JP2001190228A - 粉末状大豆蛋白及び高加水系畜肉加工品用添加材 - Google Patents

粉末状大豆蛋白及び高加水系畜肉加工品用添加材

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JP2001190228A
JP2001190228A JP2000265815A JP2000265815A JP2001190228A JP 2001190228 A JP2001190228 A JP 2001190228A JP 2000265815 A JP2000265815 A JP 2000265815A JP 2000265815 A JP2000265815 A JP 2000265815A JP 2001190228 A JP2001190228 A JP 2001190228A
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powdery
soybean protein
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JP2000265815A
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Norihisa Nagao
憲尚 長尾
Yuki Katsuta
雄己 勝田
Hiroyuki Tanno
裕之 丹野
Haruo Tanaka
晴生 田中
Takao Nakamura
孝夫 中村
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】最終製品の食感に線維感を付与せしめることが
できる粉末状非凝固性不溶解物及び該非凝固性不溶解物
を含有する粉末状大豆蛋白を提供する。 【解決手段】 平均粒径が1〜40μmである粉末状非
凝固性不溶解物を含有する粉末状大豆蛋白、該粉末状大
豆蛋白を含有する高加水系畜肉加工品用添加材、及び該
粉末状非凝固性不溶解物を0.1〜2.0重量%含有す
る高加水系畜肉加工品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末状非凝固性不
溶解物又はそれを含有する粉末状大豆蛋白からなる畜肉
加工品用添加材に関する。また、本発明は、粉末状非凝
固性不溶解物又はそれを含有する粉末状大豆蛋白からな
る畜肉加工品用添加材を含有する高加水系の畜肉加工品
用ピックル及び畜肉加工品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から大豆蛋白、卵白、乳蛋白をはじ
めとする加熱凝固性蛋白は、畜肉加工食品、水産練り加
工食品等に幅広く利用されてきた。特に高加水系のハム
やベーコン等の畜肉加工品においては、大豆蛋白、卵
白、乳蛋白等を数種添加することが多く、その添加効果
は保水性、物性改良等多岐にわたっている。
【0003】高加水系のハムやベーコン等の畜肉加工品
において、大豆蛋白、卵白、乳蛋白等はピックル用とし
て広く利用されていることは前述の通りだが、これら加
熱凝固性蛋白の添加量を増やすと、加熱凝固性蛋白のゲ
ル物性が製品の食感に影響し、本来の肉としての食感が
損なわれるという問題が起こる。昨今の食品の本物感へ
の意識が高まる中で、高加水系のハムやベーコン等の畜
肉加工品の不自然な食感は、消費者には受け入れ難いも
のとなっている。逆に、加熱凝固性蛋白の添加を抑えて
いるJAS標準品、加熱凝固性蛋白を殆ど含まないか又
は全く含まないJAS上級品、特級品である本来の肉様
食感を呈するハムやベーコン等の畜肉加工品が好まれる
傾向にある。しかしながら、高加水系のハムやベーコン
等の畜肉加工品において、加熱凝固性蛋白の添加量を押
さえることは、保水性の低下やスライス適性の悪化等を
招くため、その使用量を抑えることができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高加
水系のハムやベーコン等の畜肉加工品の製造において、
最終製品の食感に線維感を付与せしめることができる粉
末状非凝固性不溶解物を含有する畜肉加工品用添加材及
び該非凝固性不溶解物と粉末状大豆蛋白とを含有する畜
