JP2001189243A - 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔及びその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ電極用アルミニウム箔及びその製造方法

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JP2001189243A
JP2001189243A JP37507399A JP37507399A JP2001189243A JP 2001189243 A JP2001189243 A JP 2001189243A JP 37507399 A JP37507399 A JP 37507399A JP 37507399 A JP37507399 A JP 37507399A JP 2001189243 A JP2001189243 A JP 2001189243A
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capacitance
electrolytic capacitor
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high potential
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Mitsushi Hayashida
充司 林田
Kozo Hoshino
晃三 星野
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溝状のピットが形成されることを抑制し、優
れた静電容量を得ることができる電解コンデンサ電極用
アルミニウム箔及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 電解コンデンサ用アルミニウム箔は、純
度が99.99質量%以上で残部が不可避的不純物から
なる。このアルミニウム箔は、組成がHCl:0.75
mol/リットル及びH2SO4:3.0mol/リット
ルからなり、温度が80±1℃の電解液中で、塩化銀電
極を標準電極とし、電流密度が30A/dm2で通電し
た場合、通電開始直後に−500mV以上の電位を示す
時間が25乃至40ミリ秒となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサ電
極用アルミニウム箔及びその製造方法に関し、アルミニ
ウム箔の表面積を拡大して静電容量の向上を図った電解
コンデンサ電極用アルミニウム箔及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】通常、電解コンデンサを小型化及び高容
量化する目的で、電解コンデンサの電極に使用されるア
ルミニウム箔は電解エッチングにより表面を拡大して使
用されている。
【0003】一般に、耐電圧が250Vを超える電解コ
ンデンサの陽極用アルミニウム箔は、HCl及びH2
4を含む電解液中で直流電流により電解エッチングを
行う。この直流エッチングでは、トンネル状のピットが
形成され、ピットの単位面積当たりの数が多く、且つ深
いピットが成長するほど高い静電容量を示す。
【0004】従来、静電容量の向上を図ってピットの単
位面積当たりの数を増加させ、深いピットを成長させる
技術がある。前者のピットの単位面積当たりの数を増加
させるために、微量元素を調整する技術(例えば特開平
5−67545号公報、特開平11−36031号公報
及び特開平11−36033号公報等)及び微量元素の
アルミニウム箔表面への濃縮を調整する技術(例えば特
開平11−162793号公報、特開平11−9730
2号公報、特開平11−176704号公報及び特開平
11−162793号公報等)等が多数開示されてい
る。また、後者の深いピットを成長させるために、アル
ミニウム箔の結晶面方位の(100)面の占有率を高く
する技術が開示されている(例えば特開平8−2913
52号公報等)。
【0005】通常、(100)面占有率を高めるため
に、冷間圧延終了後に500℃以上の温度で焼鈍される
