JP2001172886A - 捺染方法、該方法により得られる捺染物及び加工品 - Google Patents

捺染方法、該方法により得られる捺染物及び加工品

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JP2001172886A
JP2001172886A JP2000298150A JP2000298150A JP2001172886A JP 2001172886 A JP2001172886 A JP 2001172886A JP 2000298150 A JP2000298150 A JP 2000298150A JP 2000298150 A JP2000298150 A JP 2000298150A JP 2001172886 A JP2001172886 A JP 2001172886A
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Kinu Shirota
衣 城田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高濃度で無彩色な漆黒の捺染物を布帛の種類
や状態、更に加熱による染着処理条件が多少変化しても
安定して画像を得ることができるインクジェット方式に
よる捺染方法、捺染物及び加工品を提供すること。 【解決手段】 反応染料により染色可能な繊維を含有す
る布帛を黒色に捺染する方法であって、少なくとも(a)
ブラック色の反応染料を含有するブラック色のインクと
オレンジ色の反応染料を含有するオレンジ色のインクと
を、布帛上で少なくとも一部が重なるようにインクジェ
ット方式で付与する工程、(b)上記(a)においてインクが
付与された布帛を加熱或いはスチーム処理する工程、
(c)上記(b)において処理した布帛を洗浄する工程の3工
程を有し、且つ、ブラック色とオレンジ色の反応染料
が、異なる反応基を有する染料である捺染方法、捺染
物、加工品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット方式
により布帛に黒色の捺染を行う方法、該方法により得ら
れる捺染物及び加工品に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、捺染方法の主流は、スクリーン捺
染方法又はローラー捺染方法である。しかしながら、こ
れらの方法は、多品種少量生産には不向きであり、流行
への迅速な対応も困難であることから、最近では、無製
版の電子捺染システム方法の確立が要望されている。こ
の要望に対して、インクジェット記録方式を応用した捺
染方法が数多く提案されており、各方面からの期待も大
きくなっている。
【0003】インクジェット方式を応用した捺染方法の
課題としては、(1)発色に十分な濃度の色素を布帛に
付与すること、(2)布帛に対する色素の染着率が高
く、洗浄工程後の廃水処理が容易であること、(3)布
帛上で異色間の混色による不規則な滲みが目立たないこ
と、(4)色再現の範囲が広いこと、(5)安定した発
色性を示す生産が可能であること等、が挙げられる。
【0004】中でも、上記(1)の項目については、従
来の捺染方法に比べ、インクジェット方式を応用した捺
染方法は、布帛に付与できる染料の絶対量が少ないこと
から、解決することは非常に難しかった。この問題に対
して従来においては、主としてインク中の染料濃度を高
めたり、布帛に前もって処理を施す等の対応を行ってき
た。これらの努力により、彩度の高い画像については、
従来の捺染方法とさほど遜色のない発色を得ることがで
きるようになった。
【0005】しかし、インクジェット捺染方法は“漆
黒”の表現にはまだ課題が残っていた。このような問題
は、通常経験的な色合せによって対処されており、イン
クジェット捺染においても、例えば、特開平8−127
730号公報には特定のブラックの反応性染料(C.
I.リアクティブブラック5)と特定のイエロー、オレ
ンジ若しくはレッドの反応性染料との組み合わせが、イ
ンク特性そして黒の色味の点から好ましいことが開示さ
れている。
【0006】本発明者らがこの技術を検討したところ、
ここに開示されている組合せは、いずれも布帛との反応
基がビニルスルホン基である染料に揃えられていること
が分かった。確かに、布帛との反応において時間差が生
じず、反応条件を統一できることから、反応基の種類を
そろえることには意味があることである。しかし、この
ように同一のインク中にブラックとオレンジの色材を含
有させると、これらの色材の添加割合は変更できないた
め、複数種の布帛には対応できないという問題がある。
即ち、布帛によって表面の光の散乱の程度や風合いが異
なるため、より優れた“漆黒”を得るためのブラックと
オレンジの色材の割合は布帛によって異なってくる。例
えば、セルロースに対するブラックとオレンジの色材の
割合は、絹に対するそれとは当然に変化させる必要があ
る。更には、季節等により布帛の水分含有量が変化する
ため、本来はこれによっても染着率等が異なるため色材
の含有量を変化させる必要があるが、布帛の種類や状態
ごとにインクを用意することは、コストや実用性の面か
ら好ましいものでない。
【0007】そこで本発明者らは、C.I.リアクティ
ブブラック5を含むブラックインクに対して既にオレン
ジ画像の形成のために調製した、反応基としてモノクロ
ルトリアジン基を有する反応性染料を含むオレンジイン
クを重ねることによる捺染物の黒の色合せについて検討
した。インクに用いる反応性染料には、布帛に対する染
着性のほかに染着後の耐久なども考慮して選択される
為、必ずしもブラックインクが含む反応性染料と、これ
