発生速度が非晶質膜の成長速度に比べて遅く成
り、それ故堆積非晶質膜を構成する非晶質粒が大きく成
るので有る。但し、半導体膜堆積の際に基板洗浄が不十
分で有ると、基板上に付着した不純物が非晶質核として
作用する為、非晶質粒は小さく成って仕舞う。同様に気
相堆積装置の機密度が不十分で有ると(例えばR=QL
/QSiH>10-5)、外部から成膜室に漏洩した不純物
気体が基板上に付着して矢張り非晶質核と成って仕舞
い、結果として大粒径の非晶質粒から成る優れた非晶質
膜は得られない。又、成膜室内での基板乾燥が不十分で
有ると(この時には半導体膜堆積直前の背景真空度が5
×10-7Torr程度以下と成って居ない)、全く同じ
原理で非晶質粒は小さく成る。高性能薄膜半導体装置を
得る為には、基板に十分な洗浄(少なくとも表面酸化膜
除去の洗浄工程)を施し、原料気体流量に対する機密度
が十分で有る成膜装置(R=QL/QSiH≦10-5)を用
いて、基板を成膜室で良く乾燥させた後(半導体膜堆積
直前の背景真空度が5×10-7Torr程度以下とした
後)、ジシラン等の高次シランを原料気体として用いて
430℃程度未満との堆積温度で且つ0.5nm/mi
n程度以上の堆積速度で非晶質半導体膜を堆積する事が
肝要なので有る。
【0019】半導体膜形成工程にて形成される半導体膜
は多結晶半導体膜である。此処迄述べて来た手法にて非
晶質膜が堆積された後、次に此の非晶質膜を結晶化して
多結晶半導体膜へと変換する。非晶質膜から多結晶膜を
得るには非晶質膜を固相状態で結晶化しても良いし、或
いは非晶質膜を基板全体の0.1%程度未満の局所的
で、且つ10ns程度から1μs程度の極短時間の溶融
状態を経て結晶化しても良い。固相状態で結晶化させる
には、例えば非晶質膜を略熱平衡状態にある熱処理炉に
挿入して、500℃程度から700℃程度の温度で数分
から数日間に渡り熱処理を施したり、或いは急速熱処理
法(RTA法)を用いて600℃程度から900℃程度
の温度で0.1秒程度から数分間に渡り熱処理を施す。
熱処理温度と時間は温度が上がる程短時間で処理が終了
するとの関係にある。従って高い熱処理温度で結晶化を
進めれば、生産性が上がるとの効果が認められる。反対
に温度が低ければ結晶核の発生密度が低下するので大粒
径の多結晶膜が得られるとの効果が認められる。具体的
には処理温度が550℃程度の時は一週間程度の熱処理
時間が必要であるが、600℃程度では数日、650℃
程度では数時間、700℃程度で数分、800℃程度で
数秒の時間が必要と成る。無論斯うした比較的高い温度
を利用するには基板の耐熱性(歪点温度)がそれらの温
度よりも最低でも150℃程度以上勝っている事が前提
となる。此等の諸事実を鑑みると理想的には550℃程
度一週間程度の熱処理から650℃程度数時間の熱処理
の間の条件が適していると言える。此の手法は基板全体
が熱平衡状態に有るので窮めて均質な多結晶膜を基板全
面に渡って得られ、最終的に作成される半導体装置の電
気特性を基板全体で均一にし得るとの効果を有する。
【0020】非晶質半導体膜を局所的な極短時間の溶融
状態を経て結晶化させるには、非晶質膜にレーザー光を
照射するのが最も簡便である。局所的な極短時間の溶融
結晶化で有れば基板に熱損傷を与えることなく、基板の
選択範囲が広がるとの利点を有する。レーザー光として
はエキシマレーザー光が利用でき、より具体的にはキセ
ノン塩素(XeCl)エキシマレーザー光(波長308
nm)やクリプトン弗素(KrF)エキシマレーザー光
(波長248nm)等が用いられる。非晶質半導体膜へ
のレーザー照射では照射後の半導体膜の状態に応じて三
種類の相に分類できる(図4)。即ち照射レーザーエネ
ルギー密度が弱すぎて照射後も非晶質状態にある非晶質
相と、適度な照射エネルギー密度で照射後に多結晶状態
が得られる多結晶相、及び照射エネルギー密度が強すぎ
て照射後に微結晶状態となる微結晶相である。非晶質相
と多結晶相とを隔てるのが表面溶融エネルギー密度(E
SM)で、此のエネルギー密度の時に非晶質半導体膜の極
表面が溶融する事になる。半導体膜の表面のみが溶融す
るので表面溶融エネルギー密度は半導体膜の厚みに対し
て独立である。一方、多結晶相と微結晶相とを隔てるの
が完全溶融エネルギー密度(ECM)で、此のエネルギー
密度の時に非晶質半導体膜が膜厚方向の全域に渡って完
全に溶融する事になる。従って完全溶融エネルギー密度
(ECM)は半導体膜が厚くなるに連れて其の値を増加さ
