JP2001206393A - 積層シートを用いたチューブ容器およびその製造法 - Google Patents
積層シートを用いたチューブ容器およびその製造法Info
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Abstract
フィンを用いているにも関わらず、接合部の強度が強
く、しかも外観が美麗なチューブ容器を提供する。 【解決手段】 ガラス転移温度が50℃以上の非結晶性
ポリエステルからなる内層、ガスバリア性を有する中間
層およびポリオレフィンからなる最外層を備えた積層シ
ート11の両側縁11a、11bを、互いに対応する向
きの傾斜面で斜めにカットし、上に乗る側の側縁11a
をいくらか上向きにずらせて、傾斜面同士を突き合わ
せ、内面側の継ぎ目部分に沿って垂らした溶融ポリエス
テル16から形成した補強層を設け、加熱圧着して円筒
状に形成した胴部24を備えたチューブ容器。
Description
チューブ容器、とくに最内層にポリエステル樹脂を採用
した積層シート製のチューブ容器およびその製造法に関
する。
融着性合成樹脂製の内層/アルミニウム箔などのガスバ
リア製の中間層/熱融着性合成樹脂製の外層からなる積
層シートを胴部の材料に使用している。このようなチュ
ーブ容器では、積層シートの両側縁同士を重ねて加熱加
圧し、たがいに熱融着して円筒状の胴部を構成する。そ
してその胴部の一端に、熱可塑性樹脂製の頭部を成形固
着してチューブ容器とする。そのため上記の合成樹脂層
としては、ポリエチレンなどの熱融着性が高い合成樹脂
を用いるのが一般的である。
内容物を充填する場合は、香気成分が内層に吸着されて
長期間の保存では香気が抜けたり、侵されたりすること
がある。そのため、従来より、香気成分の吸着性が低い
ポリエステル樹脂を最内層に用いた積層シートで胴部を
構成することが提案されている(たとえば特開昭60−
22748号公報参照)。同様に、頭部についてもポリ
エステルを用いることが提案されている(特許第277
2874号公報参照)。
報では、内層および外層の両方にポリエステル樹脂層を
採用したチューブ容器を提案しているが、所定の効果を
得ることができる厚さのポリエステル層を両層に用いる
と、硬くなるので押しつぶしにくい。他方、前述の特許
第2772874号公報は、内層のみをポリエステルで
構成し、外層は従来と同じくポリエチレンで構成したチ
ューブ容器を開示しているが、このものは比較的押しつ
ぶしやすい。
ブ容器の製造法として、本出願人は積層シートの側端縁
を斜めに切断し、切断端面を斜めにずらせて突き合わせ
溶着し、はみ出した斜面部をシート表面に押し倒して溶
着する製造法を提案している(特開平8−1838号公
報)。このものは重ね合わせ部分の厚さが他の部分とほ
とんど変わらず、継ぎ目を美麗にすることができる利点
がある。さらに特開平5−147128号公報は、外層
および内層がポリエチレンの長尺状のラミネートシート
の両側縁を重ね合わせ、バンドヒータで上下から加熱加
圧し、チューブ状に成形すること、およびそのときに内
側の継ぎ目に補助テープを一体に積層することについて
開示している。
がポリエステルで、外層がポリエチレンの積層シートを
用いて胴部を構成すると、押しつぶしやすい利点があ
る。しかしその積層シートの端縁同士を重ねて加熱加圧
により溶着する場合、材質が互いに異なるため、溶着が
難しく、溶着強度も低くなりがちである。すなわちガラ
ス転移温度の低い(たとえば40℃以下)ポリエステル
製の内層を用いると、溶着は容易になるが、溶着強度が
低くなり、しかも温度安定性が低下する。またガラス転
移温度が高い(たとえば50℃以上)のポリエステルを
用いると、強度は高くなるが、溶着温度が高くなり、美
麗な外観を得ることが難しい。
層にポリオレフィンを用いているにも関わらず、接合部
の強度が強く、しかも外観が美麗なチューブ容器を提供
することを技術課題としている。さらに本発明は、その
ようなチューブ容器の効率的な製造法を提供することを
課題としている。
(請求項1)は、ガラス転移温度が50℃以上の非結晶
