JP2009246399A - 半導体装置の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体装置の特性を向上させることができる連続発振のレーザ装置を用いた半導体装置の作製方法の提供を課題とする。
【解決手段】絶縁表面上に半導体膜を形成し、半導体膜に希ガスを添加し、希ガス雰囲気中で希ガスが添加された半導体膜にレーザ光を照射し、レーザ光の照射の際に半導体膜に磁場を印加し、半導体膜は数μs以上数十μs以下の間溶融している半導体装置の作製方法を提供する。なお、レーザ光は基本波と高調波を合わせることで効率よく半導体膜を結晶化できる。
【選択図】図1

Description

本発明は半導体膜の結晶化に用いられる連続発振のレーザ照射装置に関する。
また該レーザ照射装置を用いて半導体膜を結晶化する工程を含む半導体装置の作製方法に関する。
多結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタ(多結晶TFT)は、非晶質半導体膜を用いたTFTに比べて移動度が2桁以上高く、半導体表示装置の画素部とその周辺の駆動回路を同一基板上に一体形成できるという利点を有している。
多結晶半導体膜は、レーザアニール法を用いることで、安価なガラス基板上に形成することができる。しかし発振器から出力されるレーザ光のエネルギーは、様々な要因によって少なくとも数%の揺らぎを有しており、この揺らぎによって半導体膜の結晶化を均一に行なうことが妨げられている。結晶化が均一に行なわれず、多結晶半導体膜の結晶性にばらつきが生じると、該多結晶半導体膜を活性層として用いるTFTの特性、例えばオン電流、移動度等にばらつきが生じてしまう。
例えば、各画素に発光素子と、該発光素子への電流の供給を制御するTFTとが各画素に設けられたアクティブマトリクス型の発光装置の場合、TFTのオン電流にばらつきが生じると、発光素子の輝度もそれに合わせてばらついてしまう。
また、大気中においてレーザ光を照射し結晶化を行なった場合、半導体膜の表面に多少なりとも荒れが生じる。この半導体膜の表面の荒れは、レーザ光のエネルギーの強度が強いほど顕著に現れる。そして表面の荒れが著しい領域ほど光が散乱して明るく見えるため、エネルギーの揺らぎに起因する数ミリ間隔の縞状の濃淡が視認される場合がある。
なお、半導体膜の表面状態がレーザ光照射時における雰囲気中の酸素と密接な関連性を有していることが、下記特許文献1に記載されている。
特開2000−138180号公報(第3−4頁)
上記特許文献1には、雰囲気中における酸素の含有量が多い程、レーザ光の照射により結晶化された半導体膜の表面の荒れが著しくなることが記載されており、さらにレーザ光の照射の際にArを半導体膜に吹き付けることについて記載されている。
半導体膜の表面が荒れると、半導体膜と、該半導体膜に接して形成されるゲート絶縁膜との界面における界面準位密度が高くなり、閾値電圧がよりノーマリーオフ側へ変化する。よってレーザ光のエネルギーの揺らぎによって半導体膜の表面の状態にむらが生じると、後に形成されるゲート絶縁膜との界面における界面準位密度にばらつきが生じ、TFTの閾値がばらついてしまう。
また半導体膜への吸収係数が大きいレーザ光を用いることで、半導体膜の結晶化をより効率良く行なうことができる。吸収係数は半導体膜の材料及び膜厚によっても異なるが、半導体装置に通常用いられる数十〜数百nm厚のシリコン膜をエキシマレーザやYVO4レーザで結晶化させる場合、基本波よりも波長が短い第2高調波の方が吸収係数が高く、より効率良く結晶化を行なうことができる。
そのため、結晶化の効率を高めるために、非線形光学素子を用いた波長の変換が一般的に行なわれている。しかし高調波に変換されたレーザ光は、基本波の場合に比べてそのエネルギーが低くなりがちである。例えばNd:YAGレーザの場合、基本波(波長:1064nm)から第2高調波(波長:532nm)へ変換効率は50%前後である。レーザ光のエネルギーが落ちると結晶化におけるスループットが落ちてしまい、生産性が悪くなる。
また非線形光学素子はレーザ光によって劣化されやすく耐久性に劣るため、エネルギーの高い高調波のレーザ光を得るために基本波のエネルギーを高めると、メンテナンスを頻繁に行なう必要性が高くなりよろしくない。
本発明は上述した問題に鑑み、半導体膜の表面の状態や結晶性にむらが生じるのを抑え、半導体膜の結晶化を均一に行なうことができるレーザ照射装置の提供を課題とする。本発明はさらに、該レーザ照射装置を用い、TFTのオン電流、移動度、閾値のばらつきを抑えることができる半導体装置の作製方法の提供を課題とする。
さらに本発明は、上述した問題に鑑み、スループットの高いレーザ照射方法及びレーザ処理装置の提供を課題とする。
レーザ光のエネルギー密度と半導体膜の結晶性との間には密接不可分な関係があると推測される。しかし本発明者らは、輝度のばらつきが視認されるほどの大きな結晶性のばらつきは、数%のエネルギー密度の揺らぎという原因のみでは説明がつかないと考えた。そこで、エネルギー密度の揺らぎによって生じるだろう、結晶性を左右する2次的な要因について考察した。
本発明者らは、大気中に存在する酸素または窒素の、レーザ光により溶融した半導体膜への混入に着目した。
レーザ光の照射により瞬間的に溶融した半導体膜は、パルス発振では数十m/s、連続発振では数cm/sの比較的速い速度で再結晶化すると言われており、そのため空気中の不純物は熱平衡状態の溶解度以上に半導体膜中に溶解すると推測される。
そして、半導体膜の結晶化に用いられるレーザ光の照射時間は、走査速度にも依存するが、パルス発振だと数〜数十ナノ秒程度であるのに対し、連続発振だと数〜数十マイクロ秒程度と比較的長い。そのため連続発振の方がパルス発振よりも、半導体膜が溶融している時間が長いため、空気中の不純物が半導体膜により混入しやすいと考えられる。
そして半導体膜の温度が高いほど気体の溶解度も高まるので、より空気中の不純物が半導体膜中に溶解しやすくなる。よって、エネルギー密度の揺らぎにより、半導体膜に与えられる温度に高低差が生じると、半導体膜の不純物の濃度にばらつきが生じると推測される。
大気中から混入した酸素や窒素等の不純物は、溶融した半導体膜中における偏析係数が正であるので、再結晶化の際に粒界に偏析しやすい。この粒界偏析(grain boundary segregation)と呼ばれる現象は、固溶度の小さい不純物ほど起きやすい。偏析した酸素や窒素などの不純物は、シリコンと結合し、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素などの絶縁物を形成しやすい。そして粒界に偏析した該絶縁物が、半導体膜中におけるキャリアの移動を妨げ、移動度低下の原因となる。
したがって、エネルギー密度の揺らぎによって生じる不純物濃度のばらつきが、半導体膜の移動度のばらつきの原因となっていると考えられる。
そこで本発明者らは、レーザ光の照射による結晶化の前に半導体膜にArをドーピングした後、Ar雰囲気中で該半導体膜にレーザ光を照射して結晶性を高めるようにした。なお、ドーピングする元素はArに限定されず、0族の元素(希ガス元素)であれば良い。またレーザ光を照射する際に必ずしもAr雰囲気にする必要はなく、0族の気体または0族の気体に水素を添加した気体であれば良い。0族の元素は半導体膜中において中性であり、ドーパントととならないということと、シリコンに代表される半導体を構成する元素と化合物を形成しにくいという点で最も適している。特にArは安価であるため、半導体装置の作製工程にかかるコストを抑えることができる。
そして、半導体膜にArをドーピングしてからレーザ光を照射する工程までは、半導体膜を酸素が含まれる雰囲気中に曝さないように、ロードロック方式のチャンバー内において行なう。例えば半導体膜を成膜する工程を行なうチャンバーと、半導体膜にArをドーピングする工程を行うチャンバーと、半導体膜にレーザ光を照射するチャンバーとを有するマルチチャンバー方式の製造装置を用いることで、半導体膜を大気に曝すことなく、一連の工程を順に行なうことができる。
一定体積の液体に溶ける気体の質量は、液体に接している気体の分圧に比例する。よって、半導体膜中に予めAr等をドーピングしておき、なおかつAr等の雰囲気中でレーザ光を照射することで、半導体膜中に大気中から酸素や窒素が入り込むのを効果的に防ぐことができる。
したがって、エネルギー密度の揺らぎによって生じる不純物濃度のばらつきを抑え、半導体膜の移動度のばらつきを抑えることができる。また該半導体膜を用いて形成されたTFTにおいては、移動度に加えてオン電流のばらつきをも抑えることができる。
また特許文献1に記載されている通り、経験則により酸素が存在する雰囲気中においてレーザ光を照射すると、半導体膜の表面が荒れる。しかし本発明の構成によって、レーザ光照射による半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じる閾値のばらつきを抑えることができる。
また半導体膜が溶融すると、温度勾配や表面張力の差などによって、半導体膜内に流動が生じると考えられる。本発明者らは、該流動によって、半導体膜の表面から入った酸素や窒素などの不純物が局所的に偏って分布してしまうのではないかと考えた。半導体膜内における流動は、半導体膜の温度が高くなると不規則さが増す。その結果、再結晶化の際に微視的な再溶解が起こるため、固相と液相の界面が不均一になり、不純物が不規則に偏析してしまう。
そこで本発明では、レーザ光を照射する際に半導体膜に磁場をかけ、流動を抑える。シリコンは固相では半導体だが、液相では導電体である。導電体に磁場を加えると、フレミングの法則により、磁力線を横切って移動する導体内部に電流が発生し、この電流によって導電体は移動方向と反対向きの力を受けるので粘性が高まり、流動を抑えることができる。したがって流動による不純物の偏析を抑えることができ、移動度やオン電流のばらつきを抑えることができる。
また、磁場を加えることで半導体膜の粘性が高まると、酸素や窒素などの不純物が半導体膜に入り込むのを防ぐことができ、半導体膜の移動度をより高めることができるとも考えられる。