せて行く。本願発明の半導体膜形成工程にて非晶質膜を
多結晶膜に変換する理想のレーザーエネルギー密度をE
iで表現すると、Eiの値は次の不等式を満たす。
【0021】(ECM−ESM)×kL+ESM<Ei<(ECM
−ESM)×kH+ESML=0.85 kH=0.95 この式が示している様に本願発明のレーザーエネルギー
密度Eiは多結晶相エネルギー密度の85%から95%
の間に設定され、其れは半導体膜の厚み方向に対して凡
そ85%から95%を溶融させている事を意味する。理
想のレーザーエネルギー密度Eiを用いてkiを Ei=(ECM−ESM)×ki+ESM と定義すると、先の不等式は kL<ki<kHL=0.85 kH=0.95 と記載し直される。即ちkiを0.85程度から0.9
5程度としてレーザー光照射を施すと、半導体膜の厚み
方向の大凡85%程度から95%程度が溶融し、結果と
して得られる多結晶膜は比較的大きい結晶粒から構成さ
れる事になる。それ故、後のイオン注入工程では結晶核
密度を激減させる事が出来、最終的に得られる半導体装
置の電気特性をも改善する。粒径の大きい結晶粒を得る
にはEiは出来る限りECMに近い事が望まれる。然るに
従来技術の欄にて詳述した様に現在のエキシマレーザー
装置の出力変動は数%のオーダーで認められる為、kH
を0.97程度よりも大きくすると半導体膜は微結晶相
に入って仕舞う場合も認められる。本願発明ではEi
値をECMからレーザー装置の出力偏差分よりも十分に小
さく取る(kH=0.95)。そうする事で此の段階で
は平均結晶粒径は差程大きく成らない一方で、結晶粒径
偏差は窮めて小さくなる。結晶粒の平均径は次工程以降
で増大させられる。溶融結晶化は半導体膜の同一地点を
20回程度以上80回程度以下の回数で繰り返される様
に行う。
【0022】斯様にして半導体膜形成工程にて形成され
た多結晶半導体膜に希ガス元素イオンを注入して、結晶
核密度の一段たる低減を図る。イオン注入工程にて打ち
込まれるイオンはアルゴン(Ar)イオン或いはヘリウ
ム(He)イオン、又はネオン(Ne)イオン等の希ガ
ス元素が好ましい。此等の元素は化学的に不活性なので
半導体中に残留しても半導体装置の電気特性に影響を及
ぼさないからである。此に反して硅素やゲルマニウムな
どの半導体元素もイオン注入元素として候補に挙がる
が、後述する様にイオン注入の飛程中心は半導体膜の下
側界面近傍に設定される。その為に半導体元素が注入さ
れると半導体膜の下側界面が不明瞭な広がりを有する事
になり、半導体膜全体に渡ってエネルギーバンドが曲が
る本願発明の半導体装置では下側界面の悪い状態が半導
体特性に悪影響を及ぼす事になる。希ガス元素ならば下
側界面近傍に飛程中心が設定されても下側界面を乱すこ
となく、故に完全空乏型の半導体装置を作成しても良好
な性能を示す訳である。希ガス元素がアルゴンならば、
製造コストが下がるとの利点と質量が重いので容易に多
結晶膜を破壊し、結晶核密度を最小にするとの効果が認
められる。希ガス元素がヘリウムで有れば、半導体膜に
打ち込まれた後で容易に半導体膜から離脱して残留しな
いとの利点が認められる。希ガス元素がネオンで有れ
ば、此等の中間で或程度確実に結晶粒を破壊し且つ半導
体膜への残留を最小に止められる。
【0023】アルゴン等の希ガス元素イオンが半導体膜
に打ち込まれる際には、希ガス元素イオンの半導体膜内
での最大濃度(飛程中心に於ける濃度)が2×1019
-3程度以上1×1021cm-3程度以下と成る様にす
る。2×1019cm-3程度以上の濃度で打ち込めば、多
結晶半導体膜を構成する結晶粒の大半は確実に破壊され
る。1×1021cm-3程度以下の打ち込みならば、後の
熱工程で希ガスイオン元素は半導体膜から離脱し、半導
体膜の密度を落としたり、或いは半導体膜中に空隙(v
oid)を作ったりすることはない。理想的な打ち込み
量としては飛程中心に於ける濃度が5×1019cm-3
度から3×1020cm-3程度の間である。
【0024】打ち込まれる希ガス元素イオンの飛程中心
は半導体膜の下側界面と半導体膜の下側界面からの厚み
の40%程度との間に存在する様に工程処理を行う。例
えば半導体膜の厚みが50nmで有れば、飛程中心が下
側界面と下側界面より20nmとの間に来るようにイオ
ン注入時のイオン加速エネルギーを設定する。此は半導
体膜の下側界面近傍に後の結晶性半導体膜形成工程での
結晶核が多く存在し、此等を効率的に破壊する事が求め
られるからで有る。希ガスイオン注入では飛程中心当た
