JP3011596B2 - 送電線用低熱膨張高強度芯線及びこれを用いた低弛度電線 - Google Patents

送電線用低熱膨張高強度芯線及びこれを用いた低弛度電線

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に既設送電線路の増
容量化に有効な低弛度電線及びこの電線の芯線に用いら
れる送電線用低熱膨張高強度芯線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、架空送電線用ACSR(鋼心ア
ルミ撚線)は芯線の周囲に、アルミ撚線を導体として撚
り合せてなるものであり、その送電容量は導体の断面積
に比例して増加する。そのため、架空送電線用ACSR
の外径が一定条件の下でその送電容量を増加させると、
その送電容量の増加に反比例して芯線が小径化するた
め、張力によってこれが伸びて架線時の弛度増大を招く
こととなる。また、この芯線を小径化させることなく、
このアルミ導体を耐熱性に優れたアルミ合金に代えるこ
とで送電容量を増やす方法も提案されているが、この方
法では芯線が送電時の温度上昇によって熱膨張して電線
伸びを招き、やはり弛度増大を防止することができな
い。従って、架空送電線用ACSRの外径が一定の場
合、弛度増大を招くことなく送電容量を増大させるため
には、引張強度が高く、かつ線膨張係数の小さい芯線が
要求される。
【0003】このようなことから、線膨張係数の小さい
インバーを芯線として用いたインバーACSRが開発さ
れ、既に一部実用化されている。例えば、このインバー
ACSRとして、特公昭57−17942号(以下、従
来例1という)では120kgf/mm2 以上の引張強
さを有するACSR用低膨張合金が、また、特公昭57
−56164号(以下、従来例2という)では線膨張係
数2×10-5から6×10-5/℃のFe−Ni系のオー
ステナイト単相の合金線が提案されている。
【0004】具体的に説明すると、従来例1は、実用面
では亜鉛メッキ後の引張強さが105から110kgf
/mm2 以上の亜鉛メッキインバ線を芯線とし、その上
に丸形の超耐熱アルミ合金(ZTAL)を導体として撚
り合せた亜鉛メッキインバ芯超耐熱アルミ合金撚り線
(ZTACIR)が従来のACSR120mm2 から1
520mm2 と同一構成で検討されており、一部サイズ
では実線路に使用されている。一方、従来例2は、アル
ミ被覆後の引張強さが95から105kgf/mm2
上のアルミ被覆インバ線を芯線とし、その上に扇形の圧
縮形特別耐熱アルミ合金線(XTAL)を導体として撚
り合せたアルミ被覆インバ心特別耐熱アルミ合金撚り線
(XTACIR)であり、特に、このXTACIRでは
既設線路の電線の張り替えを行う場合、電線の外径・撚
り線の引張荷重を従来電線と同等にするために、アルミ
被覆インバ線を太いサイズ化して引張荷重を確保し、X
TALを扇形にすることで撚り線外径の増加を防いでい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来例1に
示されている送電線用低弛度電線では亜鉛メッキ後で芯
線の引張強さが105から110kgf/mm2 アルミ
被覆後で95から110kgf/mm2 以上と一般にA
CSRに使用されている芯線の引張強さ(亜鉛メッキも
しくはアルミ被覆後で125から135kgf/m
2 )に較べ強さが劣る。そのため、このZTACIR
構成品では撚り線の引張荷重が既設線より小さくなり、
安全率に余裕のない線路では電線の最大使用張力を既設
線の最大使用張力より小さくする必要があり、その結果
本構成電線の特長である低弛度特性が芯線の引張強さの
低下と相殺され、失われてしまう。
【0006】一方、従来例2に示されているXTACI
R構成の送電線用低弛度電線では、従来例1に示されて
いる撚り線の引張荷重の低下をインバ心の素線系を太く
することで防いでいるが、既設線の張り替えに当って
は、風圧荷重の増加を防ぐため、電線の外径を既設線と
同等にしなければならないため、電線の外径を既設線と
同じに押え、なおかつインバ心部を大きくしても導体部
であるアルミ合金の断面積を確保するため、アルミ合金
を扇形にし、断面に対する占積率を増やしている。この
場合において、撚り線層数の多い比較的太いサイズの撚
り線では、導体部アルミ合金部の断面積の絶対値が大き
いので、占積率が増えることで既設線なみの導体部断面
積を取り戻すことが可能となるが、この扇形のアルミ合
金を製造することは、導体材の伸線時にそのサイズ専用
