JP2001196185A - 無機el用誘電体厚膜および無機el素子 - Google Patents
無機el用誘電体厚膜および無機el素子Info
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Abstract
で大面積の形成が可能な無機EL用誘電体厚膜および無
機EL素子を提供する。 【解決手段】 基板上に形成された無機EL用の誘電体
厚膜であって、前記誘電体厚膜の材料が室温〜厚膜形成
温度の間で2点以上の相転移点を有する誘電体材料であ
る構成の無機EL用誘電体厚膜およびこれを用いた無機
EL素子とした。
Description
厚膜に関するものであり、特に、基板上に形成された厚
膜誘電体がクラックや剥離などがなくEL素子として用
いると絶縁破壊などが無く安定した発光素子として機能
することが可能な無機EL用誘電体厚膜および無機EL
素子に関するものである。
ディスプレイとして、薄膜EL素子が盛んに研究されて
いる。黄橙色発光のマンガン添加硫化亜鉛からなる蛍光
体薄膜を用いたモノクロ薄膜ELディスプレイは図3に
示すような薄膜の絶縁層2,4を用いた2重絶縁型構造
で既に実用化されている。図3において、基板1上には
所定パターンの下部電極5が形成されていて、この下部
電極5上に第1の絶縁層2が形成されている。また、こ
の第1の絶縁層2上には、発光層3、第2の絶縁層4が
順次形成されるとともに、第2の絶縁層4上に前記下部
電極5とマトリクス回路を構成するように上部電極6が
所定パターンで形成されている。
TV用、その他表示用に対応するためにはカラー化が必
要不可欠である。硫化物蛍光体薄膜を用いた薄膜ELデ
ィスプレイは、信頼性、耐環境性に優れているが、現在
のところ、赤色、緑色、青色の3原色に発光するEL用
蛍光体の特性が十分でないため、カラー用には不適当と
されている。青色発光蛍光体は、母体材料としてSr
S、発光中心としてCeを用いたSrS:CeやZn
S:Tm、赤色発光蛍光体としてはZnS:Sm、Ca
S:Eu、緑色発光蛍光体としてはZnS:Tb、Ca
S:Ceなどが候補であり研究が続けられている。
する蛍光体薄膜は発光輝度、効率、色純度に問題があ
り、現在、カラーELパネルの実用化には至っていな
い。
高品質の硫化物蛍光体薄膜の製造方法の1つとして、形
成しようとする組成の硫化物蛍光体を600℃以上の高
い温度で形成する方法や600℃以上の高い温度でアニ
ールする方法がある。
を製造した場合、基板としては高温に耐える基板である
必要がある。したがって、液晶ディスプレー、PDPな
どで用いられている青板ガラスを用いることができな
い。そこで、基板として石英を用いて青色の発光素子が
研究されている。しかし、石英基板は高価でありディス
プレーなど大面積で用いる用途や、量産品には適さな
い。
セラミックス基板を用いることが記されている。さらに
絶縁層に厚膜を用いると通常の薄膜2重絶縁構造より格
段に安定性が増し、高輝度化、低電圧化が図れることが
記されている。厚膜絶縁層を用いて、EL2重絶縁構造
で発光させるためには、誘電率の大きな材料を用いる必
要がある。厚膜では10μm から50μm 程度と薄膜の
絶縁膜より100倍から5000倍の膜厚で用いる。E
L素子は通常200V程度の交流駆動を行い発光を得て
いる。薄膜絶縁層に比べ厚膜絶縁層は、高電圧での絶縁
耐圧が非常に高いことが、最大のメリットである。
板を用い、ニオブ酸鉛系のペーストを用いて、スクリー
ン印刷し、900℃で焼結させて、厚膜を得る方法につ
いて検討してみる。
密な厚膜を得やすい。しかし、一方、基板との反応性が
高く、基板の種類、焼成条件を詳細に選ばなくては、実
現できない。基板として、アルミナを用いた場合、90
0℃程度でPbを含む材料が反応する。緻密化するに
は、高温の焼結温度が必要で、かつ基板と反応させない
ためには低温が必要という、相容れない条件が存在し、
現状、基板との反応を抑えるために、十分高温の焼結温
度を用いることができず、厚膜の密度を上げることがで
きない。
に100V程度の高電圧が印加されるため、密度の上が
っていない緻密化の不十分な厚膜では、絶縁破壊を起こ
し、EL素子の構成が不可能になる。また、厚膜の緻密
化が不十分であると厚膜表面に凹凸ができ、表面を研磨
したとしても研磨面にポアが露出し凹凸は避けられな
い。厚膜の上には、5000Å程度の蛍光体薄膜が形成
されるが、厚膜に凹凸があると、蛍光体薄膜が均一に形
成されず、蛍光体薄膜が絶縁破壊を起こし、やはりEL
素子の構成が不可能になる。
いて形成する場合、薄膜においては、J.A.P.76
(12)、45,7833(1994)やA.P.L.
