JP2001223085A - El素子およびその製造方法 - Google Patents

El素子およびその製造方法

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JP2001223085A
JP2001223085A JP2000029462A JP2000029462A JP2001223085A JP 2001223085 A JP2001223085 A JP 2001223085A JP 2000029462 A JP2000029462 A JP 2000029462A JP 2000029462 A JP2000029462 A JP 2000029462A JP 2001223085 A JP2001223085 A JP 2001223085A
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dielectric layer
dielectric
substrate
layer
film
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JP2000029462A
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English (en)
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Masato Usuda
真人 薄田
Taku Takeishi
卓 武石
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラックが発生し難く、空孔率の低い密な誘
電体厚膜をセラミック基板、ガラス/セラミック複合基
板上に形成することにより、高輝度の青色発光が得ら
れ、白色発光やフルカラー化、高精細化が可能で、しか
も製造が容易な薄膜EL素子、およびその製造方法を実
現する。 【解決手段】 少なくとも耐熱温度ないし融点が800
℃以上の基板と、厚膜焼成により形成された誘電体層を
有するEL素子であって、上記誘電体層が少なくとも膜
厚の2倍以上、30倍以下の長さの辺を有する矩形パタ
ーンに形成されている構成のEL素子とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄型でかつ平板状
の表示手段として好適に用いられる薄膜EL(エレクト
ロルミネセンス)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネセンス(電界効果)と
いう現象を応用した無機物質からなる発光層を有する薄
膜EL素子は、発光デバイスとして平面薄型ディスプレ
イに用いられている。
【0003】薄膜EL素子の発光色は、その素子のもつ
発光層の材料によって定まる。従来から、発光層の材料
として、母体材料にはZnS、CaS、SrS等が選ば
れ、発光中心材料には、例えば遷移金属元素群の中から
選ばれている。
【0004】これらの組み合わせにより、ZnS:Mn
等を用いた黄色発光素子、ZnS:Tb等を用いた緑色
発光素子、CaS:EuあるいはZnS:Sm等を用い
た赤色発光素子、およびSrS:Ce或いはZnS:T
m等を用いた青色発光素子等が知られている。
【0005】また、白色発光素子としては、SrS:C
e,EuあるいはZnS:Pr等の単膜発光層や、Sr
S:Ce/CaS:Eu、あるいは特開昭62−749
86号公報に開示されているSrS:Ce/ZnS:M
n等の積層発光層等が知られている。
【0006】しかしながら、上述の発光素子のうち、実
用化されているものはZnS:Mnを用いた黄色発光素
子程度であり、他の発光素子については十分な発光輝度
が得られておらず、特に青色発光素子では未だ実用化に
は至っていないのが現状である。
【0007】ELディスプレイの発展を妨げているの
は、高輝度で色純度の高い青色発光素子ないし白色発光
素子が見つかっていない点にある。
【0008】フルカラーディスプレイや、現在実用化さ
れているZnS:Mnを用いた黄色発光素子を利用して
白色発光素子を得ようとすると、3元色の1つであり、
黄色発光の補色である青色発光素子の高性能化が必要に
なってくる。
【0009】上述の特開昭62−74986号公報に開
示された白色発光素子は、SrS:Ceの性能が劣って
おり、やや緑がかった青色を呈するので、全体的にも緑
がかった白色を呈してしまう。
【0010】高性能の青色発光素子が実現すれば、Zn
S:Mnを用いた黄色発光素子と組み合わせることによ
り、高性能の白色発光素子も実現できる。
【0011】青色発光のための有望な蛍光物質として、
SrSが知られている。IDW(International Display
Workshop)1997 X.Wu "Multicolor Thin-Film Ceramic
Hybrid EL Displays" p593 to 596 には、SrSを用い
たELディスプレイについての検討がなされている。
【0012】この文献では、SrSにCeをドープして
安定性を向上させると共に、SrSの劣化を防止する有
効な手段として酸素からの汚染を防止し、高純度のSr
S発光層を形成するために、H2S雰囲気下で電子ビー
ム蒸着法により発光層を形成する手法が有効である旨記
載されている。また、形成された発光層を、窒素雰囲気
下、600℃以上の温度でアニールすることにより、良
好な発光特性が得られる旨記載されてる。
【0013】しかし一般的なEL素子ではガラス基板、
ITO薄膜上に誘電体層、発光層が形成されるため、6
