JP2001183834A - ポジ型感光性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents

ポジ型感光性樹脂組成物、及びそれを用いたパターン形成方法

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JP2001183834A JP36517199A JP36517199A JP2001183834A JP 2001183834 A JP2001183834 A JP 2001183834A JP 36517199 A JP36517199 A JP 36517199A JP 36517199 A JP36517199 A JP 36517199A JP 2001183834 A JP2001183834 A JP 2001183834A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリイミド前駆体ではなく、すでに閉環して
いるが、溶媒可溶のポリイミドを用いた、保存安定性、
プロセス適性に優れたポジ型感光性ポリイミドを提供す
る。 【解決手段】 下記一般式(1) 【化1】 (Xは、四価の有機基、R1 は二価、三価又は四価のジ
アミンであり且つ、骨格中にスルホン酸基及び/又はス
ルフィン酸基を樹脂全体の重量の1〜30%含有し、n
は3〜800の整数を示す。)で表されるポリイミド
と、露光によりアルカリ溶液に可溶となる成分を有する
化合物を含み、且つ、アルカリ水溶液、又はアルカリ水
溶液と有機溶媒の混合液で現像可能であるポジ型感光性
ポリイミドである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性を必要とさ
れる場所に用いられる材料、特に耐熱性帯電防止剤、プ
リント配線板、リードフレーム等の電子部材、又は半導
体装置などに好適なアルカリ溶液で現像可能なポジ型感
光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドは、その耐熱性や機械的、電
気的物性から信頼性が要求される半導体や電子機器配線
の分野への応用が盛んである。しかし、現状はパターニ
ング能を有しないポリイミドの上に新たにレジスト層を
設け、ドライ、又はウェットエッチングを行い、さら
に、レジストを除去するといった複雑な工程の製法が取
られている。そこで、このような複雑な工程の製法とは
ならないようにするために、それ自身がパターン形成能
を持つポリイミドが求められている。
【0003】現在、ポリイミドの前駆体であるポリアミ
ド酸の状態でパターン形成を行い、その後加熱により熱
閉環をし、ポリイミドとするものが市販されている。
【0004】また、次のようなポジ型感光性ポリイミド
が提案されている。ポジ型感光性ポリイミドは、ポリイ
ミド前駆体に感光基を導入したもの(特公平1−595
71号公報)と、感光基を添加するものとに分類でき
る。後者の感光基添加タイプとしては、光照射によって
ポリイミド前駆体とカルボン酸を生ずるオルトキノンジ
アジドのスルホン酸エステル系(特開平4−16844
1号公報、特開平4−204738号公報)、その改良
版であるスルホンアミドエステル系(特開平10−17
1116号公報)、ポリイミド前駆体にジヒドロキシピ
リジン誘導体を添加した系(特開平6−43648号公
報)などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のポジ型感光性ポリイミドは、いずれも、パターニン
グ時にポリイミド前駆体、即ち、ポリアミド酸を用いて
いるため、ポリマーの分解や増粘が起こりやすく冷蔵保
存が必要であるなど保存安定性に難があり、また、パタ
ーニング後に熱イミド化を行うため、300℃以上の温
度での加熱と数段階に及ぶ加熱プロセスを必要とし、加
工性プロセス適性が充分ではなかった。また、このよう
なイミドへの閉環の際に脱水することによりポリイミド
膜の熱収縮、またイミド化の過激な加熱条件等による悪
影響の問題があった。
【0006】さらに、本発明の特徴とするスルホン酸基
及び/又はスルフイン酸基を有するポリイミドは過去に
報告が極めて少なく、例えば、G.I.Timofee
va、I.I.Ponomarev,A.R.Khok
hlov.,Macromol.Symp.106,3
45−351(1996)に報告されている程度であ
り、その物性に関する検討がほとんど行われていない現
