JP2001200343A - 冷間加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
冷間加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 フェライト系ステンレス鋼を用いた冷間鍛造
製の酸素センサー等の自動車用部品、ハードディスクの
ハブ、スリーブ等の精密機械部品等に使用される冷間加
工性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.05%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:10.0〜
30.0%、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
円相当直径200μm以下の結晶粒の占める面積率が6
0%以上で、シャルピー遷移温度50℃以下の靱性、冷
間加工性、加工後の表面肌特性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼。または上記成分組成の鋼であって、製造工
程の途中で、10%以上の減面率の引抜伸線等の加工を
加えたもので、円相当直径200μm以下の結晶粒の占
める面積率が60%以上で、シャルピー遷移温度50℃
以下の靱性、冷間加工性、加工後の表面肌特性に優れた
フェライト系ステンレス鋼。
製の酸素センサー等の自動車用部品、ハードディスクの
ハブ、スリーブ等の精密機械部品等に使用される冷間加
工性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.05%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:10.0〜
30.0%、残部Feおよび不可避的不純物からなり、
円相当直径200μm以下の結晶粒の占める面積率が6
0%以上で、シャルピー遷移温度50℃以下の靱性、冷
間加工性、加工後の表面肌特性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼。または上記成分組成の鋼であって、製造工
程の途中で、10%以上の減面率の引抜伸線等の加工を
加えたもので、円相当直径200μm以下の結晶粒の占
める面積率が60%以上で、シャルピー遷移温度50℃
以下の靱性、冷間加工性、加工後の表面肌特性に優れた
フェライト系ステンレス鋼。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト系ステ
ンレス鋼を用いた冷間鍛造製の酸素センサー等の自動車
用部品、ハードディスクのハブ、スリーブ等の精密機械
部品等に使用される冷間加工性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼に関するものである。
ンレス鋼を用いた冷間鍛造製の酸素センサー等の自動車
用部品、ハードディスクのハブ、スリーブ等の精密機械
部品等に使用される冷間加工性に優れたフェライト系ス
テンレス鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、酸素センサー等の自動車用部品、
ハードディスクのハブ、スリーブ等の精密機械部品等に
使用されるフェライト系ステンレス鋼の棒材、線材は、
切削加工を用いて製造されることが多かったため、材料
の冷間加工性については特に重要視されていなかった。
しかし、近年、切削加工に替わって、冷間鍛造の適用が
増えており、優れた冷間加工性を有するフェライト系ス
テンレス鋼の棒材、線材が要求されている。さらに、自
動車用部品、精密機械部品等の小型化、高精度化に伴
い、優れた冷間加工性に加えて、加工後の良好な表面肌
特性が要求される場合が多い。これに対応して、特開平
3−2355号公報では、フェライト系ステンレス鋼線
材に関して、圧延加熱温度を1150℃から1000℃
に変更し、1000℃以下の温度で、トータル減面率8
0%以上の熱間加工を行うことにより靱性、冷間加工性
の向上を図るとしている。
ハードディスクのハブ、スリーブ等の精密機械部品等に
使用されるフェライト系ステンレス鋼の棒材、線材は、
切削加工を用いて製造されることが多かったため、材料
