JP2001208182A - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents
無段変速機の変速制御装置Info
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Abstract
機に固有の変速比限界値を把握できるようにして、変速
比制御時の制御態様の切換による生じるシフトショック
の抑制やフィードバック制御領域の拡張等を可能にす
る。 【解決手段】 実変速比を表すパラメータ値が目標値と
なるように変速制御を行なう際に、推定手段57Aによ
り無段変速機の変速比が機械的に制限される変速比限界
値にあるか否かを推定し、学習補正手段57Bによりこ
の推定に基づいて変速比限界値を学習補正して、変速比
限界値を認識するように構成する。
Description
適の無段変速機の変速制御装置に関し、無段変速機の変
速比が機械的に制限される限界領域を考慮した、無段変
速機の変速制御装置に関する。
ることにより変速ショックを回避できる点や燃料消費効
率の優れた点に着目され、特に車両用としての開発が盛
んに行なわれている。このような無段変速機の一つであ
るベルト式無段変速機の場合、機関(エンジン)で発生
した動力がプライマリプーリからベルト,セカンダリプ
ーリを介して駆動輪側へと伝達され、このときのプライ
マリプーリ及びセカンダリプーリの有効半径を変更する
ことで変速比が制御されるようになっている。通常はセ
カンダリプーリの油圧ピストンには伝達トルクなどの基
本特性に合わせて設定された油圧(ライン圧)を作用さ
せてベルトへのクランプ力を与える一方、プライマリプ
ーリの油圧ピストンに作用させる油圧(又は油量)を調
整することで変速比の制御を行なう。なお、変速比は、
プライマリプーリの回転速度NP とセカンダリプーリの
回転速度NS との比NP /NS や、セカンダリプーリの
有効半径RS とプライマリプーリ有効半径RP との比R
S /RP 等で表すことができる。
リプーリの回転数(回転速度,プライマリ回転数ともい
う)に基づくフィードバック制御により行なっている。
つまり、プライマリプーリの目標回転数を車速やスロッ
トル開度に基づいて設定し、プライマリプーリの実回転
数がこの目標回転数になるように、プライマリプーリ側
に作用させる油圧や油量を制御するのである。
は変速比を連続的に調整できるが、この変速比の調整範
囲は無段変速機の機械的な制約から変速限界がある。例
えばベルト式無段変速機の場合、プライマリプーリの有
効半径RP を最小にセカンダリプーリの有効半径RS を
最大にすると変速比は最大(これをフル・ローと呼ぶ)
となり、逆に、プライマリプーリの有効半径RP を最大
にセカンダリプーリの有効半径RS を最小にすると変速
比は最小(これをフル・オーバドライブと呼ぶ)となる
が、変速比はこのフル・ローを上限にフル・オーバドラ
イブを下限にした範囲内で調整可能になる。
速比限界値)を予め厳密に把握できれば、目標とする変
速比がこの変速比限界値を越えないように設定し、且
つ、実際の変速比を厳密に測定できれば、変速可能な範
囲全域(上限の変速比限界値と下限の変速比限界値と間
の全変速比域)で、フィードバック制御により変速比を
制御することが可能になる。
厳密に把握することは困難である。これは、全ての無段
変速機が設計どおりに製造されていれば、変速比限界値
は例えば図9に実線a1 ,a2 で示すようになるが、実
際には、製造誤差があるため、変速比限界値は例えば図
9に二点鎖線b1 ,c1 ,b2 ,c2 で示すように設定
どおりとはならないからである。
a2 に対して想定される変速比誤差分αよりも大きい値
β(β>α)だけ設計仕様の変速比限界値a1 ,a2 よ
りも内側にフィードバック制御用変速比限界値を設けて
(図9の破線d1 ,d2 参照)、この変速比限界値
d1 ,d2 内でフィードバック制御を行なう必要が生じ
てくる。そこで、フル・ローに相当する上限の変速比限
界値a1 よりも所定量(想定誤差以上の量)β1 だけ小
さい上限変速比限界値d1 (=a1 −β1 )と、フル・
オーバドライブに相当する下限の変速比限界値a2 より
も所定量(想定誤差以上の量)β2 だけ大きい下限変速
比限界値d2 (=a1 +β2 )とを設けて、実変速比R
が上限変速比限界値d1 と下限変速比限界値d2 との間
にあるときには、フィードバック制御により変速比を制
御し、実変速比Rが上限変速比限界値d1よりも大きい
場合や、下限変速比限界値d2 よりも小さい場合には、
オープンループ制御により変速比を制御することが考え
られる。
速比限界値よりもフル・オーバドライブ側になって、フ
ィードバック制御からオープンループ制御に切り換わる
と、フル・オーバドライブ移行時に変速比が大きくステ
ップ的に移行するため、シフトショックを招き、ドライ
バビリティが悪化するという課題がある。つまり、フル
・オーバドライブへの移行時に、オープンループ制御に
切り換わると、変速比は、例えば図9に点A1で示す下
限変速比限界値の状態から点A2で示す機械的に決めら
れる変速比限界値の状態へと速やかに調整され、A1と
A2との差分だけほぼステップ的に急変することにな
り、シフトショックを招いてしまう。
ので、無段変速機において変速比を制御するにあたっ
て、その無段変速機に固有の変速比限界値を把握できる
ようにして、変速比制御時の制御態様の切換による生じ
るシフトショックを抑制し、フィードバック制御領域を
拡張して変速比制御性能の向上を実現することができる
ようにした、無段変速機の変速制御装置を提供すること
を目的とする。
かる本発明の無段変速機の変速制御装置では、無段変速
機の実変速比を表すパラメータ値が目標値となるように
変速制御を行なう。この変速制御時に、推定手段が、実
変速比が機械的に制限される変速比限界値にあるか否か
を推定し、学習補正手段が、推定手段による推定に基づ
いて上記変速比限界値を学習補正する。変速比限界値を
決める機械的な制限は個々の無段変速機により異なるた
め、変速比限界値も個々の無段変速機により異なるが、
このような変速比限界値を精度よく認識することがで
き、この認識した変速比限界値を考慮して変速制御を行
