JP2001172776A - プレス成形性、原板傷認識性に優れたアルカリ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板。 - Google Patents
プレス成形性、原板傷認識性に優れたアルカリ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板。Info
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Abstract
リ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板を提供する。 【解決手段】 ステンレス鋼板の両面又は片面の表面
に、粒状潤滑機能付与剤を2〜15重量%含有したアル
カリ可溶型潤滑樹脂皮膜が0.5〜2μm形成され、粒
状潤滑機能付与剤の平均粒径(a)、潤滑樹脂皮膜の膜
厚(b)が、0.5b≦a≦2.5bを満足する、プレ
ス成形性、原板傷認識性に優れたアルカリ可溶型潤滑被
覆ステンレス鋼板。アルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜がシリ
カ粒子を1〜30重量%含有することが好ましい。
Description
板傷認識性に優れたアルカリ可溶型潤滑被覆ステンレス
鋼板に関する。
い外観、清潔性などの利点から、流し台、ガステーブル
などの厨房機器や家電製品、建材などに幅広く用いられ
ている。多くの用途で、ステンレス鋼板特有の美麗な外
観をそのまま活かして使用されているため、プレス加工
などの加工を施す際には、潤滑性不足による表面の傷つ
きを防止する目的で従来は塩化ビニル系を主とした数十
μmの表面保護皮膜をステンレス鋼板表面に貼付するの
が一般的であった。しかし、表面保護皮膜材は保護皮膜
の貼付および剥ぎ取り工程が必要で、さらに、一部の保
護皮膜では燃焼時に有害ガスを発生する恐れがあるなど
の問題があった。
ることにより加工性を向上可能であるが、この場合に
は、製造工程を煩雑にし、作業環境を悪化させるだけで
なく、プレス成形後の脱脂工程でフロン、トリクロロエ
タン、ジクロロメタンなどの溶剤を用いた潤滑油除去や
アルカリ脱脂工程での潤滑油除去が必要で、これら溶剤
は作業者の健康上、地球環境上好ましくない。そこで、
これら表面保護皮膜や潤滑油を使用せず、所望の形状に
プレス成形可能なステンレス鋼板の提供が要望され、種
々検討されている。
報、特開平8−252887号公報にみられるようにプ
レス成形後のアルカリ脱脂工程において潤滑皮膜が溶
解、離脱するアルカリ溶解型保護皮膜を被覆したステン
レス鋼板が提案されている。一方、需要家がステンレス
鋼板を購入し、プレス加工、組立する過程で、プレス加
工前の段階でステンレス鋼板原板の表面傷を発見しやす
いことが需要家にとっては歩留まり向上、コスト低減の
観点から重要となる。これまでに提案されている保護皮
膜被覆ステンレス鋼板の場合、表面に保護皮膜を被覆し
たことにより、外観が白っぽくなることから、ステンレ
ス鋼板原板に存在する傷をアルカリ脱脂により皮膜が溶
解する前に認識することが困難であった。
点を解決して、プレス成形性、原板傷認識性に優れたア
ルカリ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板を提供することを
目的とするものである。
を解決し、プレス成形性、原板傷認識性に優れたアルカ
リ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板を得るべく鋭意研究を
重ねた。その結果、粒状の潤滑機能付与剤を含むアルカ
リ可溶型潤滑樹脂皮膜を一定膜厚範囲内でステンレス鋼
板表面に形成し、潤滑機能付与剤の平均粒径と潤滑樹脂
皮膜膜厚が一定の関係を満足した場合に上記目的を達成
できることを見いだし本発明に至った。
潤滑被覆ステンレス鋼板(1)は、ステンレス鋼板の両
面又は片面の表面に、粒状潤滑機能付与剤を2〜15重
量%含有したアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜が0.5〜2
μm形成され、粒状潤滑機能付与剤の平均粒径(a)、
潤滑樹脂皮膜の膜厚(b)が、0.5b≦a≦2.5b
を満足することを特徴としている。粒状潤滑機能付与剤
を含有したアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜であって、粒状
潤滑機能付与剤の平均粒径(a)、潤滑樹脂皮膜の膜厚
(b)が上記範囲を満足することにより、優れたプレス
加工性と、原板傷の認識が容易であることを両立させる
ことが可能となる。
テンレス鋼板(2)は、ステンレス鋼板の両面又は片面
の表面に、粒状潤滑機能付与剤を2〜15重量%、シリ
カ粒子を1〜30重量%含有したアルカリ可溶型潤滑樹
脂皮膜が0.5〜2μm形成され、粒状潤滑機能付与剤
の平均粒径(a)、潤滑樹脂皮膜の膜厚(b)が、0.