なお磁場はコイルなどを用いて電磁誘導により発生させて印加しても良いし、永久磁石を用いて印加しても良い。永久磁石としては、ネオジウム磁石、サマリウムコバルト磁石、異方性フェライト磁石、等方性フェライト磁石、アルニコ磁石、ネオジボンド磁石やその他の磁石を用いることができる。
なお本発明では、触媒元素を半導体膜に添加した後、レーザ光の照射を行ない結晶性を高めるようにしても良い。
さらに本発明では、半導体膜に吸収されやすい高調波に変換された第1のレーザ光と、基本波を有する第2のレーザ光を同時に半導体膜に照射し、結晶化を行なう。具体的に第1のレーザ光は、可視光よりも短い波長を有する。
本発明では半導体膜に吸収されやすい高調波に変換された第1のレーザ光を照射することで半導体膜を溶融し、基本波の吸収係数を高める。その状態で基本波を有する第2のレーザ光の照射をすることで、基本波の吸収係数が高められた半導体膜に第2のレーザ光が効率良く吸収されるので、レーザ結晶化のスループットを高めることができる。
第2のレーザ光は波長を変換する必要がないので、非線形光学素子の劣化を考慮してエネルギーを抑えなくともよい。例えば第2のレーザ光は、第1のレーザ光の100倍以上の出力とすることも可能である。よって非線形光学素子のメンテナンスの煩雑さをなくし、半導体膜に吸収されるレーザ光のトータルのエネルギーを高めることができ、より大粒径の結晶を得ることができる。
なおレーザ光は2つに限定されず、2つ以上であれば良い。高調波を有する第のレーザ光を複数用いたり、基本波を有する第2のレーザ光を複数用いていても良い。
また基本波の照射により、高調波のエネルギーを補うという効果の他に、レーザ結晶化において半導体膜の温度が急激に低下するのを抑えることができ、より粒径の大きい結晶に成長させることができるという効果を得ることができる。
本発明では、半導体膜中に予めAr等をドーピングしておき、なおかつAr等の雰囲気中でレーザ光を照射することで、半導体膜中に酸素や窒素が入り込むのを効果的に防ぐことができる。したがって、エネルギー密度の揺らぎによって生じる不純物濃度のばらつきを抑え、半導体膜の移動度のばらつきを抑えることができる。また該半導体膜を用いて形成されたTFTにおいては、移動度に加えてオン電流のばらつきをも抑えることができる。
また特許文献1に記載されている通り、経験則により酸素が存在する雰囲気中においてレーザ光を照射すると、半導体膜の表面が荒れる。しかしAr等の雰囲気中でレーザ光を照射することで、レーザ光照射による半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じる閾値のばらつきを抑えることができる。
また、レーザ光を照射する際に半導体膜に磁場をかけ、流動による不純物の偏析を抑えることができ、さらに磁場をかけることで半導体膜の粘性を高め、それにより不純物が半導体膜に混入するのを抑えることができる。したがって、移動度やオン電流のばらつきを抑えることができる。
また本発明では半導体膜に吸収されやすい高調波に変換された第1のレーザ光を照射することで半導体膜を溶融し、基本波の吸収係数を高める。その状態で基本波を有する第2のレーザ光の照射をすることで、基本波の吸収係数が高められた半導体膜に第2のレーザ光が効率良く吸収されるので、レーザ結晶化のスループットを高めることができる。
本発明のレーザ照射装置における基板とビームスポットの走査方向と磁力線の方向の関係を示す図。 本発明のレーザ照射装置における基板とビームスポットの走査方向と磁力線の方向の関係を示す図。 本発明のレーザ照射装置における基板とビームスポットの走査方向と磁力線の方向の関係を示す図。 本発明のレーザ照射装置に用いる光学系の構成を示す図。 本発明のレーザ照射装置に用いる光学系の構成を示す図。 半導体装置の作製方法を示す図。 半導体装置の作製方法を示す図。 半導体装置の作製方法を示す図。 ロードロック方式のチャンバーを有するレーザ照射装置の構成を示す図。 本発明のレーザ照射装置を用いて作製された発光装置の断面図。 ビームスポットのエネルギー密度の分布を示す図。
(実施の形態1)
図1を用いて、本発明のレーザ光の照射方法について説明する。図1(A)に、基板100上に形成された半導体膜101にレーザ光を照射する様子を示す。
本発明では、レーザ光の照射による結晶化の前に、半導体と化合物を形成しにくく、なおかつ半導体膜中で中性を示してドーパントとして機能しない0族の元素を、半導体膜101にドーピングする。
ドーピングする0族の元素として、He、Ne、Ar、Kr、Xe等が代表的に挙げられる。0族の元素のドーピングは、半導体膜に導電性を付与するPやBのドーピングと同様に、プラズマ化し、多孔電極で加速してドーピングすることができる。そしてPやBと異なり法律上の規制がないので、ドーピングするガスを水素で希釈しなくとも良く、スループットは高い。
例えばArの場合、半導体膜中の濃度が5×1018〜1×1021atoms/cm3、望ましくは1×1018〜5×1020atoms/cm3程度となるように添加する。また加速電圧は、半導体膜101の厚さ方向におけるArの濃度分布を左右する。よって、膜の表面に向かうほど濃度が高くなるようにするか、膜の基板に近くなるほど濃度が高くなるようにするか、または膜全体の濃度が均一になるようにするかによって、加速電圧を適宜定めるようにする。
また本発明では、上記した0族の気体の雰囲気中において、半導体膜101にレーザ光を照射する。なお、ドーピングする0族元素とレーザ光を照射する際に用いる0族元素とは、必ずしも同じである必要はない。
なお、0族元素に水素を添加したガスの雰囲気下で、レーザ光の照射を行なうようにしても良い。この場合、水素の分圧を1〜3%とする。
また図1(A)において、102aは、高調波を有する第1のレーザ光が半導体膜102に照射されることで得られる第1のビームスポットに相当する。そして102bは、基本波を有する第2のレーザ光が半導体膜102に照射されることで得られる第2のビームスポットに相当する。
第1のレーザ光または第2のレーザ光は、連続発振の気体レーザ、固体レーザまたは金属レーザから射出されたものである。前記気体レーザとして、Arレーザ、Krレーザ、XeFエキシマレーザ、CO2レーザ等があり、前記固体レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイヤレーザ等があり、前記金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザが挙げられる。
そして第1のレーザ光は、非線形光学素子を用いることで基本波から第2高調波〜第4高調波に波長が変換されている。高調波の波長は用いるレーザの種類によっても異なるので、レーザによって適切な高調波を使い分ける。例えばNd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の場合、第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いるのが望ましい。具体的には、出力10Wの連続発振のYVO4レーザの発振器から射出されたレーザ光を非線形光学素子により高調波に変換する。
なお非線形光学素子は、発振器が有する共振器内に設けていても良いし、基本波の共振器の外に別途非線形光学素子を備えた共振器を設けていても良い。前者は装置が小型になり、共振器長の精密制御が不要になるという利点を有し、後者は基本波と高調波の相互作用を無視できるという利点を有する。
非線形光学素子には、非線形光学定数の比較的大きいKTP(KTiOPO4)、BBO(β−BaB24)、LBO(LiB35)、CLBO(CsLiB610)、GdYCOB(YCa4O(BO33)、KDP(KD2PO4)、KB5、LiNbO3、Ba2NaNb515等の結晶が用いられており、特にLBOやCLBO等を用いることで基本波から高調波への変換効率を高めることができる。
また第1のレーザ光と第2のレーザ光は、安定形共振器から得られるTEM00モード(シングルモード)であることが望ましい。TEM00モードの場合、レーザ光はガウス形の強度分布を持ち、集光性に優れているため、ビームスポットの加工が容易となる。
第1のビームスポット102aと第2のビームスポット102bは互いに重なるように、その位置を制御する。よって、第1のレーザ光によって半導体膜101のうち第1のビームスポット102aがあたっている部分が溶融し、吸収係数が高まる。そのため、第1のビームスポット102aと第2のビームスポット102b重なっている部分において、第2のレーザ光が効率的に半導体膜101に吸収され、結晶化の工程におけるスループットを高めることができる。
なお第1のレーザ光と第2のレーザ光は必ずしも同じレーザを用いなくとも良い。例えば、第1のレーザ光に10Wの第2高調波が得られるNd:YVO4レーザを用い、第2のレーザ光に30WのYAGレーザを用いることができる。無論本発明はこれらの組み合わせに限定されない。
そして実線の矢印で示した方向に基板101を走査することで、半導体膜101に対する第1のビームスポット102a及び第2のビームスポット102bの相対的な位置が移動する。
103は、半導体膜101の特に第1のビームスポット102aと第2のビームスポット102bが重なっている部分に、磁場を印加することができる磁気回路の磁極に相当する。磁極103から発せられる磁場の磁力線を、破線の矢印で示す。
半導体膜101に対する、磁力線の方向と基板の走査方向との関係をより明確にするため、図1(B)に半導体膜101の上面図を示し、図1(C)に図1(B)の破線A−A’における断面図を示す。図1では、基板100の走査方向が、実線の矢印に示すように基板100の面内に存在している。基板100の走査によって、第1のビームスポット102a及び第2のビームスポット102bの半導体膜101に対する相対的な位置は、白抜きの矢印で示す方向に移動する。
また、磁極103は基板100のレーザ光が照射される面とは反対の面側に設けられており、磁力線の方向は磁極103から半導体膜101の面に向かっている。