の伸線ダイスを使用せねばならず、その上、伸線機も工
業的によく使用される、複数個の伸線ダイスを並び、各
ダイスの間に芯線材を貯める釜を配置したタイプのもの
が使用できないため、製造コストが高くなってしまう欠
点がある。さらに、より線層数が少ない細いサイズの電
線では、導体部の断面積の絶対値が少ないのでこの方法
での断面積の回復が非常に難しい。特に、アルミ部が1
5本、鋼心部が4本の構成の電線(小サイズACSR)
では、扇型導体を用いることによるアルミ導体断面積の
増加の程度が小さく、希望値を下回るためこの方法が取
れないので、アルミ被覆鋼または亜鉛メッキ鋼を用いた
既設線と等価の電線が製造できないという問題がある。
【0007】以上の問題点は、いずれも電線の芯線が通
常のACSR系電線に用いる芯線よりも引張強さが低い
ことに起因するものである。これは、金属学的には、オ
ーステナイト単層組織の加工硬化能には、延性とのバラ
ンスの上で限界があることを示している。
【0008】また、降雪の予想される地域では、電線に
難着雪対策を施す必要があり、国内では多くの場合難着
雪リングを取付けている。これは雪が電線のより目に沿
って滑りながら筒雪になるのを、リングにより雪の滑り
を止めるものである。ここで、XTACIR構成の電線
では、電線表面に雪が沿う程のより目がないため、難着
雪リングによる難着雪化ができない。
【0009】さらに、従来の低弛度電線は、送電線用低
熱膨張芯線のキュリー点が230℃前後にあり、230
℃を境として熱膨張係数が急激に大きくなる特性をもっ
ている。そのために、XTACIR構成の電線の導体に
用いられる特別耐熱合金線(XTAl)が310℃まで
の短時間耐熱性を有しているにもかかわらず、XTAC
IRの短時間許容温度は運用上290℃に設計されてお
り、310℃までの熱膨張係数が従来の送電線用低膨張
芯線によりも低い低膨張芯線が求められている。この2
0℃の高温化が約5%の送電容量の増加になり、大変重
要なものである。ただし、Znメッキを施した送電線用
低膨張芯線の場合は、Znの耐熱温度が240℃である
ために、このような高温域での熱膨張係数の低下は意味
をなさず、Al被覆送電用低熱膨張芯線においてその効
果が発揮される。
【0010】そこで、本発明はこれら従来技術の問題点
を有効に解決するために案出されたものであり、その目
的は、従来の送電用低膨張芯線の高強度化と、さらに加
えて310℃までの低熱膨張化を図ることのできる新規
な送電線用低熱膨張高強度芯線及び、この送電線用低熱
膨張高強度芯線を用いて、既設線の外径を保ちつつ送電
容量の増大化を図ることができる新規な低弛度電線を提
供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは、Fe−Co−Ni系合金に種々の合
金元素を添加した組成の合金の熱間圧延素材を用い、さ
らに冷間加工とAl被覆またはZnメッキした状態の合
金線について引張特性、熱膨張係数、捻回特性および巻
付・巻戻し特性の調査を行った。ここで、捻回特性と
は、電線の撚り線作業の性能を評価するものであり、そ
の評価手段として、線材の一端を固定して他端をねじる
捻回試験を実施し、その破断に至る迄の回数を捻回値と
して測定するものである。また、巻付・巻戻し特性と
は、線材の曲げ加工性を評価するものであり、その評価
手法として、試験線材を自己径の1.5倍から2.0倍
程度の芯材に8回巻付けを行い、さらに同回数だけ巻戻
して線材の破断の有無を確認し性能を評価するものであ
る。そして、これらの評価の結果、従来のFe−Ni系
低弛度送電用芯材ではオーステナイト相が強度の冷間加
工を加えても安定なため、加工硬化能に限界があり、A
CSR用鋼心材並の高強度を得ることができないことが
わかった。そこで、本発明が目的とするレベルの高強度
の低熱膨張芯線材を得るためには、強度の冷間加工によ
ってオーステナイト相の一部がマルテンサイト相に変態
するような合金組成を選び、さらにその時の冷間加工前
の合金組成が、もっとも低熱膨張係数が得られる組成に
最適化しておくことで、高強度と低熱膨張特性の両方が
可能であることを見出した。特に、このような加工誘起
変態を有する送電用低弛度芯線が高強度と低熱膨張特性
を両立するためには、Cは0.06〜0.50%含み、
かつ、添付した図1の実線で囲んだNiとCoを含む領
域において、残部の主な成分がFeからなる組成とする
ことで達成できる。
【0012】より具体的には、主な合金組成としてCを
0.06〜0.50%を含み、かつ図1の破線の枠で囲
