JP2001205654A - 熱可塑性ポリエステル系樹脂の発泡シート及び発泡体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル系樹脂の発泡シート及び発泡体の製造方法

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JP2001205654A
JP2001205654A JP2000015277A JP2000015277A JP2001205654A JP 2001205654 A JP2001205654 A JP 2001205654A JP 2000015277 A JP2000015277 A JP 2000015277A JP 2000015277 A JP2000015277 A JP 2000015277A JP 2001205654 A JP2001205654 A JP 2001205654A
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foam
sheet
foamed
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pat
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Katsumi Yamaguchi
勝己 山口
Hiroyuki Ueno
裕之 上野
Minoru Fujishima
稔 藤島
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Sekisui Kasei Co Ltd
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Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 押出発泡によって低い結晶化度の熱可塑性ポ
リエステル系樹脂の発泡シートを作り、これを再加熱し
て2次発泡を行わせて高倍率に発泡したシートを作る方
法において、厚みの薄い押出発泡シートであっても、ま
た押出後長期間放置したあとでも、再加熱により良好な
発泡体が得られる方法を提供しようとする。 【解決手段】 押出発泡シートを熱処理して、発泡シー
トにおける表面層の結晶化度Csと中心層の結晶化度C
cとの間に、特殊な関係を持たせておき、これを2次発
泡させる。特殊な関係とはCsが30%以下であり、C
sがCcよりも大きく、Cs−Ccが20%以下であ
る、という関係である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂の発泡シートに関するものであり、またそ
れを2次発泡させて得られる発泡体の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に熱可塑性樹脂の発泡体は、軽量で
断熱性に富むので、色々な方面に用いられている。例え
ば、ポリスチレンの発泡体は建材、緩衝材及び食品運搬
用の箱として広く用いられている。また、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンの発泡体は、建材及び包装材として
広く用いられている。ところが、これらの樹脂は耐熱性
に乏しく機械的強度も弱いために、これらの樹脂で作ら
れた発泡体は、高熱に接触したり、機械的強度が要求さ
れる分野では、使用できないものとされている。
【0003】これに対し、熱可塑性のポリエステル系樹
脂は、機械的強度が大きくとくに剛性にすぐれており、
また200℃に耐えるほどの耐熱性を持っている。従っ
て、熱可塑性ポリエステル系樹脂を発泡体にすれば、そ
の発泡体は高熱に耐え、機械的強度も強いので、これま
で使用できなかった分野に発泡体として広い利用がある
ものと期待される。そこで、熱可塑性ポリエステル系樹
脂(以下、これをPATという)を発泡させて、発泡体
にしようとする試みがなされた。ところが、PATは発
泡させることが困難で、とくに高倍率の良好な発泡体に
することが現在のところできていない。
【0004】PATを発泡させるのが困難な理由は、P
ATが発泡に適した溶融粘度を示さないからである。詳
述すれば、PATを加熱して行くと、或る温度で急激に
軟化して粘度の低い液体になるので、発泡に適した粘度
を示す温度範囲が非常に狭いからである。そのため、P
AT溶融物に発泡剤を含有させても、ガスがPAT溶融
物から直ぐに逸散してしまう。従って、PATはこれを
発泡させても低い倍率にとどまり、高い倍率に発泡させ
ることが困難である。
【0005】そこで、PATの溶融粘度を改良して、発
泡に適した溶融粘度をPATに与え、これによってPA
T発泡体を得ようと試みられた。その試みは、例えばP
ATにジエポキシ化合物を混合したり、周期律表の第1
a族及び第2a族の金属化合物とジエポキシ化合物との
混合物を加えたり、無水ピロメリット酸のような改質剤
を加えて、PATの溶融粘度を上昇させる方法である。
この試みによれば、PATは確かに発泡させ易くなった
が、しかしそれだけではまだ高倍率に発泡させることが
困難であった。従って、高度に発泡した低密度のPAT
発泡体を得ることができなかった。そこで、さらに発泡
方法の改良が試みられた。
【0006】一般に、合成樹脂の発泡体を能率よく製造
する方法としては、押出発泡がすぐれている。押出発泡
