JPH11335784A - 高強度低熱膨張合金線 - Google Patents

高強度低熱膨張合金線

Info

Publication number
JPH11335784A
JPH11335784A JP14424598A JP14424598A JPH11335784A JP H11335784 A JPH11335784 A JP H11335784A JP 14424598 A JP14424598 A JP 14424598A JP 14424598 A JP14424598 A JP 14424598A JP H11335784 A JPH11335784 A JP H11335784A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
content
alloy
wire
alloy wire
thermal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP14424598A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3839957B2 (ja
Inventor
Taichiro Nishikawa
太一郎 西川
Takeshi Miyazaki
健史 宮崎
Kenji Watabe
健司 渡部
Shinichiro Yahagi
慎一郎 矢萩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daido Steel Co Ltd, Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Daido Steel Co Ltd
Priority to JP14424598A priority Critical patent/JP3839957B2/ja
Publication of JPH11335784A publication Critical patent/JPH11335784A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3839957B2 publication Critical patent/JP3839957B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 150kgf/mm2 以上の引張強さと、優
れた捻回特性と、低い熱膨張係数とを有する高強度低熱
膨張合金線を提供する。 【解決手段】 本発明に従う高強度低熱膨張合金線は、
重量比で、C:0.1〜0.50%、Ni:26〜48
%、Co:5.0〜20%、Al:0.5〜10%と
し、残部がFeおよび不可避不純物からなることを特徴
としている。また、Mo,Nb,W,Ti,VおよびB
からなる群より選択された少なくとも一種類を0.05
%〜5.0%含むこと、Si,Mn,Cr,Cuおよび
Mgからなる群より選択された少なくとも一種類を0.
02%〜2.0%含むこと、または、Ni含有率をx
%、Co含有率をy%、Al含有率をz%としたとき、
25≦x+y−6z≦32の関係を満たすことが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低弛度耐熱送電線
用芯線等に使用される高強度低熱膨張合金線に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、架空送電線には鋼芯アルミニ
ウム撚線(ACSR線)が使用されているが、近年の電
力需要の増大のために、同一サイズのACSR線と比較
して電線の送電容量を2倍以上とすることが可能な低弛
度耐熱送電線が、一部実用化されている。この低弛度耐
熱送電線は、線膨張係数が鋼線の1/3以下である高強
度低熱膨張合金線を芯線に用い、架線後の通電時の熱膨
張による電線の垂れ下がり、つまり弛度を抑え、外層線
には、高温での使用に耐え得る耐熱アルミニウムを用い
ることで増容量化を可能としたものである。高強度低熱
膨張合金線としては、特公昭56−45990号公報や
特公昭57−17942号公報等に種々のFe−Ni系
合金が提案されている。これらの高強度低熱膨張合金線
は、合金にC、Cr、Mo等を強化用元素として添加し
たものであり、引張強さは100〜130kgf/mm
2 程度であった。
【0003】一方、ACSR線の芯線として用いられる
鋼線の引張強さは150kgf/mm2 以上である。し
たがって、同一サイズの電線を製作した場合、高強度低
熱膨張合金線を芯線に用いた低弛度耐熱送電線は、通常
のACSR線を用いた電線よりも引張荷重が小さくな
る。よって、高強度低熱膨張合金線を芯線に用いた低弛
度耐熱送電線を使用する場合、電線の最大使用張力を既
設線の最大使用張力よりも小さくする必要がある。とこ
ろが、最大使用張力を小さくすると弛度特性が悪化す
る。そのため、低弛度耐熱送電線は、その使用時に、本
来の特徴である低弛度特性を発揮することができなくな
る。
【0004】したがって、近年、熱膨張係数(線膨張係
数)が低く、かつ、鋼線なみの強度を有する高強度低熱
膨張合金が要求されており、そのための種々の試みがな
されてきている。たとえば、特開平3−115543号
公報では、合金の強化元素として、CおよびMoに着目
し、これらの含有率を上げ、また合金中のNi含有率を
調節することにより、高強度低熱膨張合金において、熱
膨張係数を増大させず、強度を上げる旨が開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この合金にお
いては、30〜230℃の平均熱膨張係数は3.2×1
-6/℃以下を確保できるが、強度は125kgf/m
2 程度である上に、靱性が低下し、所望の捻回特性が