性ポリエステルからなる最内層、ガスバリア性を有する
中間層およびポリオレフィンからなる最外層を備えた積
層シートの両側縁を、互いに対応する向きの傾斜面で斜
めにカットし、上に乗る側をいくらか上向きにずらせ
て、傾斜面同士を突き合わせ、内面側の継ぎ目部分に沿
ってポリエステルからなる補強層を設けて、加熱圧着し
て円筒状に形成した胴部を備えていることを特徴として
いる。
項4)は、ガラス転移温度が50℃以上の非結晶性ポリ
エステルからなる最内層、ガスバリア性を有する中間層
およびポリオレフィンからなる最外層を備えた積層シー
トの両側縁を垂直にカットし、切断端面同士を突き合わ
せ、最内層の継ぎ目部分に沿って、ポリエステルからな
る補強層を設けて、加熱圧着して円筒状に形成した胴部
を備えていることを特徴としている。前記いずれのチュ
ーブ容器でも、補強層が溶融ポリエステルを垂らして加
熱圧着することにより固定したものであるのが好ましい
(請求項3)。
項4)は、ガラス転移温度が50℃以上の非結晶性ポリ
エステルからなる最内層、ガスバリア性を有する中間層
およびポリオレフィンからなる最外層を備えた積層シー
トの両側縁を、互いに対応する向きの傾斜面で斜めにカ
ットし、最内層が鈍角になっている側縁の内面を相手側
の外面上に重ね合わせて加熱圧着して円筒状に形成した
胴部を備えていることを特徴としている。
内層の材質が、エチレングリコールとテレフタール酸ま
たはテレフタール酸ジメチルとの縮合重合によるホモポ
リマーからなるものが好ましい(請求項5)。さらに、
外側から、ポリエチレン/ホワイトポリエチレン/ポリ
エチレン/アルミニウム箔/ポリエチレン/非結晶性ポ
リエステル樹脂の順に積層している積層シートから形成
した胴部を有するものが好ましい(請求項6)。また、
外側から、ポリエチレン/ホワイトポリエチレン/ポリ
エチレン/アルミニウム箔/非結晶性ポリエステル樹脂
の順に積層している積層シートから形成した胴部を有す
るものが好ましい(請求項7)。なお前記アルミニウム
箔とポリエチレンとの間に接着層を介在させてもよい
(請求項8)。さらに前記いずれのチューブ容器におい
ても、前記胴部の上端に設けられる頭部が、ガラス転移
温度が約50℃以上のポリエステル樹脂のみを用いて構
成されているものが好ましい(請求項9)。
は、ガラス転移温度が50℃以上の非結晶性ポリエステ
ルからなる最内層、ガスバリア性を有する中間層および
ポリオレフィンからなる最外層を備えた積層シートの両
側縁を、互いに対応する向きの傾斜面でカットし、上に
乗る側をいくらか上向きにずらせて、傾斜面同士を突き
合わせ、内面側の継ぎ目部分に沿うように、上下から挟
み着ける金属または合成樹脂性のベルトのうち、下側の
ベルト表面に、溶融ポリエステルを垂らし、その上下の
ベルトで加熱加圧して、両側縁同士を接着することによ
り円筒状の胴部を形成し、ついで、その胴部の一端に合
成樹脂製の頭部を成形・接着することを特徴としてい
る。
(請求項11)は、ガラス転移温度が50℃以上の非結
晶性ポリエステルからなる最内層、ガスバリア性を有す
る中間層およびポリオレフィンからなる最外層を備えた
積層シートの両側縁を垂直にカットし、切断端面同士を
突き合わせ、最内層の継ぎ目部分に沿うように、上下か
ら挟み着ける金属または合成樹脂性のベルトのうち、下
側のベルト表面に、溶融ポリエステルを垂らし、その上
下のベルトで加熱加圧して、両側縁同士を接着すること
により円筒状の胴部を形成し、ついで、その胴部の一端
に合成樹脂製の頭部を成形・接着することを特徴として
いる。
1の態様では、傾斜面でカットした積層シートの側縁の
切断端面同士を突き合わせて、かつ、所定の状態にずら
せて溶着する。そのためポリオレフィンの最外層同士が
溶着され、ポリエステルの最内層同士が溶着する。した
がって最内層と最外層の材質が異なるにも関わらず、溶
着強度が強い。さらに傾斜面で突き合わせるので、上下
の加圧力が接合部の端面に対して強く働く。また接合面
積が広い。したがって一層接合強度が強くなる。さらに
斜めの切断端面に対して上側を上にずらせるようにして