L59(20)、11,2524(1991)に述べら
れているように、膜面内に非常に大きな2次元応力が発
生することが指摘されている。応力発生の主要な原因
は、下地である基板とその上に形成する材料の物性の違
い、特に熱膨張係数差による。厚膜の場合も全く同じ
で、基板であるアルミナの熱膨張係数は8×10-6/℃
と一般に厚膜誘電体材料に対して著しく小さいので、高
温での厚膜形成後、室温までの冷却過程で、厚膜中に引
っ張り応力が残り、厚膜中のクラック、剥離、基板のそ
りが発生してしまう。
層では、厚膜の密度を上げることと、厚膜の応力を減少
させることが必要である。
など高価な基板を用いることなく、安価で大面積の形成
が可能な無機EL用誘電体厚膜および無機EL素子を提
供することである。
(1)〜(4)のいずれかの構成により達成される。 (1) 基板上に形成された無機EL用の誘電体厚膜で
あって、前記誘電体厚膜の材料が室温〜厚膜形成温度の
間で2点以上の相転移点を有する誘電体材料である無機
EL用誘電体厚膜。 (2) 前記相転移点同士の温度差が少なくとも10℃
以上である上記(1)の無機EL用誘電体厚膜。 (3) 前記相転移点のうち一方の相転移点の温度が2
00〜700℃の間である上記(1)または(2)の無
機EL用誘電体厚膜。 (4) 上記(1)〜(3)いずれかの無機EL用誘電
体厚膜を有する無機EL素子。
形成する。高温で厚膜焼結形成するには、基板と厚膜と
の反応を最小限にしなければならない。さらに、基板と
厚膜材料とは、熱収縮係数が異なるため、焼結形成温度
から室温まで冷却する過程で厚膜の面内に二次元引っ張
り応力が発生する。温度差があればあるほどこの応力は
大きくなる。この応力はGPaオーダーにも達し、もは
や基板上の厚膜が維持できなくなる。すなわち、クラッ
ク、剥離、そりが生じてしまう。高温での焼結、厚膜形
成を行うため、より激しいクラック、剥離、そりが生じ
る。したがって、基板上の厚膜形態を保つためには、基
板との反応を防止し、かつ冷却過程での何らかの応力緩
和を行わなくてはならない。
形成温度から室温までの間に2回以上相転移かある材料
を用いる。相転移点では、厚膜材料の結晶系が変化する
ため、相転移点で厚膜の二次元面内に応力が入っている
場合、それを緩和するように結晶転移、変形し、その温
度での応力がほぼゼロになる。したがって、焼結形成温
度から室温までの間に2回以上相転移かある材料では、
室温に冷却したときの残留応力が大幅に減少し、クラッ
ク、剥離、そりの発生を防止することができる。
細に説明する。本発明の無機EL用誘電体厚膜は、2重
絶縁層型EL素子に用いる誘電体厚膜であって、焼結形
成温度から室温までの間に2回以上相転移がある材料を
用いる。このように相転移点を2つ以上有することによ
り、効果的な応力緩和を行うことができる。
内部に電極を有した厚膜を形成した構造、例えば、図
1、2に示すような構造を有するものである。基板、電
極、厚膜のそれぞれの間には、密着を上げるための層、
応力を緩和するための層、反応を防止する層、など中間
層を設けてもよい。また厚膜表面は研磨したり、平坦化
層を用いるなどして平坦性を向上させてもよい。
示す一部断面斜視図である。図1において、基板1上に
は所定パターンの下部電極5が形成されていて、この下
部電極5上に厚膜の第1の絶縁層(誘電体層)2が形成
されている。また、この第1の絶縁層2上には、発光層