得られないことが予想された。
【0006】ここで、捻回特性について説明する。低弛
度耐熱送電線の芯線は、通常、複数本を撚合せた撚線か
ら構成される。捻回特性とは、このような撚線を製造す
る時の性能を示す指標であり、素線の一端を固定し、他
端を捩じる捻回試験で破断に到るまでの回数(捻回値)
によって評価される。通常、線径の100倍の長さの試
験片(掴み間隔)で16回以上が要求される。
【0007】このように、強化元素の過度の添加のみに
よって高強度化を図ろうとすると、低弛度耐熱送電線の
靱性が劣化し、前述の捻回特性を満足させることができ
なくなるという問題があった。
【0008】そこで、本発明は、従来のFe−Ni系高
強度低熱膨張合金線よりも高い強度、つまり、通常のA
CSR線の鋼線なみの強度である150kgf/mm2
以上の引張強さを有し、かつ、捻回特性に優れ、さらに
低い熱膨張係数を有する高強度低熱膨張合金線を提供す
ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に従う高強度低熱
膨張合金線は、重量比で、C:0.1〜0.50%、N
i:26〜48%、Co:5.0〜20%、Al:0.
5〜10%とし、残部がFeおよび不可避不純物からな
ることを特徴としている。
【0010】本発明において、Cを0.1〜0.50%
に規定したのは、Cはその溶製工程で含まれる量が多い
ほど強度を上げるのに寄与するが、0.1%未満ではこ
の効果が十分に得られず、0.50%を超えると熱膨張
係数が増加し、かつ靱性が大きく劣化してしまうからで
ある。
【0011】本発明において、Niを26〜48%に、
かつ、Coを5〜20%に規定したのは、線膨張係数が
大きくなるのを防ぐためである。
【0012】詳しくは、Fe−Ni−Co系合金におい
ては、(Ni+Co)含有率(NiとCoの含有率の
和)が36%近傍で最も線膨張係数が小さくなり、これ
よりも(Ni+Co)含有率が高くなると、線膨張係数
は大きくなる。そして、Ni含有率およびCo含有率が
本発明において規定する範囲よりも高くなると、線膨張
係数が著しく大きくなるためである。
【0013】また、Fe−Ni−Co系合金において
は、強磁性体と常磁性体の遷移温度であるキュリー点
は、(Ni+Co)含有率が高くなるに従って(特に
(Ni+Co)含有率が30%以上の場合に)高くなる
傾向がある。その一方で、Fe−Ni−Co系合金にお
いては、強磁性体である温度領域においてのみ低い熱膨
張係数が得られ、常磁性体となる温度領域では熱膨張係
数が大きくなる。そして、Ni含有率またはCo含有率
が本発明において規定する範囲より低くなると、合金の
キュリー点が低下し、通常の使用温度における高温側
(たとえば100〜240℃)でFe−Ni−Co系合
金は常磁性体となり、その合金の線膨張係数が著しく大
きくなるためである。
【0014】さらに、本発明においてNi含有率を48
%以下と規定したのは、以下の理由による。すなわち、
まず、Ni含有率を本発明に規定した範囲よりも高くす
ると、合金のマルテンサイト相への変態が起こりにくく
なり、所望の強度および靭性(捻回値)が得られなくな
るためである。
【0015】また、Co含有率を20%以下と規定した
のは、合金における原料コスト上の問題を考慮したから
である。すなわち、Coの添加は、合金のマルテンサイ
ト相への変態を促進する効果がある一方で、Co自体が
高価な元素であるため、20%を越える多量の添加は、
合金線において特性を大きく変化させることなく、原料
コストの増大のみを招くためである。
【0016】本発明において、Alを0.5〜10%に
規定したのは、以下の理由による。すなわち、Fe−N
i−Co系合金へのAlの添加は、Alを主体とする微
細な金属間化合物の析出により時効硬化をもたらすだけ
でなく、マルテンサイト相へのひずみ誘起による変態を
促進する効果も有する。マルテンサイト相へのひずみ誘
起による変態は、冷間加工によって母相であるオーステ
ナイト相の一部にひずみが導入されることにより起こ
り、合金の靭性を高くし、さらに強度を高くする効果が
ある。つまり、このようなAlの添加による時効硬化お
よびひずみ誘起変態により、合金線の靭性を高くしつ
つ、従来よりも合金線の強度を高くすることができる。
そして、Alが0.5%未満では、Alは母相であるオ
ーステナイト相中に固溶し、合金線に時効処理を施して
も前述の金属間化合物が析出しなくなり、また、前述の
変態促進の効果が十分に得られなくなる。また、Alが
10%を越えると、線膨張係数に悪影響を及ぼすだけで
なく、母材中の介在物(主にAlの酸化物)が多量とな
り、加工すら困難となる程度に母材が脆化するためであ
る。なお、Al含有率は、前述の金属間化合物を確実に
析出させるため、および、前述の介在物を多量に生成さ
せないため、1.0〜7.0%とされることが、特に好
ましい。
【0017】また、本発明に従う高強度低熱膨張合金
は、Mo,Nb,W,Ti,VおよびBからなる群より
選択された少なくとも一種類を0.05%〜5.0%含
むことが好ましい。このように規定するのは、C,C
o,Alの各元素の含有率を上記の範囲内で低くして
も、これらの元素が、結晶粒内でCと反応して微細炭化
物を形成することにより、合金の強度を高くし、かつ、
線膨張係数を低くすることができるためである。そし
て、Mo,Nb,W,Ti,VおよびBからなる群より
選択された少なくとも一種類の含有率が、0.05%未
満では、この効果が十分に発揮されず、5.0%を越え
ると、線膨張係数を上昇させてしまうためである。
【0018】なお、C含有率を、上記の範囲内で低くす
ると、合金の熱処理(時効処理)の際の粒界への炭化物
の析出を抑制できるため、最終製品として加工したとき
のサイズでの靭性の低下を抑制できる。また、Co含有
