JP2004276681A - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】路面勾配の影響により自車速と目標車速との乖離が生じた場合でも、最終的に自車速を目標車速に到達させることができ、更に加えて、急勾配下り坂走行で不要なダウンシフトによりエンジン回転数が急上昇する違和感や、運転者の予感に反して車両減速度が上昇される違和感を与えることのないようにした、車両の駆動力制御装置を提案する。
【解決手段】アクセルペダル踏み込み量および車速から求めた目標加速度を積分して目標車速tVSPを算出し、自車速aVSPおよび目標車速tVSP間の車速偏差ΔVSPと、積分制御ゲインKiを含むフィードバックゲインとにより車両の駆動力を制御して自車速aVSPを目標車速tVSPに追従させる駆動力制御中の瞬時t1にアクセル釈放がなされた後は、aVSPおよびtVSP間の車速偏差ΔVSPの増大につれ、また、アクセル釈放速度が低いほど積分制御ゲインKiを含むフィードバックゲインを低下させる。
【選択図】 図19

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクセルペダルによる運転者のアクセル操作に応じた車両の加速度や車速を実現させるように駆動力を制御するための、車両の駆動力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
かかる装置としては、従来、例えば特許文献1に記載されているものがある。
この文献に記載の駆動力制御装置は、アクセルペダル踏み込み量から車両の目標加速度または目標減速度を求め、これら目標加減速度が達成されるようにエンジンのスロットル開度を制御するものである。
具体的には、検出車速を微分して車両の実加減速度を求め、この実加減速度が上記の目標加減速度に一致しているか否かを判定し、一致していなければ実加減速度が目標加減速度に一致するようスロットル開度を修正するというものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−205015号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した従来の駆動力制御装置においては、アクセルペダル踏み込み量から算出した目標加減速度に実加減速度が追従するようにスロットル開度を制御する構成となっているため、アクセルペダル踏み込み量一定として車両が登坂路に進入した場合、図18に示すように、実加速度は一旦低下した後に目標値に到達させることができるものの、登坂路進入時に一旦低下した実車速はこれを元の車速に戻す制御でないため低下したままとなる、という問題があった。
【0005】
他方で上記の問題解決のために、目標加速度を積分することにより目標車速を求め、自車速がこの目標車速に追従するよう、これら自車速および目標車速間における車速偏差に応じた積分制御のようなフィードバック制御により駆動力制御を行うことや、この駆動力制御のみでは狙い通りの駆動力が得られない場合自動変速機の変速制御をも同時に行うことが考えられるが、この場合以下の問題が懸念される。
つまり、上記の駆動力制御中に急勾配下り坂走行となって、アクセルペダルの釈放によっても実車速aVSPが図20の急勾配下り坂走行開始時t1以後もなかなか低下しなかった場合上記の制御によると、実車速aVSPが目標車速から大きく乖離して両者間における車速偏差ΔVSPに応じた駆動力のフィードバック制御が積分制御の出力値を加速度的に増大させ、図20の瞬時t2以後における駆動トルク指令値cTDRの変化に見られるごとく目標駆動力を大きく低下させる。
【0006】
これがため駆動力制御装置は、上記の駆動力制御に加えて自動変速機をダウンシフトさせることとなり、このダウンシフトがエンジン回転数aNeを瞬時t2以後において急上昇させ、運転者に違和感を与える。
また上記のダウンシフトは、運転者が急勾配下り坂走行であるから車両減速度が小さくなったり加速傾向になると予感しているのに、それに反して車両減速度を増大させることとなり、不要な減速により運転者を戸惑わせることにもなって不自然である。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑み、路面勾配の影響により自車速と目標車速との乖離が生じた場合でも、最終的に自車速を目標車速に到達させることができ、更に加えて、急勾配下り坂走行で不要なダウンシフトによりエンジン回転数が急上昇する違和感や、運転者の予感に反して車両減速度が上昇される違和感を与えることのないようにした、車両の駆動力制御装置を提案することを目的とする。
ところで、急勾配下り坂走行で不要なダウンシフトによりエンジン回転数が急上昇する違和感や、運転者の予感に反して車両減速度が上昇される違和感の程度は、運転者がアクセルペダルを釈放する時のアクセルペダル戻し速度に応じて異なり、急減速を要求しないためアクセルペダルをゆっくり釈放する時ほど上記の違和感を強く感じ、急減速を要求してアクセルペダルを急速に釈放する時はむしろ上記の違和感はない。
そこで本発明は、アクセルペダルを釈放する時のアクセルペダル戻し速度に応じ、上記の違和感を解消する対策の程度を加減して、当該対策の程度がアクセルペダル戻し速度ごとに要求通りのものとなるような改良も付加した、車両の駆動力制御装置を提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的のため、本発明による車両の駆動力制御装置は、
アクセルペダル踏み込み量に基づいて目標加速度を算出し、この算出した目標加速度より目標車速を求め、自車速がこの目標車速に追従するよう車両の駆動力を制御することを基本とするが、