りの半導体が最も損傷を被り、それ故最も確実に結晶核
密度が低減される。最も結晶核密度の高い部位を最も確
実に破壊するには、其の部位に飛程中心を合わせるので
ある。換言すれば、イオン注入工程にて打ち込まれる希
ガス元素イオンの飛程中心が、半導体膜の下側界面から
10nm±10nm内に来るようにイオン注入工程を行
うのである。
【0025】希ガス元素イオンは半導体薄膜全体に一様
に打ち込まれても良いが、半導体装置のチャンネル形成
領域及び其の周辺となる近傍領域のみに選択的に注入さ
れるのが殊の外望ましい(図5A)。近傍領域とは、具
体的に後に薄膜半導体装置のチャンネル形成領域となる
領域からの周辺1μm程度以内の領域を示す。図5Aに
局所的なイオン注入工程に於ける素子断面図を示し、図
5Bには局所的なイオン注入工程を経て作成された半導
体素子断面図を示す。図5Aと5Bとではチャンネル形
成領域が一致する様に描かれている。此等の図より希ガ
ス元素イオンが注入される領域は半導体膜の内で後にゲ
ート電極下に来る部分とその周辺である事が分かる。希
ガス元素イオンを半導体膜全体に一様に打ち込むと半導
体膜全体で一様に結晶核密度が減少し、全体に大きな結
晶粒が形成される。此に対して半導体薄膜の特定部位の
みに選択的に希ガス元素イオンを注入すると、此の部位
のみ半導体膜が破壊され、結晶核密度は著しく減少す
る。その一方でイオン注入保護膜に保護された多結晶膜
は多結晶の状態を維持して残る。即ち結晶核密度が高い
状態に残る。此の為、次の結晶性半導体膜形成工程にて
半導体膜の溶融再結晶化を進めると、希ガス元素イオン
の注入された領域は周辺の多結晶膜を結晶成長の核とし
て横方向への成長が生ずる。溶融結晶化時の結晶成長速
度は10m/s程度であり、溶融時間はレーザー照射条
件に応じて100nm程度から400nm程度と変わる
ので、結晶の横成長距離は1μm程度から4μm程度と
なる。結局、イオン注入された領域の左右1μm程度か
ら4μm程度がイオン注入保護膜に覆われた多結晶体か
ら横方向に結晶成長する事になる。この事はゲート長が
短いトランジスタでは或る程度の結晶粒界制御が可能と
の事実を物語っている(図5C)。例えば横成長が4μ
m生ずる条件では、近傍領域の距離を1μmに取って
も、ゲート長が6μm以下のトランジスタではソースド
レイン方向を横切る結晶粒界は、常にチャンネル形成領
域の中央部に一個のみとなる。図5Cは此の様子を模式
的に描いてある。左右両方向の多結晶体から横成長した
結晶粒がゲート電極の略中央部で衝突して、ソースドレ
イン方向を横切る結晶粒界を只一つだけ作っている(此
を横成長効果と称する)。多結晶トランジスタの移動度
は結晶粒界を電子又は正孔が横切る時に大きな低下を示
すので、斯うした構造の多結晶半導体装置は明らかに優
れた性能を示す。ゲート長が長いトランジスタでは、横
成長が届かなかった領域は先の全体に均一にイオン注入
された半導体膜と同じ結晶核密度を以て結晶成長する。
此等の領域も従来よりは著しく結晶核発生密度が落とさ
れているので、横成長は届かぬものの大きな粒径の結晶
粒から半導体膜は構成される。斯うしたトランジスタで
は結晶粒が大きい効果と横成長効果が共に働き、従来よ
りも際だって優れた半導体装置を形作る事になる。先に
も述べたように横成長効果を最大限に発揮するにはゲー
ト長は8μm程度以下で有る事が望まれ、近傍領域距離
を考慮するとゲート長は6μm程度以下が好ましい。
【0026】局所的なイオン注入工程を行う際のチャン
ネル形成領域(図5A)と半導体装置作成終了後のチャ
ンネル形成領域(図5B)とが厳密に一致して居ればチ
ャンネル形成領域内に横成長結晶粒を最大限取り込むべ
く(横成長効果を最大限取り入れるべく)、近傍領域の
距離は小さい方が好ましい。然るに現実には製造途上で
必ずアライメントエラーが発生し、此等チャンネル形成
領域は厳密には一致しない。従って近傍領域距離の最小
値はアライメントエラーの最大値よりも大きくする。4
00mm×500mm或いは550mm×650mmと
云った様な大型ガラス基板を使用する際のアライメント
エラーは0.3μm程度なので、近傍領域距離は余裕を
持って1μm程度とする。無論アライメントエラーが小
さくなれば、近傍領域距離も小さくし得る。近傍領域距
離が小さい程トランジスタに於ける横成長効果が強く発
揮されるので、此の距離は短いに越した事はない。近傍
領域距離が結晶横成長距離よりも短い時に、トランジス
タの横成長効果が生ずる。従って近傍領域距離の最大値
