JP2001153895A - 電流センサ - Google Patents

電流センサ

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JP2001153895A
JP2001153895A JP33297299A JP33297299A JP2001153895A JP 2001153895 A JP2001153895 A JP 2001153895A JP 33297299 A JP33297299 A JP 33297299A JP 33297299 A JP33297299 A JP 33297299A JP 2001153895 A JP2001153895 A JP 2001153895A
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magnetic field
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JP33297299A
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Eisaku Arai
栄作 新井
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Macome Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的絶縁を保ち、かつ既存の電線を切断せ
ずに電流を検出でき、経年変化が発生せず、高感度で直
線性が優れている電流センサを提供する。 【解決手段】 電流センサは、電線21を案内するため
のU字型の案内みぞを持つケース23と、ケース23の
案内みぞに挿入された電線を保持するためにU字型の案
内みぞにはまる突出部分を持ち、かつケース23との間
で脱着可能に形成したホルダー20と、ケース23内に
おいて電線21の中心に対して等間隔で対向する位置に
配置する電線21から発生する磁界を検出する第1およ
び第2の磁気検出ヘッド22と、第1および第2の磁気
検出ヘッド22に作用する磁界を電圧に変換する検出回
路とを備え、電線と検出ヘッドの電気的絶縁を確保し、
かつ既存の電線を切断せず、経年変化が発生せず、高感
度で直線性のよい特性を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、電線に流
れる電流値を検出する電流センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、リング状のギャップ付鉄芯とホー
ル素子を組み合わせた構造の直流電流センサは、従来か
ら数多く商品化されている。特にリング状の鉄芯を分割
して既存の電線に挟む構造のものは、クランプ式電流セ
ンサとして、現場での電流モニタリングに活用されてい
る。
【0003】しかし上記クランプ式電流センサは、鉄芯
を分割したことによる弊害として磁路の経年変化があ
る。つまり、振動や錆によって鉄芯接合面のギャップ変
化や接触圧の変化が起こり長期安定性に問題が生じる。
【0004】これらの電流センサの用途は、鉄道の信号
設備や軌道設備、例えば信号リレー回路や転てつ機、な
どは、列車の安全運行上重要な設備である。これらの機
器は高い信頼性を有しているが、事前に機器の異常を察
知する手段を講ずることで更に安全性を高めることがで
きる。例えば、重要な信号線の電流を常時観測して正常
時の信号パターンを把握しておけば、故障に至る前の予
兆を察知することが可能である。
【0005】このような目的で使用する電流センサは、
次のような性能が要求される。電流センサは、線路に近
い地上設備内に設置されるため、振動や温度変化による
経年変化を生じないものが望ましい。また、列車の運行
および機器の信頼性を阻害することなく工事を実施する
ためには、既存の信号線を切断することなく電流センサ
を設置する必要がある。更に、信号線の電流は数アンペ
ア以下の弱電流であることが多いので高感度で高安定性
な電流センサが要求される。
【0006】まず、従来から用いられているホール素子
を使用した電流センサについて説明する。図13は、従
来から一般的に使用されているホール素子を用いた直流
電流センサの例である。この電流センサは、リング状の
ギャップ付鉄芯130、ホール素子131、ホール素子
131に一定電流Icを供給する電流源132とホール
素子131に発生する電圧VHを端子135(+V)お
よび端子136(−V)に供給される電圧を用いて増幅
する増幅器134とで構成される。鉄芯130の材質
は、一般的にけい素鋼板、パーマロイ、フェライトなど
が用いられる。
【0007】鉄芯130の開口部を貫通する電線133
に電流Ipが流れると、電線133の周囲に磁界が発生
する。この磁界は、鉄芯130によって収束されギャッ
プに挿入されたホール素子131を貫通する。その結
果、ホール効果によってホール素子131の出力端子1
37にギャップの磁束密度Bに比例したホール電圧VH
が発生する。なお、ホール電圧VHは微弱であるため、
増幅して所望の出力電圧を得る。
【0008】このように、図13に示す電流センサにお
ける電流検出は、電流によって発生する磁界を介して間
接的に行われる。このため、電線とセンサ回路は、容易
に絶縁することができる。また、鉄芯の効果によって、
ギャップに発生する磁束密度は、鉄芯を貫通する電線の
位置に影響されず電流値に比例した値となる。
【0009】図13のギャップ付鉄芯の磁気回路におい
て、ギャップに発生する磁束密度Bは、貫通電流をI
p、磁路の長さをL、ギャップ長さをLg、鉄芯の透磁
率をμ、真空中の透磁率をμ0とすると、数1式で求め
られる。
【0010】
