JPH11273682A - リチウムイオン二次電池の電極用スラリー、バインダー組成物、電極、及び電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の電極用スラリー、バインダー組成物、電極、及び電池

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JPH11273682A
JPH11273682A JP10093968A JP9396898A JPH11273682A JP H11273682 A JPH11273682 A JP H11273682A JP 10093968 A JP10093968 A JP 10093968A JP 9396898 A JP9396898 A JP 9396898A JP H11273682 A JPH11273682 A JP H11273682A
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JP
Japan
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electrode
slurry
polymer
active material
nmp
Prior art date
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Pending
Application number
JP10093968A
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English (en)
Inventor
Koichiro Maeda
耕一郎 前田
Katsuya Nakamura
勝也 中村
Akihisa Yamamoto
陽久 山本
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 集電体と活物質との結着性(結着持続性)に
優れた繰り返し充放電が可能なリチウムイオン二次電池
を提供する。 【解決手段】 炭素質物質及び/または複合金属酸化物
よりなる活物質、ゲル含量が50%以上のポリマーを含
有するバインダー、及びN−メチルピロリドンと沸点が
50℃〜350℃の含酸素化合物とを含む液状物質を含
有するリチウムイオン二次電池電極用スラリーを用いて
電極を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン二
次電池の電極用スラリー、バインダー組成物、電極、及
び電池に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、ノート型パソコンや携帯電話の普
及が著しい。そしてこれ等の電源に用いられている二次
電池には、リチウムイオン二次電池が多用されている。
ところで、こうしたノート型パソコンや携帯電話は、小
型化、うす型化、軽量化、高性能化が急速に進んでい
る。これに伴いリチウムイオン二次電池に対しても、一
層の電池の小型化、うす型化、軽量化、高性能化が要求
されており、更に低コスト化が強く求められている。こ
うしたことから、リチウムイオン二次電池(以下、単に
電池ということがある)の改良ニーズに対して、電池の
材料の改良、電池の製造方法の改良、電池構造の改良
等、あらゆる角度からの改良が進められている。
【0004】ところで、リチウムイオン二次電池の電極
(以下、単に電極ということがある)は、通常、アルミ
ニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレスなどの金属
よりなる集電体に、粉末状の活物質、バインダー、液状
物質、及び必要に応じて導電性カーボン等の各種の添加
物を含有するスラリー(以下、単にスラリーということ
がある)を塗布し、液状物質を乾燥除去して活物質層を
施して製造される。製造された電極は更にセパレーター
と組み合わされて、折り曲げられたり、細く緻密に捲回
されたりした後、外装缶に挿入され、電解液が加えられ
て電池が製造される。電極(正極及び負極)の性能は、
電池性能上、最も重要な要素の1つであり、電池の小型
化、うす型化、軽量化、高性能化、及び低コスト化に、
大きく影響する。
【0005】従って、従来より電極を構成する材料、例
えば集電体、活物質、バインダー、あるいは導電性カー
ボン等のその他の添加物等の開発や改良が活発に進めら
れている。ところで、電極の性能は、電極を構成する材
料の開発や改良によって、大きく向上することはもちろ
んであるが、電極を製造する工程で得られるスラリーの
性状によっても電極の性能は大きく影響する。すなわ
ち、スラリーの性状が悪いと集電体に活物質が均一に塗
布されなかったり、活物質どうしの結着性(以下、単に
結着性ということがある)や、集電体と活物質との接着
性(以下、単に接着性ということがある)が悪かった
り、あるいは集電体にスラリーを塗布した後のスラリー
中の液状物質を乾燥除去する工程(以下、単に乾燥工程
ということがある)での乾燥が不均一であったり、不充
分であったり、あるいは乾燥工程後にバインダーが電極
表面に凝集したり、電極表面が平滑でなくなったりし
て、いずれの場合でも、こうした現象は電極の性能を非
常に低下せしめる。スラリーの性状が悪いとは、スラリ
ー中の活物質の分散が不均一であったり、スラリーを数
時間から数日間保存しておくと、二層分離したり、ゲル
化したりして保存安定性が悪かったり、集電体にスラリ
ーを塗布したときに均一な塗布ができなかったり、ある
いは均一な塗布ができても、乾燥工程で電極の活物質層
が不均一となる様な状態である。
【0006】一方、本発明の優れた性状のスラリーと
は、スラリーが均一に分散されており長期間の保存安定
性に優れており、集電体への塗布が均一であり、更に乾
燥後の電極の活物質層が均一であるスラリーである。こ
のように電極の性能向上は、電極を構成する物質の開発
や改良と同時に、良好な性状のスラリーを開発すること
も重要である。従来より、電極の性能向上の検討は、主
に電極を構成する物質の開発や改良が中心であり、良好
な性状のスラリーの開発に注目した発明は少く、更に乾
燥工程で蒸発除去される液状物質に関する研究は不十分
であった。
【0007】そこで本発明者等は、先に従来より電極の
バインダーとして用いられているポリビニリデンフルオ