なうことによって、安定した変速制御を実施できる。
速制御装置では、上記変速比限界値に達しない範囲で規
定されるフィードバック制御用変速比限界値が設けら
れ、フィードバック変速制御手段は、実変速比が上記フ
ィードバック制御用変速比限界値以内の領域では、パラ
メータ値が目標値となるようにフィードバック制御によ
り変速制御を行なう。このとき、変更手段が、上記の学
習補正された変速比限界値に基づいてフィードバック制
御用変速比限界値を変更する。フィードバック制御用変
速比限界値は、変速比限界値領域内にあるので、特に積
分項を用いたフィードバック制御の場合に、積分値が過
大に溜まることがなく、例えばダウンシフト側への変速
指令に対しても素早く応答できる。そして、変速比限界
値は学習補正により精度が高まることから、この学習補
正された変速比限界値に基づけば、フィードバック制御
用変速比限界値をより広範囲に変更することが可能にな
り、フィードバック制御領域を増大させることができる
ため、安定した変速制御を実施でき、さらに、変速比の
全域をフィードバック制御領域とすることも可能にな
り、変速機に応じて最適なフィードバック制御を行なえ
るようになる。
速制御装置では、切換手段は、上記実変速比が上記フィ
ードバック制御用変速比限界値を外れた領域では、この
フィードバック変速制御手段によるフィードバック制御
からオープンループ変速制御手段によるオープンループ
制御へと変速制御を切り換え、この切換後は、オープン
ループ変速制御手段では、上記パラメータ値が上記変速
比限界値となるようにオープンループ制御により変速制
御を行なう。フィードバック制御用変速比限界値と変速
比限界値とが離れていると、フィードバック制御からオ
ープンループ制御に切り換える際に変速比がステップ状
に変化してシフトショックを招きやすいが、学習補正手
段が、推定手段による推定に基づいて上記変速比限界値
を学習補正するので、この変速比限界値に達しない範囲
で規定するフィードバック制御用変速比限界値をより変
速比限界値に近い値に設定することができ、変速比のス
テップ状変化を抑制してシフトショックを低減すること
ができる。
ープンループ制御への移行が完了したか否かを判定する
判定手段と、この移行終了からの経過時間を計時する経
時手段と、この移行終了から所定時間経過後の上記パラ
メータ値の最大値と最小値とを求める手段と、上記所定
時間経過後の上記パラメータ値の平均値を求める手段と
を設けて、上記の最大値と最小値との差が所定値未満の
とき、上記平均値に基づいて上記変速比限界値を学習補
正するように構成する。
の移行から所定時間経過してから学習の可否が判断され
るので、移行直後の不安定な状態を排除することができ
る。また、外乱等で瞬時的にパラメータ値が変動したと
しても、それを除去することができるので、学習補正が
安定する効果もある。
の形態について説明すると、図1〜図6は本発明の第1
実施形態としての無段変速機の変速制御装置を示すもの
であり、図7,図8は本発明の第2実施形態としての無
段変速機の変速制御装置を示すものである。
に基づいて説明する。はじめに、本実施形態の無段変速
機が装備される車両の動力伝達機構について説明する
と、図2(a),(b)に示すように、この動力伝達機
構では、内燃機関(エンジン)1から出力された回転
は、トルクコンバータ(トルコン)2を介してベルト式
無段変速機(CVT)20に伝達され、さらに図示しな
いカウンタシャフトからフロントデフ31へ伝達される
ようになっている。
0の入力軸24との間には、正転反転切換機構4が配設
されており、エンジン1からトルコン2を介して入力さ
れる回転は、この正転反転切換機構4を介してCVT2
0に入力されるようになっている。CVT20は、変速
制御等を後述の油圧制御により行なう油圧式無段変速機
となっている。
と、CVT20は、プライマリプーリ21とセカンダリ
プーリ22とベルト23とから構成されており、正転反
転切換機構4からプライマリシャフト24に入力された
回転は、プライマリシャフト24と同軸一体のプライマ
リプーリ21からベルト23を介してセカンダリプーリ
22へ入力されるようになっている。
22はそれぞれ一体に回転する2つのシーブ21a,2
1b,22a,22bから構成されている。それぞれ一
方のシーブ21a,22aは軸方向に固定された固定シ
ーブであり、他方のシーブ21b,22bは油圧アクチ
ュエータ21c,22cによって軸方向に可動する可動
シーブになっている。
オイルタンク61内の作動油をオイルポンプ62で加圧
して得られる制御油圧が供給され、これに応じて可動シ
ーブ21b,22bの固定シーブ21a,22a側への
押圧力が調整されるようになっている。セカンダリプー
リ22の油圧アクチュエータ22cには、調圧弁(ライ
ン圧調整弁)63により調圧されたライン圧PL が加え
られ、プライマリプーリ21の油圧アクチュエータ21
cには、調圧弁63により調圧された上で流量制御弁
(変速比調整弁)64により流量調整された作動油が供
給され、この作動油が変速比調整用油圧(プライマリ
圧)PP として作用するようになっている。なお、ここ
では、調圧弁63及び流量制御弁64は、後述する電磁
ソレノイド弁63A,64Aのデューティ制御によって
制御される。
動力伝達性を確保できる範囲で可能な限り低い圧力にす
ることが、オイルポンプ62によるエネルギ損失の低減
や変速機自体の耐久性を高める上で重要であり、変速機
入力トルク,変速比と対応する値等に基づいてベルト張
力制御圧(ライン圧に対応する圧力)Pout を設定し、
このベルト張力制御圧Pout に基づいて、調圧弁63を
制御してオイルポンプ62の吐出圧を調圧することによ
り、ライン圧制御を行なうようになっている。
ュエータ22cに与えられるライン圧PL 及びプライマ
リプーリ21の油圧アクチュエータ21cに与えられる
プライマリ圧PP は、コントローラ(電子制御コントロ
ールユニット=ECU)50の指令信号により、それぞ
れ制御されるようになっている。つまり、ECU50に
は、エンジン回転数センサ(クランク角センサ又はカム
角センサ)41,スロットル開度センサ46,プライマ
