JP2001206811A - 植物疫病の防除剤および防除方法 - Google Patents
植物疫病の防除剤および防除方法Info
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Abstract
ることを課題とする。 【解決手段】本発明は、バチルス属細菌が産生し得る有
機酸又はその塩を含む疫病防除剤を、植物又は土壌に施
用するすることにより、フィトフトラ属に属する微生物
に起因する植物の疫病を防除する。
Description
よび防除方法に関するものである。詳しくは、トマト、
ジャガイモ等に生じる植物疫病菌であるフィトフトラ・
インフェスタンス(Phytophthora infestans)等のフィ
トフトラ属に属する微生物に起因する疫病を防除する防
除剤およびそれを使用した植物疫病防除方法に関するも
のである。
は、フィトフトラ属に属する微生物により起こされる病
気であり、代表的な疫病菌としてはフィトフトラ・イン
フェスタンスが挙げられ、主な宿主作物としては、トマ
ト、ジャガイモ等が挙げられる。この疫病菌は、圃場に
残されたトマトの被害茎葉上、ジャガイモの塊茎病班上
や土中で越冬して、伝染源となることが知られている。
そして、病班上の分生胞子は、風雨によって飛散し葉に
達すると水滴の中で発芽して菌糸によって葉の気孔から
侵入することになる。この疫病菌の発生は最低気温が4
℃、最高気温が26℃の条件でみられ、20℃以下の低
温の場合には分生胞子のほとんどが「遊走子のう」とな
って多数の遊走子を生ずる。そして、この「遊走子の
う」が活動する適温は、12〜13℃であるため、20
℃以下の低温で疫病が蔓延することになる。この遊走子
は水の中を泳いで気孔に達するため、多湿条件では、遊
走子の遊泳、発芽、侵入が容易になる。疫病は、日本で
は低温多湿となる梅雨時期または秋雨時期に多発してい
る。
抗性品種が存在しないことから、施設栽培では低温多湿
をできる限り避けることが重要となり、その他に薬剤散
布に頼らざるを得ないのが現状である。この植物疫病に
対する効果的な薬剤は存在するが、いずれも安全性が高
いとは言えない。したがって、植物疫病が防除可能とな
れば、薬剤散布をかなり軽減することが可能となる。
る研究としては、エルビニア・カロトボーラ サブスピ
ーシス カロトボーラ細菌を散布することによる軟腐菌
を防除する方法(特開平10−327849号公報)、
シュードモナス属細菌を散布することによる植物糸状細
菌を防除する方法(特開平9−255513号公報)等
が報告されている。また、植物疫病に対する拮抗微生物
に関する研究としては、植物内生型相共生細菌であるシ
ュードモナス・フルオレッセンスFPT−9601菌株
とシュードモナス属FPT−9601菌株を含有する育
苗培土に関するものが報告されている(特開平9−30
8372号公報)。そして、この公報には、このような
培土で各種農作物を育苗することにより、青枯病、ブザ
リウム病、疫病の土壌病害防除に効果があると記載され
ている。しかしながら、このような共生細菌を使用する
方法は、共生細菌の本圃への定着に時間がかかること、
その処理が複雑で手間がかかる等の問題点があり、より
簡便で且つ効果的な疫病に対する防除方法が望まれてい
た。
ラ・インフェスタンス等のフィトフトラ属に属する微生
物に起因する植物の疫病を簡易かつ選択的に防除する疫
病防除剤およびそれを用いた疫病防除方法を提供するこ
とを課題とする。
を解決するため精鋭探索したところ、コンポストの施用
が土壌病害を抑制する事例が報告されていることから、
コンポスト中の拮抗微生物の抗菌作用を検定した結果、
バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)
が疫病菌拮抗作用物質を産生することを見出し、更に、
この疫病菌拮抗細菌であるバチルス・リケニホルミスの
