JP2001200112A - ペースト状水性分散液及び樹脂被覆材 - Google Patents

ペースト状水性分散液及び樹脂被覆材

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JP2001200112A
JP2001200112A JP2000008062A JP2000008062A JP2001200112A JP 2001200112 A JP2001200112 A JP 2001200112A JP 2000008062 A JP2000008062 A JP 2000008062A JP 2000008062 A JP2000008062 A JP 2000008062A JP 2001200112 A JP2001200112 A JP 2001200112A
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ethylene
copolymer
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unsaturated carboxylic
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JP2000008062A
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Kazuyuki Nakada
一之 中田
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Dow Mitsui Polychemicals Co Ltd
Original Assignee
Du Pont Mitsui Polychemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エチレン系共重合体から構成され、高濃度且
つ高粘度であり、基体に対して厚塗りが可能であるペー
スト状水性分散液を提供するにある。 【解決手段】 不飽和カルボン酸含量が15〜35wt
%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(A)とコモ
ノマー含量が1〜80wt%のノニオン性エチレン系共
重合体(B)とを、A/Bの重量比で95/5〜40/
60の範囲で含有する混合樹脂の中和による水への自己
分散液であり且つ固形分が30〜50重量%の範囲にあ
ることを特徴とするペースト状水性分散液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペースト状水性分
散液及び樹脂被覆材に関するもので、より詳細にはエチ
レン系共重合体の組成物から成り、高濃度且つ高粘度で
あり、厚塗りが可能なペースト状水性分散液に関する。
本発明は特に、環境問題を考慮した塩化ビニル樹脂プラ
スチゾル代替品として有用なペースト状水性分散液にも
関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン・アクリル酸共重合体やエチレ
ン・メタクリル酸共重合体で代表されるエチレン・不飽
和カルボン酸共重合体の水性分散液については古くから
知られており、商業的にも種々のものが入手可能であ
る。これらの中では、アルカリ金属化合物やアンモニア
を用いて前記共重合体を水に分散させたものが一般的で
ある。
【0003】また、アイオノマーに代表されるイオン性
ポリマーは、無極性高分子マトリックス中にイオン性基
が分散した構造を有するものであり、このイオンの凝集
形態により、特異な物性、特に高い溶融粘度、優れたヒ
ートシール性、弾性、強度、強靱性、耐磨耗性、耐裂断
性及び耐衝撃性等が達成されるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、公知の
アイオノマーの水性分散液は、一般に低粘度であって、
厚塗りが困難であり、アイオノマーが本来有する上記の
特性を十分に発揮するに至っていない。
【0005】一方、厚塗りが可能で、弾性的な特性に優
れた被覆を形成できる素材としては、塩化ビニル樹脂の
プラスチゾル、即ち塩化ビニル樹脂の懸濁重合粒子及び
/または乳化重合粒子を可塑剤中に分散させたものが広
く使用されている。このプラスチゾルは、加熱により全
体がゲル化し、強靱な被覆を形成しうるものである。
【0006】ところが、塩化ビニル樹脂はその廃棄処理
に問題を有しており、環境に優しい塩化ビニル樹脂プラ
スチゾル代替品の出現が望まれているが、未だこれに置
き換わる製品は見出されるに至っていない。
【0007】従って、本発明の目的は、エチレン系共重
合体から構成され、高濃度且つ高粘度であり、基体に対
して厚塗りが可能であるペースト状水性分散液を提供す
るにある。本発明の他の目的は、基体に対して厚塗りが
可能であると共に、形成される被覆が優れたヒートシー
