JP2001220436A - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法

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JP2001220436A JP2000033417A JP2000033417A JP2001220436A JP 2001220436 A JP2001220436 A JP 2001220436A JP 2000033417 A JP2000033417 A JP 2000033417A JP 2000033417 A JP2000033417 A JP 2000033417A JP 2001220436 A JP2001220436 A JP 2001220436A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】エステル交換法による芳香族ポリカーボネート
の製造方法において、特に重合反応槽での発泡現象を抑
制し、優れた品質の製品を効率よく製造する方法を提供
する。 【解決手段】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステ
ルとを原料として、複数の反応槽を用いて芳香族ポリカ
ーボネートを連続的に製造する方法において、竪型反応
槽を用いて、反応によって副生した生成物を留出させな
がら高分子量化するに際し、該反応槽での反応液の粘度
平均分子量(Mv)に応じて、芳香族ポリカーボネート
の製造速度(Q)kg/時と留出物のガス空塔速度
(u)m/秒との関係が以下の条件式を満たすように反
応条件を制御することを特徴とする芳香族ポリカーボネ
ートの製造方法。(1)Mv≦3000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)−2.3] (2)3000<Mv≦8000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)−1.8] (3)8000<Mv≦15000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)+0.4]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ジヒドロキ
シ化合物と炭酸ジエステルとを原料とした高品質の芳香
族ポリカーボネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネートは、耐衝撃性、
寸法安定性、透明性等の諸物性に優れた樹脂であり、幅
広い分野で利用され、その工業的製法としては、ホスゲ
ン法(界面重合法)、エステル交換法(溶融重合法)が
挙げられる。後者のエステル交換法は、ホスゲン法に比
べて工程が比較的単純であり、操作、コスト面で優位性
が発揮できるだけでなく、毒性の強いホスゲンや塩化メ
チレン等のハロゲン系化合物を使用しないという点にお
いて、環境保全の面からも優れている。
【0003】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステ
ルとの反応は、通常、エステル交換触媒の存在下、多段
の反応装置を用いて実施する。ポリマーの重合度を上げ
るためには、副生するフェノール類を効率的に除去する
必要があり、反応槽の運転条件は、後段になるほど高
温、高真空の条件にするのが一般的である。通常、温度
は150〜320℃、圧力は1.013×105〜1.
33Pa(760〜0.01Torr)の範囲で制御す
る。一方、色相などの品質に優れるポリマーを製造する
ためには、できるだけ熱履歴を少なくして、短時間で反
応を完結させることが好ましい。このため、熱履歴に影
響しない圧力条件をできるだけ低めの設定として反応を
できるだけ効率的に進行させることが、品質に優れる高
分子量のポリマーを得るために重要となる。
【0004】しかしながら、反応初期の段階では、フェ
ノール類が反応により多量に発生するため、急激に減圧
にすると激しく発泡現象を呈する。反応槽で発泡する
と、飛沫同伴や気液混相面の上昇により液面制御の操作
不良や製品損失の増加を招く。発泡によって形成される
泡沫層の容積を考慮して反応槽をかなり縦長形状とし、
充分な反応槽容積を確保することも考えられるが経済的
に不利である。従来から竪型反応層を用いて芳香族ポリ
カーボネートを製造する方法は知られており、例えば、
特開平2−153923、特開平11−310631、
特開平11−310632などが挙げられるが、これら
いずれの明細書においても製造段階における発泡現象に
ついての記載はない。また、特開平10−279678
では、激しい発泡現象を抑制するために、液面を直接攪
拌する攪拌翼を備えた竪型反応槽を用いて重合させるこ
とが記載されているが、本発明者らの知見によれば、か
かる装置を用いても充分な発泡の抑制効果が得られず、
発泡現象を考慮した更なる装置設計や反応条件の設定が
必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エステル交
換法による芳香族ポリカーボネートの製造方法におい
て、特に重合反応槽での発泡現象を回避し、優れた品質
の製品を効率よく製造する方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、発泡現象を伴
う反応初期からある反応段階において、反応液の粘度平
均分子量に応じて、芳香族ポリカーボネートの製造速度
と反応槽からの留出物のガス空塔速度との関係を、ある
特定条件の範囲内に制御することで、安定的にポリマー
の製造が可能となることを見出し本発明を完成するに至
った。
【0007】すなわち本発明は、芳香族ジヒドロキシ化
