JP2001176517A - リチウムイオン二次電池電極の製法、電極及び電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池電極の製法、電極及び電池

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結着性、接着性に優れた電極とリチウムイオ
ン二次電池を提供する。 【解決手段】 炭素質物質又は金属酸化物よりなる活物
質、バインダーとしてゲル含量50%以上のポリマー粒
子、及び液状物質を含有するスラリーを、集電体に塗
布、乾燥し、表面粗さが6μm以下の未加圧電極を得た
後、加圧圧縮してリチウムイオン二次電池電極を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン二
次電池電極の製造方法、当該方法により製造される電極
及び当該電極を含有する電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ノート型パソコンや携帯電話の普
及が著しい。そしてこれ等の電源に用いられている二次
電池には、リチウムイオン二次電池が多用されている。
ところで、こうしたノート型パソコンや携帯電話は、小
型化、うす型化、軽量化、高性能化が急速に進んでい
る。これに伴いリチウムイオン二次電池に対しても、一
層の電池の小型化、うす型化、軽量化、高性能化が要求
されており、更に低コスト化が強く求められている。こ
うしたことから、リチウムイオン二次電池(以下、単に
電池ということがある)の改良ニーズに対して、電池の
材料の改良、電池の製造方法の改良、電池構造の改良
等、あらゆる角度からの改良が進められている。
【0003】ところで、リチウムイオン二次電池の電極
(以下、単に電極ということがある)は、通常、アルミ
ニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレスなどの金属
よりなる集電体に、粉末状の活物質、バインダー、液状
物質、及び必要に応じて導電性カーボン等の各種の添加
物を含有するスラリー(以下、単にスラリーということ
がある)を塗布し、液状物質を乾燥除去した加圧前の電
極(以下、未加圧電極ということがある)をロールプレ
ス等で圧縮して製造される。製造された電極は更にセパ
レーターと組み合わされて、折り曲げられたり、細く緻
密に捲回されたりした後、外装缶に挿入され、電解液が
加えられて電池が製造される。電極(正極及び負極)の
性能は、電池性能上、最も重要な要素の1つであり、電
池の小型化、うす型化、軽量化、高性能化、及び低コス
ト化に、大きく影響する。
【0004】従って、従来より電極を構成する材料、例
えば集電体、活物質、バインダー、あるいは導電性カー
ボン等のその他の添加物等の開発や改良が活発に進めら
れている。ところで、電極の性能は、電極を構成する材
料の開発や改良によって、大きく向上することはもちろ
んであるが、電極を製造する工程で得られるスラリーの
性状によっても電極の性能は大きく影響する。すなわ
ち、スラリーの性状が悪いと集電体に活物質が均一に塗
布されなかったり、活物質どうしの結着性(以下、単に
結着性ということがある)や、集電体と活物質との接着
性(以下、単に接着性ということがある)が悪かった
り、あるいは集電体にスラリーを塗布した後のスラリー
中の液状物質を乾燥除去する工程(以下、単に乾燥工程
ということがある)での乾燥が不均一であったり、不充
分であったり、あるいは乾燥工程後にバインダーが電極
表面に凝集したり、電極表面が平滑でなくなったりし
て、いずれの場合でも、こうした現象は電極の性能を非
常に低下せしめる。スラリーの性状が悪いとは、スラリ
ー中の活物質の分散が不均一であったり、スラリーを数
時間から数日間保存しておくと、二層分離したり、ゲル
化したりして保存安定性が悪かったり、集電体にスラリ
ーを塗布したときに均一な塗布ができなかったり、ある
いは均一な塗布ができても、乾燥工程で電極の活物質層
が不均一となる様な状態である。
【0005】一方、優れた性状のスラリーとは、スラリ
ーが均一に分散されており長期間の保存安定性に優れて
おり、集電体への塗布が均一であり、更に乾燥後の電極
の活物質層が均一であるスラリーである。このように電
極の性能向上は、電極を構成する物質の開発や改良と同
時に、良好な性状のスラリーを開発することも重要であ
る。従来より、電極の性能向上の検討は、主に電極を構
成する物質の開発や改良が中心であり、良好な性状のス
ラリーの開発に注目した発明は少なかった。そこで、ス
ラリーを含有するバインダーと液状物質との組み合わせ
を特定することで優れた性状の電池電極用スラリーが得
られることが報告されている(特開平11−28363
0号公報、特開平11−283631号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、先の発
明を更に改良すべく、電極製造法について鋭意検討した
結果、未加圧電極の表面が特定の状態にあるものを用い
ると、電極及び電池の性能を大きく向上することを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、炭素質物質又は金属酸化物よりなる活物質、バイン
ダー、及び液状物質を含有するスラリーを、集電体に塗
布、乾燥し、未加圧電極を得た後、加圧圧縮する工程を
含むリチウムイオン二次電池電極の製造方法において、
(1)前記スラリー中のバインダーがゲル含量50%以
上のポリマー粒子であり、かつ(2)前記未加圧電極の
表面粗さが6μm以下であることを特徴とするリチウム
イオン二次電池電極の製造方法が提供され、また、当該
方法により製造されたリチウムイオン二次電池電極が提
供され、更に当該電極を含有するリチウムイオン二次電