(以下、仕上げ焼鈍という。)。このとき、大気のよう
に酸素が多い雰囲気で焼鈍すると、温度が高いために表
面が著しく酸化される。従って、一般的に不活性ガス雰
囲気で焼鈍される。また、コイルの間隙から酸素を除去
するために、焼鈍雰囲気を減圧する方法及び減圧速度に
ついての技術が開示されている(特開平1−25956
号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(10
0)面占有率が高いアルミニウム箔は、トンネル状のピ
ットが箔表面で、表面に対して垂直に成長し、アルミニ
ウム箔の単位面積当たりの静電容量が大きくなる一方
で、箔表面で、表面に対して平行に成長する溝状のピッ
トが発生する。溝状のピットが発生することにより、ピ
ットが垂直成長することが抑制され、箔表面が電解液中
に崩落する。その結果、静電容量が低下するという問題
点がある。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、溝状のピットが形成されることを抑制し、
優れた静電容量を得ることができる電解コンデンサ電極
用アルミニウム箔及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電解コンデ
ンサ電極用アルミニウム箔は、純度が99.99質量%
以上で残部が不可避的不純物からなる電解コンデンサ電
極用アルミニウム箔であって、組成がHCl:0.75
mol/リットル及びH2SO4:3.0mol/リット
ルであり、温度が80±1℃の電解液中で、塩化銀電極
を標準電極とし電流密度を30A/dm2として通電し
た場合、通電開始直後に−500mV以上の電位を示す
時間が25乃至40ミリ秒であることを特徴とする。
【0009】本発明に係る電解コンデンサ電極用アルミ
ニウム箔の製造方法は、純度が99.99質量%以上で
残部が不可避的不純物からなるアルミニウム箔を、酸素
分圧が1.33×10-2乃至5.99×10-2Paであ
り、圧力が0.9044×105Pa以下である雰囲気
中で焼鈍する工程を有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳しく
説明する。本願発明者等は、上述の課題を解決するべ
く、先ず溝状のピットの成長を抑制するために必要なア
ルミニウム箔の表面状態を規定する電気化学的な検出方
法を確立した。即ち、電解エッチング初期の電気化学反
応を評価することで、電解エッチング終了時の静電容量
を推定する方法を見い出した。
【0011】次に、その電解エッチングの初期の化学反
応を抑制する方法を見い出した。即ち、電解エッチング
初期の化学反応は焼鈍時の雰囲気と密接な関係があるこ
とを知見し、規定したアルミニウム箔の表面状態となる
ように焼鈍時の雰囲気を制御することにより、アルミニ
ウム箔の高い静電容量得ることができることを知見し
た。
【0012】電解コンデンサ用アルミニウム箔の直流エ
ッチング時の通電初期のピット発生機構を解明する目的
で、直流エッチングの通電直後の電位を測定した報告例
がある(住友軽金属技法Vo1 No.2(1994)pp90〜96、住友
軽金属技法Vol.33 No.3(1992)pp40〜46、軽金属学会第
95回春季大会講演概要集(1998)pp265〜266)。これら
の文献では、通電開始直後の約6ミリ秒間は高い電位を
示し(高電位領域)、その後定常状態を示すことが記載
されており、通電開始直後のピットの発生と半球状ピッ
トから直方体状ピットへの変化について論じられてい
る。しかしながら、ピットと静電容量との関係について
は記載されておらず不明である。また、これらの報告で
は、電解液にHClのみを使用しており、抑制剤として
2SO4を含む電解液が使用される工業的な直流エッチ
ングにおける挙動は不明である。更に、電解液に浸す時
間を変化させた場合における高電位を示す領域の時間の
変化についてのみしか測定されていないため、アルミニ
ウム箔の製造方法が高電位領域と静電容量とに及ぼす影
響については不明である。
【0013】そこで、本願発明者らは、ピットと静電容
量との関係に着目し、抑制剤としてH2SO4を含む電解