合物と炭酸ジエステルとを原料として、複数の反応槽を
用いて芳香族ポリカーボネートを連続的に製造する方法
において、竪型反応槽を用いて、反応によって副生した
生成物を留出させながら高分子量化するに際し、該反応
槽での反応液の粘度平均分子量(Mv)に応じて、芳香
族ポリカーボネートの製造速度(Q)kg/時と留出物
のガス空塔速度(u)m/秒との関係が以下の条件式を
満たすように反応条件を制御することを特徴とする芳香
族ポリカーボネートの製造方法である。 (1)Mv≦3000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)−2.3] (2)3000<Mv≦8000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)−1.8] (3)8000<Mv≦15000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)+0.4]
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の芳香族ポリカーボ
ネートの製造方法について、さらに具体的に説明する。
本発明では、原料として芳香族ジヒドロキシ化合物と炭
酸ジエステルとを用い、エステル交換触媒の存在下、連
続的に溶融重縮合して、芳香族ポリカーボネートを製造
する。
【0009】芳香族ジヒドロキシ化合物:本発明方法の
原料の一である芳香族ジヒドロキシ化合物は、下記一般
式(1)で示される化合物である。
【0010】
【化1】
【0011】(式中、Aは、単結合、置換されていても
よい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状の2
価の炭化水素基、又は、−O−、−S−、−CO−若し
くは−SO2−で示される2価の基であり、X及びY
は、ハロゲン原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であ
り、p及びqは、0又は1の整数である。なお、XとY
及びpとqは、それぞれ、同一でも相互に異なるもので
もよい。)
【0012】代表的な芳香族ジヒドロキシ化合物として
は、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t
−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)
プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン等のビスフェノール類;4,4’−ジヒドロ
キシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−
4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビフェノ−ル
類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ケトン等が挙げられる。これらの芳香族ジヒド
ロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用い
ることができる。これらのなかでも、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノール
A」とも言い、BPAと略記することもある。)が好ま
しい。
【0013】炭酸ジエステル:本発明の原料の他の一で
ある炭酸ジエステルは、下記一般式(2)で示される化
合物である。
【0014】
【化2】
【0015】(式中、A’は、置換されていてもよい炭
素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水
素基であり、2つのA’は、同一でも相互に異なるもの
でもよい。)
【0016】代表的な炭酸ジエステルとしては、例え
ば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートに
代表される置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカー
ボネート等が挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、
単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
これらのなかでも、ジフェニルカーボネート(DPCと
略記することもある。)、置換ジフェニルカーボネート
が好ましい。
【0017】また、上記の炭酸ジエステルは、好ましく
はその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以
下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置
換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸
エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げ
られる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エス
テルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが
得られる。
【0018】これら炭酸ジエステル(上記の置換したジ
カルボン酸又はジカルボン酸エステル酸を含む。以下同
じ。)は、ジヒドロキシ化合物に対して過剰に用いられ
る。すなわち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して1.