ライドは、集電体と活物質との接着性が不充分であるこ
とから、電極活物質とゲル含量50%以上のポリマーと
を、常圧での沸点が80℃以上である有機分散媒中に分
散させてなる電池用スラリー組成物を開発した(国際出
願番号PCT/JP96/02849)。この先の発明
によれば、従来より用いられているポリビニリデンフル
オライドバインダーよりも、結着性や接着性が大幅に向
上するため、電池性能が大幅に向上する。この電池性能
の向上はバインダーが単にポリビニリデンフルオライド
からゲル含量が50%以上のポリマーにかわったためだ
けではなく、活物質とゲル含量が50%以上のポリマー
とを、常圧での沸点が80℃以上である有機分散媒中に
分散させたことによる効果である。すなわち、この先の
発明は、電極製造に際して、乾燥工程において蒸発除去
される液状物質を含むスラリーの性状が電極の性能に大
きく影響を及ぼすことを示唆している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、先の発
明を更に改良すべく、電極製造の乾燥工程で蒸発除去さ
れてしまうため電極構成材料とはならない液状物質に注
目し、詳細な検討を行った結果、先の発明の常圧での沸
点が80℃以上である有機分散媒のなかでも特にN−メ
チルピロリドン(以下、NMPということがある)と、
沸点が50℃〜350℃の含酸素化合物とを含む液状物
質を用いることによって、電極及び電池の性能を大きく
向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、第一に炭素質物質及び/または複合金属酸化物より
なる活物質、ゲル含量が50%以上のポリマーー、及び
NMPと沸点が50℃〜350℃の含酸素化合物とを含
む液状物質を含有するリチウムイオン二次電池電極用ス
ラリーが提供され、第二にゲル含量が50%以上のポリ
マー、及びNMPと沸点が50℃〜350℃の含酸素化
合物とを含む液状物質を含有するリチウムイオン二次電
池電極用バインダー組成物が提供され、更に当該スラリ
ーまたはバインダー組成物を用いたリチウムイオン二次
電池用電極が提供され、当該電極を含有するリチウムイ
オン二次電池が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】1.スラリー 本発明のスラリーは、少くとも炭素質物質及び/または
複合金属酸化物よりなる活物質、ゲル含量が50%以上
のポリマーを含有するバインダー、及びN−メチルピロ
リドンと沸点が50℃〜350℃の含酸素化合物よりな
る液状物質とを含有し、更に必要に応じて導電性カーボ
ン等のその他の添加物を含有する。
【0011】1−1.活物質 本発明のスラリーに用いられる活物質は、リチウムイオ
ンを吸蔵及び放出することができる物質であればいずれ
でもよいが、負極活物質としては各種の炭素質物質、金
属複合酸化物、等が挙げられ、正極活物質としては金属
複合酸化物、特にリチウム及び鉄、コバルト、ニッケ
ル、マンガンの少なくとも1種類以上の金属を含有する
金属複合酸化物等が挙げられる。
【0012】更に具体的に例示すれば、特に好ましい負
極活物質としては、アモルファスカーボン、グラファイ
ト、天然黒鉛、MCMB、ピッチ系炭素繊維、ポリアセ
ンなどの炭素質材料;AxMyOp(但し、AはLi、
MはCo、Ni、Al、Sn及びMnから選択された少
なくとも一種、Oは酸素原子を表し、x、y、zはそれ
ぞれ1.10≧x≧0.05、4.00≧y≧0.8
5、5.00≧z≧1.5の範囲の数である。)で表さ
れる複合金属酸化物やその他の金属酸化物などが例示さ
れる。
【0013】また、特に好ましい正極活物質としては、
LixMO2(但し、Mは1種以上の遷移金属、好まし
くはCo、MnまたはNiの少なくとも一種を表し、
1.10>x>0.05である)、または、LixM2
4(但し、Mは1種以上の遷移金属、好ましくはMn
を表し、1.10>x>0.05である)を含んだ活物
質が挙げられ、例えばLiCoO2、LiNiO2、Li
xNiyCo(1-y)2(但し、1.10>x>0.0
5、1>y>0)、LiMn24で表される複合酸化物
等が挙げられる。スラリー、特に正極スラリーには活物
質、バインダー、及び液状物質の他に導電性カーボンを
添加する場合が多い。この導電性カーボンとしては、カ
ーボンブラック、グラファイト等が用いられる。
【0014】1−2.バインダー 本発明のスラリーに用いられるバインダーは、少くとも
ゲル含量が50%以上のポリマーを含有するものであ
り、スラリー中では、このポリマーの大部分または全部
が液状物質に膨潤していたり、膨潤していなかったりす
るが、ほとんど溶解することなく、球形まは不定形な粒
子状でスラリー中に分散している。本発明にかかわるゲ
ル含量が50%以上のポリマー(以下、単にポリマーと
いうことがある)は、あらかじめNMPあるいはNMP
と以下に詳述する含酸素化合物よりなる混合液状物質に
分散せしめ、これを用いることが好ましい。 本発明の
バインダーとなるポリマーの形状は、NMPに分散させ
た状態でポリマーが球形、または不定形の0.005〜
100μmの粒子状になっている。
【0015】本発明のバインダーとなる好ましいポリマ
ーとしては、ジエン系ポリマー、オレフィン系ポリマ
ー、スチレン系ポリマー、アクリレート系ポリマー、ポ
リアミド系あるいはポリイミド系ポリマー、エステル系
ポリマー、セルロース系ポリマー等が挙げられ、具体的
には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、イソプレン−
イソブチレン共重合体、天然ゴム、スチレン−1,3−
ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、
1,3−ブタジエン−イソプレン−アクリロニトリル共
重合体、スチレン−1,3−ブタジエン−イソプレン共
重合体、1,3−ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体、スチレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン
−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニ
トリル−1,3−ブタジエン−イタコン酸共重合体、ス
