JP3133225B2 - 熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法

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JP3133225B2 JP06332650A JP33265094A JP3133225B2 JP 3133225 B2 JP3133225 B2 JP 3133225B2 JP 06332650 A JP06332650 A JP 06332650A JP 33265094 A JP33265094 A JP 33265094A JP 3133225 B2 JP3133225 B2 JP 3133225B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂発泡体の製造方法に関するものである。とく
に、この発明は、押し出し発泡により熱可塑性ポリエス
テル系樹脂を発泡させて発泡したシートを得る方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステル系樹脂(以下、こ
れをPATという)は、芳香族ジカルボン酸とジオール
とが縮合反応を起こして得られた高分子量の鎖状ポリエ
ステルである。PATは、耐熱性、耐候性、耐薬品性、
機械的強度にすぐれているので、色々な物を入れる容器
に成形されて,広く使用されている。とくに、PAT製
の容器は食品に接触しても食品を汚損させることがない
から、電子レンジ、電気オーブン、ガスオーブンなどに
入れて食品を加熱するのに使用することができる。この
場合、PATを発泡させて発泡体製の容器とすると、加
熱直後にも容器を手で直接に持つことができるので、P
AT発泡体製の食品容器は一層使用に便利なものとな
る。そこで、このような用途が拡大している。
【0003】PAT発泡体製の食品容器は、最初にPA
T製の発泡したシートを作り、次いでこの発泡シートを
加熱して軟化させ、成形用型に押し付けて容器に成形
し、あとで容器の周りの余分な部分を切り取ることによ
って作られる。この方法では、容器の周りの切り取り部
分が大きな部分を占め、これがスクラップとされる。時
には、重量でスクラップが容器の半分にも達することが
ある。従って、スクラップをそのまま捨てたのでは到底
採算が取れない。
【0004】発泡したスクラップは、これを発泡シート
用の原料として再使用するのが好ましい。ところが発泡
したスクラップは、樹脂がPATであるために他の樹脂
の場合のようにそのまま再使用に供することができな
い。その理由は、PATを発泡させるには、PATに色
々なものが添加されてPATがその性質を大きく変えら
れているからである。そのために、発泡したスクラップ
は、未使用のPATに比べると、その性質が大きく変更
されていて、未使用のPATと同様に取り扱うことがで
きなくなっているからである。
【0005】上記の点をさらに詳しく説明すると、次の
とおりである。まずPATは、もともと結晶性の樹脂で
あるために、結晶の融点付近で溶融粘度を急激に変える
性質を持っており、従ってPAT中に発泡剤を圧入して
も、発泡剤は溶融PATから簡単に逸散してしまうの
で、そのままでは発泡させることが困難である。そこ
で、PATに色々な添加剤を加えてPATの溶融粘度を
大きくし、広い温度範囲にわたって発泡に適した粘度を
持たせてこれによって発泡を容易にしようとの試みがな
された。
【0006】例えば、特開昭53−24364号公報
は、PATにジエポキシ化合物とステアリン酸カルシウ
ム又は炭酸ナトリウムを加えることを提唱しており、特
開昭59−210955号公報は、多官能グリシジルエ
ステルと多官能カルボン酸とを加えることを提案してお
り、特開平2−251543号公報は、1分子中に2箇
以上の酸無水物基を持った有機化合物と、周期律表の第
1族、第2族又は第3族に属する金属の化合物とを加え
ることを提案している。これらの提案によって作られた
PAT発泡体は、これらの添加剤によってPATが変性
されており、従ってこの発泡体のスクラップは原料とし
て初めに用いられたPATから大きく性質の変わったも
のとなっている。従って、このスクラップは簡単に再使
用に供することができない。
【0007】上に述べた提案のうち、最後に述べた提案
によれば、新しいPATを使用する限り良好なPAT発
泡体を得ることができる。すなわち、1分子中に2箇以
上の酸無水物基を持った有機化合物として無水ピロメリ
ット酸を用い、周期律表の第1族、第2族又は第3族に
属する金属の化合物として炭酸ソーダを用い、これらを
新しいPATに加えてこれを押出機に供給し、押出機内
で発泡剤としてブタンを圧入して押し出し発泡させる