01〜1.30、好ましくは1.02〜1.20のモル
比で用いられる。同一反応条件下では、このモル比が小
さくなるほど反応速度が上昇し、ポリカーボネートの粘
度平均分子量は大きくなる。また、この範囲でモル比が
大きくなると、反応速度が低下し、粘度平均分子量は小
さくなる。モル比が1.01より小さくなると得られる
ポリカーボネートの末端OH基の量が多くなり、反応性
は高くなるものの、熱安定性、耐加水分解性等が低下
し、通常の使用には適当でなくなる。1.30を超える
と所望の分子量を持つ芳香族ポリカーボネートの生産が
困難となる。
【0019】エステル交換触媒:エステル交換法により
ポリカーボネートを製造する際には、通常、触媒が使用
される。本発明の芳香族ポリカーボネートの製造方法に
おいては、触媒種に制限はないが、一般的にはアルカリ
金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化
合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又
はアミン系化合物等の塩基性化合物が使用される。これ
らは、1種類で使用してもよく、2種類以上を組み合わ
せて使用してもよい。触媒の使用量は、通常は芳香族ジ
ヒドロキシ化合物1モルに対して1×10-9〜1×10
ー1モル、好ましくは1×10ー7〜1×10-2モルの範
囲で用いられる。
【0020】アルカリ金属化合物としては、リチウム、
ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸化
物、炭酸塩、炭酸水素化合物、等の無機アルカリ金属化
合物、アルコール類、フェノール類、そして有機カルボ
ン酸類との塩等の有機アルカリ金属化合物等がある。こ
れらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が
好ましく、具体的に最も好ましいセシウム化合物を挙げ
れば炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウム
である。
【0021】また、アルカリ土類金属化合物としては、
ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウムの水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類
金属化合物、アルコール類、フェノール類、そして有機
カルボン酸類との塩等の有機アルカリ土類金属化合物等
がある。
【0022】塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テ
トラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピ
ルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ
素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホ
ウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホ
ウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジル
ホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホ
ウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニ
ルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素、等のナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシ
ウム塩、バリウム塩、又はストロンチウム塩等がある。
【0023】塩基性リン化合物としては、例えば、トリ
エチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、ト
リイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等
の3価のリン化合物、又はこれらの化合物から誘導され
る4級ホスホニウム塩等がある。
【0024】塩基性アンモニウム化合物としては、例え
ば、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラ
エチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラプロピルア
ンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウム
ヒドロキサイド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロ
キサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサ
イド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキサイ
ド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキサイド、ト
リエチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリエ
チルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチル
ベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチルフェ
ニルアンモニウムヒドロキサイド、テトラフェニルアン
モニウムヒドロキサイド、ベンジルトリフェニルアンモ
ニウムヒドロキサイド、メチルトリフェニルアンモニウ
ムヒドロキサイド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒ
ドロキサイド等がある。
【0025】アミン系化合物としては、例えば、4−ア
ミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル
−4−アミノピリジン,4−ジエチルアミノピリジン、
2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−
メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、
2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカ
プトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキ
ノリン等がある。
【0026】これらの触媒のうち、実用的にはアルカリ
金属化合物が望ましい。
【0027】次に本発明に係わる芳香族ポリカーボネー
トの製造方法について説明する。まず、使用される触媒
は、通常、原料モノマーあるいは反応液に供給する前に
予め水溶液として準備しておく。このときの触媒水溶液
の濃度は触媒の水に対する溶解度見合いで任意の濃度に
調整される。水の代わりに、アセトン、アルコール、ト
ルエン、フェノールなど触媒種に応じて他の溶媒を選択
することもできる。
【0028】触媒の溶解に使用される水の性状について
は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれ
ば、特に規定されるものではないが、通常の水に含有さ
れるようなナトリウムイオン、カリウムイオン、鉄イオ
ン、塩素イオンなどの不純物成分は触媒活性やポリマー
色相、異物の有無などに影響を及ぼすため、これら不純
物成分が少ない蒸留水や脱イオン水などが好ましく用い
られる。
【0029】一方、芳香族ポリカーボネートの製造は、
原料として使用する炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキ
シ化合物を溶融混合物とした後、重縮合反応に付され
る。この際、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合
物の割合は、前述した通り、炭酸ジエステルが過剰にな
るように調整され、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに
対して、炭酸ジエステルは通常1.01〜1.30モル、
好ましくは1.02〜1.20モルの割合になるように調
整される。
【0030】両原料の溶融混合は、通常、窒素、アルゴ
ンなど不活性ガスの雰囲気下、撹拌槽型の装置を用い
て、バッチ式、半回分式または連続式で行なうことがで
きる。混合の温度は、炭酸ジエステルとして、ジフェニ
ルカーボネートを用い、芳香族ジヒドロキシ化合物とし
てビスフェノールAを用いる時には、120〜180
℃、好ましくは、125〜160℃の範囲から選択され
る。
【0031】重合の反応条件として、通常、温度は15
0〜320℃、圧力は常圧〜1.33Pa(常圧〜0.