アクセルペダル踏み込み量が0の時、前記目標車速と実車速との間における車速偏差が大きいほど、また、アクセルペダル踏み込み量を0にする時のアクセルペダル戻し速度が遅いほど、上記駆動力制御のフィードバックゲインを小さくするよう構成したものである。
【0009】
【発明の効果】
かかる本発明の構成によれば、アクセルペダル踏み込み量に基づいて算出した目標加速度より目標車速を求め、自車速が当該目標車速に追従するよう車両の駆動力を制御するため、
目標加速度から目標車速が算出・設定されることとなって、加速度を目標加速度に一致させ得るのは勿論のこと、路面勾配などの影響により自車速と目標車速との乖離が生じた場合でも、最終的に自車速も目標車速に到達させることができる。
【0010】
前述した従来の駆動力制御装置の如く、単に自車の加速度を目標加速度に一致させるのみの制御を行った場合、路面勾配の影響、例えば上り勾配の走行中に駆動力不足から変速機のダウンシフトを行って駆動力を増大させた場合につき述べると、ダウンシフト前に一時的に自車速が低下すると、自車速を目標車速に到達させるためには、両者の差に相当する分だけアクセルペダル踏み込み量を増加させなければならない。
【0011】
これに対して本発明によれば、目標加速度から求めた目標車速に自車速が追従するよう車両の駆動力を制御することから、アクセルペダル踏み込み量を一定とした状態で登坂路に進入した場合にアクセルペダルの踏み増しに頼ることなく自車速を目標車速に一致させることができ、登坂路で車速が低下したままにされるような問題を解消することができる。
【0012】
本発明によれば更に、アクセルペダル踏み込み量が0の時、目標車速と実車速との間における車速偏差が大きいほど上記駆動力制御のフィードバックゲインを小さくするため、
急勾配下り坂走行で実車速がなかなか低下しないような走行条件のため実車速と目標車速との間における車速偏差が大きくなる場合でも、駆動力制御のフィードバックゲインを小さくすることによって不要なダウンシフトが行われるのを抑制することができ、これによりエンジン回転数が急上昇する違和感や、運転者の予感に反して車両減速度が上昇される違和感を回避し、前記の問題を解消することができる。
【0013】
加えて本発明によれば、アクセルペダル踏み込み量が0の時における上記駆動力制御のフィードバックゲインを更に、アクセルペダル踏み込み量を0にする時のアクセルペダル戻し速度が遅いほど小さくするため、
急減速を要求しないため運転者がアクセルペダルをゆっくり釈放したにもかかわらず、上記の不要なダウンシフトによりエンジン回転数の急上昇を伴った急減速が発生したり、運転者の運転意図に反して車両減速度が急増する不具合をも解消することができ、
アクセルペダルを釈放する時のアクセルペダル戻し速度ごとに運転者が意図する通りの車両減速度を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態になる駆動力制御装置を具えた車両のパワートレーンと、その制御系を示し、該パワートレーンをエンジン1と無段変速機2とで構成する。
エンジン1はガソリンエンジンであるが、そのスロットルバルブ5を運転者が操作するアクセルペダル3とは機械的に連結させず、これらから切り離してスロットルアクチュエータ4によりスロットルバルブ5の開度を電子制御するようになす。
【0015】
スロットルアクチュエータ4は、エンジンコントローラ14が後述するエンジントルク指令値cTEに対応して出力した目標スロットル開度(tTVO)に応じ動作することでスロットルバルブ5の開度を当該目標スロットル開度に一致させ、エンジン1の出力を、基本的にはアクセルペダル操作に応じた値となるように制御するが、エンジントルク指令値cTEの与え方によっては、アクセルペダル操作以外の因子によっても制御可能とする。
【0016】
無段変速機2は周知のVベルト式無段変速機とし、トルクコンバータ6を介してエンジン1の出力軸に駆動結合されたプライマリプーリ7と、これに整列配置したセカンダリプーリ8と、これら両プーリ間に掛け渡したVベルト9とを具える。
そして、セカンダリプーリ8にファイナルドライブギヤ組10を介してディファレンシャルギヤ装置11を駆動結合し、これらにより図示しない車輪を回転駆動するものとする。
【0017】
無段変速機2の変速動作は、プライマリプーリ7およびセカンダリプーリ8のそれぞれのV溝を形成するフランジのうち、一方の可動フランジを他方の固定フランジに対して相対的に接近させてV溝幅を狭めたり、逆に離間させてV溝幅を拡げることにより行うようにし、
両可動フランジのストローク位置を、変速制御油圧回路12からのプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecにより決定する。
【0018】
変速制御油圧回路12は変速アクチュエータとしてのステップモータ13を具え、これを変速機コントローラ15が、後述する変速比指令値(cRATIO)に対応したステップ位置STPに駆動させることで、無段変速機2を、実変速比が変速比指令値cRATIOと一致するように無段変速させることができる。
【0019】
エンジンコントローラ14へのエンジントルク指令値cTE、および変速機コントローラ15への変速比指令値(cRATIO)はそれぞれ、駆動力制御用コントローラ16が後述する演算により求めることとする。
そのため駆動力制御用コントローラ16には、アクセルペダル3の踏み込み位置(アクセルペダル踏み込み量もしくはアクセル開度とも言う)APOを検出するアクセル開度センサ17からの信号と、
エンジンの点火信号からエンジン回転数aNEを検出するエンジン回転センサ18からの信号と、
車輪の回転数から車速aVSPを検出する車速センサ19からの信号と、
ブレーキペダル(図示せず)を踏み込む制動時にONとなるブレーキスイッチ20からの信号と、