突き合わせているので、上側のはみ出した部位が最外層
の表面上に流れて広い範囲で接合され、下側のはみ出し
た部位が最内層の表面に沿って流れて、広い範囲で接合
される。したがって一層接合強度が強くなり、また、表
面の美観も損なわれない。
エステル製の補強層を設けているので、この補強層が最
内層のポリエステル層と融着する。そのため一層溶着強
度が強い。また左右の端縁同士を対応する角度に切断し
ているので、突き合わせたとき、直線状に連続し、外観
が損なわれない。また、最内層のポリエステルが継ぎ目
部分でも連続するので、チューブ容器の内容物を保護
し、含有されている香料などを吸着したり、変質させる
おそれが少ない。しかも突き合わせのため、重ね合わせ
ないので部分的に厚くなることがなく、継ぎ目部分は美
麗な外観を呈する。
項2)は、積層シートの垂直にカットした切断端面同士
を突き合わせて溶着する。そのためポリオレフィンの最
外層同士およびポリエステルの最内層同士がそれぞれ溶
着される。したがって最内層と最外層の材質が異なるに
も関わらず、溶着強度が強い。さらに最内層の内面に継
ぎ目に沿ってポリエステル製の補強層を設けているの
で、この補強層が最内層のポリエステル層と融着する。
そのため一層溶着強度が強い。また左右の端縁同士を同
じ角度(垂直)で切断しているので、突き合わせたと
き、直線状に連続し、外観が損なわれない。また、最内
層のポリエステルが継ぎ目部分でも連続するので、チュ
ーブ容器の内容物を保護し、含有されている香料などを
吸着したり、変質させるおそれが少ない。しかも突き合
わせのため、重ね合わせないので部分的に厚くなること
がなく、継ぎ目部分は美麗な外観を呈する。
ことにより設ける場合(請求項3)は、加圧溶着により
継ぎ目部の隙間を塞ぎ、両者が剥がれるのを防止する。
さらに継ぎ目部にわずかな隙間がある場合でも、その隙
間内に溶融ポリエステルが浸透し、しっかりと継ぎ目を
補強する。そのため継ぎ目部の溶着強度が一層強くな
る。また内面に補強層を設けると、その部位がいくらか
厚くなるが、外側から見た形状はほとんど変わらず、外
見が美麗に保たれる。なお厚くなることにより、上下の
加圧力が補強層のある部分に集中し、一層しっかりと接
合される。
項4)では、両側の側縁を互いに傾斜面で斜めにカット
し、最内層が鈍角になっている側縁の内面を相手側の外
面上に重ね合わせて加熱圧着しているので、上側の端縁
では最外層が突出しており、そのためその最外層が下側
の最外層の上に流れて溶着される。また同様に、下側の
最内層が上側の最内層の内面上に流れて溶着される。そ
のため、ポリオレフィン同士およびポリエステル同士が
それぞれ溶着され、溶着強度が強くなる。さらに最内層
のポリエステルが継ぎ目部分でも連続するので、チュー
ブ容器の内容物を保護し、含有されている香料などを吸
着したり、変質するおそれが少ない。
レフタール酸またはテレフタール酸ジメチルとの縮合重
合によるホモポリマーからなるチューブ容器(請求項
5)では、内容物が接触する面がポリエステル樹脂のみ
となる。そのため内容物の有効成分、香料等が吸着され
にくいという利点がある。さらに、外側から、ポリエチ
レン/ホワイトポリエチレン/ポリエチレン/アルミニ
ウム箔/ポリエチレン/非結晶性ポリエステル樹脂の順
に積層している積層シートから形成したチューブ容器
(請求項6)では、ポリエチレン層を多く使用している
ので、柔軟なチューブになるという利点がある。また、
外側から、ポリエチレン/ホワイトポリエチレン/ポリ
エチレン/アルミニウム箔/非結晶性ポリエステル樹脂
の順に積層している積層シートから形成した胴部を有す
るチューブ容器の(請求項7)の場合は、アルミニウム
箔を高周波加熱して溶着する場合、外面層への熱の影響
を少なくすることができる。そのため、外観がよいもの
が得られる。前記アルミニウム箔とポリエチレンとの間
に接着層を介在させる場合(請求項8)は、アルミ箔と
ポリエチレンとの間で層間剥離が生じにくい。とくに接
着層をポリウレタン系の接着剤とする場合は、金属に対