に組み合わせる染料の反応基の種類が揃うわけではな
い。しかし、捺染において、異なる反応基を有する反応
性染料を用いることは、一般的には好ましいことでな
く、特に捺染物の黒の色合せに、反応基の異なる反応性
染料を用いることについては未だ知られていない。この
ような状況下で、本発明者らは検討を重ねた結果、布帛
に対して異なる反応性を示す、つまり、反応基の異なる
2種の反応性染料であっても捺染物の黒の色味の改善が
達成し得ることを見出し、本発明をなすに至ったもので
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、反応染料で染色可能な繊維を主体として構成される
布帛に、インクジェット方式により捺染する際に、上述
のような従来の一般的なインクジェット捺染方法の問題
を解決すること、とりわけ、高濃度で無彩色な黒色の捺
染物を布帛の種類や状態、或いは加熱による染着処理条
件が多少変化しても安定して得ることができるインクジ
ェット方式による捺染方法、捺染物及び加工品を提供す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明の1実施態様にかか
る捺染方法は、反応染料により染色可能な繊維を含有す
る布帛を黒色に捺染する方法であって、少なくとも
(a)ブラック色の反応染料を含有するブラック色のイ
ンクとオレンジ色の反応染料を含有するオレンジ色のイ
ンクとを、布帛上で少なくとも一部が重なるようにイン
クジェット方式によって付与する工程、(b)(a)に
おいてインクが付与された布帛を加熱或いはスチーム処
理する工程、及び、(c)(b)において処理した布帛
を洗浄する工程の3工程を有し、且つ、前記ブラック色
とオレンジ色の反応染料が、異なる反応基を有する染料
であることを特徴とするものである。
【0010】本発明の一実施態様にかかる捺染物は、前
記捺染方法により得られることを特徴とするものであ
る。本発明の一実施態様にかかる加工品は、前記捺染物
を加工して得られることを特徴とするものである。本発
明の他の実施態様にかかる加工品は、前記捺染物を所定
の大きさに切り離して片とし、1つ以上の片を加工して
得られることを特徴とするものである。
【0011】又、本発明の他の実施態様にかかる捺染物
は、オレンジ、ブラックの2色の染料が少なくとも一部
重複した状態で染色された捺染物であって、前記ブラッ
ク染料が、C.I.リアクティブブラック5、14及び
31よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含有し、
前記オレンジ染料がC.I.リアクティブオレンジ5、
12、13及び35よりなる群から選ばれる少なくとも
一種を含有することを特徴とするものである。
【0012】本発明者らは、インクジェット捺染方法に
関して前述の種々の性能上の要件を同時に満足させるべ
く検討を行った。その結果、別々に付与することで布帛
の種類や状態により定着処理条件を変化させても、ブラ
ック色とオレンジ色の付与する染料の割合を任意に変化
させることで、安定して無彩色な黒色の表現が得られ、
又、組み合わせる染料の選択の幅も広がることを見出し
た。
【0013】ブラック色で濃色を得ることができる反応
染料としては、アゾ基を発色団としてもつ染料が好まし
い。しかし反応染料の場合、未反応の染料を洗い流す必
要があることから、染料分子構造上に制約があり、この
ようなブラック色の反応染料は単色ではネイビーブルー
の色調となる場合が多い。ここに、オレンジ色の反応染
料を打ち込むと、完全に無彩色の黒色捺染物を得ること
ができる。
【0014】ブラック色の反応染料とオレンジ色の反応
染料を質量比にして、ブラック色反応染料:オレンジ色
反応染料=1:2〜8:1の割合で打ち込むと、高濃度
で無彩色な黒色の捺染物を得ることができる。更に、一
般にインクジェット記録用インクでは、粘度や耐目詰り
性等を満足させるためにインク中に含有させられる染料
の最大量が制約を受けるが、本発明の捺染方法によれ
ば、この制約が生じる最大量までブラック色の染料をイ
ンクに含有させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明を更に詳しく説明する。本発明の捺染方法に用い
るインクは、ブラック色及びオレンジ色の反応染料及び
水性液媒体から構成されるインクジェット捺染用インク
である。それぞれの反応染料としては、異なる反応基を
有するブラック色の染料とオレンジ色の染料の組み合わ
せであれば特に限定されないが、ビニルスルホン基を有
するブラック色の反応染料と、モノクロロトリアジン基
を有するオレンジ色の反応染料の組み合わせは好まし
い。更に、ビニルスルホン基を有するブラック色の反応
染料としては、C.I.リアクティブブラック5、14
及び31よりなる群から選ばれる少なくとも一種である
ことが好ましく、モノクロロトリアジン基を有するオレ
ンジ色の反応染料としては、C.I.リアクティブオレ
ンジ5、12、13及び35よりなる群から選ばれる少
なくとも一種であることが好ましい。
【0016】又、最も好ましいブラック色の反応染料は
C.I.リアクティブブラック5であり、最も好ましい
オレンジ色の反応染料はC.I.リアクティブオレンジ
5、C.I.リアクティブオレンジ12又はC.I.リ
アクティブオレンジ13である。これらの特定の染料種
を組み合わせて使用する場合、染料同士の布帛上での会
合等が起こりにくいため、高温蒸熱(HTスチーミン
グ)法等による染料発色時の蒸気量や温度等の染着処理
条件が多少変化しても安定な画像を得ることができる。
【0017】更に、ブラック色の反応染料としてC.