運転者が、本発明による駆動力制御を希望した時に押してON状態にするための駆動力制御スイッチ21からの信号とをそれぞれ入力する。
【0020】
駆動力制御用コントローラ16は定時割り込みにより一定の制御周期毎にこれら入力情報を読み込み、これらの入力情報を基に、図2に機能別ブロック線図で示す処理を実行して、以下のようにエンジンコントローラ14へのエンジントルク指令値cTEおよび変速機コントローラ15への変速比指令値cRATIOを求める。
エンジンコントローラ14および変速機コントローラ15はそれぞれ、これらエンジントルク指令値cTEおよび変速比指令値cRATIOをもとに無段変速機2の変速制御およびエンジン1のスロットル開度(出力)制御を行い、本発明が狙いとする車両の駆動力制御を遂行する。
【0021】
駆動力制御用コントローラ16は図2に示すように、駆動力制御可否判定部30、目標車速算出部40、目標駆動力算出部50、実変速比算出部60、駆動力分配部70、および制御ゲイン補正係数算出部80により構成し、以下にこれらの詳細を順次説明する。
【0022】
駆動力制御可否判定部30は、図3に示す制御プログラムを実行して、駆動力制御を行うべきか否かを判定し、その結果を駆動力制御実行フラグfSTARTの1または0により設定する。
図3のステップS1においては、駆動力制御スイッチ21がON,OFFのいずれであるかをチェックし、次いでステップS2においてブレーキスイッチ20がON,OFFのいずれであるかをチェックする。
ステップS1で駆動力制御スイッチ21がON(運転者が駆動力制御を希望している)と判定し、かつ、ステップS2でブレーキスイッチ20がOFF(非制動中)と判定する間は、運転者が駆動力制御を希望しており、また当該制御を行っても差し支えない非制動中であるから、ステップS3において、駆動力制御を行うべきであると判断して駆動力制御実行フラグfSTARTを1にセットする。
しかし、ステップS1で駆動力制御スイッチ21がOFF(運転者が駆動力制御を希望していない)と判定したり、またはステップS2でブレーキスイッチ20がON(制動中)と判定する間は、運転者が駆動力制御を希望していなかったり、希望していても制動中のため駆動力制御が有効に機能しないことから、ステップS4において、駆動力制御を行うべきでないと判断して駆動力制御実行フラグfSTARTを0にリセットする。
【0023】
ここで、ブレーキスイッチ20がON(制動中)の間は駆動力制御を行わないこととした理由は、制動中の場合、本発明によるエンジン出力制御および変速制御を行ったとしても、狙い通りの車速制御を達成することができず、制御そのものが無駄になるからである。
なお、運転者の意志によらずに本発明による駆動力制御を常に行うようにする場合には、駆動力制御スイッチ21は必ずしも必要でなく、ブレーキスイッチ20のON(制動中),OFF(非制動中)のみに応じて駆動力制御実行フラグfSTARTのセット、リセットを行えばよい。
上記のようにして設定された駆動力制御実行フラグfSTARTは、目標車速算出部40へ供給するほか、図1にも示すようにエンジンコントローラ14および変速機コントローラ15へも供給する。
【0024】
エンジンコントローラ14および変速機コントローラ15は、駆動力制御実行フラグfSTARTが1の間、駆動力制御用コントローラ16からのエンジントルク指令値cTEおよび変速比指令値cRATIOに基づき、これらが達成されるように、スロットルアクチュエータ4への目標スロットル開度tTVOおよび変速アクチュエータ13への指令ステップ位置STPを決定して、本発明による駆動力制御を遂行する。
しかし駆動力制御実行フラグfSTARTが0の間は、上記した本発明による駆動力制御に代えて、通常通りにエンジン1のスロットル開度制御および無段変速機2の変速制御を行うものとする。
【0025】
図2における制御ゲイン補正係数算出部80は、アクセルペダル踏み込み量APOをもとに図4に示す処理により、詳しくは後述するごとくに本発明の駆動力制御に用いる比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiの補正係数αおよびβを求めると共に、制御ゲイン補正開始フラグfGAINstartおよび制御ゲイン補正終了フラグfGAINendを決定する。
先ずステップS21においては、アクセルペダル踏み込み量APOが0のアクセルペダル釈放中か否かをチェックし、アクセルペダル釈放中でなく踏み込み状態であると判定する時、ステップS22において制御ゲイン補正開始フラグfGAINstartが、1(制御ゲインの補正開始)を示しているのか、0(制御ゲインの非補正中)を示しているのかを判定する。
【0026】
ステップS21で、アクセルペダル踏み込み量APOが0のアクセルペダル釈放中であると判定する時はステップS23において、制御ゲイン補正開始フラグfGAINstartを1にセットして制御ゲインの補正中であることをメモリし、次いでステップS24において、実車速aVSPと後述のごとくに求めた目標車速tVSPとの間における車速偏差ΔVSP、およびアクセルペダル踏み込み量APOを上記の通り0にするアクセルペダルの釈放時における戻し速度から、図5に例示する予定のデータマップをもとに比例制御ゲイン補正係数αを、また、図6に例示する予定のデータマップをもとに積分制御ゲイン補正係数βを検索により求める。
これら比例制御ゲイン補正係数αおよび積分制御ゲイン補正係数βはそれぞれ、上記の車速偏差ΔVSPおよびアクセルペダル戻し速度に応じて、この車速偏差ΔVSPが大きいほど、また、アクセルペダル戻し速度が遅いほど、駆動力制御用の比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiを低下させるためのものである。
【0027】