して高い接着性があり、繰り返し運動に対する疲労抵抗
に優れているので、一層層間剥離が生じにくい。前記胴
部の上端に設けられる頭部が、ガラス転移温度が約50
℃以上のポリエステル樹脂のみを用いて構成されている
チューブ容器(請求項9)では、頭部の粘度が充分に高
く、重ねあわせの時にしっかりと加工することができ
る。
0)は、端部同士を加圧するベルトの上に溶融ポリエス
テルを垂らすので、従来のようにあらかじめテープを製
造しておく必要がなく、かつ、テープを搬送する装置を
必要としない。そのため装置が簡易である。また、接合
部の隙間に流れ込みやすく、そのため接合強度が強くな
る。また、垂らす溶融ポリエステルの量を調節すること
により、比較的容易に補強層の厚さや幅をコントロール
することができる。さらに切断面が斜めにカットされて
いるので、上下の加圧力が接合部の端面に対して強く働
く。また接合面積が広い。したがって一層接合強度が強
くなる。さらに斜めの切断端面に対して上側を上にずら
せるようにして突き合わせているので、上側のはみ出し
た部位が最外層の表面上に流れて広い範囲で接合され、
下側のはみ出した部位が最内層の表面に沿って流れて、
広い範囲で接合される。したがって一層接合強度が強く
なり、表面の美観も損なわれない。本発明の製造法の第
2の態様(請求項11)では、端部同士を加圧するベル
トの上に溶融ポリエステルを垂らすので、あらかじめテ
ープを製造しておく必要がなく、溶融ポリエステルが接
合部の間に流れ込み易いなど、第1の態様と同様の作用
効果を奏する。
のチューブ容器およびその製造法の実施の形態を説明す
る。図1は本発明の製造法の一実施形態における溶着工
程を示す断面図、図2および図3はその製造法による溶
着前と溶着後の接合構造を示す要部断面図、図4は図1
の溶着工程で得られた胴部の斜視図、図5はその胴部の
端部に頭部(ショルダー)を形成する工程を示す縦断面
図、図6は得られたチューブ容器の断面図、図7および
図8はそれぞれ本発明に関わる積層シートの他の実施形
態を示す拡大断面図、図9および図10はそれぞれ本発
明のチューブ容器の他の実施形態の溶着後の接合構造を
示す要部断面図、図11は本発明のチューブ容器の、さ
らに他の実施形態の溶着前の接合構造を示す要部断面図
である。
示している。この溶着工程で用いる溶着装置10は、た
とえば特開平5−147128号公報などに記載されて
いる装置と同じものでよい。この溶着装置10は、積層
シート11を流す方向に延びている円柱状のマンドレル
12と、そのマンドレル12の上面から底面にかけて長
手方向に配置されている下ベルト13と、マンドレル1
2の上側に下ベルト13と対向するように配置されてい
る加熱装置14と、加熱装置14の下面に沿って配置さ
れている上ベルト15とを備えている。マンドレル12
は横断面で示されている。下ベルト13および上ベルト
14は通常はそれぞれ無端状のスチールベルトにより構
成されている。なおそれらの表面にフッ素樹脂などでコ
ーティングしていてもよい。
1とが離れているが、実際には加熱装置14が下降して
上ベルト14と下ベルト13の間に積層シート11の両
端部を挟み込んでいる。そして両ベルト13、14がた
とえば図面の手前側に走行することにより、積層シート
11を引っ張って走行させながら連続的に溶着してい
く。なおマンドレル12の上下面には浅い凹溝12aが
形成されており、それらの凹溝によって無端状の下ベル
ト13が案内される。マンドレル12の下側の凹溝12
a内には、下ベルト13の戻り側が示されている。
に積層シート11の両側縁11a、11bが溶着工程の
前の段階で斜めにカットされており、実線で示すように
筒状に巻いたとき、切断端面同士を突き合わせている点
である。さらにこの実施形態では、上側の側縁(図1の
では左側)がいくらか上向きにずれるようにして突き合
わされている。さらに下ベルト13の上面には、補強層
を構成するための溶融ポリエステル16が接合部に沿う
ように垂らされている。溶融ポリエステルは粘度が高い
ため、このように垂らしても、たとえば断面円形状を維
持しながら棒状に延びている。
