JP2001208508A - 変位履歴確認センサ - Google Patents

変位履歴確認センサ

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JP2001208508A JP2000022063A JP2000022063A JP2001208508A JP 2001208508 A JP2001208508 A JP 2001208508A JP 2000022063 A JP2000022063 A JP 2000022063A JP 2000022063 A JP2000022063 A JP 2000022063A JP 2001208508 A JP2001208508 A JP 2001208508A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繰り返して変形する部材の損傷状態を、この
部材が外部から見えない場所に設置された場合にも常時
確認することが可能な変位履歴確認センサを提供する。 【解決手段】 リンク材14のせん断変形に応じて往復
動するラック24に第1歯車26を噛合させ、第1歯車
26の内側に第2歯車28を収容する。第1歯車26
に、第2歯車28と噛み合って、両歯車の一方向の相対
回転のみを許容するラチェット30を設ける。第2歯車
28に固定された巻取りローラ32にテープ34の一端
部を巻きつける。テープ34は、その表面に露出する抵
抗体を有しており、ローラ対35により抵抗体が短絡さ
れる。抵抗体の抵抗値を抵抗検出器48により検出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変位履歴確認セン
サに係り、特に、被評価部材の累積変形量に基づいてそ
の損傷状態を確認するうえで好適な変位履歴確認センサ
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、地震時に建物の揺れを抑える
装置として、鋼材の塑性変形を利用したダンパー装置が
知られている。このダンパー装置は、建物の架構または
架構に組み込まれる耐震要素の一部に低降伏点鋼からな
る部材(リンク材)を設け、建物が揺れた際に、その揺
れに応じてリンク材を降伏させることにより、地震のエ
ネルギーを吸収するものである。このようにリンク材は
建物の揺れに応じて繰り返し塑性変形するため、リンク
材の損傷状態を適切に評価して、破損が起きる前に交換
等の措置を講ずることが必要である。
【0003】リンク材の損傷状態を評価する手法とし
て、リンク材の累積変形量が所定値に達するとリンク材
が破損するという知見に基づき、累積変位メータと称さ
れる変位メータを用いてリンク材の累積変形量を検出す
る方法が知られている。累積変位メータは、リンク材の
変形に応じて回転できるように構成された回転部と、こ
の回転部の回転を一方向に規制する爪部とを供えてお
り、回転部はリンク材の一の向きの変形量に応じた角度
だけ回転する。従って、累積変位メータによれば、回転
部の回転角を目視で読み取ることにより、リンク材の累
積変形量を検出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ダンパ
ー装置は建物の架構に組み込まれるものであるため、通
常は、壁内部のように外部から見えない場所に設置され
る。一方、上記の如く、累積変位メータを用いる方法で
は、リンク材の累積変形量を累積変位メータから目視で
読み取る必要がある。このため、累積変位メータを用い
る方法では、リンク材の損傷状態を常時監視することは
困難である。
【0005】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、繰り返して変形する部材の損傷状態を、この部
材が外部から見えない場所に設置された場合にも常時確
認するのを可能とする変位履歴確認センサを提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、被評価部材の一方向への変形にのみ応