リプーリ21の回転数(回転速度,プライマリ回転数)
NP を検出するプライマリ回転センサ43,セカンダリ
プーリ22の回転数(回転速度,セカンダリ回転数)N
S を検出するセカンダリ回転センサ44,ライン圧を検
出するライン圧センサ45,変速比調整用油圧(プライ
マリ圧)PP を検出するプライマリ圧センサ(油圧検出
手段)47,A/Fセンサ48,作動油の油温を検出す
る油温センサ(図示略)等の各種検出信号が入力され、
ECU50では、これらの検出信号に基づいて各プーリ
21,22への油圧供給系にそなえられた調圧弁63や
流量制御弁64を制御するようになっている。
50には、上述の流量制御弁64の制御(変速比制御)
を行なう機能(変速制御手段又はプライマリ圧制御手
段)52と、調圧弁63の制御(ライン圧制御)を行な
う機能(ライン圧制御手段)53とが設けられている。
特に、変速制御手段52には、図1に示すように、プラ
イマリプーリ(回転要素)21の油圧制御系である流量
制御弁(変速比調整弁)64をフィードバック制御する
フィードバック制御手段54と、流量制御弁64をオー
プンループ制御するオープンループ制御手段55と、フ
ィードバック制御とオープンループ制御とを切り換える
切換手段(第1の切換手段)56とがそなえられ、流量
制御弁64の制御、即ち、変速比の制御を切換手段56
を通じてフィードバック制御(以下、F/Bともいう)
とオープンループ制御(以下、O/Lともいう)とのい
ずれかで行なうようになっている。
値Rlim を学習する学習手段57と、この学習手段57
による学習結果に基づいて切換手段56における切換基
準を変更する変更手段58とがそなえられ、フィードバ
ック制御とオープンループ制御との切換は、変速比限界
値Rlim の学習結果を反映させて行なうようになってい
る。
4,切換手段(第1の切換手段)56,オープンループ
制御手段55についてさらに説明する。なお、オープン
ループ制御領域は、フル・ロー付近及びフル・オーバド
ライブ(以下、ODという)付近にあるため、以下の説
明中では、変速比限界値Rlim1やF/B限界値RF/Bl im
やこれを設定するための量β,γ等について、フル・ロ
ー側とフル・OD側とを区別する場合、フル・ロー側の
ものには添字1をフル・OD側のものには添字2を付け
て表記し、区別しない場合には、添字は付けないで表記
する。
細は後述するが、このフィードバック制御手段54は、
車両の通常走行時には、プライマリプーリ21の回転数
に基づいて流量制御弁64を回転数フィードバック制御
し、車両が略停止状態(極低速走行状態或いは停止状
態)にある時にはプライマリ圧に基づいて流量制御弁6
4を圧力フィードバック制御する。
速比限界値(以下、F/B限界値という)RF/Blimを基
準に変速制御モードの切換を行なう。つまり、変速比の
調整が可能なのは、無段変速機の機械的な制約から規定
される変速比限界値Rlim 以内〔フル・ロー側変速比限
界値Rlim1とフル・OD側変速比限界値Rlim2との間〕
の変速比領域である。しかし、変速比の調整が可能な全
領域で変速制御を行なうには、変速比限界値Rlim を正
確に把握することが必要になる。本車両用無段変速機の
変速制御装置では、後述の学習制御によって個々の無段
変速機の変速比限界値Rlim をより精度良く把握できる
ので、図6に1点鎖線fで示すようにF/B限界値R
F/Blimをより変速比限界値Rlim (図6の実線e参照)
に近づけた値に設定している。
する基準の変速比限界値RlimSに対して、実際の無段変
速機の変速比限界値Rlim は製造誤差に起因した誤差分
(±α)が想定されるため、F/B限界値RF/Blimは、
フル・ロー側のものRF/Blim 1 については次式(1)に
示すようにフル・ロー側の基準の変速比限界値RlimS 1
に対して誤差分αよりも大きな量β1 (β1 >α)だ
け、フル・OD側のものRF/Blim2 については次式
(2)に示すようにフル・OD側の基準の変速比限界値
RlimS2 に対して誤差分αよりも大きな量β2 (β2 >
α)だけ内側(変速比限界値から遠ざかる側)に設定す
ることになる。
した変速比限界値Rli m に対して、微小な余裕分γ1,γ
2 (γ1,≪α,γ2 ≪α)だけ内側(変速比限界値から
遠ざかる側)にF/B限界値RF/Blimを設定している。
つまり、例えばフル・ロー側のF/B限界値RF/Blim1
については次式(3)に示すように、また、フル・OD
側のF/B限界値RF/Blim2 については次式(4)に示
すように設定する。
速上限値Rlim1よりも所定量γ1だけフル・OD側の変
速比に、フル・OD近辺のF/B限界値RF/Bli m2 は変
速下限値Rlim2よりも所定量γ2 だけフル・ロー側の変
速比に設定されることを示す。
こと」は、「フル・ロー近辺のF/B限界値RF/Blim1
よりもフル・ロー側になること」又は「フル・OD近辺
のF/B限界値RF/Blim2 よりもフル・OD側になるこ
と」であり、「F/B限界値RF/Blim以内になること」
は、「フル・ロー近辺のF/B限界値RF/Blim1 よりも
フル・OD側になること」又は「フル・OD近辺のF/
B限界値RF/Blim2 よりもフル・ロー側になること」で
ある。
段54によるフィードバック制御時に、実変速比RがF
/B限界値RF/Blimを越え、且つ、目標プライマリ回転
数N PTに応じた目標変速比RT (=NPT/NS )がF/
B限界値RF/Blimを越えたら、オープンループ制御手段
55によるオープンループ制御に移行するよう切り換え
る。一方、切換手段56では、オープンループ制御手段
55によるオープンループ制御時に、目標プライマリ回
転数NPTに応じた目標変速比RT (=NPT/N S )がF
/B限界値RF/Blim以内になったら、フィードバック制
御手段54によるフィードバック制御に移行するように
切り換える。
ローの変速限界値(変速上限値)R lim1とフル・ODの
変速限界値(変速下限値)Rlim2とがあるため、フィー
ドバック制御からオープンループ制御への切換は、実変
速比Rがフル・ローの近辺では、回転数フィードバック
制御時に、実変速比RがF/B限界値RF/Blim1 よりも