は結晶横成長距離の最大値であり、その値は大凡4μm
程度と云える。
【0027】斯うしてイオン注入工程で結晶核密度を激
減された後に、結晶性半導体膜形成工程にて半導体膜の
少なくとも表面を溶融結晶化して、大粒径な結晶性半導
体膜或いは横成長効果が認められる結晶性半導体膜を得
る。結晶性半導体膜形成工程は半導体膜に表側より光照
射を施して半導体膜の溶融結晶化を進めるのが好まし
い。光照射を表側より行うのはイオン注入工程などで制
御された結晶成長核が半導体膜の下側界面近傍に位置
し、制御された此等の核を利用して結晶化を進める為で
ある。表側より光照射を行えば必ず表側の温度は下側界
面近傍よりも高くなり、下側界面近傍の結晶成長核を利
用出来るのである。光照射としてはエネルギー効率が高
く、半導体膜の局所的な極短時間溶融状態を経て結晶化
し得るレーザー光照射が最適である。斯様なレーザー光
照射では基板への熱損傷を殆どもたらさないからであ
る。レーザー光の内ではエキシマレーザー光が利用で
き、より具体的にはキセノン塩素(XeCl)エキシマ
レーザー光(波長308nm)やクリプトン弗素(Kr
F)エキシマレーザー光(波長248nm)等が用いら
れる。
【0028】結晶性半導体膜形成工程にて、局所的乃至
は全面均一にイオン注入された半導体膜にエキシマレー
ザー光を照射するには、その際のレーザーエネルギー密
度をECRで表現すると、ECRの値は次の不等式を満たす
様にする。
【0029】(ECM−ESM)×kLC+ESM<ECR<(E
CM−ESM)×kHC+ESMLC=0.85 kHC=0.97 此処でECMはイオン注入された半導体膜の完全溶融エネ
ルギー密度で、ESMは矢張りイオン注入された半導体膜
の表面溶融エネルギー密度である。結晶性半導体膜形成
工程で照射するレーザー光のエネルギー密度ECRは多結
晶相エネルギー密度の85%から97%の間に設定され
る。照射レーザーエネルギー密度ECRを用いてkCRを ECR=(ECM−ESM)×kCR+ESM と定義すると、先の不等式は kLC<kCR<kHCLC=0.85 kHC=0.97 と記載し直される。即ち、理想的にはkCRを0.85程
度から0.97程度としてレーザー光照射を施すと、半
導体膜の厚み方向の大凡85%程度から97%程度が溶
融し、結果として得られる多結晶膜は大きな結晶粒から
構成される事になる。エキシマレーザー光の変動を考慮
するとkHCは実質的に0.95程度となる。又良好な特
性を確実に得るにはkLCは実質的に0.89程度とな
る。溶融結晶化は半導体膜の同一地点を20回程度以上
80回程度以下の回数で繰り返される様に行う。半導体
膜形成工程で多結晶半導体膜を得るのにレーザー光照射
を行う場合、本工程のレーザー照射と合わせて半導体膜
の同一地点を総計で120回程度以下の照射回数に成る
様にそれぞれの工程を調整する。此は照射回数の総計が
多すぎる時の面荒れや不純物混入を防いで、平滑で清浄
なMOS界面を得る為である。
【0030】(実施例1)図6(a)〜(e)はMOS
型電界効果トランジスタを形成する薄膜半導体装置の製
造工程を断面で示した図で有る。本実施例1では基板1
01としてガラスの歪点温度が750℃の結晶化ガラス
を用いた。然るに此以外の基板で有っても、薄膜半導体
装置製造工程中の最高温度に耐えられれば、その種類や
大きさは無論問われない。まず基板101上に下地保護
膜102と成る酸化硅素膜を堆積する。基板が高濃度に
不純物がドープされた単結晶硅素基板等の導伝性物質の
場合や、セラミックス基板等で半導体膜に取って望まし
からざる不純物を含んでいる場合、酸化硅素膜堆積前に
酸化タンタル膜や窒化硅素膜等の第一の下地保護膜を堆
積しても良い。本実施例1では基板101上にプラズマ
化学気相堆積法(PECVD法)で酸化硅素膜を200
nm程度堆積し、下地保護膜102とした。酸化硅素膜
はECR−PECVDにて以下の堆積条件で堆積され
た。
【0031】 モノシラン(SiH4)流量・・・60sccm 酸素(O2)流量・・・100sccm 圧力・・・2.40mTorr マイクロ波(2.45GHz)出力・・・2250W 印可磁場・・・875Gauss 基板温度・・・100℃ 成膜時間・・・40秒 次に下地保護膜堆積後、基板を次の手順で洗浄した。
【0032】(1)超音波照射に依るイソプロピルアル
コール洗浄(27℃、5分間) (2)窒素バブリングされた純水洗浄(27℃、5分