率を、上記の範囲内で低くすると、合金のコストを、よ
り低くすることができる。また、Al含有率を、上記の
範囲内で低くすると、母材中の介在物(主にAlの酸化
物)の生成を抑え、母材の脆化を抑制することができ
る。さらに、Al含有率を低くすると、合金線における
歩留まりがよくなり、製造コストを低くすることができ
る。
【0019】また、本発明に従う高強度低熱膨張合金
は、Si,Mn,Cr,CuおよびMgからなる群より
選択された少なくとも一種類を0.02%〜2.0%含
むことが好ましい。このように規定するのは、これらの
元素の添加が、脱酸や脱硫の効果を有し、これらの添加
により鋳塊を健全に、つまり鋳造の際に割れ等が発生し
ないようにできるためである。そして、0.02%未満
では、この効果が十分に発揮できないが、2.0%を越
えると、却って割れ等を引き起こすためである。
【0020】また、本発明に従う高強度低熱膨張合金
は、Ni含有率をx%、Co含有率をy%、Al含有率
をz%としたとき、25≦x+y−6z≦32の関係を
満たすことが好ましい。このように規定するのは、上記
の関係を満たすと、合金の線膨張係数がより小さくなる
からである。
【0021】また、本発明に従う高強度低熱膨張合金線
は、少なくともオーステナイト相、Alを主体とする金
属間化合物、および、ひずみ誘起マルテンサイト相を含
むことが好ましい。ひずみ誘起マルテンサイト相を含む
のは、合金線においてより高い靭性を得るためである。
また、オーステナイト相を含むのは、マルテンサイト相
の熱膨張係数が高いため、オーステナイト相をすべてマ
ルテンサイト相に変態させてしまうと、合金線におい
て、所望の強度および靭性が得られても、その線膨張係
数が高くなってしまうからである。また、Alを主体と
する金属間化合物を含むのは、合金線の強度をより高く
するするためである。
【0022】
【実施例】(実施例)以下、本発明に従った高強度低
熱膨張合金の線材の製造について、実施例により具体的
に説明する。
【0023】表1に示すように、まず、試料No.1〜
No.9に示した組成の原料を、溶解し、外径60mm
の鋳型に鋳造し、その鋳造材を、1150℃で2時間加
熱後、熱間圧延により外径9.5mmの荒引き線とし
た。なお、No.1〜No.9に示した組成は、いずれ
も、本発明に従った組成である。
【0024】この荒引き線を、1000℃で30分間保
持した後、水冷することにより、溶体化処理を施し、皮
剥ぎ(表面層を除去すること)を行なって、外径9.2
mmとした。その後、外径6.5mmまで伸線加工した
後、550℃で20時間の熱処理によって、この線材に
時効析出処理を施した。その後、外径3.0mmまで伸
線加工し、高強度低熱膨張合金の線材を作製した。
【0025】なお、上述の各工程は、同様の作用が得ら
れる他の工程に置換されても構わないが、時効析出処理
は、400℃〜600℃、0.5〜60時間の条件で行
なわれることが好ましい。処理温度については、400
℃未満では、NiとAlの化合物が析出せず、合金にお
いて所望の強度が得られないためであり、また、600
℃を越えると、NiとAlの化合物が粗大な析出物とな
って析出し、合金において所望の強度が得られなくなる
ためである。また、処理時間については、0.5時間未
満では、熱処理の効果が見られず、また、60時間を越
えると、得られる合金線の特性がそれ以上大きく変化し
ないためである。なお、この時効析出処理は、溶体化処
理後であれば、線材がどのサイズにあるときに行なって
もよい。なお、時効析出処理を行なうのは、1回であっ
てもよいし、複数回行なってもよい。
【0026】また、上記の溶体化処理において、熱間圧
延後に800℃〜1200℃の温度に加熱した後、急冷
する溶体化工程を少なくとも1回行なうことは、より微
細なAlを主体とする金属間化合物を析出させるために
望ましい。なお、ここでいう溶体化工程で上記のように
温度を規定するのは、800℃未満では、Alを完全に
固溶させる効果が見られず、1200℃を越えると、結
晶粒径が粗大となり、冷間加工の際に断線の原因となる
ためである。
【0027】また、時効析出処理後の最終の伸線加工に
おいては、加工度が50〜95%であることが好まし
い。このように加工度を規定するのは、50%未満であ
ると、マルテンサイト相への変態が少ないため、合金に
おいて所望の強度および靭性が得られなくなり、95%
を越えると、マルテンサイト相への変態が多くなりす
ぎ、合金の線膨張係数が大きくなるためである。なお、
上記の溶体化工程においてAlを主体とする金属間化合
物が析出されるため、この伸線加工では、合金は、母相
であるオーステナイト相からマルテンサイト相に、ひず
み誘起により変態する。したがって、本発明に従った合
金の線材は、少なくともオーステナイト相、Alを主体
とする金属間化合物、および、ひずみ誘起マルテンサイ
ト相を含むことになる。
【0028】(比較例)表1の試料No.10〜N
o.17に示した組成の原料を用いて、実施例と同様
の工程により、高強度低熱膨張合金の線材を作製した。
【0029】(合金の特性)表1に、実施例および比
較例に従った高強度低熱膨張合金の線材の各特性を示
す。また、従来の高強度低熱膨張合金の線材について
も、組成および各特性を表1に併せて示す(No.1
8)。なお、表1の捻回値における「100D」とは、
試験片の長さが線径の100倍であったことを意味して
いる。
【0030】
【表1】
【0031】表1から、本発明に従う合金の線材は、い
ずれも引張強さについて160kgf/mm2 以上の値
を有し、中には200kgf/mm2 の引張強さを有す
る線材もあることがわかる。
【0032】また、線膨張係数に関しては、従来例のも
のと比較すると2倍以上の値となっているが、ACSR