とは、合成樹脂を押出機に入れて加熱溶融し、溶融した
樹脂に押出機の中で発泡剤を圧入して発泡性の溶融樹脂
を作り、これを低圧領域へ押し出して樹脂を発泡させる
という方法である。PAT発泡体を作る場合も、その発
泡方法は専ら押出発泡に集中してその改良が試みられ
た。また、PATは、上述のように1回だけの発泡で高
い倍率に発泡させることが困難であるから、押出発泡に
よって作ったPAT発泡体をその後再加熱して2次発泡
させることが行われた。
【0007】特公平5−83573号公報は、PATを
押出発泡により発泡させて得られた直後の高温のPAT
発泡シートを急冷して、結晶化度を30%以下に低く押
さえた発泡シートを作り、その後60℃以上に再加熱し
て2次発泡させることからなる、2回発泡のPAT発泡
シートの製造方法を開示している。この開示によれば、
よく発泡した低密度のPAT発泡シートを得ることがで
きる。またこの方法では、押出発泡によってPAT発泡
シートを作ってのち、3日位経過してから2次発泡させ
るのが適している、と記載している。
【0008】また、特公平7−68395号公報は、押
出発泡によって得た結晶化度が30%以下の低結晶性の
PAT発泡体を、60℃以上の水又は水蒸気に接触させ
再加熱して2次発泡を行わせるとともに、2次発泡体の
結晶化度を30%以下に押さえ、その後に2次発泡体を
水以外の100℃以上の加熱媒体に接触させて加熱し、
3次発泡を行わせる、という3回発泡によるPAT発泡
体の製造方法を開示している。この方法によれば、確か
に高い倍率に発泡した低密度のPAT発泡体が得られ
る。
【0009】このように、まず押出発泡によって結晶化
度の低いPAT発泡体を作り、その後にPAT発泡体を
再加熱して2次発泡を行わせ、こうして高倍率のPAT
発泡体を作ることが知られていた。
【0010】ポリスチレン等の合成樹脂発泡体を複数回
にわたって発泡させる場合には、前の発泡から次の発泡
までの期間をある程度長くした方が良い結果の得られる
ことが知られている。それは、この期間内に気泡内の気
体が入れ代わって発泡体が安定化すると考えられてい
る。この期間を一般に熟成期間と呼び、一定の熟成期間
を置いて次の発泡を行うのが普通である。熟成期間は合
成樹脂の種類によって異なるが、普通7〜30日の範囲
とされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この発明者は、特公平
5−83573号公報及び特公平7−68395号公報
に開示されたPAT発泡体の製造方法を追試した。その
結果、これらの方法は、適用範囲が狭い、という欠点の
あることに気付いた。
【0012】すなわち、これらの製造方法によっては、
押出発泡後7日以内位の発泡体、すなわち熟成期間の短
いPAT発泡シートを使用し、これを再加熱して2次発
泡させると、発泡後の収縮が少なく、従って外観の悪く
ない2次発泡体を得ることができる。ところが、押出発
泡後7日ないし30日を経過したような熟成期間が普通
のPAT発泡体を使用し、これを再加熱して2次発泡を
行うと、発泡後の収縮が大きく、発泡体が大きく変形し
て良質の発泡体の得られないことに気付いた。
【0013】また、PATを押出発泡させて厚みの薄い
発泡シートを作り、これを再加熱し2次発泡させると、
この場合にも良質の発泡体が得られないことに気付い
た。このように、これまで知られていた方法は、適用範
囲が狭いという欠点を持っていた。
【0014】そこで、この発明者は、上述のような欠点
のないPAT発泡体の製造方法を提供しようと企てた。
すなわち、この発明者は、上記2つの公報が教えるよう
に、押出発泡によって低い結晶化度のPAT発泡シート
を作り、これを再加熱して2次発泡を行わせ、こうして
高倍率に発泡したPAT発泡体を得る方法において、押
出発泡によって厚みの薄い発泡シートを作っても、また
押出発泡後数十日という程の長い熟成期間をおいた発泡
シートを用いても、何れもこれを再加熱して2次発泡さ
せると、よく発泡して良質の発泡体が得られるような、
PAT発泡体の製造方法を提供しようとしてなされたも
のである。
【0015】
【課題解決のための手段】この発明者は、押出発泡によ
って得られた低結晶化度のPAT押出発泡シートを再加
熱して2次発泡させる際に、押出発泡シートにおける表
面層の結晶化度と、中心層の結晶化度とを予め調整して
おくことによって、上記問題が解決できることを見出し
た。
【0016】すなわち、この発明者は、低結晶化度の押
出発泡シートを表面から加熱して発泡シートにおける表
面層の結晶化度を高め、表面層の結晶化度Csを中心層
の結晶化度Ccよりも大きくし、しかもCsとCcとの
差を20%以下に押さえ、またCsを30%以下に押さ
えておくと、この発泡シートを再加熱して2次発泡させ
ることにより、上記問題が一挙に解決できることを見出
した。
【0017】上述のように、この発明では結晶化度を問
題にするが、その結晶化度は、特公平5−83573号
公報及び特公平7−68395号公報が問題とする結晶
化度とは大きく異なっている。なぜならば、上記公報は
発泡体全体又は発泡体表面層の平均的な結晶化度を問題
とするだけであるが、この発明は、1つの発泡体におけ
る表面層の結晶化度Csと中心層の結晶化度Ccとの関
係を特殊な関係に維持することを必要としているからで
ある。
【0018】この発明者が調べたところでは、押出発泡
させて得られた普通のPAT発泡体は、押し出された直