の冷間加工性については特に重要視されていなかった。
しかし、近年、切削加工に替わって、冷間鍛造の適用が
増えており、優れた冷間加工性を有するフェライト系ス
テンレス鋼の棒材、線材が要求されている。さらに、自
動車用部品、精密機械部品等の小型化、高精度化に伴
い、優れた冷間加工性に加えて、加工後の良好な表面肌
特性が要求される場合が多い。これに対応して、特開平
3−2355号公報では、フェライト系ステンレス鋼線
材に関して、圧延加熱温度を1150℃から1000℃
に変更し、1000℃以下の温度で、トータル減面率8
0%以上の熱間加工を行うことにより靱性、冷間加工性
の向上を図るとしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、フェライト系
ステンレス鋼の棒材、線材の通常圧延においては、実際
には、粗圧延→中間圧延→仕上圧延と何台もの圧延機に
よって少しずつ減面されるため圧延機1台における減面
率は数十%程度となり、また特に900〜1000℃と
いう温度域では、圧延機と圧延機の間を通過する間に、
結晶粒が粗大化しやすく、最終的に得られる材料は、冷
間加工性、加工後の表面肌特性が劣るものとなってしま
う場合が多い。このような理由によって、上記特許の内
容では優れた冷間加工性、加工後の表面肌特性を有する
フェライト系ステンレス鋼を得るには不十分である。
ステンレス鋼の棒材、線材の通常圧延においては、実際
には、粗圧延→中間圧延→仕上圧延と何台もの圧延機に
よって少しずつ減面されるため圧延機1台における減面
率は数十%程度となり、また特に900〜1000℃と
いう温度域では、圧延機と圧延機の間を通過する間に、
結晶粒が粗大化しやすく、最終的に得られる材料は、冷
間加工性、加工後の表面肌特性が劣るものとなってしま
う場合が多い。このような理由によって、上記特許の内
容では優れた冷間加工性、加工後の表面肌特性を有する
フェライト系ステンレス鋼を得るには不十分である。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述したような問題を解
消するため、発明者らは鋭意開発を進めた結果、シャル
ピー遷移温度50℃以下にすることに加えて、さらに、
円相当直径200μm以下の結晶粒の占める面積率を6
0%以上にすることが重要であることを見出した。その
発明の要旨とするところは、 (1)重量%で、C:0.05%以下、Si:1.0%
以下、Mn:1.0%以下、Cr:10.0〜30.0
%、残部Feおよび不可避的不純物からなり、円相当直
径200μm以下の結晶粒の占める面積率が60%以上
で、シャルピー遷移温度50℃以下の靱性、冷間加工
性、加工後の表面肌特性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼。
消するため、発明者らは鋭意開発を進めた結果、シャル
ピー遷移温度50℃以下にすることに加えて、さらに、
円相当直径200μm以下の結晶粒の占める面積率を6
0%以上にすることが重要であることを見出した。その
発明の要旨とするところは、 (1)重量%で、C:0.05%以下、Si:1.0%
以下、Mn:1.0%以下、Cr:10.0〜30.0
%、残部Feおよび不可避的不純物からなり、円相当直
径200μm以下の結晶粒の占める面積率が60%以上
で、シャルピー遷移温度50℃以下の靱性、冷間加工
性、加工後の表面肌特性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼。
【0005】(2)重量%で、C:0.05%以下、S
i:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:10.
0〜30.0%、残部Feおよび不可避的不純物からな
り、製造工程の途中で、10%以上の減面率の引抜伸線
等の加工を加えたもので、円相当直径200μm以下の
結晶粒の占める面積率が60%以上で、シャルピー遷移
温度50℃以下の靱性、冷間加工性、加工後の表面肌特
性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
i:1.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:10.