なお必ずしも半導体膜101で形成される面と、磁力線の方向とが垂直であるとは限らない。本発明では、半導体膜101の第1のビームスポット102aと第2のビームスポット102bが重なっている部分において、通過する磁力線の方向がほぼ一定となる磁界成分が加わっていれば良い。
そして、半導体膜101の第1のビームスポット102aと第2のビームスポット102bが重なっている部分における磁束密度は、1000G〜10000G、望ましくは1500G〜4000Gとする。
図1では、半導体膜101の第1のビームスポット102aと第2のビームスポット102bが重なっている部分において、半導体膜101で形成される面と、磁力線の方向とが垂直である場合を示しており、この場合、基板100の走査方向と磁力線の方向も垂直となる。ただし磁力線は図1に示した方向に限定されない。
なお第1のビームスポット102aは、第2のビームスポット102bと重なっている部分とそうでない部分との間で、半導体膜に吸収されるレーザ光のトータルのエネルギーに差が生じるのを防ぐため、完全に第2のビームスポット102bと重ねるのが最も好ましい。そして第1のビームスポット102aにおける、エネルギー密度の均一な領域の占める割合を高めるために、第1のビームスポット102aは線状、矩形状または短軸に対する長軸の長さの比が5より大きい楕円形状を有しているのが望ましい。
本実施の形態では、図1(B)に示すように第1のビームスポット102aの長軸方向の長さWbを、第1のビームスポット102aの長軸方向における磁極103の幅Wm1よりも短くすることで、半導体膜101の第1のビームスポット102aがあたっている部分、より望ましくは第1のビームスポット102aと第2のビームスポット102bが重なっている部分において、通過する磁力線の方向をほぼ一定とすることができる。
上述したように本発明では、半導体膜中に予めAr等をドーピングしておき、なおかつAr等の雰囲気中でレーザ光を照射することで、半導体膜中に酸素や窒素が入り込むのを効果的に防ぐことができる。したがって、エネルギー密度の揺らぎによって生じる不純物濃度のばらつきを抑え、半導体膜の移動度のばらつきを抑えることができる。また該半導体膜を用いて形成されたTFTにおいては、移動度に加えてオン電流のばらつきをも抑えることができる。
また特許文献1に記載されている通り、経験則により酸素が存在する雰囲気中においてレーザ光を照射すると、半導体膜の表面が荒れる。しかしAr等の雰囲気中でレーザ光を照射することで、レーザ光照射による半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じる閾値のばらつきを抑えることができる。
また、レーザ光を照射する際に半導体膜に磁場をかけ、流動による不純物の偏析を抑えることができ、さらに磁場をかけることで半導体膜の粘性を高め、それにより不純物が半導体膜に混入するのを抑えることができる。したがって、移動度やオン電流のばらつきを抑えることができる。
次に、島状の半導体膜507〜509を覆うようにゲート絶縁膜を成膜する。
ゲート絶縁膜には、例えば酸化珪素、窒化珪素または窒化酸化珪素等を用いることができる。また成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタ法などを用いることができる。
次に、ゲート絶縁膜上に導電膜を成膜しパターニングすることでゲート電極を形成する。そして、ゲート電極や、あるいはレジストを成膜しパターニングしたものをマスクとして用い、島状の半導体膜507〜509にn型またはp型の導電性を付与する不純物を添加し、ソース領域、ドレイン領域、さらにはLDD領域等を形成する。
上記一連の工程によってTFTを形成することができる。なお本発明の半導体装置の作製方法は、島状の半導体膜を形成した後に続く、上述したTFTの作製工程に限定されない。本発明のレーザ光の照射方法を用いて結晶化された半導体膜をTFTの活性層として用いることで、素子間の移動度、閾値及びオン電流のばらつきを抑えることができる。
また本発明では半導体膜に吸収されやすい高調波に変換された第1のレーザ光を照射することで半導体膜を溶融し、基本波の吸収係数を高める。その状態で基本波を有する第2のレーザ光の照射をすることで、基本波の吸収係数が高められた半導体膜に第2のレーザ光が効率良く吸収されるので、レーザ結晶化のスループットを高めることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、図1の場合とは異なる方向に磁場を印加する、本発明の一形態について説明する。
図2(A)に半導体膜201の上面図と、図2(C)に図2(B)の破線A−A’における断面図を示す。なお、図2(A)、図2(B)において、基板200は基板上に形成された半導体膜に相当する。
基板200の走査方向は、実線の矢印に示すように基板200の面内に存在している。また202aは、高調波を有する第1のレーザ光が半導体膜202に照射されることで得られる第1のビームスポットに相当する。そして202bは、基本波を有する第2のレーザ光が半導体膜202に照射されることで得られる第2のビームスポットに相当する。
第1のレーザ光または第2のレーザ光は、連続発振の気体レーザ、固体レーザまたは金属レーザから射出されたものであり、例えば実施の形態1に挙げたレーザを用いることが可能である。
そして第1のレーザ光は、非線形光学素子を用いることで基本波から第2高調波〜第4高調波に波長が変換されている。高調波の波長は用いるレーザの種類によっても異なるので、レーザによって適切な高調波を使い分ける。非線形光学素子は、例えば実施の形態1に挙げた結晶を用いることが可能である。
また第1のレーザ光と第2のレーザ光は、安定形共振器から得られるTEM00モード(シングルモード)であることが望ましい。TEM00モードの場合、レーザ光はガウス形の強度分布を持ち、集光性に優れているため、ビームスポットの加工が容易となる。
第1のビームスポット202aと第2のビームスポット202bは互いに重なるように、その位置を制御する。よって、第1のレーザ光によって半導体膜201のうち第1のビームスポット202aがあたっている部分が溶融し、吸収係数が高まる。そのため、第1のビームスポット202aと第2のビームスポット202b重なっている部分において、第2のレーザ光が効率的に半導体膜201に吸収され、結晶化の工程におけるスループットを高めることができる。
実線の矢印で示した方向に基板200を走査することで、半導体膜201に対する第1のビームスポット202a及び第2のビームスポット202bの相対的な位置が白抜きの矢印で示す方向に移動する。
磁極203a、203bは、半導体膜201の特に第1のビームスポット202aと第2のビームスポット202bが重なっている部分に、磁場を印加することができる磁気回路の磁極に相当する。磁極203aと磁極203bの間に生じている磁場の磁力線を、破線の矢印で示す。磁極203a及び磁極203bは、基板200のレーザ光が照射される面側に設けられており、磁力線の方向は半導体膜201の面内に存在している。そして、図2では、半導体膜201の第1のビームスポット202aと第2のビームスポット202bが重なっている部分において、基板200の走査方向と、磁力線の方向とが垂直になっている。
なお磁力線は、磁極203aと磁極203bを結ぶように分布しており、磁極203aと磁極203bからの距離がより近い空間においてほぼ直線であるが、離れるほど曲率の高い曲線になる。よって必ずしも基板200の走査方向と、磁力線の方向とが垂直であるとは限らない。本発明では、半導体膜201の第1のビームスポット202aと第2のビームスポット202bが重なっている部分において、通過する磁力線の方向がほぼ一定となる磁界成分が加わっていれば良い。
半導体膜201の第1のビームスポット202aと第2のビームスポット202bが重なっている部分における磁束密度は、1000G〜10000G、望ましくは1500G〜4000Gとする。
なお第1のビームスポット202aは、第2のビームスポット202bと重なっている部分とそうでない部分との間で、半導体膜に吸収されるレーザ光のトータルのエネルギーに差が生じるのを防ぐため、完全に第2のビームスポット202bと重ねるのが最も好ましい。そして第1のビームスポット202aにおける、エネルギー密度の均一な領域の占める割合を高めるために、第1のビームスポット202aは線状、矩形状または短軸に対する長軸の長さの比が5より大きい楕円形状を有しているのが望ましい。
そして本実施の形態では、図2(A)に示すように、第1のビームスポット202aの長軸方向の長さWbを、磁極203aと磁極203b間の距離Wm2よりも短くすることで、半導体膜201の第1のビームスポット202aがあたっている部分、より望ましくは第1のビームスポット202aと第2のビームスポット202bが重なっている部分において、通過する磁力線の方向をほぼ一定とすることができる。
またWm2の幅によって印加する磁場の大きさを調整することができる。Wm2は1〜5mm程度が望ましい。
(実施の形態3)
本実施の形態では、図1及び図2の場合とは異なる方向に磁場を印加する、本発明の一形態について説明する。
図3(A)に半導体膜301の上面図と、図3(C)に図3(B)の破線A−A’における断面図を示す。なお、図3(A)、図3(B)において、基板300は基板上に形成された半導体膜に相当する。
基板300の走査方向は、実線の矢印に示すように基板300の面内に存在している。また302aは、高調波を有する第1のレーザ光が半導体膜302に照射されることで得られる第1のビームスポットに相当する。そして302bは、基本波を有する第2のレーザ光が半導体膜302に照射されることで得られる第2のビームスポットに相当する。
第1のレーザ光または第2のレーザ光は、連続発振の気体レーザ、固体レーザまたは金属レーザから射出されたものであり、例えば実施の形態1に挙げたレーザを用いることが可能である。
そして第1のレーザ光は、非線形光学素子を用いることで基本波から第2高調波〜第4高調波に波長が変換されている。高調波の波長は用いるレーザの種類によっても異なるので、レーザによって適切な高調波を使い分ける。非線形光学素子は、例えば実施の形態1に挙げた結晶を用いることが可能である。