後に表面から冷却されるので、表面は結晶化する遑がな
く、低い結晶化度のものとなるが、中心層は暫く高温に
保たれるために結晶化度が高くなる。このため、押出発
泡されたままの通常の発泡体は、中心層の結晶化度Cc
が表面層の結晶化度Csよりも大きくなっている。逆に
言えば、押出発泡によって得られたPAT発泡シートで
は、表面層の結晶化度Csが中心層の結晶化度Ccより
も大きくなることは絶対にあり得ない。
【0019】これに対し、この発明では、押出発泡によ
って得られたPAT発泡シートを表面から加熱して、表
面層の結晶化度Csを高め、Csが中心層の結晶化度C
cよりも大きい発泡シートとする。すなわち、まずPA
Tを押出発泡させて得られた発泡シートの表面を、押出
発泡の直後にPATのガラス転移点以下に急冷して低結
晶化度のPAT発泡シートを作り、その後このPAT発
泡シートの表面に例えば加熱ロールを接触させて、発泡
シートの表面をPATの結晶化温度に暫く保持して、表
面層の結晶化度Csを高め、Csが中心層の結晶化度C
cよりも大きくするのである。PATを発泡させる目的
で、このようにCsをCcよりも高くしたPAT発泡シ
ートは、これまでに知られていない。
【0020】この発明では、CsをCcよりも大きくす
ると言うだけでなく、その差Cs−Ccを20%以下と
し、さらにCsを30%以下とすることを必要としてい
る。Cs−Ccを20%以下にすることは、CsとCc
との差が大きくなり過ぎると、あとで再加熱して全体を
均一に2次発泡させることが困難となるからである。ま
た、Csを30%以下に保持するのは、結晶化度が大き
くなり過ぎると、やはり2次発泡させることが困難とな
るからである。
【0021】この発明では、上述のように、低結晶化度
のPAT押出発泡シートの表面を加熱して表面層の結晶
化度Csを高め、これによってCsが30%以下であ
り、CsがCcよりも高く、その差Cs−Ccが20%
以下であるPAT発泡シートを作り、これを再加熱して
2次発泡させることとしたので、押出発泡シートの厚
み、発泡倍率及び経歴に関係なく、高倍率の良好な発泡
体を容易にしかも確実に得ることができる。従って、C
sがCcよりも大きく、その差Cs−Ccが20%以下
であり、さらにCsが30%以下のPAT発泡シート
は、高倍率の良好なPAT発泡体を製造する上で、極め
て有意義な中間体である。
【0022】よって、この発明は、PAT発泡シートで
あって、表面層の結晶化度Csが30%以下であり、中
心層の結晶化度Ccよりも大きく、その差Cs−Ccが
20%以下であることを特徴とする、再加熱して2次発
泡させるためのPAT発泡シートを提供するものであ
る。
【0023】また、この発明は、上記PAT発泡シート
を経由する高倍率に発泡した良質のPAT発泡体の製造
方法を提供するものである。その製造方法は、PATを
押出機に入れて溶融し、これに発泡剤を含ませてのち、
これをシート状に成形して低圧領域へ押し出して発泡さ
せ、発泡したシートを急冷して低結晶化度の押出発泡シ
ートを作り、その後押出発泡シートを表面から加熱して
表面層の結晶化度Csを高め、Csを中心層の結晶化度
Ccよりも大きくし、その差Cs−Ccが20%以下で
且つCsが30%以下の発泡シートとし、その後この発
泡シートを水蒸気に接触させて再加熱し、2次発泡させ
ることを特徴とするものである。
【0024】
【発明実施の形態】この発明では、樹脂としてPATを
用いる。PATは、芳香族のジカルボン酸と2価のアル
コールすなわちジオールとの間で、エステル化反応を行
わせて得られた高分子量の鎖状ポリエステルである。ジ
カルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、2、
6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカ
ルボン酸、ジフェノキシジカルボン酸等のジカルボン酸
が主体であるが、少量のトリメリット酸、ピロメリット
酸等のトリ又はテトラカルボン酸を用いることもでき
る。
【0025】他方、ジオールとしてはエチレングリコー
ル、ブタンジオール、シクロヘキサンジメチロール、ジ
エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、2、2−ビス(4−β−ヒドロキ
シエトキシフェニル)プロパンを用いることができる。
そのほか少量のグリセリン、ペンタエリスリトール等の
3価又は4価のアルコールを少量用いることができる。
【0026】PATの好適な具体例としては、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート
樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、及びポリブチレ
ンナフタレート樹脂を用いることが好ましい。この発明
では、PATとして、ペットボトルの回収品のような再
生PATをも使用することができる。また、上述のPA
Tに、少量の他の樹脂、例えばポリオレフィン樹脂を添
加して用いることもできる。
【0027】この発明では、まずPATを押出発泡させ
てPATの押出発泡シートを作るが、その前にPATを
乾燥し、PATに種々の添加剤を加える。乾燥するの
は、PATが加水分解し易い樹脂であるから、押出機内
でPATが加水分解するのを避けるためである。添加剤
