JP2001174677A - プラスチック光ファイバケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

プラスチック光ファイバケーブルおよびその製造方法

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JP2001174677A
JP2001174677A JP36195299A JP36195299A JP2001174677A JP 2001174677 A JP2001174677 A JP 2001174677A JP 36195299 A JP36195299 A JP 36195299A JP 36195299 A JP36195299 A JP 36195299A JP 2001174677 A JP2001174677 A JP 2001174677A
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plastic optical
nylon
coating layer
cable
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Katsuhiko Shimada
勝彦 島田
Kazumi Nakamura
一己 中村
Yoshihiro Uozu
吉弘 魚津
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境温度の変化に対して安定であり、かつ優
れた機械的強度を有するプラスチック光ファイバケーブ
ルを提供する。 【解決手段】 プラスチック光ファイバ素線の外周上に
ナイロン被覆層を形成してなるプラスチック光ファイバ
ケーブルであって、30mm長さにおけるナイロン被覆
層とプラスチック光ファイバ素線との引き抜き力が2.
0kgf以上であり、かつプラスチック光ファイバ素線
の破断伸度が40%以上であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐油性に優れたプ
ラスチック製の光ファイバケーブルに関するものであ
り、特に温度変化に対する安定性に優れたプラスチック
光ファイバケーブルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック光ファイバは大口径で加工
が容易であり、コネクタ等の周辺機器も精密な加工精度
が要求されないことから、またプラスチック光ファイバ
自体や、その周辺機器、あるいは施工コスト等が安価で
あることから、100m以下の短距離通信媒体やセンサ
等に用途展開がなされている。また最近では、高速通信
用の通信媒体として、更に用途が広がりつつある。
【0003】ところで、通信用途では一般的に、芯−鞘
構造あるいは芯−鞘−保護層構造のプラスチック光ファ
イバ素線の外周上に、種々の溶融樹脂を被覆してなるプ
ラスチック光ファイバケーブル(以下、単に光ケーブル
ということもある)が用いられている。このような光ケ
ーブルの被覆材としては、ナイロン(ポリアミド)や、
ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、あるいは塩化
ビニル樹脂等が使用されているが、特にナイロンは耐溶
剤性があり車両及び機械設備等の機械・制御オイルがあ
る環境下において有用である。そしてナイロン被覆光ケ
ーブルは、通常、図3に示すようなパイプ押出方式の押
出被覆装置を用いてプラスチック光ファイバ素線に被覆
が施されていた。この方式の装置では、ダイス2内に配
されているニップル3のニップル孔3aの先端がダイス
2の開口部にまで達しており、溶融されたナイロン4は
ダイス2とニップル3との間から押し出されて光ケーブ
ルの仕上がり寸法よりも大径のパイプ状に形成された
後、ダイス2の開口部で直ちにニップル3側からの減圧
吸引によって引き落とされ、ニップル孔3aから引き出
