JP2001191821A - 無段変速機を備えた車両の加速度制御装置 - Google Patents

無段変速機を備えた車両の加速度制御装置

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JP2001191821A
JP2001191821A JP2000005324A JP2000005324A JP2001191821A JP 2001191821 A JP2001191821 A JP 2001191821A JP 2000005324 A JP2000005324 A JP 2000005324A JP 2000005324 A JP2000005324 A JP 2000005324A JP 2001191821 A JP2001191821 A JP 2001191821A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加速度フィードバック制御系の安定性と目標
追従性を向上させる。 【解決手段】 車速Vwを入力とし車両の加速度推定値
αwfを出力とするバンドパスフィルター23の伝達関数
を状態ベクトル表現に変換して制御対象のプラントモデ
ル21に組み込み、目標加速度αw*に対して加速度推
定値αwfをフィードバックするとともに、バンドパスフ
ィルター23の特性を表す内部状態変数xf1、xf2をフ
ィードバックする加速度フィードバック制御系を構築
し、加速度推定値αwfを目標加速度αw*に一致させる
ための無段変速機の目標変速比Ip*と入力側回転部材
の目標入力トルクTp*とを演算する。これにより、バ
ンドパスフィルターの特性を加減速制御用フィードバッ
ク補償器の設計に直接、反映でき、加速度フィードバッ
ク制御系の安定性と目標追従性を向上させることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機を備え
た車両の加速度を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】アクセルペダルの踏み込み量に応じた目
標加速度を設定するとともに、車速を微分して車両の加
速度を推定し、加速度推定値が目標加速度に一致するよ
うにフィードバック制御し、変速したり道路勾配や積載
荷重が変化してもアクセルペダルの踏み込み量に応じた
一定の加速度が得られるようにした加速度制御装置が知
られている(例えば、特開平06−017684号公報
参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車速検出値
にバンドパスフィルター処理を施し、車速検出値の低周
波数成分を微分して加速度推定値を求めるとともに、車
速検出値の高周波数成分をカットして計測ノイズを削除
することが考えられる。
【0004】しかし、バンドパスフィルターから出力さ
れる加速度推定値をフィードバックして加速度制御を行
うと、実際の車両加速度に対する位相遅れや必要な周波
数帯の情報が欠落するために、加速度フィードバック制
御系の安定性が低下して目標加速度への追従性が悪くな
るという問題がある。
【0005】本発明の目的は、加速度フィードバック制
御系の安定性と目標追従性を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】一実施の形態の構成を示
す図6および図13に対応づけて本発明を説明すると、 (1) 請求項1の発明は、車速を検出する車速検出手
段と、目標加速度を設定する目標加速度設定手段と、車
速Vwを入力とし車両の加速度推定値αwfを出力とする
バンドパスフィルター23の伝達関数を状態ベクトル表
現に変換して制御対象のプラントモデル21に組み込
み、目標加速度αw*に対して加速度推定値αwfをフィー
ドバックするとともに、バンドパスフィルター23の特
性を表す内部状態変数xf1、xf2をフィードバックする
加速度フィードバック制御系を構築し、加速度推定値α
wfを目標加速度αw*に一致させるための無段変速機の目
標変速比Ip*と入力側回転部材の目標入力トルクTp*
を演算する演算手段と、無段変速機の入力側回転部材の
目標入力トルクTp*にしたがってエンジントルクを制御
するエンジントルク制御手段と、無段変速機の目標変速
比Ip*にしたがって無段変速機を制御する変速比制御手
段とを備える。 (2) 請求項2に発明は、無段変速機の入力側回転部