線の芯線として用いられている鋼線の線膨張係数である
11.5〜13×10-6/℃と比較すると、本発明の合
金の方が小さくなっている。すなわち、本発明の線材
は、上記の鋼線よりも線膨張係数が小さく、電線として
使用される場合、低弛度効果の面では上記の鋼線よりも
優れていることがわかる。
【0033】また、捻回値については、通常16回以上
が要求されるが、本発明に従う合金の線材はいずれもが
20回以上という優れた値を有していることがわかる。
【0034】また、表1から、Co含有率が本発明で規
定する値よりも低い比較例のNo.10は、本発明に従
う合金線No.1〜No.9と比較して線膨張係数が高
くなっていることがわかる。また、比較例のNo.17
は、Co含有率が本発明で規定する値を越えるものであ
るが、本発明に従う合金線No.1〜No.9と比較し
て、さほど特性の差が見られず、Co含有率を上げたこ
とによってコストのみが上昇した。
【0035】また、表1から、Ni含有率が本発明で規
定する値よりも低い比較例No.11および高い比較例
No.12は、本発明に従う合金線No.1〜No.9
と比較して線膨張係数が高くなっていることがわかる。
また、さらに、No.12では、引張強さが132kg
f/mm2 と、従来並みの低い値となっている。
【0036】また、本発明で規定する範囲よりもC含有
率が高い比較例No.13と、Al含有率が高いNo.
14は、伸線加工が不可能であった。また、本発明で規
定する範囲よりもC含有率が低い比較例No.16は、
引張強さが著しく低くなっている。
【0037】また、表1から、Al含有率が本発明で規
定する範囲よりも低い比較例No.15は、本発明に従
う合金No.1〜No.9と比較して、引張強さが12
7kgf/mm2 と、従来並みの低い値となっている。
【0038】また、表1から、本発明の実施例であるN
o.1〜No.9の中でも、Ni含有率をx%、Co含
有率をy%、Al含有率をz%としたとき、25≦x+
y−6z≦32の関係を満たすNo.1〜No.7は、
上記の関係を満たさないNo.8およびNo.9より
も、線膨張係数が小さくなっていることがわかる。
【0039】(実施例)次に、本発明の合金線の組成
としてMo,Nb,W,Ti,VおよびBの中の少なく
とも一種、ならびに、Si,Mn,Cr,CuおよびM
gの中の少なくとも一種を添加した場合について、表2
の試料No.19〜No.24に示した組成の原料を用
いて、実施例と同様の工程により、高強度低熱膨張合
金の線材を作製した。
【0040】なお、No.19〜No.24のいずれの
試料も、Mo,Nb,W,Ti,VおよびBの中の少な
くとも一種、ならびに、Si,Mn,Cr,Cuおよび
Mgの中の少なくとも一種を表2に示す量だけ含有して
いる。また、No.19〜No.24のいずれの試料に
おいても、C,Ni,Co,Alの各元素の含有率は、
本発明で規定する範囲内である。また、No.20およ
びNo.22〜No.24におけるMo,Nb,W,T
i,VおよびBの含有率の和は、本発明で規定する好ま
しい範囲内であり、No.21〜No.24におけるS
i,Mn,Cr,CuおよびMgの含有率の和は、本発
明で規定する好ましい範囲内である。
【0041】
【表2】
【0042】(合金の特性)表3に、実施例に従った
高強度低熱膨張合金の線材の各特性を示す。
【0043】
【表3】
【0044】表3から、No.19〜No.21のいず
れの線材も、引張強さについて210kgf/mm2
上という優れた値を有していることがわかる。なお、表
1のNo.5,No.6,No.8の試料についても、
その引張強さは210kgf/mm2 付近またはそれ以
上となっているが、No.19〜No.21について
は、C含有率を0.25%程度に抑え、Co含有率を1
0%程度に抑え、かつ、Al含有率を3.0%程度に抑
えながら、210kgf/mm2 以上という引張強さを
達成している。なお、線膨張係数については、No.1
9〜No.21のいずれについても10〜11×10-6
/℃という値を有しており、送電線の芯線として使用す
るには差し支えないが、より詳しく見ると、No.19
およびNo.21は、No.20よりもその値が高くな
っている。
【0045】また、表3から、本発明に従う試料No.
22〜No.24は、20回以上という優れた捻回値を
有し、かつ、7.3〜8.9×10-6/℃という優れた
線膨張係数を有している。つまり、いずれの特性も、N
o.19〜No.21よりも優れていることがわかる。
【0046】なお、試料No.21〜No.24の試料
については、No.1〜No.9(表1参照)、No.
19およびNo.20の試料よりも、鋳造の際に割れが
発生しにく、線材の歩留まりが高かった。
【0047】今回開示された実施例はすべての点で例示
であって、制限的なものではないと考えられるべきであ
る。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく、
特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等
の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが
意図される。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高強度低
熱膨張合金線は、160kgf/mm 2 以上の引張強さ
と、低い線膨張係数と、優れた捻回特性とを兼ね備える
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡部 健司 愛知県葉栗郡木曽川町大字玉ノ井字大縄場 十ノ切1番地5 (72)発明者 矢萩 慎一郎 愛知県大府市江端町2丁目72