間) (3)アンモニア過水洗浄(80℃、5分間) (4)窒素バブリングされた純水洗浄(27℃、5分
間) (5)硫酸過水洗浄(97℃、5分間) (6)窒素バブリングされた純水洗浄(27℃、5分
間) (7)希釈弗酸水溶液(弗酸濃度1.67%)洗浄(2
7℃、20秒間) (8)窒素バブリングされた純水洗浄(27℃、5分
間) 上記7番目の希釈弗酸水溶液洗浄により、下地酸化膜の
表層部が凡そ10nm除去されて居る。斯うして洗浄さ
れた下地保護膜上に真性非晶質硅素膜をLPCVD法に
て50nm程度の膜厚に堆積した。上記8番目の純水洗
浄が終了してから基板がLPCVD装置の成膜室に設置
される迄の時間は約25分間で有った。
【0033】LPCVD装置はホット・ウォール型で容
積が184.5l有り、基板挿入後の反応総面積は約4
4000cm2で有る。成膜室に於ける最大排気速度は
120sccm/mTorrで有る。堆積温度は425
℃で、此の温度にて1時間15分間に渡る基板の加熱乾
燥処理が施された。乾燥熱処理の最中、基板が設置され
た成膜室には純度が99.9999%以上のヘリウム
(He)を200(sccm)と純度が99.9999
%以上の水素(H2)を100(sccm)導入し、成
膜室の圧力は約2.5mTorrに保たれた。乾燥処理
後に成膜室を孤立させた際の成膜室内圧力上昇は9.4
×10-6Torr/minで有ったから、成膜室への装
置外部からの漏洩流量(QL)と基板からの脱ガス流量
の和で有る総不純物漏洩流量(QTL)はボイル・シャル
ルの法則に則り、 QTL(sccm)=273.15(K)/698.15(K) ×9.4×10-6(Torr/min)/760(Torr) ×184.5×103(cm3) =8.93×10-4(sccm) で有る。原料ガスで有る純度99.99%以上のジシラ
ン(Si26)は200sccmの流量で成膜室に供給
されたから、総不純物漏洩流量(QTL)に対する高次シ
ランの比(QTL/QSiH)は4.465×10-6と成
る。従って、漏洩流量(QL)の高次シラン流量
(QSiH)に対する比(R=QL/QSiH)は4.465
ppm以下で有る。斯うした乾燥処理が終了した半導体
膜堆積直前の成膜室背景真空度は、425℃に於ける温
度平衡条件で2.3×10-7Torrで有った。非晶質
硅素膜堆積時に於ける堆積圧力は凡そ1.1Torrで
有り、此の条件下で硅素膜の堆積速度は0.77nm/
minで有る。
【0034】次に斯うして得られた非晶質半導体膜に熱
処理を施して、非晶質膜を固相にて結晶化させた。熱処
理は大気圧の窒素99%と酸素1%の混合気体雰囲気下
にて、600℃の温度で24時間行われた。この熱処理
に依り半導体膜は非晶質状態から多結晶状態へと改質さ
れる(半導体膜形成工程終了)。
【0035】次にイオン注入工程として、多結晶半導体
膜103のチャンネル形成領域105と其の近傍領域1
06にアルゴンイオン107を注入した(図6a)。イ
オン注入保護膜104としては厚みが1μmのフォトレ
ジストを用いた。近傍領域距離は1.0μmである。ア
ルゴンイオン(40Ar+)は加速エネルギー40keV
で、5×1014cm-2のドーズ量で半導体膜に打ち込ん
だ。此の条件に於ける飛程中心は半導体膜の下側界面よ
り9.6nmの半導体膜中にあり、其の飛程中心での濃
度は凡そ1.2×1020cm-3である。斯うして後に薄
膜半導体装置のチャンネル形成領域と其の近傍領域にア
ルゴンイオンが打ち込まれ、多結晶膜は破壊された半導
体膜108と化した(イオン注入工程終了)。
【0036】イオン注入工程終了後にイオン注入保護膜
であるフォトレジストを剥離し、結晶性半導体膜形成工
程として、局所的にアルゴンイオン注入された硅素膜に
キセノン塩素(XeCl)のエキシマ・レーザー光を照
射し、溶融再結晶化を進めた。レーザー光は幅350μ
mで長さ15cmの線状に集光され、此の線状の光を各
照射毎に2.5%づつ幅方向にずらして、基板上を走査
した。従って半導体膜上の同一地点は40回のレーザー
光照射を被る事になる。レーザー光の照射エネルギー密
度は385mJ・cm-2で有った。本実施例1にて使用
したエキシマレーザー光では、アルゴンイオンの注入さ
れた50nmの半導体膜の最表面のみを溶融させるエネ
ルギー密度ESMは120mJ・cm-2で有り、完全溶融
させるエネルギー密度ECMは400mJ・cm-2で有っ
た。従って照射エネルギー密度の385mJ・cm-2
CRの0.946を意味し、半導体膜の膜厚方向に対し