とは、押出発泡を容易にするためにPATに加えるもの
であって、例えばPATの溶融粘度を増大させるために
加える前述の改質剤や、PATの発泡時に気泡の大きさ
及び分布を調整するための気泡調整剤などを指してい
る。改質剤としては、無水ピロメリット酸及び炭酸ソー
ダを用いるのが好ましく、また調整剤としては四フッ化
エチレンを用いるのが好ましい。
【0028】この発明では、上述の添加剤を加えたPA
T混合物を押出機に入れて押出発泡を行う。この操作
は、上記のPAT混合物を押出機に入れ、押出機内で加
熱溶融し、溶融状態のPATに発泡剤を圧入し、シート
状に成形して、これを低圧領域へ押し出して発泡シート
とすることである。こうして押し出した直後の発泡シー
トをPATのガラス転移点以下に急冷して、全体の結晶
化度を30%以下、好ましくは20%以下、さらに好ま
しくは10%以下に押さえて、低結晶化度のPAT発泡
シートとする。このPAT発泡シートは、通常2〜5倍
程度の低い倍率に発泡したものである。
【0029】上述の乾燥方法、添加剤、発泡剤及び急冷
の操作等は公知であって、特公平5−83573号及び
特公平7−68395号公報に記載されている通りに実
施すればよいので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0030】PAT発泡シートの結晶化度の測定につい
ては、特公平5−83573号及び特公平7−6839
5号公報に詳しく説明されている。この発明におけるP
AT発泡シートの結晶化度の測定は、これらの公報に説
明されているところと変わりがない。その原理となるの
は、PAT発泡シートを定速で加熱して行くと、初めに
結晶が増大し、その後に融解するが、結晶の増大時には
発熱し、融解時には融解熱を吸収するという特性をPA
T発泡シートが持っているので、結晶化に際して放出す
る冷結晶化熱量と、融解の際に吸収する融解熱量とを測
定し、これを完全結晶の理論から導かれた融解熱量と対
比して、結晶化度が算出できる、ということである。
【0031】実際にPAT発泡シートの冷結晶化熱量
と、融解熱量とを測定するには、特公平5−83573
号公報が記載しているように、示差走査熱量計を用いる
のが便利である。例えば、まず試料約7mgを精秤し、
示差走査熱量計の測定部に固定し、次いで1分あたり5
℃の割合で昇温させて示差走査熱量曲線を作る。融解熱
量は、上記曲線の200℃の点と、270℃の点とを結
んだ直線をベースラインとして算出する。他方、冷結晶
化熱量は、上記曲線の100℃の点と181℃の点とを
結んだ直線をベースラインとして算出する。
【0032】ただ、押し出された直後の発泡シートの急
冷については、次の点に注意する必要がある。急冷の具
体的手段は、PATを円筒状で押し出す場合と、平板状
で押し出す場合とでは、変える必要がある。円筒状で押
し出す場合には、円筒の内部に丁度入るマンドレルを用
意し、マンドレルを水で冷却しながら発泡シートをマン
ドレルに沿って進行させ、発泡シートの内面をマンドレ
ルに密接させて冷却するとともに、発泡シートの外面は
冷気を吹き付けて冷却する。これに対し、平板状で押し
出す場合には、発泡シートの両面を冷却されたロール又
はエンドレスベルトに接触させて冷却する。何れの場合
も、発泡シートの両面をなるべく均等に冷却するように
努めることが必要である。
【0033】こうして急冷されたPAT発泡シートは、
前述のように、シートの表面層に位置するPATが、結
晶化する遑のないままに固化するので、結晶化度が低く
なるが、中心層のPATは、表面層が冷却されてもなお
暫くは高い温度にあるために、ある程度結晶化を起こし
て表面層よりも高い結晶化度を持つこととなる。例え
ば、押出発泡シートの厚みが1.3mmのときには、表
面層の結晶化度Csは4.4%となるが、中心層の結晶
化度Ccは5.5%となる。このように、表面層の結晶
化度は中心層の結晶化度より必ず低い。
【0034】ここで、PAT発泡シートにおける表面層
とは、発泡シートの両表面から約0.3mmの厚さに表
皮を剥ぎ取った層である。この剥ぎ取った層を試料とし
て結晶化度を測定して得た値が表面層の結晶化度であ
る。これに対し、PAT発泡シートにおける中心層と
は、発泡シートを厚さ方向の中点で裂いて、露出した表
面から約0.3mmの厚さの層を剥ぎ取った層である。
この剥ぎ取った層を試料として結晶化度を測定した値
が、中心層の結晶化度である。なお、発泡シート全体の
結晶化度は、発泡シートの厚み方向の全体から採取した
試料について測定した値である。
【0035】この発明では、上述のようにして押出発泡
させて得られた発泡シートを熱処理する。熱処理とは、
PAT押出発泡シートを両表面から均等に加熱し、両表
面層をPATの結晶化温度の範囲内に保持して、表面層
にあるPATの結晶化度を高めることを意味している。
PATの結晶化温度は、PATの組成とくにPATを構
成しているジカルボン酸とジオールとの種類やPATの
平均分子量によって異なるが、一般的に言えば、110
〜220℃の範囲内にある。従って、熱処理は、このよ
うな範囲内の適当な温度に、両表面層を加熱することを
意味している。
【0036】この場合の加熱は、PAT発泡シートの両
表面層だけが加熱されて、中心層にまで加熱が及ぶこと
をなるべく避けなければならない。そこで、加熱方法と
しては、PATの結晶化温度よりやや高い温度に加熱さ
れた金属表面にPAT発泡シートを接触させて、金属表
