JP2001164477A - 伸縮性を有する合成皮革 - Google Patents

伸縮性を有する合成皮革

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JP2001164477A JP34877699A JP34877699A JP2001164477A JP 2001164477 A JP2001164477 A JP 2001164477A JP 34877699 A JP34877699 A JP 34877699A JP 34877699 A JP34877699 A JP 34877699A JP 2001164477 A JP2001164477 A JP 2001164477A
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Shigeru Sano
茂 佐野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ストレッチ性を有し、風合いが良好で、引張
強力、剥離強力及び引裂強力に優れた合成皮革を提供す
ること。 【解決手段】 ポリエステルマルチフィラメントからな
るグランド糸とポリエステルマルチフィラメントからな
る起毛糸から構成され、該グランド糸と該起毛糸との供
給糸長の比が1:1.1〜1:1.3、目数の比が1:1
である起毛編地の起毛面側に、ポリウレタンからなる湿
式ミクロポーラス層、ポリウレタン接着層、及びポリウ
レタン表皮層が順次積層されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストレッチ性を有
し、風合いが良好で、剥離強度及び引裂強度に優れ、靴
を主体とした履物用、椅子張り用及び自動車内装材用な
どに好適な合成皮革に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的にストレッチ性が求められる合成
皮革は、基布として経編物のトリコット等が使用されて
いたが、引張強度、剥離強度及び引裂強度が弱い等、靴
用、椅子張り用及び自動車内装材用として用いる場合、
機械強度が不十分であるという問題を有していた。
【0003】そのため、例えば、引裂強度の必要な部分
では裏に引裂き強度の強い布帛やシート状物をあてがい
使用しているのが現状である。
【0004】一方、従来より、スポーツ用編物として知
られている丸編物は、起毛を行った場合、グランド糸と
起毛糸との供給糸長の比が1:0.3〜1:0.5であ
るため、起毛された毛足が短く、仮にこの編物にウレタ
ンなどを含浸してミクロポーラス層を形成させても、基
布である編物とミクロポーラス層との接着強度が低く、
ミクロポーラス層の剥離が発生する上、ストレッチ性が
不十分となる。
【0005】一方、パイル編物の場合は、起毛を行った
場合、グランド糸と起毛糸との供給糸長の比が1:2〜
1:3であり、毛足は長くなるが、編物の引張強力が経
方向でも147N/3cm程度と不十分であり、かつフ
ィット感が損なわれるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スト
レッチ性を有し、風合いが良好で、引張強力、剥離強力
及び引裂強力に優れ、靴を主体とした履物用、椅子張り
用及び自動車内装材用に適する合成皮革を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討した結果、強度とストレッチ性
の両立が可能な、合成皮革に最適な基布組織を見出し、
該基布にポリウレタンミクロポーラス層を積層すれば、
所望の合成皮革が得られることを究明し、本発明を完成
させるに至った。
【0008】即ち、本発明によれば、ポリエステルマル
チフィラメントからなるグランド糸とポリエステルマル
チフィラメントからなる起毛糸から構成され、該グラン
ド糸と該起毛糸との供給糸長の比が1:1.1〜1:1.