状がある。
【0007】本発明の目的は、ポリイミド前駆体、即
ち、ポリアミド酸を使用せずに、すでに閉環しているが
溶媒可溶のポリイミドを用いた、保存安定性、プロセス
適性に優れたポジ型感光性樹脂組成物を提供すること、
及び該組成物を用いたパターン形成方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、自ら発明
した熱膨張率の比較的低い有機溶媒、又は水等の溶媒に
可溶なポリイミドに、スルホン酸基があることに着目し
た。スルホン酸基は酸性基であるため、アルカリ溶媒に
も可溶であると考え、スルホン酸基導入量と現像性、現
像液の組成について鋭意検討を行った。其の結果、一定
量以上のスルホン酸基を含むポリイミドはアルカリ溶液
にも可溶であることを見出した。さらに配合する他のジ
アミンや配合比を変化させることにより溶解性、熱物性
を所望の数値に調節することが可能であることを見出し
た。
【0009】そして、そこにフェノール・ノボラック型
ポジ型レジスト用途に一般に用いられているオルトキノ
ンジアジド系感光剤を添加したものが、露光によって溶
解性の差が生まれ、パターニング可能となり良好なレリ
ーフパターンを形成できるポジ型感光性樹脂組成物であ
ると見出し、さらに本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明のポジ型感光性樹脂組成物
は、下記一般式(1)
【0011】
【化5】
【0012】(Xは、四価の有機基、R1 は二価、三価
又は四価のジアミンであり且つ、骨格中にスルホン酸基
及び/又はスルフィン酸基を樹脂全体の重量の1〜30
%含有し、nは3〜800の整数を示す。)で表される
ポリイミドと、露光によりアルカリ溶液に可溶となる成
分を有する化合物を含み、且つ、アルカリ水溶液、又は
アルカリ水溶液と有機溶媒の混合液で現像可能であるこ
とを特徴とする。
【0013】本発明のポジ型感光性樹脂組成物におけ
る、前記四価の有機基は、有機酸二無水物が好ましい。
この有機酸二無水物には、ピロメリット酸二無水物、
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、3,3’,4,4’−ビフタル酸二無水物から選ば
れた1種以上の化合物が好ましい。
【0014】本発明のポジ型感光性樹脂組成物におけ
る、スルホン酸基及び/又はスルフィン酸基を含むジア
ミンは、少なくとも、モル比で3%以上は2,2’,−
ベンジジンジスルホン酸基及び/又は2,4−ジアミノ
ベンゼンスルホン酸基であることが好ましい。
【0015】本発明のポジ型感光性樹脂組成物におけ
る、前記露光によりアルカリ溶液に可溶となる成分を有
する化合物は、下記一般式(2)又は(3)
【0016】
【化6】
【0017】(R2 のうち少なくとも一つはオルトキノ
ンジアジドスルホニル基、2−ジアゾ−1−インダノン
基、2一ジアゾ−1,3−インダンジオン基、5−メト
キシ−1−インダノン基のいずれかであり、R2 の全て
が同一のものでも、これらが混在していても良い。)及
び/又は、下記一般式(4)〜(9)
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】(R2 のうち少なくとも一つはオルトキノ
ンジアジドスルホニル基、2−ジアゾ−1−インダノン
基、2−ジアゾ−1 ,3−インダンジオン基、5−メト
キシ−1−インダノン基のいずれかであり、R2 の全て
が同一のものでも、これらが混在していても良い。)で
表される化合物が使用できる。
【0021】該露光によりアルカリ溶液に可溶となる成
分を有する化合物の配合量は、前記ポリイミドに対し
て、重量で1〜50重量%が好ましい。
【0022】本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、ポジ
型感光性樹脂組成物の溶解度を高めるためのアミン系化
合物と、常温で液体の物質を含んでいてもよく、しかし
ながら、前記ポリイミドと、前記露光によりアルカリ溶
液に可溶となる成分を有する化合物との合計濃度は1〜
50重量%であることが好ましい。
【0023】本発明のポリイミド膜の成型方法は、
(1)前記ポジ型感光性樹脂組成物を固形物体上に塗布
し、(2)得られた塗膜中の少なくとも溶媒の一部を取
り除き、(3)前記処理された塗膜に対して所定のパタ
ーンを有するフォトマスクを適用して露光し、(4)次
いで、アルカリ水溶液と有機溶媒との混合液(現像液)