と、一応良質のPAT発泡シートを得ることができる。
【0008】ところが、こうして得られたPAT発泡シ
ートを容器に成形したときのスクラップをそのまま押出
機に供給し、押出機内で発泡剤としてブタンを圧入して
押し出し発泡させようとしても、良質の発泡シートを得
ることができない。詳述すれば、このスクラップは、発
泡の際に加えた無水ピロメリット酸と炭酸ソーダを含有
しているので、これを加えないこととし、発泡剤として
のブタンだけは逸散しているので、これを圧入すること
として、押し出し発泡させようとすると、矢張り粘度が
低くて発泡させることが困難である。また、何とか発泡
したものを得ても、気泡が大きく、厚みも発泡倍率も不
揃いとなり、従って良好な発泡シートを得ることができ
ない。
【0009】また、上述のスクラップを未使用のPAT
と見做して、これに無水ピロメリット酸と炭酸ソーダと
を加えて押出機に供給し、押出機内でブタンを圧入して
押し出し発泡させようとしても、矢張り良好な発泡体を
得ることができない。この場合に、無水ピロメリット酸
の添加量をとくに多くすると、発泡させることはできた
が、得られた発泡体が黄色に着色し、品質にバラつきを
生じ、また強度の低いものとなった。従って、スクラッ
プは、これを再使用することができず、再使用の方法の
開発が望まれた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、PAT発
泡体のスクラップに限らず、広く非発泡のスクラップも
含めて、一般にPATのスクラップを使用して押し出し
発泡により発泡させて、良質のPAT発泡体、とくに発
泡シートを作る方法を開発しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明者は、PAT発
泡シートを構成しているPATと、未使用のPATとの
相違を検討した。その結果、両者の大きな相違は、分子
量分布にあることに気付いた。すなわち、押し出し発泡
によって発泡体とするに適した未使用のPATは、分子
量分布、すなわち重量平均分子量を数平均分子量で割っ
た商が4以下の値を示すのに対し、発泡シートとなった
PATは分子量分布が5以上の値となっていることに気
付いた。また、押し出し発泡によって発泡体とするに適
したPATは、数平均分子量として20,000〜3
0,000の値を持つものであり、発泡シートとなった
PATも、数平均分子量はこの値を持つものが多いこと
を確認した。
【0012】この発明者は、上述の確認に基づいてさら
に検討を進めた結果、PATとして数平均分子量が2
0,000〜30,000の範囲内にあって分子量分布
が5〜9の値を示すPAT発泡体のスクラップを選び、
これが60〜5重量%の割合となるように未使用PAT
と混合して使用すれば、この混合物を押し出し発泡させ
て良質の発泡体とすることができることを見出した。す
なわち、この発明者は、上記の混合物に従来のように無
水ピロメリット酸と炭酸ソーダとを加え、これを押出機
に供給し、押出機内でブタンを圧入して押し出すと、こ
こに良質のPAT発泡体の容易に得られることを見出し
た。この発明は、このような知見に基づいて完成された
ものである。
【0013】この発明は、1分子中に2箇以上の酸無水
物基を持った有機化合物と、周期律表の第1族、第2族
又は第3族に属する金属の化合物とをPATに加え、こ
れを押出機に供給して溶融し、この溶融物に発泡剤を圧
入し、押出機から押し出し発泡させて発泡体を製造する
方法において、PATとして数平均分子量が20,00
0〜30,000の範囲内にあって分子量分布が4以下
のPAT40〜95重量%と、数平均分子量が20,0
00〜30,000の範囲内にあって分子量分布が5〜
9の範囲内にあるPAT60〜5重量%との混合物を使
用することを特徴とする、PAT発泡体の製造方法を要
旨とするものである。ここで、上記分子量分布は、重量
平均分子量を数平均分子量で割った商である。
【0014】この発明で用いられるPATの1つは、数
平均分子量が20,000〜30,000の範囲内にあ
って、分子量分布が4以下のものである。このようなP
ATは、ボトルを成形するのに適した材料として市販さ
れているものである。このようなPATはポリエチレン
テレフタレート樹脂だけでなく、ポリブチレンテレフタ
レート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、シクロヘ
キサンジメタノールとエチレングリコールとが、テレフ
タール酸とイソフタール酸と共縮合して得られた樹脂も
使用することができる。それらの中ではポリエチレンテ
レフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂が好
ましい。
【0015】この発明で用いられるPATの他の1つ
は、数平均分子量が20,000〜30,000の範囲
内にあって、分子量分布が5〜9のものである。このよ
うなPATは市販されているものの中にはなくて、市販
されているPATを添加剤とともに押出機に供給し、添
加剤により変性させることによって作られる。例えば、
1分子中に2箇以上の酸無水物基を持った有機化合物
(以下、これを酸二無水物という)と、周期律表の第1
族、第2族又は第3族に属する金属の化合物(以下、こ
れを金属化合物という)とをPATに加え、これを押出
機内で溶融し混合してPATを変性することによって初
めて分子量分布が5以上のPATが得られる。また、分
子量分布が5以上のPATは、市販のPATを多官能エ
ポキシ化合物により架橋又は分岐させることにより得ら
れる。また、分子量分布が5以上のPATは重合時にジ
オール成分の一部がトリオール、テトラオールで置換さ
れたり、ジカルボン酸成分の一部がトリカルボン酸、テ
トラカルボン酸で置換されたりして得られる。そのうち
では、市販のPATを酸二無水物と金属化合物とで変性
したものを用いるのが好ましい。とくに、この変性とと
もに発泡させて得られた発泡シートのスクラップを用い
ることが好ましい。
【0016】一般に、PATは高温では加水分解を受け
易い。そのため、この発明ではPATの水分含有量をで
きるだけ少なくしてから押出機に供給することが好まし
い。含水量は200ppm 以下、さらには100ppm 以下
にすることが好ましい。そのためには、PATを除湿熱
風乾燥機に入れて80〜180℃の温度において、露点
が−20℃以下の乾燥した空気を3時間以上通して乾燥
したり、マイクロ波乾燥機に入れて80〜180℃の温
度で1時間以上乾燥することが好ましい。
【0017】分子量分布が5以上のPATと分子量分布
が4以下のPATとを押出機の中で溶融して混合する
と、この混合物は結晶化が早くなる。一般に結晶化温度
が高い程、結晶化速度が早くなる。しかし、これは数平
均分子量が30,000までのPATについて云えるこ
とであって、数平均分子量が30,000を越えると、
分子自体の鎖が重くなり、結晶化速度が遅くなる。ま
た、平均分子量が20,000より小さいと、PATの
分解物が生成されてこれが発泡体表面に付着して発泡体
を悪くする。そのために、数平均分子量は20,000
〜30,000の範囲内のものを用いる。
【0018】一般に結晶化速度は、示差走査熱量計を使
用して、PATの冷却時における結晶化のピーク温度を
測定することにより、容易に知ることができる。PAT
の好ましい結晶化温度は205℃以上、さらに好ましい
のは210℃以上である。
【0019】数平均分子量が20,000〜30,00
0の範囲内にあって、分子量分布が5以上であるPAT
に分子量分布が4以下のPATを混合すると、PATを
溶融したときの張力が改善される。このために、PAT
発泡体を加熱して容器に成形するときのドローダウンが
少なくなり、成形が容易となる。しかし、分子量分布が
9以上のPATを使用すると、PAT発泡体の成形時の
延びが悪くなり、良好な成形体が得られなくなる。従っ
て、分子量分布が5以上のPATは、分子量分布が9以
下であることが必要とされる。そのうちでも好ましい分
子量分布は5〜8.5の範囲内である。
【0020】数平均分子量が20,000〜30,00
0の範囲内にあって、分子量分布が4以下のPATに分
子量分布が5〜9のPATとを混合する場合には、前者
が40〜95重量%を占め、後者が60〜5重量%を占
めるような割合で混合する。その理由は、後者が60重
量%より多くなると発泡体表面に焦茶色のPAT分解物
が付着して発泡体の品質が低下するからであり、逆に後
者が5重量%より少なくなると、結晶化速度が低下し成
形時のドローダウンが大きくなって、成形が容易でなく
なるからである。
【0021】上述のように、この発明では、PATの数
平均分子量と分子量分布とが規定されるが、それは次の
ようにして測定される。まず、PAT約5mgを精秤し、
これをヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム
等容量の混合溶媒1.0ミリリットルに溶解し、さらに
クロロホルムで全量10ミリリットルに希釈しゲルパー
ミェーションクロマトグラフ(GPC)にかけて数平均
分子量と重量平均分子量とを測定する。
【0022】この発明は、1分子中に2箇以上の酸無水
物基を持った有機化合物(以下、これを酸二無水物とい
う)を使用することを前提とするが、酸二無水物として
は、前述の無水ピロメリット酸のほか、色々なものを使