材の目標入力トルクTp*に応じた入力側回転部材の目標
回転速度ωp*を設定する目標回転速度設定手段と、無段
変速機の入力側回転部材の回転速度ωpを検出する回転
速度検出手段と、無段変速機の入力側回転部材の目標回
転速度ωp*と回転速度検出値ωpとの偏差の積分値Zを
演算する回転速度偏差積分手段25,26とを備え、演
算手段によって、目標回転速度設定手段、回転速度検出
手段および回転速度偏差積分手段25,26を制御対象
のプラントモデル21にさらに組み込み、加速度推定値
αwfとバンドパスフィルター23の内部状態変数xf1、
xf2のフィードバックに加え、無段変速機の入力側回転
部材の回転速度偏差積分値Zをフィードバックするよう
にしたものである。
【0007】上述した課題を解決するための手段の項で
は、説明を分かりやすくするために一実施の形態の図を
用いたが、これにより本発明が一実施の形態に限定され
るものではない。
【0008】
【発明の効果】(1) 請求項1の発明によれば、車速
を入力とし車両の加速度推定値を出力とするバンドパス
フィルターの伝達関数を状態ベクトル表現に変換して制
御対象のプラントモデルに組み込み、目標加速度に対し
て加速度推定値をフィードバックするとともに、バンド
パスフィルターの特性を表す内部状態変数をフィードバ
ックする加速度フィードバック制御系を構築し、加速度
推定値を目標加速度に一致させるための無段変速機の目
標変速比と入力側回転部材の目標入力トルクとを演算す
るようにしたので、バンドパスフィルターの特性を加減
速制御用フィードバック補償器の設計に直接、反映で
き、加速度フィードバック制御系の安定性と目標追従性
を向上させることができる。 (2) 請求項2の発明によれば、無段変速機の入力側
回転部材の回転速度偏差を積分するモデルを制御対象の
プラントモデルにさらに組み込み、加速度推定値とバン
ドパスフィルターの内部状態変数のフィードバックに加
え、無段変速機の入力側回転部材の回転速度偏差積分値
をフィードバックするようにしたので、エンジントルク
Teとエンジン回転速度ωeのゲインka(=ωe/Te)
を、加減速制御用フィードバック補償器の設計に直接、
反映でき、無段変速機の入力側回転部材の回転速度を安
定させることができる。そして、加速度フィードバック
制御系の安定性と目標追従性をさらに向上させることが
できる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は一実施の形態の構成を示す
図である。一実施の形態の車両のパワートレインはエン
ジン1、ロックアップクラッチ付きトルクコンバーター
2および無段変速機(CVT)3から構成される。エン
ジン1は、電子制御式スロットルバルブアクチュエータ
ー(不図示)による吸入空気量制御と、インジェクター
(不図示)による燃料噴射制御と、点火装置(不図示)
による点火時期制御とにより、エンジントルクが制御さ
れる。
【0010】ロックアップクラッチ付きトルクコンバー
ター2のロックアップクラッチは、極低速域でのみ開放
して停車と発進とを可能にし、さらに振動をダンピング
する。一方、中高速域ではロックアップクラッチを締結
して伝達効率を向上させる。無段変速機3は、ベルトを
張るプライマリープーリーとセカンダリープーリーの有
効半径を油圧機構(不図示)で調節して変速比を可変に
する。なお、無段変速機3はベルト式に限定されず、例
えばトロイダル式でもよい。
【0011】加減速度コントローラー4、エンジントル
クコントローラー5およびCVT&クラッチコントロー
ラー6はそれぞれ、マイクロコンピューターとROM、
RAM、A/Dコンバーター、各種タイマーなどの周辺
回路や、通信回路、各種アクチュエーターの駆動回路な
どを備え、互いに高速通信線13を介して通信を行う。
【0012】加減速度コントローラー4は、車速検出値
にバンドパスフィルター処理を施して車両の加速度を推
定し、加速度推定値をフィードバックして加速度フィー
ドバック制御を行う。加減速度コントローラー4には、
アクセルペダルの踏み込み量(以下、アクセル開度と呼
ぶ)Apoを検出するアクセルセンサー7と、駆動輪14
の周速(以下、車輪速と呼ぶ)Vwを検出するための車
輪速センサー8とが接続される。
【0013】エンジントルクコントローラー5は、吸入
空気量制御、燃料噴射制御および点火時期制御によりエ
ンジン1のトルクを制御する。エンジントルクコントロ