液が使用される工業的な直流エッチングについて種々実
験研究することにより、高電位領域と静電容量との関係
を見い出し、更にはアルミニウム箔の製造方法が高電位
領域と静電容量に影響する、即ちアルミニウム箔の製造
方法により静電容量を規制できることを見出した。
【0014】本発明においては、高い静電容量を得るこ
とができる電解コンデンサ用アルミニウム箔を得るた
め、純度99.99質量%以上のアルミニウム箔に対し
て、組成がHCl:0.75mol/リットル及びH2
SO4:3.0mol/リットルからなり、塩化銀電極
を標準電極とし、温度が80±1℃の電解液中で、電流
密度が30A/dm2として通電した場合の直流エッチ
ングにおいて、−400mV以上の電位を示す時間(以
下、高電位領域時間という。)が25乃至45ミリ秒と
規定している。また、このような電解コンデンサ用アル
ミニウム箔を得るためには、仕上げ焼鈍時の圧力及び酸
素分圧を夫々0.9044×105Pa以下及び1.3
3×10-2乃至5.96×10-2Paと規定している。
以下、本発明の数値限定理由について説明する。
【0015】先ず、本願発明者等は、組成がHCl:
0.75mol/リットル及びH2SO4:3.0mol
/リットルである電解液を使用した場合について、直流
エッチングでの電位変化を測定した。図1は横軸に時
間、縦軸に電位をとって、通電開始直後の電位変化を示
すグラフ図である。なお、測定には標準電極として塩化
銀電極を使用した。以下の測定においても同様とする。
図1に示すように、この電解液中ではアルミニウムの自
然電極電位は約−900mVであるが、通電開始直後に
急激に電位が上昇して約1000mV程度になる。その
後約40ミリ秒までの間は約1000mVの電位を維持
し、その後急激に電位が低下して約−500mV程度と
なり、定常状態となった。
【0016】即ち、H2SO4を含む電解液でも前述の報
告と同様に高電位領域が生じるが、H2SO4の作用によ
り高電位領域の時間が長くなることを知見した。
【0017】更に、本願発明者等は同様の電解液を使用
して電解エッチングを行い、30秒間の電解エッチング
を行ったときのピットの成長を調べると共に、120秒
間の電解エッチング及び900秒間の化学エッチングを
行ったときの静電容量について測定した。その結果、高
電位領域時間が40ミリ秒を超えると、アルミニウム箔
表面に溝状ピットが多く発生して垂直方向の成長が抑制
されるため、静電容量が低下することを知見した。一
方、高電位領域時間が25ミリ秒未満で短いと、溝状ピ
ットの発生は少なくなるが、垂直方向に成長するピット
の数が減少して静電容量が低下することを知見した。
【0018】従って、高電位領域時間を−400mV以
上の電位を示す時間と定義したとき、電解エッチングに
おいて、アルミニウム箔表面の溝状ピットの成長を抑制
し、垂直方向のピットの成長を促進させて、高い静電容
量を得るために必要な高電位領域時間は25乃至40ミ
リ秒と知見した。
【0019】更に、本願発明者等は、このような高電位
領域時間を有する電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
の製造方法について検討を行った。そして、高電位領域
時間が60ミリ秒以下と短い時間であることから、高電
位領域時間はアルミニウム箔の極表面の物性に起因して
いると推定した。即ち、アルミニウム箔表面に形成され
る酸化皮膜に起因しており、酸化皮膜は仕上げ焼鈍によ
り大きく変化するため、以下の実験を行った。
【0020】先ず、仕上げ焼鈍雰囲気に含まれる酸素濃
度を変化させたアルミニウム箔試料を作成し、直流エッ
チングでの電位変化を測定し、−400mV以上の電位
を示す高電位領域時間を測定した。電位の測定には上述
と同様の組成がHCl:0.75mol/リットル及び
2SO4:3.0mol/リットルからなる電解液を使
用し、電位の測定は塩化銀電極を標準電極として使用し
た。仕上げ焼鈍の雰囲気ガスは、酸素分圧として0.5
体積ppmのO2を含むArにO2を添加することにより
焼鈍雰囲気の酸素濃度を変化させた。
【0021】測定条件としては、焼鈍時の圧力を1.0