されるプラスチック光ファイバ素線1上に密着するよう
になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のパイプ押出方式は、ドローダウン比が大きす
ぎるため、プラスチック光ファイバ素線1とナイロン被
覆層5との間の密着性が十分でないという問題があっ
た。ここでドローダウン比(引落比)とはダイスの開口
部(ダイス孔)から吐出される際の被覆材の断面積と、
光ケーブルにおける被覆材の断面積の比であり、例えば
図3に示されるパイプ押出方式の押出被覆装置を用いる
場合のドローダウン比は次式で示される。 ドローダウン比=(Dd2−Dg2)/(Dc2−Dw2) 式中、Ddはダイス2開口部の内径、Dgはニップル3
先端の外径、Dwはプラスチック光ファイバ素線の外
径、Dcは光ケーブルにおける被覆層の外径をそれぞれ
示す。
【0005】そして、プラスチック光ファイバ素線1と
ナイロン被覆層5との間の密着性が十分でないために次
のような不都合が生じる場合があった。すなわち、プラ
スチック光ファイバ素線とナイロンとは、加熱あるいは
吸湿による変形度合いが大きく異なるので、使用環境温
度の変化によってプラスチック光ファイバ素線の先端面
がナイロン被覆層の端面よりも突き出る、あるいは引っ
込むという端面変形が生じることがある。例えば85℃
・95%RHの湿熱の条件で、ポリメタクリル酸メチルを
芯材とするプラスチック光ファイバ素線は2.5%収縮
するが、ナイロンは逆に0.2%伸びる。このため、例
えば図4(a)に示すように、光ケーブルをプラスチッ
ク光ファイバ素線1の端面1aがコネクタ8の先端面8
aと一致するようにコネクタ8内にセットし、被覆層5
部分をかしめることによって固定する、いわゆるかしめ
タイプのコネクタ8を使用して光源と光ケーブル、光ケ
ーブルと受光器をそれぞれ接続した場合には、温度変化
によって図4(b)に示すようにコネクタ8の先端面8
aよりプラスチック光ファイバ素線1の端面1aが凹む
ことがある。そして、このような変形が生じると光源と
受光器との距離が変動して受光量の変動が生じてしま
う。また極端な場合には、温度変化によりプラスチック
光ファイバ素線1の端面1aがコネクタ8の先端面8a
より突出し、光源や受光器に接触して機器の破損を招く
おそれもあった。
【0006】一方、特開昭60−254005号公報に
は、芯−鞘−保護層の三層構造を有する光ファイバを溶
融紡糸法により製造する技術が開示されており、保護層
としてポリアミドが例示されている。しかし、このよう
な溶融紡糸法により光ファイバを製造する場合、鞘と保
護層との間の密着力を高めることはできるが、保護層と
してポリアミドを使用すると、延伸が非常に困難となる
ため、光ファイバの機械的強度が著しく劣るという問題
があった。
【0007】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、環境温度の変化に対して安定であり、かつ優れた機
械的強度を有するプラスチック光ファイバケーブル及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、プラス
チック光ファイバ素線の外周上にナイロン被覆層を形成
してなるプラスチック光ファイバケーブルであって、3
0mm長さにおけるナイロン被覆層とプラスチック光フ
ァイバ素線との引き抜き力が2.0kgf以上であり、
かつプラスチック光ファイバ素線の破断伸度が40%以
上であることを特徴とするものである。このようなプラ
スチック光ファイバケーブルは、押出被覆装置を用いて
プラスチック光ファイバ素線の外周上にナイロン被覆を
施す工程を有し、かつ前記ナイロン被覆のドローダウン
比が1.0〜1.5であることを特徴とする方法によっ
て製造できる。あるいは、ニップルの先端がダイスの先
端よりも内方に位置している押出被覆装置を用いてプラ
スチック光ファイバ素線の外周上にナイロン被覆を施す