ーラー5には、エンジン1の回転速度ωeを検出するた
めのクランク角センサー9が接続される。CVT&クラ
ッチコントローラー6は、油圧機構(不図示)を制御し
て無段変速機3の変速比を制御する。CVT&クラッチ
コントローラー6には無段変速機3のプライマリープー
リーの回転速度ωpを検出するためのプライマリー速度
センサー10と、セカンダリープーリーの回転速度ωs
を検出するためのセカンダリー速度センサー11とが接
続される。
【0014】図2は、一実施の形態の加速度制御プログ
ラムを示すフローチャートである。このフローチャート
により、一実施の形態の動作を説明する。加減速度コン
トローラー4のマイクロコンピューターは、所定の時間
間隔、例えば10msecごとにこの制御プログラムを実行
する。ステップ1において、アクセルセンサー7からア
クセル開度Apoを読み込む。
【0015】ステップ2では、車輪速センサー8からの
パルス信号を計測してタイヤの有効半径Rに対する駆動
輪14の車輪速Vwを検出する。この実施の形態では、
駆動輪14の車輪速Vwが車速に等しいとする。続くス
テップ3で、CVT&クラッチコントローラー6から高
速通信線13を介して無段変速機3のプライマリープー
リーの回転速度ωp、セカンダリープーリーの回転速度
ωsおよび変速比Ip(=ωp/ωs)を読み込むととも
に、エンジントルクコントローラー5から高速通信線1
3を介してエンジン1の回転速度ωeを読み込む。
【0016】ステップ4において、アクセル開度Apoと
車輪速Vwとに基づいて駆動輪14の目標加速度αw*
演算する。この実施の形態では、駆動輪14の目標加速
度αw*が車両の目標加速度に等しいとする。具体的に
は、図3に示すようなアクセル開度Apoと車輪速Vwに
対する目標加速度αw*のマップを設定しておき、検出し
たアクセル開度Apoと車輪速Vwに対する目標加速度αw
*を表引き演算する。なお、目標加速度αw*の設定方法
はこの実施の形態の設定方法に限定されず、例えばアク
セル開度Apoのみに応じて目標加速度αw*を設定するよ
うにしてもよい。
【0017】ステップ5では、車輪速Vwにバンドパス
フィルター処理を施して加速度推定値αwfを演算する。
以下、加速度推定値αwfの演算方法を説明する。
【0018】まず、車輪速Vwを入力とし加速度推定値
αwfを出力とする連続時間系の伝達関数Gbp(s)を次の
ように記述する。
【数1】 数式1において、sはラプラス演算子、ωnは固有角周
波数、ζnは減衰率であり、ωnとζnは車輪速検出値Vw
に含まれるノイズレベルに応じて決定する。
【0019】次に、この伝達関数Gbp(s)を状態ベクト
ルによる表現に変換すると、図4に示すブロック線図で
表され、状態変数ベクトルXfを用いた状態方程式と出
力方程式は次のように記述される。
【数2】 d(Xf)/dt=Af・Xf+Bf・Vw, αwf=Cf・Xf+Df・Vw ・・・(2) 数式2において、Af、Bf、Cf、Dfは固有角周波数ω
nや減衰率ζnから決まる定数行列である。状態変数ベク
トルXfはバンドパスフィルターの特性を表す変数であ
り、この実施の形態ではバンドパスフィルターを数式1
に示す二次式の伝達関数としているので、状態変数ベク
トルXfは2個の要素xf1、xf2を有している。
【0020】バンドパスフィルターの出力である加速度
推定値αwf以外に、バンドパスフィルターの内部状態変
数ベクトルXfを算出する場合に、加速度制御用状態フ
ィードバック補償器の設計を連続時間系で行うため、連
続時間系の状態方程式と出力方程式の形で演算を行う。
積分演算をオイラー積分とすると、上記数式2の状態方
程式と出力方程式を、実際にマイクロコンピューターの
ソフトウエアで実行可能な差分方程式として次のように
表すことができる。
【数3】 Xf(k)=Xf(k-1)+Tsmp{Af・Xf(k-1)+Bf・Vw(k)}, αwf(k)=Cf・Xf(k)+Df・Vw(k) ・・・(3) 数式3において、Tsmpはサンプリング周期であり、こ
の実施の形態では10msecである。また、(k)は現在
値、(k−n)はnサンプリング前の値を示す。この数
式3を実行して加速度推定値αwfを求める。
【0021】ステップ6では、目標エンジントルクTe*
から実際のエンジントルクTeまでを簡易な一次遅れモ
デルとし、目標エンジントルクTe*に対するエンジント
ルクTeを推定する。まず、目標エンジントルクTe*