んだ領域に示すようにNiとCoの関係を比例関係で結
ぶ領域と、NiとCr+0.54Mo+0.28Wの関
係を比例関係で結ぶ領域を共に満たす領域内でこれにF
eを加えた組成を主たる成分とすることで、より一層オ
ーステナイト相の加工硬化と加工誘起マルテンサイトの
強度向上を図ることができ、この組成にAl被覆または
Znメッキ処理を施し、耐食性を加味することによっ
て、目的とするレベルの送電線用低熱膨張高強度芯線が
得られることがわかった。さらに、一部の組成の芯線
は、高強度化に加えて、従来の芯材では得られなかった
310℃までの低熱膨張化も達成できることがわかっ
た。
【0013】また、この送電線用低熱膨張高強度芯線を
用いれば、既設線の外径を保ちつつ増容量化を図ること
ができる低弛度送電線を提供することが可能となり、さ
らにはこの送電線を用いて従来の低弛度送電線では得ら
れなかった短時間最大使用温度が310℃まで使用可能
な低弛度送電線を提供できることが明らかになった。
【0014】従って、本発明はFe−Co−Ni系合金
からなる、少なくともオーステナイト相と加工誘起マル
テンサイト相との2相を有する合金の表面にAl被覆を
施すことで、Al被覆芯線の常温の引張強さは、130
kgf/mm2 以上、場合によっては135kgf/m
2 以上の高強度を発揮することができる。また、常温
から310℃までの平均熱膨張係数は6×10-6/℃以
下であり、さらに自己径の100倍の掴み間隔で捻った
時の捻回値が15回以上および自己径の1.5倍の径の
軸棒に8回巻き付け後、8回巻戻しても破断を生じない
ことがわかった。また、このAl被覆量は、線材の横断
面積の30%以下であり、好適な範囲は13〜22%で
ある。
【0015】また、このAl被覆に代えてZnメッキを
施しても同様な効果が得られる。すなわち、このメッキ
芯線の常温の引張強さは130kgf/mm2 以上であ
り、より高強度を図ったものは135kgf/mm2
上を発揮する。また、常温から240℃までの平均熱膨
張係数は6×10-6/℃以下であり、さらに自己径の1
00倍の掴み間隔で捻った時の捻回値が15回以上およ
び自己径の1.5倍の径の軸棒に8回巻き付け後、8回
巻戻しても破断を生じない。そして、この十分な耐食性
を得るためにはこのZnのメッキ量は215g/m2
上であることが望ましい。
【0016】また、本発明に用いられるFe−Co−N
i系合金の組成は、重量%でC0.06〜0.50%を
含み、Co65%以下、0またはNi30%未満の1種
または2種をCo+Niで25〜65%含有し、残部が
Feを主体とするものである。さらに詳しくは、重量%
でC0.06〜0.50%、Si1.5%以下、Mn3
%以下、Co2〜65%、Ni0%または29.9%以
下で、CoとNiの関係が52−(5/3)Ni≦Co
≦65−(5/3)Niを満足し、またはさらに11%
以下のCrと6%以下のWと6%以下のMoの1種また
は2種以上を、5−(1/4)Ni≦Cr+0.54M
o+0.28W≦11−(1/4)Niを満足する範囲
で含有し、残部が実質的にFeからなる組成であり、さ
らに個々の元素および元素の組合せにはより好適な範囲
が存在する。また、上記組成を基本として、さらに適
時、B,Mg,Ca,V,Ti,Nb,Hf,Zr,A
l,REMを組合せて添加することができる。
【0017】また、この芯材に用いられるFe−Co−
Ni系合金中に含まれる加工誘起マルテンサイト相の量
は2〜35%の範囲が望ましい。
【0018】また、本発明の低弛度電線は上述したよう
に、このアルミ被覆またはZnメッキを施した高強度膨
張高強度芯線をそれぞれ1本ないし複数本撚り合わせて
芯材とし、この芯材のまわりに1層ないし複数層のアル
ミ合金を導体として撚り合せたものであり、アルミ被覆
を施した芯線を用いた送電線の一部は、短時間最大使用
温度で310℃まで、一方Znメッキを施した芯線とを
用いた送電線の一部は短時間最大使用温度が240℃ま
で実用化できる。
【0019】
【作用】本発明の送電線用低熱膨張高強度芯線が最も特
徴とする点は、加工誘起マルテンサイト相を含有してい
ることである。
【0020】従来、送電線用低熱膨張高強度芯線として
提案されてきたFe−Ni系またはFe−Co−Ni系
低熱膨張芯線は、強度や捻回特性などの改良を目的と
し、組成や製造方法に特色を有しているが、その組織は
いずれもオーステナイト相が大部分を占めることを特徴
とするものである。Fe−Co−Ni系合金をベースと
するオーステナイト単相合金の加工硬化能は、オーステ