答して駆動される変位累積機構と、該変位累積機構の駆
動量に応じた電気抵抗値を示す抵抗変化手段と、該抵抗
変化手段の電気抵抗値を検出する抵抗検出手段とを備え
る変位履歴確認センサにより達成される。
【0007】請求項1記載の発明によれば、変位累積機
構は、被評価部材の一方向への変形にのみ応答して駆動
されるため、その駆動量は、被評価部材の当該一方向へ
の累積変位量に応じた大きさとなる。また、抵抗変化手
段は、この変位累積機構の駆動量に応じた電気抵抗値を
示す。したがって、抵抗変化手段で検出した抵抗変化手
段の電気抵抗値に基づいて、被評価部材の累積変形量を
電気的に監視できる。このため、本発明によれば、被評
価部材が外部から見えない場合にも、その損傷状態を常
時確認することができる。
【0008】また、請求項2に記載する如く、請求項1
記載の変位履歴確認センサにおいて、前記変位累積機構
は被評価部材の一方向への変形にのみ応答して回転する
回転体であり、前記抵抗変化手段は、前記回転体の回転
に応じて巻き取られるように配設された線状の抵抗体
と、固定位置において前記抵抗体の2点間を短絡させる
短絡部材とを含むこととしてもよい。
【0009】請求項2記載の発明において、線状の抵抗
体が、被評価部材の一方向への変形にのみ応答して回転
する回転体の回転に応じて巻き取られる。このため、抵
抗体の巻取り量は、被評価部材の累積変形量に応じた値
となる。また、抵抗体の2点間が固定位置にて短絡させ
られるので、抵抗体が巻き取られると、その巻取り量に
応じて抵抗体の電気抵抗値が変化する。したがって、抵
抗体の電気抵抗値は被評価部材の累積変形量に応じた値
となる。このため、抵抗体の電気抵抗値に基づいて被評
価部材の損傷状態を電気的に検出することができる。
【0010】また、請求項3に記載する如く、請求項1
記載の変位履歴確認センサにおいて、前記変位累積機構
は被評価部材の一方向への変形にのみ応答して回転する
回転体であり、前記抵抗変化手段は、前記回転体の回転
に応じて巻き取られる線状の抵抗体と、固定位置におい
て前記抵抗体に電気的に接触する電極とを含むことを特
徴とする。
【0011】請求項3記載の発明において、請求項2の
場合と同様に、抵抗体の巻取り量は、被評価部材の累積
変形量に応じた値となる。また、電極は、固定位置にお
いて線状の抵抗体に電気的に接触する。このため、抵抗
体が巻き取られると、その巻取り量に応じて、電極と、
抵抗体の一端との間の抵抗値が変化する。したがって、
電極と抵抗体の一端との間の抵抗値に基づいて被評価部
材の損傷状態を電気的に検出することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態について説明する。本実施形態では、変位履歴
確認センサによって、建物の揺れを抑えるダンパー装置
のリンク材の損傷状態を検出する。
【0013】図1は、ダンパー装置10が組み込まれた
建物(例えば共同住宅)の平面図である。図1に示す如
く、本実施形態において、ダンパー装置10は住戸間を
仕切る壁12の内部に組み込まれている。図2は、ダン
パー装置10を表す立面図である。図2に示す如く、ダ
ンパー装置10は、リンク材14と、一対のブレース1
6とを備えている。リンク材14は、建物の架構やブレ
ース16に比べて低い降伏点を有する材料(例えば低降
伏点鋼)よりなる板状の部材である。リンク材14の一
端は下部の梁18に連結されており、また、他端は各ブ
レース16の下端部に連結されている。ブレース16は
斜め上方へ互いに対称に伸び、それらの他端において上
部の梁20の両脇部に連結されている。このように、ダ
ンパー装置10はY型のブレースダンパとして構成され
ている。リンク材14には、変位履歴確認センサ22が
取り付けられている。
【0014】上記したダンパー装置10によれば、地震
によって建物が揺れると、リンク材14に繰り返し横方
向の塑性変形が生ずることで、地震のエネルギーが吸収
される。なお、リンク材14およびブレース16の配置
は図2に示すものに限らず、例えば、図2に示す配置を
上下反転させてもよい。
【0015】本実施形態では、リンク材14の損傷状態