また第1のレーザ光と第2のレーザ光は、安定形共振器から得られるTEM00モード(シングルモード)であることが望ましい。TEM00モードの場合、レーザ光はガウス形の強度分布を持ち、集光性に優れているため、ビームスポットの加工が容易となる。
第1のビームスポット302aと第2のビームスポット302bは互いに重なるように、その位置を制御する。よって、第1のレーザ光によって半導体膜301のうち第1のビームスポット302aがあたっている部分が溶融し、吸収係数が高まる。そのため、第1のビームスポット302aと第2のビームスポット302b重なっている部分において、第2のレーザ光が効率的に半導体膜301に吸収され、結晶化の工程におけるスループットを高めることができる。
実線の矢印で示した方向に基板300を走査することで、半導体膜301に対する第1のビームスポット302a及び第2のビームスポット302bの相対的な位置が白抜きの矢印で示す方向に移動する。
磁極303a、303bは、半導体膜301の特に第1のビームスポット302aと第2のビームスポット302bが重なっている部分に、磁場を印加することができる磁気回路の磁極に相当する。磁極303aと磁極303bの間に生じている磁場の磁力線を、破線の矢印で示す。磁極303a及び磁極303bは、基板300のレーザ光が照射される面側に設けられており、磁力線の方向は半導体膜301の面内に存在している。そして、図3では、半導体膜301の第1のビームスポット302aと第2のビームスポット302bが重なっている部分において、基板300の走査方向と、磁力線の方向とが平行で、なおかつ逆方向になっている。
なお磁力線は、磁極303aと磁極303bを結ぶように分布しており、磁極303aと磁極303bからの距離がより近い空間においてほぼ直線であるが、離れるほど曲率の高い曲線になる。よって必ずしも基板300の走査方向と、磁力線の方向とが平行であるとは限らない。本発明では、半導体膜301の第1のビームスポット302aと第2のビームスポット302bが重なっている部分において、通過する磁力線の方向がほぼ一定となる磁界成分が加わっていれば良い。
半導体膜201の第1のビームスポット202aと第2のビームスポット202bが重なっている部分における磁束密度は、1000G〜10000G、望ましくは1500G〜4000Gとする。
なお第1のビームスポット302aは、第2のビームスポット302bと重なっている部分とそうでない部分との間で、半導体膜に吸収されるレーザ光のトータルのエネルギーに差が生じるのを防ぐため、完全に第2のビームスポット302bと重ねるのが最も好ましい。そして第1のビームスポット302aにおける、エネルギー密度の均一な領域の占める割合を高めるために、第1のビームスポット302aは線状、矩形状または短軸に対する長軸の長さの比が5より大きい楕円形状を有しているのが望ましい。
そして本実施の形態では、図3(A)に示すように、第1のビームスポット302aの長軸方向の長さWbを、磁極303aと磁極303b間の距離Wm4よりも短くすることで、半導体膜301の第1のビームスポット302aがあたっている部分、より望ましくは第1のビームスポット302aと第2のビームスポット302bが重なっている部分において、通過する磁力線の方向をほぼ一定とすることができる。
またWm3の幅によって印加する磁場の大きさを調整することができる。Wm3は1〜5mm程度が望ましい。
なおレーザ光の走査は、被処理物である基板を固定してレーザ光の照射位置を移動させる照射系移動型と、レーザ光の照射位置を固定して基板を移動させる被処理物移動型と、上記2つの方法を組み合わせた方法とがある。
実施の形態1〜3では、被処理物移動型のレーザ照射装置を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。照射系移動型のレーザ照射装置や、被処理物移動型と照射系移動型を組み合わせたレーザ照射装置にも用いていても良い。いずれの場合においても、ビームスポットの半導体膜に対する相対的な移動方向と、磁力線の方向との関係を制御できることが前提である。
また実施の形態1〜3では、互いに引き合う異種の磁極間において生じる磁界を用いているが、本発明はこれに限定されない。互いに反発しあう同種の磁極間において生じる磁界を用いていても良い。例えば図2において磁極203aと磁極203bを同種の磁極とすることで、半導体膜201に対し垂直方向の磁場を印加することができる。
なお磁力線の方向は実施の形態1乃至3において示した方向に限定されず、図1乃至図3に示した方向と逆向きであっても良いし、レーザ光の走査方向及び半導体膜に対して垂直または平行とはならない角度にその方向が定められていても良い。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明のレーザ照射装置が有する光学系の構成について説明する。
図4(A)に、高調波を有する第1のレーザ光と、基本波を有する第2のレーザ光とを用いて、レーザ結晶化を行なうための光学系の一例を示す。701は第1のレーザ光を発振するレーザ発振器であり、図4(A)では、出力が10Wで、第2高調波(波長532nm)を有する連続発振のNd:YVO4レーザを用いる。
なお、図4(A)では第2高調波を用いているが、本発明はこれに限定されず、さらに高次の高調波を用いても良い。ただし高次の高調波ほどエネルギーの変換効率が低く、また波長が短すぎるとnmからμm単位の膜厚の半導体膜を透過してしまい、かえって結晶化の効率が悪くなるので、第2高調波を用いるのが望ましい。
また702は第2のレーザ光を発振するレーザ発振器であり、図4(A)では、出力が30Wで、基本波(波長1.064μm)を有する連続発振のNd:YAGレーザを用いる。各レーザ発振器701、702から得られる第1及び第2のレーザ光は、TEM00モード(シングルモード)であることが望ましい。
レーザ発振器701から発振された第1のレーザ光は、ミラー703において反射し、平凸レンズ704において集光され、基板に成膜された半導体膜705に照射される。706は、第1のレーザ光の照射により半導体膜705上に形成された第1のビームスポットに相当する。
なお第1のレーザ光の半導体膜705に対する入射角θ1を本実施の形態では20°とする。入射角θ1はこれに限定されず、適宜変更が可能である。また平凸レンズ704は、焦点距離を20mmとし、平面の部分を半導体膜705の表面と平行に保つ。また半導体膜705と平凸レンズ704との距離は20mm程度とする。これにより、長軸500μm、短軸20μm程度の楕円形状に近い第1のビームスポット705が形成される。
一方、レーザ発振器702から発振された第2のレーザ光は、平凸レンズ707において集光され、基板に成膜された半導体膜705に照射される。708は、第2のレーザ光の照射により半導体膜705上に形成された第2のビームスポットに相当する。
第2のレーザ光の半導体膜705に対する入射角θ2を本実施の形態では40°とする。入射角θ2はこれに限定されず、適宜変更が可能である。また平凸レンズ707は、焦点距離を15mmとし、平面の部分を半導体膜705の表面と平行に保つ。これにより、長軸1mm、短軸0.2mm程度の楕円形状に近い第2のビームスポット708が形成される。
そして第1のビームスポット706は、第2のビームスポット708に完全に重なっている。ステージ709は、X軸用の一軸ロボット710とY軸用の一軸ロボット711により、半導体膜705の表面に平行な面上をXY方向に移動させることが可能である。走査速度は数十cm/s〜数百cm/s程度が適当であり、ここでは50cm/sとする。
次に、本発明のレーザ照射装置が有する光学系の、別の一例について説明する。
図4(B)では、4つのレーザ発振器から出力されるレーザ光を合成し、第1のレーザ光として用いる。図4(B)では、第1のレーザ光を形成する4つのレーザ発振器に、出力が10Wで、第2高調波(波長532nm)を有する連続発振のNd:YVO4レーザを用いる。なお、本実施の形態では第2高調波を用いているが、本発明はこれに限定されず、さらに高次の高調波を用いても良い。
矢印の方向から入射した4つの第1のレーザ光は、4つのシリンドリカルレンズ719〜722のそれぞれに入射する。そしてシリンドリカルレンズ719、721において成形された2つのレーザ光は、シリンドリカルレンズ717において再びそのビームスポットの形状が成形されて半導体膜が成膜された基板723に照射される。一方シリンドリカルレンズ720、722において成形された2つのレーザ光は、シリンドリカルレンズ718において再びそのビームスポットの形状が成形されて基板723に照射される。
各レンズの焦点距離及び入射角は設計者が適宜設定することが可能であるが、基板723に最も近いシリンドリカルレンズ717、718の焦点距離は、シリンドリカルレンズ719〜722の焦点距離よりも小さくする。例えば、基板723に最も近いシリンドリカルレンズ717、718の焦点距離を20mmとし、シリンドリカルレンズ719〜722の焦点距離を150mmとする。そしてシリンドリカルレンズ717、718から被処理物700へのレーザ光の入射角は、本実施の形態では25°とし、シリンドリカルレンズ719〜722からシリンドリカルレンズ717、718へのレーザ光の入射角を10°とするように各レンズを設置する。
基板723における各第1のレーザ光のビームスポットは、互いに一部重なることで合成されて第1のビームスポットを形成している。第1のビームスポットは長軸400μm、短軸20μm程度の楕円形状に成形する。
また第2のレーザ光は、出力500Wのレーザ発振器から得られ、該発振器は基本波(波長1.064μm)を有する連続発振のNd:YAGレーザを用いる。各レーザ発振器701、702から得られる第1及び第2のレーザ光は、TEM00モード(シングルモード)であることが望ましい。