チレン−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタ
クリル酸メチル−フマル酸共重合体、スチレン−1,3
−ブタジエン−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アク
リロニトリル共重合体、アクリロニトリル−1,3−ブ
タジエン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合
体、スチレン−1,3−ブタジエン−イタコン酸−メタ
クリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、スチレン
−アクリロニトリル−1,3−ブタジエン−メタクリル
酸メチル−フマル酸共重合体などのジエン系ポリマー;
エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン
−ジエン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エ
チレン系アイオノマー、ポリビニルアルコール、酢酸ビ
ニル重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩
素化ポリエチレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、クロロスルホン化ポリエチレンなどオレフィン系ポ
リマー;スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体、ス
チレン−ブタジエン−プロピレン共重合体、スチレン−
イソプレン共重合体、スチレン−アクリル酸n−ブチル
−イタコン酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル
共重合体、スチレン−アクリル酸n−ブチル−イタコン
酸−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体な
どのスチレン系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、
ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポ
リブチルアクリレート、アクリレート−アクリロニトリ
ル共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル
酸メチル−アクリル酸−メトキシポリエチレングリコー
ルモノメタクリレートなどのアクリレート系ポリマー;
ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリ
アミド12、芳香族ポリアミド、ポリイミドなどのポリ
アミド系又はポリイミド系ポリマー;ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのエステ
ル縮合系ポリマー;カルボキシメチルセルロース、カル
ボキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキ
シメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
カルボキシエチルメチルセルロース等のセルロース化合
物(これらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩類
を含む);ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重
合体、スチレン−ブタジエン−スチレン・ブロック共重
合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン・ブロ
ック共重合体、スチレン−イソプレン・ブロック共重合
体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン・ブロ
ック共重合体等のブロック共重合体;その他メチルメタ
クリレート重合体などが挙げられる。また、これらのポ
リマーは単独でも、2種類以上を混合して用いてもよ
い。
【0016】上述した具体例の中でも、共役ジエン系モ
ノマーや(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの単独
重合体又は共重合体や、共役ジエン系モノマーや(メ
タ)アクリル酸エステル系モノマーと各種の共重合可能
なモノマーを用いた共重合体などが好ましいポリマーと
して挙げられ、さらにこれらのポリマーの粒子形状とな
ったものの外層に、(メタ)アクリル酸系モノマーや
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの単独重合体又
は共重合体、(メタ)アクリル酸系モノマーや(メタ)
アクリル酸エステル系モノマーと共重合可能なモノマー
との共重合体、などのポリマー層ができている複合ポリ
マー(コアシェル構造、複合構造、局在構造、だるま状
構造、いいだこ状構造、ラズベリー状構造、多粒子複合
構造などと言われる構造(「接着」34巻1号第13〜
23頁記載、特に第17頁記載の図6)を有するもの)
が特に好ましい例として挙げられる。 本発明にかかわ
るポリマーは、スラリー中で大部分または全部が粒子状
に分散しておりその粒径(分散媒乾燥後、電子顕微鏡で
100個の粒子の長径と短径とを測定し、その平均値を
とる)は、通常0.005〜100μm、好ましくは
0.01〜50μm、更に好ましくは0.05〜30μ
mである。粒径が大きすぎるとバインダーとして使用す
る場合に、活物質と接触しにくくなり、電極の内部抵抗
が増加する。小さすぎると必要なバインダーの量が多く
なりすぎ、活物質の表面を被覆してしまう。
【0017】本発明で用いるポリマーのゲル含量は、通
常50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは
80%以上である。なお、本発明において、ゲル含量は
NMP不溶分として算出され、具体的には1gのポリマ
ーを100℃で24時間乾燥させ、ポリマー乾燥重量を
測定後、このポリマーを25℃で、NMP 100gに
24時間浸漬し、200メッシュのふるいにかけ、ふる