面からの熱伝導によって加熱するのが好ましい。それに
は、金属として熱伝導性の良いアルミニウム、銅又は鉄
で作られたロール又はエンドレスベルトを用いるのが好
ましい。また、このようなロール又はエンドレスベルト
は連続的に加熱できるものであることが好ましい。また
加熱は、加熱が発泡シートの中心層に及ぶ頃を見計らっ
て止めるようにすることが好ましい。従って、加熱時間
は数秒ないし数十秒の範囲内とすることが好ましい。ま
た、押出発泡させて得られた発泡シートを少なくとも2
層に積層したのち熱処理しても良い。積層の方法は特に
限定しないが、熱処理後の積層された発泡シートの表面
層の結晶化度Csが30%以下であり、中心層の結晶化
度Ccよりも大きく、その差Cs−Ccが20%以下で
なければならない。
【0037】この発明では、PAT発泡シートの表面か
らの加熱により、発泡シートにおける表面層の結晶化度
Csを高め、Csを発泡シートにおける中心層の結晶化
度Ccよりも大きくする。また、その差Cs−Ccを2
0%以下とし、且つCsを30%以下にとどめる。この
ことは、それぞれのPAT発泡シートについて、加熱温
度と加熱時間とを変更して行った一連の予備実験の結果
から、加熱温度と加熱時間との調整によって、容易に達
成することができる。
【0038】この発明では、PAT発泡シートを両表面
から加熱して表面層と中心層との結晶化度を上述のよう
に調整したPAT発泡シートを作り、このPAT発泡シ
ートを再加熱して2次発泡させる。再加熱は水蒸気を用
いることが好ましい。水蒸気としては、常圧下で90℃
以上のものを用いるのが好ましい。また、この水蒸気と
の接触時間は3分以上とするのが好ましい。90℃以上
の水蒸気で適当な時間例えば3分以上再加熱して発泡シ
ートを軟化させると、PAT発泡シートは2次発泡して
押出発泡シートの3〜5倍に膨張し、また表面層と中心
層との結晶化度が何れも高まり、とくに中心層の結晶化
度が表面層の結晶化度に近づき、何れも25%以上とな
る。従って、2次発泡によって得られたPAT発泡体は
耐熱性や機械的強度の一層向上した発泡体となる。
【0039】この発明では、再加熱によって発泡シート
が軟化している間に、発泡シートの形を整え、所望の形
に付形することが好ましい。所望の形が平板であるとき
は、発泡シートをロール間に通し又はエンドレスベルト
の上に乗せて移動させるのが適している。この場合のロ
ール及びエンドレスベルトは、何れも温度調節のできる
ものであることが好ましい。所望の形が箱又は容器状で
あるときは、それぞれの形状をした型を用意し、型を発
泡シートの移動に合わせて移動させながら発泡シートを
型に密接させて付形を行うことができる。2次発泡によ
って得られた発泡体の見かけ密度は、0.130g/c
3 以下、好ましくは0.100g/cm3 以下とする
ことにより、軽量性、断熱性、緩衝性などの発泡体の利
点を生かすことができる。
【0040】この発明により2次発泡したPAT発泡体
は、その中の気泡が球形に近づいており、従って等方性
を持っている。このことは、発泡シート中の厚み方向の
平均気泡径VD、長さ方向の平均気泡径MD及び幅方向
の平均気泡径TDの大きさを測定すると、それらの値が
0.5<MD/VD<1.5及び0.5<TD/VD<
1.5の範囲内にあることによって明らかである。
【0041】通常、押出発泡によって得られたPATの
押出発泡シートは、その中の気泡がシートの押出方向に
引っ張られ、従ってシートの厚み方向に押し潰された形
状になっている。このため、押出発泡シートは歪みを持
ち、方向によって機械的強度が異なるために、使用に不
向きな用途があった。ところが、この発明により得られ
たPATの発泡体は、等方性で歪みがないために、使用
中の変形が少なくて形状安定性がよいので、構造材とし
て使用するに適している。
【0042】
【発明の効果】この発明によれば、PATを押出機に入
れて溶融し、これに発泡剤を含ませてのち、これをシー
ト状に成形して低圧領域へ押し出して発泡させ、発泡し
たシートを急冷するので、全体の結晶化度が30%以下
の押出発泡シートを容易に作ることができる。その後、
この押出発泡シートを表面から加熱するので、表面層の
結晶化度を高めることができる。その際の加熱温度と加
熱時間の調節により、発泡シートにおける表面層の結晶
化度Csを発泡シートにおける中心層の結晶化度Ccよ
りも大きくし、その差Cs−Ccを20%以下とし、且
つCsを30%以下の発泡シートとすることができる。
こうして得られた発泡シートは、Csが30%以下、且
つCs−Ccが20%以下で結晶化度が低いから、加熱
によっても発泡させ易く、またCsがCcよりも大きい
ので、2次発泡後の発泡体の収縮や変形を押さえるもの
となっている。そのため得られた発泡体は、独立気泡率
が高く、歪みが少なくて等方性を持ち、形状安定性が良
好で外観の良好なものとなる。
【0043】従来法、とくに特公平5−83573号公
報は、押出発泡後3日位放置した押出発泡シートを2次
発泡させることができると記載しているが、この発明者
の追試によれば、押出発泡後数日以上放置した押出発泡
シートは、これを従来法で2次発泡させると独立気泡率
が低下し、圧縮クリープが5%以上というように大きい
ものとなり、従って良好な発泡体を得ることができな
い。ところが、この発明方法によれば、押出発泡後、数
十日ないし100日経過したあとで、発泡シートを加熱