らエンジントルクTeまでの連続時間系の伝達関数Geng
を次のように記述する。
【数4】 数式4において、Tengは時定数である。
【0022】数式4をタスティン近似などで離散化し、
実際にマイクロコンピューターのソフトウエアで実行可
能な差分方程式を求めて実行する。
【数5】 Te(k)=TEN0・Te*(k)+TEN1・Te*(k-1)+TED1・Te(k-1)・・・(5) 数式5において、TEN0、TEN1、TED1は、時定数Teng
およびサンプリング周期Tsmpから決まる定数である。
なお、後述するステップ8において目標エンジントルク
Te*を演算して更新するまでは、前回このプログラムを
実行したときに演算した値をTe*に代入する。
【0023】ステップ7では、予め設定したエンジン運
転点拘束線マップ(図5参照)からエンジントルク推定
値Teに対応するエンジン回転速度ωeを表引き演算す
る。エンジン運転点拘束線マップ図5において、正のト
ルク域ではエンジン最適燃費(効率)運転線を拘束線と
して用い、負のトルク域ではエンジンブレーキ特性線を
拘束線として用いる。なお、エンジン最適燃費運転線は
エンジン等出力線上の最も燃料消費量が少ないエンジン
運転点を連ねた特性線である。また、エンジンブレーキ
特性線はスロットルバルブ全閉で、且つ燃料カット時の
エンジン運転点であり、このエンジンブレーキ特性線に
沿って制御することにより、無段変速機3のダウンシフ
ト時のエンジンブレーキ制御を可能にする。
【0024】この実施の形態では、トルクコンバーター
2のロックアップクラッチが締結された状態のみを考え
るので、エンジン回転速度ωeは無段変速機3のプライ
マリープーリーの回転速度ωpに等しい。そこで、図5
のマップから表引き演算して求めたエンジン回転速度ω
eを目標プライマリー回転速度ωp*とする。そして、目
標プライマリー回転速度ωp*と実際のプライマリープー
リーの回転速度ωpとの偏差を積分した値Zを算出す
る。
【数6】 Z(k)=Z(k-1)+Tsmp{ωp*(k)−ωp(k)} ・・・(6)
【0025】ステップ8では、加減速制御用フィードバ
ック補償器の演算を行う。この実施の形態では、実用的
な線形制御手法の一つであるモデルフォローイング制御
手法を用いる。以下にその制御系設計手法を説明する。
【0026】まず、制御系設計用のプラントモデルの導
出を行う。この実施の形態では、図6に示すように、実
際の車両モデル22に、上述したバンドパスフィルター
モデル23と、上述した無段変速機3のプライマリープ
ーリー回転速度の偏差積分モデル(状態変数Z)24〜
26とを結合して拡大系モデルを形成し、これを制御系
設計用プラントモデル21とする。なお、図7に車両モ
デル22の制御ブロック図を示す。
【0027】図6において、車両モデル22(図7参
照)の内部状態変数である無段変速機プライマリープー
リーの入力トルクTp、無段変速機3の変速比Ipおよび
車輪速Vwと、プライマリープーリーの回転速度偏差積
分値Zと、バンドパスフィルター23の内部状態変数x
f1、xf2を後述する加速度補償器へフィードバックす
る。なお、ロックアップクラッチ締結時には、無段変速
機3のプライマリープーリー入力トルクTpはエンジン
トルクTeに等しい。また、図7において、Tineはイナ
ーシャトルク、Mは車両質量、Rはタイヤの有効半径、
Ifはファイナルギア比、T1はエンジントルク系時定
数、T2は変速比系時定数、J1はエンジン1から無段変
速機3のプライマリープーリーまでのイナーシャであ
る。
【0028】なお、無段変速機プライマリープーリーの
回転速度偏差積分モデルは、図5に示すエンジン運転点
拘束線特性マップ24を特定点で線形近似した次式を用
いる。
【数7】 dZ/dt=ka・Tp−ωp ・・・(7) 数式7において、Tpは無段変速機3の入力トルクであ
り、kaは図5に示すエンジン運転点拘束線の傾き、す
なわちka=ωe/Teである。
【0029】拡大系モデルを、図8に示す状態ベクトル
を用いたブロック線図で表し、連続時間系の状態方程式
および出力方程式の形で次のように記述する。ただし、
この実施の形態ではトルクコンバーター2のロックアッ
プクラッチの締結状態のみを考えるので、無段変速機3
の入力トルクTpはエンジントルクTeに等しいとする。
【数8】 数式8において、入力数2、出力数1、状態数6であ
り、Ap、Bp、Cp、Dpは定数行列である。また、Tp*