産生する揮発性物質を分析したところアンモニア及び、
イソ酪酸、イソ吉草酸、DL−2メチル酪酸の三種の有
機酸であることを同定し、本発明を完成するに至った。
剤または疫病防除方法である。 (1)フィトフトラ属に属する微生物に起因する植物の
疫病を防除する疫病防除剤であって、フィトフトラ属に
属する微生物に対して拮抗作用を有するバチルス属細菌
の菌体又は培養物を含むことを特徴とする疫病防除剤。 (2)前記バチルス属細菌がバチルス・リケニホルミス
である(1)の疫病防除剤。 (3)前記バチルス属細菌がFERMP-17577、FERMP-1757
8、FERMP-17579、FERMP-17580、FERMP-17581、FERMP-17
582、FERMP-17583、FERMP-17584、FERMP-17585またはFE
RMP-17586である(1)の疫病防除剤。 (4)前記微生物がフィトフトラ・インフェスタンスで
ある(1)〜(3)の疫病防除剤。 (5)フィトフトラ属に属する微生物に起因する植物の
疫病を防除する疫病防除剤であって、バチルス属細菌が
産生し得る有機酸又はその塩を有効成分とすることを特
徴とする疫病防除剤。 (6)前記バチルス属細菌がバチルス・リケニホルミス
である(5)の疫病防除剤。 (7)前記微生物がフィトフトラ・インフェスタンスで
ある(5)または(6)の疫病防除剤。 (8)前記有機酸又はその塩が、イソ酪酸、イソ吉草酸
及びDL−2メチル酪酸並びにそれらの塩から選ばれる
一種または二種以上である(5)〜(7)の疫病防除
剤。 (9)前記有機酸又はその塩が20〜100ppm濃度
で含まれる(5)〜(8)の疫病防除剤。 (10)(1)〜(9)のいずれかの疫病防除剤を植物
又は土壌に施用する、フィトフトラ属に属する微生物に
起因する植物疫病の防除方法。 (11)前記疫病防除剤を、前記有機酸又はその塩が1
〜100kg/1000m2となるように土壌または植
物に施用する(10)の植物疫病の防除方法。 (12)前記植物がトマトまたはジャガイモである(1
0)又は(11)に記載の植物疫病の防除方法。
本発明は、フィトフトラ属に属する微生物に起因する植
物の疫病を防除する疫病防除剤であって、フィトフトラ
属に属する微生物に対して拮抗作用を有するバチルス属
細菌の菌体又は培養物を含むことを特徴とする疫病防除
剤に関するものである。
に属する微生物に対して拮抗作用を有するバチルス属細
菌について説明する。フィトフトラ・インフェスタンス
等のフィトフトラ属に属する微生物に対して拮抗作用を
有するバチルス属細菌としては、例えば、バチルス・リ
ケニホルミス(Bacillus licheniformis)をあげること
ができる。以下、バチルス・リケニホルミスおよびその
培養方法、その有効成分の同定について説明する。
は、好気性有芽胞細胞細菌で、最適生育温度は35℃で
あり、以下の表1に示す生理学的性質を有する。
として例えば、通商産業省工業技術院生命工学工業技術
研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3)に、FERMP-17
577、FERMP-17578、FERMP-17579、FERMP-17580、FERMP-
17581、FERMP-17582、FERMP-17583、FERMP-17584、FERM
P-17585、FERMP-17586の受託番号で受託されているもの
が挙げられる。
率が高く、生菌を含む液をトマトの葉に塗布したとこ
ろ、塗布1ヶ月後でも、塗布葉、新葉の両方に十分量の
生菌が確認された。
は、以下の方法で培養することができる。容器に、トリ
プトソーヤブイヨン[Soybean-Casein Digested(日水製
薬株式会社)以下「SCD」と略す]を入れた培養液
に、上記の菌株を接種し、15〜 40℃で、往復振と
う培養により培養することができる。振とう条件は、例