工程を有し、かつ前記押出被覆装置のダイス孔の内径D
dと、ダイス内でプラスチック光ファイバ素線がナイロ
ンと接触する部分の長さLとの比を、L/Dd≧1.0
とすることを特徴とする方法によっても製造できる。こ
れらの方法において、前記プラスチック光ファイバ素線
の外周上にナイロン被覆を施す工程を、前記プラスチッ
ク光ファイバ素線の温度が40℃〜100℃の状態で行
うことが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、プラスチ
ック光ファイバ素線の外周上にナイロン被覆層が形成さ
れている。プラスチック光ファイバ素線は破断伸度が4
0%以上であるものが用いられる。プラスチック光ファ
イバ素線の破断伸度を40%以上とすることにより、機
械的強度に優れた光ケーブルが得られる。またプラスチ
ック光ファイバ素線は透明樹脂からなる芯材の周囲に芯
材より低屈折率の樹脂からなる鞘材を有する2層構造の
ものでもよく、あるいはさらに鞘材の外周上に機能性樹
脂からなる保護層を有する3層以上の多層構造を有する
ものでもよい。又、透明樹脂からなる芯部をそぞれ有す
る複数の島部が海部により互いに隔てられた状態で一体
化されてなる海島型光ファイバや、芯部において屈折率
が異なる樹脂が同心円状に多層積層されるなどして、屈
折率が中心から外周部に向かって順次低下する屈折率分
布を有する光ファイバ等も使用可能である。
【0010】芯材を構成する樹脂としてはポリメタクリ
ル酸メチル及びその共重合体が好適に用いられる。ポリ
メタクリル酸メチルと共重合し得るモノマーとしては、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル
酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、ポリカーボ
ネイト、ポリスチレン及びそれらの部分フッ素化された
もの、非晶性フッ素樹脂等が例示できるが、これらに限
定されるものではない。鞘材や海島型光ファイバの海部
を構成する樹脂としては、ポリフッ化ビニリデンを主成
分とする共重合体、フッ素化メタクリル酸エステル及び
その共重合体、メタクリル酸エステル重合体、シリコー
ン樹脂、α−フルオロアクリレート樹脂、ポリメチルペ
ンテン、非晶性フッ素樹脂等が例示できるが、これらに
限定されるものではない。
【0011】保護層を構成する樹脂としては、公知の樹
脂が使用可能であり、例えば上記に鞘材として例示した
樹脂が使用できる。本発明において用いられる、プラス
チック光ファイバ素線は、公知の溶融紡糸法により得ら
れた光ファイバを加熱延伸することにより製造すること
が好ましい。溶融紡糸法により、芯鞘構造のプラスチッ
ク光ファイバ素線を製造する場合は、芯材出口、鞘材出
口が同心円状に配置されてなる二層構造の複合紡糸ノズ
ルを用いる。複合紡糸ノズルの層数を増やすことにより
多層構造のプラスチック光ファイバ素線を製造すること
も可能である。海島型光ファイバを用いた光ケーブルを
製造するには公知の海島構造の光ファイバ用の複合紡糸
ノズルが使用可能である。このようにして溶融紡糸され
たプラスチック光ファイバ素線を加熱延伸することによ
り、プラスチック光ファイバ素線に分子配向を付与し、
破断伸度を効果的に向上させることができる。延伸の際
には、プラスチック光ファイバ素線を120℃〜180
℃の熱風などの熱媒体を用いて加熱することが好まし
い。加熱温度が120℃未満であると延伸張力が高くな
りすぎてプラスチック光ファイバ素線が不均一に引っ張
られるおそれがあり、極端な場合は破断することもあ
る。一方、180℃を越えると延伸時に分子配向状態を
形成する延伸張力が低すぎるおそれがある。熱媒体の温
度は130℃〜160℃とすることがより好ましい。ま
た本発明の光ケーブルを70℃〜80℃などの高温環境
や温度差の激しい環境で用いる場合には、温度変化に対
する安定性をより向上させるために、プラスチック光フ