3、第2の絶縁層(誘電体層)4が順次形成されるとと
もに、第2の絶縁層4上に前記下部電極5とマトリクス
回路を構成するように上部電極6が所定パターンで形成
されている。
絶縁層中に形成した例を示した図である。その他の構成
は図1と同様であり、同一構成要素には同一符号を付し
て説明を省略する。図1の構成とするか、図2の構成と
するかは、構成膜の形成プロセスや、要求される特性な
どに応じて適宜決めればよい。
点が2箇所以上であり、かつ相転移温度が室温から誘電
体厚膜の焼結温度の間であり、特にいずれかの相転移点
が200〜700℃の間、最も好ましくは室温と焼結温
度との中間点である材料を用いる。ここで、誘電体の焼
結温度は、通常800〜1100℃程度である。
間にある場合、他の相転移点の温度は室温〜300℃の
間にあることが好ましい。2つの相転移点を有する場
合、2つの相転移点同士の温度差は、好ましくは10℃
以上、特に200〜300℃程度の間にあることが好ま
しい。相転移点が3点以上である場合には、少なくとも
2つの相転移点が上記の条件を満たしていればよい。
度、特に200〜700℃の間である材料は、具体的に
は、例えば以下の酸化物材料および以下の材料の2種類
以上の混合物が好適である。
3 、希土類元素含有チタン酸鉛、PZT(ジルコンチタ
ン酸鉛)、PLZT(ジルコンチタン酸ランタン鉛)等
のPb系ペロブスカイト化合物、NaNbO3 、KNb
O3 、NaTaO3 、KTaO 3 、CaTiO3 、Sr
TiO3 、BaTiO3 ,BaZrO3 、CaZr
O3、SrZrO3 、CdZrO3 、CdHfO3 、S
rSnO3 、LaAlO3 、BiFeO3 、Bi系ペロ
ブスカイト化合物など。以上のような単純、さらには金
属元素を3種以上含有する複合ペロブスカイト化合物、
複合、層状の各種ペロブスカイト化合物。
ブ酸鉛、SBN(ニオブ酸ストロンチウムバリウム)、
PBN(ニオブ酸鉛バリウム)、PbNb2O6 、Pb
Ta2O5 、PbNb4O11 、Ba2KNb5O15 、Ba
2LiNb5O15 、Ba2AgNb5O15 、Ba2RbN
b5O15 、SrNb2O6 、Sr2NaNb5O15 、Sr
2LiNb5O15 、Sr2KNb5O15 、Sr2RbNb5
O15 、Ba3Nb10O 28 、Bi3Nd17O47 、K3Li
2Nb5O15 、K2RNb5O15 (R:Y、La、Ce、
Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho)、
K2BiNb5O 15 、Sr2TlNb5O15 、Ba2Na
Nb5O15 、Ba2KNb5O15 等のタングステンブロ
ンズ型酸化物など。
およびYを含む)とMnとOとを含み、六方晶系YMn
O3 構造をもつ酸化物など。例えば、YMnO3 、Ho
MnO3等。
ち、強誘電体である。以下、これらの材料について説明
する。
iO3 やSr系ペロブスカイト化合物などは、一般に化
学式ABO3 で表される。ここで、AおよびBは各々陽
イオンを表す。AはCa、Ba、Sr、Pb、K、N
a、Li、LaおよびCdから選ばれた1種以上である
ことが好ましく、BはTi、Zr、TaおよびNbから
選ばれた1種以上であることが好ましい。
比率A/Bは、好ましくは0.8〜1.3であり、より
好ましくは0.9〜1.2である。
て、誘電体の絶縁性を確保することができ、また結晶性