I.リアクティブブラック5を用いた場合は、この染料
のモノビニルスルフォン体をスルファトエチルスルフォ
ン体に対して5〜10重量%含んでいる場合に、上述の
ような会合防止効果が最大限に発揮されるため本発明の
効果はより顕著になる。
【0018】インクの保存安定性が良好に保たれ、イン
クの増粘や析出による不吐出が防止でき、且つ、十分な
発色濃度が得られるためには上記の反応染料のインク中
における含有量(2種以上を併用する場合は、総含有
量。)は、インク全量に対して好ましくは1〜25重量
%、より好ましくは5〜20重量%、更に好ましくは8
〜15重量%の範囲である。
【0019】尚、本発明でいうオレンジ色のインクと
は、該インクで布帛を染色した後の色を、JlS Z
8721に準拠する標準色票と照らし合わせた場合にY
R(黄赤)に分類されるものをいうものとする。又、黒
色の捺染物とは、分光測色計でL*、a*及びb*を測定
し、L*が20以下で、且つ、a*が0〜4、且つb*
−7.5〜0のものをいうものとする。
【0020】次に、本発明に使用するインクの染料以外
の成分について説明する。本発明に使用するインクは、
染料を、水を主成分とする水性液媒体に溶解乃至分散さ
せてなる。水は、インク全重量に対して好ましくは10
〜93重量%、より好ましくは25〜87重量%、更に
好ましくは30〜82重量%の範囲で含有する。更に、
水溶性有機溶剤を使用することによって、本発明の効果
をより顕著にすることもできる。そのような水溶性有機
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール等の1価アルコール類;アセトン、
ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール
類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリ
プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプ
ロピレン付加重合体;エチレングリコール、プロピレン
グリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコ
ール、へキシレングリコール等のアルキレン基が2〜6
個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;1,2,
6−へキサントリオール等のトリオール類;チオジグリ
コール;ビスヒドロキシエチルスルホン;グリセリン;
エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エ
ーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチ
ル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテ
ル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)
エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエ
チル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエ
ーテル類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、
2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノン等が挙げられる。上記水溶性有機溶剤の含有量は、
一般的にはインクの全重量に対して好ましくは0〜50
重量%、より好ましくは2〜45重量%の範囲である。
【0021】上記のような水溶性有機溶剤を使用する場
合は、一種又は二種以上を使用することができるが、最
も好ましい水溶性有機溶剤は、1価又は多価アルコール
及びその誘導体を少なくとも1種含有するものである。
中でも、チオジグリコール、ビスヒドロキシエチルスル
ホン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テト
ラエチレングリコールジメチルエーテル、エタノールは
特に良好なものである。本発明の捺染方法に使用される
インクの主成分は上記の通りであるが、その他、各種の
分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、蛍
光増白剤等を必要に応じて添加することができる。
【0022】次に、本発明の捺染方法について詳細に説
明する。本発明は、ブラック色の反応染料を含有するブ
ラック色のインクと前記ブラック色の反応染料とは異な
る反応基を有するオレンジ色の反応染料を含有するオレ
ンジ色のインクとをインクジェット方式によって布帛上
で重なり合うように打ち込み、黒色を表現する。そし
て、濃色化の効果をより高めるためには、該重なり部分
のブラック色の反応染料とオレンジ色の反応染料の打ち
込み比を、質量比でブラック色反応染料:オレンジ色反
応染料=1:2〜8:1、好ましくは1:1〜6:1、
より好ましくは3:2〜3:1の範囲とする。
【0023】又、ブラック色の反応染料とオレンジ色の
反応染料の打ち込み割合は、布帛の種類や状態によって
も最適値が微妙に変化する。最も効果のある染料の組み
合わせ及び割合は、ブラック色の反応染料がC.I.リ
アクティブブラック5、オレンジ色の反応染料がC.
I.リアクティブオレンジ13の場合であって、それぞ
れの打ち込みの割合が、綿を捺染する場合には、C.