00℃以上での高温アニールはガラス基板、ITO薄膜
の耐熱性が不充分であるため、実用化には至っていな
い。
【0014】そこで、特開平7−50197号公報のE
Lディスプレイでは、耐熱性セラミック基板上に、銀/
プラチナ等の厚膜導体ペーストを印刷、焼成した後Pb
NbO3 、BaTlO3 、SrTiO3 、PbTlO3
等の厚膜誘電体ペーストを印刷、焼成することにより発
光層の下地を形成している。これらの厚膜焼成導体およ
び誘電体は850℃から1000℃以上の高温で焼成さ
れるため、その後の発熱体形成および高温熱処理に充分
耐え得る耐熱性を有する。
【0015】また、上記公報では厚膜焼成誘電体の表面
を平坦化し、その後に続く薄膜プロセスで形成される発
光層および上部誘電体層の絶縁耐圧を確保する方法が開
示されている。通常の焼成後の厚膜セラミックの表面は
1μm 以上の表面粗さを有し、その上に1μm 程度以下
の厚さを有する薄膜を形成しても、均一にその表面を被
覆することは困難であり、膜厚方向に電界が印加される
と低電界でも絶縁破壊にいたる場合が多い。充分な絶縁
耐圧を得るためにほ薄膜の膜厚を下地の表面粗さ以上に
充分厚くするか、あるいは下地の表面を平坦化すること
が必要である。上記ELディスプレイでは焼成後の誘電
体セラミック表面に、Pb,Zr,Tiを含むゾルをス
ピンコーティング等の手法により塗布した後、空気中で
600℃、30分の加熱をすることにより、2〜3μm
のPZT層を形成している。そのPZT層の表面は、ス
クリーン印刷されて焼結された第1誘電体層の表面より
も著しく滑らかであることが観察されたと記されてい
る。
【0016】しかし一般的にペロブスカイト系誘電体セ
ラミック材料は、アルミナ等のセラミック基板材料や結
晶化ガラスのようなガラス/セラミック複合材料よりも
膨張係数が大きく、これらの基板上にペーストを塗布、
焼成した後の冷却時の収縮により微小なクラックが観察
されることが多い。またクラックが発生しないまでも焼
成時に基板は焼き縮まないので、密に焼結することがか
なわず、その内部および表面に多くの空孔が存在し、上
記平坦化処理を施しても充分な絶縁耐圧が得られないと
いう問題が生じていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、クラ
ックが発生し難く、空孔率の低い密な誘電体厚膜を基板
上に形成することにより、高輝度の青色発光が得られ、
白色発光やフルカラー化、高精細化が可能で、しかも製
造が容易なEL素子、およびその製造方法を実現するこ
とである。
【0018】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記目的は以
下の構成により達成される。 (1) 少なくとも耐熱温度ないし融点が800℃以上
の基板と、厚膜焼成により形成された誘電体層を有する
EL素子であって、上記誘電体層が少なくとも膜厚の2
倍以上、30倍以下の長さの辺を有する矩形パターンに
形成されているEL素子。 (2) 前記誘電体層は、平坦化処理されている上記
(1)のEL素子。 (3) 前記矩形パターン間に別の誘電体が形成されて
いる上記(1)または(2)のEL素子。 (4)前記誘電体層は、ペロブスカイト構造を有する上
記(1)〜(3)のいずれかのEL素子。 (5) 誘電体層をスクリーン印刷法により矩形パター
ンにパターニングして上記(1)〜(4)のEL素子を
得るEL素子の製造方法。 (6) 前記誘電体層を形成した後、平坦化処理を行う
上記(5)のEL素子の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明のEL素子は少なくとも耐
熱温度ないし融点が800℃以上の基板と、厚膜焼成に
より形成した誘電体層を有するEL素子であって、上記
誘電体層が少なくとも膜厚の2倍以上、30倍以下の長
さの辺を有する矩形パターンに形成されているものであ
る。
【0020】このように、耐熱性を有する基板上に、厚
膜旗成により誘電体を形成する際、誘電体層が少なくと
も膜厚の2倍以上、30倍以下の長さの辺を有する矩形
パターンに実質上、分割して形成されることにより、基
板よりも膨張係数の大きな誘電体膜をクラックフリー
で、しかも高感度に焼結せしめることができる。さらに
その後に続く誘電体表面の平坦化処理によりEL素子と
して充分な絶縁破壊耐性を有する誘電体層を得ることが
可能となる。
【0021】パターニングされ、分割される誘電体層
は、少なくとも膜厚の2倍以上、30倍以下の長さの辺
を有する矩形パターンとなっている。誘電体層の一辺の
長さが前記範囲を超えると、基板との応力により、クラ
ックや、空孔が生じやすくなる。また、分割される一辺
の長さが短すぎると、製造が作業が困難となり、表示に
不都合が生じてくる。ここで、矩形パターンとは必ずし
も正規の四角形である必要はなく、成膜される基板の形
状や、ディスプレイの設計内容に応じて必要な形状に分
割されていればよい。従って、上記辺の長さはは、矩形
パターンに換算した場合の一辺の長さであり、通常、基
板の長手方向に相当する辺が分割される。
【0022】分割される辺の長さは好ましくは膜厚の2
倍以上、30倍以下、特に10倍以上、20倍以下であ
る。また、基板の大きさが大きい場合、さらに他方の辺
を分割してもよく、この場合の一辺の好ましい長さは上
記と同様である。2方向の辺を分割パターニングする際
には、ディスプレイの表示との兼ね合いから不都合が生
じない部位で分割することが望ましい。
【0023】パターニングされた誘電体層の間隔(ギャ
ップ)は、好ましくは誘電体層の膜厚の1倍以上、5倍