ナイト相+加工誘起マルテンサイト相の加工硬化能に及
ばず、本発明が意図するレベルの高強度の送電線低熱膨
張芯線が得られなくなるため、本発明送電線用低熱膨張
高強度芯線の組織は、Fe−Co−Ni系合金をベース
としてオーステナイト相+加工誘起マルテンサイト相の
少なくとも2相を有する必要がある。
【0021】このFe−Co−Ni系2相合金の表面に
耐食性と導電性に寄与するA1被覆を実施すると、従来
のインバーACSRよりも高強度の送電線用芯線が得ら
れ、従来の高強度鋼線を用いたACSRと構造変更なし
に代替することができる。さらに一部の組成のFe−C
o−Ni系2相合金を芯線に用いれば、高強度化と低熱
膨張化が同時に達成され、XTALの耐熱限界である3
10℃まで使用が可能となる。その際のAl被覆送電線
用芯材の常温引張強さは、130kgf/mm2 以上、
常温から310℃までの平均熱膨張係数は6×10-6
下、自己径の100倍の掴み間隔で捻じった時の捻回値
は、15回以上および自己径の1.5倍の径の軸棒に8
回巻き付け後、8回巻戻しても破断しないことが必要で
ある。それぞれの数値が1つでも満足できないと送電線
用芯材として従来の高強度鋼線と構造変更なしに代替で
きないので、これらの特性はすべて同時に満足する必要
がある。より望ましい常温の引張強さは135kgf/
mm2 以上、より望ましい常温から310℃までの平均
熱膨張係数は5×10-6以下である。
【0022】また、Al被覆率が増加すると芯線として
の強度が低下し、上記の引張強さを維持することが困難
となるため、Al被覆率については30%以下に限定す
る。より望ましいA1被覆率は13〜22%の範囲であ
る。
【0023】また、Fe−Co−Ni系2相合金の表面
にZnメッキを実施すると安価でかつ耐食性に優れた送
電線用低熱膨張高強度芯線が得られる。Znメッキの場
合は、Znの耐熱温度が240℃であるため、送電線用
芯線の耐熱限度は240℃に限定されるが、従来の高強
度鋼線を用いたACSRと構造変更なしに代替すること
ができる。その際のZnメッキ送電線用芯線の常温引張
強さは、130kg/mm2 以上、常温から240℃ま
での平均熱膨張係数は6×10-6以下、自己径の100
倍の掴み間隔で捻じった時の捻回値は、15回以上およ
び自己径の1.5倍の径の軸棒に8回巻き付け後、8回
巻戻しても破断しないことが必要である。それぞれの数
値が1つでも満足できないと送電線用芯材として従来の
高強度鋼線と構造変更なしに代替できないので、これら
の特性はすべて同時に満足する必要がある。より望まし
い常温の引張強さは135kgf/mm2 以上である。
また、Znメッキ量は、安定した耐食性を得るために2
15g/m2 以上とする。
【0024】次に、本発明の送電線用低熱膨張高強度芯
線に適する化学組成範囲について成分限界理由を説明す
る。なお、表1は、本発明の成分範囲を示したものであ
る。
【0025】Cは、高強度低熱膨芯線の冷間加工時にオ
ーステナイト相の加工硬化と加工誘起マルテンサイトの
強度向上に最も寄与する元素で、本発明の送電線用低熱
膨張高強度芯線の製造方法において成分上最も特色ある
元素である。また、オーステナイト安定化元素としてN
iやCoの一部を置換することもできる。このような効
果を得るために、Cは、重量%で最低0.06%を必要
とするが、逆に0.50%を越えると、オーステナイト
相を過度に安定化させて、マルテンサイト変態を起こし
にくくするとともに、熱膨張係数の増加を招くことにな
る。従って、Cの添加量は、0.06〜0.50%であ
り、より望ましい範囲は表1に示す通り重量%で0.2
0〜0.30%である。
【0026】Si,Mnは脱酸元素として本発明合金に
含まれる。ただし、過度のSi,Mnは熱膨張係数の増
加を招くため、それぞれ重量%で1.5%以下および3
%以下の添加にとどめる。より望ましい範囲は表1に示
す通り、それぞれ重量%で0.5%以下である。
【0027】CoとNiは、本発明の送電線用低熱膨張
高強度芯線において、残部を構成するFeとともに合金
にインバー特性を与えるのに必要な元素である。広い成
分範囲として、Co65%以下、Ni30%未満の1種
または2種をCo−Niで25〜65%の範囲にあれ
ば、Fe−Ni−Co−C系またはFe−Ni−Co−
C系にさらにSi,Mn,Cr,W,Mo,B,Mg,
Ca等の元素が加わった合金系を選ぶことで、本発明の
製造方法により所望する加工誘起変態能をもつ送電線用
芯線が得られる。
【0028】さらに、NiとCoの成分範囲は、図1の
(Ni,Co)の関係が、(29.9,2.2)(2