01Torr)、平均滞留時間は5〜90分の範囲から
選択される。重合反応装置において、副生するフェノー
ル、アルコールなど(以下、フェノール類と略称するこ
とがある)を反応系外に排出させながら、ポリマーの重
合度を逐次に上げていく。重合反応装置は、複数個直列
に設置するのが好ましい。後段の反応装置に移行してい
くほど重合反応液中のフェノール類の濃度が減少し、ま
た、重合反応液の粘度も増大してくるため、副生するフ
ェノール類の排出をより効果的なものとするために、段
階的に上記反応条件範囲内で、より高温、高真空側に設
定する。なお、得られる芳香族ポリカーボネートの色相
などの品質低下を防止するためには、できるだけ低温
で、滞留時間を短く設定することが好ましい。
【0032】本発明では、竪型の反応槽を複数個連結し
て上記のような反応が行われる。反応槽は通常2〜5
個、好ましくは3〜4個設置され、各反応槽には通常攪
拌翼が設けられる。得られる芳香族ポリカーボネートの
平均分子量を充分高めるため、複数個連結した竪型の反
応槽に続いて、最終工程として横型反応槽を設置するこ
とが好ましい。
【0033】撹拌翼の形式としては、竪型反応槽では、
例えば、タービン翼、パドル翼、ファウドラー翼、アン
カー翼、フルゾーン翼(新鋼パンテック(株)製)、サ
ンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド
翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ね
じり格子翼(日立製作所(株)製)等が挙げられる。
【0034】竪型反応槽とは、攪拌翼の回転軸が竪型で
あるもの、すなわち垂直方向にあるものをいう。反応槽
の形状としては、当該反応槽の内径Dに対する直胴部長
さLとの比率(L/D)が3以下、好ましくは0.5〜
3であるものが用いられる(後記図2参照)。尚、ここ
でいう反応槽の直胴部長さLとは、反応槽の形状が、円
筒両鏡のときには、反応槽のタンジェンシャルライン間
の長さを指し、また、反応槽の上部あるいは下部が平蓋
構造のときには、側胴部片側のタンジェンシャルライン
と、もう一方の片側端面間の距離を指す。また、反応槽
の内径Dは、反応液が充填されている領域での距離を指
すものである。
【0035】一方、横型反応槽は攪拌翼の回転軸が横型
であるもの、すなわち水平方向にあるものをいう。例え
ば、円板型、パドル型等の一軸タイプの撹拌翼やHV
R、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイ
ボラック(住友重機械工業(株)製)、あるいはメガネ
翼、格子翼(日立製作所(株)製)等の二軸タイプの撹
拌翼が挙げられる。
【0036】後段の反応装置に移行するにつれて、ポリ
マーの重合度は段階的に上昇していく。本発明の大きな
特徴は、ある一定範囲の粘度平均分子量にある製造工程
毎に、次の条件式を満たすように、反応槽内における留
出物のガス空塔速度を制御して反応を行うことにある。
すなわち、反応槽での反応液の粘度平均分子量(Mv)
に応じて、芳香族ポリカーボネートの製造速度(Q)k
g/時と留出物のガス空塔速度(u)m/秒との関係が
以下の条件式を満たすことが必要である。 (1)Mv≦3000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)−2.3] (2)3000<Mv≦8000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)−1.8] (3)8000<Mv≦15000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)+0.4]
【0037】好ましくは、以下の条件式を満たすことで
ある。 (1)Mv≦3000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)−2.5] (2)3000<Mv≦8000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)−2.0] (3)8000<Mv≦15000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)+0.3]
【0038】ここに、uは、留出物のガス空塔速度(m
/秒)である。反応槽から留出した芳香族ジヒドロキシ
化合物、炭酸ジエステル及びフェノール類をそれぞれ回
収し、定量し、当該反応槽の反応温度と圧力条件下で、
理想気体として、合計流量を換算し、更に当該反応槽の
反応液面より上の位置での反応槽直胴部の断面積で割っ
た数値を示す。
【0039】算出式の一例を下記に示した。 u=(芳香族ジヒドロキシ化合物の空塔速度)+(炭酸
ジエステルの空塔速度)+(フェノール類の空塔速度)