いの上に残留した固形物を乾燥させ、重量を測定し、
(ふるい上の残留固形物乾燥重量/ポリマー乾燥重量)
×100の計算式から算出した値である。ゲル含量が5
0%より少ないと、スラリーの性状が悪くなる。
【0018】上述したポリマーのゲル含量が50%以下
の場合には、架橋すればよい。架橋は熱、光、放射線、
電子線などによる自己架橋であってもよいし、架橋剤を
用いて架橋構造を導入するものであってもよく、またこ
れらの組み合わせであってもよい。
【0019】架橋剤としては、ベンゾイルペルオキシ
ド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオ
キシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘ
キシン−3,1,4−ビス(tert−ブチルペルオキ
シドジプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、
tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3,2,5−トリメチル−2,5−ジ(tert−ブチ
ルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾ
エート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、t
ert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチル
ペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピ
パレート、クミルペルピパレート、tert−ブチルペ
ルジエチルアセテートなどのパーオキサイド系架橋剤や
アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレ
ートなどのアゾ化合物;エチレンジグリコールジメタク
リレート、ジエチレンジグリコールジメタクリレートな
どのジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパン
トリメタクリレートなどのトリメタクリレート化合物;
ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチ
レングリコールジアクリレートなどのジアクリレート化
合物;トリメチロールプロパントリアクリレートなどの
トリアクリレート化合物;ジビニルベンゼンなどのジビ
ニル化合物;などの架橋性モノマー等が例示されるが、
エチレンジグリコールジメタクリレートなどのジメタク
リレート化合物やジビニルベンゼンなどのジビニル化合
物などの架橋性モノマーを用いるのが好ましい。
【0020】架橋構造を持った塊状のポリマーとなった
場合は冷却しジェットミルなどで粉砕して用いてもよ
い。
【0021】本発明で使用されるポリマーは上述の如き
ポリマーの他、ゲル含量が50%以上のポリマーとして
フッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフル
オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テ
トラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポ
リフッ化ビニル、エチレン−クロロトリフルオロエチレ
ン共重合体などの含フッ素ポリマー;などが挙げられ
る。
【0022】本発明においては上述の如きゲル含量が5
0%以上のポリマーどうしを単独あるいは混合に使用し
てもよいが、ゲル含量が50%以下好ましくは20%以
下のNMPに溶解するポリマー(以下、その他のポリマ
ーということがある)と組合せて用いることもできる。
その他のポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ビ
ニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体、ビニルアルコール−ビニルブチ
ラール−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ポリビニリデンフルオライド、アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等が例示
される。この様なその他のポリマーと組合せる場合、ゲ
ル含量が50%以上のポリマー10重量部に対して、そ
の他のポリマーは0.1重量部〜100重量部好ましく
は1重量部〜70重量部で用いると、スラリーの塗料性
が向上する。
【0023】1−3.液状物質 本発明のスラリーに含有する液状物質は、NMPと常圧
での沸点が50℃〜350℃の含酸素化合物とを含むも
のであり、これ以外の化合物が少量(5重量%以下)混
入していてもよい。含酸素化合物の沸点がこの範囲にあ
れば、電極製造時の操作性に優れ、また均一な活物質層
を容易に得ることができる。
【0024】本発明においては、上記の活物質、バイン
ダー、NMP及び以下に詳述する含酸素化合物が含有し
ていることによって、優れた性状のスラリーが得られ
る。本発明において、常圧での沸点が50〜350℃の
含酸素化合物の具体例としては、水の他、メタノール、
エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルア
ルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコー
ル、第二ブチルアルコール、アミルアルコール、イソア
ミルアルコール、メチルイソブチルカルビノール、2−
エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘ
キサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフル
フリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレング
リコール、グリセリンなどのアルコール性水酸基を有す
る化合物;プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、
ブチルエーテル、イソブチルエーテル、n−アミルエー