ァイバ素線として、熱収縮率が小さいものを使用するこ
とが好ましく、90℃乾熱下で50時間加熱した時の収
縮率が0〜0.5%のプラスチック光ファイバ素線を使
用することがさらに好ましい。このような熱収縮率が小
さいプラスチック光ファイバ素線を得るためには、プラ
スチック光ファイバ素線を熱処理することが好ましい。
この熱処理は連続的に行うこともバッチ毎に行うことも
可能であるが、プラスチック光ファイバ素線の芯材のJ
IS K 7121−1987に従って測定したガラス
転移開始温度Tgと、熱処理温度Tが、 Tg−30≦T<Tg を満たすような温度で、100時間以内、バッチ毎に熱
処理することが好ましい。
【0012】本発明において、プラスチック光ファイバ
素線の外周上に被覆層を構成する被覆材はナイロンであ
り、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン612、ナイ
ロン12、ナイロン11、ナイロンエラストマー、ナイ
ロン共重合体等が例示できるがこれらに限定されるもの
ではない。また本発明の光ケーブルは、30mm長さに
おけるナイロン被覆層とプラスチック光ファイバ素線と
の引き抜き力が2.0kgf以上であり、好ましくは
2.5kgf以上である。また本発明の光ケーブルは、
85℃、相対湿度95%で3000時間保持した場合の
伝送損失の増加が、20dB/km以下であることが好
ましい。本発明におけるプラスチック光ファイバ素線と
ナイロン被覆層との引き抜き力は図1に示すような固定
治具を用いて測定される。図中符号11は光ケーブルを
適宜の長さで切りとったものである。光ケーブル11は
測定を行うために、一端部のナイロン被覆層13を所定
の測定長Aだけ残して、これより他端部側のナイロン被
覆層13が除去されてプラスチック光ファイバ素線12
が露出されている。符号14は固定治具であり、光ケー
ブル11のナイロン被覆層13が残されている部分のみ
を径方向から挟持する挟持部14aを備えており、この
挟持部14aの一端部14bはプラスチック光ファイバ
素線12が挿通される空間を残して閉じられるようにな
っており、この一端部14bの端面の内面と、ナイロン
被覆層13の端面とが密着できるようになっている。ま
た挟持部14aの他端部には端面から光ケーブル11の
軸方向に沿って外方に伸びる突起14cが設けられてい
る。
【0013】そして引き抜き力の測定を行う際には、ま
ず測定長Aを30mmに設定して、図1に示すように光
ケーブル11を固定治具14にて挟持する。次いで、光
ケーブル11のプラスチック光ファイバ素線12が露出
されている部分、および固定治具14の突起14cを、
引っ張り強伸度測定機(図示略)の把持治具15,16
でそれぞれ把持する。そして、これらの把持治具15,
16を光ケーブル11の軸方向に沿って互いに離れる方
向へ引っ張るときの引張力を測定し、その最大値をプラ
スチック光ファイバ素線12とナイロン被覆層13との
引き抜き力とする。本発明においてナイロン被覆層とプ
ラスチック光ファイバ素線との引き抜き力が2.0kg
fより小さいと、ナイロン被覆層とプラスチック光ファ
イバ素線との密着力が不足し、使用環境温度の変化によ
ってプラスチック光ファイバ素線およびナイロン被覆層
がそれぞれ変形したときに、プラスチック光ファイバ素
線の先端面がナイロン被覆層の端面よりも突き出る、あ
るいは引っ込むという端面変形が生じ、また光ファイバ
伝送特性が不安定なものとなるおそれがある。
【0014】本発明の光ケーブルは押出被覆装置を用い
た方法で製造することができる。図2は、本発明で好適
に用いられるクロスヘッド方式の押出被覆装置の例を示
したものである。この方式の装置が上述したパイプ押出
方式の装置と大きく異なる点は、ダイス22内に配され
ているニップル23の先端がダイス22の開口部の先端
よりも内方に位置している点である。この図の例におい
て、ダイス22は製造しようとする光ケーブルの外面形
