JP2015083343A - 多層フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
このようなことから、近年ではポリプロピレン系樹脂を使用した多層フィルムの技術として、接着剤を使用しない技術も用いられてきている。
[1]少なくともA層/B層/C層/D層がこの順で積層されており、
A層は、ポリプロピレン系樹脂を含有し、
B層は、シングルサイト触媒を用いて重合して得られるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体からなり、かつJISK7112に準拠して測定した密度が0.88〜0.92g/cm3である樹脂(b)をB層の全質量に対して65質量%以上含有し、
C層は、ポリエチレン系樹脂を含有し、
D層は、ポリエステル系樹脂を含有する、
多層フィルム。
[2]前記各層の界面の層間剥離は、5N/15mm以上であることを特徴とする[1]に記載の多層フィルム。
[3]前記ポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体又はこれらの混合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載の多層フィルム。
[4]前記ポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン(LDPE)または、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることを特徴とする[3]に記載の多層フィルム。
[5]前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンと、エチレン及び/または炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[6]前記ポリプロピレン系樹脂は、ランダム共重合体であることを特徴とする[5]に記載の多層フィルム。
[7]前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする[1]ないし[6]にいずれか1項に記載の多層フィルム。
を、提供するものである。
本発明の多層フィルムにおいては、樹脂(b)として、シングルサイト触媒を用いて重合して得られたエチレンと炭素数4以上のエチレン−αオレフィン共重合体を用い、その密度を0.88g/cm3以上とすることで、B層の強度不足による多層フィルムの強度低下を抑制することができる。
また、当該エチレン−αオレフィン共重合体の密度を0.92g/cm3以下とすることで、ポリプロピレン系樹脂層(A層)及びポリエチレン系樹脂層(C層)との層間接着性能が良好となり、A層とB層の層間剥離及びB層とC層の層間剥離を抑制することができる。
このようなエチレン−α−オレフィン共重合体としては、たとえば、日本ポリエチレン社製のカーネル、プライムポリマー社製のエボリュー等があげられる。
ここで、樹脂(b)以外にB層が含有できる樹脂としては、例えば、後述するポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等である。
本発明で使用するポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体(低密度ポリエチレン(LDPE)、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE) 、メタロセン系触媒を用いて重合して得られたエチレン−α−オレフィン共重合体(メタロセン系ポリエチレン等)及びこれらの混合物等が例示できる。
なかでも、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましく使用することができる。
低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用することで、樹脂(b)との相溶性が好ましくなり、B層との層間剥離性をより好適なものとすることができる。 このようなポリエチレン系樹脂としては、たとえば、日本ポリエチレン社製のノバテックLDやノバテックLL、住友化学社製のスミカセン等があげられる。
本発明においては、A層に用いるポリオレフィン系樹脂として、プロピレンと、エチレン及び/または他のα−オレフィンとの共重合体を使用することが好ましい。前記プロピレンの共重合体としてはプロピレンと、エチレン及び/または他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、またはブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等が挙げられる。前記プロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとしては、炭素原子数が4〜12のものが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等が挙げられ、その1種または2種以上の混合物が用いられる。通常、α−オレフィンの混合割合はプロピレンに対して1〜1 0重量%程度である。
なかでも、ランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)を好ましく使用することができる。
このようなポリプロピレン系樹脂としては、たとえば、日本ポリプロ社製のノバテックPP、プライムポリマー社製のプライムポリプロ等があげられる。
本発明で使用することができるポリエステル系樹脂としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルがあげられる。これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。