積層シート11はポリエステルの内層17と、ガスバリ
ア性を有する中間層18と、ポリオレフィンの外層19
とを積層したものである。外層19のポリオレフィンと
してはポリエチレンが通常用いられるが、ポリプロピレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などでもよい。
外層19の厚さは250〜400μm程度である。
−酢酸ビニル共重合体ケン化物(樹脂)など、ガスバリ
ア性を備えたシートないしフィルムが単体で、あるいは
熱可塑性樹脂フィルムとのラミネートシートとして用い
られる。熱可塑性樹脂フィルムは、たとえばポリエチレ
ン、ホワイトポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
酢酸ビニル共重合体樹脂などが用いられる。中間層18
の厚さは、アルミニウム箔単体の場合は、通常10〜4
0μm程度である。アルミニウム箔とポリエチレンとの
ラミネートの場合は、アルミニウム箔が10〜40μm
で、ポリエチレンが200〜300μm程度である。
7のポリエステルは、ガラス転移温度が50℃以上、好
ましくは60〜80℃の非結晶性ポリエステルである。
ガラス転移温度が50℃未満の場合は、粘度が低く、重
ね合わせのときにしっかりと加圧しにくい。また製品の
温度安定性が劣る。ガラス転移温度の上限はとくに限定
されないが、通常は65〜75℃度程度である。また非
結晶性のものを用いるのは、結晶性の場合は柔軟性が乏
しく、押出し容器に向かないためである。
ングリコールとテレフタール酸との縮合重合によるホモ
ポリマーか、エチレングリコールとテレフタール酸ジメ
チルとの縮合重合によるホモポリマーが好ましい。
ル16は、内層17を構成するポリエステルと同じ材質
が好ましく、ガラス転移温度が50℃以上の非結晶性ポ
リエステルで、エチレングリコールとテレフタール酸ま
たはテレフタール酸ジメチルとの縮合重合によるホモポ
リマーが用いられる。それにより溶着が容易になり、補
強層(図3の符号22)と内層17とが剥離しにくくな
る。
1の角度は、ベルトの幅やチューブ容器の大きさ、ある
いは積層シートの厚さによって変わるが、通常は約25
〜55゜程度が好ましい。大きい角度にすると、上下か
らの加圧作用が切断端面同士を押圧する力が弱くなる。
小さい角度にすると、切断が困難である。しかし、角度
の上限はとくになく、後述するように、直角にすること
もできる(図10参照)。側縁を斜めにカットするに
は、たとえばカット刃を固定し原反を流しながらカット
するスリッター装置などを用いるのが好ましく、それに
より連続して効率的に切断することができる。
構成する各層、とくに内層17および中間層18の厚さ
より小さい寸法だけずらせるのが好ましい。それによ
り、外層19同士および内層17同士の溶着が確実にな
る。さらに内層17の継ぎ目がポリエステルで連続する
ので、中間層18が内容物によって侵されるおそれがな
い。また中間層18が継ぎ目で連続するので、ガスバリ
ア性が充分維持される。ただし外層19については、後
述するように薄く引き延ばされて相手の表面と融着する
ので、その厚さより大きくずらせることができる。具体
的には0.3〜0.5mm程度である。
ベルト15と下ベルト13で積層シート11の側端縁を
挟みながら、加熱装置14で加熱・加圧すると、図3に
示すように、傾斜している切断端面20、21の外層1
9同士および内層17同士が溶融し、たがいに接合され
る。さらに下側の端縁の表面より突出している上側の最
外層の先端部11cが、加圧されることにより下側の最
外層の上面に薄く引き伸ばされ、広い範囲で接合され
る。同様に突出している下側の最内層の先端部11dが
上側の最内層の内面に広く延ばされる。圧着される接着
部の厚さは、たとえば0.4〜0.45mm程度にな
る。圧着と同時に溶融ポリエステル16も上下に加圧さ
れ、薄く引き延ばされて補強層22となる。そしてこの
補強層22が継ぎ目部23の隙間を塞ぐと共に、内面全
体がポリエステルで覆われている状態を維持しながら接