によるエッチングを行い、(5)乾燥又は加熱処理する
ことを特徴とする。本発明のポリイミド膜の成型方法に
おいて、塗膜中の少なくとも溶媒の一部を取り除く方法
は、プリベーク又は乾燥することにより行うことができ
る。
【0024】その際に、高度の絶縁性、耐熱性を必要と
する場合は、加熱処理を行うことが好ましい。これは、
ポリイミド中のスルホン酸成分を加熱により脱スルホン
させ、より吸水性の少ない成分に転換する作用があるか
らである。好ましくは350℃、10〜70分の条件で
加熱処理するのが良い。
【0025】
【発明の実施の形態】〔1〕ベースポリマー 本発明のポジ型感光性樹脂組成物におけるベースポリマ
ーは、前記一般式(1)で表されるポリイミドである。
【0026】一般式(1)中のR1 は隣接する窒素原子
を含みジアミンを構成するが、このR1 の3〜100モ
ル%、即ち、ジアミンの3〜100モル%はスルホン酸
基及び/又はスルフィン酸基を有する。スルホン酸基及
び/又はスルフィン酸基を有するジアミンが10%以下
では現像液に対する溶解性が不十分で現像時間が著しく
長くなる。
【0027】また、スルホン酸基及び/又はスルフィン
酸基量が多くなればなるほどアルカリ現像液での現像が
容易になる。また、アルカリ成分の濃度を濃くすると、
スルホン酸量の少ないポリイミドでも現像が可能にな
る。現像液の組成において、アルカリ水溶液に対し1〜
90%まで有機溶媒とすることができ、有機溶媒の比率
を高めることにより現像速度を促進することができる。
しかし、その場合、パターンとして残った膜が膜減りを
することもある。
【0028】ポリイミドの重量平均分子量(以下、MW
という)は、GPC(Gel Permeation
Chromatography)でのポリスチレン換算
値が8000〜300000が好ましい。8000未満
ではポリイミドの機械的強さが不十分であり、成膜性も
悪く実用に適さない。また、300000より高いと現
像時間が長くなり良好なポジ型レリーフパターンが得ら
れにくくなる。
【0029】本発明に使用されるポリイミドの製法は特
に限定されるものではないが、テトラカルボン酸二無水
物とジアミンを溶液中で充分撹拌し付加反応させた後、
そのまま130℃以上に加熱しポリイミドへの閉環反応
を行うのが一般的ではある。その際に、無水酢酸等の触
媒を用い、加熱なしでイミド化したり、無溶媒での反応
も可能である。
【0030】前記スルホン酸基及び/又はスルフィン酸
基を有するジアミンとしては、得られるポリイミド膜の
機械特性、耐熱性、接着性及び成膜性の観点から、三価
又は四価の有機基である。好ましい三価又は四価の有機
基の例を下記構造式群(一般式(10))に挙げるがこ
れに限定されるものではない。式(10)において、三
価又は四価の有機基のうち2個がアミノ基であり、残り
の1又は2個がスルホン酸基及び/又はスルフィン酸基
を示す。
【0031】
【化9】
【0032】また、一般的なジアミンとしては得られる
ポリイミド膜の機械特性、耐熱性、接着性及び成膜性の
観点から、四価の有機基である。その好ましい例を下記
構造式群(一般式(11)、及び一般式(12))に挙
げる。なおポリイミドを形成するジアミンのうち、スル
ホン酸を含むジアミン以外のものは、これらが単一で構
成していても良いし混在していても良い。
【0033】
【化10】
【0034】
【化11】
【0035】テトラカルボン酸二無水物としては、一般
にポリイミドに用いられているテトラカルボン酸二無水
物が使用できるが、得られるポリイミドの機械特性、耐
熱性、接着性及び成膜性の観点から、四価の有機基であ
る。その好ましい例を下記構造式群(一般式(13))
に挙げる。これらのうち特に、3,3’,4,4’−ビ
フタル酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラ
カルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、又はこ
れらの混合物は、汎用的であるため安価でしかも比較的
熱膨張率が低いポリイミドが得られる。このため、他の
テトラカルボン酸二無水物に比べて有利である。
【0036】
【化12】
【0037】〔2〕感光剤 本発明のポジ型感光性樹脂組成物における感光剤として
は、前記一般式(2)〜(7)で代表されるオルトキノ
ンジアジド部位を始めとする露光によりアルカリ溶液に
可溶となる成分を有する化合物、あるいはそれらの混合