第2のレーザ光は、平凸レンズ725において集光され、基板に成膜された半導体膜705に照射される。なお平凸レンズ725の代わりに2枚のシリンドリカルレンズを直交させて用いても良い。
そして4つの第1のレーザ光によって得られる第1のビームスポットと、第2のレーザ光によって得られる第2のビームスポットとを重ね、半導体膜の結晶化を行なう。第1のビームスポットは、第2のビームスポットと完全に重なっている。そして図4に示したようなX軸用、Y軸用の一軸ロボットを用いて、基板を移動し、レーザ結晶化を行なう。走査速度は数十cm/s〜数百cm/s程度が適当であり、ここでは50cm/sとする。
次に、本発明のレーザ照射装置が有する光学系の、別の一例について説明する。
図5において、731は第1のレーザ光を発振するレーザ発振器であり、出力が10Wで、第2高調波(波長532nm)を有する連続発振のNd:YVO4レーザを用いている。なお、図5では第2高調波を用いているが、本発明はこれに限定されず、さらに高次の高調波を用いても良い。
また732は第2のレーザ光を発振するレーザ発振器であり、図5では、出力が2000Wで、基本波(波長1.064μm)を有する連続発振のNd:YAGレーザを用いる。各レーザ発振器731、732から得られる第1及び第2のレーザ光は、TEM00モード(シングルモード)であることが望ましい。
レーザ発振器731から発振された第1のレーザ光は、2枚のシリンドリカルレンズ733、734を用いたビームエキスパンダーによって楕円形状に集光され、ガルバノミラー735において反射し、fθレンズ736において再び集光され、基板に成膜された半導体膜737に照射される。738は、第1のレーザ光の照射により半導体膜737上に形成された第1のビームスポットに相当する。第1のビームスポット738は、例えば短軸20μm、長軸400μmの楕円形状とする。
ガルバノミラー503の角度を変化させることで、第1のビームスポット738を走査させることができる。fθレンズ736を用いることで、ガルバノミラーの角度の変化に伴うビームスポットの形状の変化を極力抑えることができる。
第1のレーザ光の半導体膜737に対する入射角度は20°とする。そして本実施の形態では、ガルバノミラー735と1軸ステージとを組み合わせることにより、半導体膜737全面に第1のレーザ光を照射することができる。第1のレーザ光の走査の速度は、100〜2000mm/sとし、好ましくは500mm/s程度とする。
一方、レーザ発振器732から発振された第2のレーザ光は、凹レンズ741において一様に拡大された後、平凸シリンドリカルレンズ739により一方向に集光され、基板に成膜された半導体膜737に照射される。740は、第2のレーザ光の照射により半導体膜737上に形成された第2のビームスポットに相当する。本実施の形態では、第1のビームスポット738の走査領域全体を第2のビームスポット740で覆うことで、第2のビームスポット740を一方向のみに走査させ、第1のビームスポット738との同期を取りやすくした。なおこのような、第1のビームスポット738の走査領域全体を覆うことができる第2のビームスポット740は、ビームホモジナイザーを用いて形成することも可能である。
なお、照射面に垂直な平面であって、かつ各ビームスポットの形状を長方形と見立てたときの短辺を含む面または長辺を含む面のいずれか一方を入射面と定義すると、前記レーザ光の入射角度θは、入射面に含まれる前記短辺または前記長辺の長さがW、前記照射面に設置され、かつ、前記レーザ光に対して透光性を有する基板の厚さがdであるとき、θ≧arctan(W/2d)を満たすのが望ましい。なお、レーザ光の軌跡が、前記入射面上にないときは、該軌跡を該入射面に射影したものの入射角度をθとする。この入射角度θでレーザ光が入射されれば、基板の表面での反射光と、前記基板の裏面からの反射光とが干渉せず、一様なレーザ光の照射を行うことができる。以上の議論は、基板の屈折率を1として考えた。
実際は、基板の屈折率が1.5前後のものが多く、この数値を考慮に入れると上記議論で算出した角度よりも大きな計算値が得られる。しかしながら、ビームスポットの長手方向の両端のエネルギーは減衰があるため、この部分での干渉の影響は少なく、上記の算出値で十分に干渉減衰の効果が得られる。上記のθに対する不等式は、基板がレーザビームに対して透光性のあるもの以外には適用されない。
なお本発明のレーザ照射装置における、光学系は、本実施の形態で示した構成に限定されない。
(実施の形態5)
本実の形態では、本発明のレーザ照射装置を用いた半導体膜の結晶化方法について、具体的に説明する。
まず図5(A)に示すように、基板500上に下地膜501を成膜する。基板500には、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、SUS基板等を用いることができる。また、プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、一般的に上記基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。
下地膜501は基板500中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体膜中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。よってアルカリ金属やアルカリ土類金属の半導体膜への拡散を抑えることができる酸化珪素や、窒化珪素、窒化酸化珪素などの絶縁膜を用いて形成する。本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて窒化酸化珪素膜を10〜400nm(好ましくは50〜300nm)の膜厚になるように成膜した。
なお下地膜501は単層であっても複数の絶縁膜を積層したものであっても良い。またガラス基板、SUS基板またはプラスチック基板のように、アルカリ金属やアルカリ土類金属が多少なりとも含まれている基板を用いる場合、不純物の拡散を防ぐという観点から下地膜を設けることは有効であるが、石英基板など不純物の拡散がさして問題とならない場合は、必ずしも設ける必要はない。
次に下地膜上に半導体膜502を形成する。半導体膜502の膜厚は25〜100nm(好ましくは30〜60nm)とする。なお半導体膜502は、非晶質半導体であっても良いし、多結晶半導体であっても良い。また半導体は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができる。シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
次に、0族元素をイオンドープ法により半導体膜502に添加する。本実施の形態では0族の元素としてArを用いた例について説明する。例えばArの場合、半導体膜中の濃度が5×1018〜1×1021atoms/cm3、望ましくは1×1018〜5×1020atoms/cm3程度となるように添加する。また加速電圧は、半導体膜502の厚さ方向におけるArの濃度分布を左右する。よって、膜の表面に向かうほど濃度が高くなるようにするか、膜の基板に近くなるほど濃度が高くなるようにするか、または膜全体の濃度が均一になるようにするかによって、加速電圧を適宜定めるようにする。本実施の形態では加速電圧を30kVとして行なった。
なお、0族元素に水素を添加したガスの雰囲気下で、レーザ光の照射を行なうようにしても良い。この場合、水素の分圧を1〜3%とする。
次に図5(B)に示すように、半導体膜502を本発明のレーザ照射装置を用いて結晶化する。本実施の形態では、第1のレーザ光として、エネルギー5.5W、第2高調波(532nm)のNd:YVO4レーザを用い、また第2のレーザ光としてエネルギー15W、基本波(1.064μm)のNd:YAGレーザを用いた。
そして本発明では、レーザ光が照射される領域に磁場を、磁極504、505を用いて印加する。本実施の形態では、レーザ光の走査方向と、磁場の磁力線の方向とを一致させる。図5(B)には、レーザ光の基板500に対して相対的な移動方向を白抜きの矢印で、磁力線の方向を破線の矢印で示す。
なお磁力線は、磁極504と磁極505を結ぶように分布しており、磁極504と磁極505からの距離がより近い空間においてほぼ直線であるが、離れるほど曲率の高い曲線になる。よって必ずしもビームスポットの移動方向と、磁力線の方向とが平行であるとは限らない。本発明では、半導体膜502のビームスポットがあたっている部分506において、通過する磁力線の方向がほぼ一定となる磁界成分が加わっていれば良い。
そして、ビームスポットがあたっている部分506における磁束密度は、1000G〜10000G、望ましくは1500G〜4000Gとする。
またレーザ光の照射は、レーザ光の照射はロードロック方式のチャンバー内において、0族のガスが99.99%以上、望ましくは99.9999%以上の雰囲気下において行なう。本実施の形態では0族の気体としてArを用いる。
なお、ドーピングする0族元素とレーザ光を照射する際に用いる0族元素とは、必ずしも同じである必要はない。
上述した半導体膜502へのレーザ光の照射により、結晶性がより高められた半導体膜503が形成される。
次に、図5(C)に示すように半導体膜503をパターニングし、島状の半導体膜507〜509が形成され、該島状の半導体膜507〜509を用いてTFTに代表される各種の半導体素子が形成される。
(実施の形態6)
本実施の形態では実施の形態5とは異なり、本発明のレーザ照射装置による結晶化方法に、触媒元素による結晶化方法を組み合わせた例について説明する。
まず、半導体膜502を成膜し、該半導体膜502に0族の元素をドーピングを行なう工程まで、実施の形態5の図5(A)までを参照して行なう。次に図6(A)に示すように、半導体膜502の表面に、重量換算で1〜100ppmのNiを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピンコート法で塗布した。なお触媒の添加は上記方法に限定されず、スパッタ法、蒸着法、プラズマ処理などを用いて添加しても良い。