合部を補強する。補強層22の厚さは通常0.05〜
0.2mm程度が好ましい。幅は2〜3mm程度が好ま
しい。
形成した後は、所定の寸法に切断する。それにより、図
4に示す胴部24が得られる。ついでその胴部24を、
図5に示すような従来公知の頭部(ショルダー)を射出
成形するための金型25に挿入し、空洞部26に頭部の
材料、たとえば溶融している非結晶性ポリエステルを加
圧充填する。なおポリエチレン、ポリプロピレンなどの
ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂を用いることもでき
る。それにより図6に示すような、円錐台状肩部27と
円筒状の口部28からなる頭部29が胴部24に一体に
成形されたチューブ容器30が得られる。また、ショル
ダーを事前に成形し、別成形した肩部と、高周波により
溶着してもよい。
胴部24と同じ非結晶性ポリエステルを採用すると、頭
部29内についても内容物の香気成分を吸着しないとい
った利点がある。頭部に使用するポリエステルのガラス
転移温度は、胴部24の内層のガラス転移温度より5〜
10deg程度低いのが好ましく、たとえば50〜60
℃程度である。それにより胴部24の内層をあまり溶融
させずに、頭部29を成形することができる。なおポリ
エステルのガラス転移温度が50℃未満の場合は、粘度
が低く、重ね合わせのときにしっかりと加圧しにくく、
得られた製品の温度安定性が劣るので好ましくない。
内面全体がポリエステルで覆われているため、香料の香
気成分を吸着せず、内容物を変質させない。頭部29も
ポリエステルで製造している場合は、その部分も香気成
分を吸着させない。また胴部24の上端が頭部29によ
って包まれているため、胴部24のアルミニウムなどの
中間層が外気に触れず、腐蝕することも防ぐことができ
る。さらに胴部24の継ぎ目部23はほとんど段差がな
く、しかも補強層22は内面だけであるので、継ぎ目部
23の外観は平滑で、チューブ容器30の外観を損なわ
ない。
シートの実施形態を示す断面図である。この積層シート
11は、最外側から順に、第1ポリエチレン層31、ホ
ワイトポリエチレン層32、第2ポリエチレン層33、
アルミニウム箔34、第3ポリエチレン層35、非結晶
性ポリエステル樹脂層36の順に積層している。ここで
第1ポリエチレン層31は図3の外層19に、アルミニ
ウム箔34が中間層18に、非結晶性ポリエステル樹脂
層33が内層17にそれぞれ相当する。なお第1ポリエ
チレン層31とホワイトポリエチレン層32が外層19
に相当し、第2ポリエチレン層33、アルミニウム箔3
4および第3ポリエチレン層35が中間層18に相当す
ると考えることもできる。
層31が60μm、ホワイトポリエチレン層32が17
0μm、第2ポリエチレン層33が30μm、アルミニ
ウム箔34が30μm、第3ポリエチレン層35が30
μm、非結晶性ポリエステル樹脂層36が50μmであ
る。その場合、積層シート11の厚さは0.37mmと
なる。なおアルミニウム箔34と第2ポリエチレン層3
3または第3ポリエチレン層35との間にウレタン系な
どの接着剤を介在させてもよい。
に設ける補強層の厚さは、たとえば50μmであり、幅
は5mm程度である。このような積層シート11で製造
したチューブ容器は、内容物によるチューブ容器の腐蝕
防止の効果が高く、さらシール強度を強く保つことがで
きるなどの利点がある。そのためたとえば、消炎鎮痛
剤、角化症クリームなどを充填するのに用いられる。
順に、第1ポリエチレン層31、ホワイトポリエチレン
層32、第2ポリエチレン層33、アルミニウム箔3
4、非結晶性ポリエステル樹脂層36の順に積層してい
る。各層の厚さは、たとえば第1ポリエチレン層31が
60μm、ホワイトポリエチレン層32が170μm、
第2ポリエチレン層33が60μm、アルミニウム箔3
4が30μm、非結晶性ポリエステル樹脂層36が50
μmであり、全体の厚さは0.37mmとなる。すなわ
ちこの実施形態では、図7の積層シートと比べると、第
3ポリエチレン層35を省略している。この場合もアル
