JP2008093493A - 脱メタル触媒及びそれを用いた重質油の水素化処理方法 - Google Patents

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隆一郎 岩本
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Abstract

【課題】脱メタル活性が高く、触媒寿命の長い炭化水素油の脱メタル触媒及びこの触媒を用いて、バナジウムやニッケルを含む劣質な重質油を効果的に水素化処理する方法を提供することである。
【解決手段】無機耐火性酸化物担体(A)に、周期律表第6族に属する金属と周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を担持してなる炭化水素油の脱メタル触媒において、周期律表第6族に属する金属が該担体(A)中に均一に分散し、かつ周期律表第6族に属する金属と周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を含有する無機耐火性酸化物粒子(B)が、担体(A)中に均一に分散していることを特徴とする炭化水素油の脱メタル触媒である。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭化水素油の脱メタル触媒及びそれを用いた重質油の水素化処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、脱硫活性を低下させずに、炭化水素油中のバナジウムやニッケルなどの不純物金属を内部まで取り込むことのできる脱メタル能に優れた炭化水素油の脱メタル触媒、及びこの触媒を用いて、バナジウムやニッケルを含む劣質な重質油を効果的に水素化処理する方法に関する。
バナジウムやニッケルなどの不純物金属を多量に含有する劣質重質油を、効率よく水素化処理するための高活性な脱メタル触媒が必要とされている。しかしながら、原料油が重質になるほど、バナジウムやニッケルなどの不純物金属が多く、その反応性が悪くなる傾向にある。必要な触媒性能を維持するには、触媒層の反応温度を上げることが考えられるが、反応温度の上昇は、触媒活性点を被毒するコークの生成を助長し、触媒寿命を極端に短くするという好ましくない事態を招来する。そこで、反応温度を上げずに、高い脱メタル性能を発揮しうる新規な脱メタル触媒の開発が望まれていた。
これまで、脱メタル触媒の性能を向上させる技術として、例えば担体として針状アルミナの重合体を用いる方法(特許文献1参照)、担体として細孔径10nm程度のシリカあるいはアルミナを用いる方法(特許文献2参照)、アルミナやシリカなどの担体に、モリブデンあるいはニッケルやバナジウムを担持させた触媒(特許文献3〜5参照)などが知られている。しかしながら、これらの触媒においては、いずれも触媒粒子中に触媒活性成分が均質かつ密に分散しているため、重質油中の反応性の高い不純物金属が、該触媒粒子の外部表面に優先的に付着して、細孔の入口が閉塞され、触媒粒子内部が有効に利用されないため、所望の脱メタル活性が得られないという欠点があった。
上記課題に対して、多孔質無機酸化物からなる担体に、水素化活性金属及びカリウムを含有する触媒であって、水素化活性金属の濃度が触媒の外周部より中心部で高く、カリウムの濃度が触媒の中心部より外周部で高い水素化精製触媒が提案されている(特許文献6参照)。しかしながら、この触媒は触媒の寿命は改善されるものの、触媒の絶対活性が低下するため、脱メタル活性が不十分であった。
また、本発明者は、無機耐火性酸化物担体に、周期律表第6,8,9及び10族に属する金属の中から選ばれた少なくとも一種、又はこのものと周期律表第15族に属する元素との組合わせを含む触媒活性成分を担持してなる炭化水素油の脱メタル触媒であり、担体中にこれらの触媒活性成分が存在する部分と、実質上存在しない部分とが混在していることを特徴とする炭化水素油の脱メタル触媒を提案した(特許文献7参照)。
この脱メタル触媒は、脱硫活性を低下させずに、炭化水素油中のバナジウムやニッケルなどの不純物金属を内部まで取り込むことができ、脱メタル能に優れている。
特開昭59−166589号公報 特公平1−22319号公報 特公平1−38434号公報 特公平5−26542号公報 特公平6−8413号公報 特開昭60−65092号公報 特開2001−190958号公報