ル性、弾性、強度、強靱性、耐磨耗性、耐裂断性及び耐
衝撃性等が達成されるペースト状水性分散液及びそれか
ら成る樹脂被覆材を提供するにある。本発明の他の目的
は、塩化ビニル樹脂のプラスチゾルに置き換わる、環境
に優しいペースト状水性分散液を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、不飽和
カルボン酸含量が15〜35wt%のエチレン・不飽和
カルボン酸共重合体(A)とコモノマー含量が1〜80
wt%のノニオン性エチレン系共重合体(B)とを、A
/Bの重量比で95/5〜40/60の範囲で含有する
混合樹脂の中和による水への自己分散液であり且つ固形
分が30〜50重量%の範囲にあることを特徴とするペ
ースト状水性分散液が提供される。本発明のペースト状
水性分散液においては、1.中和がアルカリ金属及び/
またはアンモニアで行われ、アルカリ金属またはアンモ
ニアがエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(A)のカ
ルボン酸を基準にして40〜120モル%、特に50乃
至110モル%の量で存在すること、2.粘度(23
℃、JIS K6833法)が1000mPa・s以
上、特に2000乃至100,000mPa・sである
こと、3.ノニオン性エチレン系共重合体(B)がエチ
レン・酢酸ビニル共重合体及び/またはエチレン・不飽
和カルボン酸エステル共重合体であること、4.エチレ
ン・不飽和カルボン酸共重合体(A)とエチレン系共重
合体(B)とを溶融混練し、得られた混合樹脂のカルボ
ン酸をアルカリ金属及び/またはアンモニアによつて中
和し、水中に分散させることにより得られたものである
こと、が好ましい。本発明によればまた、不飽和カルボ
ン酸含量が15〜35wt%のエチレン・不飽和カルボ
ン酸共重合体(A)とコモノマー含量が1〜80wt%
のノニオン性エチレン系共重合体(B)とを、A/Bの
重量比で95/5〜40/60の範囲で含有する混合樹
脂の中和による水への自己分散液から形成されているこ
とを特徴とする樹脂被覆材が提供される。
【0009】
【発明の実施形態】本発明のペースト状水性分散液は、
不飽和カルボン酸含量が15〜35wt%のエチレン・
不飽和カルボン酸共重合体(A)とコモノマーが1〜8
0wt%のノニオン性エチレン系共重合体(B)とを、
A/Bの重量比で95/5〜40/60の範囲で含有す
る混合樹脂の中和による水への自己分散液であること、
及び固形分が30〜50重量%の範囲にあることが特徴
であり、これにより高粘度で厚塗りが可能な水性分散液
を得ることができる。
【0010】本発明で一方の成分として用いるエチレン
・不飽和カルボン酸共重合体(A)はアルカリ金属また
はアンモニア等の塩基で中和することにより水中に自己
分散可能となる樹脂成分であるが、この共重合体(A)
を単独で中和により水中に分散させる場合には、本発明
で規定した30乃至50重量%の高い固形分濃度では、
水中分散が不可能であり(後述する比較例1参照)、ま
た水中への分散が可能となる低い固形分濃度では、粘度
が極めて低く、厚塗りが不可能な水性分散液が形成され
るに過ぎない(後述する比較例2参照)。
【0011】一方、本発明で他方の成分として用いるノ
ニオン性エチレン系共重合体(B)はノニオン性であ
り、本質的に水中への自己分散性を有していないもので
あるが、本発明によれば、このノニオン性エチレン系共
重合体(B)をエチレン・不飽和カルボン酸共重合体
(A)に混合し、この混合樹脂を中和することにより、
全く驚くべきことに、30乃至50重量%という高い固
形分濃度で水への自己分散が可能となり、しかも極めて
高い粘度を示し、基体への厚塗りが可能となるのであ
る。
【0012】例えば、エチレン・不飽和カルボン酸共重
合体(A)の中和による水への自己分散液は、その自己
分散の限度に近い25重量%の固形分濃度において25
0mPa・sの粘度を示し、またノニオン性エチレン系
共重合体(B)の代表であるエチレン・酢酸ビニル共重
合体の固形分50重量%のエマルジョンは540mPa
・sの粘度を示すに過ぎないのに対して、本発明のペー
スト状水性分散液は8000mPa・s以上の粘度を示
すのであって、本発明による予想外の効果が明らかであ
る。
【0013】[エチレン・不飽和カルボン酸共重合体]
本発明の水性分散液の一方の樹脂成分であるエチレン・
不飽和カルボン酸共重合体(A)としては、不飽和カル
ボン酸含有量が15〜35重量%、好ましくは15〜3
0重量%の共重合体である。共重合体における不飽和カ
ルボン酸含量が少なすぎると、水分散性良好な分散液を
得ることが難しく、一方、不飽和カルボン酸含量が上記
範囲より多い共重合体を使用すると、他方の樹脂成分と
の混合が困難となったり、安定な水性分散液が得られな
い等の問題を生じ、また、形成される被覆の耐水性、機
械的強度の低下が起こるので好ましくない。
【0014】このようなエチレン・不飽和カルボン酸共