I.リアクティブブラック5:C.I.リアクティブオ
レンジ13=5:3〜3:1の割合が最も“漆黒”に近
い。これに対し、絹を捺染する場合には、C.I.リア
クティブブラック5:C.I.リアクティブオレンジ1
3=3:2〜2:1の割合で“漆黒”を表現できる。こ
のように変化する理由は、それぞれの反応染料の染着率
が、綿と絹とでは異なること、綿及び絹自身の光の散乱
の程度が異なることから人の知覚が異なることの2点が
考えられる。
【0024】本発明の捺染方法によって捺染することが
できる布帛は、反応染料で染色可能なものならば何れの
ものでもよいが、例えば、綿、絹、麻及びレーヨン繊維
からなる布帛又はこれらの繊維の2種以上からなる混紡
布帛等を好ましい布帛として挙げることができる。上記
の布帛は、インク滲み防止、染色濃度向上等の目的で従
来公知の方法で前処理することが好ましい。前処理に好
適な方法としては、例えば、水溶性高分子、尿素、撥水
剤等の物質を、捺染する布帛の重量に対して0.1〜2
0重量%含有させる方法等が挙げられる。
【0025】上記水溶性高分子の中では、粘度平均分子
量10万以上の水溶性樹脂が好ましい。水溶性樹脂とし
ては、例えば、ポリエチレンオキサイド樹脂、ポリアク
リル酸塩樹脂、ポリビニルメチルエーテル樹脂、ポリビ
ニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリ
ジアリールジメチルアンモニウムクロライド樹脂等が挙
げられる。
【0026】又、撥水剤としては、布帛に対して、パラ
フィンワックスとポリエチレンワックスを併用して含有
させることが、布帛表面に染料を留めて発色性を向上さ
せ、色の均一性に優れ、色の深みのある高濃度の画像を
得られ、“漆黒”の捺染物を得るためにより好ましい。
パラフィンワックスの含有量は、布帛に対して、好まし
くは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜
8重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%の範囲であ
る。ポリエチレンワックスの含有量は、布帛に対して好
ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.0
3〜8重量%、更に好ましくは0.05〜5重量%の範
囲である。
【0027】本発明の捺染方法では、以上説明した各イ
ンクを、布帛に対してインクジェット方式によって付与
する。本発明で適用することができるインクジェット方
式は、従来公知の何れのインクジェット方式でもよい
が、例えば、特開昭54−59936号公報に記載され
ている方法であって、熱エネルギーの作用を受けたイン
クが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力
によって、インクをノズルから吐出させる方式が最も有
効である。
【0028】その理由としては、上記方式は複数のノズ
ルを有する記録ヘッドを用いる場合、各ノズル間のイン
クの吐出速度のばらつきが小さく、インクの吐出速度が
5〜20m/secの範囲に集約されることが挙げられ
る。この速度は、前記の反応染料を含むインク滴が布帛
に衝突した場合、着滴時の液滴の繊維に対する浸透の具
合が最適になる速度である。
【0029】又、このようなインクジェット方式におい
て本発明に使用するインクを用いると、長時間連続的に
記録を行っても、そのヒーター上の異物の沈着や断線が
発生せず、安定した印捺が可能となる。特に効果の高い
捺染物が得られる条件としては、吐出インク液滴が20
〜200pl、インク打込量が4〜40nl/mm2
駆動周波数1.5kHz以上及びへッド温度35〜60
℃程度である。
【0030】本発明の捺染方法において、布帛に対して
インクの付与を行うのに好適なインクジェット装置の一
例として、記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応
した熱エネルギーを与え、該熱エネルギーによりインク
滴を発生させる装置が挙げられるが、以下にこれについ
て説明する。このような装置の主要部であるへッド構成
例を図1、図2及び図3に示す。
【0031】へッド13は、インクを通す溝14を有す
るガラス、セラミックス又はプラスチック板等と、感熱
記録に用いられる発熱ヘッド15(図ではへッドが示さ
れているが、これに限定されるものではない。)とを接
着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で
形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び
17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、
蓄熱層19、アルミナ等の放熱性の良い基板20より成
っている。インク21は、吐出オリフィス(微細孔)2
2まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成し
ている。
【0032】今、電極17−1及び17−2に電気信号
が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激
に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生
し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が
吐出し、オリフィス22より記録小滴24となり、布帛
25に向かって飛翔する。図3には、図1に示すへッド
を多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘ
ッドは、マルチ溝26を有するガラス板27と、図1に
説明したものと同様な発熱ヘッド28を密着して製作さ
れている。尚、図1は、インク流路に沿ったへッド13
の断面図であり、図2は図1のA−B線での切断面であ