従って、比例制御ゲイン補正係数αおよび積分制御ゲイン補正係数βはそれぞれ図5および図6に示すごとく、車速偏差ΔVSPが小さい設定値ΔVSP1,ΔVSP3未満である間は1近傍の一定値とし、車速偏差ΔVSPが大きい設定値ΔVSP2,ΔVSP4以上である間は1より小さな例えば0.2とし、車速偏差ΔVSPが小さい設定値と大きい設定値との間にある時は車速偏差ΔVSPの増大につれ1近傍から0.2に向け低下するものとし、
更に比例制御ゲイン補正係数αおよび積分制御ゲイン補正係数βはそれぞれ、図5および図6に示すごとく、車速偏差ΔVSPに対して上記の傾向を持ったまま、アクセルペダル戻し速度が遅いものほど小さくなるものとする。
【0028】
なお上記のアクセルペダル戻し速度は、例えば図7に示すプログラムを実行して算出する。
ステップS31では、アクセルペダル踏み込み量APOが0か否かをチェックし、アクセルペダル踏み込み量APOが0でなければステップS32で、アクセルペダル踏み込み量APOの今回読み込み値が前回読み込み値より小さいか否かにより、アクセルペダルの戻し操作中か否かをチェックする。
ステップS31でアクセルペダル踏み込み量APOが既に0であると判定したり、ステップS32でアクセルペダルの戻し操作中でないと判定する時は制御をそのまま終了するが、ステップS32でアクセルペダルをアクセルペダル踏み込み量APO=0に向けて戻し操作していると判定する時は、ステップS33において、アクセルペダル踏み込み量APOの今回読み込み値から前回読み込み値を差し引いて求めた差値を、図7の制御プログラムの演算周期により除算してアクセルペダル戻し速度を求める。
【0029】
図4のステップS21でアクセルペダル踏み込み状態であると判定し、且つ、ステップS22で制御ゲイン補正開始フラグfGAINstartが未だ1である(アクセルペダル踏み込み状態になって1回目である)と判定する時は、先ずステップS25において、制御ゲインの補正を終了させるために制御ゲイン補正開始フラグfGAINstartを0にリセットし、ステップS26において、比例制御ゲイン補正係数αおよび積分制御ゲイン補正係数βをそれぞれ、制御ゲインの補正が行われない1とし、ステップS27において、制御ゲインの補正終了を指令するために制御ゲイン補正終了フラグfGAINendを1にセットする。
以後はステップS22が制御をステップS28に進めるようになり、ここで制御ゲイン補正終了フラグfGAINendを0にリセットして制御を終了することにより、次にアクセルペダルの釈放があるまで比例制御ゲイン補正係数αおよび積分制御ゲイン補正係数βを1に保つと共に両フラグfGAINstartおよびfGAINendを0に保つ。
【0030】
図2における目標車速算出部40は図8に詳細に示す如きもので、目標加速度決定部41および積分処理部42により構成し、駆動力制御実行フラグfSTART、車速aVSP、アクセルペダル踏み込み量APO、および制御ゲイン補正終了フラグfGAINendをもとに目標車速tVSPを求めて出力する。
なお、この目標車速算出部40においては、後述する処理手順により目標車速tVSPを求める際に必要となるため、1回の制御周期において求めた目標車速tVSPを、図示しない記憶部において、次の制御周期まで記憶しておくものとする。
【0031】
目標加速度決定部41は、アクセルペダル踏み込み量APOを入力すると共に、積分処理部42で後述する処理手順により算出された目標車速tVSPをフィードバック入力し、これらアクセルペダル踏み込み量APOおよび目標車速tVSPから、図9に示すマップに基づいて目標加速度tACCを決定する。
図9は、アクセルペダル踏み込み量APOごとの、車速VSP(目標車速tVSP)に対する目標加速度tACCの関係を例示するもので、アクセルペダル踏み込み量APOが大きいほど目標加速度tACCも大きくなるように設定する。
また、車速が大きくなるにつれ走行抵抗が増大して実現可能な加速度が小さくなることに対応させるため、図9では、同じアクセルペダル踏み込み量であれば、車速が高いほど目標加速度tACCが小さくなるように設定する。
【0032】
積分処理部42は、制御実行フラグfSTART、実車速aVSP、目標加速度tACC、および制御ゲイン補正終了フラグfGAINendに基づいて目標車速tVSPを算出するもので、この算出に際し積分処理部42は図10に示すような処理を行う。
まずステップS11で駆動力制御実行フラグfSTARTが1,0のいずれであるかを判断し、制御実行フラグfSTARTが0の場合、すなわち駆動力制御スイッチ21(図1および図2参照)がOFF、またはブレーキスイッチ20がON(制動中)である場合には、ステップS12へ進み、目標車速tVSPおよび前回の制御周期で求めた目標車速tVSP前回値にそれぞれ車速aVSPの値を代入してこれらを初期化する。
【0033】
一方、ステップS11で制御実行フラグfSTARTが1と判定する場合、すなわち駆動力制御スイッチ21がONで、且つブレーキスイッチ20がOFF(非制動中)である場合には、制御をステップS13に進め、ここで制御ゲイン補正終了フラグfGAINendが1であるか否かをチェックする。
制御ゲイン補正終了フラグfGAINendが1であれば、ステップS11で制御実行フラグfSTARTが0であると判定する場合と同様に、制御をステップS12に進めて目標車速tVSPおよび前回の制御周期で求めた目標車速tVSP前回値にそれぞれ車速aVSPの値を代入する初期化を行う。
【0034】
ステップS13で制御ゲイン補正終了フラグfGAINendが1でない(0である)と判定する場合は、制御をステップS14へ進め、tVSP前回値に目標加速度tACCを加算した値を目標車速tVSPとし、tVSP前回値を、今回の演算で求めた目標車速tVSP値に更新する。
【0035】