本発明は、このような状況下でなされたもので、特許文献7に開示される脱メタル触媒を改良し、さらに脱メタル活性が高く、触媒寿命の長い炭化水素油の脱メタル触媒及びこの触媒を用いて、バナジウムやニッケルを含む劣質な重質油を効果的に水素化処理する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、無機耐火性酸化物担体中に周期律表第6族に属する金属が均一に分散し、かつ周期律表第6族に属する金属と周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を含有する無機耐火性酸化物粒子が、前記担体中に分散する脱メタル触媒が上記課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、
(1)無機耐火性酸化物担体(A)に、周期律表第6族に属する金属と周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を担持してなる炭化水素油の脱メタル触媒において、周期律表第6族に属する金属が該担体(A)中に均一に分散し、かつ周期律表第6族に属する金属と周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を含有する無機耐火性酸化物粒子(B)が、担体(A)中に均一に分散していることを特徴とする炭化水素油の脱メタル触媒、
(2)全触媒質量に基づき、周期律表第6族に属する金属を酸化物として0.1〜20質量%及び周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を酸化物として0.1〜5質量%含む上記(1)に記載の炭化水素油の脱メタル触媒、
(3)さらに周期律表第15族に属する元素を含有する上記(1)又は(2)に記載の炭化水素油の脱メタル触媒、
(4)平均細孔径が10〜50nmである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭化水素油の脱メタル触媒、
(5)細孔径が100nm以上のマクロポアの細孔容積が全細孔容積に対して5〜30%である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の炭化水素油の脱メタル触媒、及び
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の脱メタル触媒に、水素の存在下、バナジウム及び/又はニッケルを含む重質油を接触させることを特徴とする重質油の水素化処理方法、
を提供するものである。
本発明によれば、脱硫活性を低下させずに、炭化水素油中のバナジウムやニッケルなどの不純物金属を触媒の内部まで取り込むことができる、脱メタル能に優れた炭化水素油の脱メタル触媒を提供することができる。この脱メタル触媒を用いることにより、バナジウムやニッケルを含む劣質な重質油を効果的に水素化処理することができる。
本発明の脱メタル触媒は、無機耐火性酸化物担体に、周期律表第6族に属する金属と周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属、及び所望により周期律表第15族に属する元素を含有するものである。本発明の脱メタル触媒の断面イメージを示す図1を用いて、本発明の脱メタル触媒の構成について以下説明する。
本発明の脱メタル触媒は、無機耐火性酸化物担体(A)中に、周期律表第6族に属する金属が均一に分散しており、図1において1として示される部分がこれに該当する。また、周期律表第6族に属する金属と周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を含有する無機耐火性酸化物粒子(B)が、無機耐火性酸化物担体(A)中に均一に分散している。すなわち、触媒全体を微視的にみると、周期律表第6族に属する金属は触媒体の全体に均一に分散するものであり、一方、周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属は粒子(B)中に偏在し、1の部分には存在しない。なお、周期律表第15族に属する元素は、粒子(B)内に又は1の部分のいずれに存在していてもよい。
触媒体が上述のような構造をとることにより、バナジウム、ニッケルなどの不純物金属が触媒外部表面に付着して、細孔の入口が閉塞されることがなく、原料油を触媒内部まで拡散させることができる。そして、周期律表第6族に属する金属と周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を含有する無機耐火性酸化物粒子(B)、すなわち脱メタル活性の高い部分である粒子(B)の周囲に不純物金属2が選択的に蓄積され、触媒を内部の方まで効率的に使用することができる。しかも、1の部分には脱メタル及び脱硫活性を有する周期律表第6族に属する金属が均一に分散しているため、高い脱メタル活性及び脱硫活性を維持することができる。