大〔次式(5)が成立する〕で、且つ、目標プライマリ
回転数NPTに応じた目標変速比RT (=NPT/NS )が
F/B限界値RF/Blim1 よりも大〔次式(6)が成立す
る〕ならば行ない、実変速比Rがフル・ODの近辺で
は、回転数フィードバック制御時に、実変速比RがF/
B限界値RF/Blim2 よりも小〔次式(7)が成立す
る〕、且つ、目標プライマリ回転数NPTに応じた目標変
速比RT がF/B限界値RF/Blim2 よりも小〔次式
(8)が成立する〕ならば行なう。
切換は、実変速比Rがフル・ローの近辺では、オープン
ループ制御時に、目標プライマリ回転数NPTに応じた目
標変速比RT がF/B限界値RF/Blim1 よりも小〔次式
(9)が成立する〕ならば行ない、実変速比Rがフル・
ODの近辺では、目標プライマリ回転数NPTに応じた目
標変速比RT がF/B限界値RF/Blim2 よりも大〔次式
(10)が成立する〕なら行なう。
御では、オープンループ制御開始後は、一制御周期にお
ける制御量(制御デューティ)DROUT の変化量(フル
・ロー側なら増大量の大きさ、フル・OD側なら減少量
の大きさ)ΔDRを一定値ΔDRLW又はΔDRODに設定
して、制御量DROUT が所定値に達するまで、変化させ
る。例えばフル・ロー側のオープンループ制御の場合、
制御量DROUT をΔDRLWずつ増加させ、フル・OD側
のオープンループ制御の場合、制御量DROUT をΔDR
ODずつ減少させる。
ロー側なら上限値、フル・OD側なら下限値)に達した
ら、制御量DROUT をこの所定値(上限値,下限値)に
保持する。この所定値とは、制御量DROUT をこの所定
値とすることで実変速比Rを必ず変速比限界値(フル・
ロー側なら上限の変速比限界値、フル・OD側なら下限
の変速比限界値)Rlim1,Rlim2に到達させることので
きる値であり、この値は予め試験結果等から設定するこ
とができる。この所定値とは、基準の制御量(制御デュ
ーティ)DRHOLDに対して所定量ΔDRODSET だけ変化
させた値として設定することができ、例えばフル・ロー
側の場合、基準の制御量(制御デューティ)DRHOLDに
対して所定量ΔDRODSET1だけ増加させた値(DRHOLD
+ΔDR ODSET1)を上限値とし、これを制御量DROUT
として保持することになる。また、フル・OD側の場
合、基準の制御量(制御デューティ)DRHOLDに対して
所定量ΔDRODSET2だけ減少させた値(DRHOLD−ΔD
RODSET2)を下限値とし、これを制御量DROUT として
保持することになる。
中に、フィードバック制御への切換条件が成立したら、
このような処理は中止して、速やかにフィードバック情
報に基づいた制御に移行する。次に、学習手段57,変
更手段58についてさらに説明する。学習手段57は、
無段変速機の変速比が機械的に制限される変速比限界値
Rli m にあるか否かを推定する推定手段57Aと、推定
手段57Aにより推定された変速比限界値Rlim を学習
補正する学習補正手段57Bとをそなえ、学習手段57
では、変速比の制御(流量制御弁64の制御)がオープ
ンループ制御に切り換えられた後の無段変速機の運転状
態から変速比限界値Rlim を学習する。
合を例に説明する。実変速比RがF/B限界値R
F/Blim2 よりも低下し且つ目標プライマリ回転数NPTに
応じた目標変速比RT (=NPT/NS )がF/B限界値
RF/Blim2 よりも低下したら、図3(a)に線CMで示
すように、フィードバック制御(F/B制御)からオー
プンループ制御(O/L制御)に切り換わるが、この
後、フィードバック制御への復帰条件が成立しないこと
を前提条件に、図3(a)に示すような処理を行なう。
後は、制御周期当たり所定の減少量ΔDRODずつ(即
ち、所定の減少率で)、制御量(制御デューティ)を減
少させて、制御量(制御デューティ)が所定値ΔDR
ODSET まで低下したら変速機のフル・ODへの移行が終
了したと判断し、その後は制御量(制御デューティ)を
一定に保持する。そして、この移行終了判断時点を起点
(時点t0 )としてさらに第1の所定時間tODLRNST が
経過した時点t1 から学習を開始して、時点t0 から第
2の所定時間tODLRNSEN(tODLRNSEN>tODLRNST )が
経過した時点t2 で学習を終了する。つまり、時点t1
から時点t2 まで(t2 −t1 )間、変速比限界値R
lim の学習を行なう。
定時間tODLRNST だけ待って学習を開始するのは、デュ
ーティ制御弁である流量制御弁64は制御デューティに
対して正確に応答するとは限らず、制御量(制御デュー
ティ)を一定に保持してから流量制御弁64の状態が実
際に一定になるまで多少の時間を要するものと考えたか
らである。つまり、F/BからO/Lへの切換直後にお
ける不安定な状態を排除できる上、外乱等で瞬間的に目
標変速比が変化してもそれを除外できるので学習の制度
が向上し安定する。なお、第1の所定時間t
ODLRNST は、流量制御弁64の応答性に応じて設定すれ
ばよく、流量制御弁64の応答性が良ければ、第1の所
定時間tODLRNST を0として、移行の終了判断をした時
点t0 から直ぐに学習を開始するようにしてもよい。
ODLRNSENと第1の所定時間tODLRNST との差として与え
られるが、学習精度を高めるには学習期間が長いほうが
有利であるが、この学習制御は、実際に無段変速機を作
動させている際に行なうものなので、学習期間をあまり
長く設定すると学習が終了する前にオープンループ制御
からフィードバック制御に復帰してしまうこともあっ
て、学習期間はこれらを考慮して例えば数秒程度に設定
することが考えられる。
れるデータに基づいて、以下の(a),(b)2つの条
件が共に成立すると、無段変速機の変速比が変速比限界
値R lim にあるものと推定するようになっている。 (a)実変速比Rの最大検出値RMAX と最小検出値R
MIN との差ΔR(RMAX −RMIN )が予め設定された閾
値ΔR0 未満であること。 (b)セカンダリ回転数NS が所定の範囲内(NS1<N
S <NS2)にあること、換言すると、車速Vが所定の下