上記のように新たに算出した目標車速tVSPは目標駆動力算出部50(図2参照)へ出力すると共に、目標加速度決定部41(図6参照)へフィードバックして前記した目標加速度tACCの演算に供される。
【0036】
図11は、図2における目標駆動力算出部50の構成を示す制御ブロック図である。
この目標駆動力算出部50は、フィードフォワード制御部およびフィードバック制御部からなる2自由度制御系と、駆動トルク変換部54とを具え、
フィードフォワード制御部を位相補償器51により構成し、フィードバック制御部を規範モデル52およびフィードバック補償器53により構成する。
【0037】
そして目標駆動力算出部50は、目標車速tVSPを入力とし、自車速aVSPを出力とする場合の伝達特性が図示の規範モデル52の伝達特性となるように、フィードフォワード制御部およびフィードバック制御部を用いて制御を行う。
規範モデル52の伝達関数G(s)は次式
【数1】
Figure 2004276681
で表され、時定数τの1次ローパスフィルタと、無駄時間Lとからなる。
なお、sはラプラス演算子である。
【0038】
ここで制御対象となる車両を、駆動トルク指令値cTDRを操作量とし、自車速aVSPを制御量としてモデル化することによって、車両のパワートレーンの挙動を図12に示す簡易非線形モデル55で表すことができる。すなわち、
【数2】
Figure 2004276681
ここで、Mは車両質量、Rtはタイヤ動半径、Lは無駄時間をそれぞれ表す。
駆動トルク指令値cTDRを入力とし、自車速aVSPを出力とする車両モデルは積分特性となる。
但し、パワートレーン系の遅れにより無駄時間が含まれることとなり、また使用するアクチュエータやエンジンによって無駄時間Lは変化する。
【0039】
フィードフォワード(F/F)制御部を構成する位相補償器51において、F/F指令値は、目標車速tVSPを入力とし、実車速aVSPを出力とした場合の制御対象の応答特性を、予め定めた一次遅れと無駄時間要素を有する所定の伝達関数G(s)の特性に一致させる。
ここで、制御対象の無駄時間を考慮しないものと仮定し、規範モデル52の伝達関数G(s)を時定数τの1次のローパスフィルタとすると、位相補償器51の伝達関数G(s)は次式で表される。
【数3】
Figure 2004276681
【0040】
一方、規範モデル52およびフィードバック補償器53から成るフィードバック(F/B)制御部においては、規範モデル52から出力される規範応答Vrefと自車速aVSPとの差をフィードバック補償器53の入力とし、F/B指令値を出力する。このF/B指令値により、外乱やモデル化誤差による影響を抑制する。
【0041】
フィードバック補償器53としてここでは、駆動力制御のフィードバックゲインである比例制御ゲインKpと積分制御ゲインKiとをそれぞれ内包した比例制御部53aおよび積分制御部53bからなる伝達関数GFB(s)のPI補償器を用いる。
ここで比例制御部53aにおける比例制御ゲインKpは、例えば平坦路走行時を想定して定めた基準となる比例制御ゲインPgainに、図4および図5のごとくに求める制御ゲイン補正係数αを乗じて補正した比例制御ゲイン(Kp=Pgain×α)を用い、積分制御部53bにおける積分制御ゲインKiは、例えば平坦路走行時を想定して定めた基準となる積分制御ゲインIgainに、図4および図6のごとくに求める制御ゲイン補正係数βを乗じて補正した積分制御ゲイン(K=Igain×β)を用いる。
【0042】
比例制御部53aは、規範応答Vrefと自車速aVSPとの差から伝達関数(Kp・s)を用いて比例制御による目標加速度tACCpを求め、積分制御部53bは、規範応答Vrefと自車速aVSPとの差から伝達関数(Ki/s)を用いて積分制御による目標加速度tACCiを求め、フィードバック補償器53はこれらtACCp, tACCiの和をフィードバック制御指令値(F/B指令値)とする。
従って、フィードバック補償器53の伝達関数GFB(s)は次式で与えられる。
【数4】
Figure 2004276681
【0043】
ところで、駆動力制御のフィードバックゲインである比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiがそれぞれ、基準となる比例制御ゲインPgainおよび基準となる積分制御ゲインIgainに、対応する制御ゲイン補正係数α,βを乗じたフィードバックゲインであることから、そして制御ゲイン補正係数α,βが実車速aVSPおよび目標車速tVSP間における車速偏差ΔVSPと、アクセルペダル踏み込み量APOを0にする時のアクセルペダル戻し速度とに応じて、図5および図6のごとくに変化することから、比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiは、図20と同じ条件での動作タイムチャートである図19に積分制御ゲインKiに関して示すごとく、車速偏差ΔVSPが大きくなるほど小さくなるよう、そして、アクセルペダル戻し速度が遅い時ほど小さくなるよう補正されることとなる。
【0044】
なお上記では比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiの双方を補正することとしたが、いずれか一方のみを補正するだけでもよいし、本実施の形態におけるように比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiを個々に補正できるようにする場合、チューニングの自由度が高くなって一層好ましい。
そして比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiの上記補正は、アクセルペダルの踏み込み瞬時t3(図19参照)に図4のステップS26でα=1、β=1にされることで中止されることは言うまでもない。