物を用いることができる。
【0038】上記オルトキノンジアジド部位は、一般に
感光する前はアルカリ溶液に可溶なポリマーに対して溶
解阻害作用を呈することが知られている。そして、露光
と水分子の存在によりカルボキシル基を生成してポリイ
ミド露光部での溶解阻害作用が低減し、ポリイミドの露
光部と未露光部での溶解度の差が創出される。
【0039】さらに、オルトキノンジアジド部位を始め
とする露光によりアルカリ溶液に可溶となる成分を有す
る化合物に含まれる、露光によりアルカリ可溶となる成
分の数やポジ型感光性樹脂組成物中の含有量を調節する
ことにより露光部や未露光部の溶解速度を調節すること
ができる。
【0040】上記オルトキノンジアジド部位を始めとす
る露光によりアルカリ溶液に可溶となる成分としては、
2−ジアゾ−1−インダノン、2−ジアゾ−1,3−イ
ンダンジオン、5−メトキシ−1−インダノン等が挙げ
られ、これらの部位を構造の一部に持つ化合物を用いれ
ば前述のような結果を導き出すことができる。
【0041】前記一般式(2)〜(7)で表される、オ
ルトキノンジアジドスルホンエステル化合物は、一般に
オルトキノンジアジドスルホンクロリドと、水酸基をも
つ化合物との縮合反応によって得られる。
【0042】オルトキノンジアジドスルホンクロリドと
しては、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−ス
ルホン酸クロリド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジ
ド−5−スルホン酸クロリドなどが挙げられる。
【0043】〔3〕ポジ型感光性樹脂組成物 本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、以上説明したポリ
イミドとオルトキノンジアジド部位を始めとする露光に
よりアルカリ溶液に可溶となる成分を有する化合物とを
含有する。
【0044】オルトキノンジアジド部位を始めとする露
光によりアルカリ溶液に可溶となる成分を有する化合物
の含有量は、ポリイミドに対して1〜50重量%が好ま
しく、さらに好ましくは5〜40重量%である。50重
量%を超えると得られるポリイミドパターンの機械的強
度が不十分であり、1重量%未満では露光部、未露光部
での溶解速度の差が大きくならない為、良好なレリーフ
パターンが得られない。
【0045】本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、アル
カリ水溶液だけでは溶解性が悪い為、現像液としては有
機溶媒とアルカリ水溶液を混合させた溶媒を用いるのが
好ましい。アルカリ水溶液としては、テトラメチルアン
モニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウ
ムハイドロオキサイドなどの水酸化4級アンモニウム水
溶液、エタノールアミン、プロピルアミンなどのアミン
系水溶液、及び水酸化ナトリウムなどの無機アルカリ水
溶液などから選ばれた1種以上のものが使用できるが、
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドが最も一
般的である。
【0046】また、アルカリ水溶液に混合する有機溶媒
は水と相溶するものならどれでも良いが、感光性樹脂組
成物の溶解性、水との相溶性との観点からn−メチルピ
ロリドンが最も好ましい。水と相溶性が悪く現像液中で
分離していると、得られるパターンにムラが発生するた
め撹拌するか、若しくは、現像液中で分離しないような
混合比にするか、若しくは、現像温度を上げて有機溶媒
の水に溶解度を高めることが必要である。
【0047】〔4〕ポジ型感光性樹脂組成物ワニス 本発明のポジ型感光性樹脂組成物を膜にするには前記の
ポジ型感光性樹脂組成物を有機溶媒に溶解しワニスとし
て用いる。
【0048】ポジ型感光性樹脂組成物と有機溶媒との混
合比は、ポリイミド膜に要求される膜厚や塗布性能など
から決定されるが、ポジ型感光性樹脂組成物に含まれる
ポリイミドと感光剤の合計濃度(以下NVと略称する)
がワニス中において1〜50重量%になるように調整す
るのが好ましい。
【0049】NVが50重量%を超えると塗膜後の膜厚
の制御が困難になり、1重量%未満では絶縁性等の物性
を発現するのに充分な膜厚を得られにくい。
【0050】本発明のポジ型感光性樹脂組成物のワニス
は、前記ポリイミドと前記感光剤を、ポリイミドの0.