る。
【0033】図4に、かかるへッドを組み込んだインク
ジェット記録装置の一例を示す。図4において、61は
ワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブ
レード保持部材によって保持されて固定端となり、カン
チレバーの形態をなす。ブレード61は、記録ヘッドに
よる記録領域に隣接した位置に配設され、又、本例の場
合、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持され
る。62はキャップであり、ブレード61に隣接するホ
ームポジションに配設され、記録ヘッドの移動方向と垂
直な方向に移動して吐出口面と当接し、キャッピングを
行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接し
て設けられる吸収体であり、ブレード61と同様、記録
へッドの移動経路中に突出した形態で保持される。上記
ブレード61、キャップ62及び吸収体63によって吐
出回復部64が構成され、ブレード61及び吸収体63
によってインク吐出口面に付着した水分、塵埃等の除去
が行われる。
【0034】65は、吐出エネルギー発生手段を有し、
吐出口を配した吐出口面に対向する布帛にインクを吐出
して記録を行う記録へッドであり、66は記録ヘッド6
5を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリ
ッジである。キャリッジ66は、ガイド軸67と慴動可
能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によ
って駆動されるベルト69と接続(不図示)している。
これにより、キャリッジ66はガイド軸67に沿った移
動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びそ
の隣接した領域の移動が可能となる。
【0035】51は、布帛を挿入するための給布部であ
り、52は、不図示のモーターにより駆動される布送り
ローラーである。これらの構成によって、記録へッドの
吐出口面と対向する位置へ布帛が給布され、記録が進行
するにつれて排布ローラー53を配した排布部へ排布さ
れる。
【0036】上記構成において、記録へッド65が記録
終了等でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64
のキャップ62は記録へッド65の移動経路から退避し
ているが、ブレード61は移動経路中に突出している。
この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされ
る。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接
してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッ
ドの移動経路中に突出するように移動する。
【0037】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録へッド65の吐
出口面はワイピングされる。
【0038】上述の記録ヘッドのホームポジションへの
移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘ
ッドが記録のために記録領域を移動する間に、所定の間
隔で記録領域に隣接したホームポジションヘ移動し、こ
の移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0039】図5は、ヘッドにインク供給部材、例えば
チューブを介して供給されるインクを収容したインクカ
ートリッジの一例を示す図である。ここで、40は供給
用インクを収容したインク収容部、例えば、インク袋で
あり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。
この栓42に針(不図示)を挿入することにより、イン
ク袋40中のインクをへッドに供給可能ならしめる。
【0040】44は、廃インクを受容する吸収体であ
る。インク収容部としては、インクとの接液面がポリオ
レフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好
ましい。本発明で使用されるインクジェット記録装置と
しては、上記の如きヘッドとインクカートリッジ45と
が別体になったものに限らず、図6に示す如きそれらが
一体になったものにも好適に用いられる。
【0041】図6において、70は記録ユニットであっ
て、この中にはインクを収容したインク収容部、例え
ば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収
体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71
からインク滴として吐出される構成になっている。イン
ク吸収体の材料としては、ポリウレタンを用いることが
好ましい。72は、記録ユニット内部を大気に連通させ
るための大気連通口である。この記録ユニット70は、
図4で示す記録へッドに代えて用いられるものであっ
て、キャリッジ66に対し着脱自在になっている。
【0042】以上に例示したインクジェット装置によっ
て、捺染インクは布帛上に付与されるが、この状態では
インクは単に布帛に付着しているに過ぎないので、引続
き繊維への染料の反応定着工程及び未定着の染料の除去
工程を施すことが必須である。このような反応定着工程
及び未定着の染料の除去方法は、定着法に関しては、高
温蒸熱(HTスチーミング)法を用いた場合、本発明の
効果が顕著である。特に、高温蒸熱(HTスチーミン
グ)法の場合、95〜130℃で、2〜30分間布帛を
処理することが好ましく、100〜120℃で、4〜1
0分間布帛を処理することがより好ましい。未定着の染
料の除去方法に関しては、従来公知の方法で、布帛の洗
浄を行えばよい。