【数1】 ここで、μ≫μ0であるから、磁束密度Bはおよそ数2
式となる。
【0011】
【数2】 また、ホール素子に流す制御電流をIcとすると、ホー
ル電圧VHは、数3式で表される。
【0012】
【数3】 ここで、Kは積感度と呼ばれる定数でホール素子に使用
される材料の物理的性質や機械的寸法によって決まる。
【0013】例えば、Ip=5A、Lg=1.6mm、
K=176、Ic=5mAとして、上記数2式と数3式
を使ってギャップの磁束密度Bとホール電圧VHを計算
すると、それぞれ数4式、数5式となる。
【0014】
【数4】
【0015】
【数5】
【0016】上記の電流値で5Vの出力電圧を得たいと
すると、アンプのゲインは約1430倍も必要となる。
ホール素子はコストの面で有利であるが、低電流領域で
は感度不足であり、ノイズに弱いという問題がある。ま
た、アンプのゲインが大きいため、回路の温度特性も悪
くなる。
【0017】電流対出力電圧の直線性は、ほとんど鉄芯
の磁気特性すなわちB−H曲線の直線性によって定ま
る。このため、一般的に±1%より良好な直線性は望め
ない。
【0018】次に、従来のクランプ式電流センサについ
て説明する。既存の電線を切断することなく電流を測定
するためにリング状の鉄芯を分割したものが、クランプ
式電流センサである。図14に示すように鉄芯1(14
0)と鉄芯2(141)に分割され、ホール素子142
により電圧を検出する構造になっている。測定するとき
は、リングを開いて電線をリングの内側に挿入する。電
線を挿入後バネの力やネジの締め付けでリングを閉じて
固定する。
【0019】上述したクランプ式電流センサにおいて
は、図14に示すギャップg1,g2の接合面を一定に
保つことが、安定な電流検出を行う上で欠かせない。し
かしながら、接合面の状態は様々な要因によって変化す
るのが現状である。例えば、接合面の接触圧が不足する
場合は、振動によって接触面が開き接触面に異物が混入
してギャップが変化する場合がある。同様に、振動によ
って接触面がずれて接触断面積が変化することも考えら
れる。屋外で使用する場合は、接触面が錆びることによ
ってギャップが広がることがある。ネジの締め付けでリ
ングを強固に固定する場合は、鉄芯に加わる機械的応力
によって鉄芯の透磁率が変化するという問題がある。す
なわち、ネジの弛みなどによる接触圧の変化や応力緩和
によって鉄芯の磁気特性が変化し経年変化が生じる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上述した磁気検出素子
としてホール素子を使用した場合には、所望の出力電圧
を得るためにアンプのゲインを膨大なものとする必要が
あり、また、低電流領域では感度不足であり、ノイズに
弱いという問題があり、また、アンプのゲインが大きい
ため、回路の温度特性も悪くなるという不都合があっ
た。また、鉄芯を分割する場合には、振動によって接触
面が開き接触面に異物が混入してギャップが変化した
り、また、振動によって接触面がずれて接触断面積が変
化したり、また、接触面が錆びることによってギャップ
が広がることがあり、また、ネジの締め付けでリングを
強固に固定すると、鉄芯に加わる機械的応力によって鉄
芯の透磁率が変化するなど、ネジの弛みなどによる接触
圧の変化や応力緩和によって鉄芯の磁気特性が変化し経
年変化が生じるという不都合があった。これらの問題
は、低電流検出または悪環境下で安定した電流検出を行
いたい場合に、顕著となっていた。
【0021】以上のことから、鉄道信号の電流検出など
の信頼性を要求される用途で、鉄芯を使用しない高感度
な電流センサが望まれている。
【0022】このため、本発明のヘッド分割型電流セン
サは、電気的絶縁を保ち、かつ既存の電線を切断せずに
直流電流を検出する電流センサであることが要求され
る。
【0023】また、本発明のヘッド分割型電流センサ
は、上記全ての要求に答えられる機能を備えたものであ
ることが要求される。また、上記用途に限らず、バッテ
リー装置、電源装置や直流モーターなどの電流モニタリ
ング用途に用いられることが要求される。
【0024】また、本発明のヘッド分割型電流センサ
は、鉄芯を使用しないことにより上述した経年変化は発
生しないことが要求される。また、本発明のヘッド分割
型電流センサは、可飽和コイルを用いた磁気センサを使
用することにより、高感度であり直線性が優れているこ
とが要求される。
【0025】そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなさ
れたものであり、電気的絶縁を保ち、かつ既存の電線を
切断せずに電流を検出でき、経年変化が発生せず、高感
度で直線性が優れている電流センサを提供することを課
題とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明の電流センサは、
被測定電線を案内するためのU字型の案内みぞを持つケ
ースと、ケースの案内みぞに挿入された被測定電線を保
持するためにU字型の案内みぞにはまる突出部分を持
ち、かつケースとの間で脱着可能に形成したホルダー
と、ケース内において被測定電線の中心に対して等間隔
で対向する位置に配置する被測定電線から発生する磁界
を検出する第1および第2の磁気検出ヘッドと、第1お
よび第2の磁気検出ヘッドに作用する磁界を電圧に変換
する検出回路とを備えたものである。
【0027】また、本発明の他の電流センサは、被測定
電線を案内するための半円形の案内みぞを持つケース
と、ケースの案内みぞに挿入された被測定電線を保持す
るために半円形の案内みぞを持ち、かつケースとの間で
脱着可能に形成したホルダーと、ケース内において被測