肉加工品用添加材を提供することにある。本発明のさら
なる目的は、該添加材を含有する高加水系畜肉加工品用
ピックルを提供すること、及び該添加材を含有する畜肉
加工品とその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、高加水系の
ハムやベーコン等の畜肉加工品における食感改良検討を
進めていく中で、組織中に多量の原料由来ではない大豆
蛋白、卵白、乳蛋白などの加熱凝固性蛋白が均一に分散
して筋線維束を無作為に結着させ、また、一部の加熱凝
固性蛋白の不溶解物は組織中に塊(「サシ」と呼称)と
なってゲル化することで、不自然な食感を呈することを
発見した。逆に大豆蛋白、卵白、乳蛋白等の異種加熱凝
固性蛋白の添加量の少ない低加水系のハム等では、筋線
維束の無作為な結着が少なく、筋線維束が本来の組織構
造を維持しているため、咀嚼における食感として線維感
を呈することも確認した。ここで言う、線維感とは、肉
本来の食感、即ち筋線維束が咀嚼中にほぐれていく官能
的な感覚を指す。
【0006】そこで発明者らは鋭意研究の結果、加熱凝
固性蛋白の添加によって不自然な食感を呈する傾向にあ
る高加水系のハムやベーコン等の畜肉加工品において
も、粉末状非凝固性不溶解物を添加することによって強
制的に本来の筋線維束の組織構造を維持させてやること
で、食感に線維感を付与することが可能であることを発
見し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の各発
明を包含する。
【0007】(1)平均粒径が1〜40μm、好ましく
は1〜35μm、より好ましくは1〜20μmである粉
末状非凝固性不溶解物を含有する粉末状大豆蛋白。 (2)平均粒径が1〜40μm、好ましくは1〜35μ
m、より好ましくは1〜20μmである粉末状非凝固性
不溶解物を含有する粉末状大豆蛋白、又は平均粒径が1
〜40μmである粉末状非凝固性不溶解物を含有する高
加水系畜肉加工品用添加材。 (3)平均粒径が1〜40μm、好ましくは1〜35μ
m、より好ましくは1〜20μmである粉末状非凝固性
不溶解物を含有する粉末状大豆蛋白、又は平均粒径が1
〜40μm、好ましくは1〜35μm、より好ましくは
1〜20μmである粉末状非凝固性不溶解物を案有する
畜肉加工品用のピックル用添加材、特に高加水系畜肉加
工品用のピックル用添加材。
【0008】(4)前記粉末状非凝固性不溶解物が、オ
カラ、小麦ふすま、脱脂大豆、セルロース、難消化性デ
キストリン、キトサン及びシリカゲルからなる群から選
ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、(1)
〜(3)に記載の畜肉加工品用添加材、特に高加水系畜
肉加工品用添加材、及び畜肉加工品用のピックル用添加
材、特に高加水系畜肉加工品用のピックル用添加材。 (5)前記畜肉加工品がハム、ソーセージ及びベーコン
から選ばれる1種であることを特徴とする(1)〜
(4)のいずれかに記載の畜肉加工品用添加材、特に高
加水系畜肉加工品用添加材、及び畜肉加工品用のピック
ル用添加材、特に高加水系畜肉加工品用のピックル用添
加材。
【0009】(6)平均粒径が1〜40μm、好ましく
は1〜35μm、より好ましくは1〜20μmである粉
末状非凝固性不溶解物を0.1〜2.0重量%含有する
ことを特徴とする畜肉加工品、特に高加水系畜肉加工
品。 (7)平均粒径が1〜40μm、好ましくは1〜35μ
m、より好ましくは1〜20μmである粉末状非凝固性
不溶解物を0.1〜2.0重量%含有することを特徴と
するハム、ソーセージ又はベーコン。
【0010】(8)前記(1)〜(5)のいずれか1項
に記載の畜肉加工品用添加材、特に高加水系畜肉加工品
用添加材、又は畜肉加工品用のピックル用添加材、特に
高加水系畜肉加工品用のピックル用添加材を含有するこ
とを特徴とする畜肉加工品用ピックル、特に高加水系畜
肉加工品用ピックル。
【0011】(9)平均粒径が1〜40μm、好ましく
は1〜35μm、より好ましくは1〜20μmである粉
末状非凝固性不溶解物を、畜肉原料混合物中に0.1〜
2.0重量%となる量で添加し、畜肉加工の常法にした
がって畜肉加工することを特徴とする畜肉加工品の製造