3、目数の比が1:1である起毛編地の起毛面側に、ポ
リウレタン接着層、及びポリウレタン表皮層が順次積層
されていることを特徴とする伸縮性を有する合成皮革が
提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の合成皮革の基布となる編
物は、ポリエステルマルチフィラメントからなるグラン
ド糸とポリエステルマルチフィラメントからなる起毛糸
から構成されるところに大きな特徴があり、ポリエステ
ルマルチフィラメントを用いることで合成皮革のストレ
ッチ性、引裂強度が飛躍的に改善される。
【0010】ポリエステルマルチフィラメントを用いて
ウレタン層と強固に接着させるには起毛加工を行う。起
毛加工を行うことにより、例えば基布の表面にポリウレ
タンのミクロポーラス層を形成した場合は、該ミクロポ
ーラス層との接着面積が大きくなり基布とミクロポラー
ス層とが強固に接着される。
【0011】上記のポリエステルマルチフィラメントは
未延伸糸、延伸糸或いは加工糸いずれでも使用可能であ
るが、特に加工糸を用いるのが弾性回復率を大きくする
点、風合い向上の点で望ましい。
【0012】本発明で使用する、グランド糸として用い
るポリエステルマルチフィラメントの全繊度は55.5
〜166.5dtexの範囲が適しており、好ましくは
83.3dtex程度を用いるのが最も適している。一
方、起毛糸として用いるポリエステルマルチフィラメン
トの全繊度は55.5〜166.5dtexの範囲が適
しており、55.5〜83.3dtexの範囲が最も好
ましい。
【0013】上記ポリエステルマルチフィラメントの全
繊度が55.5dtex未満の場合は、編物とした時の
弾性回復率が不足し、一方、全繊度が166.5dte
xを越える場合は、編物の伸度が不足し合成皮革にした
場合に風合いが悪くなる。
【0014】上記ポリエステルマルチフィラメントのフ
ィラメント数はその全繊度によっても異なるが、20〜
150本程度が編み上げ工程、起毛工程の工程性が安定
するので好ましく、特に起毛糸として用いるポリエステ
ルマルチフィラメントのフィラメント数は、グランド糸
より多い方が起毛密度が高くなりミクロポーラス層との
接着性に優れるので、36〜200本程度が望ましい。
しかしグランド糸と起毛糸とのフィラメント数の比は必
ずしも起毛糸が大きいとは限らずその逆もありうる。
【0015】基布に用いる編物の組織は丸編物が適して
おり、特に一般的にスムース調と総称されている編物が
最も適している。該編物が基布に適しているのは、その
編物の特性上、開反した場合に端末のカールが非常に小
さく、合成皮革にするためのミクロポーラス層の積層が
極めて容易であるほかに、そのミクロポーラス層の厚み
を均一にできるからであり、その結果、合成皮革にした
場合の品質が良好となるからである。
【0016】さらに、スムース調の編組織は一般にラン
と総称されるほつれが発生しにくい構造であり、起毛糸
を起毛する場合に基布のほつれが発生しないため、生産
の安定性が向上するばかりでなく、合成皮革に加工した
場合にその品質が良好となる。
【0017】上記編組織における、グランド糸と起毛糸
との供給糸長の比は1:1.1〜1:1.3であることが
必要で、この範囲であれば、基布がミクロポーラス層と
強固に接着性され、且つ起毛加工する際、起毛機のくし
歯での掻き揚げ性が良好となるので、合成皮革とした時
良好な弾性回復率を示す。特に供給糸長の比が1:1.
1〜1:1.2が弾性回復率を発生する最も好ましい範
囲である。該供給糸長の比が1:1.1〜1:1.3の範
囲を外れる場合はストレッチ性と強度を兼ね備えた合成
皮革を得ることはできない。
【0018】さらに、上記編組織における目数の比は
1:1であり、これ以外の場合はストレッチ性と強度を
兼ね備えた合成皮革を得ることはできない。
【0019】図1及び図2は、本発明の合成皮革の基布
となる編物の編成図を示す。該編成図は編組織のみを示
した図であるため、図における供給糸長の比は必ずしも
1:1.1〜1:1.3とはなっていない。
【0020】上記の方法により編成された編物は、次い
で合成皮革用基布とする為に、筒状編物を切り開く開反