定電線の外径と同心円の円周上にn個の可飽和コイルを
180/n度の間隔で配置した被測定電線から発生する
磁界を検出する第1の検出ヘッドと、ホルダー内におい
て被測定電線の外径と同心円の円周上にn個の可飽和コ
イルを180/n度の間隔で配置した被測定電線から発
生する磁界を検出する第2の検出ヘッドと、第2の検出
ヘッドの配線をケースに接続するためのホルダーから引
き出す電線と、第1および第2の磁気検出ヘッドに作用
する磁界を電圧に変換する検出回路とを備えた電流セン
サにおいて、第1の磁気検出ヘッドを構成するn個の可
飽和コイルは、被測定電線から発生する磁界の接線方向
の成分に対して正の極性を持つように向きを定め、かつ
感度が加算されるように直列接続することによって電気
的に一つの可飽和コイルと見なされるように構成し、第
2の磁気検出ヘッドを構成するn個の可飽和コイルは、
被測定電線から発生する磁界の接線方向の成分に対して
負の極性を持つように向きを定め、かつ感度が加算され
るように直列接続することによって電気的に一つの可飽
和コイルと見なされるように構成し、検出回路は、第1
の磁気検出ヘッドに関する検出電圧と第2の磁気検出ヘ
ッドに関する検出電圧との差の電圧を出力するように構
成したことを特徴とする電流センサである。
【0028】従って本発明によれば、以下の作用をす
る。本発明の電流センサによれば、ケースにより電線と
検出ヘッドの電気的絶縁が確保され、かつケースとホル
ダーとで被測定電線を挟むことにより既存の被測定電線
を切断せずに電流が検出でき、さらに経年変化が発生せ
ず、高感度で直線性が優れた検出特性が得られる。
【0029】また、本発明の他の電流センサによれば、
検出ヘッドがより多くの磁界と作用するため、感度が向
上し、また、電線の位置変化に対する出力電圧誤差が小
さくなるので、電線を取り囲む複数の可飽和コイルが磁
界と作用し電線の位置変化を相殺するように働き、ま
た、複数の可飽和コイルが磁界と作用することにより感
度が向上する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に、本実施の形態のヘッド分
割型電流センサについて説明する。まず、電流検出原理
を説明する。図1に示すように、電線3に電流Ipが流
れると電線3の周囲に環状の磁界Hipが発生する。こ
の磁界Hipを検出するために、電線3を中心にして対
向する位置に等間隔で2つの磁気検出ヘッド(以下検出
ヘッド)L1(1)、L2(2)を配置する。検出ヘッ
ドL1(1)、L2(2)にはそれぞれ検出回路FS1
(4)、FS2(5)が接続されている。検出回路FS
1(4)、FS2(5)は、検出ヘッドに作用する直流
磁界を電圧に変換するように構成されていて、端子6、
7を介して磁界Hipに比例した電圧V1、V2を出力
する。
【0031】なお、検出ヘッドL1(1)と検出ヘッド
L2(2)は、磁界Hipの接線方向成分に感度を持つ
よう平行かつ同じ向きに配置してある。このため、検出
ヘッドL1(1)と検出ヘッドL2(2)に対して磁界
Hipが逆向きに作用し、検出回路FS1(4)、FS
2(5)は、磁界Hipに対して大きさが同じで極性が
逆の電圧を出力する。また、検出ヘッドL1(1)と検
出ヘッドL2(2)に対して任意の方向から平行で一様
な大きさの外部磁界Hexが作用した場合、検出回路F
S1(4)、FS2(5)の出力電圧は、同じ大きさで
同じ極性になる。以上のことから、検出回路FS1
(4)と検出回路FS2(5)の出力電圧の差V(V1
−V2)は、地磁気などによる外部磁界を排除した電流
による磁界成分のみを示す。また、検出回路FS1
(4)と検出回路FS(5)2の差動電圧Vを求めるこ
とは、検出回路FS1(4)、FS2(5)の出力電圧
に含まれる磁界とは関係のないオフセット電圧を除外す
ることになり、電流による磁界の検出精度が向上する。
【0032】このように、2つの検出ヘッドを使用して
リング状の鉄芯を排除したことにより、前述した鉄芯に
起因する電流検出精度の不安定性を解決した。また、2
つの検出回路の差動電圧を出力電圧としたので、地磁気
などによる外部平行磁界をキャンセルし電流による磁界
のみを検出するようにした。同様に、2つの検出回路の
差動電圧を出力電圧としたので、検出回路のオフセット
電圧を除外して検出精度を向上させた。
【0033】次に、電流センサの構造に付いて説明す
る。図2(A)に電流センサの正面図、図2(B)に側
面図を示す。電流センサを収納するケース23は、プラ
スチックなどの電気的絶縁が良好な非磁性材料を使用
し、その一部に電線21の直径に適合するU字型の溝を
形成する。ケース23の内部には、上記U字型溝の近傍
に隔壁を隔てて上記U字型溝の両側に一対の検出ヘッド
L1、L2(22)を配置する。検出ヘッドL1、L2
(22)は、U字型溝に電線21を挿入したとき、その
電線21の中心位置に対して等間隔で対向させる。ま
た、検出ヘッドL1、L2(22)は、電流が作る磁界
Hip(電線と同心円)の接線方向に感度を持つよう方
向を定める。更に、磁界Hipに対して検出ヘッドL1
と検出ヘッドL2は、それぞれ逆極性に感度を持つよう
向きを定める。なお、ケース23内には、図示しないが
上述した図1に示した検出回路FS1(4)、FS2
(5)を一体に装着し端子またはケーブルにて信号を取
り出すように構成する。また、ケース23内に検出ヘッ
ドのみを配置して検出部分を小型化しても良い。
【0034】検出ヘッド22に対して電線21の位置が
ずれると検出電圧に誤差が生じるので、電線21は上記
ケース23のU字型溝に挿入してホルダー(非磁性材
料)20を用いて固定する。図示しないがホルダー20
とケース23の固定は、ネジまたは爪などの機構にて脱