たとえば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。その目的に応じ、脂肪族ジカルボン酸を共重合しても構わない。
剥離強度を5N/15mm以上とすることで、さまざまな用途で使用する場合において、多層フィルムが層間剥離することを抑制することができ、更に10N/15mm以上とすることで、より厳しい条件で使用される用途にも使用することができ、特に12N/15mm以上とすることで、長期間使用する用途においても剥離性能により適した性能を得ることができる。
また、ポリエチレン系樹脂を含有するC層とポリエステル系樹脂を含有するD層の層間の接着強度をより強固にするために、プライマーコートを用いることが好ましい。
各層に使用した樹脂は下記に示す樹脂を使用した。
樹脂(a):ランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製:ノバテックFX3B)
樹脂(b):エチレン−α−オレフィン共重合体(日本ポリエチレン社製:カーネルKF370)
樹脂(c):LDPE(日本ポリエチレン社製:LC500)
フィルム(d):二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製:ダイアホイルS100(厚み0.05mm))
(1)A層/B層多層フィルムの作製方法
2台の東芝機械製単軸押出機(A層:50mmφ、L/D=32、B層:35mmφ、L/D=25)を使用し、A層に樹脂(a)を100質量%、B層に樹脂(b)を100質量%使用し、シリンダー温度を200℃に設定し、フィードブロック温度を200℃に設定し、多層Tダイ成形方法を使用し、Tダイ幅を550mm、設定温度を200℃とし、A層/B層の2層を合流させ押出した。
押出された溶融樹脂は冷却ロールを供えた巻取り機にて冷却固化し、0.06mm(A層0.05mm、B層0.01mm)の多層フィルムを作製した。
(2)A層/B層/C層/D層の多層フィルム作製方法
1台の東芝機械製単軸押出機(C層:50mmφ、L/D=32)を使用し、C層に使用する樹脂(c)を100質量%使用し、シリンダー温度を200℃に設定し、Tダイ成形方法を使用し、Tダイ幅を550mm、設定温度を200℃とし、(1)で作製した多層フィルム(A層/B層)のB層側とD層に使用するフィルム(d)の間にC層を押出した。C層を介して貼り合わされた多層フィルム(A層/B層/C層/D層)は冷却ロールを供えた巻取り機(ロール温度23℃)にて冷却固化し、0.13mm(A層0.05mm、B層0.01mm、C層0.02mm、D層0.05mm)の多層フィルムを作製した。
尚、D層に使用するフィルム(d)は、C層と接する側の表面にプライマーコートを塗布する。
B層に使用する樹脂の配合比を、樹脂(b):樹脂(a)=80:20とする以外は、実施例1と同様の方法で多層フィルムを作製した。
B層に使用する樹脂の配合比を、樹脂(b):樹脂(a)=60:40とする以外は、実施例1と同様の方法で多層フィルムを作製した。
B層に使用する樹脂を、樹脂(c)とする以外は、実施例1と同様の方法で多層フィルムを作製した。
B層に使用する樹脂を、樹脂(a)とする以外は、実施例1と同様の方法で多層フィルムを作製した。
<剥離評価>
得られた多層フィルムを長さ150mm、幅15mmにサンプリングし、A層とD層をチャックした状態で、引張速度を300mm/minとし、T型剥離試験を実施し、その時の剥離強度を測定した。なお、引張り試験機は島津製作所製オートグラフAGS−Xを使用した。
その結果を表1に示す。
一方、比較例1及び2は、A層とB層において剥離が発生し、この剥離強度は、それぞれ、0.6N/15mm、0.5N/15mmであった。また、比較例3はB層とC層において剥離が発生し、この剥離強度は1.5N/15mmであった。この結果、比較例1〜3のいずれも剥離強度が低いことが確認された。
Claims (7)
- 少なくともA層/B層/C層/D層がこの順で積層されており、
A層は、ポリプロピレン系樹脂を含有し、
B層は、シングルサイト触媒を用いて重合して得られるエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体からなり、かつJISK7112に準拠して測定した密度が0.88〜0.92g/cm3である樹脂(b)をB層の全質量に対して65質量%以上含有し、
C層は、ポリエチレン系樹脂を含有し、
D層は、ポリエステル系樹脂を含有する、
多層フィルム。 - 前記各層の界面の層間剥離は、5N/15mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルム。
- 前記ポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の多層フィルム。
- 前記ポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン(LDPE)または、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることを特徴とする請求項3に記載の多層フィルム。
- 前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンと、エチレン及び/または炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の多層フィルム。
- 前記ポリプロピレン系樹脂は、ランダム共重合体であることを特徴とする請求項5に記載の多層フィルム。
- 前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の多層フィルム。
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