工程、基布の油剤、糊剤、汚れ等を洗浄除去する精練工
程、さらに用途によっては該編物を染める為の染色工
程、乾燥工程等を経て反物として巻き上げられる、以上
の各工程は従来公知のポリエステル編物で採用される工
程に準じた条件で行われる。
【0021】さらに、上記編物は起毛機により片面或い
は両面を起毛された後、テンター等でファイナルセット
を行う。
【0022】前述の加工を施すことにより、得られた起
毛編物は合成皮革の基布として用いるのに適した編物と
なる。その特徴は基布として引張強力が高く、さらに、
良好なストレッチ性を有する。
【0023】本発明における合成皮革を得るには該基布
単独での機械物性の範囲が非常に重要であり、該基布の
引張強力が3cm幅でそれぞれ経方向294N以上、緯方
向が147N以上であることが好ましい。また、該基布
の引張破断伸度は経方向10%以上、緯方向30%以上
が望ましく、経緯方向の伸長回復率がそれぞれ70%以
上であることが望ましい。基布の引張強力が上記範囲に
満たない場合は破れが生じやすく、基布の引張破断伸度
や伸長回復率が上記範囲に満たない場合は合成皮革とし
たときのストレッチ性が不足し、履物とした場合のフィ
ット感、椅子張りの仕上がり品位が劣悪になることがあ
る。
【0024】尚、上記基布の物性測定は以下の方法で行
った。 引張強力;引張強力はJIS L1068に準じて測定
した。 引張破断伸度;引張破断伸度はJIS L1068に準
じて測定した。 伸長回復率;伸長回復率は、幅3cm、長さ10cmの
試料を引張速度300mm/分の速度で14.7Nの荷
重が掛かるまで伸長させた後、同速度でもとの位置にも
どし、応力伸度曲線より14.7Nが掛かるまでの最大
伸び(cm)と元の位置に戻したときの残留歪み(c
m)より次式により算出した。
【0025】
【数1】
【0026】起毛後の編物の厚さは0.5〜1.5mm
範囲が好ましい。起毛の長さは、長いものから短いもの
まで任意に制御できるが0.5〜5mmの範囲が好まし
い。
【0027】上記基布に湿式ミクロポーラス層を形成さ
せる場合、或いは上記基布を構成する繊維組織中にポリ
ウレタンを付着含浸させる場合に使用できるポリウレタ
ンは、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル
系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン及びこれ
らの変成物等があげられ、椅子張り用等長期耐久性の必
要な場合ポリカーボネート系ポリウレタンが好適であ
る。
【0028】上記湿式ミクロポーラス層の厚みは、50
〜500μm程度が望ましい。その製法は基布の起毛を
有する面にポリウレタン親水性有機溶媒溶液を塗布した
後、水中に浸漬して溶媒を徐々に取り除きポリウレタン
を凝固させて所望の厚さのミクロポーラス層を形成させ
る。
【0029】また、ポリウレタンを付着含浸させる場合
は、基布にポリウレタン親水性有機溶媒溶液を含浸させ
た後、水中に浸漬して溶媒を徐々に取り除きポリウレタ
ンを凝固せしめて形成させる。
【0030】次にポリウレタン表皮層は、離型紙、例え
ば絞付き離型紙上にポリウレタンを塗布し加熱乾燥して
所望の厚みに形成させることにより製造することができ
る。
【0031】このポリウレタン表皮層に使用できるポリ
ウレタンとしては、ポリカーボネート系ポリウレタン、
ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレ
タン及びこれらの変成物等があげられ、椅子張り用等、
長期耐久性の必要な場合ポリカーボネート系ポリウレタ
ンが好適である。
【0032】ポリウレタン表皮層の厚みは、10〜10
0μm程度で、表皮層として使用するポリウレタンの硬
さは、100%モジュラスで98〜1176N/cm2
が適する。
【0033】上記ポリウレタン表皮層は、上述の離型紙
上にポリウレタンを塗布し加熱乾燥する際に、ポリウレ
タン接着剤を塗布して加熱乾燥した後、基布の湿式ミク
ロポーラス層形成面あるいはポリウレタンの付着含浸面
に貼りあわせて合成皮革とされる。