着可能なものとする。電線21のサイズに対応してケー
ス23のU字型溝とホルダー20の形状を変化させなけ
ればならないという問題がある。ただし、鉄道信号回路
または一般の制御盤などで使われる電線は規格化されて
いて種類も少ないため、不都合が生じることは少ない。
【0035】ケース23は、台座24に固定し、台座2
4の取付穴を利用して電流センサを機器に取り付ける。
なお、台座24は、ケース23と一体であってもかまわ
ない。
【0036】次に、検出ヘッドについて説明する。検出
ヘッドは、従来から高感度な磁気検出素子として知られ
ている可飽和コイルを使用する。図3(A)と(B)に
それぞれ検出ヘッドの正面図と側面図を示す。上述した
検出ヘッドL1(1)、L2(2)で同じものを使用す
る。
【0037】可飽和コイルは、コア30に高透磁率軟磁
性材料(例えばパーマロイ)を使用し、ボビン31を介
して銅線32を巻いた構造である。一例を示せば、コア
30の寸法は外形が縦5mm、横4mm、コイル部分が
縦3mm、横1mmであり、厚さは0.05mmであ
る。また、コイル巻線32は直径0.06mmの銅線を
190回巻いたものである。
【0038】可飽和コイルのコア30は、外部磁界(被
検出磁界)またはコイル巻線32に流れる電流による磁
界で容易に飽和するという特徴を持っている。このた
め、可飽和コイルのインピーダンスは、コア30が飽和
すると著しく変化する。すなわち、コア30の非飽和時
にコイル巻線32は大きなインピーダンスを示し、コア
30が飽和するとコイル巻線32は著しくインピーダン
スが低下する。
【0039】検出ヘッドで使用する可飽和コイルは、微
弱な磁界で容易に飽和できるようコア30の形状を上記
のごとく小さくまた薄くしてある。このため、可飽和コ
イルは、ホール素子と比較して極めて高い感度を達成し
ている。
【0040】次に、検出回路の構成について説明する。
図1に示すように検出回路FS1(4)、FS2(5)
を個別に構成しても良いが、お互いに共通な部分がある
ため、図4に示す一体化した回路について説明する。
【0041】検出回路の構成は、次の通りである。パル
ス発振器PG(40)は、ブロッキング発振回路または
ICを用いたパルス発振回路などで構成し、検出ヘッド
43、44を駆動するパルス電圧を発生する。電源は、
パルス発振器PG(40)にのみ供給する。トランスT
1(41)と2次側の共振コンデンサC1(42)によ
ってパルス電圧の昇圧を行い、また電源と出力信号回路
との絶縁を行う。コンデンサC1(42)の両端に発生
するパルス電圧は、検出ヘッドL1(43)、L2(4
4)に供給され検出ヘッドを十分に飽和させる。抵抗R
1(46)は検出ヘッドL1(43)の負荷抵抗であ
り、抵抗R2(47)は検出ヘッドL2(44)の負荷
抵抗である。抵抗R1(46)、R2(47)には、そ
れぞれ検出ヘッドL1(43)、L2(44)のインピ
ーダンス変化に相対したパルス電圧が発生する。ダイオ
ードD1(48)、コンデンサC2(50)と抵抗R3
(52)およびダイオードD2(49)、コンデンサC
3(51)と抵抗R4(53)は、それぞれ検波回路を
構成する。抵抗R5(54)とコンデンサC4(56)
および抵抗R6(55)とコンデンサC5(57)は、
それぞれフィルタ回路を構成していて、上記検波回路の
リップル電圧を平滑する。
【0042】このように構成された検出回路の動作を説
明する。上記構成の検出回路は、次のように動作する。
先ず、電線の電流がゼロの場合を説明する。検出ヘッド
L1(43)、L2(44)に加えられたパルス電圧に
よって、それぞれコイルに電流が流れ図4の矢印に示す
向きに磁界が発生する。この時検出ヘッドのコアは、図
5(A)のB−H曲線図に示されるように非飽和状態か
ら飽和状態に変化する。すなわち、検出ヘッドのインピ
ーダンスが、大きな状態から小さい状態に変化する。こ
こで、動作説明の便宜上検出ヘッドのインピーダンスが
変化する点を動作点と呼び、パルス電圧上で定義する。
図5(A)は、電流による磁界がゼロの時を示してい
て、動作点はP1である。
【0043】次に、電線に電流が流れ磁界Hipが検出
ヘッドに作用する場合を考える。図4で示すように検出
ヘッドL1(43)に作用する磁界は、パルス電圧によ
って自ら作る磁界H1に対して電流による磁界Hipが
加算される。一方検出ヘッドL2(44)に作用する磁
界は、パルス電圧によって自ら作る磁界H2に対して電
流による磁界Hipが減算される。
【0044】検出ヘッドL1(43)のコアに磁界Hi
pが作用すると、B−H曲線の始点が移動して図5
(B)に示すB−H曲線図になる。この状態でパルス電
圧を与えると、検出ヘッドL1(43)はより小さなコ
イル電流で飽和するようになる。このため、動作点が時
間的に早く現れ図5においてP1からP2へと左に移動
する。パルス電圧のパルス幅は一定であるから、動作点
の移動によって検出ヘッドのインピーダンスの低下して
いる期間が相対的に長くなる。この結果、抵抗R1(4
6)の両端に発生するパルス電圧が増加する。
【0045】また、検出ヘッドL2(44)側のB−H
曲線の始点は、図示しないが図5(B)の始点を原点対
称方向に延長した位置(第3象限)まで移動する。この
ため、検出ヘッドを飽和させるためにはより多くのコイ
ル電流が必要になる。従って、動作点がP1より右側に
移動し、抵抗R2(47)の両端に発生するパルス電圧
が減少する。
【0046】続いて上記検波回路は、抵抗R1(4
6)、R2(47)の両端に発生するパルス電圧のピー
ク値を包絡線検波する。検波回路の出力信号は、リップ
ル電圧を含んでいるため、上記フィルタ回路により平滑
化する。
【0047】このようにして、端子1(58)と端子2