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、C:0.1〜0.50%、N
    i:26〜48%、Co:5.0〜20%、Al:0.
    5〜10%を含み、残部がFeおよび不可避不純物から
    なることを特徴とする高強度低熱膨張合金線。
  2. 【請求項2】 さらに、Mo,Nb,W,Ti,Vおよ
    びBからなる群より選択された少なくとも一種類を0.
    05%〜5.0%含むことを特徴とする、請求項1に記
    載の高強度低熱膨張合金線。
  3. 【請求項3】 さらに、Si,Mn,Cr,Cuおよび
    Mgからなる群より選択された少なくとも一種類を0.
    02%〜2.0%含むことを特徴とする、請求項1また
    は請求項2に記載の高強度低熱膨張合金線。
  4. 【請求項4】 Ni含有率をx%、Co含有率をy%、
    Al含有率をz%としたとき、25≦x+y−6z≦3
    2の関係を満たすことを特徴とする、請求項1〜請求項
    3のいずれか1項に記載の高強度低熱膨張合金線。
  5. 【請求項5】 少なくともオーステナイト相、Alを主
    体とする金属間化合物、および、ひずみ誘起マルテンサ
    イト相を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項4の
    いずれか1項に記載の高強度低熱膨張合金線。
JP14424598A 1998-05-26 1998-05-26 高強度低熱膨張合金線 Expired - Fee Related JP3839957B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14424598A JP3839957B2 (ja) 1998-05-26 1998-05-26 高強度低熱膨張合金線