0〜30.0%、残部Feおよび不可避的不純物からな
り、製造工程の途中で、10%以上の減面率の引抜伸線
等の加工を加えたもので、円相当直径200μm以下の
結晶粒の占める面積率が60%以上で、シャルピー遷移
温度50℃以下の靱性、冷間加工性、加工後の表面肌特
性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
【0006】(3)重量%で、S:0.005%以下、
P:0.050%以下、O:0.010%以下、N:
0.030%以下、のいずれか1種または2種以上を含
有した前記(1)または(2)記載の冷間加工性に優れ
たフェライト系ステンレス鋼。 (4)重量%で、Al:0.0001〜0.05%、N
b:0.05〜1.0%、V:0.05〜1.0%、T
i:0.05〜1.0%、Zr:0.05〜1.0%、
のいずれか1種または2種以上を添加した請求項1〜3
記載の冷間加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
P:0.050%以下、O:0.010%以下、N:
0.030%以下、のいずれか1種または2種以上を含
有した前記(1)または(2)記載の冷間加工性に優れ
たフェライト系ステンレス鋼。 (4)重量%で、Al:0.0001〜0.05%、N
b:0.05〜1.0%、V:0.05〜1.0%、T
i:0.05〜1.0%、Zr:0.05〜1.0%、
のいずれか1種または2種以上を添加した請求項1〜3
記載の冷間加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
【0007】(5)前記(1)〜(4)において、重量
%で、Ca:0.010%以下、B:0.010%のい
ずれか1種または2種を添加したことを特徴とする冷間
加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼。 (6)前記(1)〜(5)において、重量%で、Mo:
0.05〜5.0%、Ni:0.05〜1.0%、C
u:0.05〜1.0%のいずれか1種または2種以上
を添加したことを特徴とする冷間加工性に優れたフェラ
イト系ステンレス鋼にある。
%で、Ca:0.010%以下、B:0.010%のい
ずれか1種または2種を添加したことを特徴とする冷間
加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼。 (6)前記(1)〜(5)において、重量%で、Mo:
0.05〜5.0%、Ni:0.05〜1.0%、C
u:0.05〜1.0%のいずれか1種または2種以上
を添加したことを特徴とする冷間加工性に優れたフェラ
イト系ステンレス鋼にある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る成分組成の限
定理由を説明する。 C:C:0.05%以下 Cは代表的な固溶強化元素であるが、多量の含有は耐食
性、靱性の劣化を生ずるため上限を0.05%とする。 Si:1.0%以下 Siは鋼の脱酸に必要であるが、多量の添加は冷間加工
性の劣化を招くため上限を1.0%とする。
定理由を説明する。 C:C:0.05%以下 Cは代表的な固溶強化元素であるが、多量の含有は耐食
性、靱性の劣化を生ずるため上限を0.05%とする。 Si:1.0%以下 Siは鋼の脱酸に必要であるが、多量の添加は冷間加工
性の劣化を招くため上限を1.0%とする。
【0009】Mn:1.0%以下 Mnは鋼の脱酸に必要であるが、多量の添加は冷間加工
性が劣るため上限を1.0%とする。 Cr:10.0〜30.0% Crはフェライト相の安定と耐食性の確保に必要である
が、10.0%未満ではその効果は得られず、また、多
量の添加は加工性の劣化を招くためその上限を30.0
%とする。
性が劣るため上限を1.0%とする。 Cr:10.0〜30.0% Crはフェライト相の安定と耐食性の確保に必要である
が、10.0%未満ではその効果は得られず、また、多
量の添加は加工性の劣化を招くためその上限を30.0
%とする。
【00010】S:0.005%以下 Sは多量の含有は耐食性、加工性が劣化するため上限を
0.005%とする。 P:0.050%以下 Pは多量の含有は耐食性、加工性が劣化するため上限を
0.005%とする。 O:0.010%以下 Oは多量の含有は靱性、加工性の劣化を招くため上限を
0.010%とする。 N:0.030%以下 Nは多量の含有は靱性、加工性の劣化を招くため上限を
0.030%とする。
0.005%とする。 P:0.050%以下 Pは多量の含有は耐食性、加工性が劣化するため上限を