(59)に電線の電流に比例した差動的な直流電圧V1
とV2を得る。図6は、コンデンサC1(42)におけ
る検出ヘッドL1(43)、L2(44)が接続されて
いない他端を基準にした、端子1(58)、2(59)
の出力電圧V1、V2を示す。併せて、同図に端子1
(58)、2(59)間の差動電圧Vを示す。トランス
T1(41)により端子1(58)、2(59)は、電
源から絶縁されている。このため、別途差動回路が必要
なく、出力電圧V1、V2の差動電圧Vは端子1(5
8)、2(59)より直接得ることができる。
【0048】このようなヘッド分割型電流センサの特性
について以下に説明する。まず、検出ヘッドとして従来
のホール素子を用いた場合について説明する。図1に示
す構成で検出ヘッドとしてホール素子を使用した場合の
差動出力電圧Vは、次のように計算できる。
【0049】先ず、電線と検出ヘッド間の距離Dを5m
m、電線の電流Ipを5Aとすると、検出ヘッドの位置
における磁束密度Bは、ビオサバールの法則から数6式
となる。
【0050】
【数6】
【0051】次に、差動出力電圧Vは、検出回路のゲイ
ンを1とすると、ホール電圧VHの2倍になる。その他
の条件を数5式と同じとすると、数7式となる。
【0052】
【数7】
【0053】すなわち図1の構成では、数5式で求めた
図13に示す構成の電流センサより更に1/10の出力
電圧しか得られないことが分かる。このように出力電圧
が微少であるため、ホール素子を用いた電流センサは、
実用的でない。
【0054】次に本実施の形態の可飽和コイルを使用し
た電流センサの特性について以下に説明する。まず、出
力電圧と直線性について説明する。図7に可飽和コイル
と図4に示す検出回路を用いた電流センサの出力電圧お
よび直線性誤差を示す。図7に示した例では、電線の電
流5Aに対して約4.1Vの出力電圧を得ていて極めて
高感度あることが理解できる。上記数7式で示したホー
ル素子を使用した電流センサの出力電圧と比較して実に
11700倍の感度である。また、直線性誤差も±0.
002%以内に十分入っており優れた直線性を示してい
る。
【0055】次に、地磁気の影響について説明する。図
8の表は、地磁気の影響によって出力電圧が変動するよ
うすを示している。電流センサに直交座標軸X、Y、Z
を定め、各軸を中心にして電流センサを90°毎に回転
させたときの出力電圧の変化を取ったものである。
【0056】上記数6式で求めた電流による磁束密度B
(=0.2mT)に対して地磁気の強さはおよそ0.0
5mTである。これは、電流による磁束密度Bに対して
約±25%もの誤差となり無視できない。図8の表で得
られた結果は、約±0.1%の誤差範囲に入っており検
出ヘッドを2個使用した差動回路の効果が現れている。
【0057】次に、電線位置の影響について説明する。
図9は、電流センサのU字型溝に挿入された電線が、横
方向すなわち二つの検出ヘッドの中心点を結ぶ直線上の
方向と、縦方向すなわちU字型溝の深さ方向とに変位し
たときの出力電圧の変化を示す。
【0058】鉄道の信号設備に使用される電線の仕上が
り外径は、通常3.4mm、3.1mm、2.8mmの
3種類である。適合電線外径を上記最大値の3.4mm
で製作した電流センサに上記最小値である2.8mmの
電線が挿入されたときの出力電圧の誤差は、次のように
なる。
【0059】電線の最大外径と最小外径との差は、3.
4−2.8=0.6mmである。横方向と縦方向の変位
はそれぞれ±0.3mmであるから、図9より出力電圧
の誤差はそれぞれ±0.3%以下となる。通常この程度
の誤差は無視できる値の範囲であり、電線の外形寸法毎
に電流センサのU字型溝の種類を増やす必要はないと考
えられる。
【0060】なお、電線の仕上がり外径と導体直径は比
例関係にあるが、導体直径の差は、出力電圧の誤差には
ならない。このことは、アンペールの法則によって理論
的に証明できる。
【0061】以下に、上述した本実施の形態のヘッド分
割型電流センサの性能向上手段について説明する。ま
ず、第1の可飽和コイルの複数配置(1)について説明
する。図10(A)は、複数の可飽和コイル101を使
用した電流センサの検出ヘッド部100を示す。図1で
示した検出ヘッドL1(1)と検出ヘッドL2(2)か
らなる組を電線103の長さ方向に複数組配置した構造
である。図1において検出ヘッドは一つの可飽和コイル
で構成されていたが、図10(A)では複数の可飽和コ
イル101で構成する。各検出ヘッド104におけるそ
れぞれの可飽和コイル105は、電流による磁界Hip
に対して感度が加算されるよう直列に接続してある(図
10(B)参照)。すなわち、複数の可飽和コイル10
5を直列に接続したことによって、電気的に一つの可飽
和コイルと同じ扱いができる。
【0062】このように構成した電流センサは、検出ヘ
ッドがより多くの磁界と作用することができ、感度が向
上する。
【0063】検出回路は、可飽和コイル毎に個別に用意
する必要がない。また、検出回路は、可飽和コイル一つ
だけを使用した構成と比較して特段の変更が必要ない。
このため、可飽和コイルを複数使用しても検出回路のコ
ストは増大しない。
【0064】次に、第2の可飽和コイルの複数配置
(2)について説明する。図11に示す電流センサは、
複数の可飽和コイル111を電線116の中心に対して
同心円上に配置している。可飽和コイル111の半数は
ケース112側に配置し、検出ヘッドL1(110)を
構成する。他の半数はホルダー115側に配置し、検出
ヘッドL2(114)を構成する。各可飽和コイル(S
1,S2,S3,S4)111は、ホルダー115をケ
ース112に取り付けたとき同心円上に等間隔で並ぶよ
うに、また、同心円の接線方向に感度を持つように設置