また当該アクセルペダルの踏み込み時は、図4のステップS27で当該瞬時に制御ゲイン補正終了フラグfGAINendが1にされることから、これを受けて図10のステップS12およびステップS13が図19に示すごとく目標車速tVSPを今の車速aVSPに初期化して以後の制御を継続することができる。
この時制御ゲイン補正終了フラグfGAINendは、図11に示すように位相補償器51、規範モデル52、およびフィードバック補償器53a,53bを初期化すること、勿論である。
【0045】
図11に示すように、上記フィードフォワード制御部からの指令値(F/F指令値)およびフィードバック制御部からの指令値(F/B指令値)は加算されて駆動トルク変換部54に入力され、ここで、これら両者の和値と車両質量Mとタイヤ動半径Rtとの乗算により最終的に駆動トルク指令値cTDRを求めて出力する。
出力された駆動トルク指令値cTDRは駆動力分配部70(図2参照)へ供給する。
【0046】
図13(A),(B),(C)および図14(A),(B),(C)は、目標車速tVSPに対する自車速aVSPの応答と、目標駆動力算出部50で上記のごとくに求めた駆動トルク指令値cTDRの時系列変化を示すタイムチャートであり、
図13(A),(B),(C)は車両が停止状態から発進して平坦路を走行する場合のタイムチャート、図14(A),(B),(C)は車両が停止状態から発進して平坦路から登坂路へ進入して走行する場合のタイムチャートである。
図13から明らかなように、目標車速tVSPに対して自車速aVSPが非常に良好に追従していることが判る。
また図14(A),(B),(C)から明らかなように、車両が登坂路に進入した際には、駆動トルク指令値cTDRを増加させ、その後ほぼ一定値に保つことにより、一時的に低下した自車速aVSPを目標車速tVSPへ追従・復帰させていることが判る。
【0047】
図2における実変速比算出部60は、自車速aVSPと、エンジン回転センサ18から入力されるエンジン回転数aNEより、次式にしたがって実変速比aRATIOを算出する。
【数5】
Figure 2004276681
算出された実変速比aRATIOは駆動力分配部70(図2参照)へ供給する。
【0048】
図15は、駆動力分配部70(図2参照)の構成を示す。この駆動力分配部70は、変速比指令値設定部71およびエンジントルク指令値算出部72からなり、自車速aVSP、駆動トルク指令値cTDRおよび実変速比aRATIOをもとに変速比指令値cRATIOおよびエンジントルク指令値cTEを出力する。
【0049】
変速比指令値設定部71は、図16に例示する車速および駆動トルクと、変速比との関係を表したマップを基に自車速aVSPおよび駆動トルク指令値cTDRから変速比指令値cRATIOを設定する。なお、ここで図16は無段変速機を用いた場合のマップを示す。
図16から明らかなように、変速比指令値cRATIOは駆動トルク指令値cTDRが大きいほど大きくなるように設定され、また、駆動トルク指令値cTDRが同じである場合、車速が高いほど変速比指令値cRATIOは小さくなるように設定されている。
【0050】
図15のエンジントルク指令値算出部72は、駆動トルク指令値cTDRおよび実変速比aRATIOより、次式にしたがってエンジントルク指令値cTEを算出する。
【数6】
Figure 2004276681
【0051】
上式により得られたエンジントルク指令値cTEはエンジンコントローラ14(図2参照)へ入力され、エンジンコントローラ14はスロットルアクチュエータ4に対して、エンジントルク指令値cTEに対応する目標スロットル開度tTVOを出力する。
一方で変速比指令値cRATIOは変速機コントローラ15(図2参照)へ入力され、変速機コントローラ15は変速アクチュエータ13に対して、変速比指令値cRATIOに対応する指令ステップ位置STPを出力する。
【0052】
以上のような本実施の形態になる駆動力制御装置によれば、その駆動力制御動作タイムチャートである図17(A),(B),(C)に示すように以下の作用効果が得られる。
図17(A),(B),(C)は、図18(A),(B),(C)におけると同様に、アクセルペダル踏み込み量を一定として車両が登坂路に進入した場合の加速度および車速の時系列変化を示すものである。
本実施の形態においてはこの図17(A),(B),(C)から明らかなごとく、登坂路に進入したことにより実加速度が一旦低下しても、その後直ちに実加速度は上昇して目標加速度を上回り、最終的に目標加速度に到達すると共に、これに伴って一旦低下した実車速も目標車速に追従して最終的にはこの目標車速に到達し、
図18(A),(B),(C)につき前述した従来装置のように、加速度の復帰にもかかわらず実車速が低下したままにされるという問題を解消することができる。
【0053】
本実施の形態によれば更に、図20と同じ条件での動作タイムチャートである図19に示すごとく以下のような作用効果も奏し得られる。
つまり、アクセルペダル踏み込み量APOを0にする図19のアクセルペダル釈放時t1以後は、上記駆動力制御のフィードバックゲインである比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiを、図5および図6につき前述した補正係数α,βにより補正するため、実車速aVSPおよび目標車速tVSP間の車速偏差ΔVSPの増大につれ、また、アクセルペダル踏み込み量APOを0にする時のアクセルペダル戻し速度が遅いときほど、これら比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiは、図19に積分制御ゲインKiにつき代表的に図示するごとくに小さくなる。
【0054】