えば、100〜200rpmの範囲に設定して行うこと
が好ましい。このような条件で、2〜10日程度培養す
ることにより、抗菌成分を含む培養液を得ることができ
る。
0〜20,000rpmの条件で15分間程度、遠心分
離して上清を採取し、メンブランフィルタで濾過滅菌し
て使用するのが好ましい。この培養液は、そのまま使用
することができるし、また、この培養液を各種の方法、
例えばロータリーエバポレーターにより濃縮してもよい
が、揮発性の抗菌成分を含むため、濃縮する際にはこの
揮発成分を逃がさない条件で濃縮するのが好ましい。
示す揮発性の抗菌成分は以下のように同定した。まず、
培養液のpHを4、7、10に変化させ、この条件下で
の抗菌活性を測定した。培養液のpH変換後の抗菌活性
は、塩基性(pH10)、酸性(pH4)、中性(pH
7)の順に強く、酸性物質、塩基性物質の複数の物質に
よりフィトフトラ・インフェスタンスの生育を阻害して
いると推定される。
HPLCにより分析したところ、揮発性の抗菌物質とし
て、アンモニアを検出した。また、酸性物質としてはガ
スクロマトグラフィー(GC)により分析したところイ
ソ酪酸、イソ吉草酸、DL−2メチル酪酸が検出され
た。これらの抗菌物質は、特にフィトフトラ・インフェ
スタンスに対して極めて強い抗菌作用を示した。
2メチル酪酸のそれぞれについて、市販品を培地中で1
0〜100(ppm)濃度となるように希釈して抗菌活
性を測定したところ、イソ酪酸、イソ吉草酸、DL−2
メチル酪酸の全てについて抗菌活性があることが確認さ
れた。次に本発明の疫病防除剤およびその疫病防除剤を
用いた疫病防除方法について以下説明する。
を用いた疫病防除方法 本発明の疫病防除剤は、フィトフトラ・インフェスタン
ス等のフィトフトラ属に属する微生物に対して拮抗作用
を有するバチルス属細菌の菌体又は培養物を含むことを
特徴とする。ここで「拮抗作用」とは、対象となるフィ
トフトラ・インフェスタンス等のフィトフトラ属に属す
る微生物菌の細胞数を減少させる作用または増殖を抑制
させる作用、すなわち、抗菌作用を意味する。具体的に
は、抗菌試験において、対照と比較してフィトフトラ・
インフェスタンスの増殖が抑制されたものは拮抗作用を
有するものとする。バチルス属細菌の菌体又は培養物
が、フィトフトラ・インフェスタンス等のフィトフトラ
属に属する微生物に対して拮抗作用を有するか否かにつ
いての具体的測定方法は、実施例のところで詳しく説明
する。
リケニホルミスが挙げられ、また、具体的には、上記の
FERMP-17577〜FERMP-17586の菌株が挙げられる。すなわ
ち、好ましい態様としては、フィトフトラ・インフェス
タンス等のフィトフトラ属に属する微生物に対して拮抗
作用を有するバチルス・リケニホルミスの菌体又は培養
物を含むことを特徴とする疫病防除剤である。また、上
記のFERMP-17577〜FERMP-17586の菌体又は培養物を含む
ことを特徴とする疫病防除剤も本発明の好ましい態様で
ある。なお、FERMP-17577〜17586の受託番号で寄託され
てる菌株はバチルス・リケニホルミス菌と既に同定され
ているものがある。
で説明したように培養した菌株又はその培養物をそのま
ま使用することができる。バチルス属細菌の培養物は、
上記のようにして培養した菌体を含む培養物そのものを
使用することもできるし、培養物から菌体を除いた培養
液を使用することもできる。この培養物(又は培養液)
は、適宜希釈または濃縮して使用することができる。こ
こで培養物には、菌体およびその培養液の両方が含まれ
る。菌体を液体培地で培養して得た培養液は、溶液の状
態で植物の葉や茎に散布することができるため、植物の
葉や茎等の疫病防除に好ましい。植物の葉に直接散布す
る際には、長期的に疫病防除効果を得るためには、菌体
を含む培養液を散布するのが好ましい。
得る有機酸又はその塩を有効成分とすることを特徴とす
