JP3839957B2 - 高強度低熱膨張合金線 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低弛度耐熱送電線用芯線等に使用される高強度低熱膨張合金線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、架空送電線には鋼芯アルミニウム撚線(ACSR線)が使用されているが、近年の電力需要の増大のために、同一サイズのACSR線と比較して電線の送電容量を2倍以上とすることが可能な低弛度耐熱送電線が、一部実用化されている。この低弛度耐熱送電線は、線膨張係数が鋼線の1/3以下である高強度低熱膨張合金線を芯線に用い、架線後の通電時の熱膨張による電線の垂れ下がり、つまり弛度を抑え、外層線には、高温での使用に耐え得る耐熱アルミニウムを用いることで増容量化を可能としたものである。高強度低熱膨張合金線としては、特公昭56−45990号公報や特公昭57−17942号公報等に種々のFe−Ni系合金が提案されている。これらの高強度低熱膨張合金線は、合金にC、Cr、Mo等を強化用元素として添加したものであり、引張強さは100〜130kgf/mm2 程度であった。
【0003】
一方、ACSR線の芯線として用いられる鋼線の引張強さは150kgf/mm2 以上である。したがって、同一サイズの電線を製作した場合、高強度低熱膨張合金線を芯線に用いた低弛度耐熱送電線は、通常のACSR線を用いた電線よりも引張荷重が小さくなる。よって、高強度低熱膨張合金線を芯線に用いた低弛度耐熱送電線を使用する場合、電線の最大使用張力を既設線の最大使用張力よりも小さくする必要がある。ところが、最大使用張力を小さくすると弛度特性が悪化する。そのため、低弛度耐熱送電線は、その使用時に、本来の特徴である低弛度特性を発揮することができなくなる。
【0004】
したがって、近年、熱膨張係数(線膨張係数)が低く、かつ、鋼線なみの強度を有する高強度低熱膨張合金が要求されており、そのための種々の試みがなされてきている。たとえば、特開平3−115543号公報では、合金の強化元素として、CおよびMoに着目し、これらの含有率を上げ、また合金中のNi含有率を調節することにより、高強度低熱膨張合金において、熱膨張係数を増大させず、強度を上げる旨が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この合金においては、30〜230℃の平均熱膨張係数は3.2×10-6/℃以下を確保できるが、強度は125kgf/mm2 程度である上に、靱性が低下し、所望の捻回特性が得られないことが予想された。
【0006】
ここで、捻回特性について説明する。低弛度耐熱送電線の芯線は、通常、複数本を撚合せた撚線から構成される。捻回特性とは、このような撚線を製造する時の性能を示す指標であり、素線の一端を固定し、他端を捩じる捻回試験で破断に到るまでの回数(捻回値)によって評価される。通常、線径の100倍の長さの試験片(掴み間隔)で16回以上が要求される。
【0007】
このように、強化元素の過度の添加のみによって高強度化を図ろうとすると、低弛度耐熱送電線の靱性が劣化し、前述の捻回特性を満足させることができなくなるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、従来のFe−Ni系高強度低熱膨張合金線よりも高い強度、つまり、通常のACSR線の鋼線なみの強度である150kgf/mm2 以上の引張強さを有し、かつ、捻回特性に優れ、さらに低い熱膨張係数を有する高強度低熱膨張合金線を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に従う高強度低熱膨張合金線は、重量比で、C:0.1〜0.50%、Ni:26〜48%、Co:5.0〜20%、Al:0.5〜10%とし、残部がFeおよび不可避不純物からなることを特徴としている。
また、本発明に従う高強度低熱膨張合金線は、時効処理後に伸線加工を施され、そして、少なくともオーステナイト相、Alを主体とする金属間化合物、および、ひずみ誘起マルテンサイト相を含むことを特徴としている。
また、本発明のある局面に従う高強度低熱膨張合金は、Ni含有率をx%、Co含有率をy%、Al含有率をz%としたとき、25≦x+y−6z≦32の関係を満たすことを特徴とする。