池が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】1.スラリー 本発明に用いられるスラリーは、炭素質物質又は金属酸
化物よりなる活物質、バインダー及び液状物質を含有
し、当該バインダーが、スラリー中でゲル含量50%以
上のポリマー粒子として存在しているものである。スラ
リーには、必要に応じて導電性カーボン等のその他の添
加物を含有させることもできる。
【0009】1−1.活物質 本発明のスラリーに用いられる活物質は、リチウムイオ
ンを吸蔵及び放出することができる物質であればいずれ
でもよいが、負極活物質としては各種の炭素質物質、複
合金属酸化物、等が挙げられ、正極活物質としては複合
金属酸化物、特にリチウム及び鉄、コバルト、ニッケ
ル、マンガンの少なくとも1種類以上の金属を含有する
複合金属酸化物等が挙げられる。
【0010】更に具体的に例示すれば、特に好ましい負
極活物質としては、アモルファスカーボン、グラファイ
ト、天然黒鉛、MCMB、ピッチ系炭素繊維、ポリアセ
ンなどの炭素質材料;AxMyOp(但し、AはLi、
MはCo、Ni、Al、Sn及びMnから選択された少
なくとも一種、Oは酸素原子を表し、x、y、zはそれ
ぞれ1.10≧x≧0.05、4.00≧y≧0.8
5、5.00≧z≧1.5の範囲の数である。)で表さ
れる複合金属酸化物やその他の金属酸化物などが例示さ
れる。
【0011】また、特に好ましい正極活物質としては、
LixMO(但し、Mは1種以上の遷移金属、好まし
くはCo、Mn又はNiの少なくとも一種を表し、1.
10>x>0.05である)、又は、LixM
(但し、Mは1種以上の遷移金属、好ましくはMnを
表し、1.10>x>0.05である)を含んだ活物質
が挙げられ、例えばLiCoO、LiNiO、Li
xNiyCo(1−y)O(但し、1.10>x>
0.05、1>y>0)、LiMnで表される複
合金属酸化物等が挙げられる。スラリー、特に正極スラ
リーには活物質、バインダー、及び液状物質の他に導電
性カーボンを添加する場合が多い。この導電性カーボン
としては、カーボンブラック、グラファイト等が用いら
れる。
【0012】1−2.バインダー 本発明のスラリーに用いられるバインダーは、少くとも
ゲル含量が50%以上のポリマー粒子を含有するもので
ある。スラリー中では、このポリマー粒子はスラリーを
構成する液状物質に膨潤していたり、膨潤していなかっ
たりするが、ほとんど溶解することなく、分散してい
る。このポリマー粒子の形状は特に制限されないが、球
形又は略球形であるのが好ましい。ポリマー粒子の粒径
(液状物質を乾燥除去後のポリマー粒子100個の長径
と短径とを電子顕微鏡を用いて測定し、その平均値をと
る)は、通常0.005〜100μm、好ましくは0.
01〜50μm、更に好ましくは0.05〜30μmで
ある。粒径が大きすぎるとバインダーとして使用する場
合に、活物質と接触しにくくなり、電極の内部抵抗が増
加する。小さすぎると必要なバインダーの量が多くなり
すぎ、活物質の表面を被覆してしまう。本発明にかかわ
るゲル含量が50%以上のポリマー粒子(以下、単にポ
リマーということがある)は、あらかじめ以下に詳述す
る液状物質に分散せしめ、これを用いることが好まし
い。
【0013】本発明のバインダーとなる好ましいポリマ
ーとしては、ジエン系ポリマー、オレフィン系ポリマ
ー、スチレン系ポリマー、アクリレート系ポリマー、ポ
リアミド系あるいはポリイミド系ポリマー、エステル系
ポリマー、セルロース系ポリマー等が挙げられ、具体的
には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、イソプレン−
イソブチレン共重合体、天然ゴム、スチレン−1,3−
ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、
1,3−ブタジエン−イソプレン−アクリロニトリル共
重合体、スチレン−1,3−ブタジエン−イソプレン共
重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン
−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニ
トリル−1,3−ブタジエン−イタコン酸共重合体、ス
チレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタ
クリル酸メチル−フマル酸共重合体、スチレン−1,3
−ブタジエン−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アク
リロニトリル共重合体、アクリロニトリル−1,3−ブ
タジエン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合
体、スチレン−1,3−ブタジエン−イタコン酸−メタ
クリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、スチレン
−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル
酸メチル−フマル酸共重合体などのジエン系ポリマー;
【0014】エチレン−プロピレン共重合体、エチレン
−プロピレン−ジエン共重合体、ポリスチレン、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート
共重合体、エチレン系アイオノマー、ポリビニルアルコ
ール、酢酸ビニル重合体、エチレン−ビニルアルコール
共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリアクリル酸、ポリ
メタクリル酸、クロロスルホン化ポリエチレンなどオレ
フィン系ポリマー;スチレン−エチレン−ブタジエン共