先ず、比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiが車速偏差ΔVSPの増大につれ小さくなることによる作用効果を説明する。
図19のアクセルペダル釈放時t1以後、急勾配降坂路走行故にアクセルペダル釈放状態にもかかわらず車速aVSPがなかなか低下せず、図示のごとく実車速aVSPおよび目標車速tVSP間の車速偏差ΔVSPが増大する場合においても、駆動力制御のフィードバックゲインKp,Kiを上記の通り車速偏差ΔVSPの増大につれ小さくすることにより駆動トルク指令値cTDRが大きく低下することがなくなり、変速比aRATIOの経時変化から明らかなように不要に大きなダウンシフトが行われるのを抑制することができ、これにより図20につき前述したエンジン回転数aNeが急上昇する違和感や、運転者の予感に反して車両減速度が上昇する違和感を回避することができる。
【0055】
次に、アクセルペダル戻し速度が遅いときほど比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiが小さくなることによる作用効果を説明する。
図19のアクセルペダル釈放時t1以後における、アクセルペダル戻し速度が速い時の二点鎖線で示す動作波形と、アクセルペダル戻し速度が遅い時の実線で示す動作波形との比較から明らかなように、
急減速を要求しないため運転者がアクセルペダルをゆっくり釈放した時は、速い釈放時よりも比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiが小さいことにより、駆動トルク指令値cTDRの低下量が少なく、実線で示す変速比aRATIOの経時変化から明らかなように、アクセルペダルを急速に釈放した時よりダウンシフト傾向が弱くなる。
よって、実線で示すエンジン回転数aNeの時系列変化から明らかなように、急減速を要求しないためアクセルペダル戻し速度を遅くしたにもかかわらず、不要なダウンシフトによりエンジン回転数aNeの急上昇を伴った急減速が発生したり、運転者の運転意図に反して車両減速度が急増する不具合を解消することができる。
【0056】
逆に運転者がアクセルペダルを急速に釈放した時は、遅い釈放時よりも比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiが大きいことにより、駆動トルク指令値cTDRの低下量が大きくなり、二点鎖線で示す変速比aRATIOの経時変化から明らかなように、アクセルペダルをゆっくり釈放した時よりダウンシフト傾向が強くなる。
よって、アクセルペダル戻し速度が速い場合は、比較的速やかなダウンシフトにより運転者が要求する通りの急減速を発生させることができ、アクセルペダルを釈放する時のアクセルペダル戻し速度ごとに運転者が意図する通りの車両減速度を得ることができる。
【0057】
なお比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiの、上記車速偏差ΔVSPおよびアクセルペダル戻し速度に応じた補正は、図19のアクセルペダルの踏み込み瞬時t3に、図4のステップS26でα=1、β=1にされることで中止され、比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiは図19に積分制御ゲインKiにつき代表的に図示するごとく、前記した基準となる標準的な制御ゲインPgainおよびIgainに戻される。
また当該アクセルペダルの踏み込み瞬時t3には、図4のステップS27で当該瞬時に制御ゲイン補正終了フラグfGAINendが1にされることから、これを受けて図10のステップS12が目標車速tVSPを図19にも示すごとくアクセルペダルの踏み込み瞬時t3の車速aVSPに初期化する。
これらにより以後の制御を継続することができるが、比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiの上記標準的なゲインへの復帰、および目標車速tVSPの実車速aVSPへの初期化は、運転者のアクセルペダル踏み込み操作による加速意図に対して車速を遅滞なく上昇させることができてストレスを与える懸念もない。
【0058】
また本実施の形態によれば、比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiをアクセルペダル釈放中、車速偏差ΔVSPの増大およびアクセルペダル戻し速度に応じて補正するに際し、基準となる標準的な比例制御ゲインPgainおよび積分制御ゲインIgainに補正係数α,βを乗じて比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiを求めるようにし、車速偏差ΔVSPおよびアクセルペダル戻し速度に応じた補正係数α,βの操作により比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiを車速偏差ΔVSPおよびアクセルペダル戻し速度に応じて補正するようにしたから、当該補正を少ないデータ量で簡単、且つ、安価に行うことができる。
【0059】
なお、上記の実施形態において比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiの補正に用いた車速偏差ΔVSPは、図11における積分制御部(積分補償器)53bの出力tACCiに等価であり、図5および図6に示すごとく車速偏差ΔVSPに代え、積分制御部(積分補償器)53bの出力tACCiの関数として比例制御ゲイン補正係数αおよび積分制御ゲイン補正係数βを定めておき、比例制御ゲインKpおよび積分制御ゲインKiを車速偏差ΔVSPに代え積分制御部(積分補償器)53bの出力tACCiに応じ、この積分制御部(積分補償器)53bの出力tACCiが大きいほど小さくするよう決定しても前記したと同様の作用効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態になる駆動力制御装置を具えた無段変速機搭載車のパワートレーンを、その制御システムと共に示す概略系統図である。