処理して表面層と中心層との結晶化度を調整したあとで
2次発泡させることにより、独立気泡率が高く圧縮クリ
ープが1%以下というように小さく、従って良質の発泡
体を得ることができる。また、従来法では押出発泡シー
トの厚みが薄く、また発泡倍率が高いと、発泡シートを
再加熱して得られた2次発泡体が独立気泡率の低く、圧
縮クリープの大きいものとなったが、この発明によれ
ば、押出発泡シートの厚みが薄くても、また発泡倍率が
高くても、再加熱により、独立気泡率が高く、圧縮クリ
ープの小さい良好な発泡体を得ることができる。
【0044】また、この発明に係るPAT発泡シート
は、表面層の結晶化度Csが30%以下であり、中心層
の結晶化度Ccよりも大きく、その差Cs−Ccが20
%以下とされているから、加熱によって2次発泡させ易
く、これに水蒸気を接触させて再加熱すると、独立気泡
率の高い良好な発泡体を与える、という利用価値の高い
発泡シートである。
【0045】この発明は、このような利用価値の高い発
泡シート及び発泡方法を提供しているという点で有用な
ものである。
【0046】
【発明実施の形態】以下に実施例と比較例とを挙げて、
この発明のすぐれている所以を明らかにする。
【0047】実施例中では発泡シートの色々な物性を測
定しているので、まずその測定方法を説明する。
【0048】平均気泡径 板状発泡体断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、
S−300N)にて観察し、厚み方向の平均気泡径(V
D)、流れ方向の平均気泡径(MD)及び幅方向の平均
気泡径(TD)をグリッドライン法で求めた。
【0049】独立気泡率 東京サイエンス社製空気比較式比重計を用いて、AST
M D2856に準じた方法で測定した。
【0050】曲げ強度 JIS K7221に準じた方法で、MD方向及びTD
方向の曲げ強度を測定した。
【0051】圧縮クリープ JIS K6767に準じた方法で、VD方向の圧縮ク
リープを測定し、下記尺度により評価した。 圧縮クリープ 1%未満 : 良 (○) 1%以上5%未満 : 可 (△) 5%以上 : 不可(×)
【0052】200℃熱溶融試験 板状発泡体を元厚みのままに100mm×100mmの
サイズにカットし試験サンプルとする。図3のように試
験サンプルから厚さ(T)、及び高さ(H)を測定す
る。そして、そのサンプルを200℃±5℃に溶融した
防水工事用アスファルト(3種)の中に5秒間浸漬し、
取り出した後標準状態の室温で24時間付着したアスフ
ァルトを硬化させる。その試験片を図3のように2等分
に切断して減厚しなかった部分の厚さ(T′)、高さ
(H′)を測定し、浸漬前後の寸法変化率を算出し、以
下の尺度で評価を行う。 厚み及び高さ共に変化量が2%未満 : 良 (○) 厚み及び高さ共に変化量が2〜5%未満 : 可 (△) 厚み或いは高さの変化量のどちらかが5%以上ある: 不可(×)
【0053】外観及び厚みのバラツキ評価 収縮痕が無く、かつ厚みのバラツキが10%未満 : 良 (○) やや収縮痕があり、厚みのバラツキが10%以上15%未満 : 可 (△) 収縮痕が著しく、厚みのバラツキが15%以上 : 不可(×) ここで、厚みのバラツキは板状発泡体TD方向に20m
m間隔で厚みを測定し、平均厚み、最大厚み、最小厚み
を算出し、次の式によって導き出す。 厚みのバラツキ=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×
100
【0054】
【実施例1】発泡シートの製造 この実施例では、タンデム押出機を用い、一段目の押出
機として口径65mmΦの噛み合い型同方向回転の二軸
押出機を用い、二段目の押出機として口径65mmΦの
単軸押出機を用いた。
【0055】極限粘度が0.7のPETボトルの回収フ
レーク100重量部、四フッ化エチレン樹脂粉末(旭ガ
ラス社製フルオン169J)0.01重量部、無水ピロ
メリット酸0.5重量部、炭酸ソーダ0.02重量部を
混合機で混合したものを原材料定量供給装置から50k
g/hrの割合で一段目の押出機の原材料投入口から連
続的に供給した。一段目の二軸押出機はスクリュー回転
数を75rpm、押出機シリンダーの温度を240℃か
ら265℃に維持した。また、一段目の押出機の途中に
接続された2カ所のベント口から押出機の水分及び揮発
分を除去した。この時の減圧度は12.5Torrだっ
た。
【0056】一段目の押出機で水分を除去し、増粘反応
を行った後、溶融混合物を265℃に維持された接続管
を通して二段目の押出機に供給した。二段面の押出機は
スクリュー回転数を40rpm、押出機のシリンダー温
度を265℃から275℃に維持した。また二段目の押
出機の途中から発泡剤としてブタンを0.3重量部の割
合で注入した。発泡剤を含んだ溶融混合物は口径80m
mΦのサーキュラ金型より円筒状に押し出し、引き取り
機にて引き取りながら、直径205mm、長さ740m
mで冷却水を循環させ表面温度を25℃に保った円筒形
マンドレルで冷却後切開して発泡シートを得た。得られ
た発泡シートの厚み、見かけ密度、気泡径、表面層及び
中心層の結晶化度を表に示した。
【0057】加熱処理 図1に示された装置を用いて加熱処理を行った。押出日
から5日後の発泡シートの両表面を、表面が180℃に
加熱された加熱ロール1、2にて片面ずつそれぞれ約3
秒間接触させ、その後すぐさま該発泡シート両表面を表