重合体、スチレン−ブタジエン−プロピレン共重合体、
スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリル酸
n−ブチル−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸n−ブチル
−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル
共重合体などのスチレン系ポリマー;
【0015】ポリメチルメタクリレート、ポリメチルア
クリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアク
リレート、アクリレート−アクリロニトリル共重合体、
アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸メチル−ア
クリル酸−メトキシポリエチレングリコールモノメタク
リレートなどのアクリレート系ポリマー;ポリアミド
6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド1
2、芳香族ポリアミド、ポリイミドなどのポリアミド系
又はポリイミド系ポリマー;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなどのエステル縮合系
ポリマー;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエ
チルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキ
シエチルメチルセルロース等のセルロース化合物(これ
らのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩類を含
む);
【0016】ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共
重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン・ブロック共
重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン・ブ
ロック共重合体、スチレン−イソプレン・ブロック共重
合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン・ブ
ロック共重合体等のブロック共重合体;その他メチルメ
タクリレート重合体などが挙げられる。また、これらの
ポリマーは単独でも、2種類以上を混合して用いてもよ
い。分散媒に応じて、これらのポリマーの中から、粒子
に分散させることのできるものを選択すればよい。
【0017】上述した具体例の中でも、共役ジエン系モ
ノマーや(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの単独
重合体又は共重合体や、共役ジエン系モノマーや(メ
タ)アクリル酸エステル系モノマーと各種の共重合可能
なモノマーを用いた共重合体などが特に好ましいポリマ
ーとして挙げられ、さらにこれらのポリマーの粒子形状
となったものの外層に、(メタ)アクリル酸系モノマー
や(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの単独重合体
又は共重合体、(メタ)アクリル酸系モノマーや(メ
タ)アクリル酸エステル系モノマーと共重合可能なモノ
マーとの共重合体、などのポリマー層ができている複合
ポリマー(コアシェル構造、複合構造、局在構造、だる
ま状構造、いいだこ状構造、ラズベリー状構造、多粒子
複合構造などと言われる構造(「接着」34巻1号第1
3〜23頁記載、特に第17頁記載の図6)を有するも
の)も特に好ましい例として挙げられる。
【0018】本発明で用いるポリマーのゲル含量は、通
常50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは
80%以上である。なお、本発明において、ゲル含量は
スラリーを構成する液状物質不溶分として算出され、具
体的には1gのポリマーを100℃で24時間乾燥さ
せ、ポリマー乾燥重量を測定後、このポリマーを25℃
で、スラリーに使用する液状物質100gに24時間浸
漬し、200メッシュのふるいにかけ、ふるいの上に残
留した固形物を乾燥させ、重量を測定し、(ふるい上の
残留固形物乾燥重量/ポリマー乾燥重量)×100の計
算式から算出した値である。ゲル含量が50%より少な
いと、スラリーの性状が悪くなる。
【0019】上述したポリマーのゲル含量が50%以下
の場合には、ポリマーを架橋することでゲル含量を上げ
ることができる。架橋は熱、光、放射線、電子線などに
よる自己架橋であってもよいし、架橋剤を用いて架橋構
造を導入するものであってもよく、またこれらの組み合
わせであってもよい。
【0020】架橋剤としては、ベンゾイルペルオキシ
ド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオ
キシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘ
キシン−3,1,4−ビス(tert−ブチルペルオキ
シドジプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、
tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3,2,5−トリメチル−2,5−ジ(tert−ブチ
ルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾ
エート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、t