方法。 (10)平均粒径が1〜40μm、好ましくは1〜35
μm、より好ましくは1〜20μmである粉末状非凝固
性不溶解物を、該粉末状非凝固性不溶解物として添加す
るか、又は該粉末状非凝固性不溶解物と粉末状大豆蛋白
との混合物として添加するか、もしくは該粉末状非凝固
性不溶解物を含有するピックルとして添加することを特
徴とする、(9)に記載の畜肉加工品の製造方法。
【0012】上記の各本発明によれば、たとえば、ハム
製品中に平均粒径が1〜40μm、好ましくは1〜35
μm、より好ましくは1〜20μmである食物繊維等の
非凝固性不溶解物、又はそれを含有する粉末状大豆蛋白
を添加することで、作業性、歩留まりに支障をきたすこ
となく、最終製品の食感に線維感を付与することができ
る。ここで、非凝固性不溶解物の平均粒径は、LA−5
00(株式会社堀場製作所製粒度分布計)にて測定し、
得られたメジアン径を平均粒径としている。(以降、平
均粒径と記載する。)
【0013】
【発明の実施の形態】本発明品である非凝固性不溶解物
は、ハムやベーコン等の畜肉加工品の製造工程中の加熱
や冷却によっても凝固せず、製品中で最終工程に至るま
で溶解状態にならないものであれば、どのような素材で
も構わない。例えば大豆由来のオカラ、小麦ふすま、セ
ルロースのような食物繊維、また凝固せず、水に不溶も
しくは難溶な性質を有する、例えば脱脂大豆、難消化性
デキストリン、キトサン、シリカゲルのようなものが挙
げられる。
【0014】また、本発明品の非凝固性不溶解物は、平
均粒径が1〜40μm、好ましくは1〜35μm、より
好ましくは1〜20μmである。40μmより大きい平
均粒径の非凝固性不溶解物を分散せしめたピックルを用
いて、ハムを調製すると、非凝固性不溶解物が製品中に
十分に分散できず、「サシ(塊)」となり、外観上好ま
しくなく、商品価値を下げる。なお、「サシ(塊)」と
は高加水系ハムに、しばしば確認される半透明の筋であ
り、大豆蛋白やカラギーナンをはじめとする水に不溶
性、難溶性添加材が塊となって出来たものである。
【0015】本発明品の非凝固性不溶解物は、製品(ハ
ムやベーコンなどの畜肉加工品)に対して、0.1〜2
重量%以下の添加量であることが好ましい。0.1重量
%未満の添加量ではハムに充分に線維感を付与すること
が出来ず、2重量%を越えるとハムに大量に「サシ」が
発生し外観が損なわれるばかりでなく、不自然な食感と
なる。
【0016】非凝固性不溶解物は、市販されている「ア
ビセル」RC―30(旭化成工業製)(平均粒径8〜1
0μm)、「アビセル」FD−F20(旭化成工業製)
(平均粒径20μm)、「アビセル」FD−101(旭
化成工業製)(平均粒径40μm)、「サイロページ#
720」(富士シリシア化学株式会社製、平均粒径3μ
m)等を購入することで簡単に入手することができる。
「アビセル」RC−30については、ハムやベーコンな
どの用途に使用されている報告を受けてはいるが、製品
に0.1〜2重量%の割合で添加する提案は未だなされ
ておらず、且つ本発明のような目的で使用されてもいな
い。
【0017】本発明の非凝固性不溶解物は、大豆由来の
オカラを用いて得ることもできる。すなわち、原料脱脂
大豆を水に溶解せしめ、遠心分離した後オカラを得、つ
いで、再びこのオカラを水に懸濁せしめ、スラリー状に
したものを、粉砕しその後乾燥することで目的とする非
凝固性不溶解物を得られる。また、このオカラを水に懸
濁せしめ、スラリー状にしたものを乾燥し、その後粉砕
をすることで得ることができる。言うまでもないが、得
られたオカラ粉砕品の平均粒径は1〜40μmのもので
あり、好ましくは1〜35μm、より好ましくは1〜2
0μmの範囲のものである。
【0018】オカラを乾燥する方法としては、加熱乾
燥、凍結乾燥いずれの方法を採用することができる。加
熱乾燥としては、スプレードライヤーやディスク式ドラ
イヤーを用いることが一般的である。スプレードライヤ
ーとしては、横型並流式、円筒又はサイクロン型並流
式、円筒型並流式、円筒型向流式、円筒型複合流式、サ
イクロン型複合流等が挙げられ、いずれの方式でもよ
く、特にサイクロン型並流式が好ましい。また、オカラ
の粉砕には圧縮型粉砕機(咀砕型、旋動型、回転型、ハ