9.9,15.2),(0.65),(0.52)の4
点で囲まれた枠内において、特に最適な低熱膨張特性と
高強度化の両立が可能である。本発明において好ましい
領域とその右上の領域Aは、Co−65−(5/3)N
iの関係式で隔てられ、領域Aの合金組成になると、オ
ーステナイト相が強度の冷間加工を加えてもかなり安定
になり、領域Aの中でも最適な組成を選ぶことで、熱膨
張係数を十分に低めることができるが、引張強さが不十
分となる。一方本発明において好ましい領域とその左下
の領域Bは、Co−52−(5/3)Niの関係式で隔
てられ、領域Bの合金組成になると、オーステナイト相
がもはや冷間加工の前段階で常温で安定に存在しにく
く、マルテンサイト相が生成しやすくなるために、低熱
膨張特性が失われるようになる。従って、本発明合金の
NiとCoは、図1の実線で囲まれた枠内に示すごと
く、Co2〜65%、Ni29.9%以下で、さらに以
下のNiとCoの関係を満たす範囲内が望ましい。
【0029】 52−(5/3)Ni≦Co≦65−(5/3)Ni……(1) また、Niを無添加とした場合、Coの望ましい成分範
囲は重量%で52〜65%である。そして、より望まし
いNiとCoの範囲は表1に示す通り、重量%でCo:
12〜13.5%,Ni:27.7〜29.5%であ
る。
【0030】
【表1】
【0031】Cr,MoおよびWは同族の元素であり、
ともに基地であるオーステナイト相を安定化させるとと
もに、固溶強化元素及び一部は炭化物の析出強化元素と
して基地の加工硬化能を高めるので、必要に応じて1種
または2種以上を添加できる。また、これらの元素は、
低地度送電線の使用最高温度である300℃付近の高温
強度を高める作用をもつ。しかし、これらの元素はとも
に変移点を低下させる元素であるため、Crの場合は1
1%、Moの場合は6%およびWの場合は6%を越える
と変移点が過度に低下して、200℃〜300℃間の熱
膨張係数が急激に高くなってしまうため、Crの上限を
11%、Moの上限を6%、およびWの上限を6%にそ
れぞれ限定する。また、これらの元素は固溶強化ならび
に析出強化元素として原子比で同様の働きをするため、
Cr+0.54Mo+0.28Wについても上、下限を
規定する必要がある。
【0032】本発明において好ましい領域とその右上の
領域Cは、Cr−0.54Mo+0.28W=11−
(1/4)Niの関係式で隔てられ、領域Cの合金組成
になると、オーステナイト相が強度の冷間加工を加えて
もかなり安定になって十分な引張強さが得られなくなる
と同時に変移点が低下して熱膨張係数が高くなってしま
う。
【0033】一方、本発明において好ましい領域とその
左下の領域Dは、Cr+0.54Mo+2.28W=5
−(1/4)Niの関係式で隔てられ、領域Dの合金組
成になると、オーステナイト相がもはや冷間加工の前段
階で常温で安定に存在しにくく、マルテンサイト相が生
成しやすくなるために、低熱膨張特性が失われるように
なる。従って、本発明合金のNiとCr+0.54Mo
+0.28W量の関係は、図1の破線の枠内に示すごと
く、Co2〜65%、Ni29.9%以下で、さらに以
下の関係を満たす範囲内が望ましい。
【0034】5−(1/4)Ni≦Cr+0.54Mo
+0.28W≦11−(1/4)Ni……(2) Bはオーステナイト結晶粒界に偏析して粒界を強化し、
本発明合金の熱間加工性の改善や常温の延性改善に役立
つ。また、MgやCaは、Sと結びついて粒状の硫化物
をつくり、Bと同様、熱間加工性の改善や常温の延性改
善に役立つ。このような効果のために、B、Mgおよび
Caは1種または2種以上を同時に添加することができ
るが、いずれも0.02%を越える過度の添加は、合金
の融点を下げて、逆に熱間加工性を低下させるのでB、
MgおよびCaはいずれも0.0001〜0.02%の
添加とする。
【0035】なお、Fe−Ni−Co系合金を強化する
添加元素は上記したCやCr、Mo以外に種々考えられ
るが、V,Ti,Nb,Ta,HfおよびZrはCとの
親和力が強く、塊状の硬い1次炭水化物を生成し、少量
の添加であれば強度向上に寄与するため、V,Ti,N
b,Ta,HfおよびZrは1種または2種以上を複合
に添加することができる。しかし、過度の添加は冷間加
工時に欠陥をつくりやすく、引張延びの低下や捻回値の
ばらつきの原因となるため、これらの元素の添加量は合
計で1.0%以下に限定する。
【0036】また、A1とREMは、脱酸や脱硫を目的
として添加することができ、それぞれ0.001〜0.