ert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチル
ペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピ
パレート、クミルペルピパレート、tert−ブチルペ
ルジエチルアセテートなどのパーオキサイド系架橋剤や
アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレ
ートなどのアゾ化合物;エチレンジグリコールジメタク
リレート、ジエチレンジグリコールジメタクリレートな
どのジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパン
トリメタクリレートなどのトリメタクリレート化合物;
ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチ
レングリコールジアクリレートなどのジアクリレート化
合物;トリメチロールプロパントリアクリレートなどの
トリアクリレート化合物;ジビニルベンゼンなどのジビ
ニル化合物;などの架橋性モノマー等が例示されるが、
エチレンジグリコールジメタクリレートなどのジメタク
リレート化合物やジビニルベンゼンなどのジビニル化合
物などの架橋性モノマーを用いるのが好ましい。
【0021】架橋構造を持った塊状のポリマーとなった
場合は冷却しジェットミルなどで粉砕して用いてもよ
い。
【0022】本発明で使用されるポリマーは上述の如き
ポリマーの他、ゲル含量が50%以上のポリマーとして
フッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフル
オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テ
トラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポ
リフッ化ビニル、エチレン−クロロトリフルオロエチレ
ン共重合体などの含フッ素ポリマー;などが挙げられ
る。
【0023】本発明においては上述の如きゲル含量が5
0%以上のポリマーを単独あるいは混合に使用してもよ
いが、塗料性の向上を目的として、水酸基やニトリル基
などの極性基を有する極性ポリマー(以下、その他のポ
リマーということがある)を用いることができる。例え
ば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、
ビニルアルコール−ビニルブチラール−酢酸ビニル共重
合体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース(ナトリウム塩なども可)、ポリビニリデン
フルオライド、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、ポリアクリロニトリル等が例示される。このほか、
水系媒体を用いる場合は、セルロース類が塗料性向上に
有効であり、その他のポリマーとして用いることが出き
る。この様なその他のポリマーと組合せる場合、ゲル含
量が50%以上のポリマー10重量部に対して、その他
のポリマーは0.1重量部〜100重量部好ましくは1
重量部〜70重量部で用いると、スラリーの塗料性が向
上する。
【0024】1−3.液状物質 本発明において液状物質は、常圧、常温において液状の
物質であれば特に制限されないが、水(100)の他、
常圧での沸点が50〜350℃の液状物質が好ましい。
特に電極製造時の操作性の観点から常圧での沸点が10
0℃以上の有機化合物が好ましく、特に常圧での沸点が
130℃〜250℃の有機化合物が好ましい。常圧での
沸点が130〜250℃の液状物質としては、常圧での
沸点が50〜350℃の有機液状物質であるn−ドデカ
ン(216)、テトラリン(207)などの炭化水素
類;2−エチル−1−ヘキサノール(184)、1−ノ
ナノール(214)などのアルコール類;ホロン(19
7)、アセトフェノン(202)、イソホロン(21
5)などのケトン類;酢酸ベンジル(213)、酪酸イ
ソペンチル(184)、γ−ブチロラクトン(20
4)、乳酸メチル(143)、乳酸エチル(154)、
乳酸ブチル(185)などのエステル類;o−トルイジ
ン(200)、m−トルイジン(204)、p−トルイ
ジン(201)などのアミン類;N−メチルピロリドン
(204)、N,N−ジメチルアセトアミド(19
4)、ジメチルホルムアミド(153)などのアミド
類;ジメチルスルホキシド(189)、スルホラン(2
87)などのスルホキシド・スルホン類などの有機化合
物が挙げられる。尚、化合物名の後に記載された( )
内の数字は常圧での沸点(単位は℃)であり、小数点以
下は四捨五入又は切り捨てされた値である。また、沸点
に幅がある化合物については下限が50℃以上であるこ
とを確認して上限を記載した。
【0025】1−4.その他の添加物 スラリーには、更に必要に応じて、液状物質に溶解又は
膨潤するスラリーの粘度調整剤、バインダー補助剤、グ
ラファイトなどの導電性カーボンや金属粉末などの導電
材、等の各種添加物を添加することができる。
【0026】1−5.スラリーの製造方法 本発明のスラリーは、上述したように、活物質、ゲル含
量が50%以上のポリマー粒子を含有するバインダー、
及び沸点が50℃〜350℃の液状物質を含有し、更に
必要に応じて導電性カーボン等のその他の添加物を含有
していればよい。
【0027】これによって、優れた性状のスラリー、す
なわち、スラリー中のバインダー、活物質やその他の添
加物等が均一に分散されている、長期間の保存安定性に
優れている、集電体に塗布したときに均一である、更に
乾燥後の電極の活物質層が均一であるといった優れた性
状の電極を与えるスラリーを得ることができる。
【0028】本発明のスラリーの製造は、いかなる方法