面温度が20℃に保たれた冷却ロール3、3′にて冷却
しつつ引き取りを行い、発泡シート表面及び中心の結晶
化度を調整した。その結果を表に示した。
【0058】板状発泡体の製造 図2に示された装置を用いて板状発泡体の製造を行っ
た。表面を熱処理された発泡シートを送りロール6、
6′より100℃に保たれた蒸気発泡槽11内に送り、
該発泡槽内の支持ロール7、8、9、10で保持し、6
分間100℃の水蒸気と接触させ、その後すぐさま表面
がおおよそ40℃に保たれたステンレス製のエンドレス
ベルト13にて板状に成形・冷却を行い、引き取りを行
った。得られた板状発泡体の厚み、見かけ密度、気泡
径、独立気泡率、曲げ強度、圧縮クリープ、及び200
℃熱溶融試験、外観及び厚みのバラツキの評価結果を表
に示した。
【0059】
【実施例2】発泡シートの製造 実施例1で得られた発泡シートを用いた。
【0060】加熱処理 押出日から104日後の発泡シートを用い、加熱処理の
時間を7秒とした以外は、実施例1と同じ方法にて加熱
処理を行い、発泡シート表面及び中心の結晶化度を調整
した。その結果を表に示した。
【0061】板状発泡体の製造 実施例1と同じ方法にて、加熱処理を行った発泡シート
から板状発泡体の製造を行った。その結果を表に示し
た。
【0062】
【実施例3】発泡シートの製造 実施例1で得られた発泡シートを用いた。
【0063】加熱処理 加熱処理の温度を160℃、加熱処理の時間を12秒と
した以外は、実施例1と同じ方法にて加熱処理を行い、
発泡シート表面及び中心の結晶化度を調整した。その結
果を表に示した。
【0064】板状発泡体の製造 実施例1と同じ方法にて、加熱処理を行った発泡シート
から板状発泡体の製造を行った。その結果を表に示し
た。
【0065】
【実施例4】発泡シートの製造 発泡シートの厚みが薄くなるよう引き取り速度を上げた
以外は、実施例1と同じ方法にて発泡シートを得た。こ
の発泡シートの厚み、見かけ密度、気泡径を表に示し
た。
【0066】加熱処理 押出日から1日後の発泡シートを用い、加熱処理の時間
を4秒とした以外は、実施例2と同じ方法にて加熱処理
を行い、発泡シート表面及び中心の結晶化度を調整し
た。その結果を表に示した。
【0067】板状発泡体の製造 実施例1と同じ方法にて、加熱処理を行った発泡シート
から板状発泡体の製造を行った。その結果を表に示し
た。
【0068】
【実施例5】発泡シートの製造 発泡シートの厚みが厚くなるよう引き取り速度を下げた
以外は、実施例1と同じ方法にて発泡シートを得た。こ
の発泡シートの厚み、見かけ密度、気泡径を表に示し
た。
【0069】加熱処理 押出日から20日後の発泡シートを2枚重ねて図1に示
す装置に送り込み、該重ねられた発泡シートの両表面を
表面が190℃に加熱された加熱ロール1、2に順次7
秒間接触させ、その後すぐさま該発泡シート両表面を冷
却ロール3、3′にて冷却しつつ引き取りを行い、積層
面を熱融着された積層発泡シートを得た。該積層発泡シ
ートの表面及び中心の結晶化度を表に示した。
【0070】板状発泡体の製造 水蒸気との接触時間を8分とした以外は実施例1と同じ
方法にて、加熱処理を行った積層発泡シートから板状発
泡体の製造を行った。その結果を表に示した。
【0071】
【実施例6】発泡シートの製造 樹脂原料を極限粘度が0.7のPETボトルの回収フレ
ーク93重量部、極限粘度が0.65のポリエチレンナ
フタレート樹脂7重量部とした以外は、実施例1と同じ
方法にて発泡シートを得た。この発泡シートの厚み、見
かけ密度、気泡径を表に示した。
【0072】加熱処理 押出日から15日後の発泡シートを用い、加熱処理の時
間を2.5秒とした以外は、実施例1と同じ方法にて加
熱処理を行い、発泡シート表面及び中心の結晶化度を調
整した。その結果を表に示した。
【0073】板状発泡体の製造 実施例1と同じ方法にて、加熱処理を行った発泡シート
から板状発泡体の製造を行った。その結果を表に示し
た。
【0074】
【実施例7】発泡シートの製造 樹脂原料を極限粘度が1.0のポリエチレンテレフタレ
ート樹脂100重量部とし、また四フッ化エチレン樹脂
粉末(旭ガラス社製フルオン169J)の代わりにタル
クを0.5重量部とした以外は、実施例1と同じ方法に
て発泡シートを得た。この発泡シートの厚み、見かけ密
度、気泡径を表に示した。
【0075】加熱処理 押出日から20日後の発泡シートを用い、加熱処理の時
間を4秒とした以外は、実施例1と同じ方法にて加熱処
理を行い、発泡シート表面及び中心の結晶化度を調整し
た。その結果を表に示した。
【0076】板状発泡体の製造 水蒸気の温度を94℃とした以外は、実施例1と同じ方
法にて、加熱処理を行った発泡シートから板状発泡体の
製造を行った。その結果を表に示した。
【0077】
【実施例8】発泡シートの製造 発泡シートの厚みが薄くなるよう引き取り速度を上げた
以外は、実施例1と同じ方法にて発泡シートを得た。こ
の発泡シートの厚み、見かけ密度、気泡径を表に示し
た。
【0078】加熱処理 押出日から1日後の発泡シートを用い、実施例1と同じ
方法にて加熱処理を行い、発泡シート表面及び中心の結
晶化度を調整した。その結果を表に示した。
【0079】板状発泡体の製造 実施例1と同じ方法にて、加熱処理を行った発泡シート
から板状発泡体の製造を行った。その結果を表に示し
た。
【0080】
【比較例1】発泡シートの製造 実施例1で得られた発泡シートを用いた。この発泡シー