1×105Paと一定にし、酸素濃度を0.5乃至10
00体積ppmの範囲で変化させた。これらのアルミニ
ウム箔の高電位領域時間を測定したところ、42乃至6
4ミリ秒となり、酸素濃度が高くなるほど高電位領域時
間が長くなることを知見した。この結果を下記表1に示
す。
【0022】次に、焼鈍時の圧力を変化させてアルミニ
ウム箔を作成した。酸素濃度が0.5体積ppmのAr
を使用し、圧力を0.2530×105乃至0.758
×105Paとして仕上げ焼鈍を行った。これらのアル
ミニウム箔について、高電位領域時間を測定したところ
23乃至37ミリ秒となり、圧力を低くするほど高電位
領域時間が短くなることを知見した。この結果を下記表
2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】更に、上記の酸素濃度及び圧力を変化させ
て仕上げ焼鈍を行ったアルミニウム箔を30秒間の電解
エッチングを行った後、アルミニウム箔の表面を観察し
た。その結果、高電位領域時間が長いほど、溝状のピッ
トが多く発生していた。
【0026】また、これらの各試料について、120秒
間の電解エッチングを行い、更に900秒間の化学エッ
チングを行った後、300V化成処理での静電容量を測
定した。その結果、高電位領域時間が34ミリ秒であっ
た試料2−2のアルミニウム箔が最も静電容量が高く、
0.92μF/cm2を示した。
【0027】更に、高電位領域時間とピットとの関係に
ついて調べるため、各試料のピットの成長を観察した。
ピットの観察のために、30秒後及び120秒後の電解
エッチングでの溶解減量を測定すると、電解エッチング
30秒後では、溝状ピットの多さに依存せず、各試料は
その高電位領域時間の長さに関係なく、溶解減量に有意
差は認められなかったのに対して、電解エッチング12
0秒後では、高電位領域時間が長くなるに従い溶解減量
が増加した。これは、溝状ピットが多く発生するアルミ
ニウム箔では、電解エッチング開始30秒後では溝状ピ
ットが一面に発生するが、表面の崩落には達しないのに
対して120秒後では表面崩落が生じていると考えら
れ、これにより、溶解減量は30秒間の電解エッチング
では有意差を生じないが、120秒間の電解エッチング
で有意差が生じると考察される。即ち、高電位領域時間
が長いと溝状のピットの形状に電気が消費され、垂直ピ
ットの成長への消費が減少するが、高電位領域時間が短
いと溝状のピットが少なく、静電容量が低かったことか
ら垂直方向に成長するピットも少なかったと考えられ
る。即ち、ピットの起点が少ないと考察される。
【0028】以上の知見をもとに、本願発明者等は焼鈍
時の酸素濃度及び圧力を種々変化させて、更に実験を行
った。焼鈍時の圧力としては、0.253×105乃至
0.758×105Paとし、酸素濃度を1乃至2体積
ppmと変化させ、上述と同様の方法で高電位領域時間
を測定した。下記表3にその結果を示す。
【0029】
【表3】
【0030】また、120秒間の電解エッチング及び9
00秒間の化学エッチングを行った後、300Vで化成
処理をして静電容量を測定した。図2にその結果を示
す。図2は、横軸に高電位領域時間、縦軸に静電容量を
とって、高電位領域時間と静電容量との関係を示すグラ
フ図である。図2に示すように、高電位領域時間が約2
5ミリ秒を超えて長くなるほど静電容量が大きくなっ
た。そして、高電位領域時間が34ミリ秒となるアルミ
ニウム箔が最も静電容量が高く、0.92μF/cm2
を示した。しかし、34ミリ秒を超えて高電位領域時間
が長くなると、静電容量が減少して、約40ミリ秒を超
えると静電容量の値が0.8μF/cm2より小さくな
った。
【0031】また、図3は、横軸に圧力Pをとって、縦
軸に酸素分圧P(O2)をとって、表3に示す各焼鈍雰
囲気を示すグラフ図である。図中の数字は、その点が示
す仕上げ焼鈍時の雰囲気で焼鈍されたアルミニウム箔の
高電位領域時間を示している。図2から、高い静電容量
を示す高電位領域時間が25乃至40ミリ秒と規定する
と、このような高電位領域時間を有するアルミニウム箔
を製造するための圧力及び酸素分圧は図3に示す1点鎖