によってもよい。例えば、活物質とバインダーを混合し
た後に液状物質を加えてもよく、あるいは活物質と液状
物質を混合した後に、バインダーを加えてもよく、更に
は、活物質、バインダー、及び液状物質を同時に加えて
混合してもよいが、後述する本発明のバインダー組成物
(即ち、バインダーと液状物質とからなるバインダー組
成物)に活物質を添加し混合する方法が簡便である。ま
た、バインダー組成物と活物質を混合した後、さらに前
述の液状物質を連続的に又は間欠的に添加し、最終的に
必要な任意の固形分濃度(通常20%〜60%程度)ま
で濃度を下げながら攪拌すると、表面粗さの少ない平滑
な電極を得るのが容易である。
【0029】本発明のスラリー中の活物質の量は特に制
限されないが、通常、バインダーに対して重量基準で1
〜1000倍、好ましくは2〜500倍、より好ましく
は3〜300倍、とりわけ好ましくは5〜200倍にな
るように配合する。活物質量が少なすぎると、集電体に
形成された活物質層に不活性な部分が多くなり、電極と
しての機能が不十分になることがある。また、活物質量
が多すぎると、後に詳述する未加圧電極の表面粗さが高
くなってしまう傾向にある。活物質が集電体に十分固定
されず脱落しやすくなる。
【0030】スラリーの液状物質の量も、特に制限され
ず最も集電体に塗布しやすい性状が得られる様な量とす
ればよい。通常バインダーに対して重量基準で1〜10
00倍、好ましくは2〜500倍、より好ましくは3〜
300倍、とりわけ好ましくは5〜200倍になるよう
に配合する。
【0031】スラリーの均一な混合は、上述したバイン
ダーと液状物質とを混合することによって得られる。混
合に際しては、ボールミル、サンドミル、顔料粉砕機な
どの分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー
などを用いると表面粗さの少ない平滑な電極を与えるこ
とのできるスラリーを短時間に得ることができる。
【0032】2.バインダー組成物 本発明においてポリマー粒子は、液状物質に分散された
バインダー組成物として用いることが好ましい。バイン
ダー組成物は、少くとも、本発明にかかわるゲル含量が
50%以上のポリマーを含有するバインダー、及び沸点
が50℃〜350℃の液状物質を含有する。
【0033】粒子状ポリマーと液状物質との均一な分散
液の製造方法としては、例えば、塊状のポリマーをジェ
ットミル等の粉砕機で微粉砕し、これを液状物質に分散
せしめる方法、塊状のポリマーを適当に砕断して液状物
質に加えた後、液状部室中でポリマーを微粉砕し、均一
分散せしめる方法、あるいは塊状のポリマーを有機溶媒
に溶解し、液状物質に溶媒置換して分散させる方法、あ
るいは水系分散媒中で製造された粒子状ポリマー・水分
散液(例えばラテックスやエマルジョン)を液状物質が
水の場合はそのまま、液状物質が有機化合物の場合は水
系から有機分散媒系に分散媒置換して、液状物質に分散
させる方法等がある。粒子状ポリマーと液状物質との分
散が充分でない場合には、更にボールミル、サンドミル
などの分散機、超音波分散機、ホモジナイザーなどを用
いて均一な分液液とすることが好ましい。
【0034】本発明に関わるバインダーは、その他のポ
リマーと組合せて用いることもできる。その他のポリマ
ーは本発明に関わるポリマーと液状物質の分散液に加え
てもよく、あるいはその他のポリマーを溶解した液状物
質溶液を粒子状ポリマーの液状物質分散液に所定量加え
てもよい。
【0035】3.リチウムイオン二次電池電極 本発明の電極は、本発明に関わるスラリーを集電体に塗
布し、液状物質を乾燥・除去して集電体表面に形成され
たマトリックス中に活物質を固定する。集電体は、導電
性材料からなるものであれば特に制限されないが、通
常、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなど
の金属製のものを用いる。形状も特に制限されないが、
通常、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のも
のを用いる。
【0036】スラリーの集電体への塗布方法も特に制限
されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、
リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、
エクストルージョン法、浸漬、ハケ塗りなどによって塗
布される。塗布する量も特に制限されないが、液状物質
を乾燥除去した後に形成される活物質層の厚さが通常
0.005〜5mm、好ましくは0.02〜2mmにな
る程度の量である。乾燥方法も特に制限されず、例えば
温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外
線や電子線などの照射による乾燥が挙げられる。乾燥条
件は、通常は応力集中が起こって活物質層に亀裂が入っ
たり、活物質層が集電体から剥離しない程度の速度範囲
の中で、できるだけ早く液状物質が揮発するように調整
する。本発明の電極は、上述してきたスラリーを集電体
に塗布するため、容易に均一な塗布・乾燥ができる上に
非常に均一な活物質層を形成する。また、接着性や結着
性に優れているため充放電サイクル特性が良好な電池を
大量に生産する場合に著効を示す。
【0037】こうして、集電体にスラリーを塗布、乾燥
せしめただけの未加圧電極の活物質層の電極密度は、活
物質の種類によってかなり異なるが、通常正極で1.5
〜6g/cm、負極で0.5〜4g/cm程度であ
る。尚、密度の測定方法はJIS 0601に規定され
る方法である。この未加圧電極を、平板プレス、ロール
プレス、金型プレス、カレンダープレス等を用いて加圧
し、正極密度を1〜4.5g/cm、負極密度を0.