以下、特に1倍以上、2倍以下である。
【0024】耐熱温度ないし融点が800℃以上の基板
としては、絶縁性を有し、その上に形成される導体層、
厚膜誘電体層を汚染することなく、所定の強度を維持で
きるものであれば特に限定されるものではない。具体的
には、アルミナ(Al23)、フォルステライト(2M
gO・SiO2)、ステアタイト(MgO・SiO2)、
ムライト(3Al23・2SiO2)、ベリリア(Be
O)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(S
iN)、炭化シリコン(SiC+BeO)等のセラミッ
ク基板を挙げることができる。これらの耐熱温度はいず
れも1000℃以上である。これらのなかでも特にアル
ミナ基板が好ましく、熱伝導性が必要な場合にはベリリ
ア、窒化アルミニウム、炭化シリコン等が好ましい。ま
たガラスとセラミックの複合材料であるガラス/セラミ
クス(結晶化ガラス)を用いることもできる。
【0025】また、このほかに、石英、熱酸化シリコン
ウエハー等を用いることもできる。
【0026】電極層は、少なくとも基板側または厚膜内
に形成され、その後の厚膜誘電体焼成、平坦化処理、発
光層形成等の高温プロセスを経ても充分な導電性と、基
板との密着強度を有し、かつ高温で誘電体層との反応
(相互拡散)が生じ難い材料が好ましい。具体的には主
成分としてパラジウム、ロジウム、イリジウム、レニウ
ム、ルテニウム、白金、銀、金、タンタル、ニッケル、
クロム、チタン等の通常用いられている金属電極を用い
ればよい。特に、一般的にチップコンデンサの電極に使
用されているような耐熱性金属材料、たとえばAg/P
d、Ag/Pt、Pt、Ag/Pd/Cu、Au等の薄
膜、厚膜を使用することができる。
【0027】また、電極層は、シリコンを有するもので
も良い。このシリコン電極層は、多結晶シリコン(p−
Si)であっても、アモルファス(a−Si)であって
もよく、必要により単結晶シリコンであってもよい。
【0028】電極層は、主成分のシリコンに加え、導電
性を確保するため不純物をドーピングする。不純物とし
て用いられるドーパントは、所定の導電性を確保しうる
ものであればよく、シリコン半導体に用いられている通
常のドーパントを用いることができる。具体的には、
B、P、As、Sb、Al等が挙げられ、これらのなか
でも、特にB、P、As、SbおよびAlが好ましい。
ドーパントの濃度としては0.001〜5at%程度が好
ましい。
【0029】また、他の電極層(上部電極)は、通常基
板と反対側から発光を取り出すため、所定の発光波長域
で透光性を有する透明な電極が好ましい。透明電極は、
基板が透明であれば、発光光を基板側から取り出すこと
が可能なため、基板側に用いてもよい。この場合、Zn
O、ITOなどの透明電極を用いることが特に好まし
い。ITOは、通常In2 3 とSnOとを化学量論組
成で含有するが、O量は多少これから偏倚していてもよ
い。In2 3 に対するSnO2 の混合比は、1〜20
wt%、さらには5〜12wt%が好ましい。また、IZO
でのIn2 3 に対するZnOの混合比は、通常、12
〜32wt%程度である。
【0030】電極層の厚さは下地の基板の表面粗さ、誘
電体層の焼成温度によって最低膜厚が決まる。すなわ
ち、基板の表面の凹凸に追随して、連続的に被覆できる
膜厚が必要であり、また誘電体焼成時に誘電体との反応
により高抵抗化がおこらないだけの膜厚が必要である。
【0031】これらの材料で電極層を形成する方法とし
ては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印
刷焼成法など既存の方法を用いればよいが、特に、基板
上に内部に電極を有した厚膜を形成した構造を作製する
場合、誘電体厚膜と同じ方法が好ましい。
【0032】電極層の好ましい抵抗率としては、発光層
に効率よく電界を付与するため、1Ω・cm以下、特に1
×10-6 〜1×10-3 Ω・cmである。電極層の膜厚と
しては、形成する材料にもよるが、好ましくは50〜1
0000nm、特に500〜5000nm程度である。
【0033】導体層が形成された基板上に、厚膜誘電体
層が形成される。この厚膜誘電体の形成工程では、上述
のように基板材料との熱膨張係数差によるクラックやポ
アの発生を抑制するため、膜厚の2〜30倍程度の幅の
パターンに印刷した後焼成することが好ましい。
【0034】誘電体厚膜材料(第1の絶縁層)として
は、公知の誘電体厚膜材料を用いることができる。さら
に比較的誘電率の大きな材料が好ましい。
【0035】例えばチタン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、チタ
ン酸バリウム系等の材料を用いることができる。
【0036】また、これ以外に以下の材料および以下の
材料の2種類以上の混合物などが好適である。
【0037】(A) ペロブスカイト型材料:PbTiO
3 、希土類元素含有チタン酸鉛、PZT(ジルコンチタ
ン酸鉛)、PLZT(ジルコンチタン酸ランタン鉛)等
のPb系ペロブスカイト化合物、NaNbO3 、KNb
3 、NaTaO3 、KTaO 3 、CaTiO3 、Sr
TiO3 、BaTiO3 ,BaZrO3 、CaZr
3、SrZrO3 、CdZrO3 、CdHfO3 、S
rSnO3 、LaAlO3 、BiFeO3 、Bi系ペロ
ブスカイト化合物など。以上のような単純、さらには金
属元素を3種以上含有する複合ペロブスカイト化合物、
複合、層状の各種ペロブスカイト化合物。
【0038】(B) タングステンブロンズ型材料: ニオ