テル、イソアミルエーテル、メチルブチルエーテル、メ
チルイソブチルエーテル、メチルn−アミルエーテル、
メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、
エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、
エチルイソブチルエーテル、エチルn−アミルエーテ
ル、エチルイソアミルエーテルなどの脂肪族飽和系エー
テル類;アリルエーテル、エチルアリルエーテルなどの
脂肪族不飽和系エーテル類;アニソール、フェネトー
ル、フェニルエーテル、ベンジルエーテルなどの芳香族
エーテル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラ
ン、ジオキサンなどの環状エーテル類;エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノブチルエーテルなどのエチレングリコールエーテル
類;ギ酸、酢酸、無水酢酸、アクリル酸、クエン酸、プ
ロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸類;ギ酸ブチ
ル、ギ酸アミル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢
酸ブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミ
ル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢
酸ブチルシクロヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピ
オン酸ブチル、プロピオン酸アミル、酪酸ブチル、炭酸
ジエチル、シュウ酸ジエチル、乳酸メチル、乳酸エチ
ル、乳酸ブチル、リン酸トリエチルなどの有機酸エステ
ル類;アセトン、エチルケトン、プロピルケトン、ブチ
ルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン、ジ
アセトンアルコール、シクロヘキサノン、シクロペンタ
ノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノンなど
のケトン類;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ウン
デカン二酸、ピルビン酸、シトラコン酸、などのジカル
ボン酸類;1,4−ジオキサン、フルフラールなどのそ
の他の含酸素有機化合物が挙げられる。
【0025】これらの中でも特に常圧での沸点が60℃
〜200℃の含酸素化合物が好ましい。NMPと上記の
含酸素化合物との好ましい混合比は、NMP100重量
部に対して含酸素化合物が0.1重量部〜100重量部
であり、更に好ましくは、0.5重量部〜50重量部で
あり、とりわけ好ましくは1重量部〜20重量部であ
る。含酸素化合物が0.1重量部以下であると再現性よ
く本発明の効果(すなわち優れた性状のスラリー)が得
られにくくまた100重量部以上では、集電体への塗布
までは、均一にできることがあるが、集電体にスラリー
を塗布した後、乾燥工程でNMPと含酸素化合物との沸
点差や蒸発潜熱の差などによって、液状物質の蒸発状態
が不安定となり結果として活物質層のバインダー分布が
不均一となりやすくなる。
【0026】1−4.その他の添加物 スラリーには、更に必要に応じて、液状物質に溶解また
は膨潤するスラリーの粘度調整剤、バインダー補助剤、
グラファイトなどの導電性カーボンや金属粉末などの導
電材、等の各種添加物を添加することができる。
【0027】1−5.スラリーの製造方法 本発明のスラリーは、上述したように、活物質、ゲル含
量が50%以上のポリマーを含有するバインダー、及び
NMPと沸点が50℃〜350℃の含酸素化合物よりな
る液状物質を含有し、更に必要に応じて導電性カーボン
等のその他の添加物を含有していればよい。
【0028】これによって、優れた性状のスラリー、す
なわち、スラリー中のバインダー、活物質やその他の添
加物等が均一に分散されている、長期間の保存安定性に
優れている、集電体に塗布したときに均一である、更に
乾燥後の電極の活物質層が均一であるといった優れた性
状のスラリーを得ることができる。
【0029】本発明のスラリーの製造は、いかなる方法
によってもよく、例えば、活物質とバインダーを混合し
た後に液状物質を加えてもよく、あるいは活物質と液状
物質を混合した後に、バインダーを加えてもよく、更に
は、活物質、バインダー、及び液状物質を同時に加えて
混合してもよいが、本発明者らによる先の発明に関わる
バインダーとNMPまたは含酸素化合物からなるバイン
ダー組成物と活物質とを混合した後、残りのNMP及び
/又は含酸素化合物を添加する方法や、後述する本発明
のバインダー組成物(即ち、バインダーとNMPと含酸
素化合物とからなるバインダー組成物)に活物質を添加
し混合する方法が短時間の混合で、優れた性状のスラリ
ーが製造できるので好ましい。もちろん、既にNMP及
び/又は含酸素化合物を含有するバインダー組成物に活
物質を添加し混合する方法において、必要に応じて更に
NMPや含酸素化合物を後から添加することも可能であ
る。
【0030】本発明のスラリー中の活物質の量は特に制
限されないが、通常、バインダーに対して重量基準で1
〜1000倍、好ましくは2〜500倍、より好ましく
は3〜300倍、とりわけ好ましくは5〜200倍にな
るように配合する。活物質量が少なすぎると、集電体に
形成された活物質層に不活性な部分が多くなり、電極と
しての機能が不十分になることがある。また、活物質量
が多すぎると活物質が集電体に十分固定されず脱落しや
すくなる。なお、スラリーにNMPや含酸素化合物を追
加して集電体に塗布しやすい濃度に調節して使用するこ
ともできる。
【0031】スラリーの液状物質の量も、特に制限され
ず最も集電体に塗布しやすい性状が得られる様な量とす
ればよい。通常バインダーに対して重量基準で1〜10
00倍、好ましくは2〜500倍、より好ましくは3〜
300倍、とりわけ好ましくは5〜200倍になるよう
に配合する。
【0032】スラリーの均一な混合は、本発明にかかわ
るバインダーと、本発明にかかわる液状物質を用いるこ
とによって、容易に得ることができるが、更に、ボール