ミニウム箔34と第2ポリエチレン層33との間にウレ
タン系などの接着剤を介在させてもよい。
4が薄いため、柔軟で絞り出し性が高い。そのためとく
に小型のチューブ容器に用いるのが好ましい。このもの
も内層がポリエステルであるため、内容物に香料が含ま
れている場合に、その香気成分がチューブ容器に吸着を
生ずるおそれが低い。
ほぼ同じであるが、補強層22a、22bが継ぎ目部の
上下に設けられている。下側の補強層22aは前述の場
合と同様にして下ベルトの上面に溶融ポリエステル樹脂
を垂らして構成することができる。また、上側の補強層
22bは外層19を構成する材料と同じもの、たとえば
ポリエチレンを使用するのが好ましい。上側の補強層2
2bの厚さおよび幅も下側と同じく、たとえば厚さ50
〜200μm、幅5mm程度とする。この補強層22b
は、たとえば図3のようにたがいに重ねた積層シート1
1の側縁部の上面に、溶融ポリエチレン(図示していな
い)を垂らし、その後、下ベルトと上ベルトで圧着する
ことにより効率的に形成しうる。なお、別個に製造した
テープを重ねて圧着することによっても形成しうる。
a、22bを設けているので、接合強度が一層強い。ま
た接合部へ外気が浸透しにくいため、中間層18がアル
ミニウム箔などの金属箔の場合に錆を防ぐことができ
る。
層シート11の側端縁を垂直にカットし、その切断端面
20、21同士を突き合わせ、継ぎ目部23の内面側に
補強層22を設けたものである。内層17、中間層1
8、外層19および補強層22は図2の場合と同じ材料
が用いられる。前述と同じように、補強層22は溶融ポ
リエステルを下ベルト表面に垂らし、上下から積層シー
ト11の側端縁同士を圧着するときに扁平になる。なお
この実施形態では、上下の加圧力が切断端面20、21
同士の加圧力にならない。そのため、たとえば平坦な積
層シート11を丸めるためのガイドから受ける反力など
の作用により、切断端面同士を押圧させるようにする。
強度が強い。さらに補強層22により左右の端縁同士の
隙間が塞がれるとともに、しっかりと接合される。ま
た、接合部の厚さが他の部分と実質的に同じであり、接
合部の外側の表面が面一であるので好ましい外観を呈す
る。なお図10に示す接合構造においても、図9のよう
に上下に補強層を設けることができる。
の両側縁を、互いに対応する向きの傾斜面で斜めにカッ
トし、最内層が鈍角になっている側(図11では左側)
の内面を最内層が鋭角になっている側(図11では右
側)の外面上に重ね合わせて加熱圧着して円筒状に形成
する。通常は補強層は設けない。積層シート11は図2
の場合と同様であり、ガラス転移温度が50℃以上の非
結晶性ポリエステルからなる最内層17、ガスバリア性
を有する中間層18およびポリオレフィンからなる最外
層19を備えている。
フィンとポリエステルであるので、溶着強度が弱い。し
かし上下から加熱・加圧することにより、上側の側縁の
ポリオレフィンからなる最外層19の先端部が、下側の
側縁のポリオレフィンからなる最外層19の表面に押し
つけられ、その部分で溶着される。同様に、下側の側縁
のポリエステルからなる最内層17の先端部が、下側の
側縁のポリエステルからなる最内層17の表面に押しつ
けられ、その部分でも溶着される。それにより左右の側
縁がしっかりと溶着される。さらに各切断端面20、2
1は相手側の差外表面または内表面に密接されて溶着さ
れるので、中間層18が外部に露出せず、腐蝕のおそれ
が少ない。このものは図3や図10の突き合わせによる
接合構造とは異なり、重ね合わせにより接合しているの
で、接合部の厚さが厚い。そのため補強層を設けない方
が好ましい。
程を示す断面図である。
要部断面図である。
要部断面図である。
る。
する工程を示す縦断面図である。
ある。
示す拡大断面図である。
形態を示す拡大断面図である。
接合構造を示す、要部断面図である。
態の溶着後の接合構造を示す要部断面図である。
態の溶着前の接合構造を示す要部断面図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 ガラス転移温度が50℃以上の非結晶性