重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸の二元共重合体
のみならず、任意に他の単量体が共重合された多元共重
合体であってもよく、任意の単量体は、例えば、0〜3
0重量%、好ましくは0〜20重量%の量で共重合され
ていてもよい。
【0015】ここに、不飽和カルボン酸としては、アク
リル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン
酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなど
を例示することができる。とくに好ましいのは、アクリ
ル酸又はメタクリル酸である。
【0016】上記の任意に共重合されていてもよい他の
単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのよ
うなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、ア
クリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイ
ン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボ
ン酸エステル、一酸化炭素、二酸化硫黄などを例示する
ことができる。
【0017】エチレン・不飽和カルボン酸共重合体とし
てはまた、190℃、2160g荷重におけるメルトフ
ローレート(MFR)が10〜10000g/10分、
好ましくは20〜5000g/10分の範囲のものを使
用するのが望ましい。すなわち、メルトフローレートの
非常に低いものを用いた場合には、良好な水性分散液を
得ることが難しく、またその値が非常に大きいものを使
用すると、水性分散液から得られる被覆の強度が不足す
るので好ましくない。
【0018】これらのエチレン共重合体は、構成する単
量体を、高圧ラジカル重合法によって共重合することに
より、得ることができる。
【0019】[ノニオン性エチレン系共重合体]本発明
の水性分散液に用いる他方の樹脂成分であるノニオン性
エチレン系共重合体(B)としては、コモノマーの含有
量が1〜80重量%、特に5〜70重量%の範囲にある
ものである。コモノマーの含有量が上記範囲を下回る
と、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(A)との混
練性や、水への分散性が低下する傾向があり、一方この
含有量が上記範囲を上回ると、やはり共重合体(A)と
の混練性が低下し、形成される被覆の諸物性も低下する
傾向がある。
【0020】このノニオン性エチレン系共重合体(B)
のコモノマーとしては、ノニオン性のモノマー、例え
ば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエ
ステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸
nブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸−2−
エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、
マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステル、
一酸化炭素、二酸化硫黄などを例示することができる。
これらのコモノマーは単独でも或いは2種以上の組合せ
から成っていてもよい。
【0021】ノニオン性エチレン系共重合体(B)の好
適な例として、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EV
A)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EE
A)、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(EMM
A)等が挙げられるが、勿論この例に限定されない。こ
れらも単独でも、或いは2種以上の組合せでも使用でき
る。
【0022】ノニオン性エチレン共重合体(B)として
は、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレ
ート(MFR)が10g/10分以上、好ましくは30
〜10000g/10分の範囲のものを使用するのが望
ましい。すなわち、メルトフローレートの非常に低いも
のを用いた場合には、良好な水性分散液を得ることが難
しく、またその値が非常に大きいものを使用すると、水
性分散液から得られる被覆の強度が不足するので好まし
くない。
【0023】これらのエチレン共重合体は、構成する単
量体を、高圧ラジカル重合法、チューブラー重合法、乳
化重合法等の方法によって共重合することにより、得る
ことができる。