用することができる。例えば、ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ジフェ
ルスルホンテトラカルボン酸二無水物等を使用すること
ができる。これら酸二無水物は、PAT100重量部に
対し0.05〜2.0重量部の範囲内で使用するのが好
ましく、そのうちでも0.1〜1.0重量部の範囲内で
使用するのがさらに好ましい。
【0023】この発明は、周期律表の第1族、第2族又
は第3族に属する金属の化合物(以下、これを金属化合
物という)を用いることを前提とするが、金属化合物は
無機化合物であっても有機化合物であってもよい。無機
化合物としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸亜鉛、
炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸アルミニウ
ム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウム、酸
化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アル
ミニウムおよびこれらの水酸化物を用いることが出来
る。また有機化合物としては、ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ス
テアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、モンタン
酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸リチウ
ム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、モンタ
ン酸カルシウム、モンタン酸アルミニウム、酢酸ナトリ
ウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸亜鉛、酢酸マ
グネシウム、酢酸カルシウム、酢酸アルミニウム、カプ
リル酸ナトリウム、カプリル酸カリウム、カプリル酸リ
チウム、カプリル酸亜鉛、カプリル酸マグネシウム、カ
プリル酸カルシウム、カプリル酸アルミニウム、ミリス
チン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン
酸リチウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシ
ウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸アルミニ
ウム、安息香酸ナトリウム、テレフタル酸ナトリウム等
を用いることが出来る。これらの化合物の中では、周期
律表の第1族又は第2族に属する金属の化合物を使用す
るのが好ましく、とくに周期律表の第1族に属する金属
の化合物を使用するのがさらに好ましい。周期律表の第
1族に属する金属の化合物の中では、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸リチウムを使用することがさらに好
ましい。これらの金属の化合物はPAT100重量部に
対して、0.01〜1.0重量部の範囲内で使用するの
が好ましく、中でも0.02〜0.5重量部の範囲内で
使用するのがさらに好ましい。
【0024】この発明は、PATに発泡剤を圧入するこ
とを前提とするが、その発泡剤としてはこれまで一般に
合成樹脂の発泡剤として使用されて来たものを使用する
ことができる。この発泡剤は、大きく分けると、不活性
ガス、飽和脂肪族炭化水素、飽和脂環族炭化水素、ハロ
ゲン化炭化水素、エーテル、ケトンに分類されるが、そ
の何れをも使用することができる。具体例を挙げると、
炭酸ガス、窒素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、
ペンタン、ヘキサン、メチルペンタン、ジメチルブタ
ン、メチルシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘ
キサン、メチルシクロペンタン、エチルシクロブタン、
ジクロロジフルオロメタン、モノクロロトリフルオロメ
タン、テトラフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメ
タン、モノクロロジフルオロメタン、トリフルオロメタ
ン、ジフルオロメタン、モノフルオロメタン、テトラク
ロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタ
ン、ジクロロテトラフルオロエタン、モノクロロペンタ