【0034】このポリウレタン接着層に使用できるポリ
ウレタンとしては、ポリカーボネート系ポリウレタン、
ポリエステル系ポリウレタン及びこれらの変成物があげ
られ、椅子張り用等、長期耐久性が必要な場合はポリカ
ーボネート系ポリウレタンが好適である。
【0035】上記ポリウレタンの硬さは、100%モジ
ュラスで98〜980N/cm2望ましくは196〜5
88N/cm2が好適である。
【0036】また、この接着層に用いられる接着剤には
架橋剤、必要に応じて架橋促進剤が添加される。接着層
の厚みは10〜200μm程度が適切である。また、該
接着層は着色されていても良い。この場合、接着層には
所定の温度で接着能力の発現する着色ポリウレタンを使
用する。
【0037】ここで使用できるポリウレタンとしては、
着色ポリカーボネート系ポリウレタン、着色ポリエーテ
ル系ポリウレタン、着色ポリエステル系ポリウレタン、
及びこれらの変成物があげられ、椅子張り用等、長期耐
熱性が必要な場合着色ポリカーボネート系ポリウレタン
が好適である。該ポリウレタンの硬さは、100%モジ
ュラスで98〜980N/cm2望ましくは196〜5
88N/cm2が好適である。
【0038】上記方法により得られた合成皮革の機械物
性は引張強力が3cm幅でそれぞれ、経方向196N以
上、緯方向98N以上が好ましく、該引張強度が上記の
値未満の場合は、椅子張り及び自動車内装材用途に適用
した場合、該合成皮革に破れが発生しやすいため、裏に
引裂き強度の強い布帛やシート状物をあてがい使用する
等の処置が必要となり加工コストが高いものとなる。
【0039】また、上記該合成皮革の経緯方向の引裂強
力はそれぞれ29N以上が好ましく、該引裂強力が上記
の値未満の場合には、前述の引張強力の場合と同様、裏
に引裂き強度の強い布帛やシート状物をあてがい使用す
る等の処置が必要となり加工コストが高いものとなる。
【0040】さらに、上記合成皮革を100%伸長した
後の経緯方向の弾性回復率はそれぞれ70%以上が好ま
しく、該弾性回復率の値が上記の値未満の場合には、特
に履物用途に使用したとき、履物の特性として非常に重
要なフィット感が不十分となることがある。また、該合
成皮革を椅子張り及び自動車内装材用途に適用した場合
には、弾性回復率が張り上げ後の品位に大きく影響する
ため、張り上げ品位が劣るものとなる場合がある。
【0041】さらに、ポリレタン表皮層と起毛編地との
剥離強力は29N/3cm以上が好ましく、該剥離強力
の値が上記の値未満の場合には、合成皮革の摩擦等によ
り接着耐久性が著しく悪くなる。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明は、この実施例に限定されるものでははない。
尚、実施例中の物性は下記の方法により測定した。
【0043】(1)引張強力 引張強力はJIS K6772に基づき測定した。
【0044】(2)伸度 伸度はJIS K6772に基づき測定した。
【0045】(3)引裂強力 引裂強力はJIS K6772に基づき測定した。
【0046】(4)剥離強力 剥離力試験は、幅30mm、長さ150mmの試験片を
縦横の方向からそれぞれ3枚採取し、それをウレタン系
ホットメルト型接着剤がコートされている25μmポリ
エステルフィルムに100℃の温度で貼り合わせる。こ
の際、ホットメルト型接着剤がコートされている面と試
験片のウレタン表皮層とを貼りあわせる。その後、JI
S K6772に基づいてポリレタン表皮層と起毛編地
との間で剥離を行い、剥離強力を測定する。
【0047】(5)弾性回復率 幅30mm、長さ150mmの試験片を試験長が80m
mになるようにチャックに取り付け、引張速度20mm
/分にて試験長の100%まで引張り、その後同速度に
て元の位置までもどし、その時の残留歪み(%)を全体
の変化率(100%)から差し引いた値で示す。
【0048】[実施例1]丸編機を用い、その全繊度が
83.3dtex、フィラメント数が36のポリエステ
ル加工糸からなるグランド糸と、全繊度が55.5dt
ex、フィラメント数が36のポリエステル加工糸とを
その供給糸長の比が1:1.2になるよう給糸し、目数