【0024】[水性分散液及びその製造]本発明によれ
ば、上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(A)と
ノニオン性エチレン系共重合体(B)とを、A/Bの重
量比で表して、95/5〜40/60、特に90/10
〜50/50の重量比で混合する。ノニオン性エチレン
系共重合体(B)の含有量が上記範囲を下回ると、上記
範囲内にある場合に比して、水性分散液の増粘の効果が
不十分であり、厚塗り性も損なわれる傾向があり、一方
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(A)の含有量が
上記範囲を上回ると、上記範囲内にある場合に比して、
水分散性が不十分となる傾向がある。
【0025】本発明においては、エチレン・不飽和カル
ボン酸共重合体(A)とノニオン性エチレン系共重合体
(B)との混合は、水中への自己分散に先立って行うこ
とが必要である。例えば、エチレン・不飽和カルボン酸
共重合体(A)の中和による水への自己分散液と、ノニ
オン性エチレン系共重合体(B)のエマルジョンとを混
合したのでは、後述する比較例4に示すとおり、水性分
散液の増粘性も得られないし、また厚塗り性も得られな
い。
【0026】エチレン・不飽和カルボン酸共重合体
(A)とノニオン性エチレン系共重合体(B)との混合
は、緊密且つ均一に行うのが望ましく、この目的に両樹
脂を溶融混練する方法が使用される。但し、転相法等の
高剪断のかかる分散法を用いた場合にはその限りではな
い。両樹脂成分の混練には、一軸或いは二軸の押出機、
バンパリーミキサー、ニーダー、ロールなどが使用さ
れ、これらの混練装置において樹脂の融点乃至軟化点以
上の温度で混練を行う。
【0027】本発明においては、得られた混合樹脂を中
和して水へ自己分散させ、ペースト状水性分散液を形成
させる。混合樹脂中のカルボン酸の中和には、リチウ
ム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオン
や、アンモニア等が好適に使用される。一般には、水性
分散液を調製する際に、水酸化リチウム、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化
物、濃厚アンモニア水を反応系に添加するのがよい。
【0028】上記アルカリ金属及び/またはアンモニア
はエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(A)のカルボ
ン酸を基準にして40〜120モル%、特に50乃至1
10モル%の量で用いるのが望ましい。用いる塩基の量
が上記範囲を下回ると、安定な水性分散液の調製が困難
となる傾向があり、一方塩基の量が上記範囲を上回ると
水性分散液がかえって不安定になる傾向があると共に、
形成される被覆が耐水性に劣ったものとなるので不利で
ある。
【0029】本発明では、塩基の一部として、アルカリ
金属やアンモニア以外のものを用いることもできる。例
えば、エタノールアミン、イソプロパノールアミンのよ
うなモノアルカノールアミン、ジエタノールアミンのよ
うなジアルカノールアミン、トリエタノールアミンのよ
うなトリアルカノールアミンなどの有機塩基を用いるこ
とができる。又、マグネシウム、カルシウム、バリウム
などのアルカリ土類金属、亜鉛、銅、コバルト、アルミ
ニウムなどの多価金属のイオンを含むこともできる。こ
の場合、これらの他の塩基の使用量は、水性分散液の分
散安定性を損なうものであってはならない。
【0030】用いる水の量は、前述した30〜50重量
%の固形分濃度を与えるようなものである。
【0031】本発明の水性分散液は、前述した混合樹脂
と、アルカリ金属化合物及び/またはアンモニアとを、
100℃以上、好ましくは130〜160℃の温度で、
剪断力をかけながら水中で反応させることによって得ら
れる。
【0032】この反応は、攪拌機付のオートクレーブ中
で行うこともできるし、また押出機中でいわゆる転相法
で行うこともできる。この転相法では、溶融混練された
混合樹脂混練又はドライブレンド樹脂溶融混練下にアル
カリ金属化合物及び/またはアンモニアの水溶液を供給
し、混練を続行することにより、水中油(O/W)型分
散液に転相させる。混練生成物を出口において必要によ
り冷却して、ペースト状水性分散液を取り出す。
【0033】本発明のペースト状水性分散液では、粘度
(23℃、JIS K6833法)が1000mPa・
s以上、特に2000乃至100,000mPa・sで
あり、従来のアイオノマー系水性分散液に比べて著しく
高粘度であり、基材上に厚塗りが可能であるという利点
を有している。勿論、本発明の水性分散液は、固形分濃
度を変えることにより、所望とする粘度に調節すること
ができ、用途及び被覆法に適合した粘度で使用すること
ができる。更に本分散液は水による希釈も可能であり、
水を後添加することによって粘度を下げることもでき