する。検出ヘッドL1(110)を構成する各可飽和コ
イル111(S1、S2)は、電流による磁界Hipに
対して全て正極性で感度が加算されるよう向きを定め直
列に接続する。検出ヘッドL2(114)を構成する各
可飽和コイル111(S3、S4)は、電流による磁界
Hipに対して全て逆極性で感度が加算されるよう向き
を定め直列に接続する。すなわち、複数の可飽和コイル
111で構成された二つの検出ヘッド110、114が
ケース112側とホルダー115側に別れて差動的に機
能する。また、複数の可飽和コイル111を直列に接続
したことによって、電気的に一つの可飽和コイルと同じ
扱いができる。なお、ホルダー115側の検出ヘッド1
14は、外側に引き出した検出ヘッドケーブル117で
ケース内部の検出回路に接続する。
【0065】このように構成した電流センサは、電線の
位置変化に対する出力電圧誤差が小さくなる。すなわ
ち、電線を取り囲む複数の可飽和コイルが磁界と作用し
電線の位置変化を相殺するように働く。また、複数の可
飽和コイルが磁界と作用することにより感度が向上す
る。
【0066】検出回路は、可飽和コイル毎に個別に用意
する必要がない。また、検出回路は、可飽和コイル一つ
だけを使用した構成と比較して特段の変更が必要ない。
このため、可飽和コイルを複数使用しても検出回路のコ
ストは増大しない。
【0067】次に、磁気シールドについて説明する。電
流センサが外部磁界をキャンセルできるのは、地磁気の
ように一様に分布する平行磁界が作用する場合である。
すなわち、二つの検出ヘッドに対して均一に外部磁界が
作用し差動出力回路が有効に働く。ところが、電流セン
サのすぐ近傍に電流の流れる他の電線があると、他の電
線からの磁界が検出ヘッドL1と検出ヘッドL2に対し
て不均一に作用する。また、鉄板などの強磁性体が電流
センサの近くにあると、電線から発生する磁界が鉄板側
に吸い寄せられて検出ヘッドL1と検出ヘッドL2に作
用する磁界が不均一になる。この結果、何れの場合も出
力電圧に誤差が生じる。
【0068】上記の問題を解決するためには、電流セン
サを高透磁率の磁性材料(パーマロイなど)を用いて構
成した磁気シールドカバー1(124)、2(125)
で囲み外部磁界が検出ヘッド120に作用しないように
すればよい。このような磁気シールドを施した電流セン
サーの正面図を図12(A)に、側面図を図12(B)
に示す。
【0069】磁気シールドカバー1(124)と磁気シ
ールドカバー2(125)は、厚さ1mmのパーマロイ
板を一面が開放している箱形に形成したものであり、と
もに同じ寸法と形状である。また、上記磁気シールドカ
バー1(124)、2(125)には、電線を通す切り
込みと引き出しケーブルのための穴がある。上記磁気シ
ールドカバー1(124)、2(125)は、電流セン
サのケース121とホルダー122をその内部に収納
し、電線123の中心位置でそれぞれの開放面が向き合
うように取り付ける。なお、上記磁気シールドカバー1
(124)と磁気シールドカバー2(125)の開放端
の間には、僅かなギャップG(約0.3mm)を設けて
いる。
【0070】外部磁界をより効果的に排除するために
は、上記ギャップGをなくして磁気シールドカバー1
(124)と磁気シールドカバー2(125)の開放端
を完全に接触させるのが望ましい。しかし、このために
生じる弊害もある。すなわち、電線123から発生する
磁界は検出ヘッド120に作用するとともに磁気シール
ドカバー124、125にも作用する。磁気シールドカ
バー1(124)と磁気シールドカバー2(125)が
接触していると、磁気抵抗の極めて小さい環状の磁路
が、電線123の周囲に形成され、電線123から発生
する磁界の多くが磁気シールドカバー124、125に
吸い込まれてしまう。この結果、検出ヘッド120に作
用する磁界が減少し感度が低下するという問題が生じ
る。
【0071】上記の問題は、磁気シールドカバー1(1
24)と磁気シールドカバー2(125)の間にギャッ
プGを設けることで解決できる。すなわち、上記電線1
23の周囲に形成される環状の磁路を分断し磁気シール
ドカバー1(124)、2(125)を経由する磁気抵
抗を増加させればよい。このようにすることで、検出ヘ
ッド120に作用する磁界の減少を軽減することができ
る。
【0072】以上で説明したように、磁気シールドカバ
ー1(124)と磁気シールドカバー2(125)の間
にギャップGを設けることで電流センサの感度を低下さ
せることなく外部磁界の影響を排除することができる。
【0073】
【発明の効果】この発明の電流センサは、被測定電線を
案内するためのU字型の案内みぞを持つケースと、ケー
スの案内みぞに挿入された被測定電線を保持するために
U字型の案内みぞにはまる突出部分を持ち、かつケース
との間で脱着可能に形成したホルダーと、ケース内にお
いて被測定電線の中心に対して等間隔で対向する位置に
配置する被測定電線から発生する磁界を検出する第1お
よび第2の磁気検出ヘッドと、第1および第2の磁気検
出ヘッドに作用する磁界を電圧に変換する検出回路とを
備えたので、ケースにより電線と検出ヘッドの電気的絶
縁を確保することができ、かつケースとホルダーとで被
測定電線を挟むので既存の被測定電線を切断せずに電流
を検出でき、さらに経年変化が発生せず、高感度で直線
性が優れた検出特性を得ることができるという効果を奏
する。
【0074】また、この発明の電流センサは、上述にお
いて、第1の磁気検出ヘッドは、被測定電線から発生す
る磁界の接線方向の成分に対して正の極性を持つように
向きを定め、第2の磁気検出ヘッドは、被測定電線から
発生する磁界の接線方向の成分に対して負の極性を持つ