上記粒子(B)の触媒全体に対する割合は、10〜80質量%の範囲が好ましい。粒子(B)の割合がこの範囲であると高い脱メタル活性が得られる。以上の観点から、粒子(B)の触媒全体に対する割合は、20〜60質量%の範囲がさらに好ましい。
また粒子(B)の平均粒子径としては1〜100μmの範囲であることが原料油の拡散の点から好ましい。以上の観点から、粒子(B)の平均粒子径としては2〜50μmの範囲がさらに好ましい。
本発明の触媒を製造する方法について以下に詳述する。
まず、周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を含有する無機耐火性酸化物粒子(B)を調製する(以下「基本触媒」という。)。具体的には、無機耐火性酸化物の前駆体ゲルに、周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属、あるいはこれらの金属を一種又は二種以上含む塩や酸化物などの化合物を、不溶性の場合は、そのまま混合し、成形、焼成することにより得ることができる。または、無機耐火性酸化物の前駆体ゲルの焼成体に周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を溶解した水溶液等を含浸することにより得ることができる。なお、ここでの焼成温度としては、通常200〜600℃、好ましくは300〜550℃の範囲である。
また、上記周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属に加えて、必要に応じて周期律表第15族に属する元素、さらには所望により用いられるホウ素などの他の元素を加えることができる。
次に、上記基本触媒を必要な粒度に粉砕して、無機耐火性酸化物のゲルと周期律表第6族金属の塩及び必要に応じて加えられる周期律表第15族に属する元素の塩の水溶液を混練し、成形・焼成して、本発明の触媒を調製する。または、上記基本触媒を、無機耐火性酸化物のゲルと混合し、成形・焼成した後に、周期律表第6族に属する金属及び周期律表第15族に属する元素を含む溶液を含浸して、本発明の触媒を調製する。ここでの焼成温度も、通常200〜600℃、好ましくは300〜550℃の範囲である。なお、ここで使用する無機耐火性酸化物のゲルは上述の無機耐火性酸化物担体(A)を構成するものである。
また、基本触媒の粉砕を行う方法に代えて、あらかじめ小粒子の無機耐火性酸化物粒子に周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を担持して、小粒子径の基本触媒を得る方法によっても同様に本発明の触媒を調製することが可能である。
本発明で使用する無機耐火性酸化物担体(A)及び基本触媒(粒子(B))を構成する無機耐火性酸化物としては特に制限はなく、従来公知の様々な耐火性の酸化物系担体を用いることができる。この無機耐火性酸化物担体の例としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、マグネシア、あるいはこれらの複合酸化物であるシリカ−アルミナ、アルミナ−チタニア、アルミナ−ボリア、シリカ−チタニアなどからなる担体が挙げられるが、これらの中で、アルミナ、シリカ及びシリカ−アルミナ担体が好ましい。
なお、無機耐火性酸化物担体(A)及び基本触媒(粒子(B))を構成する無機耐火性酸化物はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
本発明の脱メタル触媒の活性成分である、周期律表第6族に属する金属としては、モリブデン及びタングステンが挙げられ、周期律表第9族に属する金属としてはコバルト、周期律表第10族に属する金属としてはニッケルが挙げられる。また、本発明の脱メタル触媒はこれらの活性成分の他に周期律表第15族に属する元素を含むことが好ましく、より具体的にはリンを挙げることができる。また、この触媒活性成分は、必要に応じ、さらに他の元素、例えばホウ素などを含むものであってもよい。