状とほぼ同様の内面形状を有する開口部、すなわちダイ
ス孔24を備えている。またダイス22内にはニップル
23が設けられており、このニップル23の先端にはプ
ラスチック光ファイバ素線21をダイス孔24の中心に
導くためのニップル孔25が形成されている。ニップル
孔25とダイス孔24とは同軸に配されており、ニップ
ル孔25の先端はダイス孔24の先端よりも所定距離L
だけダイス22の内方に配されている。ダイス22とニ
ップル23との間には溶融されたナイロンが供給されて
おり、ニップル孔25から引き出されたプラスチック光
ファイバ素線21は溶融されたナイロン中を通過した後
に、ダイス孔24から引き出されることによって、プラ
スチック光ファイバ素線21の周上にナイロン被覆層2
7が形成される。本発明においては、ダイス22内でプ
ラスチック光ファイバ素線21がナイロンと接触する部
分の長さ、すなわちダイス孔24先端の位置からニップ
ル孔25先端までの距離をLとし、ダイス孔24の内径
をDdとするときL/Dd≧1.0とすることが必要で
あり、これによりプラスチック光ファイバ素線21とナ
イロン被覆層27との良好な密着性が得られる。L/D
dが1.0未満であるとナイロンの溶融粘度や生産速度
等の条件をいかに調整しても十分な密着性が得られず、
引き抜き強度が低下する傾向にある。好ましくはL/D
d≧1.5である。
【0015】また、本発明の光ケーブルを得るには、押
出被覆装置を用いて被覆材を被覆する際に、ナイロン被
覆のドローダウン比を1.0〜1.5の範囲とすること
が好ましく、1.0〜1.2の範囲とすることがより好
ましい。このドローダウン比が1.5を越えて大きいと
プラスチック光ファイバ素線12とナイロン被覆層13
との密着力が不足するおそれがある。例えば図2に示さ
れるクロスヘッド方式の押出被覆装置を用いる場合、ナ
イロン被覆のドローダウン比は次式で示される。 ドローダウン比=(Dd2−Dw2)/(Dc2−Dw2) 式中、Ddはダイス孔24の内径、Dwはプラスチック
光ファイバ素線21の外径、Dcは光ケーブルにおける
ナイロン被覆層27の外径をそれぞれ示す。また図3に
示されるパイプ押出方式の押出被覆装置を用いることも
でき、この場合のドローダウン比は上述したように次式
で示される。 ドローダウン比=(Dd2−Dg2)/(Dc2−Dw2) 式中、Ddはダイス2開口部の内径、Dgはニップル3
先端の外径、Dwはプラスチック光ファイバ素線の外
径、Dcは光ケーブルにおける被覆層の外径をそれぞれ
示す。さらに、プラスチック光ファイバ素線21とナイ
ロン被覆層27との密着力をより向上させるためには、
ナイロン被覆を施す際のプラスチック光ファイバ素線2
1の温度を40℃〜100℃とすることが好ましく、5
0℃〜70℃とすることがより好ましい。
【0016】
【実施例】以下、具体的な実施例を示して本発明の効果
を明らかにする。 (実施例1) 芯材の調製:メタクリル酸メチル100重量部、n−
ブチルメルカプタン0.19重量部、およびジターシャ
ルブチルパーオキサイド0.0018重量部を均一混合
し、溶存酸素を窒素に置換した後、150℃の重合釜に
連続的に供給し、重合率45%のモノマー・ポリマー混
合物を得、引き続き連続的にベント付脱揮押出機に供給
してモノマー等の揮発分を除去し、芯材紡糸ギヤポンプ
を経て、220℃に設定された芯・鞘複合紡糸ノズルの
芯材導入口に供給した。 鞘材の調製:3FM(2,2,2−トリフルオロエチ
ルメタクリレート)/17FM(2−(パーフルオロオ
クチル)メタクリレート)/MMA(メタクリル酸メチ
ル)/MAA(アクリル酸メチル)の比が45/40/
14/1(wt%)のモノマー組成の共重合物を押出機
に供給して溶融した後、鞘材紡糸ギヤポンプを経て、2
20℃に設定された芯・鞘複合紡糸ノズルの鞘材導入口
に供給した。 被覆材の調製:ナイロン12(ダイセルヒュルス社
製;ダイアミドL−1640B)を押出機に供給して溶