5b≦a≦2.5bを満足することを特徴としている。
本発明に係わるアルカリ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板
(3)は、上記アルカリ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板
において、含有される粒状潤滑機能付与剤が、ポリオレ
フィン系ワックス、フッ素系ワックス、パラフィン系ワ
ックス、ステアリン酸系ワックスのうちの1種または2
種以上からなることを特徴としている。
発明者らは、無塗油の状態でも優れたプレス成形性を有
し、潤滑樹脂皮膜が被覆された状態においても原板傷を
容易に認識することのできるアルカリ可溶型潤滑被覆ス
テンレス鋼板を得るべく鋭意検討した結果、粒状潤滑機
能付与剤を含有したアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜であっ
て、粒状潤滑機能付与剤の平均粒径(a)、潤滑樹脂皮
膜の膜厚(b)がある一定範囲を満足することにより上
記性能を満たすことを突き止めた。
リ溶解型潤滑皮膜としては、ポリエチレングリコール
系、ポリプロピレングリコール系、ポリビニルアルコー
ル系、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系などが
ある。アルカリ溶解可能とするために、樹脂水分散体ま
たは水溶性樹脂でなければならない。ポリエチレングリ
コール系では、皮膜形成性の観点から、平均分子量30
00以上のポリエチレングリコールおよび変性ポリエチ
レングリコールが挙げられる。変性ポリエチレングリコ
ールとしては、イソシアネート変性ポリエチレングリコ
ール、エポキシ変性ポリエチレングリコール等が挙げら
れる。
成性の観点から、平均分子量3000以上のポリプロピ
レングリコールおよび変性ポリプロピレングリコールが
挙げられる。変性ポリプロピレングリコールとしては、
イソシアネート変性ポリプロピレングリコール、エポキ
シ変性ポリプロピレングリコール等が挙げられる。ポリ
ビニルアルコール系では、完全ケン化型ポリビニルアル
コール、部分ケン化型ポリビニルアルコール、変性ポリ
ビニルアルコール等が挙げられる。変性ポリビニルアル
コールとしては、カルボキシル基変性ポリビニルアルコ
ール、スルホン酸ポリビニルアルコール、アセトアセチ
ル基ポリビニルアルコール等が挙げられる。
クリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、マレイン酸、イタコン酸の共重合体が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n
ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸2ヒ
ドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イ
ソプロピル、メタクリル酸nブチル、メタクリル酸イソ
ブチル、メタクリル酸nヘキシル、メタクリル酸ラウリ
ル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒ
ドロキシプロピルなどがある。共重合体としては、スチ
レン、アクリルアミド、酢酸ビニル、アクリルニトリ
ル、などが挙げられる。
を構成する多価アルコールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコー
ル、1,6ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ト
リエチレングルコールなどが挙げられ、多塩基酸として
は、無水フタル酸、イソフタル酸テレフタル酸、無水コ
ハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマ
ル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
ウレタン系としては、ポリエステル系ウレタン、ポリエ
ーテル系ウレタン、ポリカーボネート系ウレタン、アク
リル系ウレタン、ポリエーテル・ポリエステル系ウレタ
ンなどが挙げられる。
樹脂皮膜の厚さは0.5〜2μmでなければならない。
厚さが0.5μm未満であると、原板傷の認識は容易と
なるが、プレス加工時の押圧によりかじり発生や傷発生
を防止できず,かつ摺動が加わるために要求される加工
性を得ることが出来ない。2μm以上であると原板傷の
認識が困難となることに加え、成形時の塗膜剥離粉の発
生が増加し金型の手入れを頻繁に実施する必要があるた