ブ酸鉛、SBN(ニオブ酸ストロンチウムバリウム)、
PBN(ニオブ酸鉛バリウム)、PbNb26 、Pb
Ta26 、PbNb411 、Ba2KNb515 、Ba
2LiNb515 、Ba2AgNb515 、Ba2RbN
515 、SrNb26 、Sr2NaNb515 、Sr
2LiNb515 、Sr2KNb515 、Sr2RbNb5
15 、Ba3Nb10 28 、Bi3Nd1747 、K3Li
2Nb515 、K2RNb515 (R:Y、La、Ce、
Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho)、
2BiNb5 15 、Sr2TlNb515 、Ba2Na
Nb515 、Ba2KNb515 等のタングステンブロ
ンズ型酸化物など。
【0039】(C) YMnO3 系材料:希土類元素(Sc
およびYを含む)とMnとOとを含み、六方晶系YMn
3 構造をもつ酸化物など。例えば、YMnO3 、Ho
MnO3等。
【0040】これらの多くは、相転移点を室温以上に持
ち、強誘電体である。以下、これらの材料について説明
する。
【0041】(A) ペロブスカイト型材料のうち、BaT
iO3 やSr系ペロブスカイト化合物などは、一般に化
学式ABO3 で表される。ここで、AおよびBは各々陽
イオンを表す。AはCa、Ba、Sr、Pb、K、N
a、Li、LaおよびCdから選ばれた1種以上である
ことが好ましく、BはTi、Zr、TaおよびNbから
選ばれた1種以上であることが好ましい。
【0042】こうしたペロブスカイト型化合物における
比率A/Bは、好ましくは0.8〜1.3であり、より
好ましくは0.9〜1.2である。
【0043】A/Bをこのような範囲にすることによっ
て、誘電体の絶縁性を確保することができ、また結晶性
を改善することが可能になるため、誘電体特性または強
誘電特性を改善することができる。これに対し、A/B
が0.8未満では結晶性の改善効果が望めなくなり、ま
たA/Bが1.3をこえると均質な薄膜の形成が困難に
なってしまう。
【0044】このようなA/Bは、成膜条件を制御する
ことによって実現する。また、ABO3 におけるOの比
率は、3に限定されるものではない。ペロブスカイト材
料によっては、酸素欠陥または酸素過剰で安定したペロ
ブスカイト構造を組むものがあるので、ABOX におい
て、xの値は、通常、2.7〜3.3程度である。な
お、A/Bは、蛍光X線分析法から求めることができ
る。
【0045】本発明で用いるABO3 型のペロブスカイ
ト化合物としては、A1+5+3 、A2+4+3 、A3+
3+3 、AX BO3 、A(B′0.67B″0.33)O3
A(B′0.33B″0.67)O3 、A(B0.5 +30.5 +5
3 、A(B0.5 2+0.5 6 + )O3 、A(B0.5 1+
0.5 7+ )O3 、A3+(B0.5 2+0.5 4+ )O3 、A(B
0.25 1+0.75 5+)O3 、A(B0.5 3+0.5 4+
2.75、A(B0.5 2+0.5 5 + )O2.75等のいずれであ
ってもよい。
【0046】具体的には、PZT、PLZT等のPb系
ペロブスカイト化合物、NaNbO 3 、KNbO3 、N
aTaO3 、KTaO3 ,CaTiO3 、SrTiO
3 、BaTiO3 ,BaZrO3 、CaZrO3 、Sr
ZrO3 、CdHfO3 、CdZrO3 、SrSnO
3 、LaAlO3 、BiFeO3 、Bi系ペロブスカイ
ト化合物などおよびこれらの固溶体等である。
【0047】なお、上記PZTは、PbZrO3 −Pb
TiO3 系の固溶体である。また、上記PLZTは、P
ZTにLaがドープされた化合物であり、ABO3 の表
記に従えば、(Pb0.890.91La0.110.09)(Zr
0.65Ti0.35)O3 で示される。
【0048】また、層状ペロブスカイト化合物のうちB
i系層状化合物は、一般に 式 Bi2m-1m3m+3 で表わされる。上記式において、mは1〜5の整数、A
は、Bi、Ca、Sr、Ba、Pb、Na、Kおよび希
土類元素(ScおよびYを含む)のいずれかであり、B
は、Ti、TaおよびNbのいずれかである。具体的に
は、Bi4 Ti312、SrBi2 Ta29 、SrB
2 Nb29 などが挙げられる。本発明では、これら
の化合物のいずれを用いてもよく、これらの固溶体を用
いてもよい。
【0049】本発明に用いることが好ましいペロブスカ
イト型化合物は、相転移温度が200℃以上でかつ誘電
率が高いものが好ましくNaNbO3 、KNbO3 、K
TaO3 、CdHfO3 、CdZrO3 、BiFeO
3 、Bi系ペロブスカイト化合物などであり、より好ま
しいものはCdHfO3 である。
【0050】(B) タングステンブロンズ型材料として
は、強誘電体材料集のLandoit-Borenstein Vol. 16記載
のタングステンブロンズ型材料が好ましい。タングステ
ンブロンズ型材料は、一般に化学式Ay515 で表さ
れる。ここで、AおよびBは各々陽イオンを表す。Aは
Mg、Ca、Ba、Sr、Pb、K、Na、Li、R
b、Tl、Bi、希土類およびCdから選ばれた1種以
上であることが好ましく、BはTi、Zr、Ta、N
b、Mo、W、FeおよびNiから選ばれた1種以上で
あることが好ましい。
【0051】こうしたタングステンブロンズ型化合物に
おける比率O/Bは、15/5に限定されるものではな
い。タングステンブロンズ材料によっては、酸素欠陥ま
たは酸素過剰で安定したタングステンブロンズ構造を組
むものがあるので、比率O/Bにおいては、通常、2.
6〜3.4程度である。
【0052】具体的には、(Ba,Pb)Nb26
PbNb26 、PbTa26 、PbNb411、Pb
Nb26 、SBN(ニオブ酸ストロンチウムバリウ
ム)、Ba2KNb515 、Ba2LiNb515 、Ba
2AgNb515 、Ba2RbNb 515 、SrNb26
、BaNb26 、Sr2NaNb515 、Sr2LiN
515 、Sr2KNb515 、Sr2RbNb515
Ba3Nb1028 、Bi3Nd1747 、K3Li2Nb5
15 、K2RNb515 (R:Y、La、Ce、Pr、
Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho)、K2
iNb515 、Sr2TlNb515 、Ba2NaNb5
15 、Ba2KNb515 等のタングステンブロンズ型
酸化物などおよびこれらの固溶体等が好ましく、特に、
SBN〔(Ba,Sr)Nb26 〕やBa2KNb5
15 、Ba2LiNb515 、Ba2AgNb515 、S
2NaNb515 、Sr2LiNb515 、Sr2KN
515が好ましい。
【0053】(C) YMnO3 系材料は、化学式RMnO
3 で表せる。Rは希土類元素(ScおよびYを含む)か
ら選ばれた1種以上であることが好ましい。YMnO3
系材料における比率R/Mnは、好ましくは0.8〜
1.2であり、より好ましくは0.9〜1.1である。
このような範囲にすることにより、絶縁性を確保するこ
とができ、また結晶性を改善することが可能になるた
め、強誘電特性を改善することができる。これに対し、
比率R/Mnが0.8未満、1.2をこえる範囲では、
結晶性が低下する傾向がある。また特に、比率R/Mn
が1.2をこえる範囲では、強誘電性が得られず、常誘
電的特性になる傾向があり、分極を利用した素子への応
用が不可能になってくることがある。このようなR/M
nは、成膜条件を制御することによって実現する。な
お、R/Mnは、蛍光X線分析法から求めることができ
る。
【0054】本発明に用いることが好ましいYMnO3
系材料は、結晶構造が六方晶系のものである。YMnO
3 系材料は、六方晶系の結晶構造を持つものと斜方晶系
の結晶構造を持つものとが存在する。相転移の効果を得
るためには、六方晶系の結晶材料が好ましい。具体的に
は、組成が実質的にYMnO3 、HoMnO3 、ErM
nO3 、YbMnO3 、TmMnO3 、LuMnO3
あるものか、これらの固溶体などである。
【0055】以上述べた材料のうち、単体で室温〜厚膜
形成温度の間に2回相転移する材料であってもよい。た
とえば、SrZrO3 、CdHfO3 、PbHfO3
(Na,K)NbO3 など、固溶体としては、PbNb
26 とPbTiO3 の固溶体、PbNb26 とPbZ
rO3 の固溶体、Ba4Na2Nb1030 など、さらに
上記材料では、相転移の回数は1回であるが、これらの
混合物とすることにより2回以上の相転移をする材料と
してもよい。なお、焼結性を向上させるため、相転移温
度を調整するため、誘電率、導電性を制御するためなど
の目的から添加物を加えてもよい。
【0056】以上のような誘電体厚膜の膜厚としては、
10〜50μm 程度が好ましい。
【0057】誘電体厚膜の形成方法は、特に限定され
ず、10〜50μm 程度の膜が比較的容易に得られる方
法、たとえばゾルゲル法、印刷焼成法などが好ましい。
【0058】印刷焼成法による場合には、材料の粒度を
適当に揃え、バインダーと混合し、適当な粘度のペース
トとする。このペーストを基板上にスクリーン印刷法に
より形成し、乾燥させる。このグリーンシートを適当な
温度で焼成し、厚膜を得る。
【0059】焼成後の厚膜誘電体層の表面は、結晶粒径
(3μm 以下)と同程度の表面粗さを有する場合があ
る。このため、その上に直接薄膜を成膜、積層しても、
厚膜誘電体層の表面を完全に被覆することは困難であ
り、厚膜方向に電界を印加すると、比較的低い電界強度
でも絶縁破壊を起こしてしまうことがある。また、基板
表面と厚膜誘電体表面との間には、通常、数十μm 程度
の段差があり、この段差上に薄膜を完全に被覆し、十分
な絶縁耐圧を確保するのは困難である。
【0060】そこで、本発明においては、これらの表面
粗さや段差による性能低下を回避するため、以下の平坦
化処理を行うことが望ましい。
【0061】平坦化には、誘電体材料を用い、これをパ
ターニングされた誘電体層上にパターニングの溝が完全
に埋まるように被覆する。この場合に用いられる誘電体
材料は、誘電体層に要求される誘電率を有する必要はな
く、基板と誘電体層との密着・接着性に優れ、内部応力
の生じ難い材料、あるいは応力を緩和しやすい材料が好
ましい。具体的には、上記誘電体層で例示した材料のな
かから好適なものを選択するか、高融点ガラス等を用い
ればよい。これらのなかでも特に、結晶化ガラス、ホウ
ケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラスなどが好まし
い。
【0062】ただし、この平坦化層の誘電率が低い場
合、誘電体層上に数十μm の膜厚に形成した状態でEL
素子の下部誘電体として使用すると、発光開始電圧が高
くなりすぎて、実用には適さない。そこで、この平坦化
層に研削と研磨を行い、下地の厚膜誘電体層を露出させ
ることが好ましい。露出させた誘電体層の表面および厚
膜誘電体層で挟まれた平坦化層の表面はともに十分平坦
に処理することが好ましく、鏡面状の光沢を有すること
が望ましい。また、厚膜誘電体層と平坦化層の境界に
は、その後の薄膜形成工程に支障を来すような段差が存
在しないことが望ましい。
【0063】厚膜誘電体層が形成され、好ましくは平坦
化処理が行われた基板上には、発光層が形成される。発
光層は、エレクトロンビーム(EB)蒸着法等により形
成することができる。
【0064】発光層の材料としては、例えば、月刊ディ
スプレイ ’98 4月号 最近のディスプレイの技術
動向 田中省作 p1〜10に記載されているような材料を
挙げることができる。具体的には、赤色発光を得る材料
として、ZnS、Mn/CdSSe等、緑色発光を得る
材料として、ZnS:TbOF、ZnS:Tb、Zn
S:Tb等、青色発光を得るための材料として、Sr
S:Ce、(SrS:Ce/ZnS)n、CaCa
24:Ce、Sr2Ga25:Ce等を挙げることがで
きる。
【0065】また、白色発光を得るものとして、Sr
S:Ce/ZnS:Mn等が知られている。
【0066】これらのなかでも、上記IDW(Internati
onal Display Workshop)’97 X.Wu"Multicolor Thin-Fi
lm Ceramic Hybrid EL Displays" p593 to 596 で検討
されている、SrS:Ceの青色発光層を有するELに
本発明を適用することにより特に好ましい結果を得るこ
とができる。
【0067】また、一般にII族−硫黄化合物、II族−II
I族−硫黄化合物または希土類硫化物、つまり主にSr
Sに代表されるII−S系化合物または、主にSrGa2
4に代表されるII−III2−S4系化合物(II=Zn、Cd、C
a、Mg、Be、Sr、Ba、希土類、III=B、Al、Ga、In、T
l)または、Y23などの希土類硫化物、およびこれら
の化合物を用いた複数成分の組み合わせの混晶または混
合化合物としてもよい。
【0068】これらの化合物の組成比は厳密に上記した
値をとるのではなく、それぞれの元素に関してある程度
の固溶限を有している。従って、その範囲の組成比であ
ればよい。
【0069】通常、EL蛍光体薄膜は、母体材料に発光
中心を添加する。発光中心は、既存の遷移金属、希土類
を既存の量、添加すればよい。例えば、Ce,Euなど
の希土類、Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Bi,Ag
などを金属または硫化物の形で原料に添加する。添加量
は、原料と形成される薄膜で異なるので、薄膜が既存の
添加量となるように原料の組成を調整する。
【0070】発光層の膜厚としては、特に制限されるも
のではないが、厚すぎると駆動電圧が上昇し、薄すぎる
と発光効率が低下する。具体的には、蛍光材料にもよる
が、好ましくは100〜1000nm、特に150〜50
0nm程度である。
【0071】これらの材料で発光層を形成する方法とし
ては、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印
刷焼成法など既存の方法を用いればよい。また、特に上
記IDWに記載されているように、SrS:Ceの発光
層を形成する場合には、H2S雰囲気下、エレクトロン
ビーム蒸着法により形成すると、高純度の発光層を得る
ことができる。
【0072】発光層の形成後、好ましくは加熱処理を行
う。加熱処理は、基板側から下部電極層、厚膜誘電体
層、発光層と積層した後に行ってもよいし、基板側から
下部電極層、厚膜誘電体層(下部絶縁層)、発光層、薄
膜誘電体層(上部絶縁層)、あるいはこれに上部電極層
を形成した後にキャップアニールしてもよい。通常、熱
処理の温度は、好ましくは600〜1300℃、特に8
00〜1000℃程度、処理時間は10〜600分、特
に30〜180分程度である。アニール処理時の雰囲気
としては、N2 、Ar、HeまたはH2 Sの雰囲気が好
ましい。
【0073】発光層の上には、好ましくはさらに薄膜誘
電体層(上部絶縁層)が形成される。薄膜誘電体層の構
成材料としては、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒
化シリコン(SiN)、酸化タンタル(Ta25)、チ
タン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化イットリ
ウム(Y23)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、
チタン酸鉛(PbTiO3)、PZT、ジルコニア(Z
rO2)、シリコンオキシナイトライド(SiON)、
アルミナ(Al23)、ニオブ酸鉛、PMN−PT系材
料等およびこれらの多層または混合薄膜を挙げることが
でき、これらの材料で誘電体層を形成する方法として
は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法、印刷
焼成法など既存の方法を用いればよい。この場合の誘電
体層の膜厚としては、好ましくは50〜1000nm、特
に100〜500nm程度である。
【0074】また、必要により誘電体層を形成した後、
さらに他の材料を用いて誘電体層を2重に形成してもよ
い。
【0075】さらにこの誘電体層上には、好ましくは上
部電極層が形成される。電極層材料はすでに述べた電極
材料が好ましい。
【0076】本発明のEL素子は、基板上に高密度、高
誘電率の誘電体層を形成できるので、高い発光輝度、特
に高輝度の青色発光が得られ、しかも、電極が薄膜プロ
セスにより形成することも可能であることから、高精細
のRGBカラーディスプレイを構成することもできる。
また、比較的製造工程が容易であり、製造コストを低く
押さえることができる。そして、効率のよい、高輝度の
青色発光が得られることから、白色発光の素子としてカ
ラーフィルターと組み合わせてもよい。
【0077】カラーフィルター膜には、液晶ディスプレ
イ等で用いられているカラーフィルターを用いれば良い
が、EL素子の発光する光に合わせてカラーフィルター
の特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すれば
よい。
【0078】また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収
するような短波長の外光をカットできるカラーフィルタ
ーを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向
上する。
【0079】また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用
いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0080】蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を
吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させること
で、発光色の色変換を行うものであるが、組成として
は、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の三つから形成
される。
【0081】蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高
いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いこ
とが望ましい。実際には、レーザー色素などが適してお
り、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン
系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロシアニ
ン等も含む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素
系化合物・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・ク
マリン系化合物等を用いればよい。
【0082】バインダーは、基本的に蛍光を消光しない
ような材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷
等で微細なパターニングが出来るようなものが好まし
い。また、基板上に透明電極と接する状態で形成される
場合、透明電極(ITO、IZO)ダメージを受けない
ような材料が好ましい。
【0083】光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りな
い場合に用いるが、必要のない場合は用いなくても良
い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しな
いような材料を選べば良い。
【0084】本発明の薄膜EL素子は、通常、パルス駆
動、交流駆動され、その印加電圧は、80〜250V 程
度である。
【0085】
【実施例】<実施例1>次に本発明の薄膜EL素子の実
施例について、製造工程を示す図を参照しつつ説明す
る。先ず、図1に示すように、所定の耐熱性、または高
融点を有する基板1の上にスクリーン印刷法により、A
g系厚膜電極ペースト(ESL社製 9916)を厚
さ:5μm 、幅:220μm 、間隔:80μm のパター
ンに印刷・塗布した。図2はこのようなペーストが塗布
された状態を示す図1の平面図である。
【0086】電極ペースト塗布後、大気雰囲気中、12
5℃の温度で30分間の乾燥を行い、さらにベルト炉を
用いて大気中、900℃の温度で15分間の焼成を行う
ことにより、下部電極2を形成した。
【0087】次いで、図3に示すように、スクリーン印
刷法によりニオブ酸鉛系厚膜ペースト(ESL社製 4
210−C)を厚さ:20μm 、幅:250μm 、間
隔:50μm のパターンに印刷・塗布した。このとき、
下部電極層は、外部駆動回路に接続するための部分以外
はこのパターンに覆われるようにした。
【0088】塗布後、大気雰囲気中、125℃の温度で
30分間の乾燥を行い、さらにベルト炉を用いて大気
中、900℃の温度で15分間焼成し、厚膜誘電体層3
を形成した。
【0089】このように、厚膜誘電体層を基板上に連続
的に塗布形成することなく、下部電極のピッチと同程度
のサイズにパターン形成することにより、熱膨張係数の
異なる基板上に、全くクラックを生じさせることなく高
密度に焼成でき、比誘電率7000〜10000程度の
良好な誘電特性が容易に得られることがわかった。
【0090】焼成後の厚膜誘電体層の表面は、結晶粒径
(3μm 以下)と同程度の表面粗さを有する。このた
め、その上に直接薄膜を成膜、積層しても、厚膜誘電体
層の表面を完全に被覆することは困難であり、厚膜方向
に電界を印加すると、比較的低い電界強度でも絶縁破壊
を起こしてしまう。また、基板表面と厚膜誘電体表面と
の間には、約25μm の段差があり、この段差上に薄膜
を完全に被覆し、十分な絶縁耐圧を確保するのは困難で
ある。
【0091】そこで、本発明の実施例においては、これ
らの表面粗さや段差による性能低下を回避するため、以
下の工程を有する。
【0092】図4に示すように、結晶化ガラスペースト
(ESL社製 D−4040)を基板上の下部電極の外
部駆動回路との接続部以外の全面にわたって約25μm
の厚さに印刷・塗布した。その後、大気雰囲気中、12
5℃の温度で15分間の乾燥を行い、さらにベルト炉を
用いて大気中、850℃の温度で10分間焼成して平坦
化層4を形成した。
【0093】ただし、この結晶化ガラス平坦化層4は誘
電率が3程度と低く、厚さ25μmの状態でEL素子の