を改善することが可能になるため、誘電体特性または強
誘電特性を改善することができる。これに対し、A/B
が0.8未満では結晶性の改善効果が望めなくなり、ま
たA/Bが1.3をこえると均質な薄膜の形成が困難に
なってしまう。
ことによって実現する。また、ABO3 におけるOの比
率は、3に限定されるものではない。ペロブスカイト材
料によっては、酸素欠陥または酸素過剰で安定したペロ
ブスカイト構造を組むものがあるので、ABOX におい
て、xの値は、通常、2.7〜3.3程度である。な
お、A/Bは、蛍光X線分析法から求めることができ
る。
ト化合物としては、A1+B5+O3 、A2+B4+O3 、A3+
B3+O3 、AX BO3 、A(B′0.67B″0.33)O3 、
A(B′0.33B″0.67)O3 、A(B0.5 +3 B0.5 +5 )
O3 、A(B0.5 2+ B0.5 6 + )O3 、A(B0.5 1+ B
0.5 7+ )O3 、A3+(B0.5 2+ B0.5 4+ )O3 、A(B
0.25 1+B0.75 5+)O3 、A(B0.5 3+ B0.5 4+ )
O2.75、A(B0.5 2+ B0.5 5 + )O2.75等のいずれであ
ってもよい。
ペロブスカイト化合物、NaNbO 3 、KNbO3 、N
aTaO3 、KTaO3 ,CaTiO3 、SrTiO
3 、BaTiO3 ,BaZrO3 、CaZrO3 、Sr
ZrO3 、CdHfO3 、CdZrO3 、SrSnO
3 、LaAlO3 、BiFeO3 、Bi系ペロブスカイ
ト化合物などおよびこれらの固溶体等である。
TiO3 系の固溶体である。また、上記PLZTは、P
ZTにLaがドープされた化合物であり、ABO3 の表
記に従えば、(Pb0.89〜0.91La0.11〜0.09)(Zr
0.65Ti0.35)O3 で示される。
i系層状化合物は、一般に 式 Bi2 Am-1 Bm O3m+3 で表わされる。上記式において、mは1〜5の整数、A
は、Bi、Ca、Sr、Ba、Pb、Na、Kおよび希
土類元素(ScおよびYを含む)のいずれかであり、B
は、Ti、TaおよびNbのいずれかである。具体的に
は、Bi4 Ti3O12、SrBi2 Ta2 O9 、SrB
i2 Nb2 O9 などが挙げられる。本発明では、これら
の化合物のいずれを用いてもよく、これらの固溶体を用
いてもよい。
イト型化合物は、相転移温度が200℃以上でかつ誘電
率が高いものが好ましくNaNbO3 、KNbO3 、K
TaO3 、CdHfO3 、CdZrO3 、BiFeO
3 、Bi系ペロブスカイト化合物などであり、より好ま
しいものはCdHfO3 である。
は、強誘電体材料集のLandoit-Borenstein Vol. 16記載
のタングステンブロンズ型材料が好ましい。タングステ
ンブロンズ型材料は、一般に化学式AyB5O15 で表さ
れる。ここで、AおよびBは各々陽イオンを表す。Aは
Mg、Ca、Ba、Sr、Pb、K、Na、Li、R
b、Tl、Bi、希土類およびCdから選ばれた1種以
上であることが好ましく、BはTi、Zr、Ta、N
b、Mo、W、FeおよびNiから選ばれた1種以上で
あることが好ましい。
おける比率O/Bは、15/5に限定されるものではな
い。タングステンブロンズ材料によっては、酸素欠陥ま
たは酸素過剰で安定したタングステンブロンズ構造を組
むものがあるので、比率O/Bにおいては、通常、2.