0.005%とする。 O:0.010%以下 Oは多量の含有は靱性、加工性の劣化を招くため上限を
0.010%とする。 N:0.030%以下 Nは多量の含有は靱性、加工性の劣化を招くため上限を
0.030%とする。
【0011】Al:0.0001〜0.05% Alは鋼の脱酸に有効であるが、0.0001%未満で
はその効果が得られず、また、多量の添加は加工性を劣
化させるため、その上限を0.05%とする。 Nb,V,Ti,Zr:0.05〜1.0% Nb,V,Ti,Zrは耐食性、加工性を向上させる
が、0.05%未満ではその効果が十分得られず、ま
た、多量の添加は加工性の劣化を生ずるため、その範囲
を0.05〜1.0%とする。
はその効果が得られず、また、多量の添加は加工性を劣
化させるため、その上限を0.05%とする。 Nb,V,Ti,Zr:0.05〜1.0% Nb,V,Ti,Zrは耐食性、加工性を向上させる
が、0.05%未満ではその効果が十分得られず、ま
た、多量の添加は加工性の劣化を生ずるため、その範囲
を0.05〜1.0%とする。
【0012】Ca:0.010%以下 Caは硫化物、酸化物等の形態制御により、靱性、加工
性を向上させるが、多量に添加すると加工性の劣化を生
ずるため、上限を0.010%とする。 B:0.010% Bは粒界強度を上昇させるが、多量の添加は加工性を劣
化されるため、上限を0.010%とする。
性を向上させるが、多量に添加すると加工性の劣化を生
ずるため、上限を0.010%とする。 B:0.010% Bは粒界強度を上昇させるが、多量の添加は加工性を劣
化されるため、上限を0.010%とする。
【0013】Mo:0.05〜5.0% Moは耐食性の向上に有効であるが、0.05%未満で
は効果が十分でなく、また、多量の添加は加工性を劣化
させるため、上限を5.0%とする。 Ni:0.05〜1.0% Niは耐食性の向上に有効であるが、0.05%未満で
は効果が十分でなく、また、多量の添加は加工性を劣化
させるため、上限を1.0%とする。 Cu:0.05〜1.0% Cuは耐食性の向上に有効であるが、0.05%未満で
は効果が十分でなく、また、多量の添加は加工性を劣化
させるため、上限を1.0%とする。
は効果が十分でなく、また、多量の添加は加工性を劣化
させるため、上限を5.0%とする。 Ni:0.05〜1.0% Niは耐食性の向上に有効であるが、0.05%未満で
は効果が十分でなく、また、多量の添加は加工性を劣化
させるため、上限を1.0%とする。 Cu:0.05〜1.0% Cuは耐食性の向上に有効であるが、0.05%未満で
は効果が十分でなく、また、多量の添加は加工性を劣化
させるため、上限を1.0%とする。
【0014】本発明において、円相当直径200μm以
下の結晶粒の占める面積率が60%以上、シャルピー遷
移温度50℃以下とする。一般に、鉄鋼材料の冷間加工
性の指標としては、硬さ、変形抵抗、引張試験における
伸び、絞り等が重要視されている。しかし、これまでに
研究を重ねた結果、歪速度10/s程度以上のフェライ
ト系ステンレス鋼の冷間加工においては、上記特性がい
かに優れていても、シャルピー遷移温度が50℃を超え
る場合、割れ発生が非常に起こりやすく、優れた冷間加
工性を得るためには、シャルピー遷移温度が50℃以下
にすることが非常に重要であることを見出した。
下の結晶粒の占める面積率が60%以上、シャルピー遷
移温度50℃以下とする。一般に、鉄鋼材料の冷間加工
性の指標としては、硬さ、変形抵抗、引張試験における
伸び、絞り等が重要視されている。しかし、これまでに
研究を重ねた結果、歪速度10/s程度以上のフェライ
ト系ステンレス鋼の冷間加工においては、上記特性がい
かに優れていても、シャルピー遷移温度が50℃を超え
る場合、割れ発生が非常に起こりやすく、優れた冷間加
工性を得るためには、シャルピー遷移温度が50℃以下
にすることが非常に重要であることを見出した。
【0015】また、近年、自動車関係部品、精密機械部
品等の小型化、高精度化に伴い、優れた冷間加工性に加
えて、加工後の良好な表面肌特性が要求される場合が多
く、シャルピー遷移温度50℃以下にすることに加え
て、さらに、円相当直径200μm以下の結晶粒の占め
る面積率を60%以上にすることが重要であることを見
出した。また、圧延温度が高く、結晶粒が粗大化しやす
い場合には、製造工程の途中で、10%以上の減面率の
冷却引抜伸線等の加工を適用し、最終製品において、同
様に、円相当直径200μm以下の結晶粒の占める面積