め,生産性を低下させる。また、本発明の潤滑樹脂皮膜
は目的に応じて金属板の両面又は片面に被覆される。
状潤滑機能付与剤は表面の摩擦係数を低減することによ
りさらに潤滑性を付与し,かじり等を防止してプレス加
工性、しごき加工性を向上する作用を有している。潤滑
機能付与剤としては、得られる皮膜に潤滑性能を付与す
るものであればよいが、ポレオレフィン系(ポリエチレ
ン,ポリプロピレン等)、フッ素系(ポリテトラフルオ
ロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフ
ッ化ビニリデン,ポリフッ化ビニル等)、パラフィン
系、ステアリン酸系ワックスのうちの1種または2種以
上からなるものが好ましい。
は、潤滑樹脂皮膜の膜厚(b)とした場合に、0.5b
≦a≦2.5bを満足しなければならない。0.5b未
満の場合、粒子潤滑機能付与剤による滑り性向上効果が
小さく、十分なプレス加工性を発現しない。2.5bを
越えると、粒子潤滑機能付与剤により被覆鋼板表面の外
観の白化が促進され、原板傷の認識、発見が困難とな
る。また、プレス加工時に潤滑機能付与剤の剥離が発生
しやすく、金型メンテナンスが増加し問題となる。潤滑
機能付与剤の添加量としては2〜15重量%が好まし
い。2%未満では要求される潤滑効果が得られない。1
5wt%を越えると皮膜強度が低下したり、潤滑付与剤
の剥離が発生するなどの問題がある。
させる場合に添加する。シリカ粒子は、水分散性コロイ
ダルシリカ、粉砕シリカ、気相法シリカなどいずれのシ
リカ粒子であっても良い。皮膜の加工性、耐食性発現を
考慮すると、1次粒子径は2〜30nmで、2次凝集粒
子径は100nm以下が好ましい。シリカの添加量とし
ては1〜30重量%が好ましい。1%未満では、下層と
の密着性向上効果が得られない。30%を越えると皮膜
の伸びが減少するため加工性が低下しかじりが発生しや
すくなる。本発明のアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜中には
上記以外に、意匠性を付与するための顔料や、導電性を
付与する導電性添加剤、等を目的に応じて、皮膜性能を
低下させない範囲内で添加することができる。
密着性を得るために下地にクロメート処理を施してもか
まわない。この場合のクロメート処理としては、電解型
クロメート、反応型クロメートおよび塗布型クロメート
のいずれの処理をあげることができる。クロメート皮膜
は還元したクロム酸にシリカ、燐酸、親水性樹脂の中か
ら少なくとも1種以上を含有したクロメート液を塗布、
乾燥したものが好ましい。クロメートの付着量として
は、金属クロム換算で5〜150mg/m2 、好ましく
は10〜50mg/m2 の範囲が好ましい。5mg/m
2 未満では優れた耐食性効果が得られず、150mg/
m2 を超えると成形時にクロメート皮膜の凝集破壊が起
こるなど、加工性を劣化させる。
分および粒状潤滑機能付与剤を含む水溶液また水分散体
をロールコーター塗装法、スプレー法など従来公知の方
法で塗布・焼付乾燥して形成することができる。本発明
の潤滑被覆ステンレス鋼板は潤滑皮膜のさらに上層に潤
滑油または潤滑防錆油を塗布することができる。ただ
し、塗布する潤滑油または潤滑防錆油は、本発明の潤滑
皮膜を膨潤または溶解させないものが望ましい。
げ2B (2)クロメート処理 基本的にクロメート未処理とし、一部水準について、ク
ロム還元率(Cr(VI)/全Cr)=0.4のクロム
酸にコロイダルシリカを加えた塗布型クロメート液を上
記ステンレス鋼板にロールコータにてクロム付着量が金
属クロム換算で20mg/m2 となるよう塗布し、加熱
乾燥させクロメート皮膜を形成した。
グリコール、アクリル樹脂、ウレタン樹脂の水溶液また
は水分散体に、ポリエチレンワックス、ポリテトラフル
オロエチレンワックス、合成パラフィンワックス、ステ
アリン酸カルシウムワックス、およびコロイダルシリカ
を混合し、潤滑樹脂皮膜とした。
ーコーター塗装し、180℃の加熱炉を用いて鋼板到達
温度80℃で焼付乾燥し形成した。 なお、加工性評価
の比較材として、ステンレス鋼板原板にジョンソンワッ
クス#122を塗布したものを用いた。これらのサンプ
ルに対して以下の試験および性能評価を行った。
s)を用いてあらかじめスチールウールで擦り傷をつけ
た原板に潤滑樹脂皮膜を被覆し、被覆後の原板傷認識性
を目視にて評価した。評価は次の指標に依った。 ○:容易に認識可能 △:認識困難 ×:認識不可能
験を行いプレス成形性を評価した。 ・ポンチ:40mmφ×4mmrpm ・ダイス:43
mmφ×4mmrd ・シワ押さえ:1ton 型かじり性は側壁の外観を目視で評価した。型かじり性