また、本発明の他の局面に従う高強度低熱膨張合金は、引張強さが160kgf/mm 2 以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明において、Cを0.1〜0.50%に規定したのは、Cはその溶製工程で含まれる量が多いほど強度を上げるのに寄与するが、0.1%未満ではこの効果が十分に得られず、0.50%を超えると熱膨張係数が増加し、かつ靱性が大きく劣化してしまうからである。
【0011】
本発明において、Niを26〜48%に、かつ、Coを5〜20%に規定したのは、線膨張係数が大きくなるのを防ぐためである。
【0012】
詳しくは、Fe−Ni−Co系合金においては、(Ni+Co)含有率(NiとCoの含有率の和)が36%近傍で最も線膨張係数が小さくなり、これよりも(Ni+Co)含有率が高くなると、線膨張係数は大きくなる。そして、Ni含有率およびCo含有率が本発明において規定する範囲よりも高くなると、線膨張係数が著しく大きくなるためである。
【0013】
また、Fe−Ni−Co系合金においては、強磁性体と常磁性体の遷移温度であるキュリー点は、(Ni+Co)含有率が高くなるに従って(特に(Ni+Co)含有率が30%以上の場合に)高くなる傾向がある。その一方で、Fe−Ni−Co系合金においては、強磁性体である温度領域においてのみ低い熱膨張係数が得られ、常磁性体となる温度領域では熱膨張係数が大きくなる。そして、Ni含有率またはCo含有率が本発明において規定する範囲より低くなると、合金のキュリー点が低下し、通常の使用温度における高温側(たとえば100〜240℃)でFe−Ni−Co系合金は常磁性体となり、その合金の線膨張係数が著しく大きくなるためである。
【0014】
さらに、本発明においてNi含有率を48%以下と規定したのは、以下の理由による。すなわち、まず、Ni含有率を本発明に規定した範囲よりも高くすると、合金のマルテンサイト相への変態が起こりにくくなり、所望の強度および靭性(捻回値)が得られなくなるためである。
【0015】
また、Co含有率を20%以下と規定したのは、合金における原料コスト上の問題を考慮したからである。すなわち、Coの添加は、合金のマルテンサイト相への変態を促進する効果がある一方で、Co自体が高価な元素であるため、20%を越える多量の添加は、合金線において特性を大きく変化させることなく、原料コストの増大のみを招くためである。
【0016】
本発明において、Alを0.5〜10%に規定したのは、以下の理由による。すなわち、Fe−Ni−Co系合金へのAlの添加は、Alを主体とする微細な金属間化合物の析出により時効硬化をもたらすだけでなく、マルテンサイト相へのひずみ誘起による変態を促進する効果も有する。マルテンサイト相へのひずみ誘起による変態は、冷間加工によって母相であるオーステナイト相の一部にひずみが導入されることにより起こり、合金の靭性を高くし、さらに強度を高くする効果がある。つまり、このようなAlの添加による時効硬化およびひずみ誘起変態により、合金線の靭性を高くしつつ、従来よりも合金線の強度を高くすることができる。そして、Alが0.5%未満では、Alは母相であるオーステナイト相中に固溶し、合金線に時効処理を施しても前述の金属間化合物が析出しなくなり、また、前述の変態促進の効果が十分に得られなくなる。また、Alが10%を越えると、線膨張係数に悪影響を及ぼすだけでなく、母材中の介在物(主にAlの酸化物)が多量となり、加工すら困難となる程度に母材が脆化するためである。なお、Al含有率は、前述の金属間化合物を確実に析出させるため、および、前述の介在物を多量に生成させないため、1.0〜7.0%とされることが、特に好ましい。
また、本発明において、ひずみ誘起マルテンサイト相を含むのは、合金線においてより高い靭性を得るためである。また、オーステナイト相を含むのは、マルテンサイト相の熱膨張係数が高いため、オーステナイト相をすべてマルテンサイト相に変態させてしまうと、合金線において、所望の強度および靭性が得られても、その線膨張係数が高くなってしまうからである。また、Alを主体とする金属間化合物を含むのは、合金線の強度をより高くするためである。
【0017】