る疫病防除剤である。バチルス属細菌が産生し得る有機
酸又はその塩は、上記に述べたようにフィトフトラ・イ
ンフェスタンス等のフィトフトラ属に属する微生物に対
して拮抗作用を有することが確認されている。
の塩としては、その培養液から有効成分を抽出して用い
てもよいが、上記のように同定されている、イソ酪酸、
イソ吉草酸及びDL−2メチル酪酸並びにそれらの塩か
ら選ばれる一種または二種以上を使用するのが、簡易且
つ容易に調製できるという点から好ましい。
態様としては、イソ酪酸、イソ吉草酸及びDL−2メチ
ル酪酸並びにそれらの塩から選ばれる一種または二種以
上を含む、フィトフトラ属に属する微生物に起因する植
物の疫病を防除する疫病防除剤である。イソ酪酸、イソ
吉草酸およびDL−2メチル酪酸並びにそれらの塩は単
独で含まれていてもよいし、2種類以上のものが含まれ
ていてもよい。
の構造式を有する:CH3(CH3)CHCOOH。ま
た、イソ吉草酸は、イソプロピル酪酸または3−メチル
酪酸とも呼ばれ、次の構造式を有する:CH3(CH3)
CHCH2COOH。DL−2メチル酪酸[CH3CH2C
H(CH3)COOH]は、2−メチル酪酸のD体とL体
を混合物、すなわちラセミ体を意味するが、D体または
L体の存在比は特に限定されるものではなく、またD体
またはL体のみを使用することもできる。これらの有機
酸の塩としては、特に限定されるものではなく、例えば
ナトリウム塩、カリウム塩等が例示できる。これらの有
機酸およびその塩は、一般に市販されているものを使用
することができる。
でんぷん、水等の各種担体と混合して粉剤、粒剤、錠
剤、水和剤、乳剤等として使用することができる。更
に、農薬等の製剤上使用される補助剤、例えば展着剤、
乳化剤、着色剤等を必要に応じて添加することができ、
また、水耕栽培用栽培液への添加剤等とすることもでき
る。
添加して屋内栽培植物用処理剤として使用することもで
きる。すなわち、本発明の疫病防除剤とともに、植物ホ
ルモン等の他の植物成長調節剤、糖類、アミノ酸、有機
酸、アルコール、ビタミン、ミネラル等の通常の植物栽
培に用いられる他の成分と併用することができる。これ
らの他の成分は、適用する植物の種類に応じて、通常の
栽培に用いられる処方に準じて適宜栽培液等に配合する
ことができる。本発明の屋内栽培植物用処理剤は、上述
したハウス栽培や植物工場等の屋内において栽培される
植物であるトマト等に適用するのが好ましい。
の有機酸等を水に溶解させた溶液を土壌または植物体に
散布する。植物体に散布する際には、有機酸等の濃度は
特に限定されないが、例えば これらの有機酸の濃度が
20〜100ppmとなるように溶解させた溶液を使用
するのが好ましい。この濃度が20ppm未満では十分
な抗菌効果を得ることがでず、また100ppmで使用
すれば充分な抗菌効果が得られるためである。これらの
有機酸の濃度は、50〜100ppmであるのが更に好
ましい。なお、有機酸の濃度は、2種類以上の有機酸ま
たはその塩が含まれている場合は、その合計量を意味す
る。
る、フィトフトラ属に属する微生物に起因する植物疫病
の防除方法である。ここで、「施用」とは、植物の葉面
や茎への噴霧・散布、水耕栽培等において植物体の一
部、例えば根等を浸漬させる処理、土壌への噴霧・散布
液等の処理、菌体を含むコンポストを土壌と混合する等
の処理を含む概念として用いる。
定植前または定植後に、直接土壌に施用すればよい。具
体的には、バチルス属細菌はコンポスト中で生育するた
め、菌体を含むコンポストを、単独でまたは他の肥料と
共に土壌と混合することにより行うことができる。菌体
の培養や施用のしやすさという点からは、コンポストと
菌体とを混合した状態で使用するのが好ましい。ここで
コンポストには、堆肥および堆肥を含む配合土が含まれ
る。
その塩を含有する疫病防除剤すなわち、防除剤を液体と
して施用する方法としては、対象植物にもよるが、一般