ミル、サンドミルなどの分散機、超音波分散機、ホモジ
ナイザーなどを用いて、スラリーを分散することによっ
て、更に優れた性状のスラリーとすることができる。
【0033】2.バインダー組成物 本発明のバインダー組成物は、少くとも、本発明にかか
わるゲル含量が50%以上のポリマーを含有するバイン
ダー、及びNMPと沸点が50℃〜350℃の含酸素化
合物よりなる液状物質を含有する。本発明のバインダー
組成物の製造は、例えばゲル含量が50%以上のかたま
り状のポリマーをジェットミル等で微粉砕しこれを液状
物質と混合分散する、塊状のポリマーを有機溶媒に溶解
したあと有機溶媒を液状物質に置換する、あるいは水系
分散媒中で製造された粒子状ポリマー・水分散液(例え
ばラテックスやエマルジョン)を分散媒交換して液状物
質に分散させてもよい。
【0034】ゲル含量が50%以上のポリマーはNMP
には殆んど溶解しない。一方含酸素化合物には溶解する
場合もある。液状物質のNMP成分が多い場合には、ゲ
ル含量が50%以上のポリマーは粒子状で分散している
場合が多い。バインダー組成物の好ましい製造方法を例
示すると、まずポリマーとNMPとの均一な分散液を製
造し、これに所定量の含酸素化合物、及び必要に応じて
その他のポリマーをそのままあるいはNMPや含酸素化
物質に溶解した溶液を加える。
【0035】粒子状ポリマーとNMPとの均一な分散液
の製造方法としては、例えば、塊状のポリマーをジェッ
トミル等の粉砕機で微粉砕し、これをNMPに分散せし
める方法、塊状のポリマーを適当に砕断してNMPに加
えた後NMP中でポリマーを微粉砕し、均一分散せしめ
る方法、あるいは塊状のポリマーを有機溶媒に溶解し、
NMPに溶媒置換して分散させる方法、あるいは水系分
散媒中で製造された粒子状ポリマー・水分散液(例えば
ラテックスやエマルジョン)を分散媒置換して、NMP
に分散させる方法等がある。粒子状ポリマーとNMPと
の分散が充分でない場合には、更にボールミル、サンド
ミルなどの分散機、超音波分散機、ホモジナイザーなど
を用いて均一な分液液とすることが好ましい。
【0036】本発明のバインダーは、その他のポリマー
と組合せて用いることもできる。その他のポリマーは本
発明に関わるポリマーとNMPの分散液に加えてもよ
く、あるいはその他のポリマーを溶解したNMP溶液、
含酸素化合物溶液、あるいは液状物質溶液を粒子状ポリ
マーのNMP分散液に所定量加えてもよい。
【0037】3.リチウムイオン二次電池電極 本発明の電極は、本発明のスラリーを集電体に塗布し、
液状物質を乾燥・除去して集電体表面に形成されたマト
リックス中に活物質を固定する。集電体は、導電性材料
からなるものであれば特に制限されないが、通常、鉄、
銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属製
のものを用いる。形状も特に制限されないが、通常、厚
さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものを用い
る。
【0038】スラリーの集電体への塗布方法も特に制限
されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、
リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、
エクストルージョン法、浸漬、ハケ塗りなどによって塗
布される。塗布する量も特に制限されないが、液状物質
を乾燥除去した後に形成される活物質層の厚さが通常
0.005〜5mm、好ましくは0.05〜2mmにな
る程度の量である。乾燥方法も特に制限されず、例えば
温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外
線や電子線などの照射による乾燥が挙げられる。乾燥条
件は、通常は応力集中が起こって活物質層に亀裂が入っ
たり、活物質層が集電体から剥離しない程度の速度範囲
の中で、できるだけ早く液状物質が揮発するように調整
する。本発明の電極は、本発明の優れた性状のスラリー
を集電体に塗布するため、容易に均一な塗布・乾燥がで
きる上に非常に均一な活物質層を形成する。また、接着
性や結着性に優れているため充放電サイクル特性が良好
な電池を大量に生産する場合に著効を示す。
【0039】4.リチウムイオン二次電池 本発明の電池は、本発明の正極及び/または負極の電極
を用いたリチウムイオン二次電池である。リチウムイオ
ン二次電池の電解液は通常用いられるものでよく、負極
活物質、正極活物質の種類に応じて電池としての機能を
発揮するものを選択すればよい。例えば、電解質は、従
来より公知のリチウム塩がいずれも使用でき、LiCl
4、LiBF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiC
3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10
10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB
(C254、CF3SO3Li、CH3SO3Li、Li
CF3SO3、LiC49SO3 、Li(CF3SO2
2N、低級脂肪酸カルボン酸リチウムなどが挙げられ
る。
【0040】また電解液溶媒は通常用いられるものであ
れば特に限定されるものではないが、プロピレンカーボ
ネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネー
ト、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メ
チルエチルカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブ
チルラクトンなどのラクトン類;トリメトキシメタン、
1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エ
トキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラ
ヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルスルホキシド
などのスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メ