る。また、そのpHは中和に用いる塩基の種類及び量に
よっても相違するが、一般に8乃至12の範囲にあるの
が望ましい。
【0034】更に、このペースト状水性分散液から形成
される被覆は、アイオノマー樹脂に特有の特性、例えば
高い溶融粘度、優れたヒートシール性、弾性、強度、強
靱性、耐磨耗性、耐裂断性及び耐衝撃性等を有してい
る。
【0035】本発明の水性分散液には、任意に種々の添
加剤を配合することができる。このような添加剤の例と
しては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防
止剤、可塑剤、顔料、染料、滑剤、ブロッキング防止
剤、接着剤、架橋剤、補強剤、増粘剤、発泡剤、抗菌
剤、防黴剤、筆記性改良剤、無機充填剤、難燃剤などを
挙げることができる。
【0036】本発明の水性分散液は、一般に必要でない
が、所望により、他の重合体分散液により改質され、あ
るいは他の重合体分散液の改質を目的として、他の重合
体分散液と任意割合で配合することができる。
【0037】このような他の重合体水性分散液として
は、pHが7以上のもの、あるいはアンモニア水等でp
Hを7以上にしたものであって、本発明の水性分散液と
混合したときにゲル化しないようなものを選択する必要
がある。またその固型分濃度が2〜75%、好ましくは
5〜70%程度のものであって、その平均粒子径が1〜
10000nm、好ましくは5〜5000nmのものを
選択することが望ましい。
【0038】このような他の重合体水性分散液として
は、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共
重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、水溶性
アクリル樹脂、アクリルアミド樹脂、メタアクリルアミ
ド樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタアクリロニトリル
樹脂、スチレン・アクリル酸共重合体、水溶性ポリウレ
タン樹脂、水溶性スチレン・マレイン酸共重合体、スチ
レン・ブタジエン共重合体、ハイインパクトポリスチレ
ン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロ
ニトリル・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、酸化ポ
リエチレン、プロピレン・エチレン共重合体、無水マレ
イン酸グラフトポリオレフィン、塩素化ポリエチレン、
塩素化ポリプロピレン、EPDM、フェノール樹脂、シ
リコーン樹脂、エポキシ樹脂等の水性分散液を挙げるこ
とができる。これらは勿論、2種以上使用してもよい。
一般には、本発明の水性分散液と他の重合体の水性分散
液とは、固型分換算(重量比)で10/90〜90/1
0、とくに20/80〜80/20の割合で配合するこ
とができる。
【0039】本発明の水性分散液は、任意の基材に塗布
することができる。このような基材としては、高、中、
低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合
体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・(メタ)
アクリル酸共重合体又はそのアイオノマー、エチレン・
(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重
合体又はそのアイオノマー、ポリプロピレン、ポリ−1
−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンようなオレ
フィン重合体又は共重合体、ポリスチレン、ハイインパ
クトポリスチレン、ABS型樹脂、スチレン・ブタジエ
ンブロック共重合体又はその水素添加物のようなスチレ
ン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレートのようなポリエステル、ナイロン6、ナ
イロン66のようなポリアミド、ポリカーボネート、ポ
リ塩化ビニル及びこれらの任意割合の混合物などの熱可
塑性重合体、天然ゴム、合成ゴムのようなゴム材料、フ
ェノール樹脂、ポリウレタンのような熱硬化性樹脂、
鉄、各種スチール、銅、アルミニウム、ステンレススチ
ールのような金属、木材、紙、各種天然繊維、人造繊
維、合成繊維から成る織布や不織布、皮革等の天然素材
などを例示することができる。熱可塑性重合体にあって
は、フィルム、シート、中空成形品、射出成形品、織
布、不織布、合成皮革など種々の成形品に適用すること
ができる。金属基材にあっては、各種金属箔、金属板等
の素材や、容器、容器蓋、パイプ、各種構造材、ハウジ
ング、建材などの成形品を挙げることができる。
【0040】本発明の水性分散液は、コーテイング材と
して、従来の塩化ビニル樹脂のプラスチゾルに置き換わ
る用途、例えばガスケット乃至シーリング剤、クッショ