トの厚み、見かけ密度、気泡径、表面層及び中心層の結
晶化度を表に示した。
【0081】板状発泡体の製造 実施例1と同じ方法にて、押出日から5日後の加熱処理
を行っていない上記発泡シートから板状発泡体の製造を
行った。その結果を表に示した。
【0082】
【比較例2】発泡シートの製造 実施例1で得られた発泡シートを用いた。
【0083】板状発泡体の製造 実施例1と同じ方法にて、押出日から104日後の加熱
処理を行っていない上記発泡シートから板状発泡体の製
造を行った。その結果を表に示した。
【0084】
【比較例3】発泡シートの製造 実施例1で得られた発泡シートを用いた。
【0085】加熱処理 押出日から104日後の発泡シートを用い、加熱処理の
時間を16秒とした以外は、実施例1と同じ方法にて加
熱処理を行い、発泡シート表面及び中心の結晶化度を調
整した。その結果を表に示した。
【0086】板状発泡体の製造 実施例1と同じ方法にて、加熱処理を行った発泡シート
から板状発泡体の製造を行った。その結果を表に示し
た。
【0087】
【比較例4】発泡シートの製造 実施例4で得られた発泡シートを用いた。
【0088】板状発泡体の製造 実施例1と同じ方法にて、押出日から1日後の加熱処理
を行っていない上記発泡シートから板状発泡体の製造を
行った。その結果を表に示した。
【0089】
【比較例5】発泡シートの製造 実施例8で得られた発泡シートを用いた。
【0090】板状発泡体の製造 実施例1と同じ方法にて、押出日から1日後の加熱処理
を行っていない上記発泡シートから板状発泡体の製造を
行った。その結果を表に示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、発泡シートの表面及び中心部
の結晶化度を調整するために用いる加熱処理装置の側面
図である。
【図2】本発明において、発泡シートを水蒸気を用いて
更に高い倍率に発泡させ、板状に付形するための装置の
側面図である。
【図3】本発明の実施例において、板状発泡体の耐熱性
を評価するための熱溶融試験におけるサンプルの調整、
測定法を表にした模式図である。
【符号の説明】
1、2 加熱ロール 3、3′ 冷却兼引き取りロール 4、5 抑えロール 6、6′ 送りロール 7、8、9、10 支持ロール 11 蒸気発泡槽 12 水蒸気 13 エンドレスベルト(引き取り兼付
形設備)
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67:00 C08L 67:02 67:02 B29C 67/22 Fターム(参考) 4F074 AA65 AA66 BA31 BA34 BA37 BA38 CA22 CA29 CA30 DA33 DA34 DA58 4F212 AA24 AB02 AG01 AG03 AG20 UA09 UB02 UB22 UB30 UG02 UG05 UN13 UW26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる発
    泡シートであって、表面層の結晶化度Csが30%以下
    であり、中心層の結晶化度Ccよりも大きく、その差C
    s−Ccが20%以下であることを特徴とする、再加熱
    して2次発泡させるための熱可塑性ポリエステル系樹脂
    の発泡シート。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリエステル系樹脂を押出機に
    入れて溶融し、これに発泡剤を含ませてのち、これをシ
    ート状に成形して低圧領域へ押し出して発泡させ、発泡
    したシートを急冷して低い結晶化度の押出発泡シートを
    作り、その後押出発泡シートを表面から加熱して表面層
    の結晶化度Csを高め、Csを中心層の結晶化度Ccよ
    りも大きくし、その差Cs−Ccが20%以下で且つC
    sが30%以下の発泡シートとし、その後この発泡シー
    トを水蒸気に接触させて再加熱し2次発泡させることを
    特徴とする、熱可塑性ポリエステル系樹脂の発泡体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリエステル系樹脂を押出機に
    入れ、これに発泡剤を含ませてのち、これをシート状に
    成形して低圧領域へ押し出して発泡させ、発泡したシー
    トを急冷して低い結晶化度の押出発泡シートを作り、そ
    の後押出発泡シートを表面から加熱して表面層の結晶化
    度Csを高め、Csを中心層の結晶化度Ccよりも大き
    くし、その差Cs−Ccが20%以下で且つCsが30
    %以下の発泡シートとし、その後この発泡シートを実質
    的に常圧下で90℃以上の水蒸気に3分以上接触させて
    加熱し、2次発泡させるとともに付形設備により板状に
    付形し、全体の結晶化度を25%以上にすることを特徴
    とする、熱可塑性ポリエステル系樹脂の発泡体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 付形設備がエンドレスベルトであること
    を特徴とする、請求項3に記載された熱可塑性ポリエス
    テル系樹脂の発泡体の製造方法。
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