6〜3.4程度である。
PbNb2 O6 、PbTa2O6 、PbNb4O11、Pb
Nb2O6 、ニオブ酸鉛、SBN(ニオブ酸ストロンチ
ウムバリウム)、Ba2KNb5O15 、Ba2LiNb5
O15 、Ba2AgNb5O15 、Ba2RbNb5O15 、
SrNb2O3 、BaNb2O6 、Sr2NaNb5O
15 、Sr2LiNb5O15 、Sr2KNb5O15 、Sr2
RbNb5O15 、Ba3Nb10O28 、Bi3Nd17O
47 、K3Li2Nb5O15 、K2RNb5O15 (R:Y、
La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho)、K2BiNb5O15 、Sr2TlNb5O
15 、Ba2NaNb5O15 、Ba2KNb5O15 等のタ
ングステンブロンズ型酸化物などおよびこれらの固溶体
等が好ましく、特に、SBN〔(Ba,Sr)Nb2 O
6 〕やBa2KNb5O15 、Ba2LiNb5O15、Ba2
AgNb5O15 、Sr2NaNb5O15 、Sr2LiNb
5O15 、Sr2KNb5O15 が好ましい。
3 で表せる。Rは希土類元素(ScおよびYを含む)か
ら選ばれた1種以上であることが好ましい。YMnO3
系材料における比率R/Mnは、好ましくは0.8〜
1.2であり、より好ましくは0.9〜1.1である。
このような範囲にすることにより、絶縁性を確保するこ
とができ、また結晶性を改善することが可能になるた
め、強誘電特性を改善することができる。これに対し、
比率R/Mnが0.8未満、1.2をこえる範囲では、
結晶性が低下する傾向がある。また特に、比率R/Mn
が1.2をこえる範囲では、強誘電性が得られず、常誘
電的特性になる傾向があり、分極を利用した素子への応
用が不可能になってくることがある。このようなR/M
nは、成膜条件を制御することによって実現する。な
お、R/Mnは、蛍光X線分析法から求めることができ
る。
系材料は、結晶構造が六方晶系のものである。YMnO
3 系材料は、六方晶系の結晶構造を持つものと斜方晶系
の結晶構造を持つものとが存在する。相転移の効果を得
るためには、六方晶系の結晶材料が好ましい。具体的に
は、組成が実質的にYMnO3 、HoMnO3 、ErM
nO3 、YbMnO3 、TmMnO3 、LuMnO3 で
あるものか、これらの固溶体などである。
形成温度の間に2回相転移する材料であってもよい。た
とえば、SrZrO3 、CdHfO3 、PbHfO3 、
(Na,K)NbO3 など、固溶体としては、PbNb
2O6 とPbTiO3 の固溶体、PbNb2O6 とPbZ
rO3 の固溶体、Ba4Na2Nb10O30 など、さらに
上記材料では、相転移の回数は1回であるが、これらの
混合物とすることにより2回以上の相転移をする材料と
してもよい。なお、焼結性を向上させるため、相転移温
度を調整するため、誘電率、導電性を制御するためなど
の目的から添加物を加えてもよい。
10〜50μm 程度が好ましい。
ず、10〜50μm 程度の膜が比較的容易に得られる方
法、たとえばゾルゲル法、印刷焼成法などが好ましい。
適当に揃え、バインダーと混合し、適当な粘度のペース
トとする。このペーストを基板上にスクリーン印刷法に
より形成し、乾燥させる。このグリーンシートを適当な
温度で焼成し、厚膜を得る。
上と大きい場合、必要に応じ、研磨または、平坦化層を
その上に形成して、平坦性を向上させることが好まし
い。
およびEL蛍光層の形成温度、EL素子のアニール温度
に耐えうる耐熱温度ないし融点が600℃以上、好まし
くは700℃以上、特に800℃以上の基板を用い、そ
の上に形成されるEL素子が形成でき、所定の強度を維
持できるものであれば特に限定されるものではない。具
体的には、アルミナ(Al2O3 )、フォルステライト
(2MgO・SiO2)、ステアタイト(MgO・Si
O2 )、ムライト(3Al2O3 ・2SiO2)、ベリリ
ア(BeO)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリ
コン(SiN)、炭化シリコン(SiC+BeO)等の
セラミック基板、結晶化ガラスなど耐熱性ガラス基板を
挙げることができる。これらの耐熱温度はいずれも10
00℃程度以上である。これらのなかでも特にアルミナ
基板、結晶化ガラスが好ましく、熱伝導性が必要な場合
にはベリリア、窒化アルミニウム、炭化シリコン等が好
ましい。
ウエハー等、チタン、ステンレス、インコネル、鉄系な