限値V1 (例えば60km/h)から所定の上限値V2
(例えば100km/h)の範囲内(即ち、V1 <V<
V2 )にあること。
手段59により、プライマリ回転センサ43,セカンダ
リ回転センサ44からの情報に基づいて、プライマリ回
転数NP とセカンダリ回転数NS との比NP /NS とし
て算出される。学習補正手段57Bでは、推定手段57
Aにより学習期間内に得られた実変速比Rが変速比限界
値Rlim にあるものと推定されると、この学習期間内に
得られた実変速比Rの平均値を新たな変速比限界値R
lim としてそれまでの変速比限界値Rlim を更新する。
B限界値RF/Blim1 及びフル・OD側のF/B限界値R
F/Blim2 は、それぞれフル・ロー側変速比限界値
Rlim1、フル・OD側変速比限界値Rlim2に対して、微
小な余裕分γ1,γ2 だけ内側の値に設定している〔式
(3),(4)参照〕が、この余裕分γ1,γ2 に相当す
る値は、予め与えた固定値としてもよく、或いは、予め
初期値を与えておいて、その後学習する毎に更新するよ
うにしてもよい。
側変速比限界値Rlim1(n)と、前回の学習周期で得ら
れたフル・ロー側変速比限界値Rlim1(n−1)との差
分を余裕分γ1 〔=Rlim1(n)−Rlim1(n−1)〕
とし、今回の学習で得られたフル・OD側変速比限界値
Rlim2(n)と、前回の学習周期で得られたフル・OD
側変速比限界値Rlim2(n−1)との差分を余裕分γ2
〔=Rlim2(n)−R lim2(n−1)〕としてもよい。
御手段54には、流量制御弁64を回転数フィードバッ
ク制御する回転数フィードバック制御手段54Aと、流
量制御弁64を圧力フィードバック制御する圧力フィー
ドバック制御手段54Bとがそなえられ、回転数フィー
ドバック制御手段54Aによる回転数フィードバック制
御と圧力フィードバック制御手段54Bによる圧力フィ
ードバック制御とが切り換える切換手段(第2の切換手
段)54Cにより切り換えられる。
54Aは、車両の車速に対応したパラメータ〔ここで
は、車速に対応するセカンダリプーリ22の回転数(セ
カンダリ回転数)〕と車両に搭載されたエンジンの負荷
(ここでは、アクセル開度)とからプライマリプーリ2
1の目標回転数を設定する目標プライマリ回転設定手段
54AAと、プライマリ回転センサ43で検出されたプ
ライマリプーリ21の実回転数NP と目標回転数NPTと
の偏差ΔNP (=NPT−NP )を算出する算出手段(減
算器)54ABと、この偏差ΔNP にPID補正〔比例
補正(P補正),積分補正(I補正),微分補正(D補
正)〕を施すPID補正手段54ACとをそなえ、偏差
ΔNP にPID補正を施された制御量(変速デューテ
ィ)に基づいて、プライマリプーリ21の実回転数NP
が目標回転数NPTになるように流量制御弁(変速比調整
弁)64を制御するようになっている。
は、CVT20に入力される入力トルクからプライマリ
圧の目標値(目標油圧としての目標プライマリ圧)PPT
を設定する目標プライマリ圧設定手段(目標油圧設定手
段)54BAと、プライマリ圧センサ47で検出された
プライマリ圧(プライマリプーリ21の油圧アクチュエ
ータ21cに与えられる作動油圧)PP と目標プライマ
リ圧PPTとの偏差ΔP P (=PPT−PP )を算出する算
出手段(減算器)54BBと、この偏差ΔPPにPID
補正〔比例補正(P補正),積分補正(I補正),微分
補正(D補正)〕を施すPID補正手段54BCとをそ
なえ、偏差ΔPP にPID補正を施された制御量(変速
デューティ)に基づいて、実プライマリ圧PP が目標プ
ライマリ圧PPTになるように流量制御弁(変速比調整
弁)64を制御するようになっている。
クTinは、エンジンの定常回転時の出力トルクTeと、
増大分出力トルクΔTeと、トルコン2のトルク比tと
から次式に基づいて算出することができる。 Tin=(Te+ΔTe)×t 上式において、定常回転時の出力トルクTeとエンジン
トルク増大分ΔTeとの和(Te+ΔTe)がエンジン
1の出力トルクに相当し、このエンジン出力トルク(T
e+ΔTe)は、このトルク比tに応じてCVT20の
プライマリプーリ21に入力するために、トルク比tを
乗算している。
回転数フィードバック制御手段54Aによる回転数フィ
ードバック制御により流量制御弁64を制御させ、車両
が略停止状態(極低速走行状態或いは停止状態)にある
ことが検出されたら、回転数フィードバック制御から圧
力フィードバック制御手段54Bによる圧力フィードバ
ック制御へと流量制御弁(油圧制御系)64の制御を切
り換えるようになっている。
るのは、車両の極低速走行時或いは停止時には、プライ
マリプーリの回転数の検出が困難になり回転数フィード
バック制御を実行することができないためである。もち
ろん、圧力フィードバック制御以外に、オープンループ
制御を用いることもできるが、圧力フィードバック制御
の方がオープンループ制御よりも制御精度を高められる
ためである。
にあるか否かを、車速に直接的に対応するセカンダリプ
ーリ22の回転数(セカンダリ回転数)NS 及び車速に
間接的に対応するプライマリプーリ21の回転数(プラ
イマリ回転数)NP に基づいて判定するようになってい
る。つまり、車両が走行中に、セカンダリ回転数NS が
予め設定された微小な閾値NS1以下になるか又はプライ
マリ回転数NP が予め設定された微小な閾値NP1以下に
なったときには、車両が略停止状態になったと判定す
る。逆に、車両が略停止状態あるときに、セカンダリ回
転数NS が予め設定された微小な閾値NS2(>NS1)以
上になり且つプライマリ回転数NP が予め設定された微
小な閾値NP2(>NP1)以上になったときには、車両が
走行状態に復帰したと判定する。
ク制御の際に、プライマリ圧を適切に確保しつつ変速比
をフル・ロー側に制御するようになっている。つまり、
変速比をフル・ロー側に制御する場合、プライマリ圧を
ライン圧よりも低下させるが、この際、実プライマリ圧
を認識しながら適切に低下させるようになっている。も
ちろん、切換手段54Cでは、車両が略停止状態から走
行状態になったら、流量制御弁64の制御モードを圧力
フィードバック制御から回転数フィードバック制御へと