率を60%以上で、かつ、シャルピー遷移温度50℃以
下にすることが重要となる。
品等の小型化、高精度化に伴い、優れた冷間加工性に加
えて、加工後の良好な表面肌特性が要求される場合が多
く、シャルピー遷移温度50℃以下にすることに加え
て、さらに、円相当直径200μm以下の結晶粒の占め
る面積率を60%以上にすることが重要であることを見
出した。また、圧延温度が高く、結晶粒が粗大化しやす
い場合には、製造工程の途中で、10%以上の減面率の
冷却引抜伸線等の加工を適用し、最終製品において、同
様に、円相当直径200μm以下の結晶粒の占める面積
率を60%以上で、かつ、シャルピー遷移温度50℃以
下にすることが重要となる。
【0016】
【実施例】表1に供試材の化学成分、表2に円相当直径
200μm以下の結晶粒の占める面積率、シャルピー遷
移温度を示す。円相当直径については、各供試材におい
て、1mm×1mmの10視野についてコンピューター
による画像解析を行い、各結晶粒を円と仮定した時の粒
径(円相当直径)分布を求め、さらに円相当直径200
μm以下となる結晶粒の占める面積率を求めた。シャル
ピー遷移温度については、延性破面率100%の場合の
吸収エネルギーの1/2の値に相当する温度とした。表
1に示す供試材を用いて、歪速度30/s程度、据込率
80%程度に相当する冷間加工を実施した。また、表2
に冷鍛性、加工後の表面肌特性に関する試験結果を示
す。冷鍛性については、加工後に割れ発生の無いものに
ついては○、割れ発生のあるものは×とした。表面肌特
性については、加工後の表面凹凸の山部と谷部の高さの
差が0.1mm以下の場合を○、0.1mmを超える場
合×とした。
200μm以下の結晶粒の占める面積率、シャルピー遷
移温度を示す。円相当直径については、各供試材におい
て、1mm×1mmの10視野についてコンピューター
による画像解析を行い、各結晶粒を円と仮定した時の粒
径(円相当直径)分布を求め、さらに円相当直径200
μm以下となる結晶粒の占める面積率を求めた。シャル
ピー遷移温度については、延性破面率100%の場合の
吸収エネルギーの1/2の値に相当する温度とした。表
1に示す供試材を用いて、歪速度30/s程度、据込率
80%程度に相当する冷間加工を実施した。また、表2
に冷鍛性、加工後の表面肌特性に関する試験結果を示
す。冷鍛性については、加工後に割れ発生の無いものに
ついては○、割れ発生のあるものは×とした。表面肌特
性については、加工後の表面凹凸の山部と谷部の高さの
差が0.1mm以下の場合を○、0.1mmを超える場
合×とした。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】表1においてNo1〜22は本発明鋼であ
り、No23〜32は比較鋼である。その結果を表2に
示す。表2よりNo1〜22の本発明における円相当直
径200μm以下の結晶粒の占める面積率は60%以上
であり、また、シャルピー遷移温度は、50℃以下を示
し、加工後の割れ発生はなく、また、加工後の表面肌特
性に優れているが、No23〜32の比較鋼のいずれも
円相当直径200μm以下の結晶粒の占める面積率は6
0%未満であり、また、シャルピー遷移温度は、50℃
を超える値を示し、加工後の割れ発生、ないしは加工後
の表面肌特性の凹凸のいずれかが見られた。
り、No23〜32は比較鋼である。その結果を表2に
示す。表2よりNo1〜22の本発明における円相当直
径200μm以下の結晶粒の占める面積率は60%以上
であり、また、シャルピー遷移温度は、50℃以下を示
し、加工後の割れ発生はなく、また、加工後の表面肌特
性に優れているが、No23〜32の比較鋼のいずれも
円相当直径200μm以下の結晶粒の占める面積率は6
0%未満であり、また、シャルピー遷移温度は、50℃
を超える値を示し、加工後の割れ発生、ないしは加工後
の表面肌特性の凹凸のいずれかが見られた。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により優れた
靱性、冷間加工性および加工後の良好な表面肌特性を有
するフェライト系ステンレス棒鋼、線材を得ることが可
能となったことは工業上極めて有益である。
靱性、冷間加工性および加工後の良好な表面肌特性を有
するフェライト系ステンレス棒鋼、線材を得ることが可
能となったことは工業上極めて有益である。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.05%以下、 Si:1.0%以下、 Mn:1.0%以下、 Cr:10.0〜30.0%、 残部Feおよび不可避的不純物からなり、円相当直径2