が1:1、ゲージ数が28ゲージにて編み立てた後、全
繊度が55.5dtexのポリエステル加工糸を起毛
し、常法により仕上げて厚さ1.2mmの起毛基布を得
た。
【0049】上記ポリエステル起毛基布に、クリスボン
8006(大日本インキ化学工業(株)製)を主成分に
した固形分重量比15%のDMF溶液を溶液重量で10
00g/m2塗布し、水中で凝固・脱溶媒させた後、洗
浄、脱水を行い、次いで120℃の熱風下で乾燥して湿
式ミクロポーラス層が形成された厚さ1.3mmの合成
皮革用ベースを得た。
【0050】一方、絞付き離型紙上に100%モジュラ
スが1274N/cm2のレザミン8811(大日精化
工業(株)製)を、乾燥後の厚さが10μmになるよう
ナイフコーターにて塗布し、100℃で2分間熱風乾燥
してポリウレタン表皮層を得、次いでこの皮膜の上に1
00%モジュラスが196N/cm2のレザミンME3
148LP(大日精化工業(株)製)を乾燥後の厚さが
20μmになるようナイフコータにて塗布し、100℃
で2分間熱風乾燥させてポリウレタン接着層を得た。
【0051】さらに、その上に、前述の合成皮革用ベー
スを湿式ミクロポーラス層が下側(表皮層と接触する
側)になるようにして150℃で熱圧着し、40℃×2
4時間巻き込み状態で放置後離型紙を剥離することによ
りストレッチ性を有する合成皮革を得た。
【0052】得られた合成皮革の物性は、引張強力が経
方向588N/3cm、緯方向196N/3cm、伸度
が経方向90%、緯方向200%、引裂強力が経方向4
2N、緯方向38N、剥離強力が経方向38N/3c
m、緯方向38N/3cm、弾性回復率が80%であ
り、フィット感とストレッチ性が良好で、かつ、引張強
力、引裂強力の高い合成皮革が得られた。
【0053】[実施例2]丸編機を用い、その全繊度が
55.5dtex、フィラメント数が36のポリエステ
ル加工糸からなるグランド糸と、全繊度が55.5dt
ex、フィラメント数が36のポリエステル加工糸とを
その供給糸長の比が1:1.1になるよう給糸し、目数
が1:1、ゲージ数が26ゲージにて編み立てた後、全
繊度が55.5dtexのポリエステル加工糸を起毛
し、常法により仕上げて厚さ0.8mmの起毛基布を得
た。
【0054】一方、絞付き離型紙上に100%モジュラ
スが1666N/cm2のクリスボン3454(大日本
インキ化学工業(株)製)を、乾燥後の厚さが10μm
になるようナイフコーターにて塗布し、100℃で2分
間熱風乾燥してポリウレタン表皮層を得、次いでこの皮
膜の上に100%モジュラスが392N/cm2のクリ
スボン4070(大日本インキ化学工業(株)製)を乾
燥後の厚さが30μmになるようナイフコータにて塗布
し、100℃で2分間熱風乾燥させてポリウレタン接着
層を得た。
【0055】さらに、その上に、前述の合成皮革用ベー
スを圧着し、40℃×48時間巻き込み状態で放置後離
型紙を剥離することによりストレッチ性を有する合成皮
革を得た。
【0056】得られた合成皮革の物性は、引張強力が経
方向235N/3cm、緯方向176N/3cm、伸度
が経方向60%、緯方向200%、引裂強力が経方向3
0N、緯方向29N、剥離強力が経方向54N/3c
m、緯方向38N/3cm、弾性回復率が80%であ
り、フィット感とストレッチ性が良好で、かつ、引張強
力、引裂強力の高い合成皮革が得られた。
【0057】[比較例1]丸編機を用い、その全繊度が
83.3dtex、フィラメント数が36のポリエステ
ル加工糸からなるグランド糸と、全繊度が83.3dt
ex、フィラメント数が36のポリエステル加工糸とを
その供給糸長の比が1:0.5になるよう給糸し、目数
が1:3、ゲージ数が28ゲージにて編み立てた後、全
繊度が83.3dtexのポリエステル加工糸を起毛
し、常法により仕上げて厚さ0.7mmの起毛基布を得
た。
【0058】上記ポリエステル起毛基布に、湿式ミクロ
ポーラス層を形成するウレタン溶液の塗布量を1000
g/m2から800g/m2に変更する以外は実施例1と同様の
処理を行い、合成皮革を得た。
【0059】得られた合成皮革の物性は、引張強力が経