【0043】尚、以上述べた染料の反応定着工程及び未
定着の染料の除去工程が施された布帛は、その後、所望
の大きさに切り離され、その切り離された片は、縫着、
接着、溶着等の最終的な加工品を得るための工程を施さ
れ、ワンピース、ドレス、ネクタイ等の衣類や、布団カ
バー、ソファーカバー、ハンカチ、カーテン等を得るこ
とができる。布帛を縫製等によって加工して、衣類その
他の日用品とする方法は、例えば、「最新ニット縫製マ
ニュアル」(センイジャーナル社発行)や、月刊誌「装
苑」(文化出版局発行)等、公知の書籍に多数記載され
ている方法によればよい。
【0044】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。尚、文中「部」及び「%」とあるのは、特に断
りのない限り質量基準である。 実施例1 <布帛(A)の作成>平均太さ3dの絹繊維からなる平
均太さ22dの絹糸からなる絹100%の織布を、ポリ
エチレンオキサイド(明成化学製、商品名:アルコック
スE60、粘度平均分子量:10〜120万)2.0
%、クエン酸ソーダ1.0%、尿素2%を含有する水溶
液に浸し、絞り率80%で脱水後、乾燥させ、布帛
(A)を得た。
【0045】 上記全成分を混合し、2時間撹拌した後、0.2μmの
メインブレインフィルターで加圧濾過し、インク(a)
を得た。
【0046】 上記全成分を混合し、2時間撹拌した後、0.2μmの
メインブレインフィルターで加圧濾過し、インク(b)
を得た。
【0047】次に、以上のようにして得られたインク
(a)及び(b)を、市販のインクジェットカラープリ
ンター(キヤノン製、商品名:BJC−820J)に搭
載し、上記の布帛(A)に、染料総打ち込み量が225
ng/cm2で、インク(a)とインク(b)の染料密
度(1:1又は2:1)及び、インクの打ち込み順序
[インク(a)→インク(b)又はインク(b)→イン
ク(a)]を調整した2色インク混色のサンプルのプリ
ントを行い、その後、105℃、8分間の蒸気加熱処理
による染料の定着処理を行った。その後、これを水洗し
て、染色品の色相、色度(L*、a*、b*)及び発色安
定性について評価した。その結果を表1に示した。表1
から明らかなように、無彩色な黒色の捺染物が得られ、
インク(a)とインク(b)の染料密度が2:1の場合
には更に高濃度の“漆色”の黒色の捺染物が得られた。
又、インクの打ち込み順序が変わっても発色安定性が良
好であった。
【0048】実施例2 表1に示したように、染料総打ち込み量を175ng/
cm2、インク(a)とインク(b)の染料密度を5:
3又は3:1の比率で、布帛(A)に、実施例1と同様
にサンプルのプリントを行い、105℃で、8分間の蒸
気加熱処理による染料の定着処理を行った。その後、こ
れを水洗して、実施例1と同様の評価を行った。その結
果を表1に示した。表1から明らかなように、無彩色な
黒色の捺染物が得られ、インク(a)とインク(b)の
染料密度が5:3の場合には、更に高濃度の“漆色”の
黒色の捺染物が得られた。又、インクの打ち込み順序が
変わっても発色安定性が良好であった。
【0049】実施例3 表1に示したように、染料総打ち込み量を150ng/
cm2、インク(a)とインク(b)の染料密度を5:
2又は6:1の比率で、布帛(A)に実施例1と同様な
方法でサンプルのプリントを行い、105℃で、8分間
の蒸気加熱処理による染料の定着処理を行った。その
後、これを水洗して、実施例1と同様の評価を行った。
その結果を表1に示した。表1から明らかなように、イ
ンクの打ち込み順序が変わっても、発色安定性が良好
で、且つ、無彩色な黒色の捺染物が得られた。
【0050】 上記全成分を混合し、2時間攪拌した後、0.2μmの
メインブレインフィルターで加圧濾過し、インク(c)
を得た。
【0051】実施例1で用いたインク(a)と、上記で
得られたインク(c)とを、表1に示したように、染料
総打ち込み量を225ng/cm2、染料密度を2:1
又は7:5の比率で、布帛(A)に実施例1と同様な方
法でサンプルのプリントを行い、105℃、8分間の蒸
気加熱処理による染料の定着処理を行った。その後、こ
れを水洗して、実施例1と同様の評価を行った。その結
果を表1に示した。表1から明らかなように、無彩色な
黒色の捺染物が得られ、インク(a)とインク(c)の
染料密度が2:1の場合には更に高濃度の“漆色”の黒
色の捺染物が得られた。又、インクの打ち込み順序が変
わっても発色安定性が良好であった。
【0052】実施例5 表1に示したように、染料総打ち込み量を150ng/
cm2、インク(a)とインク(c)の染料密度を4:
1又は8:1の比率で、布帛(A)に実施例1と同様な
方法でサンプルのプリントを行い、105℃、8分間の
蒸気加熱処理による染料の定着処理を行った。その後、
これを水洗して、実施例1と同様の評価を行った。その
結果を表1に示した。表1から明らかなように、インク
の打ち込み順序が変わっても、発色安定性が良好で、且
つ、無彩色な黒色の捺染物が得られた。
【0053】実施例6 <布帛前処理剤(a)の作成> (パラフィンワックス水性エマルジョンの作成)パラフ
ィンワックス(分子量300〜600)を30部、ポリ
オキシエチレンセチルエーテルを2部、ポリオキシエチ
レンソルビタンパルミチン酸エステルを1部、水を67
部とを常法により乳化して、パラフィンワックスの水性
エマルジョンとした。
【0054】(ポリエチレンワックスの水溶性エマルジ
ョンの作成)ポリエチレンワックス(分子量2,000
〜3,000)を30部、ポリオキシエチレンセチルエ
ーテルを2部、ポリオキシエチレンソルビタンパルミチ
ン酸エステルを1部及び水を67部とを常法により乳化
して、ポリエチレンワックスの水性エマルジョンとし
た。
【0055】上記パラフィンワックスの水性エマルジョ
ンを3.0部、上記ポリエチレンワックスの水性エマル
ジョンを2.0部、ポリオキシエチレン(n=25)ス
テアリルエーテルを15部、重炭酸ソーダを5.0部及