を検知すべく、変位履歴確認センサ22によりリンク材
14の累積塑性変形量を検出する。ここで、リンク材1
4の累積塑性変形量とは、左右各方向へのせん断塑性変
形量の総和を意味する。すなわち、例えば、リンク材1
4の変形挙動が図3に示す変位―荷重曲線で表されると
する。この場合、図4に示す如く、累積塑性変形量は各
方向の塑性変形(図3および図4に点線矢印〜で示
す)の変形量の絶対値の累積値δ1となる。一般に、累
積変形量δ1と弾性限界δ0との比率δ1/δ0と部材の損
傷状態との間に相関があることが知られており、この知
見に基づいて、リンク材14の累積変形量よりその損傷
状態を評価することができるのである。
【0016】なお、本実施形態では、構成を簡易にする
ため、リンク材14の左右へのせん断変形の累積量は互
いに等しいとみなして一方向の累積変形量のみ(つま
り、実際の累積変形量の半分)を検出するものとする。
また、変形方向が反転する際には弾性挙動が現れるが、
弾性変形量は塑性変形量に比べて極く小さいため、本実
施形態では、弾性変形量を含めた変形量を累積してリン
ク材14の累積変形量を求めるものとする。以下、本実
施形態の変位履歴確認センサ22について詳細に説明す
る。
【0017】図5は、変位履歴確認センサ22の概略構
成図である。図5に示す如く、変位履歴確認センサ22
はラック24を備えている。ラック24は図示しないガ
イド部材により、図5中左右方向に変位可能に保持され
ている。ラック24の一端(図5における右端)はリン
ク材14の上端部に連結されている。
【0018】ラック24には、第1歯車26が噛合して
いる。第1歯車26の内側には第2歯車28が配設され
ている。第1歯車26には、第2歯車28に噛合するラ
ッチェット機構30が取り付けられている。ラチェット
機構30は、第1歯車26の第2歯車28に対する一方
向(図5における反時計回り方向)の相対回転を許容
し、他方向(図5における時計回り方向)の相対回転を
阻止するように構成されている。このため、第1歯車2
6が時計回り方向に回転した場合には、第2歯車28は
第1歯車26と共に回転し、一方、第1歯車26が反時
計周り方向に回転した場合には、この回転は第2歯車2
8に伝達されない。したがって、リンク材14が図5中
左向きにせん断変形して、ラック24が左向きに変位す
ると、その変位量に応じた角度だけ第1歯車26および
第2歯車28が共に時計回り方向に回転する。一方、リ
ンク材14が図5中右向きにせん断変形して、ラック2
4が右向きに変位すると、その変位量に応じた角度だけ
第1歯車26のみが時計回り方向に回転し、第2歯車2
8は回転しない。その結果、第2歯車28は、リンク材
14の図5中左向きのせん断変形の累積量に応じた角度
だけ回転することになる。
【0019】第2歯車28には、巻取りローラ32が同
軸に固定されている。巻取りローラ32には、テープ3
4の一端部(図5における右端部)が巻き付けられてい
る。テープ34は、巻取りローラ32から図5中左向き
に伸び、ローラ対35の間を下向きに通過した後、再び
上向きに通過し、左端部において固定部41に固定され
ている。
【0020】図6は、テープ34の拡大断面図である。
図6に示す如く、テープ34は、絶縁体36と、2本の
抵抗体38,40とにより構成されている。抵抗体3
8,40は、何れも単位長さ当たり所定の電気抵抗値r
を有している。抵抗体38は絶縁体36により完全に覆
われており、一方、抵抗体40はテープ34の表面に露
出している。
【0021】図7は、ローラ対35の近傍におけるテー
プ34を拡大して示す図である。図7に示す如く、テー
プ34の表面に露出した抵抗体40がローラ対35の通
過部分において短絡される。なお、ローラ対35におけ
る短絡状態が確実に維持されるように、ローラ対35を
互いに押圧するバネ等の付勢手段を設けてもよい。
【0022】抵抗体38および40の両端部には、それ
ぞれ、配線42および44を介して抵抗検出器48が接
続されている。抵抗検出器48は、抵抗体38,40に
それぞれ定電流を供給した際に現れる電圧値に基づい