的には葉面や茎等の植物体に直接散布するか、植物の定
植前および定植後に土壌に散布する土壌処理等が適当で
ある。疫病防除剤を散布する方法は、特に限定されるも
のではなく、通常農薬等を散布する条件と同様の条件を
適宜選択して行えばよい。
たは希釈して散布する。濃縮または希釈する条件は、培
養液中の抗菌物質の濃度を測定することによって、適
宜、好適な濃度を決定すればよい。具体的には上記のよ
うに、植物に直接散布する場合は、培養液に含まれる有
機酸に換算して、20〜100ppmまたはこの数値以
下の濃度になるように溶液を調整して散布するのが好ま
しい。また、菌を含む培養液を使用する場合には、この
濃度よりも更に低い濃度で使用してもよい。この菌は、
トマト葉面での定着率が高く、生菌を含む液をトマトの
葉に塗布した場合、塗布葉、新葉の両方に十分量の生菌
が確認さるため、長期間の疫病防止効果を得るという点
からは、菌体を含む培養液を使用するのが好ましい。
は、植物に直接散布する場合には、有機酸の濃度が20
〜100ppmとなるように溶解させた溶液として調製
し、この溶液(疫病防除剤)を植物体の大きさに合わせ
て全体に適量散布すればよい。また、植物の定植前およ
び定植後に土壌に散布する場合には、例えば、上記有機
酸が1〜100kg/1000m2となるように調整し
て散布するのが好ましい。土壌へ散布する場合、上記有
機酸が5〜50kg/1000m2とするのが更に好ま
しい。また、この疫病防除剤を散布する際の条件は、特
に限定されるものではなく、通常農薬等を散布する条件
と同様の条件を適宜選択して行えばよい。本発明の疫病
防除方法は、トマト、ジャガイモ、ナス等の植物に使用
するの好ましく、特にトマトまたはジャガイモに使用す
ることが好ましい。
明する。但し、本発明は実施例にのみ限定されるもので
はない。
チルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)菌
の培養液の抗菌活性を以下の方法で測定した。
(SCD)を入れ、以下の表2に示すそれぞれの菌株を
35℃、160rpmの条件で、2日間往復振とう培養
した。次に、この培養液を5℃、10,000rpmの
条件で、15分間遠心分離して上清を採取し、メンブラ
ンフィルター(0.45μm)で濾過滅菌した。
を約10倍に濃縮した。そして濃縮後、脱塩水を加えて
元の容量に調製した。
た。まず、培養ろ液1mlをシャーレ(9cm径)にと
り、ライ麦寒天培地9mlを添加して固化させた。(対
照に1/2濃度のSCD液体培地を使用)。次に、疫病
菌(フィトフトラ・インフェスタンス)を含むディスク
(5mm径)を中心において15℃で10日間培養し
た。
測定し、対照(コントロール)に対する割合を菌叢成長
率として評価した。結果を以下の表2に示す。なお、表
中の数値は菌叢成長率(%)を示す。なお、菌叢成長率
(%)は以下の式で求められる。
直径/コントロールにおける菌叢直径)×100
価>次に、培養ろ液の揮発性抗菌活性を以下の方法によ
り測定した。
(SCD)を入れ、以下の表3に示すそれぞれの菌株を
35℃で、160rpmの条件で、2日間往復振とう培
養した。この培養液を5℃で、10,000rpmの条
件で、15分間遠心分離して上清を採取し、メンブラン
フィルター(0.45μm)で濾過滅菌した。
た。まず、一枚のシャーレ(9cm径)に培養ろ液5m
lを加えた(対照に1/2濃度のSCD液体培地を使
用)。一方、もう一枚のシャーレ(9cm径)にはライ
麦寒天培地に疫病菌(フィトフトラ・インフェスタン
ス)を含むディスク(5mm径)を植えた。次に、これ
ら2枚のシャーレを向かい合わせにして(培養ろ液を含
むシャーレを下側とする。)、パラフィルムで固定し1
5℃で10日間培養した。
測定し、対照(コントロール)に対する割合を菌叢成長
率として評価した。結果を以下の表3に示す。なお、表
中の数値は菌叢成長率(%)を示す。