1〜10重量%のアミン系化合物の存在下、有機溶媒中
で撹拌混合することにより調整できる。アミン系化合物
を添加せずに所望の濃度になる場合は、アミン系化合物
を添加しなくても良い。
【0051】アミン系化合物としては、トリエチルアミ
ン、トリメチルアミン、トリフェニルアミン、4−ジメ
チルアミノピリジン、ピリジン、トリエタノールアミ
ン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、
プロピルアミン等、どのアミンでも良い。中でも3級ア
ミン、特にトリエチルアミンを用いるのが好ましいが、
特に限定されるものではない。
【0052】有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロ
リドン、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、
ジグライム、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクト
ン、フェノール、o−クレゾーール、m−クレゾール、
p−クレゾール、テトラヒドロフラン、エタノール、メ
タノール、水等が好ましい。これらは、単独でも良い
が、混合溶液を用いても良い。ポリイミドの溶解性が落
ちない程度に低沸点の溶媒を添加するとプリベークの時
間短縮等の効果がある。
【0053】〔5〕ポリイミド膜 本発明のポリイミド膜は、上記ポジ型感光性樹脂組成物
のワニスを用いて成膜できる。まず、上記ワニスを固形
物体上(一般的にはガラス板、シリコンウェハ、金属板
等の基板上)にスピンコート、スクリーン印刷などによ
り塗布する。膜厚は、用途により異なるが0.1μm〜
100μm程度とすることができる。
【0054】塗布後、60〜120℃で、1〜40分程
度プリベークし、溶媒をある程度除去することにより膜
を成型することができる。次いで、所望のパターンを有
するフォトマスクを介して紫外線を照射する。ポリイミ
ドの組成、感光剤の種類、膜厚等により照射量は変化す
るが、高圧水銀ランプh線換算で100mJ〜4000
mJで感光させることができる。紫外線を照射した後、
アルカリ水溶液と有機溶媒との混合液(現像液)に浸積
して露光部をエッチングする。その際に、超音波照射等
の手法を行っても良い。
【0055】エッチング後は、2−プロパノール等のア
ルコールで洗浄する。その中でも室温であり、沸点の低
い汎用のアルコールが好ましい。洗浄後、60〜120
℃に加熱し乾燥させる。上記のポリイミド膜に高度な絶
縁性、耐水性を必要とする場合は、300℃〜400℃
に加熱を行い、ポリイミド中のスルホン酸基を脱スルホ
ン反応させると良い。加熱条件は、スルホン酸基を有す
るジアミン成分の種類と、そのジアミン全体に占める割
合によるが、2,2’−ベンジジンジスルホン酸を10
0%用いた場合は、350℃70分程度、ジアミン中の
2,2’−べンジジンジスルホン酸の割合が15%の場
合は350℃15分程度が適当である。
【0056】感光剤を含みパターニング後に、脱スルホ
ンしたポリイミド膜の熱膨張率は、感光剤を含まない系
に比べて平均3ppm程度大きくなる。これは、感光剤
が高分子マトリックス中に存在することによるものであ
ると思われる。
【0057】以上のように、本発明のポジ型感光性樹脂
組成物は、ポリイミドであるために保存安定性が良好で
あり、現像後の加熱処理の条件も温和であるためプロセ
ス適性が優れている。また、得られたポリイミド膜は、
加熱処理を施すことにより、熱膨張の少ない熱物性の優
れたものとすることができる。
【0058】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。下記の表1に各実施例で用いたポジ型感光性樹脂組
成物の組成を示す。なお、実施例及び比較例で用いた化
合物の略号を示す。
【0059】3,3’,4,4’−ビフタル酸二無水物
(略語:BPDA) 1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物
(略語:NTCDA) 2,2’−べンジジンジスルホン酸(略語:BZFS
A) 4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(略語:DAD
E) 2,2’−トリフルオロメチルべンジジン(略語:TF
MB) トリエチルアミン(略語:TEA) n−メチル−2−ピロリドン(略語:NMP) 1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸
と2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンとのエス
テル(略語:DNQ) テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(略語:
TMAH)
【0060】
【表1】
【0061】ポリイミドの製造 1.6363g(4.75mmol)のBZFSAとD
ADE2.8574g(14.25mmol)に、o−
クレゾール100gを加え撹拌した。そこに、TEA
1.8ml(0.013mol)をゆっくり滴下し、完
全に溶解するまで70℃に保った。そこに、安息香酸を
1.7104g(0.014mol)を添加した後、B
PDA5.5g(19mmol)を加え55℃で100
分撹拌した。そして、180℃で3時間撹拌後、o−ク
レゾール50gで希釈し、室温まで冷却後メタノール6
00ml、conc.HC130mlの中に滴下した。
生成した沈殿物をデカンテーションで取り出し、メタノ
ール中で煮沸洗浄を繰り返し行った後、50℃で12時
間乾燥させて、実施例1のポリイミドを得た。酸二無水
物の成分(モル比)とジアミンの成分(モル比)を下記
の表1に示す。
【0062】以上の実施例1のポリイミドの製造と同様
な方法で、表1に示す酸二無水物の配合例と、ジアミン
の配合例を用い、実施例2〜6のポリイミドも合成を行
った。
【0063】こうして得られた、実施例1〜6のポリイ
ミドと、ポリイミドの30wt%のDNQをクレゾール
(o−、m−、p−いずれでも、混合物でも可)、NM
P等の溶媒に固形分10%になるように溶解させた後、
濾過を行い、実施例1〜6のポジ型感光性樹脂組成物の
ワニスを得た。そのようにして得られたワニスを、脱脂
洗浄したステンレス板SUS−430(住友金属株式会
社製)上にスピンコートし、実施例1〜6の膜厚5μm
の塗膜を得た。
【0064】上記各塗膜に、フォトマスクを介して手動
露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−120
0)でh線換算で1000mJ/cm2 照射を行った。
露光後、下記の表2の配合比(モル比)の現像液(23
℃)に浸積し、2−プロパノールで洗浄後、100℃の
オーブンで2分間乾燥させた。この様して、実施例1〜
6の各実施例につき4種類の、未露光部が侵食されてい
ないレリーフパターンを得た。現像条件(現像時間)、
現像液の組成等を下記の表2に示す。現像して得られた
レリーフパターンが鮮映性かどうかについての性質(現
像性)について顕微鏡を用いて目視により観察した。そ
の結果を下記の表2に示す。診断基準は次に従った。
【0065】×は、塗膜が全て溶出したり、露光部が全
く溶出しなかったため、パターンが形成できなかったも
の。
【0066】△は、パターンは形成できたものの未露光
部も溶出しており、良好なリレーフパターンが形成でき
なかったもの。
【0067】○は、L/S:50μm/50μmのリレ
ーフパターンが良好に得られたもの。
【0068】
【表2】
【0069】現像液の組成により、未露光部の減膜率が
異なるが、概ね5〜60%の範囲である。高度な絶縁性
や熱物性を求めるのであれば、乾燥後に350℃前後で
1〜70分の加熱処理を行うことによりスルホン酸基及
び/又はスルフィン酸基を脱離させると良い。
【0070】加熱処理後の熱膨張率を、DNQを配合し
感光化したものと、ポリイミドのみの場合について比較
した。測定はリガク製TMA−8310を用い、10℃
/minで10gの荷重をかけ測定した。計算温度範囲
は30〜200℃で行った。この結果を下記の表3に示
す。
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】本発明のポジ型感光性樹脂組成物はポリ
イミドであるために、保存安定性が良好である。該ポジ
型感光性樹脂組成物を用いて成膜し露光した場合、未露
光部に侵食のない良好なポジ型レリーフパターンを有す
るポリイミド膜が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂寄 勝哉 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AC01 AD03 BE01 CB25 CB42 CB55 FA17 FA29

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (Xは、四価の有機基、R1 は二価、三価又は四価のジ
    アミンであり且つ、骨格中にスルホン酸基及び/又はス
    ルフィン酸基を樹脂全体の重量の1〜30%含有し、n