ン材、ヒートシーラント、緩衝材、表皮材等の用途に用
いることができる。また、この水性分散液は、流延法或
いはキャスト成形法などにより、シート、手袋、玩具な
どの成形に用いることもできる。
【0041】基材に水性分散液を塗布するには、公知の
方法、例えばロールコーティング、刷毛塗り、スプレー
塗布、スピンコート法などを採用することができる。基
材には、接着性等を改良する目的で下塗り剤を塗布して
おいてもよく、またコロナ処理等の表面処理を施してお
いてもよい。塗布膜の厚みは任意であるが、通常10〜
5000μm、好ましくは100〜3000μmであ
る。塗布膜には、耐水性、耐久性等を改良する目的で、
電子線照射による架橋処理を施してもよい。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、不飽和カルボン酸含量
が15〜35wt%のエチレン・不飽和カルボン酸共重
合体(A)とコモノマー含量が1〜80wt%のノニオ
ン性エチレン系共重合体(B)とを、A/Bの重量比で
95/5〜40/60の範囲で含有する混合樹脂を用
い、この混合樹脂を中和により水への自己分散液とした
ことにより、固形分が30〜50重量%の範囲にある高
濃度のディスパージョンを作成することができる。即
ち、従来のアイオノマー系のディスパージョンは低粘度
過ぎて厚塗りができないが、本発明によれば高粘度のデ
イスパージョンを得ることができ、厚塗りが可能とな
る。また、本発明によれば、アイオノマーの特性、例え
ば優れたヒートシール性、弾性、強度、強靱性、耐磨耗
性、耐裂断性及び耐衝撃性等を有する被覆を形成するこ
とができ、特に耐スクラッチ性を保持した塗膜を得るこ
とができる。更に、樹脂濃度を変えることにより粘度を
容易にコントロールすることができ、用途や被覆法に最
も適合した粘度の水性分散液とすることができる。特
に、ノニオン性エチレン系共重合体としてエチレン・酢
酸ビニル共重合体を用いた本発明の水性分散液では、E
VAエマルジョンの欠点であったは表面の耐摩耗性を顕
著に向上させることができる。
【0043】
【実施例】本発明を以下の例で具体的に説明するが、本
発明は以下の例により何等限定されるものではない。
【0044】1)使用樹脂 以下の例で用いた樹脂の組成及び特性は次の通りであ
る。 A.エチレン・アクリル酸共重合体(アクリル酸含量
20wt%、MFR 300) B.エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含
量 20wt%、MFR 300) C.エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量
45wt%、MFR 100) D.エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量
19wt%、MFR 150) E.エチレン・エチルアクリレート共重合体(アクリル
酸エチル含量 25wt%、MFR 275)
【0045】使用したエマルジョンは次のものである。 F:EVAエマルジョン(EV200H 三井化学
(株)製)
【0046】2)評価項目 ・pH:JIS K6833準拠 各水性分散液のサンプルをそのまま市販のpH計、即ち ホリバ カスタニー LAB pHメーターF12 を用いて測定した。 ・粘度:JIS K6833準拠 各水性分散液の粘度を、単一筒回転粘度計、即ち プルックフィールド粘度計(Synchro Lectric Viscomet
er) を用いて測定した。 ・厚塗性 各水性分散液を、表面を清浄化したガラス板上に刷毛で
塗布し、下記の基準で厚塗り性を評価した。 ○:200μm厚の塗膜を作製できる。 ×:100μm厚以下の膜しか作製できない。 ・鉛筆硬度 上記の方法で形成される塗膜について鉛筆硬度測定を行
い、下記の基準で評価した。 ○:HBの鉛筆で表面に傷が付かない。 ×:HBの鉛筆で表面に傷が付く。
【0047】実施例1 前記Aのエチレン・アクリル酸共重合体と、前記Cのエ
チレン・酢酸ビニル共重合体とを、A/Cの重量比で7
/3となるように、混練装置で180℃の温度で溶融混
練した。300mlオートクレーブ中に、溶融混練で得
られた混合樹脂と、カルボン酸当たり90モル%中和量
に相当する水酸化カリウムと、固形分濃度36wt%に
相当する水とを仕込み、150℃で1時間撹拌して水性
分散液(ディスパージョン)を得た。得られた結果を表
1に示す。
【0048】実施例2 前記Aのエチレン・アクリル酸共重合体と、前記Dのエ
チレン・酢酸ビニル共重合体とを、A/Dの重量比で7
/3となるように、溶融混練する以外は実施例1と同様
にして、ディスパージョンを得た。得られた結果を表1
に示す。
【0049】実施例3 前記Aのエチレン・アクリル酸共重合体と、前記Eのエ
チレン・エチルアクリレート共重合体とを、A/Eの重
量比で7/3となるように、溶融混練する以外は実施例