融した。 光ケーブルの製造:芯・鞘複合紡糸ノズルから芯材、
鞘材を同時に紡糸し、冷却した後、10m/minの速
度で引取り、140℃の熱風を用いて加熱延伸して平均
直径(Dw)1000μm、鞘厚み10μmのプラスチ
ック光ファイバ素線を巻き取った。得られたプラスチッ
ク光ファイバ素線の伝送損失は650nmの波長で13
3dB/kmであった。得られたプラスチック光ファイバ素
線を図2に示すクロスヘッド式押出被覆装置に供給し、
被覆材を被覆して被覆外径1600μmの光ケーブルを
得た。その際のダイス孔内径(Dd)は1.6mmであ
り光ケーブルにおける被覆層の外径(Dc)と等しく、
ドローダウン比は1.0であった。また、ダイス内にお
いて被覆材とプラスチック光ファイバ素線とが接触する
部分の長さ(L)は1.6mmであり、L/Dd=1で
あった。また、被覆時のプラスチック光ファイバ素線の
温度は20℃であった。
【0017】引き抜き力の測定:得られた光ケーブル
10本について、図1に示す固定治具を用い、測定長を
30mmに設定して引き抜き力の測定を行った。引き抜
き力の平均は2.5kgfであった。 ヒートサイクル試験:得られた光ケーブルの両端面を
剃刀にて切断し、−40℃で30分、続いて10分間で
85℃に昇温し85℃で30分、続いて10分間で20
℃に降温し20℃で30分、続いて10分間で−40℃
に降温し−40℃で30分のサイクルを10回繰り返
し、端面の形状変化を確認した。その結果、プラスチッ
ク光ファイバ素線の先端が被覆層端部よりも突き出る、
あるいは引っ込むなどの変形は全くみられなかった。 耐湿熱試験:光ケーブルを85℃、相対湿度95%の
環境下で3000時間保持し、その前後の波長650n
mの伝送損失を測定した。試験後の伝送損失増加は5.
0dB/kmと少なかった。 プラスチック光ファイ素線の破断伸度の測定:光ケー
ブルから被覆層を除去して、引っ張り試験により得られ
る応力−歪み曲線から破断伸度を測定したところ45%
であった。
【0018】(実施例2)ダイス孔内径(Dd)を1.
6mm、ダイス内でプラスチック光ファイバ素線とナイ
ロンが接触する部分の長さ(L)を4mmとし、L/D
d=2.5とした以外は上記実施例1と同様にして光ケ
ーブルを製造した。上記実施例1のと同様にして引き
抜き力を測定したところ、光ケーブル10本の平均が
4.3kgfであった。また上記実施例1のと同様に
してヒートサイクル試験を行ったところ光ケーブルの端
面変形はみられなかった。さらに、実施例1のと同様
にして耐湿熱試験を行ったところ、試験後の伝送損失増
加は5.0dB/kmと少なかった。また、実施例1の
と同様に破断伸度の測定を行ったところ47%であっ
た。
【0019】(実施例3)上記実施例1において、クロ
スヘッド方式の押出被覆装置のダイス孔内径(Dd)を
1.6mm、ダイス内でプラスチック光ファイバ素線と
ナイロンが接触する部分の長さ(L)を2.5mmと
し、L/Dd=約1.6とした他は同様にして光ケーブ
ルを製造した。上記実施例1のと同様にして引き抜き
力を測定したところ、光ケーブル10本の平均が2.5
kgfであった。また上記実施例1のと同様にしてヒ
ートサイクル試験を行ったところ光ケーブルの端面変形
はみられなかった。さらに、実施例1のと同様にして
耐湿熱試験を行ったところ、試験後の伝送損失増加は
4.0dB/kmと少なかった。また、実施例1のと
同様に破断伸度の測定を行ったところ42%であった。
【0020】(実施例4)被覆時のプラスチック光ファ
イバ素線を60℃に加熱する点を除いて実施例3と同様
にして光ケーブルを製造した。上記実施例1のと同様
にして引き抜き力を測定したところ、光ケーブル10本
の平均が3.5kgfであった。また上記実施例1の
と同様にしてヒートサイクル試験を行ったところ光ケー
ブルの端面変形はみられなかった。さらに、実施例1の
と同様にして耐湿熱試験を行ったところ、試験後の伝