線で示す領域にあって、圧力が0.904×105Pa
以下、酸素分圧が1.33×10-2乃至5.99×10
-2Paとすることを知見した。
【0032】従って、本願発明者等は高い静電容量を得
ることができるアルミニウム箔は、図2から直流エッチ
ングでの通電直後の電位を測定したとき、−500mV
以上の高い電位を示す高電位領域時間が25乃至40ミ
リ秒と規定した。また、このようなアルミニウム箔を製
造するために、図3から仕上げ焼鈍時の圧力を0.90
4×105Pa以下、酸素分圧を1.33×10-2乃至
5.99×10-2Paと規定した。
【0033】高電位領域時間が40ミリ秒を超えると、
溝状のピットが多くなることから、アルミニウム箔表面
において表面に対して垂直方向へのピッチの成長が抑制
され、同時に溝状ピットが成長して表面の崩落が起こる
ため、静電容量が低下する。一方、高電位領域時間が2
5ミリ秒より短いと、アルミニウム箔表面に対して垂直
方向のピットの起点が減少し、静電容量が低下する。
【0034】また、アルミニウム箔表面に垂直にピット
を成長させるために、垂直ピットが優先的に成長する
(100)面の占有率を95%以上とする必要がある。
しかし、本願発明者等はアルミニウム純度が99.99
質量%未満のアルミニウム箔では、中間焼鈍、中間焼鈍
から製品までの加工率、仕上げ焼鈍の温度を種々変化さ
せたが、(100)面占有率を95%以上とする製造条
件を見出すことができなかった。従って、本発明ではア
ルミニウム純度を99.99質量%以上とする。
【0035】なお、本発明で規定しているアルミニウム
純度を99.99質量%以上とは、上述したように、
(100)面占有率を95%以上とする条件であるた
め、(100)面占有率を95%以上とすることができ
れば、アルミニウム純度が99.99質量%未満でも本
発明の適用範囲とする。
【0036】なお、本発明では、焼鈍時の雰囲気とし
て、ArガスにO2を添加して実験を行ったが、Arガ
スに限定されるものではなく、例えばN2、CO2等のよ
うな不活性ガスであれば同様の効果を奏する。
【0037】
【実施例】次に、本発明の特許請求の範囲を満たす電解
コンデンサ用アルミニウム箔の実施例について、その特
性を本発明の範囲から外れる比較例と比較して具体的に
説明する。
【0038】先ず、下記表4に示す組成を有するアルミ
ニウム板を冷間圧延により、厚さが100μmに加工し
てアルミニウム箔を作成した。このアルミニウム箔の焼
鈍雰囲気を下記表6に示す。ここでは、不純物として酸
素分圧が0.5体積ppmのO2を含むArガスにO2
スを添加し、雰囲気の酸素濃度を調節した。
【0039】次に、作成したアルミニウム箔の高電位領
域時間を測定した。高電位領域時間を測定としては、組
成がHCl:0.75mol/リットル及びH2SO4
3.0mol/リットルであり、温度が80±1℃の電
解液に対して、低電流電源を使用し、電流密度30A/
dm2で通電を行い、そのアルミニウム箔の電位を測定
した。電位の測定には、塩化銀電極を標準電極として使
用した。
【0040】更に、作成したアルミニウム箔を評価する
ため、静電容量を測定した。先ず、下記表5に示す電解
液により、電解エッチング及び化学エッチングの2段階
エッチングをした。第1エッチングである電解エッチン
グは、ピットを形成し、第2エッチングである化学エッ
チングはピット径を大きくする作用を有する。エッチン
グ終了後、60℃に加熱したアジピン酸アンモニウム水
溶液に浸し、300Vの電圧を印加して化成処理を行
い、120Hz、0.5Vの交流電圧により、静電容量
の測定を行った。アルミニウム箔の静電容量が0.80
μF/cm2以上であるものを良好と評価した。電解コ
ンデンサ用アルミニウム箔の焼鈍時の雰囲気、高電位領
域時間及び静電容量を下記表6に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】表6に示すように、実施例1乃至5は、仕
上げ焼鈍時の圧力及び酸素分圧並びに高電位領域時間が
本発明範囲内であるため、静電容量がいずれも0.80
μF/cm2以上と高い値を示した。
【0045】cmm実施例1及び2は、不純物として0.