フルオロエタン、ヘキサフルオロエタン、塩化メチル、
モノクロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン、オク
タフルオロプロパン、オクタフルオロシクロブタン、テ
トラフルオロエタン、ジメチルエーテル、メチルターシ
ャルブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン等
を使用することができる。これらの中では炭酸ガス、窒
素、プロパン、ブタン、ペンタン、モノクロロジフルオ
ロエタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン、
ジメチルエーテル、メチルターシャルブチルエーテル等
を使用することが好ましい。
【0025】この発明を実施するにあたっては、酸二無
水物と金属化合物とをPATに加えることが必要とされ
るが、それには色々な方法を採ることができる。例え
ば、予めPATと酸二無水物と金属化合物とを150℃
以下の温度で混合し、PATの表面に酸二無水物と金属
化合物とを付着させておいてこれを押出機に供給しても
よい。または、酸二無水物及び/又は金属化合物をPA
Tの一部と溶融混合してペレットを作り、このペレット
を残りのPATと混合してもよい。または、PATだけ
を押出機に入れて溶融しておき、この中へ酸二無水物と
金属化合物とを同時に又は別々に混入してもよい。
【0026】この発明方法を実施するにあたっては、目
的とするPAT発泡体の要求に伴い、色々の補助材料を
添加することができる。例えば、着色剤、難燃剤、耐候
性改良剤、結晶核剤、帯電防止剤などを添加することが
できる。
【0027】
【発明の効果】この発明方法によれば、PATに酸二無
水物と金属化合物とを加え、これを押出機に供給して溶
融し、この溶融物に発泡剤を圧入し、押出機から押し出
し発泡させて発泡体を製造する方法を前提としているの
で、PATを容易に発泡させることができる。こうして
得られた発泡体は、通常数平均分子量が20,000〜
30,000の範囲内にあって分子量分布が5以上とな
っているので、この発泡体から生じたスクラップから分
子量分布が9以下のものを選んで、これをこの発明の原
料の1つとしてそのまま使用することができる。
【0028】スクラップの使用にあたっては、別に市販
のPAT、すなわち数平均分子量が20,000〜3
0,000の範囲内にあって分子量分布が4以下のPA
Tと混合することとし、その比を重量でスクラップが5
〜60重量%を占め、市販のPATが95〜40重量%
を占めるように混合して用いるので、これに酸二無水物
と金属化合物とを加えることにより、全PATの溶融粘
度が調節できて容易に均一微細にまた高倍率にPATを
発泡させることができる。しかも、こうして得られたP
ATの発泡体は結晶化速度が大きくしかも溶融時の張力
が大きいので容器などへの成形が容易である。こうして
この発明は、発泡体のスクラップを使用して良質のPA
T発泡体を作ることができる点で大きな利益をもたらす
ものである。
【0029】以下に、実施例と比較例とを挙げてこの発
明方法のすぐれている所以を具体的に説明する。以下
で、単に部と云うのは重量部の意味である。
【0030】
【実施例1】 (分子量分布が5〜9のPATの製造)PATとしてペ
ットボトル製造用のポリエチレンテレフタレート(数平
均分子量28,700で分子量分布3.70)のものを
用いた。このPAT100部に、無水ピロメリット酸
0.28部と、炭酸ソーダ0.05部、タルク(発泡核
剤)1.0部とを加え、これをタンブラーで混合し、こ
れを単軸押出機(口径65mm、L/D:35)に供給
して溶融混練し、押出機のバレルの途中からブタン(発
泡剤)を1.0部圧入して発泡性溶融物とし、これを内
径80mmφ、間隙0.4mmの金型から円筒状に押し
出し、これを切り開いて発泡シートとした。この発泡シ
ートは、厚み1.0mm、密度0.23g/cm3 で均
一微細に発泡していた。
【0031】この発泡シートを真空成形により円錐状の
コップに成形したのち、コップの周囲を切り落としてス
クラップを得た。このスクラップを口径65mmφの2
軸押出機に入れてペレットとした。このペレットは数平
均分子量が23,200であり、分子量分布が5.30
であった。
【0032】(この発明方法の実施)上述のペットボト
ル製造用のポリエチレンテレフタレート(数平均分子量
28,700で分子量分布3.70)60部に、上で得
たペレット(数平均分子量23,200で分子量分布
5.30)40部を加えてこの混合物をPATとして用
いた。このPATにさらにタルク(発泡核剤)1.0部
と、炭酸ソーダ0.05部と、無水ピロメリット酸0.