は無段変速機3の目標入力トルク、Ip*は無段変速機3
の目標変速比である。さらに、xf1、xf2は、数式1に
示す二次式で表したバンドパスフィルターの内部状態変
数ベクトルXfの要素である。
【0030】目標加速度αw*に対する推定加速度αwfの
望ましい応答性を示す規範モデルを一次遅れとし、その
伝達関数、状態方程式および出力方程式を次のように表
す。
【数9】 Gm(s)=αref(s)/αw*(s)=1/(Tαw・s+1), d(xm)/dt=Am・xm+Bm・αw*, αref=Cm・xm+Dm・αw* ・・・(9) 数式9において、Tαwは時定数である。
【0031】以上の拡大系モデルと規範モデルに、状態
フィードバックを用いたモデルフォローイング制御手法
を用いて加速度フィードバック制御系を構築した場合の
制御ブロック図を図9に示す。なお、図9において太線
はベクトルを表し、細線はスカラーを表す。
【0032】このような加速度フィードバック補償器を
構築することによって、規範モデル加速度αrefに推定
加速度αwfが定常偏差なく追従する。また同時に、状態
フィードバックによってすべての状態変数が安定化され
る。つまり、状態変数の一つであるプライマリープーリ
ーの回転速度偏差積分値Zも安定化されるため、結果と
して無段変速機3のプライマリープーリーの目標回転速
度ωp*に実回転速度ωpが定常偏差なく追従する。
【0033】図9に示す状態フィードバックゲインK
(定数行列)は、拡大系プラントモデルと規範モデルを
さらに結合した下記結合モデルに対して、一般的な最適
レギュレーター手法などを用いて求める。ただし、規範
モデル加速度αrefと推定加速度αwfの偏差積分量をXi
とする。
【数10】
【0034】次に、実際の処理をマイクロコンピュータ
ーのソフトウエアで実行可能な差分方程式の形に表す。
まず、規範モデルの演算は次の差分方程式により実行す
る。
【数11】 αref(k)=MAN0・αw*(k)+MAN1・αw*(k-1)+MAD1・αref(k-1) ・・・(11) 数式11において、MAN0、MAN1、MAD1は上記数式9
をタスティン近似などで離散化して得られた定数であ
る。次に、加速度の偏差積分演算は次の差分方程式によ
り実行する。
【数12】 Xi(k)=Xi(k-1)+Tsmp{αref(k)−αwf(k)} ・・・(12) さらに、状態フィードバック演算は次の差分方程式によ
り実行する。
【数13】 また、目標エンジントルクTe*の決定は、トルクコンバ
ーター2のロックアップクラッチが締結されている状態
で、
【数14】 Te*=Tp* ・・・(14) とする。
【0035】ステップ9において、加速度制御用モデル
フォローイング補償器で演算された目標エンジントルク
Te*、目標変速比Ip*に上下限リミッター処理を施し、
エンジントルクコントローラー5およびCVT&クラッ
チコントローラー6で達成可能な値にそれぞれ制限し、
最終的なエンジントルク指令値Te*および変速比指令値
Ip*とする。続くステップ10では、エンジントルク指
令値Te*をエンジントルクコントローラー5へ、変速比
指令値Ip*をCVT&クラッチコントローラー6へそれ
ぞれ高速通信線13を介して出力する。エンジントルク
コントローラー5はエンジントルクTeが指令値Te*
なるように制御し、CVT&クラッチコントローラー6
は無段変速機3の変速比Ipが目標値Ip*となるように
制御する。
【0036】この実施の形態では、ステップ5で説明し
たように、車速Vwにバンドパスフィルター処理を施し
て加速度推定値αwfを演算する際に、車速Vwを入力と
し加速度推定値αwfを出力とする連続時間系の伝達関数
Gbp(s)(数式1)を、図4に示すような状態ベクトル
による表現に変換して、数式2に示す内部状態変数ベク
トルXfを用いた状態方程式と出力方程式で表し、加速
度推定値αwfを算出するだけでなく、内部状態変数ベク
トルXfも併せて算出する。
【0037】また、ステップ8で説明したように、加速
度制御系を構成する際に、バンドパスフィルターの出力
すなわち加速度推定値αwfをフィードバックするだけで
なく、図6に示すようにバンドパスフィルター23も制
御系設計用プラントモデル21に組み込み、バンドパス
フィルター23の内部状態変数Xf1,Xf2もフィードバ
ックする構成とした。
【0038】これにより、バンドパスフィルターの特性