どの金属基板を用いることもできる。金属等の導電性基
板を用いる場合には、基板上に内部に電極を有した厚膜
を形成した構造が好ましい。、
または厚膜内に形成される。厚膜形成時、さらに発光層
と共に熱処理の高温下にさらされる電極層は、主成分と
してパラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウム、ル
テニウム、白金、タンタル、ニッケル、クロム、チタン
等の通常用いられている金属電極を用いればよい。
板と反対側から発光光を取り出すため、所定の発光波長
域で透光性を有する透明な電極が好ましい。透明電極
は、基板が透明であれば、発光光を基板側から取り出す
ことが可能なため、基板側に用いてもよい。この場合、
ZnO、ITOなどの透明電極を用いることが特に好ま
しい。ITOは、通常In2 O3 とSnOとを化学量論
組成で含有するが、O量は多少これから偏倚していても
よい。In2 O3 に対するSnO2 の混合比は、1〜2
0wt%、さらには5〜12wt%が好ましい。また、IZ
OでのIn2 O3に対するZnOの混合比は、通常、1
2〜32wt%程度である。
も良い。このシリコン電極層は、多結晶シリコン(p−
Si)であっても、アモルファス(a−Si)であって
もよく、必要により単結晶シリコンであってもよい。
性を確保するため不純物をドーピングする。不純物とし
て用いられるドーパントは、所定の導電性を確保しうる
ものであればよく、シリコン半導体に用いられている通
常のドーパントを用いることができる。具体的には、
B、P、As、Sb、Al等が挙げられ、これらのなか
でも、特にB、P、As、SbおよびAlが好ましい。
ドーパントの濃度としては0.001〜5at%程度が好
ましい。
ては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印
刷焼成法など既存の方法を用いればよいが、特に、基板
上に内部に電極を有した厚膜を形成した構造を作製する
場合、誘電体厚膜と同じ方法が好ましい。
に効率よく電界を付与するため、1Ω・cm以下、特に
0.003〜0.1Ω・cmである。電極層の膜厚として
は、形成する材料にもよるが、好ましくは50〜200
0nm、特に100〜1000nm程度である。
子の発光層に用いられる材料としては、赤色発光を得る
材料として、ZnS、Mn/CdSSe等、緑色発光を
得る材料として、ZnS:TbOF、ZnS:Tb等、
青色発光を得るための材料として、SrS:Ce、(S
rS:Ce/ZnS)n、CaCa2S4:Ce、Sr 2
Ga2S5:Ce等を挙げることができる。また、白色発
光を得るものとして、SrS:Ce/ZnS:Mn等が
知られている。
膜に用いれる材料として、II族−硫黄化合物、II族−II
I族−硫黄化合物または希土類硫化物とは、主にSrS
に代表されるII−S系化合物または、主にSrGa2S4
に代表されるII−III2−S4系化合物(II=Zn、Cd、C
a、Mg、Be、Sr、Ba、希土類、III=B、Al、Ga、In、T
l)または、Y2S3などの希土類硫化物、およびこれら
の化合物を用いた複数成分の組み合わせの混晶または混
合化合物が好ましい。
値をとるのではなく、それぞれの元素に関してある程度
の固溶限を有している。従って、その範囲の組成比であ
ればよい。
中心を添加する。発光中心は、既存の遷移金属、希土類
を既存の量、添加すればよい。例えば、Ce,Euなど
の希土類、Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Bi,Ag
などを金属または硫化物の形で原料に添加する。添加量
は、原料と形成される薄膜で異なるので、薄膜が既存の
添加量となるように原料の組成を調整する。
方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲ
ル法、印刷焼成法など既存の方法を用いればよい。
のではないが、厚すぎると駆動電圧が上昇し、薄すぎる
と発光効率が低下する。具体的には、蛍光材料にもよる
が、好ましくは100〜1000nm、特に150〜70
0nm程度である。
必要に応じて、形成しようとする組成の硫化物蛍光体を
600℃以上の高い温度で形成したり、600℃以上の
高い温度でアニールすることが好ましい。特に高輝度の
青色蛍光体を得るためには、高温プロセスが有効であ
る。本発明の無機EL用誘電体厚膜はこのような高温プ
ロセスに耐えることができる。
(発光層)との間に、絶縁層を有する。絶縁層の構成材