20部を加えてこれをタンブラーに入れて混合し、これ
を口径65mmでL/Dが3.5の単軸押出機に供給し
て溶融混練した。この押出機のバレルの途中から発泡剤
としてブタンを1.0部の割合で圧入し、この溶融物を
内径80mmφで間隙0.4mmのスリットを持った金
型から大気中に円筒状で押し出し、発泡させたのち切り
開いて発泡シートとした。得られた発泡シートは厚みが
1.0mm、密度が0.23g/cm3 、結晶化ピーク
温度が212.6℃であって、均一微細に発泡してい
て、外観の美麗なものであった。
【0033】(発泡シートの評価)この発泡シートを2
週間熟成してのち、250×250mmの大きさに切り
出し、これを表面温度が140℃の加熱板上に5.5秒
間接触させて予熱したところ、ドローダウンは1.0c
mであって少なかった。上記の予熱に引き続いて180
℃に加熱された凹型と凸型との間に5.5秒間挟んで容
器状に成形するとともに結晶化を促進し、その後直ちに
同じ形状をした常温の凹型と凸型との間に挟んで冷却し
た。こうして得られた容器は幅が120mm、長さが1
50mm、深さが35mmであった。この容器にサラダ
オイル150ccを入れ、電子レンジで8分間加熱した
後、取り出し容器の形状を観察したが変形を認めなかっ
た。
【0034】
【実施例2】 (分子量分布が5〜9のPATの製造)実施例1と同様
に実施したが、ただ無水ピロメリット酸の量を0.33
に変更して、数平均分子量が27,800で、分子量分
布が6.42のPATのペレットを得た。
【0035】(この発明方法の実施)上で得たペレット
10部に、ペットボトル製造用のポリエチレンテレフタ
レート(数平均分子量28,700で分子量分布3.7
0)90部を加えたものをPATとして用い、無水ピロ
メリット酸の量を増して0.30部とした以外は、実施
例1と全く同様に実施して発泡シートを得た。得られた
発泡シートは、厚みが1.0mm、密度が0.23g/
cm3 、結晶化ピーク温度が210.4℃であって、均
一微細に発泡していて、外観の美麗なものであった。
【0036】(発泡シートの評価)上で得た発泡シート
を実施例1と同じ方法で容器に成形し、この容器にサラ
ダオイルを入れて実施例1と同じ方法で電子レンジ内で
加熱したが、形状の変化は認めなかった。なお、この発
泡シートの成形時のドローダウンは1.2cmであって
少なかった。
【0037】
【実施例3】 (分子量分布が5〜9のPATの製造)実施例1と同様
に実施したが、ただ使用したポリエチレンテレフタレー
トを数平均分子量が29,200で分子量分布が3.4
のものに変更して、数平均分子量が28,200で、分
子量分布が5.78のPATのペレットを得た。
【0038】(この発明方法の実施)上で得たペレット
40部に、ペットボトル製造用のポリエチレンテレフタ
レート(数平均分子量23,000で分子量分布3.8
3)60部を加えたものをPATとして用いることとし
た以外は、実施例1と全く同様に実施して、発泡シート
を得た。得られた発泡シートは、厚みが1.0mm、密
度が0.23g/cm3 、結晶化ピーク温度が212.