2%の範囲で1種単独または2種の複合で添加できる。
【0037】また、O、N等のガス成分は合金中で介在
物を生成し、捻回値のばらつき原因となるので、本発明
線においてはそれぞれ、0.01%以下に制限するのが
良い。
【0038】そして、本発明にかかわる組成は、上述し
た化学元素と残部Feから構成される。
【0039】上述の組成をもつ本発明の送電線用低熱膨
張高強度芯線は、熱間加工後あるいは固溶化熱処理後に
急冷しても常温ではオーステナイト相が主相として安定
であるが、伸線工程時に、十分な冷間加工を加えること
で、加工誘起マルテンサイト変態によって、優れた加工
硬化能が得られる。冷間加工による加工硬化は、C添加
によるオーステナイト基地の加工硬化能アップとCを含
有するマルテンサイト相による効果が大きい。
【0040】また、本発明の合金組成からなる高強度低
熱膨張材料を線材に加工すると、特に冷間引抜の中間工
程で焼鈍処理を行なわなくても、40回前後の安定した
捻回値が得られる。このレベルの捻回値は従来の高強度
鋼線の捻回値レベルと同等のものであり、これは、冷間
加工によってすでに存在する加工誘起マルテンサイト相
あるいは捻回中におきるオーステナイト相からマルテン
サイト相への変態による応力の緩和による効果が大きい
ものと推測される。
【0041】インバー合金の基地が強度の冷間加工を加
えても、オーステナイト相が安定の場合は、熱膨張係数
は低いが引張強さが不十分であったり、線材に冷間加工
した際、単純な冷間引抜の工程では、捻回特性が不十分
になったりする。逆に、オーステナイト相が不安定にな
りすぎると、熱間加工後あるいは、固溶化処理後の冷却
過程で、マルテンサイト変態が過度に生じて、もはやイ
ンバ特性を得ることができなくなる。以上述べた理由に
より、本発明の送電線用低熱膨張高強度芯線が高い強度
と低い熱膨張係数および高い捻回値を同時に得るために
は、オーステナイト相と加工誘起変態によって生じるマ
ルテンサイト相との2相をあわせもつ必要がある。
【0042】しかし、加工誘起変態によって生じるマル
テンサイト量は、X線回析によって求められるマルテン
サイト量/(マルテンサイト量+オーステナイト量)比
において2〜35%であることが強度と低熱膨張特性の
バランス上好ましい範囲である。なお、加工誘起変態に
よって得られるマルテンサイトの一部をドライアイス+
アルコール中(−75℃付近)や、それよりもさらに低
温での焼入れ処理による熱的なマルテンサイト変態で置
換することは可能であるが、変態量のバラツキと量産性
を考慮すると加工歪を駆動力とする変態を利用する方が
製造するうえで好ましい。
【0043】このような加工誘起マルテンサイトのオー
ステナイトへの逆変態温度550℃以上の温度であるた
め、送電線として使用される最高温度と言われている3
00℃前後の連続的な使用に対して本発明の送電線用低
熱膨張高強度芯線は特性上なんら問題はない。
【0044】また、加工誘起マルテンサイトは、送電線
として使用される際の中間および仕上げ製造工程におけ
るA1被覆処理やZnメッキ処理のような400〜50
0℃の加熱で一部が炭化物とフェライトに分解すること
もあるが、本発明の送電線用低熱膨張高強度芯線におい
て、少量のフェライトの存在は、特性上なんら問題はな
い。また、実際には第3相として、析出強化作用をもつ
Cr、MoやWその他の炭化物が存在してもよい。
【0045】
【実施例】以下、本発明について具体的実施例を説明す
る。
【0046】[実施例1]表2に示す組成のFe−Co
−Ni−(Cr−Mo−W)系合金を溶製し、熱間鍛造
および熱間圧延によって直径10mmのコイル状に仕上
げた後、これを850℃から980℃の温度で30分保
持後水冷の固溶化処理と表面の皮剥を行い、直径9.4
mmの試料を作製し、その後、この試料を用いて、冷間
引抜によりトータルの加工率82〜95%の範囲で、送
電線用芯線材を作製した。なお、芯線材にAlを被覆す
る場合は、直径4.6mmの段階まで引き抜いた段階で
Al被覆を実施し、さらに仕上げ線径まで引き抜き、さ
らに安定化処理として310℃で2時間加熱を行なっ
た。Znメッキの場合は、最終引き抜き径の段階でメッ
キ浴中への浸漬処理により、Znメッキを実施した。
【0047】そして、これらの試料を用いて熱膨張試
験、引張試験、捻回試験、巻付・巻戻し試験および合金
中のマルテンサイト量の測定を実施した。この結果を表
2に示す。なお、表2には芯線材に用いたFe−Co−
Ni−(Cr−Mo−W)系合金のトータルの冷間加工
率、Al被覆およびZnメッキがついた状態での仕上げ
直径、Al被覆率およびZnメッキ量も併せ示す。ま
た、表2に示すように、熱膨張測定は示差熱膨張計によ
り、Al被覆の場合は30℃から310℃まで、Znメ
ッキの場合は30℃から240℃までの平均熱膨張係数
を測定した。引張試験の伸びは標点間250mmで測定
し、引張強さと絞りについていずれも5本の平均値を求
めた。また捻回試験は、掴み間を自己径の100倍と
し、回転数60rpmで破断までの捻回値をそれぞれ1
0本測定し、平均値を求めた。巻付・巻戻し試験につい
ては、自己径の1.5倍の芯線に各8回巻付・巻戻しし
た際に試験片が破断するか否かを調査し、割れのない場
合は合格として○印を、割れが発生した場合は不合格と