て、抵抗体38,40の各電気抵抗値を検出し、その検
出結果を表示する。
【0023】上述の如く、第2歯車28は、リンク材1
4の累積変形量に比例した角度だけ回転する。したがっ
て、テープ34は、リンク材14の累積変形量に比例し
た長さだけ巻取りローラ32に巻き取られることにな
る。テープ34が巻取りローラ32に巻き取られると、
その巻き取られた長さだけ、ローラ対35から垂れ下が
る部分の長さ(つまり、抵抗体40が短絡された2点間
の長さ;以下、短絡長さxと称す)は短くなる。
【0024】ここで、テープ34の全長をLとすると、
抵抗体38,40の単位長さ当たりの抵抗値はrである
から、抵抗体38の抵抗値R0および抵抗体40の抵抗
値R1は、それぞれ次のように表される。 R0=r・L R1=r(L−x) したがって、 x=L・(1−R1/R0) が成り立つ。
【0025】上記したように、短絡長さxは、リンク材
14の累積変形量に比例した長さだけ短くなる。このた
め、抵抗体38および40の抵抗値の比R1/R0に基づ
いてリンク材14の累積変形量を検出することができる
のである。なお、抵抗体の抵抗値は温度に依存して変化
するが、2本の抵抗体38,40の抵抗値の比R1/R0
を用いることで、抵抗値の温度変化を補償することが可
能となっている。
【0026】より具体的には、初期状態(リンク材14
の累積変形量がゼロの状態)での短絡長さx、および抵
抗体40の抵抗値R1の値を、それぞれ、x0およびR
1,0とすると、 x0=L・(1−R1,0/R0) が成り立つから、初期状態からのテープ34の巻き取り
長さは x−x0=L(R1,0/R0−R1/R0) となる。この巻取り長さ(x−x0)がリンク材14の
累積変形量に比例するので、初期状態での抵抗体40の
抵抗値R1,0を予め求めておくことにより、抵抗体40
の抵抗値R1からリンク材14の累積変形量を求めるこ
とができる。
【0027】なお、抵抗検出手段48により上記の計算
を行ってリンク材14の累積変形量を直接表示すること
としてもよい。あるいは、計算された累積変形量からリ
ンク材14の損傷状態をレベル分けしてその損傷レベル
を表示することとしてもよく、また、累積変形量が所定
値を超えた場合に、例えばランプを点灯すること等によ
り警報を発することとしてもよい。
【0028】上述の如く、本実施形態では、リンク材1
4の累積変形量に応じて抵抗体40の抵抗値が変化し、
この抵抗値変化を抵抗検出器48により電気的に検出す
る構成となっている。このため、抵抗検出器48を配線
42,44によって壁の外部に引き出すことで、リンク
材14の損傷状態を常時監視することが可能となる。
【0029】また、上記実施形態では、2本の抵抗体3
8および40を1本のテープ34に一体化したうえで一
方の抵抗体40のみをローラ対35で短絡させることと
した。しかしながら、本発明はこれに限定されるもので
はなく、2本の抵抗体を別体とし、一方の抵抗体のみを
ローラ対35に通して短絡させることとしてもよい。ま
た、抵抗値の温度変化がさほど問題にならないような場
合は、1本の抵抗体のみを用いてローラ対35で短絡さ
せ、この抵抗体の抵抗値自体からリンク材14の累積変
形量を求めることとしてもよい。
【0030】更に、上記実施形態では、リンク材14の
左右へのせん断変形の累積量が互いに等しいとみなし
て、片方へのせん断変形の累積量のみを検出したが、図
8に示すように、第1歯車26および第2歯車28とは
ラチェットの方向を逆向きにした第1歯車26aおよび
第2歯車28aを設け、テープ34の両端が第2歯車2
8、28aの回転に応じてそれぞれ巻き取られるように
構成することにより、両方向へのせん断変形の累積量を
検出することができる。
【0031】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。図9は、本実施形態の変位履歴確認センサ12
2の構成図である。なお、図9において、上記図5と同
様の構成部分については同一の符号を付してその説明を
省略する。図9に示す如く、本実施形態において、履歴