料としては、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シ
リコン(SiN)、酸化タンタル(Ta2O5)、チタン
酸ストロンチウム(SrTiO 3)、酸化イットリウム
(Y2O3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタ
ン酸鉛(PbTiO3)、PZT、ジルコニア(Zr
O2)、シリコンオキシナイトライド(SiON)、ア
ルミナ(Al2O3)、ニオブ酸鉛、PMN−PT系材料
等およびこれらの多層または混合薄膜を挙げることがで
き、これらの材料で絶縁層を形成する方法としては、蒸
着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印刷焼成法
など既存の方法を用いればよい。この場合の絶縁層の膜
厚としては、好ましくは50〜1000nm、特に100
〜500nm程度である。
らに他の材料を用いて絶縁層を2重に形成してもよい。
れる。電極層材料はすでに述べた電極材料が好ましい。
用誘電体厚膜を用い、EL素子を構成することができ
る。蛍光体薄膜の高温プロセスが可能になるため、従来
輝度が不足していた青色蛍光体の特性を大幅に向上でき
るため、フルカラーのELディスプレーが実現可能とな
る。さらに、本発明では、高密度でクラックの無い絶縁
厚膜が得られるので、EL素子の絶縁破壊が起こりにく
く、通常の薄膜2重絶縁構造より格段に安定性が増し、
高輝度化、低電圧化が図れる。
電体厚膜を用いると、石英など高価な基板を用いること
なく、安価で大面積の形成が可能な無機EL用厚膜を提
供することができる。
をさらに詳細に説明する。 [実施例1]図1に本発明のEL素子の実施例を説明す
るための素子構造を示す。基板1としてアルミナ基板を
用いた。この基板上にPd電極ペーストをライン状に、
スクリーン印刷し、乾燥させた後、大気雰囲気中120
0℃で15分焼成し、パターン電極5付基板を得た。
した。原料として、炭酸カドミウムおよび酸化ハフニウ
ムおよび焼結助剤を添加し、主成分がCdHfO3 とな
るように秤量し、ボールミルで混合粉砕後、700℃で
仮焼きした。再び、ボールミルで混合粉砕して、粒度を
最適に調整した。この粉体に、エチルセルロース系のバ
インダーとαータピネオールを溶剤として加え、適当な
粘度の誘電体ペーストとした。
した誘電体ペーストをドクターブレードにより焼き上が
り膜厚が30μmになるようにスクリーン印刷し、乾燥
させた後、大気雰囲気1100℃で焼成し、誘電体厚膜
2を得た。
く、クラックフリーであった。この誘電体厚膜の誘電率
は、約500であり、また、TDA熱測定から相転移温
度は、710℃および590℃であり、2点で相転移が
見られた。本発明の厚膜は、焼成温度1100℃で緻密
化し、室温までの降温中、相転移温度710℃および5
90℃で基板と厚膜の応力が緩和され、室温での残留応
力が少なく、そり、クラックの発生が防止できた。相転
移が2点で行われることにより、より効果的な応力緩和
が起こることがわかる。
上記同様に誘電体厚膜を形成したところ、厚膜には、ク
ラックおよび剥離が多数発生した。BaTiO3 は相転
移温度が1点で100℃程度と低く、焼成温度からの冷
却時に基板と厚膜材料の熱収縮率の違いから応力が蓄積
し、クラック、剥離に至ったものと考えられる。
さらに平坦化するため研磨を行い、厚膜膜厚を20μm
にした。この上に、基板温度を600℃とし、EB蒸着
法によりSrS:Ce蛍光体薄膜(発光層)3を0.6
μm形成した。
4をスパッタリング法によりSrS:Ce蛍光体薄膜上
に200nm形成し、この上にITO酸化物ターゲットを
用いRFマグネトロンスパッタリング法により、基板温
度250℃で、膜厚200nmのITO透明電極6を形成
し、EL素子を完成した。得られた構造のPd電極、I
TO透明電極から電極を引き出し、1KHzのパルス幅5
0μsの電界を印加することにより、190cd/m2 の発
光輝度が再現良く得られ300Vのドライブで絶縁破壊
は見られなかった。
dHfO3 誘電体にかえて、PbNb2O6 とPbZr
O3 の固溶体、0.95PbNb2O6 ・0.10Pb
ZrO3 誘電体厚膜を形成した。
ニアおよび酸化ニオブおよび焼結助剤を添加し、主成分
が0.95PbNb2O6 ・0.10PbZrO3 とな
るように秤量し、ボールミルで混合粉砕後、700℃で
仮焼きした。再び、ボールミルで混合粉砕して、粒度を
最適に調整した。この粉体に、エチルセルロース系のバ