ンマ型、回転円筒型、せん断型)や摩擦粉砕型粉砕機
(回転型、旋動型、遠心力型、回転円筒型、湿式コロイ
ドミル型)等の何れの粉砕機を使用してよく、特にその
粉砕機の型式を問わない。
【0019】非凝固性不溶解物と粉末状大豆蛋白を含有
する畜肉加工品用添加材は、前記の非凝固性不溶解物
〔「アビセル」RC―30(旭化成工業製、平均粒径1
0μm)、「アビセル」FD−F20(旭化成工業製、
平均粒径20μm)、「アビセル」FD−101(旭化
成工業製、平均粒径40μm)、「サイロページ#72
0」(富士シリシア化学株式会社社製、平均粒径3μ
m)、「アミロジェルHB−450」(三和澱粉工業株
式会社製、平均粒径12μm)、「ビートファイバー」
(日本甜菜製糖株式会社製)、脱脂大豆、大豆由来オカ
ラ等〕を粉末状大豆蛋白に混合するか、又は大豆蛋白製
造工程中に添加することで得ることができる。
【0020】使用する粉末状大豆蛋白としては、分離大
豆蛋白はもちろんのこと、抽出大豆蛋白、濃縮大豆蛋白
の何れでも良く、大豆蛋白の製造工程は従来用いられて
いる手法をそのまま用いて良い。また、非凝固性不溶解
物と大豆蛋白は、どのような比率で混合されていても構
わない。以下にその混合手法の例を説明する。言うまで
もないが、ここで使用する非凝固性不溶解物は平均粒径
が1〜40μm、好ましくは1〜35μm、より好まし
くは1〜20μmとなるように粉砕処理が施される。
【0021】(1)非凝固性不溶解物を含有する分離大
豆蛋白:まず、原料脱脂大豆を9倍量の水にて溶解せし
め、遠心分離によりオカラを除去して豆乳を得る。この
豆乳をpH4.5に調製し、等電点沈殿させ、大豆蛋白
質を遠心分離して回収する。次に、この大豆蛋白質を苛
性ソーダで中和し、10%前後の濃度を呈する大豆蛋白
溶液を調製する。その後、大豆蛋白溶液をスプレードラ
イヤーにて噴霧乾燥し、粉末状分離大豆蛋白を得、非凝
固性不溶解物を混合して目的の製品を得る。
【0022】非凝固性不溶解物を含有する分離大豆蛋白
は大豆蛋白製造工程中に非凝固性不溶解物を添加するこ
とによっても得ることができる。即ち、前記の分離大豆
蛋白の製造工程中の何れかの工程において、非凝固性不
溶解物もしくは水に溶解せしめたものを添加し、その後
大豆蛋白溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、目
的の製品を得る。
【0023】(2)非凝固性不溶解物を含有する濃縮大
豆蛋白:原料脱脂大豆を9倍量の水にて溶解せしめ、遠
心分離により、オカラを除去して豆乳を得る。この豆乳
を10%前後の濃度を呈する大豆蛋白溶液に調製し、ス
プレードライヤーにて噴霧乾燥し、濃縮大豆蛋白を得、
非凝固性不溶解物を混合して目的の製品を得る。
【0024】また、非凝固性不溶解物を含有する濃縮大
豆蛋白は、大豆蛋白製造工程中に非凝固性不溶解物を添
加することでも得ることができる。即ち、前記記載の濃
縮大豆蛋白の製造工程中の何れかの工程において、非凝
固性不溶解物もしくは水に溶解せしめたものを添加し、
その後大豆蛋白溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥
し、目的の製品を得る。
【0025】(3)非凝固性不溶解物を含有する抽出大
豆蛋白:原料脱脂大豆を9倍量の水にて溶解せしめ、こ
の溶液をpH4.5に調製し、等電点沈殿させる。これ
を遠心分離し、大豆蛋白質を回収する。次に、この大豆
蛋白質を苛性ソーダで中和し、10%前後の濃度を呈す
る大豆蛋白溶液を調製する。その後大豆蛋白溶液をスプ
レードライヤーにて噴霧乾燥し、抽出大豆蛋白を得る。
ここで、すでに非凝固性不溶解物(オカラ)を含有して
いるので、このまま用いても良いが、必要であれば、非
凝固性不溶解物を混合して目的の製品を得る。
【0026】また、非凝固性不溶解物を含有する抽出大
豆蛋白は、大豆蛋白製造工程中に非凝固性不溶解物を添
加することでも得ることができる。即ち、前記記載の抽
出大豆蛋白の製造工程中の何れかの工程において、非凝
固性不溶解物もしくは水に溶解せしめたものを添加し、
その後大豆蛋白溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥
し、目的の製品を得ることができる。
【0027】大豆蛋白を調製するスプレードライヤーと
しては、横型並流式、円筒又はサイクロン型並流式、円
筒型並流式、円筒型向流式、円筒型複合流式、サイクロ
ン型複合流等が挙げられ、いずれの方式でもよく、とく
にサイクロン型並流式が好ましい。また、粉砕機として
は、圧縮型粉砕機(咀砕型、旋動型、回転型、ハンマ
型、回転円筒型、せん断型)や摩擦粉砕型粉砕機(回転
型、旋動型、遠心力型、回転円筒型、湿式コロイドミル
型)等の何れの粉砕機を使用してよく、特にその粉砕機
の型式は問わない。
【0028】本発明の非凝固性不溶解物、又は、非凝固
性不溶解物を含有する粉末状大豆蛋白はハム、ベーコン
等の畜肉加工用のピックルに用いるのが好ましい。ま
た、本発明の非凝固性不溶解物、又は、非凝固性不溶解
物を含有する大豆蛋白を使用したピックルを用いて製造
したハム、ベーコン等の畜肉加工品は食感に線維感が付
与される。また、更に非凝固性不溶解物、又は、非凝固
性不溶解物を含有する大豆蛋白を使用したハム、ベーコ
ン製品のスライス歩留りの向上、物性強化のためにトラ
ンスグルタミナーゼ(以下、TGという)を併用すること
も可能である。なお、その際のTGの適正添加量はピック
ル100gに対して1〜30ユニットである。しかしな
がら、この添加量は上記範囲に限定されるものではな
い。あるいは、粉末状大豆蛋白、上記非凝固性不溶解
物、トランスグルタミナーゼはあらかじめ適当量混合
し、ピックルに使用しても良い。
【0029】なお、本発明に使用される酵素であるTG
は、トランスグルタミナーゼ活性作用を有するものであ
ればいずれも使用することができ、既に公知のTGを使用
すればよい。
【0030】TGとしてはカルシウム非依存性のものとカ
ルシウム依存性のものがあり、何れも本発明に使用する
ことができる。前者の例としては、放線菌由来(登録257
2716号公報参照、枯草菌由来(特開平11-137254号公報参
照)等の微生物由来のものをあげることができる。後者
の例としてはモルモット肝臓由来のもの(登録1689614号
公報参照、卵菌等の微生物由来のもの(W096/22366参
照)、牛血液、豚血液等の動物由来のもの、サケ、マダ
イ等の魚由来のもの〔N.Sekiら、NiPPOn Suisan Gakka
ishi(1990)56,125-132〕、カキ由来のもの米国特許5736
356号)等をあげることができる。この他遺伝子組み換え
により製造されるもの(例えば、特開平1−75876号公報
参照)等、をあげることができる。本発明には何れのTG
でも使用することができ、起源及び製法に限定されるこ
とはない。ただし、食品用途としての機能性、使いやす
さの点から、好ましくはカルシウム非依存性のものがよ
い。例えば、上記微生物由来のTGで放線菌由来のもの
(登録2572716号公報参照)は何れの条件をも満足するも
のであり、現時点では最適ということができる。
【0031】本発明に使用するTGの活性単位は、次のよ
うに測定されかつ定義される。即ち、ベンジルオキシカ
ルボニル−L−グルタミニルグリシンとヒドロキシルア
ミンを基質として反応を行い、生成したヒドロキサム酸
をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体に変換させた後、525n
mの吸光度で、その量を測定する。1分間に1マイクロ
モルのヒドロキサム酸を生成する酵素量をTGの活性単
位、1ユニットと定義する。この測定法(いわゆるハイ
ドロキサメート法)の詳細は既に報告されている通り(例
えば、登録2572716号公報参照)である。
【0032】既に述べたように、TGには様々な起源があ
ることが知られており、起源によっては、上記のハイド
ロキサメート法により活性が定義できないような基質特
異性を持つものもあるから、その場合には異なる方法で
ユニットが定義される場合もある。どのような活性測定
法により定義されるにしろ、実質的に本発明でいう畜肉
加工品の物性改良効果を示す量であれば、本発明のTG添
加範囲の範疇に入る。
【0033】
【実施例】以下に本発明を実施例に従って説明する。な
お、本発明の技術的範囲は下記の実施例に限定されるも