確認センサ122はテープ134を備えている。図10
はテープ134の拡大断面図である。図10に示す如
く、テープ134は、絶縁体136と、絶縁体136の
上面に設けられた抵抗体138とにより構成されてい
る。
【0032】図9に示す如く、テープ134の一端部
は、巻取りローラ32に巻き付けられている。一方、テ
ープ134の他端部は、回転可能に支持された補助ロー
ラ100に巻き付けられている。テープ134の、巻取
りローラ32と補助ローラ100との中間部分の上面
(すなわち抵抗体138)には電極102が接触してい
る。電極102とテープ134を隔てて対向する部位に
はパッド104が設けられており、このパッド104を
バネ等の付勢手段で付勢してテープ134を電極102
へ向けて押圧することにより、抵抗体138と電極10
2との接触状態が確保されるようになっている。
【0033】抵抗検出器48には、配線142を介して
抵抗体138の両端が接続されていると共に、配線10
6を介して電極102が接続されている。本実施形態に
おいて、抵抗検出器48は、抵抗体138に定電流を供
給した際に現れる電圧値に基づいて、抵抗体138の両
端間の抵抗値、および、電極102と抵抗体138の一
端(例えば、巻取りローラ32側の端部)との間の抵抗
値を検出する。
【0034】第1の実施形態で説明したように、テープ
134は、リンク材14の累積変形量に比例した長さだ
け巻取りローラ32に巻き取られる。そして、その巻取
られた長さだけ、抵抗体138の、電極102と巻取り
ローラ32側の端部との間の長さは大きくなる。すなわ
ち、テープ134の全長をL、抵抗体138の単位長さ
当たりの抵抗値をr、テープ134の巻取りローラ32
への巻取り長さをyとすると、抵抗体138の両端間の
抵抗値R0、および電極102と巻取りローラ32側の
端部との間の抵抗値R1は、それぞれ、次のように表さ
れる。
【0035】R0=r・L R1=r・y これらの関係より、 y=L・(R1/R0) が成り立つ。
【0036】したがって、抵抗検出器48により検出さ
れる抵抗値R0およびR1の比R1/R0に基づいて巻取り
長さyを求め、この巻取り長さyよりリンク材14の累
積変形量を検出することができる。なお、第1の実施形
態の場合と同様に、抵抗値の比R1/R0を用いること
で、抵抗値の温度変化を補償することが可能となってい
る。
【0037】上記の如く、本実施形態でも、リンク材1
4の累積変形量を電気的に検出する構成となっているた
め、抵抗検出器48を配線142、106によって壁の
外部に引き出すことで、リンク材14の損傷状態を常時
監視することが可能となる。また、本実施形態では、テ
ープ134に単一の抵抗体138を設ければ足りるの
で、上記第1の実施形態のテープ34に比べてテープ1
34の構成が簡単になる。更に、本実施形態では、テー
プ134の両端がローラに巻き取られる構成である(つ
まり、テープを外部に固定する部分がない)ので、巻取
りローラ32、補助ローラ100、およびテープ134
をカセットテープのようにユニット化することが可能と
なり、これにより、変位履歴確認センサ122のコンパ
クト化を図れると共に、交換を容易に行うことができ
る。
【0038】なお、上記第1および第2の実施形態で
は、本発明がY型のダンパー装置に適用された場合につ
いて説明したが、これに限らず、例えば、図11に示す
ように、2本の間柱の間にリンク材114を設けてなる
ダンパー装置の場合にも、変位履歴確認センサ22(又
は122)をラック24がリンク材114のせん断変形
に応じて変位するように構成すればよい。また、図12
に示すように、上下の梁の間に斜めに架け渡した部材の
一部をリンク材214とした場合は、リンク材214が
伸縮変形することになるが、この場合にも同図中に示す
ように、リンク材214の伸縮変形に応じてラック24
が変位するように構成すればよい。
【0039】ところで、上述の如く、厳密には、リンク
材14の損傷状態は累積塑性変形量に依存する。このた
め、リンク材14の損傷状態をより正確に評価するうえ
では、リンク材14の弾性変形分を累積変形量に含めな