チル−1,3−ジオキソランなどのオキソラン類;アセ
トニトリルやニトロメタンなどの含窒素類;ギ酸メチ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン
酸メチル、プロピオン酸エチルなどの有機酸エステル
類;リン酸トリエステルや炭酸ジメチル、炭酸ジエチ
ル、炭酸ジプロピルのような炭酸ジエステルなどの無機
酸エステル類;ジグライム類;トリグライム類;スルホ
ラン類;3−メチル−2−オキサゾリジノンなどのオキ
サゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、1,4−
ブタンスルトン、ナフタスルトンなどのスルトン類;等
の単独もしくは二種以上の混合溶媒が使用できる。
【0041】本発明のリチウムイオン二次電池は、上記
電解液や本発明の電極を含み、セパレーター等の部品を
用いて、常法に従って製造される。例えば、次の方法が
挙げられる。すなわち、正極と負極とをセパレータを介
して重ね合わせ、電池形状に応じて巻く、折るなどし
て、電池容器に入れ、電解液を注入して封口板又は安全
弁を用いて封口する。更に必要に応じてエキスバンドメ
タルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、
リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の
防止をすることもできる。電池の形状は、コイン型、ボ
タン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など何れであ
ってもよい。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、優れた性状のスラリー
を容易に得ることができるため、電極の活物質層がきわ
めて均一で、かつ集電体と活物質との接着性や活物質ど
うしの結着性が優れている。このため本発明の電極を用
いた電池は、充放電サイクル特性の良好な電池の大量生
産に適している。
【0043】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明はこれに限るものではない。 <ゲル含量の測定>1gのポリマーを100℃で24時
間乾燥させ、ポリマー乾燥重量を測定した。ついで、こ
のポリマーを25℃の室温中、NMP 100gに24
時間浸漬し、200メッシュのふるいにかけ、ふるいの
上に残留した固形物を乾燥させ、重量を測定して、下記
の計算式から算出した。 (ふるい上の残留固形物乾燥重量/ポリマー乾燥重量)
×100
【0044】<粒子の測定>分散媒を乾燥除去後、透過
型電子顕微鏡で100個の粒子の長径と短径を測定し、
その平均値を求めた。
【0045】<スラリーの性状の評価> 分散性:JIS K 5400に準拠して、50μmの
つぶゲージを用いて分散度を測定し、測定値が20μm
未満の時は良、測定値が20μm以上の時は不良と判定
した。 混合性:JIS K 5400に準拠して評価した。均
等に混合するときは良、均等に混合しにくいときは不良
と判定した。 保存安定性:JIS K 5400の塗料の常温貯蔵安
定性に準拠して10日間の保存安定性を評価した。スラ
リーの状態に変化が認められなかったものは安定、スラ
リーの状態が変化しているときは変化の状態によりゲル
化または二相分離と判定した(表中はそれぞれ、「ゲ
ル」および「二相」と記載)。 塗布性:正極スラリーを下記のアルミニウム箔に、負極
スラリーを下記の銅箔に、それぞれ隙間200μmのフ
ィルムアプリケータを用い、JIS K 5400に準
拠して塗布し、均一に塗布できたかどうかを目視で評価
した。均一に容易に塗布できたスラリーは良、均一に塗
布することが困難であったものは不良と判定した。
【0046】<電極の評価> 表面粗さ:光学非接触式ミクロトレーサを用いて、最大
高さ(Rt)、自乗平均値(Rq)及び中心線平均値
(Ra)を測定した。Rt、Rq及びRaは、いずれも
値の小さいほど電極表面が均一である。 折り曲げ試験:長さ100mm、幅20mmの電極50
枚の試験片について、電極の活物質層を内側にして、直
径2mmのステンレス棒を芯にして電極面同士が接する
まで折り曲げ(内側折り曲げ)た後、同じ折り曲げ部分
を、活物質層を外側にして同様に折り曲げ(外側折り曲
げ)て、活物質層にヒビが入ったり、活物質層が集電体
から剥離した試験片(電極)の枚数を数えた。この値が
大きいほど欠陥が多い試験片となる。 接着性試験:集電体と活物質層との接着性は、それぞれ
10枚の電極試験片についてJIS K 5400に規
定された碁盤目試験法によって評価した。結果は目視に
よって10段階評価し、その平均値とし、小数点以下は
四捨五入した。この値が8以上であれば実用上良好な結
着性があると判断できる。
【0047】<電池の評価> サイクル特性:同じ方法によって製造された20セルの
電池をそれぞれ定電流法(電流密度0.15mA/cm
2)で4.0Vに充電し、2.75Vまで放電する充放
電を繰り返し、電気容量を測定した。20セルの平均値
を測定値とし、50サイクル終了時の電気容量と5サイ
クル終了時の電気容量の比(%)で表される充放電容量
保持率を求め、これをサイクル特性の評価基準とした。
この値が高いほどサイクル特性に優れている。
【0048】[ゲル含量が50%以上のポリマーの製
造] ・ポリマーA(分散媒NMP)の製造 撹拌機付きのオートクレーブに水1000g、スチレン
760g、ブタジエン640g、メタクリル酸メチル3
50g、アクリロニトリル90g、イタコン酸50g、
ラウリル硫酸アンモニウム4g、炭酸ナトリウム10g
を入れてモノマーエマルジョンを調製した。次いで、撹
拌機付きのオートクレーブに、水3500g、エチレン
ジアミン四酢酸10g、ラウリル硫酸アンモニウム10
g、過硫酸カリウム20g、上記のモノマーエマルジョ
ンの10容量%を加え、80℃に加熱し、撹拌しながら
1時間反応させた。次いで、過硫酸カリウム80gを水
200gとともに加え、80℃を維持し、撹拌を続けな
がら、残りのモノマーエマルジョンをすべて加えた。8
0℃を維持し、撹拌を続けながら更に4時間反応させて
乳白色のラテックスを得た(収率99%)。このラテッ
クスに分散されたポリマーAの平均粒径は0.15μm