て約94.6%が溶融した事に成る。斯様にして得られ
た結晶性硅素膜をパターニング加工して半導体膜の島1
09を形成した(結晶性半導体膜形成工程終了)(図6
b)。
【0037】次にパターニング加工された半導体膜の島
109を被う様に酸化硅素膜110をECR−PECV
D法にて形成した。此の酸化硅素膜は半導体装置のゲー
ト絶縁膜として機能する。ゲート絶縁膜と成る酸化硅素
膜堆積条件は堆積時間が24秒と短縮された事を除い
て、下地保護膜の酸化硅素膜の堆積条件と同一で有る。
但し、酸化硅素膜堆積の直前にはECR−PECVD装
置内で基板に酸素プラズマを照射して、半導体の表面に
低温プラズマ酸化膜を形成した。プラズマ酸化条件は次
の通りで有る。
【0038】酸素(O2)流量・・・100sccm 圧力・・・1.85mTorr マイクロ波(2.45GHz)出力・・・2000W 印可磁場・・・875Gauss 基板温度・・・100℃ 処理時間・・・24秒 プラズマ酸化に依り凡そ3.5nmの酸化膜が半導体表
面に形成されて居る。酸素プラズマ照射が終了した後、
真空を維持した侭連続で酸化膜を堆積した。従ってゲー
ト絶縁膜と成る酸化硅素膜はプラズマ酸化膜と気相堆積
膜の二者から成り、その膜厚は126nmで有った。斯
様にしてゲート絶縁膜堆積が完了した(図6c)。
【0039】引き続いて金属薄膜に依りゲート電極11
1をスパッター法にて形成する。スパッター時の基板温
度は150℃で有った。本実施例1では750nmの膜
厚を有するα構造のタンタル(Ta)にてゲート電極を
作成し、このゲート電極のシート抵抗は0.8Ω/□で
有った。次にゲート電極をマスクとして、ドナー又はア
クセプターとなる不純物イオン112を打ち込み、ソー
ス・ドレイン領域113とチャンネル形成領域114を
ゲート電極に対して自己整合的に作成する。本実施例1
ではCMOS半導体装置を作製した。NMOSトランジ
スタを作製する際にはPMOSトランジスタ部をアルミ
ニウム(Al)薄膜で覆った上で、不純物元素として水
素中に5%の濃度で希釈されたフォスヒィン(PH3
を選び、加速電圧80kVにて水素を含んだ総イオンを
7×1015cm-2の濃度でNMOSトランジスタのソー
ス・ドレイン領域に打ち込んだ。反対にPMOSトラン
ジスタを作製する際にはNMOSトランジスタ部をアル
ミニウム(Al)薄膜で覆った上で、不純物元素として
水素中に5%の濃度で希釈されたジボラン(B26)を
選び、加速電圧80kVにて水素を含んだ総イオンを5
×1015cm 2の濃度でPMOSトランジスタのソース
・ドレイン領域に打ち込んだ(図6d)。イオン打ち込
み時の基板温度は300℃で有る。
【0040】次にPECVD法でTEOS(Si−(O
CH2CH34)と酸素を原料気体として、基板温度3
00℃で層間絶縁膜115を堆積した。層間絶縁膜は二
酸化硅素膜から成り、その膜厚は凡そ500nmで有っ
た。層間絶縁膜堆積後、層間絶縁膜の焼き締めとソース
・ドレイン領域に添加された不純物元素の活性化を兼ね
て、窒素雰囲気下350℃にて2時間の熱処理を施し
た。最後にコンタクト・ホールを開穴し、スパッター法
で基板温度を180℃としてアルミニウムを堆積し、配
線116を作成して薄膜半導体装置が完成した(図6
e)。
【0041】この様にして作成した薄膜半導体装置の伝
達特性を測定した。測定した半導体装置のチャンネル形
成領域の長さ及び幅は其々10μmで、測定は室温にて
行われた。NMOSトランジスタのVds=8Vに於け
る飽和領域より求めた移動度±標準偏差は216.9±
1.9cm2・V 1・s-1で有り、閾値電圧は3.45
8±0.206V、サブスレーシュホールド・スイング
は0.4253±0.0087Vで有った。又、PMO
SトランジスタのVds=−8Vに於ける飽和領域より
求めた移動度は72.4±3.8cm2・V 1・s-1
有り、閾値電圧は−3.640±0.241V、サブス
レーシュホールド・スイングは0.3457±0.01
74Vで有った。此の測定実績が示す通り、此等の半導
体装置は其の特性が基板内で殆ど変動が無く、高性能半
導体装置が均一に製造されて居た。此に対して従来技術
で非晶質硅素膜を堆積してXeClエキシマ・レーザー
で結晶化した比較例ではNMOSトランジスタの移動度
が112.2±25.3cm2・V 1・s-1、閾値電圧
が3.908±0.421V、サブスレーシュホールド
・スイングが0.5866±0.0956Vで、PMO