また、本発明に従う高強度低熱膨張合金は、Mo,Nb,W,Ti,VおよびBからなる群より選択された少なくとも一種類を0.05%〜5.0%含むことが好ましい。このように規定するのは、C,Co,Alの各元素の含有率を上記の範囲内で低くしても、これらの元素が、結晶粒内でCと反応して微細炭化物を形成することにより、合金の強度を高くし、かつ、線膨張係数を低くすることができるためである。そして、Mo,Nb,W,Ti,VおよびBからなる群より選択された少なくとも一種類の含有率が、0.05%未満では、この効果が十分に発揮されず、5.0%を越えると、線膨張係数を上昇させてしまうためである。
【0018】
なお、C含有率を、上記の範囲内で低くすると、合金の熱処理(時効処理)の際の粒界への炭化物の析出を抑制できるため、最終製品として加工したときのサイズでの靭性の低下を抑制できる。また、Co含有率を、上記の範囲内で低くすると、合金のコストを、より低くすることができる。また、Al含有率を、上記の範囲内で低くすると、母材中の介在物(主にAlの酸化物)の生成を抑え、母材の脆化を抑制することができる。さらに、Al含有率を低くすると、合金線における歩留まりがよくなり、製造コストを低くすることができる。
【0019】
また、本発明に従う高強度低熱膨張合金は、Si,Mn,Cr,CuおよびMgからなる群より選択された少なくとも一種類を0.02%〜2.0%含むことが好ましい。このように規定するのは、これらの元素の添加が、脱酸や脱硫の効果を有し、これらの添加により鋳塊を健全に、つまり鋳造の際に割れ等が発生しないようにできるためである。そして、0.02%未満では、この効果が十分に発揮できないが、2.0%を越えると、却って割れ等を引き起こすためである。
【0020】
また、本発明に従う高強度低熱膨張合金は、Ni含有率をx%、Co含有率をy%、Al含有率をz%としたとき、25≦x+y−6z≦32の関係を満たすことが好ましい。このように規定するのは、上記の関係を満たすと、合金の線膨張係数がより小さくなるからである。
【0021】
また、本発明に従う高強度低熱膨張合金は、引張強さが160kgf/mm 2 以上であることが好ましい。
【0022】
【実施例】
(実施例▲1▼)
以下、本発明に従った高強度低熱膨張合金の線材の製造について、実施例により具体的に説明する。
【0023】
表1に示すように、まず、試料No.1〜No.9に示した組成の原料を、溶解し、外径60mmの鋳型に鋳造し、その鋳造材を、1150℃で2時間加熱後、熱間圧延により外径9.5mmの荒引き線とした。なお、No.1〜No.9に示した組成は、いずれも、本発明に従った組成である。
【0024】
この荒引き線を、1000℃で30分間保持した後、水冷することにより、溶体化処理を施し、皮剥ぎ(表面層を除去すること)を行なって、外径9.2mmとした。その後、外径6.5mmまで伸線加工した後、550℃で20時間の熱処理によって、この線材に時効析出処理を施した。その後、外径3.0mmまで伸線加工し、高強度低熱膨張合金の線材を作製した。
【0025】
なお、上述の各工程は、同様の作用が得られる他の工程に置換されても構わないが、時効析出処理は、400℃〜600℃、0.5〜60時間の条件で行なわれることが好ましい。処理温度については、400℃未満では、NiとAlの化合物が析出せず、合金において所望の強度が得られないためであり、また、600℃を越えると、NiとAlの化合物が粗大な析出物となって析出し、合金において所望の強度が得られなくなるためである。また、処理時間については、0.5時間未満では、熱処理の効果が見られず、また、60時間を越えると、得られる合金線の特性がそれ以上大きく変化しないためである。なお、この時効析出処理は、溶体化処理後であれば、線材がどのサイズにあるときに行なってもよい。なお、時効析出処理を行なうのは、1回であってもよいし、複数回行なってもよい。
【0026】
また、上記の溶体化処理において、熱間圧延後に800℃〜1200℃の温度に加熱した後、急冷する溶体化工程を少なくとも1回行なうことは、より微細なAlを主体とする金属間化合物を析出させるために望ましい。なお、ここでいう溶体化工程で上記のように温度を規定するのは、800℃未満では、Alを完全に固溶させる効果が見られず、1200℃を越えると、結晶粒径が粗大となり、冷間加工の際に断線の原因となるためである。