1〜3g/cm程度にすることにより、電池一つ当た
りの容量を高めることができる。
【0038】本発明においては、未加圧電極の表面粗さ
Rzが、6μm以下、好ましくは5μm以下、より好ま
しくは4μm以下である。表面粗さ(Rz)が高すぎる
と、その後の加圧工程によって得られた電極がもろく、
電極表面から活物質が剥がれ落ちる傾向にある(結着力
不足、接着力不足)。本発明において表面粗さは、JI
S0601に準拠し、測定された値である。未加圧電極
の表面粗さが、電極の活物質剥がれに影響する正確な理
由は明らかではないが、バインダーが液状物質に分散し
ているタイプのバインダー組成物を用いて製造したスラ
リーを用いる場合、溶解しないバインダーと活物質とが
均一分散していないと、未加圧電極の表面粗さを高く
し、加圧によって得られた電極が上述のような活物質は
がれを起こし、このような電極では電池性能も十分に発
揮されないと推察される。
【0039】4.リチウムイオン二次電池 本発明の電池は、本発明の正極及び/又は負極の電極を
用いたリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン
二次電池の電解液は通常用いられるものでよく、負極活
物質、正極活物質の種類に応じて電池としての機能を発
揮するものを選択すればよい。例えば、電解質は、従来
より公知のリチウム塩がいずれも使用でき、LiClO
、LiBF、LiPF、LiCFSO、Li
CFCO、LiAsF、LiSbF、LiB
10Cl10、LiAlCl、LiCl、LiBr、
LiB(C、CFSOLi、CHSO
Li、LiCFSO、LiCSO、Li
(CFSON、低級脂肪酸カルボン酸リチウム
などが挙げられる。
【0040】また電解液溶媒は通常用いられるものであ
れば特に限定されるものではないが、プロピレンカーボ
ネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネー
ト、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メ
チルエチルカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブ
チルラクトンなどのラクトン類;トリメトキシメタン、
1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エ
トキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラ
ヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルスルホキシド
などのスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メ
チル−1,3−ジオキソランなどのオキソラン類;アセ
トニトリルやニトロメタンなどの含窒素類;ギ酸メチ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン
酸メチル、プロピオン酸エチルなどの有機酸エステル
類;リン酸トリエステルや炭酸ジメチル、炭酸ジエチ
ル、炭酸ジプロピルのような炭酸ジエステルなどの無機
酸エステル類;ジグライム類;トリグライム類;スルホ
ラン類;3−メチル−2−オキサゾリジノンなどのオキ
サゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、1,4−
ブタンスルトン、ナフタスルトンなどのスルトン類;等
の単独もしくは二種以上の混合溶媒が使用できる。
【0041】本発明のリチウムイオン二次電池は、上記
電解液や本発明の電極を含み、セパレーター等の部品を
用いて、常法に従って製造される。例えば、次の方法が
挙げられる。すなわち、正極と負極とをセパレータを介
して重ね合わせ、電池形状に応じて巻く、折るなどし
て、電池容器に入れ、電解液を注入して封口板又は安全
弁を用いて封口する。更に必要に応じてエキスバンドメ
タルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、
リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の
防止をすることもできる。電池の形状は、コイン型、ボ
タン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など何れであ
ってもよい。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、集電体と活物質の接着
性に優れた電極が得られ、この電極を用いれば、充放電
容量保持率の高い電池を得ることができる。
【0043】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明はこれに限るものではない。 <ゲル含量の測定>1gのポリマーを100℃で24時
間乾燥させ、ポリマー乾燥重量を測定した。ついで、こ
のポリマーを25℃の室温中、液状物質としてNMP又
は水100gに24時間浸漬し、200メッシュのふる
いにかけ、ふるいの上に残留した固形物を乾燥させ、重
量を測定して、下記の計算式から算出した。 (ふるい上の残留固形物乾燥重量/ポリマー乾燥重量)
×100
【0044】<粒子の測定>液状物質であるNMP又は
水を乾燥除去後、透過型電子顕微鏡で100個の粒子の
長径と短径を測定し、その平均値を求めた。
【0045】<未加圧電極の評価>ロールプレス前の未
加圧電極を1.5cm角の正方形に切り取り、スライド
グラスに固定して、光学非接触式ミクロトレーサ「フォ
コディン」(Dr.lng.Peerthen Gmn
H社製)を用いて、試験片表面形状を記録し、試験片固
定時などに由来する撓みなどを補正した後、基準長さ
2.5mm、評価長さ12.5mmにおける十点平均の
表面粗さ(Rz)を、JIS B 0601に準拠して
測定した。Rz値(μm)が小さいほどその表面は均一
である。
【0046】<折り曲げ試験>集電体の片面にスラリー
を塗布して製造された未加圧電極を、2軸のロールプレ
スで活物質層の密度が正極は3.4g/cm、負極は
1.6g/cmとなるように加圧して得られた電極を
長さ100mm、幅20mmの50枚の試験片に切り、
電極の活物質層を内側にして、直径2mmのステンレス
棒を芯にして電極面同士が接するまで折り曲げ(内側折
り曲げ)た後、同じ折り曲げ部分を、活物質層を外側に
して同様に折り曲げ(外側折り曲げ)て、活物質層にヒ
ビが入ったり、活物質層が集電体から剥離した試験片
(電極)の枚数を数えた。この値が大きいほど欠陥が多
い試験片となる。
【0047】<接着性試験>集電体と活物質層との接着
性試験は、それぞれ10枚の電極試験片についてJIS
K 5400に規定された碁盤目試験法に準拠し、測
定した。結果は目視によって10段階評価した。値は1
0枚の試験片の平均値とし、小数点以下は四捨五入し
た。この値が8以上であれば実用上良好な結着性がある
と判断できる。
【0048】<電池の評価:充放電容量保持率>20セ
ルの電池について、25℃雰囲気下、定電流法(電流密
度0.2mA/cm)で、負極試験では0Vから1.