Sトランジスタの移動度が40.8±9.9cm2・V
1・s-1、閾値電圧が−4.505±0.946V、サ
ブスレーシュホールド・スイングが0.4923±0.
0740Vで有った。この例が示す様に本発明に依ると
N型とP型の両半導体装置共に高移動度で低閾値電圧を
有し、且つ急峻なサブスレーシュホールド特性を示す良
好な薄膜半導体装置が汎用ガラス基板を使用し得る低温
工程にて、簡便且つ容易に、又安定的に作成出来るので
有る。加えて総ての電気特性にて其の変動幅を低減し
た。
【0042】
【発明の効果】以上詳述してきた様に、従来低品質で品
質のばらつきが大きかった多結晶薄膜半導体装置を本願
発明は高性能で均一な薄膜半導体装置へと簡便且つ安定
的に改質でき、同時に半導体装置の動作安定性をも高め
るとの効果が認められる。斯うした事実に基づき半導体
装置回路の高速動作や電源電圧の低下との効果をもたら
し、以て電子機器の高速応答や省エネルギーを導くとの
効果が認められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の原理を説明した図。
【図2】 本願発明の原理を説明した図。
【図3】 本願発明の原理を説明した図。
【図4】 レーザー結晶化の相を説明した図。
【図5】 本願発明の原理を説明した図。
【図6】 本願発明の製造工程を説明した図。
【符号の説明】
101・・・基板 102・・・下地保護膜 103・・・多結晶半導体膜 104・・・イオン注入保護膜 105・・・チャネル形成領域 106・・・近傍領域 107・・・希ガス元素イオン 108・・・破壊された半導体膜 109・・・半導体膜の島 110・・・ゲート絶縁膜 111・・・ゲート電極 112・・・不純物イオン 113・・・ソース・ドレイン領域 114・・・チャネル形成領域 115・・・層間絶縁膜 116・・・配線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F052 AA02 BA07 BB07 DA02 DB02 JA04 JA10 5F110 AA01 BB04 CC02 DD02 DD07 DD12 DD13 DD14 EE44 FF02 FF09 FF31 GG02 GG13 GG33 GG34 GG47 HJ04 HJ12 HJ22 HJ23 HL03 HL23 NN02 NN23 NN35 PP03 PP10

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された結晶性半導体膜を半
    導体装置のチャンネル形成領域として活用している薄膜
    半導体装置の製造方法に於いて、 基板上に半導体膜を形成する半導体膜形成工程と、 該半導体膜に希ガス元素イオンを打ち込むイオン注入工
    程と、 該イオン注入工程後に該半導体膜を溶融結晶化させる結
    晶性半導体膜形成工程とを含む事を特徴とする薄膜半導
    体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記半導体膜形成工程が気相堆積法に依
    り行われる事を特徴とする請求項1記載の薄膜半導体装
    置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記気相堆積法が化学気相堆積法(CV
    D法)で有る事を特徴とする請求項2記載の薄膜半導体
    装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記化学気相堆積法が低圧化学気相堆積
    法(LPCVD法)で有る事を特徴とする請求項3記載
    の薄膜半導体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記半導体膜形成工程にて形成される半
    導体膜が多結晶半導体膜である事を特徴とする請求項1
    乃至4記載の薄膜半導体装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記多結晶半導体膜が非晶質膜として堆
    積された後、該非晶質膜を結晶化して多結晶半導体膜と
    された事を特徴とする請求項5記載の薄膜半導体装置の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記非晶質膜を固相状態にて結晶化し、
    前記多結晶半導体膜を得る事を特徴とする請求項6記載