ポリエステルからなる最内層、ガスバリア性を有する中
間層およびポリオレフィンからなる最外層を備えた積層
シートの両側縁を、互いに対応する向きの傾斜面で斜め
にカットし、上に乗る側をいくらか上向きにずらせて、
傾斜面同士を突き合わせ、内面側の継ぎ目部分に沿って
ポリエステルからなる補強層を設けて、加熱圧着して円
筒状に形成した胴部を備えていることを特徴とするチュ
ーブ容器。 - 【請求項2】 ガラス転移温度が50℃以上の非結晶性
ポリエステルからなる最内層、ガスバリア性を有する中
間層およびポリオレフィンからなる最外層を備えた積層
シートの両側縁を垂直にカットし、切断端面同士を突き
合わせ、最内層の継ぎ目部分に沿って、ポリエステルか
らなる補強層を設けて、加熱圧着して円筒状に形成した
胴部を備えていることを特徴としているチューブ容器。 - 【請求項3】 前記補強層が、溶融ポリエステルを垂ら
して加熱圧着することにより固定したものであることを
特徴とする請求項1記載のチューブ容器。 - 【請求項4】 ガラス転移温度が50℃以上の非結晶性
ポリエステルからなる最内層、ガスバリア性を有する中
間層およびポリオレフィンからなる最外層を備えた積層
シートの両側縁を、互いに対応する向きの傾斜面で斜め
にカットし、最内層が鈍角になっている側縁の内面を相
手側の側縁の外面上に重ね合わせて加熱圧着して円筒状
に形成した胴部を備えていることを特徴としているチュ
ーブ容器。 - 【請求項5】 前記最内層の材質が、エチレングリコー
ルとテレフタール酸またはテレフタール酸ジメチルとの
縮合重合によるホモポリマーからなる請求項1、2、3
または4記載のチューブ容器。 - 【請求項6】 外側から、ポリエチレン/ホワイトポリ
エチレン/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレ
ン/非結晶性ポリエステル樹脂の順に積層している積層
シートから形成した胴部を有する請求項1、2、3また
は4記載のチューブ容器。 - 【請求項7】 外側から、ポリエチレン/ホワイトポリ
エチレン/ポリエチレン/アルミニウム箔/非結晶性ポ
リエステル樹脂の順に積層している積層シートから形成
した胴部を有する請求項1、2、3または4記載のチュ
ーブ容器。 - 【請求項8】 アルミニウム箔とポリエチレンとの間に
接着層が介在されている請求項6または7記載のチュー
ブ容器。 - 【請求項9】 前記胴部の上端に設けられる頭部が、ガ
ラス転移温度が約50℃以上のポリエステル樹脂のみを
用いて構成されたことを特徴とする請求項1、2、3、
4、5、6、7または8のいずれかに記載のチューブ容
器。 - 【請求項10】ガラス転移温度が50℃以上の非結晶性
ポリエステルからなる最内層、ガスバリア性を有する中
間層およびポリオレフィンからなる最外層を備えた積層
シートの両側縁を、互いに対応する向きの傾斜面でカッ
トし、上に乗る側をいくらか上向きにずらせて、傾斜面
同士を突き合わせ、内面側の継ぎ目部分に沿うように、
上下から挟み着ける金属または合成樹脂性のベルトのう
ち、下側のベルト表面に、溶融ポリエステルを垂らし、
その上下のベルトで加熱加圧して、両側縁同士を接着す
ることにより円筒状の胴部を形成し、ついで、その胴部
の一端に合成樹脂製の頭部を成形・接着することを特徴
とするチューブ容器の製造法。 - 【請求項11】 ガラス転移温度が50℃以上の非結晶
性ポリエステルからなる最内層、ガスバリア性を有する
中間層およびポリオレフィンからなる最外層を備えた積
層シートの両側縁を垂直にカットし、切断端面同士を突
き合わせ、最内層の継ぎ目部分に沿うように、上下から
挟み着ける金属または合成樹脂性のベルトのうち、下側
のベルト表面に、溶融ポリエステルを垂らし、その上下
のベルトで加熱加圧して、両側縁同士を接着することに
より円筒状の胴部を形成し、ついで、その胴部の一端に
合成樹脂製の頭部を成形・接着することを特徴とするチ
ューブ容器の製造法。
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