2Vまでの、正極試験では3Vから4.2Vまでの充放
電を繰り返し、電気容量を測定した。50サイクル終了
時と5サイクル終了時の放電容量(単位=mAh/g)
を測定し、5サイクル目の容量に対する50サイクル目
の容量の比(%)で表される充放電容量保持率を求め、
20セルの平均値を算出した。この値が高いほどサイク
ル特性に優れている。
【0049】・ポリマー粒子Aの製造 攪拌機付きのオートクレーブに水3400g、スチレン
900部、1,3−ブタジエン900gジビニルベンゼ
ン20部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム48
部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマ
リン縮合物(花王社製)10部、ボウ硝4部、過硫酸カ
リウム8部を入れ、50℃に加熱し、攪拌しながら10
時間反応させて、乳白色のラテックスを得た。このラテ
ックスに分散されたポリマー粒子Aの平均粒径は0.1
4μmであった。また、ポリマー粒子Aの水にタイする
ゲル含量は99.9%であった。
【0050】上記のラテックスの未反応残留モノマーを
水蒸気蒸留によって除去し、水酸化リチウムでpH7に
調製した。次いで、総重量の3倍量のNMPを加え、エ
バポレーターで水分を蒸発させ、固形分濃度が15重量
%のポリマーAのNMP分散液を得た。このポリマー粒
子AのNMP分散液の水分は280ppm、ポリマーの
ゲル含量は94%、ポリマー粒子Aの平均粒径は0.1
5μmであった。
【0051】・ポリマー粒子Bの製造 攪拌機付きのオートクレーブに、水2000部、スチレ
ン210部、メタクリル酸メチル480部、アクリル酸
2−エチルヘキシル420部、ジビニルベンゼン50
部、ラウリル硫酸アンモニウム12部、炭酸ナトリウム
10ぶを挿入してモノマーエマルジョンを調整した。次
いで、水2400部、エチレンジアミン四酢酸10部、
ラウリル硫酸アンモニウム11部、過硫酸カリウム20
部、上記のモノマーエマルジョンを10容量%加え、8
0℃に加熱し、攪拌しながら1時間反応させた。引き続
き過硫酸カリウム2部を水20部と共に、この反応駅に
加え、80℃に維持し、攪拌を続けながら、残りのモノ
マーエマルジョンをすべて加えた。80℃に維持したま
ま攪拌を続け、更に8時間反応させて、乳白色のラテッ
クスを得た。このラテックスに分散されたポリマー粒子
Bの平均粒子径は0.13μmであった。また、ポリマ
ー粒子Bの水に対するゲル含量は99.7%であった。
【0052】上記のラテックスの未反応残留モノマーを
水蒸気蒸留によって除去し、水酸化リチウムでpHを7
に調製した。次いで、総重量の3倍量のNMPを加え、
エバポレーターで水分を蒸発させ、固形分濃度が14重
量%のポリマーBのNMP分散液を得た。このポリマー
BのNMP分散液の水分は415ppm、ポリマー粒子
BのNMPに対するゲル含量は96.7%、平均粒径は
0.28μmであった。
【0053】実施例1〜4、比較例1〜4 (正極スラリーの製造)LiCoO(日本化学工業
(株)社製;製品名「セルシードC−5」)90重量
部、アセチレンブラック7重量部、ポリマー粒子A又は
Bを2重量部含有するNMP分散液、エチレン−ビニル
アルコール共重合体(エチレン含量44%)2重量部を
混合し、さらにNMPを加えて固形分濃度60%のスラ
リーを調整し、らい潰機(石川工場社製、商品名「石川
式攪拌らい潰機」型番18号)を用いて30分間混練し
た。混練されたスラリーにNMPを加えて固形分濃度5
5%のスラリーを調整して15分間混練し、更にここに
NMPを加えて固形分濃度50%のスラリーを調整して
10分間混練した。
【0054】(負極スラリーの製造)カーボン(ロンザ
社製;商品名「KS−15」)を95重量部、ポリマー
粒子A又はBを3重量部含有するNMP分散液、エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含量44%)
2重量部を混合し、さらにNMPを加えて固形分濃度6
0%のスラリーを調整した。その後正極と同じ条件でス
ラリーを混練した。
【0055】正極スラリーをアルミニウム箔(厚さ20
μm)に、また負極スラリーを銅箔(厚さ18μm)に
それぞれドクターブレード法によって、集電体の片面に
均一に塗布した。これを120℃、15分間乾燥機で乾
燥した後、さらに真空乾燥機にて5mmHg、120℃
で2時間減圧乾燥し、正極及び負極の活物質層の厚みが
200μmの未加圧電極1〜4を作製した。未加圧電極
の表面粗さRzを表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】これらの未加圧電極1〜4を2軸のロール
プレスによって、圧縮し、加圧した電極について、折り
曲げ試験結果及び接着性試験を行った。結果を表2に示
す。
【0058】加圧電極を直径15mmの円形に切り抜