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14424598A JP3839957B2 (ja) 1998-05-26 1998-05-26 高強度低熱膨張合金線

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11335784A true JPH11335784A (ja) 1999-12-07
JP3839957B2 JP3839957B2 (ja) 2006-11-01

Family

ID=15357624

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14424598A Expired - Fee Related JP3839957B2 (ja) 1998-05-26 1998-05-26 高強度低熱膨張合金線

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3839957B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003082439A (ja) * 2001-09-13 2003-03-19 Daido Steel Co Ltd 強度,捻回特性に優れたインバー合金線及びその製造方法
FR2855185A1 (fr) * 2003-05-21 2004-11-26 Usinor Fil metallique en alliage fe-ni ayant une grande resistance mecanique et un faible coefficient de dilatation thermique, pour cables haute tension, et procede de fabrication

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003082439A (ja) * 2001-09-13 2003-03-19 Daido Steel Co Ltd 強度,捻回特性に優れたインバー合金線及びその製造方法
FR2855185A1 (fr) * 2003-05-21 2004-11-26 Usinor Fil metallique en alliage fe-ni ayant une grande resistance mecanique et un faible coefficient de dilatation thermique, pour cables haute tension, et procede de fabrication
WO2004104234A1 (fr) * 2003-05-21 2004-12-02 Ugitech Fil metallique en alliage fe-ni ayant une grande resistance mecanique et un faible coefficient de dilatation thermique, pour cables haute tension, et procede de fabrication

Also Published As

Publication number Publication date
JP3839957B2 (ja) 2006-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101765672B (zh) 延性优良的线材及高强度钢线以及它们的制造方法
WO2007001054A1 (ja) 伸線特性に優れた高強度線材およびその製造方法
JP4797305B2 (ja) 強度,捻回特性に優れたインバー合金線及びその製造方法
JP2002256395A (ja) 捻回特性に優れた高強度低熱膨張合金およびその合金線
JP2005002451A (ja) 耐熱ばね用Fe−Ni−Cr基合金および耐熱ばねの製造方法
JP4267375B2 (ja) 高強度鋼線用線材、高強度鋼線およびこれらの製造方法
JPH03166340A (ja) 高強度リードフレーム材料およびその製造方法
JP2968430B2 (ja) 高強度低熱膨張合金
JPH11335784A (ja) 高強度低熱膨張合金線
JP2022138809A (ja) インバー合金及びインバー合金線
JPH09316603A (ja) 高強度低熱膨張合金
JPH07211143A (ja) 送電線用低熱膨張高強度芯線及びこれを用いた低弛度電線
JPH08100242A (ja) 高強度高靭性低熱膨張合金線およびその製造方法
JP3505048B2 (ja) 高磁場で鉄損の低い高強度acsr用鋼線
JP3724193B2 (ja) 耐衝撃特性に優れかつ降伏比が低い高強度高加工性熱延鋼板
JP3061977B2 (ja) 高強度低熱膨張合金
JP3407569B2 (ja) 成形性に優れた高炭素熱延鋼板および高炭素冷延鋼板の製造方法
JP3451771B2 (ja) 高強度低熱膨張合金の線材およびその製造方法
JP2501157B2 (ja) 熱間加工性に優れる高強度低熱膨張Fe−Ni系合金
CN117144263B (zh) 倍容导线用高强度低热膨胀因瓦合金丝材及其制备方法
JP3191010B2 (ja) 捻回特性の優れた高強度低熱膨張合金線およびその製造方法
JPH11335785A (ja) 高強度低熱膨張合金およびその製造方法
WO2022030090A1 (ja) 鉄合金、鉄合金線、及び鉄合金撚線
JP3216824B2 (ja) 高強度低熱膨張合金
JP3453501B2 (ja) ばね巻き加工後の残留応力の小さい冷間巻きばね用鋼

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20041029

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050819

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20050830

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20051025

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060411

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20060524

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20060718

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20060804

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090811

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090811

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090811

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100811

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110811

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120811

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees