JP2001192955A - 耐熱性不織布およびその製造方法ならびに耐熱性不織布からなるプリント配線板用基材 - Google Patents

耐熱性不織布およびその製造方法ならびに耐熱性不織布からなるプリント配線板用基材

Info

Publication number
JP2001192955A
JP2001192955A JP37400199A JP37400199A JP2001192955A JP 2001192955 A JP2001192955 A JP 2001192955A JP 37400199 A JP37400199 A JP 37400199A JP 37400199 A JP37400199 A JP 37400199A JP 2001192955 A JP2001192955 A JP 2001192955A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
nonwoven fabric
water
resistant nonwoven
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP37400199A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Tsukuda
貴裕 佃
Masanobu Matsuoka
昌伸 松岡
Kenji Hyodo
建二 兵頭
Kenji Nishiomote
憲二 西面
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd, Mitsubishi Paper Mills Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP37400199A priority Critical patent/JP2001192955A/ja
Publication of JP2001192955A publication Critical patent/JP2001192955A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Paper (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 全芳香族ポリエステル繊維5〜100重量
%、融点または熱分解温度が250℃以上である有機繊
維95〜0重量%からなり、機械的強度が強く、樹脂含
浸性に優れる耐熱性不織布およびその製造方法ならびに
耐熱性不織布からなるプリント配線板用基材を提供する
ことにある。 【解決手段】 全芳香族ポリエステル繊維5〜95重量
%、融点または熱分解温度が250℃以上である有機繊
維95〜0重量%、水溶性バインダー1〜50重量%か
らなる湿式不織布を水流交絡処理して水溶性バインダー
を溶出させ、且つ該繊維同士を三次元的に交絡させて耐
熱性不織布を作製することを特徴とする耐熱性不織布お
よびその製造方法ならびに該耐熱性不織布からなるプリ
ント配線板用基材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気絶縁性、耐熱
性、寸法安定性に優れた耐熱性不織布およびその製造方
法ならびに耐熱性不織布からなるプリント配線板用基材
に関する。
【0002】
【従来の技術】融点または熱分解温度が250℃以上で
ある有機繊維からなる湿式不織布を作製する場合には、
一般的に該繊維が疎水性であるため、該繊維同士の結着
力がなく、シート化することが困難であった。そのた
め、該繊維をパルプ状に叩解したり、フィブリッド状に
して混抄し、物理的に該繊維同士を絡ませてシート化し
たり、あるいは低融点の樹脂成分を含む熱融着性繊維を
混抄して熱融着性繊維だけを融着させてシート化する方
法がとられる。
【0003】例えば、特開昭60−239600号公報
には、異方性溶融相を形成しうるポリマーのフィブリル
からなる熱安定性、耐薬品性、耐溶剤性に優れた紙が開
示されている。特開平8−209583号公報には、直
径0.1μm以上5μm未満であり、且つ実質的に枝分か
れを有しない溶融液晶性芳香族ポリエステルパルプ状物
を5〜100重量%含む紙が開示されている。特開平5
−106191号公報には、主鎖に芳香族基を有する芳
香族ポリアミド短繊維と繊維径0.7μm以下にフィブ
リル化された芳香族ポリアミドのミクロフィブリル化物
よりなる2成分、または該2成分にさらに繊維径0.7
μmより大きなパルプ状芳香族ポリアミドよりなる3成
分を含有し、これらの2成分または3成分が三次元的に
交絡した耐熱性シートが開示されている。特開平9−3
1817号公報には、フィブリル化した液晶ポリエステ
ル系繊維を含み、且つこの液晶ポリエステル系繊維が三
次元的に絡合していることを特徴とする不織布が開示さ
れている。
【0004】しかしながら、これら耐熱性に優れる有機
繊維のパルプ状物やフィブリッドによる物理的な絡みだ
けではシート強度が弱く、さらに、抄紙機に付属してい
るドライヤー温度が該繊維の融点以上にならない場合に
は、安定して巻き取れるシート強度が得られない問題が
あった。また、耐熱性不織布がこれらパルプ状物やフィ
ブリッドを含む場合には、耐熱性不織布が緻密になりや
すく、空隙量が著しく減少するため、樹脂含浸性が悪く
なり、プリント配線板用基材として問題が生じる傾向が
あった。
【0005】また、一般に耐熱性に優れる有機繊維は高
弾性、高強度のものが多く、パルプ状にする際の叩解条
件が厳しく、叩解機の金属刃の刃こぼれが生じ、これが
生成物に混入して耐熱性不織布の性能に悪影響を及ぼす
問題があった。一方、熱融着性繊維を含む場合には、吸
湿しやすく寸法安定性や耐熱性などに問題が生じる場合
があった。
【0006】従来、プリント配線板用基材としては、紙
/フェノール樹脂系、紙/エポキシ樹脂系、ガラス布/
エポキシ樹脂系などが用いられている。しかしながら、
紙/エポキシ樹脂系は耐熱性、耐熱寸法安定性、耐湿寸
法安定性が不十分であり、ガラス布/エポキシ樹脂系は
高温時の機械的強度、高温時における電気的特性の劣化
が大きい、高温時の寸法変化が大きいといった問題があ
った。
【0007】また、ポリエステルフィルム、ポリイミド
フィルム、ガラス繊維布に樹脂を含浸させた基材なども
使用されているが、ポリエステルフィルムは燃えやすく
ハンダ耐熱性、耐熱寸法安定性に乏しい。ポリイミドフ
ィルムは吸湿性が大きく、耐熱寸法安定性や耐湿寸法安
定性に乏しい。ガラス繊維布はガラス繊維の剛直性が大
きい場合には耐折性に劣り、重量が重く、薄型化が難し
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術に見
られる上記問題点を解決するものである。即ち本発明の
の目的は、パルプ状物およびフィブリッド繊維を用いる
ことなく、機械的強度が強く、地合が均一で樹脂含浸性
に優れる耐熱性不織布およびその製造方法、耐熱性、寸
法安定性に優れるプリント配線板用基材を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、耐熱性に優れる有機繊維同士の絡み合
いを持たせる方法について鋭意検討した結果、以下の発
明を見出した。
【0010】全芳香族ポリエステル繊維5〜100重量
%、融点または熱分解温度が250℃以上の有機繊維9
5〜0重量%と水溶性バインダー1〜50重量%からな
る湿式不織布を水流交絡処理して水溶性バインダーを溶
出させ、且つ該繊維同士を交絡させて製造されることを
特徴とする耐熱性不織布およびその製造方法である。
【0011】かかる本発明の実施態様においては、融点
または熱分解温度が250℃以上の有機繊維が、全芳香
族ポリアミド繊維であることが好ましい。
【0012】水溶性バインダーがポリビニルアルコール
繊維であることが好ましい。
【0013】水流を噴射するノズルプレートを2本以上
用い、且つ、ノズルを2列以上配列してなるノズルプレ
ートを1本以上用いて水流交絡処理することが好まし
い。
【0014】本発明においては、繊度1.1dtex以下、
且つ繊維長5〜30mmの繊維を31重量%以上含有して
なる湿式不織布を水流交絡処理するに際し、少なくとも
1本のノズルプレートから30kgf/cm2以上の水流を噴
射させて水流交絡処理することが好ましい。
【0015】繊度1.1dtex以下、且つ繊維長5〜30
mmの繊維を31重量%未満含有してなる湿式不織布を水
流交絡処理するに際し、少なくとも1本のノズルプレー
トから50kgf/cm2以上の水流を噴射させて水流交絡処
理することが好ましい。
【0016】耐熱性不織布が90〜230℃で熱圧処理
されることが好ましい。
【0017】耐熱性不織布中の水溶性バインダーの残留
量が0.1重量%未満であることが好ましい。
【0018】さらに、本発明におけるプリント配線板用
基材は、本発明における耐熱性不織布からなることを特
徴とする。
【0019】即ち、本発明にあっては、全芳香族ポリエ
ステル繊維5〜100重量%、融点または熱分解温度が
250℃以上である有機繊維95〜0重量%と水溶性バ
インダー1〜50重量%からなる湿式不織布を水流交絡
処理して水溶性バインダーを溶出させ、且つ該有機繊維
同士を三次元的に交絡させることにより、機械的強度が
強く、樹脂含浸性に優れる耐熱性不織布が得られる。全
芳香族ポリエステル繊維および全芳香族ポリアミド繊維
は、水流交絡処理によって少なくとも一部が分割、細分
化されるため、該繊維同士が交絡しやすくなり、機械的
強度が強く、樹脂含浸性に優れた耐熱性不織布が得られ
る。特に全芳香族ポリエステルの場合には、吸湿率が著
しく低いため、該繊維の配合量が多くなるほど寸法安定
性に優れる耐熱性不織布が得られる。水溶性バインダー
が、ポリビニルアルコール繊維である場合には、少ない
添加量で十分な強度を持つ湿式不織布が得られ、水流交
絡処理によって溶出、除去される効率が高い。水流を噴
射するノズルプレートを2本以上用い、且つノズルを2
列以上配列してなるノズルを1本以上用いて水流交絡処
理することにより、機械的強度の強く、水溶性バインダ
ーの残留量が少ない耐熱性不織布が得られる。繊度1.
1dtex以下、且つ繊維長5〜30mmの該繊維を31重量
%以上含有してなる湿式不織布を水流交絡処理するに際
し、少なくとも1本のノズルプレートから30kgf/cm2
以上の水流を噴射させて水流交絡処理することにより、
交絡が十分になされ機械的強度の強い耐熱性不織布が得
られる。繊度1.1dtex以下、且つ繊維長5〜30mmの
該繊維を31重量%未満含有してなる湿式不織布を水流
交絡処理するに際し、少なくとも1本のノズルプレート
から50kgf/cm2以上の水流を噴射させて水流交絡処理
することにより、交絡が十分になされ機械的強度の強い
耐熱性不織布が得られる。本発明における耐熱性不織布
が90〜230℃で熱圧処理されることによって、多孔
質のフィルム状になるため、樹脂含浸性を備えたまま、
薄くて機械的強度に優れる耐熱性不織布が得られる。本
発明における耐熱性不織布からなるプリント配線板用基
材は、ハンダ耐熱性に優れ、熱膨張率が半導体部品と同
程度に小さいため、プリント配線板として使用したとき
に半導体部品の表面実装に伴って起こるヒートサイクル
に対し、ハンダ接合部にクラックを生じることがなく、
耐熱寸法安定性に優れる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】本発明における全芳香族ポリエステルと
は、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒド
ロキシカルボン酸の3つのモノマーを組み合わせて、組
成比を変えて合成される。例えば、p−ヒドロキシ安息
香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸との共重合体が
挙げられる。全芳香族ポリエステルは、溶融状態で分子
配向が見られ、これを紡糸してなる繊維はさらに分子配
向が進むため、本発明でいう水流交絡処理による物理的
衝撃によって繊維軸に平行に分割、細分化されやすく、
その結果、繊維同士が交絡しやすくなり、機械的強度の
強い耐熱性不織布が得られるだけでなく、分割、細分化
されてできた隙間に樹脂が浸透するため、樹脂含浸性に
優れる耐熱性不織布が得られる。
【0022】本発明における融点または熱分解温度が2
50℃以上である有機繊維とは、250℃でも溶融、分
解せず、200℃の高温雰囲気下で1ヶ月以上保存して
も劣化が少ない有機繊維のことをいう。具体的には、全
芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテル
ケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、
ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(P
AI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリ
エーテルサルホン(PES)、ポリサルホン、ポリフェ
ニレンビスベンゾチアゾールなどのポリマーを紡糸して
得られる有機繊維が挙げられる。以下の説明では、単に
「繊維」と表記するが、本発明においては、原則的に有
機繊維のことを意味する。
【0023】これらの中でも全芳香族ポリアミド繊維が
好ましい。全芳香族ポリアミドは溶融状態で分子配向が
見られ、これを紡糸してなる繊維はさらに分子配向が進
むため、本発明でいう水流交絡処理による物理的衝撃に
よって繊維軸に平行に分割、細分化されやすく、その結
果、繊維同士が交絡しやすくなり、機械的強度の強い耐
熱性不織布が得られるだけでなく、分割、細分化されて
できた隙間に樹脂が浸透するため樹脂含浸性に優れる耐
熱性不織布が得られる。
【0024】本発明における全芳香族ポリアミドとは、
p−フェニレンテレフタルアミド(PPTA)、ポリ−
p−ベンズアミド、ポリ−p−アミドヒドロジド、ポリ
−p−フェニレンテレフタルアミド−3、4−ジフェニ
ルエーテルテレフタルアミド、ポリ−m−フェニレンイ
ソフタルアミドなどが挙げられる。例えば、PPTAは
芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸クロライドとを溶
液重合して得られる。
【0025】本発明における繊維は繊度3.3dtex以下
が好ましい。繊維長は5〜30mmが好ましく、5〜15
mmがより好ましい。繊維長が5mmより短いと、繊維同士
の絡み合いが少なく、湿式不織布あるいは耐熱性不織布
の機械的強度が弱くなってしまう。一方、30mmより長
くなると、繊維同士がよれて厚みむらを生じたり地合が
不均一になりやすい。
【0026】本発明における繊維は、チョップドファイ
バーが用いられる。実質的にはリファイナーやホモジナ
イザーなどを用いてパルプ化またはフィブリッド化され
た繊維は用いない。パルプ化またはフィブリッド化され
た繊維は繊維長が短いため、水流交絡処理しても他の繊
維と交絡しにくく、むしろせっかく絡んでいた部分が、
高圧水流によってはずれてしまい、目が粗く、機械的強
度の弱い耐熱性不織布になりやすい。さらに支持体ワイ
ヤーの目詰まりを生じる傾向があるため好ましくない。
【0027】本発明における水溶性バインダーとして
は、アルギン酸、でんぷん、カルボキシメチルセルロー
ス、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、アクリル系樹脂などが挙げられる
が、少ない添加量でも十分な湿式不織布強度が得られ、
水流交絡処理による溶出、除去効率が高いことからポリ
ビニルアルコールが好ましい。これらの水溶性バインダ
ーは、水溶液、エマルジョン、繊維の何れの形態でも用
いられる。水溶性バインダーが繊維状の場合には、水流
交絡処理による除去効率が高まるため未延伸のものが好
ましい。
【0028】本発明における水溶性バインダーの配合量
は、全繊維100重量%に対して、1〜50重量%であ
る。1重量%より少ないと、バインダー効果が小さく、
湿式不織布の乾強度が弱くなり、次工程の水流交絡処理
に支障を来しやすい。一方、50重量%より多くなる
と、水溶性バインダーの種類によっては、湿式不織布が
べたついて取り扱いに支障を来したり、水流交絡処理後
の耐熱性不織布に残留しやすくなる。
【0029】本発明における湿式不織布は湿式抄紙法に
より製造される。湿式抄紙法とは、通常、繊維を固形分
濃度が0.1〜5重量%程度になるように、分散助剤、
増粘剤等を用いて水中に均一に分散させてスラリーと
し、さらに水を加えて固形分濃度を0.1〜0.001
重量%に希釈して希薄水性スラリーとし、これを抄紙機
を用いてシート化するものである。
【0030】湿式抄紙法で用いられる抄紙機としては、
円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙機、これらの組み
合わせからなるコンビネーションマシン等が挙げられ
る。
【0031】本発明における水流交絡処理を行うに際し
ては、湿式不織布を構成する繊維の種類、繊度、配合
比、湿式不織布の坪量を考慮してノズルプレート本数、
ノズル形状、圧力、処理回数、湿式不織布の搬送速度な
どの条件を設定しなくてはならない。
【0032】ノズルプレート本数は1本でも良いが、交
絡強度を強くしやすい点で2本以上用い、さらに、ノズ
ルを2列以上配列してなるノズルプレートを1本以上用
いて水流交絡処理することが好ましい。水流交絡処理は
ノズルプレート本数を多くして1回だけ行っても良い
が、交絡強度を強くしやすく、水溶性バインダーの除去
効率が高くなりやすい点で、湿式不織布の片面に1回、
もう片面に1回という具合に少なくとも2回行うことが
好ましい。その場合、両面とも同条件で水流交絡処理し
ても良いが、最初の面を強めに処理して反対側の面を緩
めに処理する、あるいはその逆など条件を変えて処理し
ても良い。
【0033】水流を噴射するためのノズルの直径は10
〜500μmの範囲が好ましく、50〜150μmがより
好ましい。ノズルピッチは10〜1500μmが好まし
い。水流交絡処理によって湿式不織布に形成される水流
痕を目立たなくしたい場合には、ノズル径が小さく、ノ
ズルピッチが狭いほど効果的である。さらにノズルを2
列以上配列してなるノズルプレートを用いることも効果
的である。ノズルプレートは、搬送方向に対する直交方
向では、搬送中のシートの幅をカバーする範囲が必要で
ある。
【0034】本発明におけるノズル径は、ノズルプレー
トのZ方向に対して入口が広くて出口が狭いか、入口と
出口が同じ大きさであることが好ましい。入口が狭くて
出口が広い場合は、水流のエネルギー損失が相対的に大
きく、繊維に対する衝撃力が弱まり、交絡強度が弱くな
る傾向がある。一方、出口の径が入り口と同じか、入口
より狭い場合には、水流のエネルギー損失が相対的に少
なく、湿式不織布に効率よく水流が当たるため、交絡強
度が強くなる。
【0035】水流交絡処理時に湿式不織布を搬送する支
持体ワイヤーは、ステンレス製、プラスチックス製、金
属製、ゴム製何れのものを用いても良く、50〜200
メッシュのものが好ましい。
【0036】本発明における湿式不織布が、繊度1.1
dtex以下、且つ繊維長5〜30mmの繊維を31重量%以
上含有してなる場合には、少なくとも1本のノズルプレ
ートから30kgf/cm2以上の水流を噴射させて水流交絡
処理することが好ましい。
【0037】本発明における湿式不織布が、繊度1.1
dtex以下、且つ繊維長5〜30mmの繊維を31重量%未
満含有してなる場合には、少なくとも1本のノズルプレ
ートから50kgf/cm2以上の水流を噴射させて水流交絡
処理することが好ましい。
【0038】本発明においては、湿式不織布を構成する
繊維の繊度が小さいものほど、また、全芳香族ポリエス
テル繊維または全芳香族ポリアミド繊維の配合量が多く
なるほど低圧力の水流で交絡されるようになる。
【0039】本発明においては、水溶性バインダーの除
去効率を上げる目的で、高圧水流を当てる前段階で温水
または熱水を湿式不織布に当てても良い。
【0040】水流交絡処理時の湿式不織布の搬送速度
は、ノズルプレートの本数、圧力、目標とする交絡強度
によって決められ、一般的にノズルプレート本数が多
く、圧力が高いほど高速、ノズルプレート本数が少な
く、圧力が低いほど低速にするが、5〜200m/minに
設定することが好ましい。
【0041】本発明における湿式不織布の坪量は5〜1
50g/m2が好ましく、10〜80g/m2がより好ましい。
5g/m2より軽くなると、湿式不織布の単位面積および特
にZ方向の繊維の量が著しく少なくなるため、繊維同士
の接触点が少なくなり、その結果交絡強度が著しく弱く
なる傾向がある。10g/m2以上になると、湿式不織布の
単位面積およびZ方向の繊維の数が多くなるため、交絡
強度が強くなる。一方、150g/m2を超えると、湿式不
織布のZ方向の繊維の数が多くなりすぎて、湿式不織布
内層あるいは下層まで、満足に水流が到達しにくく、交
絡が不十分になりやすい。耐熱性不織布の坪量がある程
度重くなると、安定して抄紙しにくくなるため、2層抄
きにしたり、あるいは、2枚以上積層して水流交絡処理
するなどの方法で安定して製造することができる。
【0042】本発明の耐熱性不織布は、90〜230℃
で熱圧処理されることが好ましい。熱圧処理は水流交絡
処理の後に施される。処理温度が90℃未満では耐熱性
不織布の腰が弱くなりやすく、230℃より高いとフィ
ルム化したり、熱収縮してしわになりやすい。
【0043】本発明における耐熱性不織布中の水溶性バ
インダーの残留量は、200ppm未満が好ましい。20
0ppm以上になると、吸湿性が高くなり、耐熱性不織布
の寸法安定性が低下しやすい。
【0044】本発明における耐熱性不織布中の水溶性バ
インダーの残留量は、耐熱性不織布を熱水処理する前後
の絶乾重量を計測し、重量変化から求めることができ
る。さらに、水溶性バインダーの種類によっては、熱水
処理後の熱水に指示薬を添加し、呈色反応を利用するこ
とによって水溶性バインダーの存在を確認することがで
きる。
【0045】本発明における耐熱性不織布からなるプリ
ント配線板用基材は、耐熱性不織布に熱硬化性樹脂を含
浸または塗工などしてプリプレグを作製し、さらにプリ
プレグを積層一体化することによって作製される。熱硬
化性樹脂としては、電気絶縁性、耐薬品性、耐溶剤性、
耐水性、耐熱性、接着性に優れるものが用いられる。具
体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、マレイミド
樹脂、ポリイミド樹脂、イソシアネート樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、これら樹脂を2種以上配合または反応
してなる樹脂組成物、これらの熱硬化性樹脂1種以上を
ポリビニルブチラール、アクリロニトリル−ブタジエン
ゴムまたは多官能性アクリレート化合物や添加剤等で変
性したもの、架橋ポリエチレン、架橋ポリエチレン/エ
ポキシ樹脂、架橋ポリエチレン/シアネート樹脂、ポリ
フィニレンエーテル/エポキシ樹脂、ポリフェニレンエ
ーテル/エポキシ樹脂、その他の熱可塑性樹脂で変性し
た架橋硬化性樹脂などが挙げられるが、これら記述物に
限定されるものではない。
【0046】本発明における耐熱性不織布に熱硬化性樹
脂を付与させる方法としては、含浸、塗布、溶融転写法
を用いることができる。具体的には、熱硬化性樹脂を溶
剤に溶解したワニスを調製し、これを本発明の耐熱性不
織布に含浸させて乾燥する方法、溶剤を使用せずに常温
または加温下で調製した液状熱硬化性樹脂を含浸する方
法、粉体状の熱硬化性樹脂を本発明の耐熱性不織布に固
定する方法、離型性を有するフィルムやシート状物に熱
硬化性樹脂層を形成した後、これを本発明の耐熱性不織
布に溶融転写する方法などである。
【0047】本発明におけるプリント配線板用基材中の
熱硬化性樹脂量は限定されるものではないが、プリント
配線板基材全体の30〜90重量%であることが好まし
い。熱硬化性樹脂量が30重量%未満では成型不良にな
りやすく、90重量%を超えると成型が困難になる。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳説する。本
発明の内容は本実施例に限定されるものではない。尚、
%とは重量%を意味する。
【0049】<耐熱性不織布の作製>
【0050】実施例1 p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフト
エ酸の共重合体を溶融紡糸してなる全芳香族ポリエステ
ル繊維(繊度1.1dtex、繊維長10mm)100%、水
溶解温度が60℃のポリビニルアルコール繊維5%を分
散助剤とともにパルパーを用いて水中に分散させ、さら
に増粘剤を添加して均一なスラリーを調製し、傾斜型抄
紙機を用いて湿式抄紙し、坪量15g/m2の湿式不織布を
作製した。該不織布の水流交絡処理を2本のノズルプレ
ートを用いて行った。第1ヘッドに入口直径100μ
m、出口直径80μm、入口側のノズルピッチ0.6mmの
ノズルを2列有するノズルプレートを用いて20kgf/cm
2の水流を、第2ヘッドに入口直径100μm、出口直径
100μm、入口側のノズルピッチ1.2mmのノズルを
1列有するノズルプレートを用いて20kgf/cm2の水流
を噴射させて水流交絡処理した後、湿式不織布を裏返し
て再度、同条件で水流交絡処理し、ヤンキードライヤー
で乾燥させて坪量14g/m2の耐熱性不織布を作製した。
水流交絡処理時の湿式不織布の搬送速度は35m/minで
あった。作製した耐熱性不織布中のポリビニルアルコー
ル繊維の残留量は164ppmであり、ほとんど溶出、除
去されていることが確認された。
【0051】実施例2 第1および第2ヘッドからそれぞれ30kgf/cm2の水流
を噴射させて水流交絡処理した以外は実施例1と同様に
して坪量14g/m2の耐熱性不織布を作製した。作製した
耐熱性不織布中のポリビニルアルコール繊維の残留量は
152ppmであり、ほとんど溶出、除去されていること
が確認された。
【0052】実施例3 実施例1と同様にして作製した湿式不織布に対し、実施
例1で用いたノズルプレート1本を用いて50kgf/cm2
の水流を噴射させて水流交絡処理した後、湿式不織布を
裏返して再度、同条件で水流交絡処理し、ヤンキードラ
イヤーで乾燥させて坪量14g/m2の耐熱性不織布を作製
した。水流交絡処理時の湿式不織布の搬送速度は35m/
minであった。作製した耐熱性不織布中のポリビニルア
ルコール繊維の残留量は166ppmであり、ほとんど溶
出、除去されていることが確認された。
【0053】実施例4 第1および第2ヘッドからそれぞれ50kgf/cm2の水流
を噴射させて水流交絡処理した以外は実施例1と同様に
して坪量14g/m2の耐熱性不織布を作製した。作製した
耐熱性不織布中のポリビニルアルコール繊維の残留量は
155ppmであり、ほとんど溶出、除去されていること
が確認された。
【0054】実施例5 実施例4で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用い
て95℃、プレス圧30kgf/cm2の条件で熱圧処理し、
耐熱性不織布とした。
【0055】実施例6 実施例4で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用い
て140℃、プレス圧30kgf/cm2の条件で熱圧処理
し、耐熱性不織布とした。
【0056】実施例7 実施例4で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用い
て225℃、プレス圧30kgf/cm2の条件で熱圧処理
し、耐熱性不織布とした。
【0057】実施例8 p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフト
エ酸の共重合体を溶融紡糸してなる全芳香族ポリエステ
ル繊維(繊度2.8dtex、繊維長10mm)70%、実施
例1で用いた全芳香族ポリエステル繊維30%、実施例
1で用いたポリビニルアルコール繊維50%を分散助剤
とともにパルパーを用いて水中に分散させ、さらに増粘
剤を添加して均一なスラリーを調製し、傾斜型抄紙機を
用いて湿式抄紙し、坪量50g/m2の湿式不織布を作製し
た。該不織布に対し、第1および第2ヘッドからそれぞ
れ40kgf/cm2の水流を噴射させて水流交絡処理した以
外は実施例1と同様にして坪量34g/m2の耐熱性不織布
を作製した。作製した耐熱性不織布中のポリビニルアル
コール繊維の残留量は161ppmであり、ほとんど溶
出、除去されていることが確認された。
【0058】実施例9 第1および第2ヘッドからそれぞれ50kgf/cm2の水流
を噴射させて水流交絡処理した以外は実施例1と同様に
して坪量34g/m2の耐熱性不織布を作製した。作製した
耐熱性不織布中のポリビニルアルコール繊維の残留量は
148ppmであり、ほとんど溶出、除去されていること
が確認された。
【0059】実施例10 第1および第2ヘッドからそれぞれ80kgf/cm2の水流
を噴射させて水流交絡処理した以外は実施例1と同様に
して坪量34g/m2の耐熱性不織布を作製した。作製した
耐熱性不織布中のポリビニルアルコール繊維の残留量は
125ppmであり、ほとんど溶出、除去されていること
が確認された。
【0060】実施例11 第1および第2ヘッドからそれぞれ120kgf/cm2、1
00kgf/cm2の水流を噴射させて水流交絡処理した以外
は実施例1と同様にして坪量34g/m2の耐熱性不織布を
作製した。作製した耐熱性不織布中のポリビニルアルコ
ール繊維の残留量は120ppmであり、ほとんど溶出、
除去されていることが確認された。
【0061】実施例12 実施例10で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用
いて95℃、プレス圧35kgf/cm2の条件で熱圧処理
し、耐熱性不織布とした。
【0062】実施例13 実施例10で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用
いて140℃、プレス圧35kgf/cm2の条件で熱圧処理
し、耐熱性不織布とした。
【0063】実施例14 実施例10で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用
いて225℃、プレス圧35kgf/cm2の条件で熱圧処理
し、耐熱性不織布とした。
【0064】実施例15 ポリイミド繊維(繊度2.2dtex、繊維長15mm)95
%、実施例1で用いた全芳香族ポリエステル繊維5%、
酢酸ビニルの20%エマルジョン溶液5%を分散助剤と
ともにパルパーを用いて水中に分散させ、さらに増粘剤
を添加して均一なスラリーを調製し、傾斜型抄紙機を用
いて湿式抄紙し、坪量53g/m2の湿式不織布を作製し
た。該不織布に対し、第1および第2ヘッドからそれぞ
れ40kgf/cm2の水流を噴射させて水流交絡処理した以
外は実施例1と同様にして坪量50g/m2の耐熱性不織布
を作製した。作製した耐熱性不織布中のポリビニルアル
コール繊維の残留量は160ppmであり、ほとんど溶
出、除去されていることが確認された。
【0065】実施例16 第1および第2ヘッドからそれぞれ50kgf/cm2の水流
を噴射させて水流交絡処理した以外は実施例1と同様に
して坪量50g/m2の耐熱性不織布を作製した。作製した
耐熱性不織布中のポリビニルアルコール繊維の残留量は
144ppmであり、ほとんど溶出、除去されていること
が確認された。
【0066】実施例17 第1および第2ヘッドからそれぞれ100kgf/cm2、8
0kgf/cm2の水流を噴射させて水流交絡処理した以外は
実施例1と同様にして坪量50g/m2の耐熱性不織布を作
製した。作製した耐熱性不織布中のポリビニルアルコー
ル繊維の残留量は130ppmであり、ほとんど溶出、除
去されていることが確認された。
【0067】実施例18 実施例17で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用
いて95℃、プレス圧40kgf/cm2の条件で熱圧処理
し、耐熱性不織布とした。
【0068】実施例19 実施例17で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用
いて140℃、プレス圧40kgf/cm2の条件で熱圧処理
し、耐熱性不織布とした。
【0069】実施例20 実施例17で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用
いて225℃、プレス圧40kgf/cm2の条件で熱圧処理
し、耐熱性不織布とした。
【0070】実施例21 全芳香族ポリエステル繊維(繊度2.8dtex、繊維長1
0mm)70%、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド
を乾湿式紡糸してなる全芳香族ポリアミド繊維(繊度
1.7dtex、繊維長10mm)30%、実施例1で用いた
ポリビニルアルコール繊維10%を分散助剤とともにパ
ルパーを用いて水中に分散させ、さらに増粘剤を添加し
て均一なスラリーを調製し、傾斜型抄紙機を用いて湿式
抄紙し、坪量44g/m2の湿式不織布を作製した。該不織
布を2枚積層し、第1および第2ヘッドからそれぞれ4
0kgf/cm2の水流を噴射させて水流交絡処理した以外は
実施例1と同様にして坪量80g/m2の耐熱性不織布を作
製した。作製した耐熱性不織布中のポリビニルアルコー
ル繊維の残留量は170ppmであり、ほとんど溶出、除
去されていることが確認された。
【0071】実施例22 第1および第2ヘッドからそれぞれ50kgf/cm2の水流
を噴射させて水流交絡処理した以外は実施例1と同様に
して、坪量80g/m2の耐熱性不織布を作製した。作製し
た耐熱性不織布中のポリビニルアルコール繊維の残留量
は157ppmであり、ほとんど溶出、除去されているこ
とが確認された。
【0072】実施例23 第1および第2ヘッドからそれぞれ100kgf/cm2の水
流を噴射させて水流交絡処理した以外は実施例1と同様
にして坪量80g/m2の耐熱性不織布を作製した。作製し
た耐熱性不織布中のポリビニルアルコール繊維の残留量
は136ppmであり、ほとんど溶出、除去されているこ
とが確認された。
【0073】実施例24 第1および第2ヘッドからそれぞれ150kgf/cm2の水
流を噴射させて水流交絡処理した以外は実施例1と同様
にして坪量80g/m2の耐熱性不織布を作製した。作製し
た耐熱性不織布中のポリビニルアルコール繊維の残留量
は125ppmであり、ほとんど溶出、除去されているこ
とが確認された。
【0074】実施例25 実施例23で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用
いて95℃、プレス圧40kgf/cm2の条件で熱圧処理
し、耐熱性不織布とした。
【0075】実施例26 実施例23で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用
いて140℃、プレス圧40kgf/cm2の条件で熱圧処理
し、耐熱性不織布とした。
【0076】実施例27 実施例23で作製した耐熱性不織布を熱カレンダーを用
いて225℃、プレス圧40kgf/cm2の条件で熱圧処理
し、耐熱性不織布とした。
【0077】比較例1 ポリイミド繊維(繊度2.2dtex、繊維長15mm)10
0%、水溶解温度60℃のポリビニルアルコール繊維5
%を分散助剤とともにパルパーを用いて水中に分散さ
せ、さらに増粘剤を添加して均一なスラリーを調製し、
傾斜型抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量42g/m2の湿式
不織布を作製した。該不織布の水流交絡処理を2本のノ
ズルプレートを用いて行った。第1ヘッドに入口直径1
00μm、出口直径80μm、ノズルピッチ0.6mmのノ
ズルを2列有するノズルプレートを用いて60kgf/cm2
の水流を、第2ヘッドに入口直径100μm、出口直径
80μm、ノズルピッチ1.2mmのノズルを1列有する
ノズルプレートを用いて60kgf/cm2の水流を噴射させ
て水流交絡処理した後、湿式不織布を裏返して再度、同
条件で水流交絡処理し、ヤンキードライヤーで乾燥させ
て坪量40g/m2の耐熱性不織布を作製した。水流交絡処
理時の湿式不織布の搬送速度は20m/minであった。作
製した耐熱性不織布中の酢酸ビニルの残留量は188pp
mであり、ほとんど溶出、除去されていることが確認さ
れた。
【0078】比較例2 実施例1と同様にして湿式抄紙し、作製した坪量15g/
m2の湿式不織布をそのまま耐熱性不織布とした。
【0079】比較例3 実施例1で用いた全芳香族ポリエステル繊維80%、ポ
リプロピレンとポリエチレンからなる熱融着性繊維(繊
度2.2dtex、繊維長5mm)20%を分散助剤とともに
パルパーを用いて水中に分散させ、傾斜型抄紙機を用い
て湿式抄紙し、坪量40g/m2の湿式不織布を作製した。
該不織布の水流交絡処理を2本のノズルプレートを用い
て行った。第1ヘッドに入口直径100μm、出口直径
80μm、入口側のノズルピッチ0.6mmのノズルを2
列有するノズルプレートを用いて80kgf/cm2の水流
を、第2ヘッドに入口直径100μm、出口直径100
μm、入口側のノズルピッチ1.2mmのノズルを1列有
するノズルプレートを用いて80kgf/cm2の水流を噴射
させて水流交絡処理した後、湿式不織布を裏返して同条
件で再び水流交絡処理し、ヤンキードライヤーで乾燥さ
せて坪量40g/m2の耐熱性不織布を作製した。水流交絡
処理時の湿式不織布の搬送速度は15m/minであった。
【0080】比較例4 実施例21で用いた全芳香族ポリエステル繊維をリファ
イナーで叩解し、カナダ標準型濾水度が300mlのパル
プ状物を作製した。実施例21で用いた全芳香族ポリエ
ステル繊維70%と本比較例で作製したパルプ状物30
%を分散助剤とともにパルパーを用いて水中に分散さ
せ、傾斜型抄紙機を用いて湿式抄紙し、坪量40g/m2
湿式不織布を作製した。
【0081】<プリプレグの作製>
【0082】2、2−ビス(4−シアナトフェニル)プ
ロパン900%とビス(4−マレイミドフェニル)メタ
ン100%を150℃で130分間予備反応させ、その
生成物をメチルエチルケトンとN、N−ジメチルホルム
アミドの混合溶媒に溶解させた。さらにビスフェノール
Aエポキシ樹脂(エポキシ当量、450〜500)70
0%とオクチル酸亜鉛0.02%を溶解させ、ワニスを
得た。このワニスを実施例1〜27および比較例1〜4
で作製した耐熱性不織布に含浸させ、乾燥してプリプレ
グを作製した。
【0083】<プリント配線板用基材の作製>上記<プ
リプレグの作製>に記した方法で得たプリプレグを5枚
重ね、両面に厚み25μmの銅箔を重ね、ステンレスス
チール製鏡面板で挟み、50kgf/cm2、180℃で2時
間熱圧成型し、プリント配線板用基材を作製した。
【0084】実施例1〜27および比較例1〜4で作製
した耐熱性不織布について、下記の試験方法により測定
し、その結果を表1および表2に示した。
【0085】<引張強度>耐熱性不織布を抄紙方向に平
行になるように50mm幅の短冊状に10本切りそろえ、
引張試験機を用いて100mm/minの速度で試験片を引張
り、試験片が破断したときの引張強度を測定し、平均値
を求めた。
【0086】<吸湿率>耐熱性不織布を100mm×10
0mmに切りそろえ、40℃、90%RHの雰囲気に10
日間放置し、耐熱性不織布の重量を測定し、予め測定し
ておいた絶乾重量を減じて水分量を求め、全重量に対す
る水分の割合を吸湿率(%)として評価した。吸湿率が
低いものほど良い。
【0087】<樹脂含浸性>耐熱性不織布を20mm×1
00mmに切りそろえた。この試験片の下端から10mmま
でをビスマスレイイミド−トリアジン樹脂のメチルエチ
ルケトン溶液(固形分濃度60%)に浸し、60秒後に
試験片を上昇した樹脂液面の高さを測定し、樹脂含浸性
として評価した。この高さが高いほど樹脂含浸性が良
い。
【0088】実施例1〜27および比較例1〜4で作製
したプリント配線板用基材について、下記の試験方法に
より測定し、その結果を表3および表4に示した。
【0089】<樹脂量>作製したプリプレグ重量から樹
脂含浸前の耐熱性不織布の重量を引いて、耐熱性不織布
に含浸された樹脂量を求めた。
【0090】<ハンダ耐熱性>作製したプリント配線板
用基材から50m×50mmの正方形に試料を切り出し、
エッチング法により銅箔の3/4を除去し、充分水洗し
た後、120℃で1時間乾燥し、沸水中で5時間処理し
た後、260℃のハンダ浴に180秒間浸漬し、ハンダ
耐熱性を評価した。試料に膨れやカールがない場合を
○、膨れやカールが発生し、実用に支障を来す場合を
×、まれに膨れやカールが発生する場合を△とした。
【0091】<熱膨張率>作製したプリント配線板用基
材をIPC FC241法に準拠し、150℃、30分
処理したときの熱膨張率を求めた。熱膨張率が小さい程
良い。
【0092】<絶縁破壊電圧>JIS C2120に準
拠し、JIS C2320規定の絶縁油2号中で測定し
た。絶縁破壊電圧が高い程良い。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】評価:表1および表2の結果から明らかな
ように、実施例1〜27で作製した耐熱性不織布は、パ
ルプ状物およびフィブリッドを含まないため、機械的強
度が強く、樹脂含浸性に優れていた。特に実施例5〜
7、12〜14、18〜20、25〜27で作製した耐
熱性不織布は、90〜230℃で熱圧処理されてなるた
め、薄くて機械的強度が強かった。実施例1〜7で作製
した耐熱性不織布のように、繊度1.1dtex以下、且つ
繊維長5〜30mmの繊維を31重量%以上含有してなる
場合には、少なくとも1本のノズルプレートから30kg
f/cm2以上の水流を噴射させて水流交絡処理することに
よって機械的強度に優れる耐熱性不織布が得られた。実
施例8〜24で作製した耐熱性不織布のように、繊度
1.1dtex以下、且つ繊維長5〜30mmの繊維を31重
量%未満含有してなる場合には、少なくとも1本のノズ
ルプレートから50kgf/cm2以上の水流を噴射させて水
流交絡処理することによって機械的強度に優れる耐熱性
不織布が得られた。
【0098】実施例1〜14で作製した耐熱性不織布
は、実質的に全芳香族ポリエステル繊維からなるため吸
湿率が著しく低く、該不織布からなるプリント配線板用
基材のハンダ耐熱性、熱膨張率、絶縁破壊電圧の何れも
優れており、寸法安定性に優れていた。
【0099】実施例15〜20で作製した耐熱性不織布
は、全芳香族ポリエステル繊維の含有量が5重量%と少
ないため、実施例1〜14で作製した耐熱性不織布より
も吸湿率が高めではあったが、該耐熱性不織布からなる
プリント配線板用基材はハンダ耐熱性に優れていた。
【0100】実施例21〜27で作製した耐熱性不織布
は、全芳香族ポリアミド繊維を含有してなるため、機械
的強度が強めであった。
【0101】同配合、同坪量の耐熱性不織布において、
実施例3で作製した耐熱性不織布のように、水流交絡処
理にノズルプレートを1本しか使用しなかった場合は、
機械的強度がやや弱めであった。一方、ノズルプレート
を2本以上用い、ノズルを2列以上配列してなるノズル
プレートを1本以上用いた場合は、耐熱性不織布の機械
的強度が強くなる傾向が見られた。また、同程度の坪量
である実施例1〜7と比較例1を比較すると、実施例1
〜7のように水流交絡処理して作製された耐熱性不織布
の方が機械的強度が強くなった。さらに90〜230℃
で熱圧処理されることによって機械的強度がより強くな
った。
【0102】比較例1で作製した耐熱性不織布は、全芳
香族ポリエステル繊維を全く含有しないため、吸湿率が
高く、該不織布からなるプリント基板用基材はハンダ耐
熱性に問題が生じた。
【0103】比較例2で作製した耐熱性不織布は、水流
交絡処理しなかったため、水溶性バインダーが残留して
おり、吸湿率が高く、該不織布からなるプリント基板用
基材はハンダ耐熱性に問題が生じた。
【0104】比較例3で作製した耐熱性不織布は、水溶
性バインダーの代わりに低融点の熱融着性繊維を含有し
てなるため、水流交絡処理しても溶出せず、該不織布か
らなるプリント基板用基材はハンダ耐熱性、熱膨張率、
絶縁破壊電圧で問題が生じた。
【0105】比較例4で作製した耐熱性不織布は、パル
プ状の全芳香族ポリエステル繊維を含有してなるため、
同坪量でパルプ状物を含まない場合に較べて機械的強度
が弱かった。
【0106】
【発明の効果】本発明によれば、実施例に示したごと
く、機械的強度が強く、樹脂含浸性に優れる耐熱性不織
布、ハンダ耐熱性などの耐熱性、寸法安定性に優れるプ
リント配線板用基材を作製することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 13/24 D21H 13/24 H05K 1/03 610 H05K 1/03 610T (72)発明者 松岡 昌伸 東京都千代田区丸の内3丁目4番2号 三 菱製紙株式会社内 (72)発明者 兵頭 建二 東京都千代田区丸の内3丁目4番2号 三 菱製紙株式会社内 (72)発明者 西面 憲二 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株 式会社クラレ内 Fターム(参考) 4F072 AJ40 AK05 AK20 AL13 4L047 AA16 AA22 AA28 AB02 AB08 AB10 BA04 BA09 BA21 BA24 BB03 CA15 CB05 CB10 CC14 DA00 4L055 AF21 AF33 AF34 AF35 AG64 AG97 AH37 BE02 BE20 EA04 EA16 EA20 EA23 EA25 FA11 FA18 FA19 GA02 GA33 GA37

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全芳香族ポリエステル繊維5〜100重
    量%、融点または熱分解温度が250℃以上である有機
    繊維95〜0重量%、水溶性バインダー1〜50重量%
    からなる湿式不織布を水流交絡処理して水溶性バインダ
    ーを溶出させ、且つ該繊維同士を三次元的に交絡させて
    耐熱性不織布を作製することを特徴とする耐熱性不織布
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 融点または熱分解温度が250℃以上で
    ある有機繊維が、全芳香族ポリアミド繊維であることを
    特徴とする請求項1記載の耐熱性不織布の製造方法。
  3. 【請求項3】 水溶性バインダーがポリビニルアルコー
    ル繊維である請求項1記載の耐熱性不織布の製造方法。
  4. 【請求項4】 水流を噴射するノズルプレートを2本以
    上用い、且つ、ノズルを2列以上配列してなるノズルプ
    レートを1本以上用いて水流交絡処理することを特徴と
    する請求項1記載の耐熱性不織布の製造方法。
  5. 【請求項5】 繊度1.1dtex以下、且つ繊維長5〜3
    0mmの繊維を31重量%以上含有してなる湿式不織布を
    水流交絡処理するに際し、少なくとも1本のノズルプレ
    ートから30kgf/cm2以上の水流を噴射させて水流交絡
    処理することを特徴とする請求項1または4記載の耐熱
    性不織布の製造方法。
  6. 【請求項6】 繊度1.1dtex以下、且つ繊維長5〜3
    0mmの該繊維を31重量%未満含有してなる湿式不織布
    を水流交絡処理するに際し、少なくとも1本のノズルプ
    レートから50kgf/cm2以上の水流を噴射させて水流交
    絡処理することを特徴とする請求項1または4記載の耐
    熱性不織布の製造方法。
  7. 【請求項7】 耐熱性不織布を90〜230℃で熱圧処
    理することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記
    載の耐熱性不織布の製造方法。
  8. 【請求項8】 耐熱性不織布中の水溶性バインダーの残
    留量が、200ppm未満であることを特徴とする請求項
    1記載の耐熱性不織布の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8に記載の方法で製造された
    ことを特徴とする耐熱性不織布。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8に記載の方法で製造され
    た耐熱性不織布からなることを特徴とするプリント配線
    板用基材。
JP37400199A 1999-12-28 1999-12-28 耐熱性不織布およびその製造方法ならびに耐熱性不織布からなるプリント配線板用基材 Pending JP2001192955A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37400199A JP2001192955A (ja) 1999-12-28 1999-12-28 耐熱性不織布およびその製造方法ならびに耐熱性不織布からなるプリント配線板用基材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37400199A JP2001192955A (ja) 1999-12-28 1999-12-28 耐熱性不織布およびその製造方法ならびに耐熱性不織布からなるプリント配線板用基材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001192955A true JP2001192955A (ja) 2001-07-17

