JP2001190958A - 脱メタル触媒及びそれを用いた重質油の水素化処理方法 - Google Patents
脱メタル触媒及びそれを用いた重質油の水素化処理方法Info
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Abstract
ナジウムやニッケルなどの不純物金属を内部まで取り込
むことのできる脱メタル能に優れた炭化水素油の脱メタ
ル触媒を提供すること。 【解決手段】 無機耐火性酸化物担体に、周期津表第
6,8〜10族金属の少なくとも一種、又はこのものと
周期律表第15族元素との組み合わせを含む触媒活性成
分を担持してなり、かつ上記担体中に、該触媒活性成分
が存在する部分と、実質上存在しない部分とが混在する
炭化水素油の脱メタル触媒である。
Description
タル触媒及びそれを用いた重質油の水素化処理方法に関
する。さらに詳しくは、本発明は、脱硫活性を低下させ
ずに、炭化水素油中のバナジウムやニッケルなどの不純
物金属を内部まで取り込むことのできる脱メタル能に優
れた炭化水素油の脱メタル触媒、及びこの触媒を用い
て、バナジウムやニッケルを含む劣質な重質油を効果的
に水素化処理する方法に関するものである。
を多量に含有する劣質重質油を効率よく水素化処理する
には、高活性な脱メタル触媒が必要とされている。しか
しながら、原料油が重質になるほど、バナジウムやニッ
ケルなどの不純物金属が多く、その反応性が悪くなる傾
向にある。必要な触媒性能を維持するには、触媒層の反
応温度を上げることが考えられるが、反応温度の上昇
は、触媒活性点を被毒するコークの生成を助長し、触媒
寿命を極端に短くするという好ましくない事態を招来す
る。そこで、反応温度を上げずに、高い脱メタル性能を
発揮しうる新規な脱メタル触媒の開発が望まれていた。
る技術として、例えば担体として針状アルミナの重合体
を用いる方法(特開昭59−166589号公報)、担
体として細孔径10nm程度のシリカあるいはアルミナ
を用いる方法(特公平1−22319号公報)、アルミ
ナやシリカなどの担体に、モリブデンあるいはニッケル
やバナジウムを担持させた触媒(特公平1−38434
号公報、特公平5−26542号公報、特公平6−84
13号公報、特開昭60−65092号公報)などが知
られている。しかしながら、これらの触媒においては、
いずれも触媒粒子中に触媒活性成分が均質かつ密に分散
しているため、重質油中の反応性の高い不純物金属が、
該触媒粒子の外部表面に優先的に付着して、細孔の入口
が閉塞され、触媒粒子内部が有効に利用されないため、
所望の脱メタル活性が得られないという欠点がある。
状況下で、脱硫活性を低下させずに、炭化水素油中のバ
ナジウムやニッケルなどの不純物金属を内部まで取り込
むことのできる脱メタル能に優れた炭化水素油の脱メタ
ル触媒、及びこの触媒を用いて、バナジウムやニッケル
を含む劣質な重質油を効果的に水素化処理する方法を提
供することを目的とするものである。
達成するために鋭意研究を重ねた結果、無機耐火性酸化
物担体に触媒活性成分を担持させた触媒において、上記
担体中に該触媒活性成分が存在する部分と、実質上存在
しない部分とが混在するものが、脱メタル触媒としてそ
の目的に適合しうること、及びこの脱メタル触媒に、水
素の存在下、バナジウムやニッケルを含む重質油を接触
させることにより、効果的に水素化処理しうることを見
出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したもの
である。すなわち、本発明は、無機耐火性酸化物担体
に、周期律表第6,8,9及び10族に属する金属の中
から選ばれた少なくとも一種、又はこのものと周期律表
第15族に属する元素との組合わせを含む触媒活性成分
を担持してなる炭化水素油の脱メタル触媒において、上
記担体中に、該触媒活性成分が存在する部分と、実質上
存在しない部分とが混在していることを特徴とする炭化
水素油の脱メタル触媒を提供するものである。また、本
発明は、上記脱メタル触媒に、水素の存在下、バナジウ
ム及び/又はニッケルを含む重質油を接触させることを
特徴とする重質油の水素化処理方法をも提供するもので
ある。
媒は、無機耐火性酸化物担体に、触媒活性成分を担持し
たものであって、上記無機耐火性酸化物担体としては特
に制限はなく、従来公知の様々な酸化物系担体を用いる
ことができる。この無機耐火性酸化物担体の例として