復帰させるようになっている。
ソレノイド64Aをデューティ制御することにより行な
うが、この変速制御ソレノイド64Aの制御デューティ
は、演算手段(加算器)54Dにおいて、回転数フィー
ドバック制御手段54Aにより算出された偏差ΔNP に
PID補正を施された制御量(変速デューティ)、又
は、圧力フィードバック制御手段54Bにより算出され
た偏差ΔPP にPID補正を施された制御量(変速デュ
ーティ)を、油温,ライン圧,変速比,入力回転数等か
ら変速保持デューティ設定手段54Eにより設定された
変速保持デューティに加算することにより算出する。な
お、油温,ライン圧,入力回転数は、例えば油圧セン
サ,ライン圧センサ45,エンジン回転数センサ41の
各検出結果から得ることができ、変速比は、例えばプラ
イマリ回転センサ43で検出されたプライマリ回転数及
びセカンダリ回転センサ44で検出されたプライマリ回
転数から算出することができる。
式無段変速機の変速制御装置は、上述のように構成され
ているので、まず、変速比限界値Rlim を推定するため
の学習制御は、例えば図4のフローチャートに示すよう
にして行なわれる。つまり、学習手段57では、オープ
ンループ制御に切り換えられた後の無段変速機の運転状
態から変速比限界値Rlim を学習するので、まず、変速
制御がフィードバック制御(F/B制御)からオープン
ループ制御(O/L制御)へ移行終了したか否かを判定
する(ステップA10)。これは例えば流量制御弁64
の制御量(制御デューティ)が所定値ΔDRODSET まで
低下したらフル・ODへの移行が終了したと判断すれば
よい。
了したら、図3(b)に示すように、この移行終了から
第1の所定時間tODLRNST が経過したか否かを判定して
(ステップA20)、第1の所定時間tODLRNST が経過
した時点t1 から学習を開始する。この学習時には、周
期的に入力される実変速比Rに基づいて実変速比Rの最
大検出値RMAX と最小検出値RMIN との差ΔR(=R
MAX −RMIN )を算出し、この差ΔRが予め設定された
閾値ΔR0 未満であるか否かを判定する(ステップA3
0)。なお、実変速比R(=NP /NS )は、プライマ
リ回転センサ43,セカンダリ回転センサ44からの各
検出情報に基づいて実変速比算出手段59で算出され、
周期的に入力される。
ダリ回転数NS が所定の範囲内(N S1<NS <NS2)に
あるか否かを判定する(ステップA40)。つまり、車
速Vが所定の下限値V1 (例えば60km/h)から所
定の上限値V2 (例えば100km/h)の範囲内(即
ち、V1 <V<V2 )にあるか否かを判定する。ここ
で、セカンダリ回転数NS が所定の範囲内(NS1<NS
<NS2)にあれば〔車速Vが所定の範囲内(V1 <V<
V2 )にあれば〕、オープンループ制御への移行が終了
してから、第2の所定時間tODLRNEN が経過したか否
か、即ち、図3(b)に示すように時点t2 に達したか
否かを判定する(ステップA50)。
してから第2の所定時間tODLRNENが経過するまで(時
点t1 から時点t2 まで)の学習期間に、差ΔRが閾値
ΔR 0 未満で且つセカンダリ回転数NS が所定の範囲内
(NS1<NS <NS2)の状態が継続されれば、この学習
期間内に得られた実変速比Rの平均値を新たな変速比限
界値Rlim とする(ステップA60)。
らオープンループ制御に切り換えられる度に行なった
り、或いは、エンジンのキースイッチがオンになった後
最初のフィードバック制御からオープンループ制御への
切換時だけ行なったりするなど適宜行なって、変速比限
界値Rlim を更新することにより、CVT20の機械部
分が経時変化した場合にも適切に変速比限界値Rlim を
推定することができる。
ように、推定した変速比限界値Rli m (図6中の実線e
1 ,e2 参照)に対して僅かに(−γ1 だけ又は+γ2
だけ)内側にF/B限界値RF/Blimを設定する〔前式
(3),(4)参照〕。そして、変速制御にかかるフィ
ードバック制御とオープンループ制御との切換は、切換
手段56によって例えば図5に示すように行なわれる。
を判定し(ステップB10)、現在フィードバック制御
中なら、目標変速比RT が増加中であるか否かを判定す
る(ステップB20)。目標変速比RT が増加中なら、
変速比はフル・ロー側に近づいているので、フィードバ
ック制御からフル・ロー側のオープンループ制御への切
換条件、即ち、前記不等式(5),(6)が成立するか
否かを判定する(ステップB30)。
成立すれば、即ち、回転数フィードバック制御時に、実
変速比RがF/B限界値RF/Blim1 よりも大〔次式
(5)が成立する〕で、且つ、目標プライマリ回転数N
PTに応じた目標変速比RT (=N PT/NS )がF/B限
界値RF/Blim1 よりも大〔次式(6)が成立する〕なら
ば、フィードバック制御からフル・ロー側のオープンル
ープ制御に切り換える(ステップB40)。
合、ステップB50にて目標変速比R T が減少中か否か
を判定する。この判定がNOであれば変速比変化なしと
判断しリターンとなるが、判定がYESであれば変速比
はフル・OD側に近づいているので、フィードバック制
御からフル・OD側のオープンループ制御への切換条
件、即ち、前記の不等式(7),(8)が成立するか否
かを判定する(ステップB60)。
成立すれば、即ち、フィードバック制御時に、実変速比
RがF/B限界値RF/Blim2 よりも小〔次式(7)が成
立する〕、且つ、目標プライマリ回転数NPTに応じた目
標変速比RT (=NPT/NS)がF/B限界値R
F/Blim2 よりも小〔次式(8)が成立する〕ならばフィ
ードバック制御からフル・OD側のオープンループ制御
に切り換える(ステップB70)。
ク制御中でない(即ち、現在オープンループ制御中)と
判定された場合、フル・ロー側のオープンループ制御中
かフル・OD側のオープンループ制御中かを判定し(ス
テップB80)、フル・ロー側のオープンループ制御中
ならば、フル・ロー側のオープンループ制御からフィー
ドバック制御への切換条件、即ち、前記不等式(9)が
成立するか否かを判定する(ステップB90)。