1と同様にして、ディスパージョンを得た。得られた結
果を表1に示す。
【0050】実施例4 前記Bのエチレン・メタクリル酸共重合体と、前記Eの
エチレン・エチルアクリレート共重合体とを、A/Eの
重量比で7/3となるように、溶融混練する以外は実施
例1と同様にして、ディスパージョンを得た。得られた
結果を表1に示す。
【0051】比較例1 実施例1において、前記Aのエチレン・アクリル酸共重
合体と、前記Cのエチレン・酢酸ビニル共重合体との溶
融混練物の代わりに、前記Aのエチレン・アクリル酸共
重合体単独を用いる以外は実施例1と同様にして、ディ
スパージョンの製造を試みた。しかしながら、前記Aの
エチレン・アクリル酸共重合体の水中への分散は生じな
かった。
【0052】比較例2 実施例1において、前記Aのエチレン・アクリル酸共重
合体と、前記Cのエチレン・酢酸ビニル共重合体との溶
融混練物の代わりに、前記Aのエチレン・アクリル酸共
重合体単独を用い且つ固形分濃度25wt%に相当する
水を仕込む以外は実施例1と同様にして、ディスパージ
ョンを製造した。得られた結果を表1に示す。
【0053】比較例3 実施例1の水性分散液の代わりに、前記FのEVAエマ
ルジョンを固形分濃度50重量%で用いて実施例1と同
様に性能評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0054】比較例4 比較例1のエチレン・アクリル酸共重合体の水性分散液
と、比較例3のEVAエマルジョンとを、固形分重量比
で7:3の割合で混合して、固形分濃度32.5重量%
の水性分散液を製造した。得られた結果を表1に示す。
【0055】
【表1】 pH 粘度(mPa.s) 厚塗性 鉛筆硬度 実施例1 10.8 9750 ○ ○ 実施例2 10.7 8000 ○ ○ 実施例3 10.5 8600 ○ ○ 実施例4 10.7 9000 ○ ○ 比較例1 分 散 し な い 。 比較例2 12.0 250 × ○ 比較例3 11.0 540 × × 比較例4 11.2 320 × ○

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和カルボン酸含量が15〜35wt
    %のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(A)とコモ
    ノマー含量が1〜80wt%のノニオン性エチレン系共
    重合体(B)とを、A/Bの重量比で95/5〜40/
    60の範囲で含有する混合樹脂の中和による水への自己
    分散液であり且つ固形分が30〜50重量%の範囲にあ
    ることを特徴とするペースト状水性分散液。
  2. 【請求項2】 混合樹脂の中和がアルカリ金属及び/ま
    たはアンモニアで行われており、アルカリ金属及び/ま
    たはアンモニアがエチレン・不飽和カルボン酸共重合体
    (A)のカルボン酸を基準にして40〜120モル%の
    量で存在することを特徴とする請求項1に記載のペース
    ト状水性分散液。
  3. 【請求項3】 粘度(23℃、JIS K6833法)
    が1000mPa・s以上であることを特徴とする請求
    項1または2に記載のぺースト状水性分散液。
  4. 【請求項4】 ノニオン性エチレン系共重合体(B)が
    エチレン・酢酸ビニル共重合体及び/またはエチレン・
    不飽和カルボン酸エステル共重合体であることを特徴と
    する請求項1乃至3の何れかに記載のペースト状水性分
    散液。
  5. 【請求項5】 エチレン・不飽和カルボン酸共重合体
    (A)とノニオン性エチレン系共重合体(B)とを溶融
    混練し、得られた混合樹脂のカルボン酸をアルカリ金属
    またはアンモニアによつて中和し、水中に分散させるこ
    とにより得られたものであるを特徴とする請求項1乃至
    4の何れかに記載のぺースト状水性分散液。
  6. 【請求項6】 不飽和カルボン酸含量が15〜35wt
    %のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(A)とコモ
    ノマー含量が1〜80wt%のノニオン性エチレン系共
    重合体(B)とを、A/Bの重量比で95/5〜40/
    60の範囲で含有する混合樹脂の中和による水への自己
    分散液から形成されていることを特徴とする樹脂被覆
    材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9848163B2 (en) * 2013-08-20 2017-12-19 Keisoku Giken Co., Ltd. Image processing apparatus and image processing method

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