5体積ppmのO2ガスを含むArガスのみを使用し、
圧力を変化させて仕上げ焼鈍を行った。高電位領域時間
が本発明範囲内となり、高い静電容量を示した。
【0046】実施例3及び4は、酸素濃度を1体積pp
mとして、圧力を変化させて仕上げ焼鈍を行った。比較
例1と比べて酸素濃度を高くしたが、圧力を下げること
により、酸素分圧を小さくし、高い静電容量を得ること
ができた。
【0047】実施例5は、酸素濃度が2体積ppmで、
圧力を190mmHgとして仕上げ焼鈍を行った。この
ように、酸素濃度を2体積ppmまで高くしても、圧力
を下げることにより、高い静電容量を得ることができ
た。
【0048】比較例1乃至4は、圧力を一定にして酸素
濃度を変化させた。酸素濃度が減少すると共に、高電位
領域時間も減少したが、圧力が本発明範囲を超えるた
め、いずれも高電位領域時間が本発明範囲の上限値を超
え、静電容量が小さくなった。
【0049】比較例5は、酸素濃度及び圧力を小さくし
たため、比較例1よりも酸素分圧が小さくなり、高電位
領域時間が本発明範囲の下限値未満となって、静電容量
が低下した。
【0050】比較例6及び7は、酸素濃度が5体積pp
mで仕上げ焼鈍を行った。このように高い酸素濃度で
は、圧力を0.505及び0.253×105Paと低
くしても、酸素分圧が低くならずに本発明範囲の上限を
超えるため、高電位領域時間が本発明範囲を超えて長く
なり、実施例3及び4と比較して静電容量が低下した。
【0051】比較例8及び9は、実施例5と同じ酸素濃
度で仕上げ焼鈍を行ったが、圧力が高いため、酸素分圧
が本発明範囲の上限値を超えたため、高電位領域時間が
長くなり、実施例5と比較して静電容量が低下した。
【0052】比較例10は、実施例3と同じ酸素濃度で
仕上げ焼鈍を行ったが、実施例3と比較して圧力が高
く、本発明範囲の上限値を超えるため、高電位領域時間
が本発明範囲の上限値を超えて長くなり、静電容量が低
下した。
【0053】比較例11及び12は、実施例2と同一の
圧力及び酸素分圧で仕上げ焼鈍を行い、同一の高電位領
域時間でいずれも本発明範囲内であったが、アルミニウ
ムの純度が本発明範囲から外れるため、静電容量が0.
8μF/cm2未満となった。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
通電開始直後に塩化銀電極を標準電極として、−500
mV以上の電圧を示す時間が25乃至40ミリ秒である
アルミニウム箔を使用すれば、静電容量が高い電解コン
デンサ用アルミニウム箔を得ることができる。また、純
度が99.99質量%以上のアルミニウムを使用して、
仕上げ焼鈍時の圧力を0.9044×105Pa以下と
すると共に酸素分圧が1.33×10-2乃至5.96×
10-2Paとすることにより、高い静電容量を有する電
解コンデンサ用アルミニウム箔を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に時間、縦軸に電位をとって、通電開始直
後の電位変化を示すグラフ図である。
【図2】横軸に高電位領域時間をとって、縦軸に静電容
量をとって、高電位領域時間と静電容量との関係を示す
グラフ図である。
【図3】横軸に圧力Pをとって、縦軸に酸素分圧p(O
2)をとって、各測定点における高電位領域時間を示す
グラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22C 21/00 H01G 9/04 346

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純度が99.99質量%以上で残部が不
    可避的不純物からなる電解コンデンサ電極用アルミニウ
    ム箔であって、組成がHCl:0.75mol/リット
    ル及びH2SO4:3.0mol/リットルであり、温度
    が80±1℃の電解液中で、塩化銀電極を標準電極とし
    電流密度を30A/dm2として通電した場合、通電開
    始直後に−400mV以上の電位を示す時間が25乃至
    40ミリ秒であることを特徴とする電解コンデンサ電極
    用アルミニウム箔。
  2. 【請求項2】 純度が99.99質量%以上で残部が不
    可避的不純物からなるアルミニウム箔を、酸素分圧が
    1.33×10-2乃至5.99×10-2Paであり、圧
    力が0.9044×105Pa以下である雰囲気中で焼
    鈍する工程を有することを特徴とする電解コンデンサ電
    極用アルミニウム箔の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100442406C (zh) * 2003-05-15 2008-12-10 扬州宏远电子有限公司 硬态箔的腐蚀工艺方法

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