の評価は次の指標に依った。 ◎:成形可能で、鋼板表面の欠陥無し ○:成形可能で、鋼板表面の欠陥無し,摺動面わずかに
変色 △:成形可能で、鋼板表面にわずかにかじり疵発生 ×:成形可能で、鋼板表面に線状かじり疵多数発生
標で評価した。 ◎:カス発生無し ○:極わずかに樹脂カス発生 △:少し樹脂カス発生 ×:樹脂カス多数発生
=10.5に調整、温度70℃)を試験片に8秒間スプ
レーした後水洗し、乾燥後の皮膜残存率を赤外分光分析
にて測定し評価した。 ◎:皮膜残存無し ○:皮膜残存5%以下 △:皮膜残存5%超10%以下 ×:皮膜残存10%超 表1に示すように、本発明に属すアルカリ可溶型潤滑被
覆ステンレス鋼板はいずれも、プレス成形性、型かじり
性に優れ、加工後カス発生しにくく、原板傷の認識が容
易である。
認識性に優れたアルカリ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板
を提供でき、成形後にアルカリ脱脂を行うステンレス鋼
板用途への寄与が著しい。したがって、本発明の産業上
の価値は極めて高いといえる。
Claims (3)
- 【請求項1】 ステンレス鋼板の両面又は片面の表面
に、粒状潤滑機能付与剤を2〜15重量%含有したアル
カリ可溶型潤滑樹脂皮膜が0.5〜2μm形成され、粒
状潤滑機能付与剤の平均粒径(a)、潤滑樹脂皮膜の膜
厚(b)が、0.5b≦a≦2.5bを満足する、プレ
ス成形性、原板傷認識性に優れたアルカリ可溶型潤滑被
覆ステンレス鋼板。 - 【請求項2】 ステンレス鋼板の両面又は片面の表面
に、粒状潤滑機能付与剤を2〜15重量%、シリカ粒子
を1〜30重量%含有したアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜
が0.5〜2μm形成され、粒状潤滑機能付与剤の平均
粒径(a)、潤滑樹脂皮膜の膜厚(b)が、0.5b≦
a≦2.5bを満足する、プレス成形性、原板傷認識性
に優れたアルカリ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板。 - 【請求項3】 粒状潤滑機能付与剤が、ポリオレフィン
系ワックス、フッ素系ワックス、パラフィン系ワック
ス、ステアリン酸系ワックスのうちの1種または2種以
上からなる請求項1または請求項2に記載のアルカリ可
溶型潤滑被覆ステンレス鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35826999A JP2001172776A (ja) | 1999-12-17 | 1999-12-17 | プレス成形性、原板傷認識性に優れたアルカリ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板。 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35826999A JP2001172776A (ja) | 1999-12-17 | 1999-12-17 | プレス成形性、原板傷認識性に優れたアルカリ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板。 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2001172776A true JP2001172776A (ja) | 2001-06-26 |
Family
ID=18458421
Family Applications (1)
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JP35826999A Pending JP2001172776A (ja) | 1999-12-17 | 1999-12-17 | プレス成形性、原板傷認識性に優れたアルカリ可溶型潤滑被覆ステンレス鋼板。 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001172776A (ja) |
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-
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- 1999-12-17 JP JP35826999A patent/JP2001172776A/ja active Pending
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