き、直径18mm、厚さ25μmの円形ポリプロピレン
製多孔膜からなるセパレーターを介在させて、互いに活
物質が対向し、外装容器底面に正極のアルミニウム箔又
は金属リチウムが接触するように配置し、更に負極の銅
箔又は金属リチウム上にエキスパンドメタルを入れ、ポ
リプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコ
イン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステ
ンレス鋼厚さ0.25mm)中に収納した。尚、電極の
組み合わせは、製造した正極の試験のためには負極とし
てリチウム金属を使用し、製造した負極の試験のために
は正極としてリチウム金属を使用した。この容器中に電
解液を、空気が入らないように注入し、ポリプロピレン
製パッキンをかいさせて外装容器に厚さ0.2mmのス
テンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電池缶を封止
して、直径20mm、厚さ約2mmのコイン型電池を製
造した。電解液はプロピレンカーボネート/エチルカー
ボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネー
ト/メチルエチルカーボネート=20/20/20/2
0/20(20℃での体積比)にLiPFが1モル/
リットルの濃度で溶解した溶液を用いた。こうして製造
したコイン型電池を用いて、電池の性能(充放電容量保
持率)の評価を行った。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】実施例5、6 ポリマー粒子AのNMP分散液の代わりにNMP置換前
のポリマー粒子Aの水分散液(ラテックス;固形分濃度
15%)を用いたこと、エチレン−ビニルアルコール共
重合体の代わりにカルボキシメチルセルロースナトリウ
ムを用いたこと、追加したNMPの代わりに水を用いた
こと以外は、実施例1及び2との同様にして、未加圧電
極の表面粗さ及び加圧した電極の性能及び電池性能を評
価した。結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】比較例1〜4 スラリー製造時の混練を、顔料分散機(東洋精機製作所
社製、試験用分散機)で10分間混合したこと以外は同
様にしてポリマー粒子Aを含む正極及び負極スラリーを
得、得られたスラリーを用いて未加圧電極の表面粗さR
zを測定し、また加圧電極について折り曲げ試験、接着
性試験を行った。また、加圧電極を用い、実施例と同様
にして電池を製造し、電池性能の評価も行った。結果を
表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】充放電容量保持率の結果は、実施例では、
20セルの充放電容量保持率が高く、また20セルのば
らつきも非常に小さいものであったのに対し、比較例で
は、充放電容量保持率が本発明にかかわる電池より低
く、また20セルのばらつきも大きく安定した高性能な
電池とは言い難いものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山川 雅裕 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 Fターム(参考) 5H003 AA07 BA01 BA03 BB11 BB32 BC01 BD03 5H014 AA02 AA04 BB01 BB05 BB06 BB08 EE01 HH00 5H029 AJ01 AK03 AL03 AL06 AL07 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ02 BJ14 BJ15 DJ06 DJ16 EJ12 HJ02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素質物質又は金属酸化物よりなる活物
    質、バインダー、及び液状物質を含有するスラリーを、
    集電体に塗布、乾燥し、未加圧電極を得た後、加圧圧縮
    する工程を含むリチウムイオン二次電池電極の製造方法
    において、(1)前記スラリー中のバインダーがゲル含
    量50%以上のポリマー粒子であり、かつ(2)前記未
    加圧電極の表面粗さが6μm以下であることを特徴とす
    るリチウムイオン二次電池電極の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法により製造されたリ
    チウムイオン二次電池電極。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の電極を含有するリチウム
    イオン二次電池。
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