下部誘電体として使用すると、発光開始電圧が高くなり
すぎて、実用には適さない。そこで、図5に示すよう
に、研削と研磨を行い、下地の厚膜誘電体層を露出させ
た。露出させた誘電体層の表面および厚膜誘電体層で挟
まれた平坦化層の表面はともに十分平坦で、鏡面状の光
沢を有していた。また、厚膜誘電体層と平坦化層の境界
には、その後の薄膜形成工程に支障を来すような段差は
存在しなかった。
【0094】次いで、SrS:Ce発光層をEB−蒸着
法により、400nmの膜厚に形成した。成膜条件として
は、槽内を1.33×10-4 Pa(1.0×10-6 Tor
r)以下に減圧し、基板温度:250℃で、SrS:C
eの成膜レートは1.5〜3nm/sec とし、成膜期間中
2Sを供給し続けた。SrS:Ceは、Ceを0.1m
ol%含む材料を用いた。
【0095】次いで、同様にしてZnS:Mn発光層
を、400nmの膜厚に形成した。ZnS:Mnは、Mn
を1.0wt%含む材料を用いた。
【0096】このようにして、図6に示すようなZn
S:Mn/SrS:Ceの2層からなる白色発光の発光
層5を形成した。
【0097】発光層5が成膜された基板を、雰囲気熱処
理炉に移し、H2S雰囲気中、800℃で、30分間加
熱処理した。
【0098】次いで、図7に示すように、この発光層の
上にSiN薄膜誘電体層6をRFスパッタ法により20
0nmの膜厚に形成した。
【0099】次いで、図8に示すように、DCスパッタ
装置を使用し、ITOをターゲットとして、ITO上部
透明電極7を200nmの膜厚に形成した。
【0100】さらに、下部電極の外部駆動回路と接続す
る部分上の発光層、上部誘電体層は、通常のフォトリソ
グラフィーおよびエッチング技術により除去される。そ
の後、コラム側、ロウ側のそれぞれの駆動回路接続部に
Cu/Ti等のメタライズ処理を施した。
【0101】また、R,G,Bの3原色のカラーフィル
ターが形成されたガラスを、カラーフィルター側を上部
透明電極と相対するようにアライメントし封止した。
【0102】コラム側、ロウ側のメタライズ処理された
駆動回路接続部上に、他端が駆動回路に接続されたFP
Cの端部をハンダ付することにより、ディスプレイパネ
ルと駆動回路との電気的接続を行った。
【0103】得られた薄膜ELディスプレイに、大気雰
囲気下、220V 、90Hzの交流電圧を印加したとこ
ろ、ITO電極側から観察して300cd/m2 以上の白
色の発光が確認できた。
【0104】
【発明の効果】以上のように、本発明によればクラック
が発生し難く、空孔率の低い密な誘電体厚膜をセラミッ
ク基板、ガラス/セラミック複合基板上に形成すること
により、高輝度の青色発光が得られ、白色発光やフルカ
ラー化、高精細化が可能で、しかも製造が容易な薄膜E
L素子、およびその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である無機EL素子の製造工程
を示す概略断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】本発明の実施例である無機EL素子の製造工程
を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施例である無機EL素子の製造工程
を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施例である無機EL素子の製造工程
を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施例である無機EL素子の製造工程
を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施例である無機EL素子の製造工程
を示す概略断面図である。
【図8】本発明の実施例である無機EL素子の製造工程
を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 電極層(下部電極) 3 誘電体層(厚膜誘電体層) 4 平坦化層 5 発光層 6 誘電体層(薄膜誘電体層) 7 電極層(上部電極層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K007 AB00 AB02 AB04 AB14 AB17 AB18 BB06 CA00 CA01 CA02 CB01 DA02 DB01 DB02 DC02 DC04 FA00 FA01 FA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも耐熱温度ないし融点が800
    ℃以上の基板と、厚膜焼成により形成された誘電体層を
    有するEL素子であって、 上記誘電体層が少なくとも膜厚の2倍以上、30倍以下
    の長さの辺を有する矩形パターンに形成されているEL
    素子。
  2. 【請求項2】 前記誘電体層は、平坦化処理されている
    請求項1のEL素子。
  3. 【請求項3】 前記矩形パターン間に別の誘電体が形成
    されている請求項1または2のEL素子。
  4. 【請求項4】前記誘電体層は、ペロブスカイト構造を有
    する請求項1〜3のいずれかのEL素子。
  5. 【請求項5】 誘電体層をスクリーン印刷法により矩形
    パターンにパターニングして請求項1〜4のEL素子を
    得るEL素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記誘電体層を形成した後、平坦化処理
    を行う請求項5のEL素子の製造方法。
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