であった。
【0049】上記のラテックスの未反応残留モノマーを
水蒸気蒸留によって除去し、水酸化リチウムでpH7に
調製した。次いで、総重量の3倍量のNMPを加え、エ
バポレーターで水分を蒸発させ、固形分濃度が15重量
%のポリマーAのNMP分散液を得た。このポリマーA
のNMP分散液の水分は320ppm、ポリマーのゲル
含量は93%であった。
【0050】・ポリマーB(分散媒NMP)の製造撹拌
機付きのオートクレーブに、メタクリル酸メチル180
g、スチレン50g、ジビニルベンゼン5g、イオン交
換水200gを加え、十分撹拌した後、80℃に加温
し、重合した。モノマー消費量が98%となった時、更
に1,3−ブタジエン350g、スチレン100g、ジ
ビニルベンゼン5g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム25g、イオン交換水1500g、アゾビスブチ
ロニトリル15gを入れ、十分に混合し、重合させ、モ
ノマー消費量99.8%になった時点で冷却し反応を止
め、ラテックスを得た。透過型電子顕微鏡写真で、この
ラテックス状態のポリマーBの粒径を測定したところ
0.28μmであった。
【0051】上記のラテックスの未反応残留モノマーを
水蒸気蒸留によって除去し、水酸化リチウムでpHを7
に調製した。次いで、総重量の3倍量のNMPを加え、
エバポレーターで水分を蒸発させ、固形分濃度が14重
量%のポリマーBのNMP分散液を得た。このポリマー
BのNMP分散液の水分は415ppm、ポリマーのゲ
ル含量は96.7%であった。
【0052】実施例1〜11、比較例1〜4 (正極スラリーの製造)LiCoO2(日本化学工業
(株)社製;製品名「セルシードC−5」)90重量
部、アセチレンブラック7重量部、ポリマーA又はBを
2重量部含有するNMP分散液、ヒドロキシエチルセル
ロース2重量部、表1に示した含酸素化合物3重量部、
及びNMP40重量部を加え、ボールミルで十分に混合
分散した。こうして得られた正極スラリーの性状を表1
に示す。
【0053】(負極スラリーの製造)カーボン(ロンザ
社製;商品名「KS−15」)を95重量部、ポリマー
A又はBを3重量部含有するNMP分散液、ヒドロキシ
エチルセルロース 2重量部、表1に示した含酸素化合
物5重量部、及びNMP50重量部を加え、ボールミル
で十分に混合分散した。こうして得られた負極スラリー
の性状を表1に示す。表1の結果から、本発明にかかわ
るスラリーの性状は非常に優れていることが分かる。
【0054】
【表1】
【0055】実施例12〜22、比較例5〜8 表1に示す正極スラリーをアルミニウム箔(厚さ20μ
m)に、また負極スラリーを銅箔(厚さ18μm)にそ
れぞれドクターブレード法によって均一に塗布した。こ
れを120℃、15分間乾燥機で乾燥した後、さらに真
空乾燥機にて5mmHg、120℃で2時間減圧乾燥
し、正極及び負極の活物質層の厚みが200μmの電極
を作製した。これをさらに2軸のロールプレスによって
圧縮した。このようにして得られた電極を評価した。こ
の結果は表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】実施例23〜30、比較例9〜12 表2に示す正極及び負極をそれぞれ直径15mmの円形
に切り抜き、直径18mm、厚さ25μmの円形ポリプ
ロピレン製多孔膜からなるセパレーターを介在させて、
互いに活物質が対向し、外装容器底面に正極のアルミニ
ウム箔が接触するように配置し、さらに負極の銅箔上に
エキスパンドメタルを入れ、ポリプロピレン製パッキン
を設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径2
0mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25m
m)中に収納した。この容器中にエチレンカーボネート
とジエチルカーボネートを体積比1:1に混合した溶媒
に、電解質としてLiPF6を1モル/リットルの濃度
に溶解した電解液を空気が残らないように注入した。ポ
リプロピレン製パッキンを介させて外装容器に厚さ0.
2mmのステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電
池缶を封止して、直径20mm、厚さ約2mmのコイン
型電池を各条件毎に20セルずつ製造した。こうして得
られた電池のサイクル特性を充放電容量保持率として評
価した。結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】表3の充放電容量保持率の結果は、いずれ
も電池20セルの平均値であるが、本発明に関わる実施
例では、20セルの充放電容量保持率が高く、また20
セルのばらつきも非常に小さいものであったのに対し、
比較例では、充放電容量保持率が本発明にかかわる電池
より低く、また20セルのばらつきがかなり大きく安定
した高性能な電池とは言い難いものであった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素質物質及び/または複合金属酸化物
    よりなる活物質、ゲル含量が50%以上のポリマー、及
    びN−メチルピロリドンと沸点が50℃〜350℃の含
    酸素化合物とを含む液状物質を含有するリチウムイオン
    二次電池電極用スラリー。
  2. 【請求項2】 ゲル含量が50%以上のポリマー、及び
    N−メチルピロリドンと沸点が50℃〜350℃の含酸
    素化合物とを含む液状物質を含有するリチウムイオン二
    次電池電極用バインダー組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のスラリーを用いて製造さ
    れたリチウムイオン二次電池用電極。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のバインダー組成物を用い
    て製造されたリチウムイオン二次電池用電極。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載の電極を含有する
    電池。
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