のではない。
【0034】実施例1 脱脂大豆500gに対して、9倍量の水を加え、攪拌抽
出後、遠心分離によりオカラを得た。このオカラを再び
温水にて、固形分が2〜4%となるようにスラリー化
し、サイクロン型複合流スプレードライヤーにて噴霧乾
燥して目的とするサンプルを得た。この未粉砕サンプル
を「サンプルA」(平均粒径88ミクロン)とする。こ
の未粉砕品サンプルA(平均粒径88μm)にクリプト
ロン(川崎重工株式会社製)による粉砕処理を加え、強
度を変えることによりサンプルB(平均粒径54μ
m)、サンプルC(40μm)、サンプルD(平均粒径
31μm)、サンプルE(平均粒径19μm)、サンプ
ルF(平均粒径10μm)を調製した。
【0035】次に、上記手法にて得られた6サンプル
(サンプルA〜F)を用いて、ハムを試作した。まず、
各サンプルを表1記載の無添加区のピックルに分散せし
めて表1記載のレシピ1〜レシピ5のピックルを調製し
た。各サンプルにつき、ハムに対する添加量(0.09
%、0.16%、0.4%、8.8%、1.2%、1.
6%、2.0%、2.7%、重量換算)を変え、調製し
たピックルを豚ロース肉にインジェクションした。打ち
込み方はロース肉100%に対し、ピックルが80%と
なるように行われた(一般的には180%加水と表現さ
れる)。なお、表1に記載の各レシピの最下段における
「ハムに対するおからの添加量(%)」の値は、表2及
び表3の縦第1列に記載された「ハムに対するオカラの
添加量(%)」の同値に対応しており、例えば、表2の
「ハムに対するオカラの添加量」が0.5%である横第
4行に示された結果は、レシピ1を用いて各サンプルA
〜Fのオカラをハムに対して0.5%となるように添加
した場合の結果を示している。上記のようにインジェク
ションされたロース肉は、2晩低温下にてタンブリング
の後、ケーシングを行った。その後、加熱(ドライ:6
0℃2時間→スモーク:65℃1時間→ボイル:70℃
2時間)し、加熱後冷蔵を行い目的とするハムを調製し
た。
【0036】次に、このように調製したハムの食感を以
下の評価法に従って評価した。ハムを2mmの厚さにス
ライスし、パネラー10人にて官能評価〔(無添加区を
5点として10点満点とし、評価内容は食感:線維感な
し(0点)⇔線維感あり(10点)とした。〕を行っ
た。さらに、このように調製したハムの外観評価を以下
の評価法に従って評価した。
【0037】(1)調製したハムを2mmの厚さでスラ
イスする。 (2)スライスされたハムを透明の包材にて真空パック
する。 (3)(2)でパックされたハムに確認できる「サシ」
をマーキングする。 (4)マーキングされた「サシ」の部分のハム全体に対
する面積比を、画像解析機で計算する。 なお、上記の評価法において、ピックル溜まりの部分の
ハム全体に対する面積比が小さいほど外観が良好であ
り、面積比が5%を越えると商品価値が著しく低下す
る。表3の数値は、該面積比を表している。ハムの食感
(線維感)は表2に、外観評価の結果を表3に示す。コ
ントロールに対し、平均粒径が40μm以下(好ましく
は1〜35μm、より好ましくは1〜20μm)で、ハ
ムに対し0.1〜2.0重量%の添加区において、線維
感が付与され、かつ外観も好ましくなった。
【0038】実施例2 市販されている非凝固性不溶解物、即ち、「アビセル」
FD−101(旭化成工業株式会社製、平均粒径40μ
m)、「アビセル」RC−30(旭化成工業株式会社
製、平均粒径10μm)、「サイロページ#720」
(富士シリシア化学株式会社社製、平均粒径3μm)、
「アミロジェルHB−450」(三和澱粉工業株式会社
製、平均粒径12μm)、「プロテンSS」(味の素株
式会社製、平均粒径29μm)の5サンプルを用い、無
添加区をコントロールとするピックルを調製し、これを
用いてハムを試作した。上記非凝固性不溶解物はハムに
対し、1.3重量%の比率で含有するように添加量を設
定した。ピックル組成については表4に記載した。ハム
の調製法についは実施例1で記載した方法及び条件と同
一である。
【0039】次に、このように調製したハムの食感を以
下の評価法に従って評価した。評価内容は、実施例1に
記載した手法と同様に、ハムの食感と外観評価を行っ