本発明の脱メタル触媒としては、全触媒質量に基づき、周期律表第6族に属する金属を、酸化物として0.1〜20質量%及び周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を、酸化物として0.1〜5質量%含むものが好適である。第6族金属の酸化物含有量、第9族及び/又は第10族に属する金属の酸化物含有量が上記範囲であると、十分な脱メタル性能及び脱硫性能が発揮され好ましい。以上の観点から、周期律表第6族に属する金属を、酸化物として0.2〜15質量%及び周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を、酸化物として1〜4質量%含むものがさらに好ましい。
また、周期律表第15族に属する元素は0.1〜4質量%含むものが好適である。
また、本発明の脱メタル触媒は、平均細孔径10〜50nmのものが好ましい。この平均細孔径が上記範囲内であると脱メタル性能が充分に発揮され得る。脱メタル性能の点から、より好ましい平均細孔径は15〜30nm、さらに好ましくは16〜25nmの範囲である。
また、細孔径が100nm以上のマクロポアの細孔容積が全細孔容積に対して5〜30%であることが好ましい。マクロポアの細孔容積が5%以上であると、耐メタル性向上により触媒寿命が延長する点で好ましく、一方、30%以下であると有効比表面積の維持の点で好ましい。以上の観点から、マクロポアの細孔容積は全細孔容積に対して7〜25%の範囲であることがさらに好ましい。
触媒の調製に用いる周期律表第9族金属源としては、コバルト金属、酸化コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト、硫酸コバルト、炭酸コバルト、水酸化コバルト等を挙げることができ、酸化物として0.1〜5質量%となるように担持される。
また、触媒の調製に用いる周期律表第10族金属源としては、ニッケル金属、酸化ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル等を挙げることができ、酸化物として0.1〜5質量%となるように担持される。
触媒の調製に用いる周期律表第6族金属源としては、例えばモリブデン化合物として、三酸化モリブデン、窒化モリブデン、MoS2、MoB、MoSi2、CoMoO4、NiMoO4、12モリブドリン酸などが挙げられ、タングステン化合物として、三酸化タングステン、窒化タングステン、WS2、WB、WSi2、CoWO4、NiWO4、12タングストリン酸、H2WO4 、WC、12タングストリン酸、H2WO4、WC、12タングストケイ酸などが挙げられる。
また、触媒の調製に用いる周期律表第15族元素源としては、リン酸、P25、リン酸アンモニウムなどが挙げられる。
本発明の脱メタル触媒が適用される炭化水素油としては特に制限はなく、例えば原油の常圧残油や減圧残油、溶剤脱歴油、熱分解油、アスファルテン油、タールサンドなどの重質油、あるいは粘度調整のために、これらの重質油を一旦予備的に水素化処理したものや、軽質油で希釈したものなどを挙げることができる。これらのうち、特に、硫黄分0.5質量%以上、窒素分200質量ppm以上、バナジウム+ニッケル分5質量ppm以上及び残炭分5質量%以上のものに適用するのが有利である。
本発明における重質油の水素化処理方法は、バナジウム及び/又はニッケルを含む上記重質油又はその粘度調整物を、水素の存在下に、本発明の脱メタル触媒に接触させることにより行われる。この水素化処理方法の反応形式としては特に制限はなく、例えば固定床、流動床、沸騰床など、通常の触媒使用時と同様の反応形式を用いることができるが、特に固定床が好適である。
本発明の脱メタル触媒を用いる重質油の水素化処理においては、反応条件として、以下の条件を採用することが有利である。まず、反応温度は300〜450℃の範囲が好ましい。この反応温度が300℃以上であると十分な速度で反応が起こり、また450℃以下であるとコークが生成し、触媒寿命を著しく低下させることがない。以上の観点から、反応温度は360〜420℃の範囲が更に好ましい。
また、反応圧力、すなわち水素分圧は3〜20MPaの範囲が好ましい。この圧力が3MPa以上であると、コークが析出し、触媒寿命が著しく低下することがない。一方、20MPa以下であると経済的に有利である。以上の観点から、水素分圧は10〜18MPaの範囲が更に好ましい。
さらに、水素/油比は300〜2000Nm3/m3の範囲であることが好ましい。この比率が300Nm3/m3以上であると、水素化精製が充分に進行し、2000Nm3/m3以下であると経済的に有利である。以上の観点から、該比率は500〜1000Nm3/m3の範囲であることが更に好ましい。また、液空間速度(LHSV)は、反応塔充填全触媒基準で、0.1〜10h-1の範囲が好ましい。このLHSVが0.1h-1以上であると、経済的に充分な処理速度が得られ、また10h-1以下であると、反応時間が不充分であり、原料油の水素化精製が完了する。以上の観点から、LHSVは0.5〜5h-1の範囲であることが更に好ましい。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