を加減速制御用フィードバック補償器の設計に直接、反
映できるので、加速度フィードバック制御系の安定性と
目標追従性を向上させることができる。
【0039】また、この実施の形態では、ステップ7、
8で説明したように、バンドパスフィルターの内部状態
変数xf1、xf2のフィードバックに加え、プライマリー
プーリーの目標回転速度ωp*とプライマリープーリーの
回転速度検出値ωpとの偏差積分値Zを、新たな状態変
数として制御系設計用プラントモデルに組み込んだ。
【0040】これにより、エンジントルクTeとエンジ
ン回転速度ωeのゲインka(=ωe/Te)を、加減速制
御用フィードバック補償器の設計に直接、反映できるの
で、無段変速機プライマリープーリーの回転速度を安定
させることができ、加速度フィードバック制御系の安定
性と目標追従性を向上させることができる。
【0041】図10は、図11に示すバンドパスフィル
ターの出力(加速度推定値)αwfをフィードバックする
だけの加速度フィードバック制御系のシュミレーション
結果を示す図である。また、図12は、図6に示す一実
施の形態の加速度フィードバック制御系のシュミレーシ
ョン結果を示す図である。バンドパスフィルターの出力
(加速度推定値)αwfをフィードバックするだけの加速
度制御系では、図10から明らかなように制御結果の加
速度αwf、プライマリープーリーの回転速度ωp、エン
ジントルクTp(=Te)が振動的である。これに対し一
実施の形態の加速度フィードバック制御系では、図12
に示すように制御結果の加速度αwf、プライマリー回転
速度ωp、エンジントルクTp(=Te)が安定してそれ
ぞれの目標値αw*、ωp*、Tp*へ追従している。
【0042】上述した一実施の形態では、図6に示すよ
うに、バンドパスフィルターとプライマリープーリー回
転速度の偏差積分値Zを制御系設計用プラントモデルに
組み込み、バンドパスフィルターの内部状態変数Xf1,
Xf2とプライマリープーリー回転速度の偏差積分値Zと
をフィードバックする例を示したが、図13に示すよう
に、バンドパスフィルターのみを制御系設計用プラント
モデルに組み込み、バンドパスフィルターの内部状態変
数Xf1,Xf2のみをフィードバックする加速度制御系と
してもよい。
【0043】図14は、図13に示すバンドパスフィル
ターのみを制御系設計用プラントモデルに組み込み、バ
ンドパスフィルターの内部状態変数Xf1,Xf2のみをフ
ィードバックする加速度フィードバック制御系のシュミ
レーション結果を示す。上述した一実施の形態のシュミ
レーション結果(図12)と比較すると、プライマリー
プーリー回転速度の偏差積分値Zをフィードバックして
いないために、プライマリープーリーの回転速度ωpが
振動的である。
【0044】以上の実施の形態の構成において、車輪速
センサー8が車速検出手段を、アクセルセンサー7、車
輪速センサー8および加減速度コントローラー4が目標
加速度設定手段を、加減速度コントローラー4が演算手
段、目標回転速度設定手段および回転速度偏差積分手段
を、無段変速機3のプライマリープーリーが入力側回転
部材を、エンジントルクコントローラー5がエンジント
ルク制御手段を、CVT&クラッチコントローラー6が
変速比制御手段を、プライマリー速度センサー11が回
転速度検出手段をそれぞれ構成する。
【0045】なお、上述した一実施の形態ではベルト式
無段変速機を例に上げて説明したが、トロイダル式無段
変速機に対しても本発明を適用することができる。その
場合は、トロイダル式無段変速機の入力ディスクが上述
した入力側回転部材に相当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】 一実施の形態の加速度制御プログラムを示す
フローチャートである。
【図3】 目標加減速度を設定するためのマップ例を示
す図である。
【図4】 車輪速を入力とし加速度推定値を出力とする
連続時間系の伝達関数を状態ベクトルにより表現したブ
ロック図である。
【図5】 エンジン運転点拘束線マップを示す図であ
る。
【図6】 一実施の形態のプラントモデルを示すブロッ
ク図である。
【図7】 車両モデルを示すブロック図である。
【図8】 一実施の形態の制御系設計用拡大モデルを状
態ベクトルにより表現したブロック図である。
【図9】 一実施の形態のモデルフォローイング制御手
法を用いた加速度フィードバック制御系を示すブロック