た。その結果を表5に記載した。どのサンプルの添加区
においても、コントロールに較べて線維感が付与されて
おり、且つ外観も良好であった。
【0040】実施例3 脱脂大豆500gに対して9倍量の水を加え、攪拌抽出
後、遠心分離によりオカラを除去し豆乳を得た。この豆
乳をpH4.5に調製し、等電点沈殿させ、大豆蛋白質
を遠心分離して回収した。次に、この大豆蛋白質を苛性
ソーダで中和し、10%の濃度を呈する大豆蛋白溶液を
調製した。その後、この大豆蛋白溶液をサイクロン型複
合流スプレードライヤーにて噴霧乾燥して分離大豆蛋白
を調製した。これをコントロールとする。
【0041】ここで、得られた分離大豆蛋白に「アビセ
ル」FD−101及び、実施例1にて調製したオカラ乾
燥物(平均粒径19μm)を全固形分量に対し、30%
となるように添加を行い、目的の製品を得た。言うまで
もないが、分離大豆蛋白と「アビセル」FD−101や
大豆由来オカラなどの非凝固性不溶解物の混合率につい
てはこれらに限られたものではない。
【0042】ここで得られたサンプルをハムに対して
1.0%含有されるようにピックルを調製し、ハムの試
作を行った。ハムの調製法は実施例1で記載した方法、
条件と同一である。このハムを用いて、ハムの食感及び
外観評価を行った。評価方法についても実施例1で記載
した手法と同一である。ピックル組成については表6に
記載し、ハムの評価結果については表7に記載した。コ
ントロールに対し、「アビセル」FD−101含有大豆
蛋白又は、オカラ含有大豆蛋白を使用したハムの食感に
は線維感が付与され、外観も良好であった。
【0043】実施例4 非凝固性不溶解物、大豆蛋白、トランスグルタミナーゼ
製剤(「アクティバTG−H」味の素株式会社製)を使
用し、ピックルを調製してハムを試作した。ピックル組
成については表8に記載した。ハムの調製法については
実施例1に記載した方法及び条件と同一である。評価結
果を表9に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】
【表9】
【0053】
【発明の効果】本発明により、加熱による歩留まり、ス
ライス適性等に支障をきたすことなくハムやベーコン等
の畜肉加工品の食感に線維感を付与する大豆蛋白を提供
することが可能となった。
フロントページの続き (72)発明者 丹野 裕之 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品研究所内 (72)発明者 田中 晴生 福岡県福岡市博多区博多駅南3丁目3番31 号 味の素株式会社福岡支店内 (72)発明者 中村 孝夫 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品研究所内 Fターム(参考) 4B042 AD01 AD02 AE01 AE08 AK13 AP13

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が1〜40μmである粉末状非
    凝固性不溶解物を含有する粉末状大豆蛋白。
  2. 【請求項2】 平均粒径が1〜40μmである粉末状非
    凝固性不溶解物又は該粉末状非凝固性不溶解物と粉末状
    大豆蛋白とを含有する高加水系畜肉加工品用添加材。
  3. 【請求項3】 平均粒径が1〜40μmである粉末状非
    凝固性不溶解物又は該粉末状非凝固性不溶解物と粉末状
    大豆蛋白とを含有する高加水系畜肉加工品用のピックル
    用添加材。
  4. 【請求項4】 平均粒径が1〜40μmである粉末状非
    凝固性不溶解物を0.1〜2.0重量%含有する高加水
    系畜肉加工品。
  5. 【請求項5】 平均粒径が1〜40μmである粉末状非
    凝固性不溶解物を含有する高加水系畜肉加工品用のピッ
    クル。
  6. 【請求項6】 平均粒径1〜40μmの粉末状非凝固性
    不溶解物を全重量中0.1〜2.0重量%となる量で畜
    肉加工原料中に添加し、加工することを特徴とする高加
    水系畜肉加工品の製造方法。
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