インダーとαータピネオールを溶剤として加え、適当な
粘度の誘電体ペーストとした。
た誘電体ペーストをドクターブレードにより焼き上がり
膜厚が30μmになるようにスクリーン印刷し、乾燥さ
せた後、大気雰囲気1100℃で焼成し、誘電体厚膜2
を得た。
く、クラックフリーであった。この誘電体厚膜の誘電率
は、約500であり、また、TDA熱測定から相転移温
度は、550℃および350℃であり、2点で相転移が
見られた。本発明の厚膜は、焼成温度1100℃で緻密
化し、室温までの降温中、相転移温度550℃および3
50℃で基板と厚膜の応力が緩和され、室温での残留応
力が少なく、そり、クラックの発生が防止できた。相転
移が2点で行われることにより、より効果的な応力緩和
が起こることがわかる。
らに平坦化するため研磨を行い、発光層、第2の絶縁
層、電極を形成して無機EL素子を作製した。電極に1
KHzのパルス幅50μsの電界を印加することにより、
150cd/m2 の発光輝度が再現良く得られ300Vのド
ライブで絶縁破壊は見られなかった。
EL用誘電体厚膜は、従来の厚膜での問題であった基板
との反応、厚膜のクラック、剥離を解決し、蛍光体薄膜
形成中に要求される高いプロセス温度に耐えうる厚膜構
造体を実現できる。このような厚膜構造体を用いたEL
素子は、発光特性に優れ、特に、多色EL素子やフルカ
ラーEL素子を形成する際、絶縁破壊が全くなく、再現
良くEL素子を製造することができ、実用的価値が大き
い。
図である。
断面図である。
である。
Claims (4)
- 【請求項1】 基板上に形成された無機EL用の誘電体
厚膜であって、 前記誘電体厚膜の材料が室温〜厚膜形成温度の間で2点
以上の相転移点を有する誘電体材料である無機EL用誘
電体厚膜。 - 【請求項2】 前記相転移点同士の温度差が少なくとも
10℃以上である請求項1の無機EL用誘電体厚膜。 - 【請求項3】 前記相転移点のうち一方の相転移点の温
度が200〜700℃の間である請求項1または2の無
機EL用誘電体厚膜。 - 【請求項4】 請求項1〜3いずれかの無機EL用誘電
体厚膜を有する無機EL素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000006815A JP2001196185A (ja) | 2000-01-14 | 2000-01-14 | 無機el用誘電体厚膜および無機el素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000006815A JP2001196185A (ja) | 2000-01-14 | 2000-01-14 | 無機el用誘電体厚膜および無機el素子 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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---|---|---|---|
JP2000006815A Pending JP2001196185A (ja) | 2000-01-14 | 2000-01-14 | 無機el用誘電体厚膜および無機el素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001196185A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004008424A1 (ja) * | 2002-07-16 | 2004-01-22 | Tdk Corporation | フラットパネルディスプレイ用基板および薄膜el素子 |
-
2000
- 2000-01-14 JP JP2000006815A patent/JP2001196185A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004008424A1 (ja) * | 2002-07-16 | 2004-01-22 | Tdk Corporation | フラットパネルディスプレイ用基板および薄膜el素子 |
US6914023B2 (en) | 2002-07-16 | 2005-07-05 | Tdk Corporation | Substrate for flat panel display and thin film electroluminecence element |
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