    は3〜800の整数を示す。)で表されるポリイミド
    と、 露光によりアルカリ水溶液に可溶となる成分を有する化
    合物を含み、且つ、 アルカリ水溶液、又はアルカリ水溶液と有機溶媒の混合
    液で現像可能であることを特徴とするポジ型感光性樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記四価の有機基は、有機酸二無水物で
    ある請求項1記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記有機酸二無水物は、ピロメリット酸
    二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン
    酸二無水物、及び3,3’,4,4’−ビフタル酸二無
    水物から選ばれたものである請求項2記載のポジ型感光
    性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記ジアミンは、少なくとも、モル比で
    3%以上は2,2’−ベンジジンジスルホン酸基及び/
    又は2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸基である請求
    項1記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記アルカリ水溶液は、水酸化4級アン
    モニウム水溶液、アミン系水溶液、及び無機アルカリ水
    溶液から選ばれた1種以上である請求項1記載のポジ型
    感光性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記露光によりアルカリ溶液に可溶とな
    る成分を有する化合物は、下記一般式(2)又は(3) 【化2】 (R2 のうち少なくとも一つはオルトキノンジアジドス
    ルホニル基、2−ジアゾ−1−インダノン基、2一ジア
    ゾ−1,3−インダンジオン基、5−メトキシ−1−イ
    ンダノン基のいずれかであり、R2 の全てが同一のもの
    でも、これらが混在していても良い。)及び/又は、 下記一般式(4)−(9) 【化3】 【化4】 (R2 のうち少なくとも一つはオルトキノンジアジドス
    ルホニル基、2−ジアゾ−1−インダノン基、2−ジア
    ゾ−1 ,3−インダンジオン基、5−メトキシ−1−イ
    ンダノン基のいずれかであり、R2 の全てが同一のもの
    でも、これらが混在していても良い。)で表される化合
    物である請求項1記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記露光によりアルカリ溶液に可溶とな
    る成分を有する化合物の配合量が、前記ポリイミドに対
    して、重量で1〜50重量%である請求項1記載のポジ
    型感光性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 ポジ型感光性樹脂組成物の溶解度を高め
    るためのアミン系化合物と、常温で液体の物質を含むポ
    ジ型感光性樹脂組成物であって、前記ポリイミドと、前
    記露光によりアルカリ溶液に可溶となる成分を有する化
    合物との合計濃度が1〜50重量%である請求項1記載
    のポジ型感光性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 (1)請求項1、2、3、4、5、6、
    7又は8に記載のポジ型感光性樹脂組成物を固形物体上
    に塗布し、 (2)得られた塗膜中の少なくとも溶媒の一部を取り除
    き、 (3)前記処理された塗膜に対して所定のパターンを有
    するフォトマスクを適用して露光し、 (4)次いで、アルカリ水溶液と有機溶媒との混合液に
    よるエッチングを行い、 (5)乾燥又は加熱処理することを特徴とするポリイミ
    ド膜の成型方法。
  10. 【請求項10】 前記塗膜中の少なくとも溶媒の一部を
    取り除く方法は、プリベーク又は乾燥することにより行
    う請求項9記載のポリイミド膜の成型方法。
  11. 【請求項11】 前記アルカリ水溶液は、水酸化4級ア
    ンモニウム水溶液、アミン系水溶液、及び無機アルカリ
    水溶液から選ばれた1種以上である請求項9記載のポジ
    型感光性樹脂組成物の製造方法。
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