=[(Wt×X1/100/M1)+(Wt×X2/1
00/M2)+(Wt×Xb/100/Mb)]×2
2.4×(273.15+T)/273.15×(10
1325/P)/A/3600 ただし、 Wt:留出速度(kg/時) X1:留出物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の濃度(重
量%) M1:芳香族ジヒドロキシ化合物の分子量 X2:留出物中の炭酸ジエステルの濃度(重量%) M2:炭酸ジエステルの分子量 Xb:留出物中のフェノール類の濃度(重量%) Mb:フェノール類の分子量 T :反応温度(℃) P :反応圧力(Pa) A :反応槽の気相部断面積(m2
【0040】また、Qは、芳香族ポリカーボネートの製
造速度(kg/時)である。これは、原料となる芳香族
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルの合計供給速度か
ら、芳香族ジヒドロキシ化合物の供給量を基準として、
副生するフェノール類の理論値を差し引いた数値として
定義されるものである。従って、重合反応の最終工程か
ら得られる製品の製造速度とは必ずしも一致するもので
はない。具体的には、原料として、例えば、ビスフェノ
ールAとジフェニルカーボネートを用いる場合に、ビス
フェノールAの供給量を100モル/時(22.83k
g/時)、ジフェニルカーボネートの供給量を104モ
ル/時(22.28kg/時)とした時には、副生する
フェノールの理論値は、ビスフェノールAに対して2倍
の200モル/時(18.82kg/時)であるので、
芳香族ポリカーボネートの製造速度Qとしては、Q=2
2.83+22.28−18.82=26.29kg/
時となる。
【0041】粘度平均分子量の小さい反応初期の段階ほ
ど発泡現象が激しい状態となるため、各反応液の粘度平
均分子量に応じて、上記条件式を満足するように、原料
供給速度や反応温度、反応圧力などを調節して芳香族ポ
リカーボネートを製造する。また、ガス空塔速度を調節
する他の手段としては、反応槽の気相部断面積を適宜に
調節選定することによっても可能である。原料供給速度
や反応温度、反応圧力など反応条件が同じで留出量に変
化がない時には、反応槽のガスが上昇する領域の断面積
を大きくすることによって、ガス空塔速度を下げること
ができる。このようにすることにより発泡現象が抑制さ
れ、製品の分子量や製造速度を低下させることなく効率
的に芳香族ポリカーボネートを製造できる。
【0042】逆に、上記条件式から逸脱した場合には、
発泡現象が非常に激しくなり、飛沫同伴による反応液の
損失増大による製品ロスを招く。また発泡に伴い高沸点
のオリゴマーなどが留出ラインや真空ポンプなどの低温
部に到達して、これが凝固蓄積した場合には、運転の継
続が困難になるなどトラブル発生原因となる。
【0043】本発明は、製造すべき芳香族ポリカーボネ
ートの粘度平均分子量が3000〜15000の範囲に
ある場合の製造条件を規定するものであって、それ以外
の範囲にあっては特に限定するものではない。粘度平均
分子量が15000より大きくなる反応領域では、フェ
ノール類の生成量は反応初期に比べて極端に減少するの
で、発泡現象を回避するための反応条件や装置形状の制
約が解消されるからである。粘度平均分子量が1500
0より大きくなる反応領域では、前述した水平方向の攪
拌軸を有する横型反応装置を用いることが好ましい。
【0044】次に、図1に本発明の連続重合法に用いる
装置の1例を示す。図1には4基の重合反応槽が直列に
設置されている。図中、1は原料導入管、2は触媒溶液
槽、21は触媒導入管、3は留出ガス排出管、31はコ
ンデンサー、4a、4b、4cは竪型重合反応槽、5は
マックスブレンド攪拌翼、6は横型重合反応槽、7は格
子翼、8はポリマー抜出管を示す。
【0045】まず、第1反応槽(4a)に、不活性ガス
雰囲気下、ビスフェノールAとジフェニルカーボネート
との溶融混合物を、原料導入管(1)を通して導入す
る。また、触媒としてのアルカリ金属化合物を溶媒に溶
解した触媒溶液を、触媒溶液槽(2)から、触媒導入管
(21)を介して、上記反応槽(4a)内に連続的に供
給する。反応液は順次、(4a)(4b)(4c)及び
横型反応槽6と流れ、副生したフェノールを副生物排出
管(3)から除去しながら、溶融重縮合が行われる。最
終製品となる芳香族ポリカーボネートはポリマー抜出管
(8)から得られる。
【0046】上記の方法で製造した芳香族ポリカーボネ
ート中には、両原料、触媒、エステル交換反応で副生す
るヒドロキシ化合物、ポリカーボネートオリゴマー等の
低分子量化合物が少量残存している。これらはポリマー
の耐熱老化性、耐加水分解性等の物性に悪影響を与える
ことがある。悪影響を除去する方法として、ベント式の
押出機により連続的に脱揮する方法がある。その際、ポ