図である。
【図10】 バンドパスフィルターの出力(加速度推定
値)αwfをフィードバックするだけの加速度フィードバ
ック制御系のシュミレーション結果を示す図である。
【図11】 バンドパスフィルターの出力(加速度推定
値)αwfをフィードバックするだけの加速度フィードバ
ック制御系を示すブロック図である。
【図12】 一実施の形態の加速度フィードバック制御
系のシュミレーション結果を示す図である。
【図13】 バンドパスフィルターのみを制御系設計用
プラントモデルに組み込み、バンドパスフィルターの内
部状態変数のみをフィードバックした加速度フィードバ
ック制御系を示す図である。
【図14】 図13に示す加速度フィードバックのシュ
ミレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 ロックアップクラッチ付きトルクコンバーター 3 無段変速機 4 加減速度コントローラー 5 エンジントルクコントローラー 6 CVT&クラッチコントローラー 7 アクセルセンサー 8 車輪速センサー 9 クランク角センサー 11 プライマリー速度センサー 12 セカンダリー速度センサー 13 高速通信線 14 駆動輪 21 プラントモデル 22 車両モデル 23 バンドパスフィルター 24 エンジン運転点拘束線特性マップ 25 減算器 26 積分器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D041 AA26 AA32 AA66 AC01 AC09 AC19 AC20 AD00 AD02 AD10 AD51 AE04 AE07 AE09 AE36 AE37 AF01 3G093 AA06 BA15 BA19 CB06 DA01 DA06 DB01 DB05 EA05 EA09 EA13 EB03 EC01 FA05 FA10 3J552 MA06 MA12 NA01 NB01 PA20 PA32 RB15 SA31 TA01 UA08 VA32W VA74W VB01W VB04W VC02W

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車速を検出する車速検出手段と、 目標加速度を設定する目標加速度設定手段と、 車速を入力とし車両の加速度推定値を出力とするバンド
    パスフィルターの伝達関数を状態ベクトル表現に変換し
    て制御対象のプラントモデルに組み込み、目標加速度に
    対して加速度推定値をフィードバックするとともに、バ
    ンドパスフィルターの特性を表す内部状態変数をフィー
    ドバックする加速度フィードバック制御系を構築し、加
    速度推定値を目標加速度に一致させるための無段変速機
    の目標変速比と入力側回転部材の目標入力トルクとを演
    算する演算手段と、 無段変速機の入力側回転部材の目標入力トルクにしたが
    ってエンジントルクを制御するエンジントルク制御手段
    と、 無段変速機の目標変速比にしたがって無段変速機を制御
    する変速比制御手段とを備えることを特徴とする無段変
    速機を備えた車両の加速度制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の無段変速機を備えた車両
    の加速度制御装置において、 無段変速機の入力側回転部材の目標入力トルクに応じた
    入力側回転部材の目標回転速度を設定する目標回転速度
    設定手段と、 無段変速機の入力側回転部材の回転速度を検出する回転
    速度検出手段と、 無段変速機の入力側回転部材の目標回転速度と回転速度
    検出値との偏差の積分値を演算する回転速度偏差積分手
    段と、 前記演算手段は、前記目標回転速度設定手段、前記回転
    速度検出手段および前記回転速度偏差積分手段を前記制
    御対象のプラントモデルにさらに組み込み、加速度推定
    値とバンドパスフィルターの内部状態変数のフィードバ
    ックに加え、無段変速機の入力側回転部材の回転速度偏
    差積分値をフィードバックすることを特徴とする無段変
    速機を備えた車両の加速度制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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