ば、即ち、オープンループ制御時に、目標プライマリ回
転数NPTに応じた目標変速比RT (=NPT/NS )がF
/B限界値RF/Blim1 よりも小ならば、フル・ロー側の
オープンループ制御からフィードバック制御に切り換え
る(ステップB100)。また、ステップB80にてフ
ル・OD側のオープンループ制御中と判定されたら、フ
ル・OD側のオープンループ制御からフィードバック制
御への切換条件、即ち、前記不等式(10)が成立する
か否かを判定し(ステップB110)、切換条件〔式
(10)〕が成立すれば、即ち、オープンループ制御時
に、目標プライマリ回転数NPTに応じた目標変速比RT
(=NPT/NS )がF/B限界値RF/ Blim2 よりも大
(YES)ならば、フル・OD側のオープンループ制御
からフィードバック制御に切り換え(ステップB10
0)、NOならばフル・OD側のオープンループ制御を
そのまま継続しリターンする。
ープンループ制御との切換が行なわれるが、前述のよう
に、学習手段57によって、変速比限界値Rlim が精度
良く推定され、F/B限界値RF/Blimをこの変速比限界
値Rlim に近い値に設定できるため、オープンループ制
御の領域を極力小さくでき、フィードバック制御からオ
ープンループ制御に切り換わった場合に生じる変速比の
ステップ的移行を極力小さく抑えることができる。した
がって、特に、フル・OD側のオープンループ制御に切
り換わる時に、特に顕著になるシフトショックの発生が
防止され、ドライバビリティが良好に保たれる効果があ
る。
ク制御領域を拡張することができるため、変速制御(変
速比制御)をより精度よく行なえるようになる。特に、
フル・OD側の変速比限界値Rlim2の近くまで変速比を
適切に制御できるため、燃費の向上にも大きく寄与す
る。なお、本実施形態では、フル・ロー側及びフル・O
D側の各変速比限界値Rli m1,Rlim2について推定して
いるが、この学習による推定は、フル・ロー側及びフル
・OD側の一方についてのみ行なうようにしてもよい。
勿論、この場合には、F/B限界値RF/Blimは変速比限
界値Rlim を推定した側のみ変速比限界値R lim に近づ
けることができるが、例えばフル・OD側の変速比限界
値Rlim2のみについて推定すれば、特に、フル・OD側
の変速比限界値Rlim2の近くまで変速比を適切に制御で
き、燃費を向上できる効果が得られる。
得られる実変速比Rの単純平均値として算出している
が、例えば学習期間に得られる実変速比Rの最大検出値
RMAXと最小検出値MIN との中間値〔=(RMAX +R
MIN )/2〕とするなど、変速比限界値Rlim2の算出法
はこれに限らない。図7,図8は本発明の第2実施形態
としての無段変速機の変速制御装置を示すものである。
に基づいて説明する。この実施形態の無段変速機の変速
制御装置では、図8に示すように、変速比の制御モード
として、オープンループ制御が設定されておらず、全変
速比領域でフィードバック制御に変速制御が行なわれる
ようになっている。本変速制御装置の変速制御手段52
は、図7に示すように、プライマリプーリ21の油圧制
御系である流量制御弁(変速比調整弁)64をフィード
バック制御するフィードバック制御手段54と、変速比
限界値Rlim を学習する学習手段57とがそなえられ、
フィードバック制御手段54では、学習手段57による
学習結果をフィードバック制御に反映させるようになっ
ている。
段54は、第1実施形態のものと同様であり、回転数フ
ィードバック制御手段54Aと、圧力フィードバック制
御手段54Bと切換手段54Cとをそなえて構成され
る。また、第1実施形態と同様に、回転数フィードバッ
ク制御手段54Aは、目標プライマリ回転設定手段54
AA′と、算出手段54ABと、PID補正手段54A
Cとをそなえて構成され、圧力フィードバック制御手段
54Bは、目標プライマリ圧設定手段54BAと、算出
手段54BBと、PID補正手段54BCとをそなえて
構成される。
バック制御手段54Aの目標プライマリ回転設定手段5
4AA′が第1実施形態のものと異なっている。つま
り、本実施形態の目標プライマリ回転設定手段54A
A′では、車速に対応したパラメータ(例えば、車速に
対応するセカンダリプーリ22の回転数)とエンジン負
荷(例えば、アクセル開度)とからプライマリプーリ2
1の目標回転数NPTを設定するが、この目標プライマリ
回転数NPTに応じた目標変速比RT (=NPT/NS)
が、学習手段57によって補正された変速比限界値R
F/Blimを越える場合には、目標変速比RT が変速比限界
値RF/Blimとなるように目標プライマリ回転数N PTを設
定する。
必ず実現可能な値となり、目標プライマリ回転数NPTに
基づいた回転数フィードバック制御を、図8に示すよう
に、変速比Rの全域において行なうことができるのであ
る。ところで、本実施形態では、変速比のオープンルー
プ制御がないため、第1実施形態と同じ学習方法が使え
ないことになる。そこでまず、目標プライマリ回転数N
PTに応じた目標変速比RT がF/B限界値RF/Blim上に
最初にきたときには、目標変速比RT を値RF/Blimを越
えて機械的に決まる値Rlim まで強制的に変速させる。
これには、例えば必ず値Rlim となるような補正量αを
予め実験的に求めておき、RT =RF/Blim+αから求め
られる値RT を新目標値として設定すればよい。なお、
新目標値は、本F/Bでは本来あり得ない値であるた
め、実変速比はいつまでも目標値にならないが、この場
合、変速開始から所定の時間が経過したら実変速比が目
標値になっていると判断すればよい。この判定後は、第
1実施形態と同じ学習方法により値Rlim を補正し、こ
れに応じてF/B限界値R F/Blim上を補正する。以後、
目標変速比RT がF/B限界値RF/Blimになっても、補
正量αの加算は行なわず、補正されたRF/Blimに基づい
てF/Bを実行するようにする。
式無段変速機の変速制御装置は、上述のように構成され
ているので、図8に示すように、変速比Rの全域におい
て、精度よい制御が可能なフィードバック制御によって
変速制御を行なうことができ、変速制御(変速比制御)