次に、500〜650℃で4〜24時間、例えば570℃、14時間の加熱処理を行った。この加熱処理により、酢酸ニッケル塩溶液が塗布された表面から、基板500に向かって縦方向に結晶化が促進された半導体膜520が形成される(図6(A))。
なお、本実施の形態では触媒元素としてニッケル(Ni)を用いているが、その以外にも、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)といった元素を用いても良い。
次に図6(B)に示すように、半導体膜520を本発明のレーザ照射装置を用いて結晶化する。本実施の形態では、第1のレーザ光として、エネルギー10W、第2高調波(532nm)のNd:YVO4レーザを用い、また第2のレーザ光としてエネルギー500W、基本波(1.064μm)のNd:YAGレーザを用いた。
そして本発明では、レーザ光が照射される領域に磁場を、基板500の半導体膜520が形成されている面とは逆の面側から、磁極527を用いて印加する。
本実施の形態では、レーザ光の走査方向及び半導体膜520で形成される面と、磁場の磁力線の方向とを垂直にする。図6(B)には、レーザ光の基板500に対して相対的な移動方向を白抜きの矢印で、磁力線の方向を破線の矢印で示す。
なお必ずしも半導体膜520で形成される面と、磁力線の方向とが垂直であるとは限らない。本発明では、半導体膜520のビームスポットがあたっている部分528において、通過する磁力線の方向がほぼ一定となる磁界成分が加わっていれば良い。
そして、ビームスポットがあたっている部分528における磁束密度は、1000G〜10000G、望ましくは1500G〜4000Gとする。
またレーザ光の照射は、レーザ光の照射はロードロック方式のチャンバー内において、0族のガスが99.99%以上、望ましくは99.9999%以上の雰囲気下において行なう。本実施の形態では0族の気体としてArを用いる。
なお、ドーピングする0族元素とレーザ光を照射する際に用いる0族元素とは、必ずしも同じである必要はない。
上述した半導体膜520へのレーザ光の照射により、結晶性がより高められた半導体膜521が形成される。
なお図6(B)に示したように触媒元素を用いて結晶化された半導体膜521内には、触媒元素(ここではNi)がおおよそ1×1019atoms/cm3程度の濃度で含まれていると考えられる。次に、半導体膜521内に存在する触媒元素のゲッタリングを行なう。
まず、図6(C)に示すように半導体膜521の表面に酸化膜522を形成する。1〜10nm程度の膜厚を有する酸化膜522を形成することで、後のエッチング工程において半導体膜521の表面がエッチングにより荒れるのを防ぐことができる。
酸化膜522は公知の方法を用いて形成することができる。例えば、硫酸、塩酸、硝酸などと過酸化水素水を混合させた水溶液や、オゾン水で、半導体膜521の表面を酸化することで形成しても良いし、酸素を含む雰囲気中でのプラズマ処理や、加熱処理、紫外線照射等により形成しても良い。また酸化膜を別途、プラズマCVD法やスパッタ法、蒸着法などで形成しても良い。
次に酸化膜522上に、希ガス元素を1×1020 atoms/cm3以上の濃度で含むゲッタリング用の半導体膜523を、スパッタ法を用いて25〜250nmの厚さで形成する。ゲッタリング用の半導体膜523は、半導体膜521とエッチングの選択比を大きくするため、半導体膜521よりも膜の密度の低い方がより望ましい。
希ガス元素としてはヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)から選ばれた一種または複数種を用いる。
次にファーネスアニール法やRTA法を用いて加熱処理を施し、ゲッタリングを行なう。ファーネスアニール法で行う場合には、窒素雰囲気中にて450〜600℃で0.5〜12時間の加熱処理を行う。また、RTA法を用いる場合には、加熱用のランプ光源を1〜60秒、好ましくは30〜60秒点灯させ、それを1〜10回、好ましくは2〜6回繰り返す。ランプ光源の発光強度は任意なものとするが、半導体膜が瞬間的には600〜1000℃、好ましくは700〜750℃程度にまで加熱されるようにする。
加熱処理により、半導体膜521内の触媒元素が、拡散により矢印に示すようにゲッタリング用の半導体膜523に移動し、ゲッタリングされる。
次にゲッタリング用の半導体膜523を選択的にエッチングして除去する。エッチングは、ClF3によるプラズマを用いないドライエッチング、或いはヒドラジンや、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド((CH34NOH)
を含む水溶液などアルカリ溶液によるウエットエッチングで行うことができる。
この時酸化膜522によって半導体膜521がエッチングされるのを防ぐことができる。
次に酸化膜522を、フッ酸により除去する。
次に、酸化膜522除去後の半導体膜521をパターニングし、島状の半導体膜524〜526を形成する(図6(D))。
なお、本発明においてゲッタリング工程は、本実施の形態に示した方法に限定されない。その他の方法を用いて半導体膜中の触媒元素を低減するようにしても良い。
次に、図6(D)に示すように半導体膜503をパターニングし、島状の半導体膜524〜526が形成され、該島状の半導体膜524〜526を用いてTFTに代表される各種の半導体素子が形成される。
なお本実施の形態のように、触媒元素による結晶化の後にレーザ光を照射による結晶化を行うことで、実施の形態5の場合に比べてより半導体膜の結晶性を高めることができる。また実施の形態5ではレーザ光の照射後に結晶核がランダムに発生して結晶化が進む。一方本実施の形態の場合、触媒元素による結晶化の際に形成された結晶が、基板により近い側においてレーザ光の照射により溶融されずに残存し、該結晶を結晶核として結晶化が進む。よってレーザ光の照射による結晶化は基板側から表面に向かって均一に進みやすく、実施の形態5の場合に比べて表面の荒れが抑えられる。よって後に形成される半導体素子、代表的にはTFTの特性のばらつきがより抑えられる。
なお本実施の形態では、触媒元素を添加してから加熱処理を行なって結晶化を促進してから、レーザ光の照射により結晶性をより高めている構成について説明した。本発明はこれに限定されず、加熱処理の工程を省略しても良い。具体的には、触媒元素を添加してから加熱処理の代わりにレーザ光の照射を照射し、結晶性を高めるようにしても良い。
(実施の形態7)
本実施の形態では実施の形態6とは異なり、本発明のレーザ照射装置による結晶化方法に、触媒元素による結晶化方法を組み合わせた例について説明する。
まず、半導体膜502を成膜し、該半導体膜502に0族の元素をドーピングを行なう工程まで、実施の形態5の図5(A)までを参照して行なう。次に、半導体膜502の上に開口部を有するマスク540を形成した。そして図7(A)
に示すように、半導体膜502の表面に重量換算で1〜100ppmのNiを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピンコート法で塗布した。なお触媒の添加は上記方法に限定されず、スパッタ法、蒸着法、プラズマ処理などを用いて添加しても良い。塗布された酢酸ニッケル塩溶液は、マスク540の開口部において半導体膜502と接する(図7(A))。
次に、500〜650℃で4〜24時間、例えば570℃、14時間の加熱処理を行った。この加熱処理により、酢酸ニッケル塩溶液が塗布された表面から、実線の矢印で示したように結晶化が促進された半導体膜530が形成される(図7(A))。
なお、触媒元素は実施の形態6に列記したものを用いることができる。
次にマスク540を除去した後、図7(B)に示すように、半導体膜530を本発明のレーザ照射装置を用いて結晶化する。本実施の形態では、第1のレーザ光として、エネルギー10W、第2高調波(532nm)のNd:YVO4レーザを用い、また第2のレーザ光としてエネルギー2000W、基本波(1.064μm)
のNd:YAGレーザを用いた。
そして本発明では、レーザ光が照射される領域に磁場を、、磁極541、542を用いて印加する。本実施の形態では、レーザ光の走査方向と、磁場の磁力線の方向とを一致させる。図7(B)には、レーザ光の基板500に対して相対的な移動方向を白抜きの矢印で、磁力線の方向を破線の矢印で示す。
なお磁力線は、磁極541と磁極542を結ぶように分布しており、磁極541と磁極542からの距離がより近い空間においてほぼ直線であるが、離れるほど曲率の高い曲線になる。よって必ずしもビームスポットの移動方向と、磁力線の方向とが平行であるとは限らない。本発明では、半導体膜530のビームスポットがあたっている部分538において、通過する磁力線の方向がほぼ一定となる磁界成分が加わっていれば良い。
そして、ビームスポットがあたっている部分538における磁束密度は、1000G〜10000G、望ましくは1500G〜4000Gとする。
またレーザ光の照射は、レーザ光の照射はロードロック方式のチャンバー内において、0族のガスが99.99%以上、望ましくは99.9999%以上の雰囲気下において行なう。本実施の形態では0族の気体としてArを用いる。
なお、ドーピングする0族元素とレーザ光を照射する際に用いる0族元素とは、必ずしも同じである必要はない。
上述した半導体膜530へのレーザ光の照射により、結晶性がより高められた半導体膜531が形成される。
なお図7(B)に示したように触媒元素を用いて結晶化された半導体膜531内には、触媒元素(ここではNi)がおおよそ1×1019atoms/cm3程度の濃度で含まれていると考えられる。次に、半導体膜531内に存在する触媒元素のゲッタリングを行なう。
まず図7(D)に示すように、半導体膜530を覆うように、マスク用の酸化シリコン膜532を150nmの厚さで形成し、パターニングにより開口部を設け、半導体膜530の一部を露出させる。そして、リンを添加して、半導体膜530にリンが添加された領域533を設ける。
この状態で、窒素雰囲気中で550〜800℃、5〜24時間、例えば600℃、12時間の熱処理を行うと、半導体膜530にリンが添加された領域533がゲッタリングサイトとして働き、半導体膜530に残存していた触媒元素が、リンの添加されたゲッタリング領域533に偏析する(図7(B))。