2℃で均一微細に発泡していて、外観の美麗なものであ
った。
【0039】(発泡シートの評価)上で得た発泡シート
を実施例1と同じ方法で容器に成形し、この容器にサラ
ダオイルを入れて実施例1と同じ方法で電子レンジ内で
加熱したが、形状の変化は認めなかった。なお、この発
泡シートの成形時のドローダウンは0.8cmであって
少なかった。
【0040】
【比較例1】実施例1において分子量分布が5.30の
ペレットを使用しないで、ペットボトル製造用のポリエ
チレンテレフタレート100部を使用することとした以
外は、実施例1と全く同様に実施して発泡シートを得
た。得られた発泡シートは厚みが1.0mm、密度が
0.23g/cm3 、結晶化ピーク温度が204.8℃
で、均一微細に発泡して外観は美麗であった。この発泡
シートを実施例1と同じ方法で容器に成形し、容器の耐
熱性を評価したところ、容器が船状に反って変形してい
た。なお、この発泡シートは、成形時のドローダウンが
3.6cmで、この垂れ下がりのために容器にシワが発
生した。
【0041】
【比較例2】 (分子量分布が5〜9のPATの製造)この比較例は、
分子量分布が5〜9のPATとして、数平均分子量が3
0,000以上のものを使用した場合である。
【0042】実施例1において無水ピロメリット酸の量
を0.36部に変更して実施した以外は実施例1と全く
同様にして、数平均分子量が31,600で分子量分布
が5.24のPATペレットを得た。
【0043】(この発明方法の実施)上で得たPATペ
レット40部を用い、ペットボトル製造用のポリエチレ
ンテレフタレートとして数平均分子量が23,000で
分子量分布が3.83のものを60部用いることとした
以外は、実施例1と全く同様に実施して、厚みが1.0
mm、密度が0.23g/cm3 、結晶化ピーク温度が
204.8℃の発泡シートを得た。
【0044】(発泡シートの評価)この発泡シートを実
施例1と同じ方法で容器に成形し、容器の耐熱性を評価
したところ、容器が船状に反って変形していた。なお、
この発泡シートは、成形時のドローダウンは0.8cm
で少なかった。
【0045】
【比較例3】この比較例は、数平均分子量と分子量分布
とは何れもこの発明が規定する範囲内にあるが、2種の
PATの配合割合がこの発明の規定する範囲の外にある
場合である。
【0046】(この発明方法の実施)実施例1において
得られた数平均分子量が23,200で分子量分布が
5.30のPATペレットを70部と、ペットボトル製
造用ポリエチレンテレフタレート(数平均分子量が2
8,700で分子量分布が3.70)のPAT30部と
を混合することとした以外は、実施例1と全く同様に実
施して、厚みが1.0mm、密度が0.23g/cm3
の発泡シートを得た。この発泡シートは表面のところど
ころにPATの分散物がメヤニ状に付着していて、外観
の悪いものであった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1分子中に2箇以上の酸無水物基を持っ
    た有機化合物と、周期律表の第1族、第2族又は第3族
    に属する金属の化合物を熱可塑性ポリエステル系樹脂に
    加え、これを押出機に供給して溶融し、この溶融物に発
    泡剤を圧入し、押出機から押し出し発泡させて発泡体を
    製造する方法において、熱可塑性ポリエステル系樹脂と
    して、数平均分子量が20,000〜30,000の範
    囲内にあって分子量分布が4以下の熱可塑性ポリエステ
    ル系樹脂40〜95重量%と、数平均分子量が20,0
    00〜30,000の範囲内にあって分子量分布が5〜
    9の範囲内にある熱可塑性ポリエステル系樹脂60〜5
    重量%との混合物を使用することを特徴とする、熱可塑
    性ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法。ここで、上記
    分子量分布は、重量平均分子量を数平均分子量で割った
    商である。
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