スポラム(Fusarium oxysporum)およびクラドスポリウ
ム・ハーバラム(Cladosporium herbarum)に対して抗
菌活性を調べたところ生育阻害は見られず疫病菌に特異
的に作用するものと考えられる。
チル酪酸の抗菌活性を以下の方法により測定した。
た。まず下記の表4に示す各濃度(10〜100pp
m)の有機酸を含むライ麦寒天培地を調製し、シャーレ
(9cm径)上で固化させた。次に、疫病菌(フィトフ
トラ・インフェスタンス)を含むディスク(5mm径)
を中心におき15℃で10日間培養することにより、菌
叢の成長を調査した。
測定し、対照(コントロール)に対する割合を菌叢成長
率として評価した。3種の有機酸の疫病菌に対する拮抗
性を下記の表4に示す。なお、表中の数値は菌叢成長率
(%)を示す。また、各有機酸の濃度は培地中での濃度
(ppm)を示す。
施用するすることによりフィトフトラ属に属する微生物
に起因する植物の疫病を選択的に防除することができ
る。本発明の疫病防除剤方法を使用すると、フィトフト
ラ属に属する微生物に起因する植物の疫病を簡易且つ選
択的に防除することができる。また、バチルス属細菌の
菌体を含む疫病防除剤を使用した場合は、長期間にわた
り植物の疫病を防除することができる。更に、本発明の
イソ酪酸、イソ吉草酸及びDL−2メチル酪酸並びにそ
れらの塩から選ばれる一種または二種以上を含むことを
特徴とする疫病防除剤を使用した場合は、植物の疫病を
簡易に防除することができる。
Claims (12)
- 【請求項1】 フィトフトラ属に属する微生物に起因す
る植物の疫病を防除する疫病防除剤であって、フィトフ
トラ属に属する微生物に対して拮抗作用を有するバチル
ス属細菌の菌体又は培養物を含むことを特徴とする疫病
防除剤。 - 【請求項2】 前記バチルス属細菌がバチルス・リケニ
ホルミスである請求項1に記載の疫病防除剤。 - 【請求項3】 前記バチルス属細菌がFERMP-17577、FER
MP-17578、FERMP-17579、FERMP-17580、FERMP-17581、F
ERMP-17582、FERMP-17583、FERMP-17584、FERMP-17585
またはFERMP-17586である請求項1に記載の疫病防除
剤。 - 【請求項4】 前記微生物がフィトフトラ・インフェス
タンスである請求項1〜3のいずれか一項に記載の疫病
防除剤。 - 【請求項5】 フィトフトラ属に属する微生物に起因す
る植物の疫病を防除する疫病防除剤であって、バチルス
属細菌が産生し得る有機酸又はその塩を有効成分とする
ことを特徴とする疫病防除剤。 - 【請求項6】 前記バチルス属細菌がバチルス・リケニ
ホルミスである請求項5に記載の疫病防除剤。 - 【請求項7】 前記微生物がフィトフトラ・インフェス
タンスである請求項5または6に記載の疫病防除剤。 - 【請求項8】 前記有機酸又はその塩が、イソ酪酸、イ
ソ吉草酸及びDL−2メチル酪酸並びにそれらの塩から
選ばれる一種または二種以上である請求項5〜7のいず
れか一項に記載の疫病防除剤。 - 【請求項9】 前記有機酸又はその塩が20〜100p
pm濃度で含まれる請求項5〜8に記載のいずれか一項
に記載の疫病防除剤。 - 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか一項に記載の
疫病防除剤を植物又は土壌に施用する、フィトフトラ属
に属する微生物に起因する植物疫病の防除方法。 - 【請求項11】 前記疫病防除剤を、前記有機酸又はそ
の塩が1〜100kg/1000m2となるように土壌
または植物に施用する請求項10記載の植物疫病の防除
方法。 - 【請求項12】 前記植物がトマトまたはジャガイモで
ある請求項10又は11に記載の植物疫病の防除方法。
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