【図2】図1の制御システムにおけるコントローラが実行する、無段変速機の変速制御およびエンジンスロットル開度制御を介した駆動力制御の機能別ブロック線図である。
【図3】図2における駆動力制御可否判定部が実行して、本発明による駆動力制御を行うべきか否かを判定するための制御プログラムを示すフローチャートである。
【図4】図2における制御ゲイン補正係数算出部が実行する処理のプログラムを示すフローチャートである。
【図5】比例制御ゲイン補正係数の変化特性を示す線図である。
【図6】積分制御ゲイン補正係数の変化特性を示す線図である。
【図7】アクセルペダル踏み込み量を0にする時におけるアクセルペダル戻し速度の算出プログラムを示すフローチャートである。
【図8】図2における目標車速算出部の機能別ブロック線図である。
【図9】同目標車速算出部における目標加速度決定部が、目標加速度の設定に際して用いる目標加速度の変化特性図である。
【図10】同目標車速算出部の積分処理部における、目標車速算出の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図2における目標駆動力算出部の機能別ブロック線図である。
【図12】本発明に係る駆動力制御装置により駆動力制御を行う車両の制御モデルを示すブロック線図である。
【図13】同実施の形態になる駆動力制御装置の動作を、車両が平坦路を走行する場合につき示す動作タイムチャートである。
【図14】同実施の形態になる駆動力制御装置の動作を、車両が平坦路から登坂路にさしかかった場合につき示す動作タイムチャートである。
【図15】図2における駆動力分配部を示す機能別ブロック線図である。
【図16】同駆動力分配部の変速比指令値設定部が、目標変速比の設定に際して用いる変速比の特性図である。
【図17】同駆動力制御装置の動作を、車両が平坦路から登坂路にさしかかった場合につき示す動作タイムチャートである。
【図18】従来の駆動力制御装置による駆動力制御動作を、車両が平坦路から登坂路に進入した場合につき示す動作タイムチャートである。
【図19】図1〜図15に示す駆動力制御装置の動作を、運転者がアクセルペダルを釈放した降坂路走行中である場合につき示す動作タイムチャートである。
【図20】従来の駆動力制御装置の動作を、運転者がアクセルペダルを釈放した降坂路走行中である場合につき示す動作タイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 無段変速機
3 アクセルペダル
4 スロットルアクチュエータ
5 スロットルバルブ
6 トルクコンバータ
7 プライマリプーリ
8 セカンダリプーリ
9 Vベルト
10 ファイナルドライブギヤ組
11 ディファレンシャルギヤ装置
12 変速制御油圧回路
13 ステップモータ
14 エンジンコントローラ
15 変速機コントローラ
16 駆動力制御用コントローラ
17 アクセル開度センサ
18 エンジン回転センサ
19 車速センサ
20 ブレーキスイッチ
21 駆動力制御スイッチ
30 駆動力制御可否判定部
40 目標車速算出部
41 目標加速度決定部
42 積分処理部
50 目標駆動力算出部
51 位相補償器
52 規範モデル
53 フィードバック補償器
54 駆動トルク変換部
55 車両モデル
60 実変速比算出部
70 駆動力分配部
71 変速比指令値設定部
72 エンジントルク指令値算出部
80 制御ゲイン補正係数算出部

Claims (4)

  1. 車両の運転状態に応じた目標加速度または該目標加速度のための目標車速が達成されるよう車両の駆動力を制御するための装置において、
    アクセルペダル踏み込み量に基づいて目標加速度を算出し、この算出した目標加速度より目標車速を求め、自車速がこの目標車速に追従するよう前記駆動力を制御する構成とし、
    アクセルペダル踏み込み量が0の時、前記目標車速と実車速との間における車速偏差が大きいほど、また、アクセルペダル踏み込み量を0にする時のアクセルペダル戻し速度が遅いほど、前記駆動力制御のフィードバックゲインを小さくするよう構成したことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. 請求項1に記載の駆動力制御装置において、前記車速偏差に代え、前記駆動力制御を司る積分制御の出力値を用い、該積分制御の出力値が大きいほど、前記駆動力制御のフィードバックゲインを小さくするよう構成したことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の駆動力制御装置において、前記車速偏差または積分制御の出力値と、前記アクセルペダル戻し速度に応じて変化する制御ゲイン補正係数を設定し、この制御ゲイン補正係数を、基準となる駆動力制御のフィードバックゲインに乗じて駆動力制御のフィードバックゲインを求めるよう構成したことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動力制御装置において、アクセルペダル踏み込み量が0の状態からアクセルペダルの踏み込みがなされた時、前記目標車速に実車速を設定すると共に前記車速偏差または積分制御の出力値とアクセルペダル戻し速度とに応じたフィードバックゲインの修正を中止する初期化を行うよう構成したことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
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