いことが好ましい。図13および図14は、リンク材1
4の弾性変形分を累積変形量から除外することが可能な
構成の側面図および平面図を示す。図13および図14
に示す構成では、リンク材14とラック24との間に結
合部材50および52を介在させている。ラック24側
に連結された結合部材50には、先端面が互いに離間し
て対向するネジ部材54,56が設けられている。そし
て、リンク材14側に連結された結合部材52は、リン
ク材14に変形が生じていない状態で、その当接部52
aがネジ部材54,56の先端から弾性限度δ0に相当
する隙間を隔てるように配置されている。かかる構成に
よれば、リンク材14の変形量が弾性限度δ0に達する
までは、当接部52aとネジ部材54,56とは当接し
ないため、リンク材14の変形はラック24に伝達され
ない。すなわち、ラック24には、リンク材14の弾性
変形分を除いた塑性変形のみが伝達されることになる。
なお、当接部52aとネジ部材54,56との間の隙間
は、ネジ部材54,56で調整することができる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
被評価部材の累積変形量を電気的に検出することができ
るため、被評価部材が外部から見えない場合にも、その
損傷状態を常時確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の変位履歴確認センサが適用されるダン
パー装置が組み込まれた建物の平面図である。
【図2】ダンパー装置を表す立面図である
【図3】リンク材の変形挙動を表す変位―荷重曲線の一
例である。
【図4】リンク材の累積変形量を説明するための図であ
る。
【図5】変位履歴確認センサの概略構成図である。
【図6】テープの拡大断面図である。
【図7】ローラ対の近傍におけるテープを拡大して示す
図である。
【図8】リンク材の両方向へのせん断変形の累積量を検
出可能な構成を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態である変位履歴センサ
の概略構成図である。
【図10】本実施形態におけるテープの拡大断面図であ
る。
【図11】本発明の変位履歴確認センサが異なる構成の
ダンパー装置に適用された場合の構成を示す図である。
【図12】本発明の変位履歴確認センサが更に異なる構
成のダンパー装置に適用された場合の構成を示す図であ
る。
【図13】リンク材の弾性変形分を累積変形量から除外
することが可能な構成の側面図である。
【図14】図13に示す構成の平面図である。
【符号の説明】
14 リンク材 22 変位履歴確認センサ 24 ラック 26 第1歯車 28 第2歯車 30 ラチェット 34 テープ 38,40,138 抵抗体 48 抵抗検出器 102 電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被評価部材の一方向への変形にのみ応答
    して駆動される変位累積機構と、該変位累積機構の駆動
    量に応じた電気抵抗値を示す抵抗変化手段と、該抵抗変
    化手段の電気抵抗値を検出する抵抗検出手段とを備える
    ことを特徴とする変位履歴確認センサ。
  2. 【請求項2】 前記変位累積機構は被評価部材の一方向
    への変形にのみ応答して回転する回転体であり、前記抵
    抗変化手段は、前記回転体の回転に応じて巻き取られる
    線状の抵抗体と、固定位置において前記抵抗体の2点間
    を短絡させる短絡部材とを含むことを特徴とする請求項
    1記載の変位履歴確認センサ。
  3. 【請求項3】 前記変位累積機構は被評価部材の一方向
    への変形にのみ応答して回転する回転体であり、前記抵
    抗変化手段は、前記回転体の回転に応じて巻き取られる
    線状の抵抗体と、固定位置において前記抵抗体に電気的
    に接触する電極とを含むことを特徴とする請求項1記載
    の変位履歴確認センサ。
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