は、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、あるい
はこれらの複合酸化物であるシリカ−アルミナ、アルミ
ナ−チタニア、シリカ−チタニアなどからなる担体が挙
げられるが、これらの中で、アルミナ、シリカ及びシリ
カ−アルミナ担体が好ましく、特にアルミナのマトリッ
クス中にシリカ粒子を、全触媒重量に基づき、好ましく
は1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%の範
囲で含むものが好適である。これらの担体に担持させる
触媒活性成分としては、本発明においては、周期律表第
6,8,9及び10族に属する金属の中から選ばれた少
なくとも一種、又はこのものと周期律表第15族に属す
る元素との組合わせを含むものが用いられる。上記周期
律表第6族に属する金属としては、例えばモリブデンや
タングステンが好ましく挙げられ、周期律表第8〜10
族に属する金属としては、例えばニッケルやコバルトが
好ましく挙げられる。一方、周期律表第15族に属する
元素としては、リンを好ましく挙げることができる。
さらに他の元素、例えばホウ素などを含むものであって
もよい。本発明の脱メタル触媒としては、全触媒重量に
基づき、周期律表第6族に属する金属を、酸化物として
0.1〜20重量%及び周期律表第8〜10族に属する
金属を、酸化物として0.1〜5重量%含むものが好適
である。第6族金属の酸化物含有量及び第8〜10族金
属の酸化物含有量のいずれかが上記範囲を逸脱すると、
脱メタル性能及び脱硫性能が充分に発揮されないおそれ
がある。脱メタル性能及び脱硫性能の面から、第6族金
属の酸化物含有量及び第8〜10族金属の酸化物含有量
は、それぞれ0.2〜15重量%及び1〜4重量%の範
囲が、特に好ましい。
〜50nmのものが好ましい。この平均細孔径が上記範
囲を逸脱すると脱メタル性能が充分に発揮されないおそ
れがある。脱メタル性能の点から、より好ましい平均細
孔径は、12〜30nmの範囲である。本発明の脱メタ
ル触媒の特徴は、前記無機耐火性酸化物担体中に、前記
触媒活性成分が存在する部分と、実質上存在しない部分
とが混在していることにある。従来の脱メタル触媒にお
いては、担体中に触媒活性成分が均質かつ密に分布して
いることから、炭化水素油中のバナジウムやニッケルな
どの反応性の高い不純物金属が、触媒の外部表面に優先
的に付着する。その結果、細孔の入口が閉塞され、触媒
内部が有効に利用されないため、充分な脱メタル性能が
発揮されないという問題があった。これに対し、本発明
の脱メタル触媒においては、前記したように、担体中の
触媒活性成分の分布が不均質であることから、原料油が
触媒内部まで容易に拡散することができ、担体内部の触
媒活性成分が存在する周りに、該不純物金属が蓄積す
る。その結果、触媒全体が有効に利用でき、脱硫活性を
損なうことなく、高い脱メタル性能が発揮される。
ジ図(a)及び本発明の脱メタル触媒の断面イメージ図
(b)である。図1(a)は、担体中に触媒活性成分1
が均質かつ密に分布しており、触媒の外部表面に、炭化
水素油中の不純物金属3が付着している状態を示してい
る。図1(b)は、担体中に触媒活性成分が存在しない
部分2と、触媒活性成分1が存在する部分とが混在し、
担体内部のそれぞれの触媒活性成分1の周りに、炭化水
素油中の不純物金属3が蓄積している状態を示してい
る。本発明の脱メタル触媒の製造方法としては、前記性
状を有する触媒が得られる方法であればよく、特に制限
はないが、下記の方法により、効率よく製造することが
できる。
周期律表第6,8,9及び10族に属する金属の中から
選ばれた少なくとも一種、又はこのものと周期律表第1
5族に属する元素、さらには所望により用いられるホウ
素などの他の元素、あるいはこれらの元素を一種又は二
種以上含む塩や酸化物などの化合物を、不溶性の場合
は、そのまま混合し、成形、焼成することにより、所望
の脱メタル触媒を得ることができる。一方、可溶性の場
合は、一旦小粒子の無機耐火性酸化物に、常法に従って
担持させたのち焼成して不動化するか、又は大粒子の無
機耐火性酸化物に担持させ、焼成後粉砕して小粒子とな
し、次いで、これを無機耐火性酸化物の前駆体ゲルに混
合し、成形、焼成することにより、所望の脱メタル触媒
を得ることができる。この脱メタル触媒の製造におい
て、前記各元素を一種又は二種以上含む塩や酸化物など
の化合物としては特に制限はなく、例えばモリブデン化
合物として、三酸化モリブデン、窒化モリブデン、Mo