リマー中に残留している塩基性エステル交換触媒を、あ
らかじめ酸性化合物又はその誘導体により中和し、失活
させておくことにより脱揮中の副反応を抑え、効率よく
残存する両原料及びヒドロキシ化合物を除去することが
できる。
【0047】添加する酸性化合物又はその誘導体には特
に制限が無く、重縮合反応に使用する塩基性エステル交
換触媒を中和する効果のあるものであれば、いずれも使
用できる。具体的には、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜
硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ア
ジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライ
ン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、ク
エン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケ
イ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トル
エンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレ
ンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、
フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスル
フィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸
等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられ
る。これらの酸性化合物又はその誘導体でもスルホン酸
あるいはそのエステル類が特に好ましい。
【0048】酸性化合物又はその誘導体の供給は、単独
又は溶媒に希釈して行われる。この際用いられる溶媒と
しては、上記酸性化合物又はその誘導体が溶解すれば良
く、特に水が好ましい。また水単独に不溶な酸性化合物
又はその誘導体については、アセトン等の有機溶媒を水
に加えた混合溶媒の使用も好ましい。また、有機溶媒を
使用する場合は、ポリカーボネートに悪影響を及ぼさな
いアセトン類や脂肪族、芳香族炭化水素類化合物が特に
好ましく使用される。しかしながら、アルコール類や含
ハロゲン系溶媒は、得られたポリカーボネート樹脂の解
重合や着色の原因となるため、避けることが好ましい。
また、これら酸性化合物又はその誘導体の使用量は、重
縮合反応に使用した塩基性エステル交換触媒の中和量に
対して0.1〜50倍モル、好ましくは0.5〜30倍
モルの範囲で添加する。
【0049】用いられる押出機とは、ベント部を備えた
ものであればどのような形式のものでもよい。具体的に
は、ベント式の単軸又は多軸押出機が挙げられるが、特
に、かみ合い型二軸押出機が好ましく、回転方向は同方
向回転でも異方向回転でもよい。ベント数に制限はない
が、通常は2〜10段の多段ベントが用いられる。多段
ベント口を備えた押出機の場合、酸性化合物又はその誘
導体の添加は、樹脂供給口に最も近いベント口の手前に
添加される。押出機による中和脱揮処理に供する樹脂の
形態としては、重合直後の溶融状態にあるうちに押出機
に導入し処理する方法が好ましいが、一旦冷却固化した
後、押出機に導入し処理する方法でもよい。また該押出
機は必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着
色剤等の添加剤を添加し、樹脂と混練することもでき
る。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、
得られた芳香族ポリカーボネートの分析は下記の測定方
法により行った。
【0051】(1)粘度平均分子量(Mv) ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中20℃の極
限粘度[η]を測定し、以下の式より粘度平均分子量
(Mv)を求めた。 [η]=1.23×10-4×(Mv)0.83
【0052】[実施例1]窒素ガス雰囲気下、ビスフェ
ノールA(44.9kg/時)とジフェニルカーボネー
ト(43.8kg/時)とを一定のモル比(DPC/B
PAモル比=1.040)に混合調製した溶融混合物を
合わせて88.7kg/時の流量で、原料導入管を介し
て、マックスブレンド翼を具備し、圧力1.33×10
4Pa(100Torr)、温度220℃、翼回転数:
160rpmに制御した容量100Lの第1竪型攪拌反
応槽(内径0.4m、槽直胴部長さ0.8m。L/D=
2)内に連続供給し、平均滞留時間が60分となるよう
に槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度
を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、原料の
供給を開始すると同時に、触媒として3.2×10-2
量%の濃度の炭酸セシウム水溶液を、200ml/時
(ビスフェノールA1モルに対し、1×10-6モル)の
流量で連続供給し、生成したフェノール等の留出物は、
反応槽の留出ラインに設けた凝縮器(45℃制御)で連
続的に液化回収した。
【0053】第1反応槽から排出された反応液は、引き
続き、第1反応槽と同サイズ、同攪拌翼の第2及び第3
の竪型攪拌反応槽に導入した。更に第3反応槽からの反
応液を格子翼を具備した容量150Lの横型2軸攪拌反
応槽(第4反応槽)に導入した。第2反応槽の留出ライ
ンには、第1反応槽と同様に45℃に制御された凝縮器
を設置し、留出物の液化回収を行い、また第3、第4反
応槽の留出ラインにはドライアイスで冷却したメタノー
ル冷媒を用いたコールドトラップを設けて、留出物の固
化回収を行った。上記各反応槽内の平均滞留時間がすべ
て60分となるように、各反応槽の液面レベルを制御し
ながら、所定の温度、圧力、翼回転数で重合反応を行っ
た。第4反応槽の底部に設けられたポリマー排出口から
抜出された反応物は、ベント式押出機を用いて脱揮し、
冷却後ペレット化し、芳香族ポリカーボネート製品を得
た。上記反応における、第1〜4反応槽の運転条件は表
1の通りであった。
【0054】
【表1】
【0055】運転開始から50時間後に、各反応槽から
排出された反応液の粘度平均分子量を測定したところ、
第1反応槽から第4反応槽の順に、1500、500
0、12200、22300で、ペレット化された最終
製品の製造量は50.0kg/時であった。その後も安
定して芳香族ポリカーボネートの製造を継続することが
できた。第1〜第3の各反応槽の留出ラインを通過した
ガスの流量、速度、凝縮器及びコールドトラップで回収
した留出物の重量、組成を分析・測定し、表2の結果を
得た。また、本発明で定義される芳香族ポリカーボネー
トの製造速度Qは、次の通り、51.7kg/時と計算
された。なお、表2において、「ガス空塔速度の実測
値」とは、実測された留出物の重量と組成分析に基づく
ものであり、「ガス空塔速度の計算値」とは、芳香族ポ
リカーボネートの製造速度Qに基づいて計算により導か
れるものである。
【0056】表2から明らかなように、第1〜第3の各
反応槽の留出ラインを通過した留出物のガス空塔速度の
実測値は、対応する各反応槽における上限ガス空塔速度
の計算値を下回っており、激しい発泡現象は抑制され、
長時間の安定運転が可能であった。 Q=44.9+43.8−2×44.9/228.3×
94.1=51.7(kg/時)
【0057】
【表2】
【0058】[比較例1]実施例1において、第1〜第
3反応槽の圧力をそれぞれ6.67×103、9.33
×102及び2.67×10Pa(50、7及び0.2
Torr)とした以外は、実施例1と同様の反応条件に
て、芳香族ポリカーボネートの製造を行った。運転開始
50時間後に、第1〜第4の各反応槽から排出された反
応液の粘度平均分子量は、それぞれ1700、580
0、12500及び22600で、この時点で第1〜第
3反応槽からの各留出物の測定分析結果は表3の通りで
あった。尚、ペレット化された最終製品の製造量は4
7.5kg/時であり、留出ラインへの製品ロスが増加
した。本比較例においては、発泡による飛沫同伴が激し
く、運転開始から100時間経過した時点から徐々に反
応槽の圧力制御が不安定となり、更に120時間目に
は、製品分子量の低下が著しく運転不能となった。
【0059】
【表3】
【0060】[比較例2]実施例1において、ビスフェ
ノールAとジフェニルカーボネートとの溶融混合物を合
わせて177.4kg/時の流量とし、触媒として、
3.2×10-2重量%の濃度の炭酸セシウム水溶液を、
400ml/時として、第1〜第4反応槽の平均滞留時
間を30分とした以外は、実施例1と同様の反応条件に
て、芳香族ポリカーボネートの製造を行った。運転開始
50時間後に、各反応槽から排出された反応液の粘度平
均分子量は、それぞれ1100、4500、11200
及び19900で、この時点で第1〜第3反応槽からの
各留出物の測定分析結果は表4の通りであった。尚、ペ
レット化された最終製品の製造量は92.0kg/時で
あった。本比較例においては、発泡による飛沫同伴が激
しく、運転開始から60時間経過した時点から徐々に反
応槽の圧力制御が不安定となり、更に70時間目には、
製品分子量の低下が著しく運転不能となった。
【0061】
【表4】
【0062】[実施例2]実施例1において、両原料の
合計供給量を88.7kg/時から66.5kg/時
に、また触媒供給量を200ml/時から150ml/