ように向きを定め、検出回路は、第1の磁気検出ヘッド
に関する検出電圧と第2の磁気検出ヘッドに関する検出
電圧との差の電圧を出力するように構成したので、2つ
の検出回路の差動電圧を出力電圧とすることにより、地
磁気などによる外部平行磁界をキャンセルし電流による
磁界のみを検出することができ、2つの検出電圧の差動
電圧を出力電圧としたので、検出回路のオフセット電圧
を除外して検出精度を向上させることができるという効
果を奏する。
【0075】また、この発明の電流センサは、上述にお
いて、第1および第2の磁気検出ヘッドは、可飽和コイ
ルであるので、外部磁界(被検出磁界)またはコイル巻
線に流れる電流による磁界で容易に飽和するため、可飽
和コイルのインピーダンスは、コアが飽和すると著しく
変化し、コアの非飽和時にコイル巻線は大きなインピー
ダンスを示し、コアが飽和するとコイル巻線は著しくイ
ンピーダンスを低下させることができ、微弱な磁界で容
易に飽和できるようコアの形状を小さくまた薄くするこ
とにより、ホール素子と比較して極めて高い感度を得る
ことができるという効果を奏する。
【0076】また、この発明の電流センサは、上述にお
いて、第1および第2の磁気検出ヘッドは、被測定電線
の長さ方向に複数の可飽和コイルを配置した構造であ
り、第1および第2の磁気検出ヘッドを構成する複数の
可飽和コイルは、感度が加算されるように直列接続する
ことによってそれぞれ電気的に一つの可飽和コイルと見
なされるように構成したので、各検出ヘッドにおけるそ
れぞれの可飽和コイルは、電流による磁界に対して感度
が加算されるよう直列に接続されることにより、複数の
可飽和コイルを直列に接続したことによって、電気的に
一つの可飽和コイルと同じ扱いをすることができるとい
う効果を奏する。
【0077】また、この発明の電流センサは、被測定電
線を案内するための半円形の案内みぞを持つケースと、
ケースの案内みぞに挿入された被測定電線を保持するた
めに半円形の案内みぞを持ち、かつケースとの間で脱着
可能に形成したホルダーと、ケース内において被測定電
線の外径と同心円の円周上にn個の可飽和コイルを18
0/n度の間隔で配置した被測定電線から発生する磁界
を検出する第1の検出ヘッドと、ホルダー内において被
測定電線の外径と同心円の円周上にn個の可飽和コイル
を180/n度の間隔で配置した被測定電線から発生す
る磁界を検出する第2の検出ヘッドと、第2の検出ヘッ
ドの配線をケースに接続するためのホルダーから引き出
す電線と、第1および第2の磁気検出ヘッドに作用する
磁界を電圧に変換する検出回路とを備えた電流センサに
おいて、第1の磁気検出ヘッドを構成するn個の可飽和
コイルは、被測定電線から発生する磁界の接線方向の成
分に対して正の極性を持つように向きを定め、かつ感度
が加算されるように直列接続することによって電気的に
一つの可飽和コイルと見なされるように構成し、第2の
磁気検出ヘッドを構成するn個の可飽和コイルは、被測
定電線から発生する磁界の接線方向の成分に対して負の
極性を持つように向きを定め、かつ感度が加算されるよ
うに直列接続することによって電気的に一つの可飽和コ
イルと見なされるように構成し、検出回路は、第1の磁
気検出ヘッドに関する検出電圧と第2の磁気検出ヘッド
に関する検出電圧との差の電圧を出力するように構成し
たので、検出ヘッドがより多くの磁界と作用することが
でき、感度を向上させることができ、また、電線の位置
変化に対する出力電圧誤差が小さくなるので、電線を取
り囲む複数の可飽和コイルが磁界と作用し電線の位置変
化を相殺するように働かせることができ、また、複数の
可飽和コイルが磁界と作用することにより感度を向上さ
せることができるという効果を奏する。
【0078】また、この発明の電流センサは、上述にお
いて、ケースおよびホルダーを外側から覆う磁気シール
ド板であって、一面が開放された箱形の第1および第2
の磁気シールド板を被測定電線の中心部で開放面が向き
合うように取り付ける際、第1磁気シールド板と第2磁
気シールド板との間に僅かな隙間を設けるので、被測定
電線の周囲に形成される環状の磁路を分断し第1および
第2磁気シールド板を経由する磁気抵抗を増加させるこ
とで、検出ヘッドに作用する磁界の減少を軽減すること
ができ、また、第1磁気シールド板と第2磁気シールド
板の間にギャップを設けることで電流センサの感度を低
下させることなく外部磁界の影響を排除することができ
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のヘッド分割型電流センサの電流
検出原理を説明する図である。
【図2】本実施の形態のヘッド分割型電流センサの構造
を示す図であり、図2(A)は電流センサの正面図、図
2(B)は側面図である。
【図3】検出ヘッドを示す図であり、図3(A)は正面
図、図3(B)は側面図である。
【図4】検出回路の回路図である。
【図5】検出ヘッドに作用する磁界とコアの磁束密度を
示す図であり、図5(A)は磁界0の場合、図5(B)
は磁界が発生した場合である。
【図6】検出回路の出力電圧を示す図である。
【図7】出力電圧および直線性誤差を示す図である。
【図8】地磁気の出力電圧に与える影響を示す図であ
る。
【図9】電線位置の出力電圧に与える影響を示す図であ
る。
【図10】第1の可飽和コイルの複数配置(1)を示す
図であり、図10(A)は可飽和コイルの配置形態、図
10(B)は可飽和コイルの接続形態(直列接続)を示
す図である。
【図11】第2の可飽和コイルの複数配置(2)を示す
図であり、複数の可飽和コイルを電線の中心に対して同
心円上に配置したものである。
【図12】電流センサの地磁気シールドを示す図であ
り、図12(A)は正面図、図12(B)は側面図であ