そして、リンが添加された領域533をエッチングで除去することにより、半導体膜530の残りの領域において、触媒元素の濃度を1×1017atms/cm3以下にまで低減させることができる。
そして、マスク用の酸化シリコン膜532を除去した後、半導体膜531をパターニングし、島状の半導体膜534〜536を形成する(図7(D))。
なお、本発明においてゲッタリング工程は、本実施の形態に示した方法に限定されない。その他の方法を用いて半導体膜中の触媒元素を低減するようにしても良い。
次に、図7(D)に示すように半導体膜503をパターニングし、島状の半導体膜534〜536が形成され、該島状の半導体膜534〜536用いてTFTに代表される各種の半導体素子が形成される。
本実施の形態のように、触媒元素による結晶化の後にレーザ光を照射による結晶化を行うことで、実施の形態5の場合に比べてより半導体膜の結晶性を高めることができる。また実施の形態5ではレーザ光の照射後に結晶核がランダムに発生して結晶化が進む。一方本実施の形態の場合、触媒元素による結晶化の際に形成された結晶が、基板により近い側においてレーザ光の照射により溶融されずに残存し、該結晶を結晶核として結晶化が進む。よってレーザ光の照射による結晶化は基板側から表面に向かって均一に進みやすく、実施の形態5の場合に比べて表面の荒れが抑えられる。よって後に形成される半導体素子、代表的にはTFTの特性のばらつきがより抑えられる。
なお本実施の形態では、触媒元素を添加してから加熱処理を行なって結晶化を促進してから、レーザ光の照射により結晶性をより高めている構成について説明した。本発明はこれに限定されず、加熱処理の工程を省略しても良い。具体的には、触媒元素を添加してから加熱処理の代わりにレーザ光の照射を照射し、結晶性を高めるようにしても良い。
(実施の形態8)
本実施の形態では、ロードロック方式のチャンバーを有するレーザ照射装置の構成について説明する。
図9に本実施の形態のレーザ照射装置の構成を示す。レーザ照射室1206は隔壁1230によって囲まれている。なお、レーザ光は指向性およびエネルギー密度の高い光であるため、隔壁1230は反射光が不適切な箇所を照射するのを防ぐために、反射光を吸収させる性質を有していることが好ましい。なお、隔壁内に冷却水が循環させておき、反射光の吸収により隔壁の温度が上昇するのを防ぐようにしても良い。
また図9に示すように、隔壁を加熱する手段(隔壁加熱手段)1240を設け、レーザ照射室内を排気する際に、隔壁を加熱するようにしてもよい。
そして、ゲート1210は、レーザ照射室1206への基板の搬送口に相当する。また、レーザ照射室1206は、排気ポート1211に接続されている排気系1231によって、レーザ照射室1206内のガスを排気することができる。
また、供給ポート1251に接続されている希ガス供給系1250によって、レーザ照射室1206内への希ガスの供給を行なうことができる。
1212はステージであり、基板1203が載置される。位置制御手段1242によってステージの位置を動かすことで、基板の位置を制御し、レーザ光の照射位置を動かすことができる。図9に示すように、ステージ1212に基板を加熱するための手段(基板加熱手段)1241を設けるようにしても良い。
隔壁1230に設けられている開口部1232は、レーザ光を透過する窓(透過窓)1233で覆われている。なお、透過窓1233はレーザ光を吸収しにくい材料であることが望ましく、例えば石英等が適している。透過窓1233と隔壁1230の間にはガスケット1236が設けられており、透過窓1233と隔壁1230の隙間から大気がレーザ照射室内に侵入するのを防ぐことができる。
まず、半導体膜が成膜された基板1203が搬送され、ゲート1210を閉じた後、排気系1231及び希ガス供給系1250を用いてレーザ照射室1206内を希ガス雰囲気に保つ。
そして本発明では、レーザ発振器1213aから発振された第1のレーザ光が光学系1214aによってそのビームスポットの形状が加工され、基板1203に照射される。さらにレーザ発振器1213bから発振された第2のレーザ光が光学系1214bによってそのビームスポットの形状が加工され、基板1203に照射される。入射角θは戻り光を防ぐために、また均一な照射を行なうために、0°より大きく、より望ましくは5°〜30°程度にするのが望ましい。
また1252は磁気回路の磁極に相当し、基板1203に成膜された半導体膜への磁場の印加を行なう。なお本実施の形態では、基板1203のレーザ光が照射される面側から磁場が印加されるようになっているが、本発明はこれに限定されない。磁極1252をステージ1212内に組み込み、基板1203のレーザ光が照射される面とは逆の面側から磁場が印加されるようになっていても良い。
なお、図9に示すレーザ照射室1206は、マルチチャンバーが有するチャンバーの1つであってもよい。半導体膜への希ガス元素のドーピングを行なうチャンバーを設け、希ガス元素のドーピングからレーザ光の結晶化までの一連の工程を大気に曝すことなくマルチチャンバー内で行なうことで、不純物の半導体膜への混入をより効果的に防ぐことができる。
なお上記レーザ照射装置を半導体膜の結晶化に用いることで、半導体膜の結晶性をより均一にすることができる。本発明の半導体装置の製造方法は、集積回路や半導体表示装置の作製方法に用いることができる。特に、液晶表示装置、有機発光素子に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)等の半導体表示装置の画素部に設けられたトランジスタ等の半導体素子に用いた場合、画素部において照射されたレーザ光のエネルギーの分布に起因する横縞が、視認されるのを抑えることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
図10を用いて、本発明のレーザ照射装置を用いて形成される半導体装置の1つである、発光装置の画素の構成について説明する。
図10において、基板6000に、下地膜6001が形成されており、該下地膜6001上にトランジスタ6002が形成されている。トランジスタ6002は活性層6003と、ゲート電極6005と、活性層6003とゲート電極6005の間に挟まれたゲート絶縁膜6004と、を有している。
活性層6003は、本発明のレーザ照射装置を用いることで結晶化された多結晶半導体膜が用いられている。なお、活性層は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムを用いるようにしても良い。シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。また窒化炭素が添加された珪素を用いていても良い。
またゲート絶縁膜6004は、酸化珪素、窒化珪素または酸化窒化珪素を用いることができる。またそれらを積層した膜、例えばSiO2上にSiNを積層した膜を、ゲート絶縁膜として用いても良い。またSiO2は、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)、電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて、酸化シリコン膜を形成した。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。また窒化アルミニウムをゲート絶縁膜として用いることができる。窒化アルミニウムは熱伝導率が比較的高く、TFTで発生した熱を効果的に拡散させることができる。またアルミニウムの含まれない酸化珪素や酸化窒化珪素等を形成した後、窒化アルミニウムを積層したものをゲート絶縁膜として用いても良い。また、SiをターゲットとしたRFスパッタ法を用いて形成されたSiO2をゲート絶縁膜として用いても良い。
またゲート電極6005として、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また単層の導電膜ではなく、複数の層からなる導電膜を積層したものであっても良い。
例えば、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をWとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をTiとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をAlとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をCuとする組み合わせで形成することが好ましい。
また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。
また、2層構造に限定されず、例えば、タングステン膜、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、タングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。なお、導電膜の材料によって、適宜最適なエッチングの方法や、エッチャントの種類を選択することが重要である。
またトランジスタ6004は、第1の層間絶縁膜6006で覆われており、第1の層間絶縁膜6006上には第2の層間絶縁膜6007と、第3の層間絶縁膜6008とが積層されている。第1の層間絶縁膜6006は、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、酸化珪素、窒化珪素または酸化窒化珪素膜を単層でまたは積層して用いることができる。また酸素よりも窒素のモル比率が高い酸化窒化珪素膜上に、窒素よりも酸素のモル比率が高い酸化窒化珪素膜を積層した膜を第1の層間絶縁膜6006として用いても良い。なお、第1の層間絶縁膜6006を成膜した後、加熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行うと、第1の層間絶縁膜6006に含まれる水素により、活性層6003に含まれる半導体のダングリングボンドを終端する(水素化)ことができる。