00μm以下の結晶粒の占める面積率が60%以上で、
シャルピー遷移温度50℃以下の靱性、冷間加工性、加
工後の表面肌特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。 - 【請求項2】 重量%で、 C:0.05%以下、 Si:1.0%以下、 Mn:1.0%以下、 Cr:10.0〜30.0%、 残部Feおよび不可避的不純物からなり、製造工程の途
中で、10%以上の減面率の引抜伸線等の加工を加えた
もので、円相当直径200μm以下の結晶粒の占める面
積率が60%以上で、シャルピー遷移温度50℃以下の
靱性、冷間加工性、加工後の表面肌特性に優れたフェラ
イト系ステンレス鋼。 - 【請求項3】 重量%で、 S:0.005%以下、 P:0.050%以下、 O:0.010%以下、 N:0.030%以下、 のいずれか1種または2種以上を含有した請求項1また
は2記載の冷間加工性に優れたフェライト系ステンレス
鋼。 - 【請求項4】 重量%で、 Al:0.0001〜0.05%、 Nb:0.05〜1.0%、 V:0.05〜1.0%、 Ti:0.05〜1.0%、 Zr:0.05〜1.0%、 のいずれか1種または2種以上を添加した請求項1〜3
記載の冷間加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼。 - 【請求項5】 請求項1〜4において、重量%で、C
a:0.010%以下、B:0.010%のいずれか1
種または2種を添加したことを特徴とする冷間加工性に
優れたフェライト系ステンレス鋼。 - 【請求項6】 請求項1〜5において、重量%で、M
o:0.05〜5.0%、Ni:0.05〜1.0%、
Cu:0.05〜1.0%のいずれか1種または2種以
上を添加したことを特徴とする冷間加工性に優れたフェ
ライト系ステンレス鋼。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000008491A JP2001200343A (ja) | 2000-01-18 | 2000-01-18 | 冷間加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000008491A JP2001200343A (ja) | 2000-01-18 | 2000-01-18 | 冷間加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001200343A true JP2001200343A (ja) | 2001-07-24 |
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ID=18536749
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---|---|---|---|
JP2000008491A Pending JP2001200343A (ja) | 2000-01-18 | 2000-01-18 | 冷間加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
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---|---|
JP (1) | JP2001200343A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20180068087A (ko) * | 2016-12-13 | 2018-06-21 | 주식회사 포스코 | 충격 인성이 개선된 페라이트계 스테인리스강 및 이의 제조 방법 |
-
2000
- 2000-01-18 JP JP2000008491A patent/JP2001200343A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20180068087A (ko) * | 2016-12-13 | 2018-06-21 | 주식회사 포스코 | 충격 인성이 개선된 페라이트계 스테인리스강 및 이의 제조 방법 |
WO2018110866A1 (ko) * | 2016-12-13 | 2018-06-21 | 주식회사 포스코 | 충격 인성이 개선된 페라이트계 스테인리스강 및 이의 제조 방법 |
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