【0027】
また、時効析出処理後の最終の伸線加工においては、加工度が50〜95%であることが好ましい。このように加工度を規定するのは、50%未満であると、マルテンサイト相への変態が少ないため、合金において所望の強度および靭性が得られなくなり、95%を越えると、マルテンサイト相への変態が多くなりすぎ、合金の線膨張係数が大きくなるためである。なお、上記の溶体化工程においてAlを主体とする金属間化合物が析出されるため、この伸線加工では、合金は、母相であるオーステナイト相からマルテンサイト相に、ひずみ誘起により変態する。したがって、本発明に従った合金の線材は、少なくともオーステナイト相、Alを主体とする金属間化合物、および、ひずみ誘起マルテンサイト相を含むことになる。
【0028】
(比較例▲1▼)
表1の試料No.10〜No.17に示した組成の原料を用いて、実施例▲1▼と同様の工程により、高強度低熱膨張合金の線材を作製した。
【0029】
(合金の特性)
表1に、実施例▲1▼および比較例▲1▼に従った高強度低熱膨張合金の線材の各特性を示す。また、従来の高強度低熱膨張合金の線材についても、組成および各特性を表1に併せて示す(No.18)。なお、表1の捻回値における「100D」とは、試験片の長さが線径の100倍であったことを意味している。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から、本発明に従う合金の線材は、いずれも引張強さについて160kgf/mm2 以上の値を有し、中には200kgf/mm2 の引張強さを有する線材もあることがわかる。
【0032】
また、線膨張係数に関しては、従来例のものと比較すると2倍以上の値となっているが、ACSR線の芯線として用いられている鋼線の線膨張係数である11.5〜13×10-6/℃と比較すると、本発明の合金の方が小さくなっている。すなわち、本発明の線材は、上記の鋼線よりも線膨張係数が小さく、電線として使用される場合、低弛度効果の面では上記の鋼線よりも優れていることがわかる。
【0033】
また、捻回値については、通常16回以上が要求されるが、本発明に従う合金の線材はいずれもが20回以上という優れた値を有していることがわかる。
【0034】
また、表1から、Co含有率が本発明で規定する値よりも低い比較例のNo.10は、本発明に従う合金線No.1〜No.9と比較して線膨張係数が高くなっていることがわかる。また、比較例のNo.17は、Co含有率が本発明で規定する値を越えるものであるが、本発明に従う合金線No.1〜No.9と比較して、さほど特性の差が見られず、Co含有率を上げたことによってコストのみが上昇した。
【0035】
また、表1から、Ni含有率が本発明で規定する値よりも低い比較例No.11および高い比較例No.12は、本発明に従う合金線No.1〜No.9と比較して線膨張係数が高くなっていることがわかる。また、さらに、No.12では、引張強さが132kgf/mm2 と、従来並みの低い値となっている。
【0036】
また、本発明で規定する範囲よりもC含有率が高い比較例No.13と、Al含有率が高いNo.14は、伸線加工が不可能であった。また、本発明で規定する範囲よりもC含有率が低い比較例No.16は、引張強さが著しく低くなっている。
【0037】
また、表1から、Al含有率が本発明で規定する範囲よりも低い比較例No.15は、本発明に従う合金No.1〜No.9と比較して、引張強さが127kgf/mm2 と、従来並みの低い値となっている。
【0038】
また、表1から、本発明の実施例であるNo.1〜No.9の中でも、Ni含有率をx%、Co含有率をy%、Al含有率をz%としたとき、25≦x+y−6z≦32の関係を満たすNo.1〜No.7は、上記の関係を満たさないNo.8およびNo.9よりも、線膨張係数が小さくなっていることがわかる。
【0039】
(実施例▲2▼)
次に、本発明の合金線の組成としてMo,Nb,W,Ti,VおよびBの中の少なくとも一種、ならびに、Si,Mn,Cr,CuおよびMgの中の少なくとも一種を添加した場合について、表2の試料No.19〜No.24に示した組成の原料を用いて、実施例▲1▼と同様の工程により、高強度低熱膨張合金の線材を作製した。
【0040】