Family

ID=18503112

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP37400199A Pending JP2001192955A (ja) 1999-12-28 1999-12-28 耐熱性不織布およびその製造方法ならびに耐熱性不織布からなるプリント配線板用基材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001192955A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006077789A1 (ja) * 2005-01-18 2006-07-27 Asahi Kasei Chemicals Corporation ポリケトン繊維紙、プリント配線基板用ポリケトン繊維紙芯材およびプリント配線基板
WO2019031506A1 (ja) * 2017-08-10 2019-02-14 東レ・デュポン株式会社 ポリイミド繊維紙
JP2020002505A (ja) * 2018-06-29 2020-01-09 日本バイリーン株式会社 構造体
JPWO2020171061A1 (ja) * 2019-02-19 2020-08-27

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006077789A1 (ja) * 2005-01-18 2006-07-27 Asahi Kasei Chemicals Corporation ポリケトン繊維紙、プリント配線基板用ポリケトン繊維紙芯材およびプリント配線基板
JPWO2006077789A1 (ja) * 2005-01-18 2008-06-19 旭化成ケミカルズ株式会社 ポリケトン繊維紙、プリント配線基板用ポリケトン繊維紙芯材およびプリント配線基板
WO2019031506A1 (ja) * 2017-08-10 2019-02-14 東レ・デュポン株式会社 ポリイミド繊維紙
JP2019035157A (ja) * 2017-08-10 2019-03-07 東レ・デュポン株式会社 ポリイミド繊維紙
US11230810B2 (en) 2017-08-10 2022-01-25 Du Pont-Toray Co., Ltd. Polyimide fiber sheet
JP2020002505A (ja) * 2018-06-29 2020-01-09 日本バイリーン株式会社 構造体
JP7107770B2 (ja) 2018-06-29 2022-07-27 日本バイリーン株式会社 構造体
JPWO2020171061A1 (ja) * 2019-02-19 2020-08-27
WO2020171061A1 (ja) * 2019-02-19 2020-08-27 東レ・デュポン株式会社 非熱可塑性高分子を利用したポリイミド繊維紙

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1500743B1 (en) Heat-resistant synthetic fiber sheet
US5002637A (en) Composite material reinforced by para-oriented aramide fiber sheet and process for preparing the same
US6319605B1 (en) Heat-resistant fiber paper
JP3401381B2 (ja) 芳香族ポリアミド繊維紙及び該芳香族ポリアミド繊維紙からなるプリプレグ並びに積層板
KR100601061B1 (ko) 완전 방향족 폴리아미드 섬유 합성 종이 시이트
EP1840263A1 (en) Polyketone fiber paper, polyketone fiber paper core material for printed wiring board and printed wiring board
US5173359A (en) Composite material for electrical applications reinforced by para-oriented aramide fibrous substance and process for preparing same
JP2001192955A (ja) 耐熱性不織布およびその製造方法ならびに耐熱性不織布からなるプリント配線板用基材
JP4017769B2 (ja) プリント配線基板基材およびその製造方法
WO2001007713A1 (en) Wholly aromatic polyamide fiber paper and laminated sheet therefrom
KR100522480B1 (ko) 인쇄배선기판용부직보강재및그의제조방법
JP2003192809A (ja) 耐熱絶縁性シート
JP2001181951A (ja) 耐熱性不織布およびその製造方法ならびに耐熱性不織布からなるプリント配線板用基材
JP2006022433A (ja) 電気絶縁用基材とその製造方法、および同基材を用いたプリプレグとプリント配線用基板
US20080105395A1 (en) Polyketone Fiber Paper, Polyketone Fiber Paper Core Material For Printed Wiring Board, And Printed Wiring Board
JP3484455B2 (ja) 芳香族ポリアミド繊維紙
JP3026379B2 (ja) 耐熱シートおよびその製造法
JP2002317392A (ja) ポリパラフェニレンテレフタルアミド紙の製造方法及びプリント回路基板の製造方法
JP3588423B2 (ja) 耐熱性繊維紙及びその製造方法並びに該耐熱性繊維紙を用いたプリプレグ
JP2001248091A (ja) 高耐熱・高難燃性有機繊維紙および該繊維紙を用いた複合材料
JP3475234B2 (ja) 芳香族ポリアミド繊維紙
JP2003213592A (ja) 積層板用不織布の製造方法および不織布
JP2000228115A (ja) 電気絶縁紙
RU2363800C2 (ru) Бумага из поликетоновых волокон, материал сердцевины на основе бумаги из поликетоновых волокон для печатных монтажных плат и печатные монтажные платы
JPS5956309A (ja) 電気絶縁材の製造法