(1)脱メタル触媒の調製
純水140ミリリットル中に酢酸ニッケル4水和物6.6gを溶解させてなる溶液を、比表面積150m2/g、平均細孔径18nmのアルミナ担体200gに含浸させたのち、550℃で3時間焼成して、脱メタル触媒A(基本触媒)を得た。脱メタル触媒AにおけるNiO含有量は2.5質量%であった。次いで、この脱メタル触媒Aを粉砕し、該粉砕物80gをアルミナゲル(アルミナ含量20質量%)600gに混合して、成形し、550℃で3時間焼成し、脱メタル触媒Bを得た。
次に、純水135ミリリットル中にモリブデン酸アンモニウム4水和物6.6gを溶解させてなる溶液を、脱メタル触媒B200gに含浸し、550℃で3時間焼成し、脱メタル触媒Cを得た。脱メタル触媒CにおけるNiO含有量は0.9質量%、MoO3含有量は4.9質量%であった。また、脱メタル触媒Cの平均細孔径は16.2nm、マクロポアの細孔容積は全細孔容積の8%であった。また、EPMAによる線分析の結果を図2に示す。触媒C中にMoは均一に分散し、基本触媒(Ni)は粒子(B)の存在する位置に偏在していた。
(2)重質油の水素化処理
小型高圧固定床反応装置の反応管に、脱メタル触媒Cを50ミリリットル充填した。この脱メタル触媒Cに、硫化剤としてジメチルジスルフィド(DMDS)を添加して硫黄濃度を2.5質量%に調整した軽質軽油を用いて、水素気流中、温度250℃、圧力13.5MPa、液空間速度(LHSV)1.21h-1の条件で21時間予備硫化した。
次に第1表に示す性状を有する常圧残油からなる原料油を、反応温度385℃、反応圧力14.5MPa、液空間速度(LHSV)1.0h-1の条件で10日間通油し、生成油中のバナジウム及びニッケルの含有量を測定することにより、脱メタル性能を評価した。結果を第4表に示す。
また、上記(1)で得られた脱メタル触媒Cを100ミリリットルとり、ステンレス鋼製のサンプルバスケットに入れ、残油水素化脱硫装置の上部に設置した。これに第2表に示す性状を有する中東系の常圧残油を、8000時間通油した。生成油中の主成分(343℃以上の沸点留分)の硫黄分が一定になるように、反応温度を調節しながら、水素化脱硫処理を行った。水素化脱硫処理条件を第3表に示す。次に、使用済み触媒Cを反応器から取り出し、トルエンで充分に洗浄したのち、乾燥させた。この使用済み触媒Cの酸化物基準の組成及び炭素分と硫黄分の蓄積量を第4表に示す。なお、この蓄積量は新触媒を基準としたものである。また、使用済み触媒のEPMAによる分析結果を図3に示す。
実施例2
(1)脱メタル触媒の調製
実施例1で調製した脱メタル触媒Bに、純水135ミリリットル中にモリブデン酸アンモニウム4水和物12.2gとリン酸2.5gを溶解させてなる溶液を、脱メタル触媒B200gに含浸し、550℃で3時間焼成し、脱メタル触媒Dを得た。脱メタル触媒DにおけるNiO含有量は0.9質量%、MoO3含有量は4.9質量%、P25含有量は0.9質量%であった。また、脱メタル触媒Dの平均細孔径は16.2nm、マクロポアの細孔容積は全細孔容積の8%であった。
(2)重質油の水素化処理
実施例1(2)において、脱メタル触媒Aの代わりに脱メタル触媒Dを用いたこと以外は、実施例1(2)と同様にして評価した。結果を第4表に示す。
実施例3
(1)脱メタル触媒の調製
純水140ミリリットル中に酢酸ニッケル4水和物6.6gとリン酸6.25gを溶解してなる溶液を、比表面積150m2/g、平均細孔径18nmのアルミナ担体200gに含浸させたのち、550℃で3時間焼成して、脱メタル触媒Eを得た。脱メタル触媒EにおけるNiO含有量は2.5質量%、P25含有量は0.9質量%であった。次いで、この脱メタル触媒Eを粉砕し、該粉砕物80gをアルミナゲル(アルミナ含量20質量%)600gに混合して、成形し、550℃で3時間焼成し、脱メタル触媒Fを得た。
次に、純水135ミリリットル中にモリブデン酸アンモニウム4水和物12.2gを溶解させてなる溶液を、脱メタル触媒F200gに含浸し、550℃で3時間焼成し、脱メタル触媒Gを得た。脱メタル触媒GにおけるNiO含有量は0.9質量%、MoO3含有量は4.9質量%、P25含有量は0.2質量%であった。また、脱メタル触媒Gの平均細孔径は16.5nm、マクロポアの細孔容積は全細孔容積の7.5%であった。