方向470N/3cm、緯方向235N/3cm、伸度
が経方向48%、緯方向80%、引裂強力が経方向26
N、緯方向27N、剥離強力が経方向39N/3cm、
緯方向34N/3cm、弾性回復率が60%であり、フ
ィット感とストレッチ性に劣る上、引裂強力の低いもの
であった。
【0060】[比較例2]丸編機を用い、その全繊度が
166.5dtex、フィラメント数が48のポリエス
テル加工糸からなるグランド糸と、全繊度が166.5
dtex、フィラメント数が48のポリエステル加工糸
とをその供給糸長の比が1:0.5になるよう給糸し、
目数が1:2、ゲージ数が20ゲージにて編み立てた
後、全繊度が166.5dtexのポリエステル加工糸
を起毛し、常法により仕上げて厚さ1.2mmの起毛基
布を得た。
【0061】上記ポリエステル起毛基布に、実施例2と
同様の処理を行い、合成皮革を得た。
【0062】得られた合成皮革の物性は、引張強力が経
方向696N/3cm、緯方向353N/3cm、伸度
が経方向80%、緯方向200%、引裂強力が経方向7
8N、緯方向60N、剥離強力が経方向30N/3c
m、緯方向29N/3cm、弾性回復率が50%であ
り、フィット感に劣るものであった。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、ストレッチ性を有し、
風合いが良好で、剥離強力及び引裂強力に優れ、靴を主
体とした履物用、椅子張り用及び自動車内装用に適する
合成皮革が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合成皮革の基布となる編物の編成図。
【図2】本発明の合成皮革の基布となる編物の編成状態
を示す模式図。
【符号の説明】
A、B 起毛糸 1〜4 グランド糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末松 政一 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 (72)発明者 西田 比呂志 石川県加賀市柴山町ツ89−2 新和合繊株 式会社内 (72)発明者 鈴木 俊昭 静岡県浜松市東町1876番地 共和レザー株 式会社内 (72)発明者 佐野 茂 静岡県浜松市東町1876番地 共和レザー株 式会社内 Fターム(参考) 4F055 AA01 AA18 AA27 BA12 BA16 DA07 EA04 EA14 EA23 EA30 EA31 FA15 GA32

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルマルチフィラメントからな
    るグランド糸とポリエステルマルチフィラメントからな
    る起毛糸から構成され、該グランド糸と該起毛糸との供
    給糸長の比が1:1.1〜1:1.3、目数の比が1:1
    である起毛編地の起毛面側に、ポリウレタン接着層、及
    びポリウレタン表皮層が順次積層されていることを特徴
    とする伸縮性を有する合成皮革。
  2. 【請求項2】 合成皮革の引張強力が、経方向で196
    N/3cm以上、緯方向で98N/3cm以上、経緯方
    向の引裂強力がそれぞれ29N以上、合成皮革を100
    %伸長した後の経緯方向の弾性回復率がそれぞれ70%
    以上で、且つポリレタン表皮層と起毛編地との剥離強力
    が29N/3cm以上である請求項1記載の合成皮革。
  3. 【請求項3】 ポリウレタン接着層が着色されている請
    求項1又は2記載の合成皮革。
  4. 【請求項4】 起毛編地の起毛面側と、ポリウレタン接
    着層との間にポリウレタンからなる湿式ミクロポーラス
    層が積層されている請求項1、2又は3記載の合成皮
    革。
  5. 【請求項5】 起毛編地を構成する繊維組織中にポリウ
    レタンが付着含浸されている請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の合成皮革。
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