S2 ,MoB,MoSi2 ,CoMoO 4 ,NiMoO
4 ,12モリブドリン酸などが挙げられ、タングステン
化合物として、三酸化タングステン,窒化タングステ
ン,WS2 ,WB,WSi2 ,CoWO4 ,NiW
O4 ,12タングストリン酸、H2 WO4 ,WC,12
タングストケイ酸などが挙げられる。
は、上記のモリブデン又はタングステンとの複合体以外
に、酸化物、水酸化物、塩基性炭酸塩、炭酸塩などが挙
げられる。また、前記焼成の際の温度は、通常200〜
600℃、好ましくは300〜550℃の範囲である。
本発明の脱メタル触媒が適用される炭化水素油としては
特に制限はなく、例えば原油の常圧残油や減圧残油、溶
剤脱歴油、熱分解油、アスファルテン油、タールサンド
などの重質油、あるいは粘度調整のために、これらの重
質油を一旦予備的に水素化処理したものや、軽質油で希
釈したものなどを挙げることができるが、特に、硫黄分
0.5重量%以上、窒素分200ppm以上、バナジウ
ム+ニッケル分5ppm以上及び残炭分5重量%以上の
ものに適用するのが有利である。
ジウム及び/又はニッケルを含むこれらの重質油又はそ
の粘度調整物を、水素の存在下に、前記脱メタル触媒に
接触させることにより行われる。この水素化処理方法の
反応形式としては特に制限はなく、例えば固定床、流動
床、沸騰床など、通常の触媒使用時と同様の反応形式を
用いることができるが、特に固定床が好適である。この
脱メタル触媒を用いる重質油の水素化処理においては、
反応条件として、以下の条件を採用することが有利であ
る。まず、反応温度は300〜450℃の範囲が好まし
い。この反応温度が300℃未満では反応の進行が著し
く遅く、また450℃を超える場合は触媒上に固体炭素
(コーク)が生成し、触媒寿命を著しく低下させる原因
となる。上記と同様の理由から、反応温度は360〜4
20℃の範囲が更に好ましい。また、反応圧力、すなわ
ち水素分圧は3〜20MPaの範囲が好ましい。この圧
力が3MPa未満では、固体炭素が析出し、触媒寿命が
著しく低下するおそれがあるし、また20MPaを超え
る圧力は装置設計上不経済である。上記と同様の理由か
ら、水素分圧は10〜18MPaの範囲が更に好まし
い。水素/油比は300〜2000Nm3 /m3 の範囲
であることが好ましい。この比率が300Nm3 /m3
未満の場合は、水素化精製が充分に進行しないおそれが
あり、2000Nm3 /m 3 を超える場合は、装置設計
上不経済である。上記と同様の理由から、該比率は50
0〜1000Nm3 /m3 の範囲であることが更に好ま
しい。液時空間速度(LHSV)は0.1〜3.0h-1
の範囲が好ましい。このLHSVが0.1h -1未満の場
合は、経済的に充分な処理速度が得られないおそれがあ
り、、また3.0h-1を超える場合は、反応時間が不充
分で原料油の水素化精製が完了しない場合がある。上記
と同様の理由から、該LHSVは0.5〜2h-1の範囲
であることが更に好ましい。
説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定さ
れるものではない。 比較例1 (1)脱メタル触媒の調製 純水77ミリリットル中に12リンタングステン酸2
2.3gを溶解させてなる溶液を、比表面積160mm
2 /g、平均細孔径18nmのアルミナ担体100gに
含浸させたのち、550℃で3時間焼成した。次いで、
このものに、純水77ミリリットル中に硝酸ニッケル
7.8gを溶解してなる溶液を含浸ささせたのち、55
0℃で3時間焼成することにより、脱メタル触媒Aを得
た。この触媒Aの酸化物基準の組成を第1表に示すと共
に、EPMA(電子線プローブマイクロアナライザー)
による金属の担持状態の線分析結果を図2に示す。 (2)重質油の水素化処理 上記(1)で得られた脱メタル触媒A100ミリリット
ルをステンレス鋼製のサンプルバスケットに入れ、残油
水素化脱硫装置の上部に設置し、第2表に示す性状を有
する中東系の常圧残油を、8000時間通油した。生成
油中の主成分(343℃以上の沸点留分)の硫黄分が一
定になるように、反応温度を調節しながら、水素化脱硫
処理を行った。水素化脱硫処理条件を第3表に示す。次
に、使用済み触媒Aを反応器から取り出し、トルエンで
充分に洗浄したのち、乾燥させた。この使用済み触媒A
の酸化物基準の組成及び炭素分と硫黄分の付着量を第1
表に示すと共に、EPMAによる線分析の結果を図3に
示す。
75μm以下に粉砕したものと、乾燥重量80gのアル