送損失増加は15.0dB/kmと少なかった。また、
実施例1のと同様に破断伸度の測定を行ったところ4
4%であった。
【0021】(実施例5)プラスチック光ファイバ素線
をさらに90℃で65時間バッチ熱処理を行う点を除い
て実施例1と同様にして光ケーブルを製造した。上記実
施例1のと同様にして引き抜き力を測定したところ、
光ケーブル10本の平均が2.5kgfであった。また
上記実施例1のと同様にしてヒートサイクル試験を行
ったところ光ケーブルの端面変形はみられなかった。さ
らに、実施例1のと同様にして耐湿熱試験を行ったと
ころ、試験後の伝送損失増加は全く認められなかった。
また、実施例1のと同様に破断伸度の測定を行ったと
ころ40%であった。
【0022】(比較例1)上記実施例3において、クロ
スヘッド方式の押出被覆装置のダイス孔内径(Dd)が
1.6mm、ダイス内でプラスチック光ファイバ素線と
ナイロンが接触する部分の長さ(L)が0.8mmであ
り、L/Dd=0.5である他は同様にして光ケーブル
を製造した。上記実施例1のと同様にして引き抜き力
を測定したところ、光ケーブル10本の平均が1.5k
gfであった。また上記実施例1のと同様にしてヒー
トサイクル試験を行ったところナイロン被覆層の端面よ
りプラスチック光ファイバ素線の端面が0.2mm凹ん
でいた。さらに、実施例1のと同様にして耐湿熱試験
を行ったところ、試験後の伝送損失増加は30.0dB
/kmと大きかった。
【0023】(比較例2)上記実施例3において、クロ
スヘッド方式の押出被覆装置に代えて図3に示すパイプ
押出方式の押出被覆装置を用い、またナイロン12に代
えてナイロン66を用いた以外は同様にして光ケーブル
を製造した。この押出被覆装置のダイス開口部の内径
(Dd)は4.5mm、ニップル先端部の外径(Dg)
は2.2mmであり、ドローダウン比は4.75であっ
た。上記実施例1のと同様にして引き抜き力を測定し
たところ、光ケーブル10本の平均が1.7kgfであ
った。また上記実施例1のと同様にしてヒートサイク
ル試験を行ったところナイロン被覆層の端面よりプラス
チック光ファイバ素線の端面が0.5mm凹んでいた。
さらに、実施例1のと同様にして耐湿熱試験を行った
ところ、試験後の伝送損失増加は40.0dB/kmと
大きかった。
【0024】上記実施例および比較例の結果を下記表1
にまとめて示す。表1において、試験の欄のは引き抜
き力の測定値、はヒートサイクル試験後の端面変化の
有無、は対湿熱試験後の伝送損失増加の測定値、は
プラスチック光ファイバ素線の破断伸度の測定値であ
る。
【表1】
【0025】上記実施例および比較例の結果より、実施
例1〜5ではいずれも2.0kgf以上の高い引き抜き
力が得られ、−40〜85℃のヒートサイクル試験で端
面変形は生じなかった。これに対して、クロスヘッド方
式押出被覆装置のL/Ddが0.5の比較例1、および
パイプ押出方式の押出被覆装置を用い、ドローダウン比
が4.75と大きい比較例2ではプラスチック光ファイ
バ素線とナイロン被覆層との引き抜き力が2.0kgf
より小さく、−40〜85℃の温度変化で端面変形が生
じた。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明のプラスチッ
ク光ファイバケーブルは、プラスチック光ファイバ素線
の外周上にナイロン被覆層を有するので耐溶剤性に優れ
るうえ、ナイロン被覆層とプラスチック光ファイバ素線
との引き抜き力が高いので、使用環境温度の変化によっ
てプラスチック光ファイバ素線の端面がナイロン被覆層
の端部から突き出る、あるいは引っ込む等の端面変形が
生じず、温度変化に対して優れた安定性を有する。この
ようなプラスチック光ファイバケーブルは、オイルと接
触したり、温度が大きく変化する環境下でも使用可能で
あり、優れた光伝送特性が安定して得られる。また、本
発明のプラスチック光ファイバケーブルは、プラスチッ
ク光ファイバ素線の破断伸度が大きいため機械的強度に