び水を75.0部とを混合し、50℃に加温した状態で
3時間攪拌混合し、溶液状の布帛前処理剤(a)を調製
した。
【0056】<布帛Bの作成>厚さ250μmの平織り
の綿布を、上記布帛前処理剤(a)に浸し、絞り率10
0%で脱水後、乾燥させ、布帛(B)を得た。このよう
に得られた布帛(B)に、実施例1と同様な方法でイン
ク(a)とインク(b)のサンプルのプリントを行い、
105℃、8分間の蒸気加熱処理による染料の定着処理
を行った。その後、これを水洗して、実施例1と同様の
評価を行った。その結果を表2に示した。表2から明ら
かなように、無彩色な黒色の捺染物が得られ、インク
(a)とインク(b)の染料密度が2:1の場合には更
に高濃度の“漆色”の黒色の捺染物が得られた。又、イ
ンクの打ち込み順序が変わっても発色安定性が良好であ
った。
【0057】実施例7 実施例2と同様な方法で、実施例6で作成した布帛
(B)に、インク(a)とインク(b)のサンプルのプ
リントを行い、105℃、8分間の蒸気加熱処理による
染料の定着処理を行った。その後、これを水洗して、実
施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示し
た。表2から明らかなように、インクの打ち込み順序が
変わっても発色安定性が良好で、且つ“漆色”の黒色の
捺染物が得られた。
【0058】実施例8 実施例3と同様な方法で、実施例6で作成した布帛
(B)に、インク(a)とインク(b)のサンプルのプ
リントを行い、105℃、8分間の蒸気加熱処理による
染料の定着処理を行った。その後、これを水洗して、実
施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示し
た。表2から明らかなように、無彩色な黒色の捺染物が
得られ、インク(a)とインク(b)の染料密度が5:
2の場合には更に高濃度の“漆色”の黒色の捺染物が得
られた。又、インクの打ち込み順序が変わっても発色安
定性が良好であった。
【0059】実施例9 実施例4と同様な方法で、実施例6で作成した布帛
(B)に、インク(a)とインク(c)のサンプルのプ
リントを行い、105℃、8分間の蒸気加熱処理による
染料の定着処理を行った。その後、これを水洗して、実
施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示し
た。表2から明らかなように、無彩色な黒色の捺染物が
得られ、インク(a)とインク(c)の染料密度が2:
1の場合には更に高濃度の“漆色”の黒色の捺染物が得
られた。又、インクの打ち込み順序が変わっても発色安
定性が良好であった。
【0060】実施例10 実施例5と同様な方法で、実施例6で作成した布帛
(B)に、インク(a)とインク(c)のサンプルのプ
リントを行い、105℃、8分間の蒸気加熱処理による
染料の定着処理を行った。その後、これを水洗して、実
施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示し
た。表2から明らかなように、インクの打ち込み順序が
変わっても発色安定性が良好で、且つ、無彩色な黒色の
捺染物が得られた。
【0061】比較例1 表1に示したように、染料総打ち込み量を100ng/
cm2、インク(a)とインク(b)の染料密度を1:
0又は1:3の比率で、布帛(A)に実施例1と同様な
方法でサンプルのプリントを行い、105℃、8分間の
蒸気加熱処理による染料の定着処理を行った。その後、
これを水洗して、実施例1と同様の評価を行った。その
結果を表1に示した。表1から明らかなように、染料密
度1:0の捺染物は実施例1〜10の捺染物に比ベ、ブ
ルー領域に、1:3の捺染物はL値も高く、更にマゼン
タ領域に移行し、無彩色な黒色の捺染物を得ることがで
きなかった。又、インク(a)とインク(b)の染料密
度を1:3にした場合、発色濃度に差が生じ、良好な発
色安定性が得られなかった。
【0062】比較例2 表1に示したように、染料総打ち込み量を150ng/
cm2、インク(a)とインク(c)の染料密度を1:
0又は12:1の比率で、布帛(A)に実施例1と同様
な方法でサンプルのプリントを行い、105℃、8分間
の蒸気加熱処理による染料の定着処理を行った。その
後、これを水洗して、実施例1と同様の評価を行った。
その結果を表1に示した。表1から明らかなように、両
サンプルとも色相が悪化し、無彩色な黒色の捺染物を得
ることができなかった。
【0063】比較例3 比較例1と同様な方法で、実施例6で作成した布帛
(B)にインク(a)とインク(b)のサンプルのプリ
ントを行い、105℃、8分間の蒸気加熱処理による染
料の定着処理を行った。その後、これを水洗して、実施
例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示した。
表2から明らかなように、両サンプルとも色相が悪化
し、無彩色な黒色の捺染物を得ることができなかった。
又、インク(a)とインク(b)の染料密度を1:3に
した場合、発色濃度に差が生じ、良好な発色安定性が得
られなかった。
【0064】比較例4 比較例2と同様な方法で、実施例6で作成した布帛
(B)にインク(a)とインク(c)のサンプルのプリ
ントを行い、105℃、8分間の蒸気加熱処理による染
料の定着処理を行った。その後、これを水洗して、実施
例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示した。
表2から明らかなように、両サンプルとも色相が悪化
し、無彩色な黒色の捺染物を得ることができなかった。
【0065】表1及び表2に、実施例及び比較例の評価
結果をまとめて示した。表中の色相*1は、色相*2で得ら
れた測定値を基に、下記の基準で評価した。 A;L*が18以下であり、且つ、a*が0以上3以下、
且つb*が−3以上0以下のもの B;L*が20以下であり、且つ、a*が0以上4以下、
且つb*が−7.5以上0以下のもの C;L*が20より大きいか、a*又はb*が上記範囲外