また第2の層間絶縁膜6007は、非感光性のアクリルを用いることができる。第3の層間絶縁膜6008は、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。
また図10において6010は陽極、6011は電界発光層、6012は陰極であり、陽極6010と電界発光層6011と陰極6012が重なっている部分が発光素子6013に相当する。トランジスタ6002は、発光素子6013に供給する電流を制御する駆動用トランジスタであり、発光素子6013と直接、または他の回路素子を介して直列に接続されている。
電界発光層6011は、発光層単独かもしくは発光層を含む複数の層が積層された構成を有している。
陽極6010は第3の層間絶縁膜6008上に形成されている。また第3の層間絶縁膜6008上には隔壁として用いる有機樹脂膜6014が形成されている。有機樹脂膜6014は開口部6015を有しており、該開口部において陽極6010と電界発光層6011と陰極6012が重なり合うことで発光素子6013が形成されている。
そして有機樹脂膜6014及び陰極6012上に、保護膜6016が成膜されている。保護膜6016は第3の層間絶縁膜6008と同様に、水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。また上述した水分や酸素などの物質を透過させにくい膜と、該膜に比べて水分や酸素などの物質を透過させやすい膜とを積層させて、保護膜として用いることも可能である。
また有機樹脂膜6014は、電界発光層6011が成膜される前に、吸着した水分や酸素等を除去するために真空雰囲気下で加熱しておく。具体的には、100℃〜200℃、0.5〜1時間程度、真空雰囲気下で加熱処理を行なう。望ましくは3×10-7Torr以下とし、可能であるならば3×10-8Torr以下とするのが最も望ましい。そして、有機樹脂膜に真空雰囲気下で加熱処理を施した後に電界発光層を成膜する場合、成膜直前まで真空雰囲気下に保つことで、信頼性をより高めることができる。
また有機樹脂膜6014の開口部6015における端部は、有機樹脂膜6014上に一部重なって形成されている電界発光層6011に、該端部において穴があかないように、丸みを帯びさせることが望ましい。具体的には、開口部における有機樹脂膜の断面が描いている曲線の曲率半径が、0.2〜2μm程度であることが望ましい。
上記構成により、後に形成される電界発光層や陰極のカバレッジを良好とすることができ、陽極6010と陰極6012が電界発光層6011に形成された穴においてショートするのを防ぐことができる。また電界発光層6011の応力を緩和させることで、発光領域が減少するシュリンクとよばれる不良を低減させることができ、信頼性を高めることができる。
なお図10では、有機樹脂膜6014として、ポジ型の感光性のアクリル樹脂を用いた例を示している。感光性の有機樹脂には、光、電子、イオンなどのエネルギー線が露光された箇所が除去されるポジ型と、露光された箇所が残るネガ型とがある。本発明ではネガ型の有機樹脂膜を用いても良い。また感光性のポリイミドを用いて有機樹脂膜6014を形成しても良い。ネガ型のアクリルを用いて有機樹脂膜6014を形成した場合、開口部6015における端部が、S字状の断面形状となる。このとき開口部の上端部及び下端部における曲率半径は、0.2〜2μmとすることが望ましい。
陽極6010は透明導電膜を用いることができる。ITOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いても良い。図10では陽極6010としITOを用いている。陽極6010は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄(ベルクリン洗浄)で研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、陽極6010の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
また陰極6012は、仕事関数の小さい導電膜であれば公知の他の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。
なお図10では、発光素子から発せられる光が基板6000側に照射される構成を示しているが、光が基板とは反対側に向かうような構造の発光素子としても良い。
また図10ではトランジスタ6002と発光素子の陽極6010が接続されているが、本発明はこの構成に限定されず、トランジスタ6002と発光素子の陰極6001が接続されていても良い。この場合、陰極は第3の層間絶縁膜6008上に形成される。そしてTiN等を用いて形成される。
なお、実際には図10まで完成したら、さらに外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)や透光性のカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
その際、カバー材の内部を不活性雰囲気にしたり、内部に吸湿性材料(例えば酸化バリウム)を配置したりするとOLEDの信頼性が向上する。
なお、本発明の発光装置は上述した作製方法に限定されない。また本発明の半導体装置は発光装置に限定されない。
本実施例では、図4(B)に示した複数の第1のレーザ光を合成することで得られる、第1のビームスポットの形状について説明する。なお本実施例では第1のビームスポットを、以下単にビームスポットと呼ぶ。
図11(A)に、複数のレーザ発振器からそれぞれ発振されるレーザ光の、被処理物におけるビームスポットの形状の一例を示す。図11(A)に示したビームスポットは楕円形状を有している。なお本発明において、レーザ発振器から発振されるレーザ光のビームスポットの形状は、楕円に限定されない。ビームスポットの形状はレーザの種類によって異なり、また光学系により成形することもできる。例えば、ラムダ社製のXeClエキシマレーザ(波長308nm、パルス幅30ns)L3308から射出されたレーザ光の形状は、10mm×30mm(共にビームプロファイルにおける半値幅)の矩形状である。また、YAGレーザから射出されたレーザ光の形状は、ロッド形状が円筒形であれば円状となり、スラブ型であれば矩形状となる。このようなレーザ光を光学系により、さらに成形することにより、所望の大きさのレーザ光をつくることもできる。
図11(B)に図11(A)に示したビームスポットの長軸Y方向におけるレーザ光のエネルギー密度の分布を示す。図11(A)に示すビームスポットは、図11(B)におけるエネルギー密度のピーク値の1/e2のエネルギー密度を満たしている領域に相当する。ビームスポットが楕円形状であるレーザ光のエネルギー密度の分布は、楕円の中心Oに向かうほど高くなっている。
次に、図11(A)に示したビームスポットを有するレーザ光を合成したときの、ビームスポットの形状を、図11(C)に示す。なお図11(C)では4つのレーザ光のビームスポットを重ね合わせることで1つの線状のビームスポットを形成した場合について示しているが、重ね合わせるビームスポットの数はこれに限定されない。
図11(C)に示すように、各レーザ光のビームスポットは、各楕円の長軸が一致し、なおかつ互いにビームスポットの一部が重なることで合成され、1つのビームスポットが形成されている。なお以下、各楕円の中心Oを結ぶことで得られる直線をビームスポットの中心軸とする。
図11(D)に、図11(D)に示した合成後のビームスポットの、中心軸y方向におけるレーザ光のエネルギー密度の分布を示す。なお、図11(C)に示すビームスポットは、図11(B)におけるエネルギー密度のピーク値の1/e2のエネルギー密度を満たしている領域に相当する。合成前の各ビームスポットが重なり合っている部分において、エネルギー密度が加算される。例えば図示したように重なり合ったビームのエネルギー密度E1とE2を加算すると、ビームのエネルギー密度のピーク値E3とほぼ等しくなり、各楕円の中心Oの間においてエネルギー密度が平坦化される。
なお、E1とE2を加算するとE3と等しくなるのが理想的だが、現実的には必ずしも等しい値にはならない。E1とE2を加算した値とE3との値のずれの許容範囲は、設計者が適宜設定することが可能である。
図11(A)に示すように、ビームスポットを単独で用いると、エネルギー密度の分布がガウス分布に従っているので、絶縁膜の平坦な部分に接している半導体膜またはアイランドとなる部分全体に均一なエネルギー密度のレーザ光を照射することが難しい。しかし、図11(D)からわかるように、複数のレーザ光を重ね合わせてエネルギー密度の低い部分を互いに補い合うようにすることで、複数のレーザ光を重ね合わせないで単独で用いるよりも、エネルギー密度が均一な領域が拡大され、半導体膜の結晶性を効率良く高めることができる。
本実施例の構成は、実施例1と組み合わせて実施することが可能である。

Claims (3)

  1. 絶縁表面上に半導体膜を形成し、
    前記半導体膜に希ガスを添加し、
    希ガス雰囲気中で前記希ガスが添加された半導体膜にレーザ光を照射する半導体装置の作製方法であって、
    前記レーザ光の照射の際に前記半導体膜に磁場を印加し、
    前記半導体膜は数μs以上数十μs以下の間溶融していることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  2. 請求項1において、
    前記レーザ光は第1のレーザ光と第2のレーザ光を有し、
    前記第1のレーザ光は高調波であり、
    前記第2のレーザ光は基本波であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記希ガスはArであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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