ミナゲルとをよく混合し、円柱状に押出して成形したの
ち、500℃で3時間焼成することにより、脱メタル触
媒Bを得た。この触媒Bの酸化物基準の組成を第1表に
示すと共に、EPMAによる線分析の結果を図4に示
す。 (2)重質油の水素化処理 比較例1(2)において、脱メタル触媒Aの代わりに、
上記(1)で得た脱メタル触媒Bを用いた以外は、比較
例1(2)と同様な操作を行った。使用済み触媒Bの酸
化物基準の組成及び炭素分と硫黄分の付着量を第1表に
示すと共に、EPMAによる線分析の結果を図5に示
す。
使用済み触媒Aでは、バナジウムが外表面に相対的に多
く付着しているのに対し、実施例1の使用済み触媒Bで
は、内部までバナジウムが充分に蓄積されている。ま
た、第1表から分かるように、実施例1の使用済み触媒
Bは、比較例1の使用済み触媒Aに比べて、バナジウム
とニッケルの合計蓄積量がはるかに多い。
脱硫活性を低下させずに、炭化水素油中のバナジウムや
ニッケルなどの不純物金属を内部まで取り込むことがで
き、脱メタル能に優れている。したがって、この脱メタ
ル触媒を用いることにより、バナジウムやニッケルを含
む劣質な重質油を効果的に水素化処理することができ
る。
及び本発明の脱メタル触媒の断面イメージ図(b)であ
る。
分析チャートである。
による線分析チャートである。
分析チャートである。
による線分析チャートである。
Claims (4)
- 【請求項1】 無機耐火性酸化物担体に、周期律表第
6,8,9及び10族に属する金属の中から選ばれた少
なくとも一種、又はこのものと周期律表第15族に属す
る元素との組合わせを含む触媒活性成分を担持してなる
炭化水素油の脱メタル触媒において、上記担体中に、該
触媒活性成分が存在する部分と、実質上存在しない部分
とが混在していることを特徴とする炭化水素油の脱メタ
ル触媒。 - 【請求項2】 平均細孔径が10〜50nmである請求
項1記載の炭化水素油の脱メタル触媒。 - 【請求項3】 全触媒重量に基づき、周期律表第6族に
属する金属を酸化物として0.1〜20重量%及び周期
律表第8〜10族に属する金属を酸化物として0.1〜
5重量%含む請求項1記載の炭化水素油の脱メタル触
媒。 - 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の脱メタル触媒
に、水素の存在下、バナジウム及び/又はニッケルを含
む重質油を接触させることを特徴とする重質油の水素化
処理方法。
Priority Applications (1)
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JP2000004214A JP4473393B2 (ja) | 2000-01-13 | 2000-01-13 | 脱メタル触媒及びそれを用いた重質油の水素化処理方法 |
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JP2008093493A (ja) * | 2006-10-05 | 2008-04-24 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 脱メタル触媒及びそれを用いた重質油の水素化処理方法 |
JP2009513323A (ja) * | 2005-10-26 | 2009-04-02 | アルベマール・ネーザーランズ・ベーブイ | 賦型バルク触媒の作製方法 |
JP2012139617A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Jgc Catalysts & Chemicals Ltd | 炭化水素油の水素化処理触媒及びそれを用いた水素化処理方法 |
CN104549333A (zh) * | 2013-10-23 | 2015-04-29 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种渣油加氢脱金属催化剂的制备方法 |
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2000
- 2000-01-13 JP JP2000004214A patent/JP4473393B2/ja not_active Expired - Fee Related
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