して×印を表2に記載することにした(実際には割れの
出た試料はなし)。さらに、本発明芯線および従来芯線
のAl被覆またはZnメッキをNaOH水溶液で溶解除
去した後、Fe−Co−Ni−(Cr−Mo−W)系合
金の試料横断面のX線回析を行ない、以下の式によりオ
ーステナイト相との比を求めた。
【0048】マルテンサイト相(%)={Iα/(Iγ
+Iα)}×100 Iγ=Iγ(111)+Iγ(200)+Iγ(22
0)−Iγ(311) Iγ(111)等はオーステナイトのX線回折強度 Iα=Iα(110)+Iα(200)+Iα(22
0)+Iα(211) Iα(110)等はマルテンサイトのX線回折強度 表2に示す合金のうち、No.1〜18は本発明の送電
線用低熱膨張高強度芯線に用いられる合金であり、N
o.41は、特開平3−115543号に開示される高
強度低熱膨張合金である。また、これらの合金のNiと
Coの関係およびNiとCr+0.54Mo+0.28
W量の関係を図1に示している。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】この結果、表2に示すように、本発明は8
2〜95%の冷間加工後に130〜167kgf/cm
2 の引張強さと30℃から240℃間および30℃から
310℃間の平均熱膨張係数で5.9×10-6℃以下の
性能を併せもち、従来のピアノ線と同等あるいはそれに
近い引張強さとピアノ線の1/2以下の熱膨張係数が得
られることが判る(ピアノ線の熱膨張係数α30−31
0℃:11.5〜13×10-6/℃)。
【0052】また、これらの特性は従来芯線No.41
と較べると、引張強度に各段の差が見られる。さらに、
本発明芯線No.1,2,27および28は、従来芯線
よりもさらに30〜310℃間の熱膨張係数が低く、導
電体であるXTAlの設計耐熱限界(310℃)までの
使用が可能となる。また、その他の本発明芯線について
も、既設鉄塔の建て替えなしに、送電線を張り替えるた
めには、ピアノ線と同等の強度を持つことが絶対条件と
なるので、弛度の点では、従来芯線に同等あるいはやや
劣る程度であり、310℃までの使用が困難な点もある
が、それよりも設計上低い送電温度の場合は、張り替え
が可能となる。
【0053】また、表3より、本発明芯線は高い捻回値
と優れた巻付・巻戻し特性を有することがわかる。この
ような結果は、冷間加工時に存在する加工誘起マルテン
サイトおよびこれらの各種試験の組成変形中に生じるオ
ーステナイト相から、マルテンサイト相への変態によっ
てもたらされる。表3より本発明は、オーステナイト相
とマルテンサイト相の相比において、5〜25%のマル
テンサイト相を含むことがわかる。
【0054】これに対し、従来芯線No.41は、皮剥
後に単純に冷間加工を行うだけで、捻回値が5回以下の
低い値となり、送電線の芯材の用途に対しては適さなく
なる。
【0055】[実施例2]本発明のACSR構成での表
3のNo.28の線材を用いてできる送電線性能及び弛
度の計算例を、従来電線の性能と比較して表4に示す。
尚、弛度は線路の最大使用張力を電線の引張荷重の1/
3(安全率3)として径間長を200m、電線温度をそ
の電線の許容温度で計算した。
【0056】
【表4】
【0057】本発明の小サイズACSR構成での表3の
No.1の線材を用いてできる送電線性能及び弛度の計
算例を、従来電線と比較して表5に示す。尚、計算条件
は表4と同じとした。
【0058】
【表5】
【0059】[実施例3]上記実施例は、導体部・鋼線
材とも丸形の素線を使用した例であるが、XTACIR
のように、太目の鋼芯と扇形の導体部を採用すれば同一
外径のACSRより高い引張荷重の電線を作ることがで
きる。このような電線は河川横断や海峡横断等の比較的
径間長の長い径間に有効である。
【0060】
【発明の効果】本発明の送電線用低熱膨張高強度芯線
は、従来鋼線並の引張強さを発揮するため、従来の低熱
膨張芯線に比べて数段高い強度を有する。その結果、従
来の鋼心より線(ACSR)を用いた送電線を本発明の
低弛度芯線に張り替えるだけで送電容量の大幅な増加を
図ることができる。さらに、一部の本発明芯線をもちい
れば、従来の低熱膨張芯線よりもさらに電線の弛度を抑
制できるため、導電体である特別耐熱Al合金(XTA
l)の設計限界温度(310℃)まで送電線の耐用温度
を高めることが可能となり、さらなる送電容量の増加が
望める。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明及び従来の送電用低弛度芯線の組成関係