の値のもの (一般に、L*が18以下、a*が0以上3以下、且つ、
*が−3以上0以下のものが、高濃度で“漆色”の黒
色と判断される。)
【0066】表中の色相*2は、印字サンプルのL*/a*
/b*を、ミノルタ製分光測色C−M2022で測定し
た。
【0067】表中の発色安定性*3は、インクの打込み順
序を変えて(ブラック→オレンジ、オレンジ→ブラッ
ク)、各々の色パッチのL*を測定し、その差から判定
し、下記の基準で評価した。 A;L*の差が0.5以下であり、打込み順序による差
が小さい。 B;L*の差が0.5以上であり、打込み順序による差
が大きい。
【0068】
【0069】
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高濃度で無彩色な黒色の捺染物をインクの打込み順序が
多少変化しても、色調の変化がなく、安定して得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの縦断面図。
【図2】インクジェット記録装置のヘッドの横断面図。
【図3】図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外
観斜視図。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図。
【図5】インクカートリッジの縦断面図。
【図6】記録ユニットの一例を示す斜視図。
【符号の説明】
13:ヘッド 14:インク溝 15:発熱ヘッド 16:保護膜 17−1、17−2:アルミニウム電極 18:発熱抵抗体層 19:蓄熱層 20:基板 21:インク 22:吐出オリフィス(微細孔) 23:メニスカス 24:インク小滴 25:布帛 26:マルチ溝 27:ガラス板 28:発熱ヘッド 40:インク袋 42:栓 44:インク吸収体 45:インクカートリッジ 51:給布部 52:布送りローラー 53:排布ローラー 61:ブレード 62:キャップ 63:インク吸収体 64:吐出回復部 65:記録へッド 66:キャリッジ 67:ガイド軸 68:モーター 69:ベルト 70:記録ユニット 71:ヘッド部 72:大気連通口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06P 1/384 D06P 5/20 C 5/20 B41J 3/04 101Z 101Y

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応染料により染色可能な繊維を含有す
    る布帛を黒色に捺染する方法であって、少なくとも
    (a)ブラック色の反応染料を含有するブラック色のイ
    ンクとオレンジ色の反応染料を含有するオレンジ色のイ
    ンクとを、布帛上で少なくとも一部が重なるようにイン
    クジェット方式によって付与する工程、(b)(a)に
    おいてインクが付与された布帛を加熱或いはスチーム処
    理する工程、及び、(c)(b)において処理した布帛
    を洗浄する工程の3工程を有し、且つ、前記ブラック色
    とオレンジ色の反応染料が、異なる反応基を有する染料
    であることを特徴とする捺染方法。
  2. 【請求項2】 前記ブラック色及びオレンジ色のインク
    の重なり部におけるブラック色の反応染料とオレンジ色
    の反応染料の打ち込み比が、質量比で、ブラック色反応
    染料:オレンジ色反応染料=1:2〜8:1である請求
    項1に記載の捺染方法。
  3. 【請求項3】 前記ブラック色の反応染料が反応基とし
    てビニルスルホン基を有し、且つ、前記オレンジ色の反
    応染料が反応基としてモノクロロトリアジン基を有する
    染料である請求項1又は2に記載の捺染方法。
  4. 【請求項4】 ブラック色の反応染料が、C.I.リア
    クティブブラック5、14及び31よりなる群から選ば
    れる少なくとも一種の反応染料であり、且つ、オレンジ
    色の反応染料が、C.I.リアクティブオレンジ5、1
    2、13及び35よりなる群から選ばれる少なくとも一
    種の反応染料である請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の捺染方法。
  5. 【請求項5】 前記工程(b)が、高温蒸熱(HTスチ
    ーミング)工程である請求項1〜4のいずれか1項に記
    載のインクジェット捺染方法。
  6. 【請求項6】 インクジェット方式が、熱エネルギーを
    利用してインクを吐出させる方式である請求項1〜5の
    いずれか1項に記載の捺染方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の捺
    染方法により得られることを特徴とする捺染物。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の捺染物を加工して得ら
    れることを特徴とする加工品。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載の捺染物を所定の大きさ
    に切り離して片とし、1つ以上の片を加工して得られる
    ことを特徴とする加工品。
  10. 【請求項10】 加工が縫製である請求項9に記載の加
    工品。
  11. 【請求項11】 オレンジ、ブラックの2色の染料が少
    なくとも一部重複した状態で染色された捺染物であっ
    て、前記ブラック染料が、C.I.リアクティブブラッ
    ク5、14及び31よりなる群から選ばれる少なくとも
    一種を含有し、前記オレンジ染料がC.I.リアクティ
    ブオレンジ5、12、13及び35よりなる群から選ば
    れる少なくとも一種を含有することを特徴とする捺染
    物。
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