なお、No.19〜No.24のいずれの試料も、Mo,Nb,W,Ti,VおよびBの中の少なくとも一種、ならびに、Si,Mn,Cr,CuおよびMgの中の少なくとも一種を表2に示す量だけ含有している。また、No.19〜No.24のいずれの試料においても、C,Ni,Co,Alの各元素の含有率は、本発明で規定する範囲内である。また、No.20およびNo.22〜No.24におけるMo,Nb,W,Ti,VおよびBの含有率の和は、本発明で規定する好ましい範囲内であり、No.21〜No.24におけるSi,Mn,Cr,CuおよびMgの含有率の和は、本発明で規定する好ましい範囲内である。
【0041】
【表2】
【0042】
(合金の特性)
表3に、実施例▲2▼に従った高強度低熱膨張合金の線材の各特性を示す。
【0043】
【表3】
【0044】
表3から、No.19〜No.21のいずれの線材も、引張強さについて210kgf/mm2 以上という優れた値を有していることがわかる。なお、表1のNo.5,No.6,No.8の試料についても、その引張強さは210kgf/mm2 付近またはそれ以上となっているが、No.19〜No.21については、C含有率を0.25%程度に抑え、Co含有率を10%程度に抑え、かつ、Al含有率を3.0%程度に抑えながら、210kgf/mm2 以上という引張強さを達成している。なお、線膨張係数については、No.19〜No.21のいずれについても10〜11×10-6/℃という値を有しており、送電線の芯線として使用するには差し支えないが、より詳しく見ると、No.19およびNo.21は、No.20よりもその値が高くなっている。
【0045】
また、表3から、本発明に従う試料No.22〜No.24は、20回以上という優れた捻回値を有し、かつ、7.3〜8.9×10-6/℃という優れた線膨張係数を有している。つまり、いずれの特性も、No.19〜No.21よりも優れていることがわかる。
【0046】
なお、試料No.21〜No.24の試料については、No.1〜No.9(表1参照)、No.19およびNo.20の試料よりも、鋳造の際に割れが発生しにく、線材の歩留まりが高かった。
【0047】
今回開示された実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高強度低熱膨張合金線は、160kgf/mm2 以上の引張強さと、低い線膨張係数と、優れた捻回特性とを兼ね備えることができる。
Claims (5)
- 重量比で、C:0.1〜0.50%、Ni:26〜48%、Co:5.0〜20%、Al:0.5〜10%を含み、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
時効処理後に伸線加工を施され、
少なくともオーステナイト相、Alを主体とする金属間化合物、および、ひずみ誘起マルテンサイト相を含み、
Ni含有率をx%、Co含有率をy%、Al含有率をz%としたとき、25≦x+y−6z≦32の関係を満たすことを特徴とする高強度低熱膨張合金線。 - 重量比で、C:0.1〜0.50%、Ni:26〜48%、Co:5.0〜20%、Al:0.5〜10%を含み、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
時効処理後に伸線加工を施され、
少なくともオーステナイト相、Alを主体とする金属間化合物、および、ひずみ誘起マルテンサイト相を含み、
引張強さが160kgf/mm 2 以上であることを特徴とする高強度低熱膨張合金線。 - さらに、Mo,Nb,W,Ti,VおよびBからなる群より選択された少なくとも一種類を0.05%〜5.0%含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の高強度低熱膨張合金線。
- さらに、Si,Mn,Cr,CuおよびMgからなる群より選択された少なくとも一種類を0.02%〜2.0%含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の高強度低熱膨張合金線。
- 引張強さが160kgf/mm2以上である、請求項1、請求項3、または、請求項4に記載の高強度低熱膨張合金線。
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