時に落として生産量を低めに設定した以外は、同様の反
応槽を用いて同様の条件(但し、反応槽での滞留時間を
60分に維持するため液面レベルを下げて調整した)で
芳香族ポリカーボネートの製造を行った。第1〜第3の
各反応槽の留出ラインを通過したガスの流量、速度、凝
縮器及びコールドトラップで回収した留出物の重量、組
成を分析・測定し、表5の結果を得た。また、本発明で
定義される芳香族ポリカーボネートの製造速度Qは、3
8kg/時であり、その平均分子量は22600であっ
た。実施例1と同様に、発泡現象は抑制され、長時間の
安定運転が可能であった。
【0063】
【表5】
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、芳香族ジヒドロキシ化
合物と炭酸ジエステルとを原料として、芳香族ポリカー
ボネートを製造するに際して、反応槽で生ずる発泡現象
を抑制して、コンパクトな反応槽を用いて製品ロスの少
ない安定運転が可能となる。同時に、優れた品質の芳香
族ポリカーボネート製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一例を示したフローシート
図である。
【図2】本発明で使用される竪型反応槽の一例を示した
側面図である。
【符号の説明】
1.原料導入管 2.触媒溶液槽 21.触媒導入管 3.副生物排出管 31.コンデンサー 4a、4b、4c.竪型重合反応槽 41.上鏡部 42.下鏡部 43.上平蓋部 44.下平蓋部 5.マックスブレンド翼 6.横型重合反応槽 7.格子翼 8.ポリマー抜出管 D.反応槽内径 L.反応槽直胴部長さ
フロントページの続き (72)発明者 熊沢 勝久 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社黒崎事業所内 Fターム(参考) 4J029 AA09 AB05 BB09A BB10A BB12A BB13A BE05A BF14A BG06X BH02 DB07 DB12 HC04A HC05A KC01 KE02 KE05 LA06 4J031 CA06 CA15 CA32 CB04 CE01 CF01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステ
    ルとを原料として、複数の反応槽を用いて芳香族ポリカ
    ーボネートを連続的に製造する方法において、竪型反応
    槽を用いて、反応によって副生した生成物を留出させな
    がら高分子量化するに際し、該反応槽での反応液の粘度
    平均分子量(Mv)に応じて、芳香族ポリカーボネート
    の製造速度(Q)kg/時と留出物のガス空塔速度
    (u)m/秒との関係が以下の条件式を満たすように反
    応条件を制御することを特徴とする芳香族ポリカーボネ
    ートの製造方法。 (1)Mv≦3000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)−2.3] (2)3000<Mv≦8000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)−1.8] (3)8000<Mv≦15000の場合 u≦EXP[0.25×Ln(Q)+0.4]
  2. 【請求項2】(1)Mv≦3000の場合、u≦EXP
    [0.25×Ln(Q)−2.5]を満足することを特
    徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】(2)3000<Mv≦8000の場合、
    u≦EXP[0.25×Ln(Q)−2.0]を満足す
    ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】(3)8000<Mv≦15000の場
    合、u≦EXP[0.25×Ln(Q)+0.3]を満
    足することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】竪型反応槽において、反応槽内径Dに対す
    る反応槽直胴部長さLの比(L/D)が0.5〜3であ
    ることを特徴とする請求項1乃至4に記載の方法。
  6. 【請求項6】竪型反応槽を3個使用し、第1反応槽から
    抜出される反応液の粘度平均分子量(Mv)が(1)M
    v≦3000を満足し、第2反応槽から抜出される反応
    液の粘度平均分子量(Mv)が(2)3000<Mv≦
    8000を満足し、かつ第3反応槽から抜出される反応
    液の粘度平均分子量(Mv)が(3)8000<Mv≦
    15000を満足することを特徴とする請求項1に記載
    の方法。
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