(2)重質油の水素化処理
実施例1(2)において、脱メタル触媒Aの代わりに脱メタル触媒Gを用いたこと以外は、実施例1(2)と同様にして評価した。結果を第4表に示す。
比較例1
(1)脱メタル触媒の調製
純水160ミリリットル中に酢酸ニッケル4水和物6.6g及びモリブデン酸アンモニウム4水和物12.2gを溶解させてなる溶液を、比表面積150m2/g、平均細孔径18nmのアルミナ担体200gに含浸させたのち、550℃で3時間焼成して、脱メタル触媒Hを得た。脱メタル触媒HにおけるNiO含有量は1.0質量%、MoO3含有量は4.9質量%であった。脱メタル触媒Hの平均細孔径は16nm、マクロポアの細孔容積は全細孔容積の8.0%であった。
(2)重質油の水素化処理
実施例1(2)において、脱メタル触媒Aの代わりに脱メタル触媒Hを用いたこと以外は、実施例1(2)と同様にして評価した。結果を第4表に示す。
比較例2
(1)脱メタル触媒の調製
純水160ミリリットル中に酢酸ニッケル4水和物3.3g及びモリブデン酸アンモニウム4水和物60gを溶解させてなる溶液を、比表面積150m2/g、平均細孔径
18nmのアルミナ担体200gに含浸させたのち、550℃で3時間焼成して、脱メタル触媒Iを得た。脱メタル触媒IにおけるNiO含有量は6.0質量%、MoO3含有量は26.0質量%であった。次いで、この脱メタル触媒Iを75μm以下に粉砕し、該粉砕物20gをアルミナゲル(アルミナ含量20質量%)400gに混合して、成形し、550℃で3時間焼成し、脱メタル触媒Jを得た。脱メタル触媒JにおけるNiO含有量は1.2質量%、MoO3含有量は5.2質量%であった。また、脱メタル触媒Jの平均細孔径は16.4nm、マクロポアの細孔容積は全細孔容積の8.2%であった。
(2)重質油の水素化処理
実施例1(2)において、脱メタル触媒Aの代わりに脱メタル触媒Iを用いたこと以外は、実施例1(2)と同様にして評価した。結果を第4表に示す。
Figure 2008093493
Figure 2008093493
Figure 2008093493
Figure 2008093493
図3に示すように本発明の触媒は、バナジウム及びニッケルが触媒の内部にまで存在し、触媒の内部まで使用されていることがわかる。
本発明によれば、脱メタル活性が高く、触媒寿命の長い炭化水素油の脱メタル触媒及びこの触媒を用いたバナジウムやニッケルを含む劣質な重質油を効果的に水素化処理する方法を提供することができる。
本発明の脱メタル触媒の断面イメージ図である。 実施例1で調製した本発明の脱メタル触媒におけるEPMAによる線分析の結果を示す図である。 実施例1で調製した脱メタル触媒における使用済み触媒のEPMAによる分析結果を示す図である。
符号の説明
1:周期律表第6族に属する金属が均一に分散する部分
2:不純物金属
A:無機耐火性酸化物担体
B:無機耐火性酸化物粒子

Claims (6)

  1. 無機耐火性酸化物担体(A)に、周期律表第6族に属する金属と周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を担持してなる炭化水素油の脱メタル触媒において、周期律表第6族に属する金属が該担体(A)中に均一に分散し、かつ周期律表第6族に属する金属と周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を含有する無機耐火性酸化物粒子(B)が、担体(A)中に均一に分散していることを特徴とする炭化水素油の脱メタル触媒。
  2. 全触媒質量に基づき、周期律表第6族に属する金属を酸化物として0.1〜20質量%及び周期律表第9族及び/又は第10族に属する金属を酸化物として0.1〜5質量%含む請求項1記載の炭化水素油の脱メタル触媒。
  3. さらに周期律表第15族に属する元素を含有する請求項1又は2に記載の炭化水素油の脱メタル触媒。
  4. 平均細孔径が10〜50nmである請求項1〜3のいずれかに記載の炭化水素油の脱メタル触媒。
  5. 細孔径が100nm以上のマクロポアの細孔容積が全細孔容積に対して5〜30%である請求項1〜4のいずれかに記載の炭化水素油の脱メタル触媒。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の脱メタル触媒に、水素の存在下、バナジウム及び/又はニッケルを含む重質油を接触させることを特徴とする重質油の水素化処理方法。
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