る。
【図13】従来のホール素子を使用した電流センサを示
す図である。
【図14】従来のホール素子を使用したクランプ式電流
センサを示す図である。
【符号の説明】
1…検出ヘッドL1、2…検出ヘッドL2、3…電線、
4…検出回路FS1、5…検出回路FS2、20…ホル
ダー、21…電線、22…検出ヘッド、23…ケース、
24…台座、30…コア、31…ボビン、32…巻線、
100…検出ヘッドL1、101…可飽和コイル、10
2…検出ヘッドL2、103…電線、104…検出ヘッ
ド、105…可飽和コイル、110…検出ヘッドL1、
111…可飽和コイル、112…ケース、113…台
座、114…検出ヘッドL2、115…ホルダー、11
6…電線、117…検出ヘッドケーブル、120…検出
ヘッド、121…ケース、122…ホルダー、123…
電線、124…磁気シールドカバー1、125…磁気シ
ールドカバー2、126…台座、

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定電線を案内するためのU字型の案
    内みぞを持つケースと、 上記ケースの案内みぞに挿入された上記被測定電線を保
    持するために上記U字型の案内みぞにはまる突出部分を
    持ち、かつ上記ケースとの間で脱着可能に形成したホル
    ダーと、 上記ケース内において上記被測定電線の中心に対して等
    間隔で対向する位置に配置する上記被測定電線から発生
    する磁界を検出する第1および第2の磁気検出ヘッド
    と、 上記第1および第2の磁気検出ヘッドに作用する磁界を
    電圧に変換する検出回路とを備えた電流センサ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電流センサにおいて、
    上記第1の磁気検出ヘッドは、上記被測定電線から発生
    する磁界の接線方向の成分に対して正の極性を持つよう
    に向きを定め、上記第2の磁気検出ヘッドは、上記被測
    定電線から発生する磁界の接線方向の成分に対して負の
    極性を持つように向きを定め、上記検出回路は、上記第
    1の磁気検出ヘッドに関する検出電圧と上記第2の磁気
    検出ヘッドに関する検出電圧との差の電圧を出力するよ
    うに構成したことを特徴とする電流センサ。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の電流センサにおいて、
    上記第1および第2の磁気検出ヘッドは、可飽和コイル
    であることを特徴とする電流センサ。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の電流センサにおいて、
    上記第1および第2の磁気検出ヘッドは、上記被測定電
    線の長さ方向に複数の可飽和コイルを配置した構造であ
    り、上記第1および第2の磁気検出ヘッドを構成する上
    記複数の可飽和コイルは、感度が加算されるように直列
    接続することによってそれぞれ電気的に一つの可飽和コ
    イルと見なされるように構成した電流センサ。
  5. 【請求項5】 被測定電線を案内するための半円形の案
    内みぞを持つケースと、 上記ケースの案内みぞに挿入された上記被測定電線を保
    持するために半円形の案内みぞを持ち、かつ上記ケース
    との間で脱着可能に形成したホルダーと、 上記ケース内において上記被測定電線の外径と同心円の
    円周上にn個の可飽和コイルを180/n度の間隔で配
    置した上記被測定電線から発生する磁界を検出する第1
    の検出ヘッドと、 上記ホルダー内において上記被測定電線の外径と同心円
    の円周上にn個の可飽和コイルを180/n度の間隔で
    配置した上記被測定電線から発生する磁界を検出する第
    2の検出ヘッドと、 上記第2の検出ヘッドの配線を上記ケースに接続するた
    めの上記ホルダーから引き出す電線と、 上記第1および第2の磁気検出ヘッドに作用する磁界を
    電圧に変換する検出回路とを備えた電流センサにおい
    て、 上記第1の磁気検出ヘッドを構成する上記n個の可飽和
    コイルは、上記被測定電線から発生する磁界の接線方向
    の成分に対して正の極性を持つように向きを定め、かつ
    感度が加算されるように直列接続することによって電気
    的に一つの可飽和コイルと見なされるように構成し、 上記第2の磁気検出ヘッドを構成する上記n個の可飽和
    コイルは、上記被測定電線から発生する磁界の接線方向
    の成分に対して負の極性を持つように向きを定め、かつ
    感度が加算されるように直列接続することによって電気
    的に一つの可飽和コイルと見なされるように構成し、 上記検出回路は、上記第1の磁気検出ヘッドに関する検
    出電圧と上記第2の磁気検出ヘッドに関する検出電圧と
    の差の電圧を出力するように構成したことを特徴とする
    電流センサ。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4、5に記載の電流
    センサにおいて、上記ケースおよび上記ホルダーを外側
    から覆う磁気シールド板であって、一面が開放された箱
    形の第1および第2の磁気シールド板を上記被測定電線
    の中心部で開放面が向き合うように取り付ける際、上記
    第1磁気シールド板と上記第2磁気シールド板との間に
    僅かな隙間を設けることを特徴とする電流センサ。
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