    の薄膜半導体装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記非晶質膜を局所的な極短時間の溶融
    状態を経て結晶化し、前記多結晶半導体膜を得る事を特
    徴とする請求項5記載の薄膜半導体装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記非晶質膜を略熱平衡状態にある熱処
    理炉に挿入して、前記多結晶半導体膜を得る事を特徴と
    する請求項6記載の薄膜半導体装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記非晶質膜にレーザー光を照射し、
    前記多結晶半導体膜を得る事を特徴とする請求項6記載
    の薄膜半導体装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記イオン注入工程にて打ち込まれる
    希ガス元素イオンがアルゴン(Ar)イオンで有る事を
    特徴とする請求項1乃至10記載の薄膜半導体装置の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 前記イオン注入工程にて打ち込まれる
    希ガス元素イオンがヘリウム(He)イオンで有る事を
    特徴とする請求項1乃至10記載の薄膜半導体装置の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 前記イオン注入工程にて打ち込まれる
    希ガス元素イオンの前記半導体膜内での最大濃度が2×
    1019cm-3程度以上1×1021cm-3程度以下で有る
    事を特徴とする請求項1乃至12記載の薄膜半導体装置
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記イオン注入工程にて打ち込まれる
    希ガス元素イオンの飛程中心が前記半導体膜の下側界面
    と該半導体膜の下側界面からの厚みの40%程度との間
    に存在する事を特徴とする請求項1乃至13記載の薄膜
    半導体装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記イオン注入工程にて打ち込まれる
    希ガス元素イオンの飛程中心が、前記半導体膜の下側界
    面から10nm±10nm内に存在する事を特徴とする
    請求項1乃至13記載の薄膜半導体装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記イオン注入工程にて、前記希ガス
    元素イオンを前記半導体装置のチャンネル形成領域及び
    其の周辺となる近傍領域のみに選択的に注入する事を特
    徴とする請求項1乃至15記載の薄膜半導体装置の製造
    方法。
  17. 【請求項17】 前記近傍領域がチャンネル形成領域か
    ら1μm程度以内の領域である事を特徴とする請求項1
    6記載の薄膜半導体装置の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記結晶性半導体膜形成工程が光照射
    にて行われる事を特徴とする請求項1乃至17記載の薄
    膜半導体装置の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記光照射がレーザー光照射である事
    を特徴とする請求項18記載の薄膜半導体装置の製造方
    法。
  20. 【請求項20】 前記レーザー光が前記半導体膜の膜厚
    方向に対して85%程度以上97%程度以下を溶融させ
    るエネルギー密度で該半導体膜を照射する事を特徴とす
    る請求項19記載の薄膜半導体装置の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記レーザー光がエキシマレーザー光
    である事を特徴とする請求項20記載の薄膜半導体装置
    の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記エキシマレーザー光がキセノン塩
    素(XeCl)エキシマレーザー光(波長308nm)
    である事を特徴とする請求項21記載の薄膜半導体装置
    の製造方法。
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