優れている。
【0027】また本発明のプラスチック光ファイバケー
ブルの製造方法によれば、押出被覆装置を用いてプラス
チック光ファイバ素線の外周上にナイロン被覆を施し、
かつ該押出被覆装置のダイス孔の内径Dと、ダイス内で
プラスチック光ファイバ素線がナイロンと接触する部分
の長さLとの比を、L/D≧1.0とするか、又はドロ
ーダウン比を1.0〜1.5とすることによって、プラ
スチック光ファイバ素線とナイロン被覆層とを強固に密
着させることができる。したがってナイロン被覆層とプ
ラスチック光ファイバ素線との引き抜き力が高く、温度
変化に対して優れた安定性を有するプラスチック光ファ
イバケーブルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る引き抜き強度の測定方法の説明
図である。
【図2】 クロスヘッド方式の押出被覆装置の例を示し
た要部断面図である。
【図3】 パイプ押出方式の押出被覆装置の例を示した
要部断面図である。
【図4】 コネクタの例を示したもので(a)は加熱
前、(b)は加熱後のそれぞれの状態を示した説明図で
ある。
【符号の説明】
11…プラスチック光ファイバケーブル(光ケーブ
ル)、12,21…プラスチック光ファイバ素線、1
3,27…ナイロン被覆層、22…ダイス、23…ニッ
プル、24…ダイス孔、25…ニップル孔。
フロントページの続き (72)発明者 魚津 吉弘 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 2H050 AA15 AB42X AB43X AB44Y AB45X AB46Y AB47X AB47Y AB50X BA02 BA11 BB03Q BD03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック光ファイバ素線の外周上に
    ナイロン被覆層を形成してなるプラスチック光ファイバ
    ケーブルであって、 30mm長さにおけるナイロン被覆層とプラスチック光
    ファイバ素線との引き抜き力が2.0kgf以上であ
    り、かつプラスチック光ファイバ素線の破断伸度が40
    %以上であることを特徴とするプラスチック光ファイバ
    ケーブル。
  2. 【請求項2】 プラスチック光ファイバ素線の外周上に
    ナイロン被覆層を有するプラスチック光ファイバケーブ
    ルを製造する方法であって、 押出被覆装置を用いてプラスチック光ファイバ素線の外
    周上にナイロン被覆を施す工程を有し、かつ前記ナイロ
    ン被覆のドローダウン比が1.0〜1.5であることを
    特徴とするプラスチック光ファイバケーブルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 プラスチック光ファイバ素線の外周上に
    ナイロン被覆層を有するプラスチック光ファイバケーブ
    ルを製造する方法であって、 ニップルの先端がダイスの先端よりも内方に位置してい
    る押出被覆装置を用いてプラスチック光ファイバ素線の
    外周上にナイロン被覆を施す工程を有し、かつ前記押出
    被覆装置のダイス孔の内径Ddと、ダイス内でプラスチ
    ック光ファイバ素線がナイロンと接触する部分の長さL
    との比を、L/Dd≧1.0とすることを特徴とするプ
    ラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記プラスチック光ファイバ素線の外周
    上にナイロン被覆を施す工程を、前記プラスチック光フ
    ァイバ素線の温度が40℃〜100℃の状態で行うこと
    を特徴とする請求項2または請求項3に記載のプラスチ
    ック光ファイバケーブルの製造方法。
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