をより適切に精度よく行なえるようになる。もちろん、
フィードバック制御とオープンループ制御との切換もな
いのでシフトショックが発生することもなく、変速が極
めてなめらかであるという無段変速機の特性を十分に発
揮することができるようになる。
限界値Rlim2まで変速比を適切に制御できるため、燃費
の向上にも大きく寄与する。なお、本実施形態でも、フ
ル・ロー側及びフル・OD側の各変速比限界値Rli m1,
Rlim2について推定しているが、学習による推定は、フ
ル・ロー側及びフル・OD側の一方についてのみ行なう
ようにしてもよい。
れるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種
々変更して実施しうるものである。例えば、オープンル
ープ制御手段55で行なうオープンループ制御を、以下
のように構成してもよい。つまり、回転数フィードバッ
ク制御に用いる目標プライマリ回転数NPTを用い、フル
・ロー近辺において目標プライマリ回転数NPTが前回の
制御周期のものよりも増大したら、今回の制御周期で
は、プライマリ回転数NPTが増加する側に目標プライマ
リ回転数NPT増大に応じた量だけ、制御量〔流量制御弁
64の制御デューティ。ここでは、制御量(制御デュー
ティ)が高いほど作動油の流量を増大させプライマリ圧
を低める〕を増大させる。また、フル・OD近辺におい
て目標プライマリ回転数NPTが前回の制御周期のものよ
りも減少したら、今回の制御周期では、プライマリ回転
数NPTが減少する側に目標プライマリ回転数NPT減少に
応じた量だけ、制御量を減少させるようにする。
御のモードとして、回転数フィードバック制御と圧力フ
ィードバック制御との2つの制御モードをそなえてい
る。圧力フィードバック制御は、車両の停止時(極低速
走行時も含む)には、プライマリプーリの回転数の検出
が困難になり回転数フィードバック制御を実行すること
ができないために用いているものであるが、車両の停止
時には圧力フィードバック制御に代えてオープンループ
制御を用いてもよく、また、プライマリプーリの回転数
の検出が可能であれば、回転数フィードバック制御のみ
を用いてフィードバック制御を行なうようにしてもよ
い。
ィソレノイドの制御に限らずリニアソレノイドを用いた
ポジション制御等他の制御も適用しうる。また、本発明
は、油圧式無段変速機には広く適用でき、例えばトロイ
ダル式等のものにも適用しうるなど、ベルト式のものに
限定されない。
発明の無段変速機の変速制御装置によれば、無段変速機
において機械的に制限される変速比限界値を学習補正す
るので、個々の無段変速機に固有の変速比限界値を精度
よく把握することができる。この学習結果を変速比制御
に反映させれば、制御態様の切換による生じるシフトシ
ョックを抑制できる。また、フィードバック制御領域を
拡張できるため、これにより変速比制御性能を向上させ
ることができるようになる。
の変速制御装置によれば、変速比限界値に達しない範囲
で規定されるフィードバック制御用変速比限界値を学習
補正された変速比限界値に基づいて変更することによ
り、フィードバック制御領域を拡張でき、変速比制御性
能を向上させることができるようになる。また、請求項
3記載の本発明の無段変速機の変速制御装置によれば、
フィードバック制御用変速比限界値を学習補正された変
速比限界値に基づいて変更することにより、フィードバ
ック制御領域を拡張できるため変速比制御性能を向上さ
せることができるようになる。また、フィードバック制
御領域とオープンループ制御領域との差を縮小すること
ができるため、フィードバック制御とオープンループ制
御との切換による生じるシフトショックも抑制できる。
速制御装置の要部構成を示すブロック図である。
車両の動力伝達系を説明するための模式図であり、
(a)はその無段変速機を含んだ動力伝達系の模式的構
成図、(b)はその無段変速機の構成図である。
速制御装置による学習内容を説明するタイムチャートで
ある。
速制御装置による学習内容を説明するフローチャートで
ある。
速制御装置による変速制御内容を説明するフローチャー
トである。
速制御装置における変速比に応じた変速制御内容を説明
する図である。
速制御装置の要部構成を示すブロック図である。
速制御装置における変速比に応じた変速制御内容を説明
する図である。
である。
Claims (3)
- 【請求項1】 無段変速機の実変速比を表すパラメータ
値が目標値となるように変速制御を行なう無段変速機の
変速制御装置において、 上記実変速比が機械的に制限される変速比限界値にある
か否かを推定する推定手段と、 該推定手段により推定された上記変速比限界値を学習補
正する学習補正手段とをそなえたことを特徴とする、無
段変速機の変速制御装置。 - 【請求項2】 上記変速比限界値に達しない範囲で規定
されるフィードバック制御用変速比限界値が設けられ、
上記実変速比が上記フィードバック制御用変速比限界値
以内の領域では、上記パラメータ値が上記目標値となる
ようにフィードバック制御により変速制御を行なうフィ
ードバック変速制御手段と、 上記学習補正された変速比限界値に基づいて上記フィー
ドバック制御用変速比限界値を変更する変更手段とをそ
なえたことを特徴とする、請求項1記載の無段変速機の
変速制御装置。 - 【請求項3】 上記変速比限界値に達しない範囲で規定
されるフィードバック制御用変速比限界値が設けられ、
上記実変速比が上記フィードバック制御用変速比限界値
以内の領域では、上記パラメータ値が上記目標値となる
ようにフィードバック制御により変速制御を行なうフィ
ードバック変速制御手段と、 上記パラメータ値が上記変速比限界値となるようにオー
プンループ制御により変速制御を行なうオープンループ
変速制御手段と、 上記実変速比が上記フィードバック制御用変速比限界値
を外れた領域では、上記フィードバック変速制御手段に
よるフィードバック制御から上記オープンループ変速制
御手段によるオープンループ制御へと変速制御を切り換
える切換手段とをそなえたことを特徴とする、請求項1
記載の無段変速機の変速制御装置。
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