をプロットして示した状態図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 30/00 C23C 30/00 B H01B 5/08 H01B 5/08 (72)発明者 三本杉 潔 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日 立電線株式会社 豊浦工場内 (72)発明者 志賀 博一 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日 立電線株式会社 豊浦工場内 (72)発明者 佐藤 光司 島根県安来市安来町2107番地2 日立金 属株式会社冶金研究所内 (72)発明者 舛形 芳樹 島根県安来市安来町2107番地2 日立金 属株式会社安来工場内 (72)発明者 大野 丈博 島根県安来市安来町2107番地2 日立金 属株式会社冶金研究所内 (56)参考文献 特開 平5−171358(JP,A) 特開 平1−239708(JP,A) 特開 昭57−121108(JP,A) 特開 平6−200352(JP,A) 特開 平6−279945(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 5/02 H01B 5/08 C22C 19/07 C22C 38/00 302 C22C 38/08 C22C 38/10 C23C 30/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe−Co−Ni系合金からなり、か
    つ、その組成が少なくともオーステナイト相と加工誘起
    マルテンサイト相との2相を有する鋼線材の表面にAl
    被覆を施した送電線用低熱膨張高強度芯線において、上
    記Al被覆の被覆率が上記鋼線材の断面積の30%以下
    であり、かつ上記鋼線材を構成するFe−Co−Ni系
    合金の組成が、重量%でC:0.20〜0.30%、S
    i:0.5%以下、Mn:0.5%以下、Co:12〜
    13.5%、Ni:27.7〜29.5%を含有すると
    共に残部:Feであることを特徴とする送電線用低熱膨
    張高強度芯線。
  2. 【請求項2】 上記Al被覆の被覆率が上記鋼線材の断
    面積の13〜22%であることを特徴とする請求項1に
    記載の送電線用低熱膨張高強度芯線。
  3. 【請求項3】 Fe−Co−Ni系合金からなり、か
    つ、その組成が少なくともオーステナイト相と加工誘起
    マルテンサイト相との2相を有する鋼線材の表面にZn
    メッキを施した送電線用低熱膨張高強度芯線において、
    上記Znメッキ量が215g/m 2 以上であり、かつ上
    記鋼線材を構成するFe−Co−Ni系合金の組成が、
    重量%でC:0.20〜0.30%、Si:0.5%以
    下、Mn:0.5%以下、Co:12〜13.5%、N
    i:27.7〜29.5%を含有すると共に残部:Fe
    であることを特徴とする送電線用低熱膨張高強度芯線。
  4. 【請求項4】 上記鋼線材を構成するFe−Co−Ni
    系合金のFeの一部を、重量%で0.0001〜0.0
    2%のB,0.0001〜0.02%のMg,0.00
    01〜0.02%のCaのうちいずれか1種又は2種で
    置換したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の送電線用低熱膨張高強度芯線。
  5. 【請求項5】 上記鋼線材を構成するFe−Co−Ni
    系合金のFeの一部を、V,Ti,Nb,Ta,Hf,
    Zrのうちいずれか1種又は2種以上であって合計1重
    量%以下の範囲で置換したことを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の送電線用低熱膨張高強度芯線。
  6. 【請求項6】 上記鋼線材を構成するFe−Co−Ni
    系合金のFeの一部を、重量%で0.001〜0.2%
    のAl,0.001〜0.2%のREMのうちいずれか
    1種又は2種で置換したことを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに 記載の送電線用低熱膨張高強度芯線。
  7. 【請求項7】 常温での引張強さが130kgf/mm
    2 以上、常温から310℃までの平均熱膨張係数が6×
    10 -6 /℃以下、自己径の100倍の掴み間隔で捻った
    時の捻回値が15回以上及び自己径の1.5倍の径の軸
    棒に8回巻き付けた後、8回戻しても破断が生じないこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の送電線
    用低熱膨張高強度芯線。
  8. 【請求項8】 常温での引張強さが130kgf/mm
    2 以上、常温から240℃までの平均熱膨張係数が6×
    10 -6 /℃以下、自己径の100倍の掴み間隔で捻った
    時の捻回値が15回以上及び自己径の1.5倍の径の軸
    棒に8回巻き付けた後、8回戻しても破断が生じないこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の送電線
    用低熱膨張高強度芯線。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の送電線
    用低熱膨張高強度芯線をそれぞれ1本ないし複数本より
    合わせて芯材とし、この芯材のまわりに1層ないし複数
    層のアルミ合金を導体として撚り合わせてなることを特
    徴とする低弛度電線。
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