JP2001148329A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
固体電解コンデンサおよびその製造方法Info
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Abstract
サを得ることを目的とする。 【解決手段】 弁作用金属からなる陽極箔1の誘電体酸
化皮膜11上に電子導電性高分子と導電性の乏しい高分
子とを含有する層4を設けた。該電子導電性高分子の成
分単体の抵抗率は1.0×1010Ω/□以下であり、
かつ、前記導電性の乏しい高分子の成分単体の抵抗率は
1.0×1010Ω/□を超えるものである。
Description
電解質に用いた固体電解コンデンサおよびその製造方法
に関するものである。
ある電解コンデンサにも従来よりも高周波領域でのイン
ピーダンス特性に優れた大容量の電解コンデンサが求め
られてきている。最近では、この高周波領域のインピー
ダンス低減のために、抵抗率の高い(=電気伝導度の高
い)ポリピロール、ポリアニリン、ポリエチレンジオキ
シチオフェン等の電子導電性高分子を電解質に用いた固
体電解コンデンサが検討されてきている。また、大容量
化の要求に対しては電極箔を積層させる場合と比較し
て、構造的に大容量化が容易な巻回形(陽極箔と陰極箔
をセパレータを介して巻回した構造のもの)の固体電解
コンデンサへの導電性高分子電解質の応用が成されてき
ている。
陰極箔との接触を避けるためにセパレータを介在させる
ことが必須となるものであるが、従来の電解液を電解質
とする電解コンデンサではマニラ麻やクラフト紙からな
るいわゆる電解質をセパレータとして用いることが知ら
れている。また、導電性高分子を電解質とする巻回形の
固体電解コンデンサ用のセパレータとしては、ガラス繊
維不織布、メルトブロー法により調整した樹脂を主成分
とする不織布、上記電解紙を用いたコンデンサ素子を巻
回した後に加熱等の方法によりこの電解紙を炭化処理し
た炭化状態の電解紙等をセパレータとして用いることが
知られている。
導電性高分子はイオン導電性を有しないために誘電体酸
化皮膜の修復能力がほとんどなく、電子導電性高分子を
電解質として固体電解コンデンサを構成した場合、コン
デンサの漏れ電流が高くなりやすい上、エージング工程
中にショートしやすいという欠点を有していた。
造のコンデンサに適用する場合、巻回に伴う屈曲時の強
度が脆いために屈曲部が誘電体酸化皮膜を損傷させるこ
とでコンデンサの漏れ電流が高くなりやすい上、エージ
ング工程中にショートしやすいという欠点を有してい
た。また、ガラス繊維不織布は裁断や巻回の際に針状ガ
ラス繊維が周囲に飛散することにより作業環境上の問題
が大きいという問題点も有していた。
子250℃を超えるほどの熱を加えなければ導電性高分
子を保持させて高周波領域でのインピーダンスを低減さ
せるに十分な炭化状態を作ることが難しく、この加熱に
より誘電体酸化皮膜が損傷して漏れ電流が高くなりやす
い上、この加熱により電解コンデンサの引き出しリード
線のメッキ層(例えばスズ/鉛層)が酸化を受けるため
に通常のメッキ線では完成後の製品のリード線部での半
田濡れ性が著しく低下するため、耐酸化性の強い高価な
銀メッキリード線を使用しなければならない等の問題を
有していた。
子としては、エチレンジオキシチオフェンを適当な酸化
剤により化学酸化重合して形成するポリエチレンジオキ
シチオフェンやポリピロール等が知られているが、これ
らを樹脂製のセパレータに保持させることは困難であ
り、容量の引き出し率が悪いために、電解液を電解質と
した場合のコンデンサに比べて、容量当たりのサイズが
大きくなる等の欠点を有していた。
漏れ電流に優れた大容量の固体電解コンデンサおよびそ
の製造方法を提供することを目的とするものである。
に本発明は、弁作用金属からなる陽極体の誘電体酸化皮
膜上に電子導電性高分子と導電性の乏しい高分子とを含
有する層を設けた構成としたものである。
サの1つとして、巻回構造を有する固体電解コンデンサ
を得るための製造方法としては、誘電体酸化皮膜を形成
した陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回したコ
ンデンサ素子に、少なくとも導電性高分子と導電性の乏
しい高分子(=非導電性高分子)を含有する溶液を含浸
させ、続いてこのコンデンサ素子を加熱することにより
上記溶液の溶剤成分を蒸発させて陽極箔の誘電体酸化皮
膜上に電子導電性高分子と導電性の乏しい高分子とを含
有する層を設け、上記コンデンサ素子を複素環式モノマ
ーを含有する溶液と酸化剤を含有する溶液に個々に含
浸、または複素環式モノマーと酸化剤を含有する混合液
に含浸することにより化学重合性導電性高分子を電極箔
間に形成して保持する工程を設けた製造方法としたもの
である。
大容量の固体電解コンデンサを得ることができる。
は、弁作用金属からなる陽極体の誘電体酸化皮膜上に電
子導電性高分子と導電性の乏しい高分子とを含有する層
を設けた構成とした固体電解コンデンサというものであ
り、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に
おいて、固体電解コンデンサの構造を、誘電体酸化皮膜
を形成した陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回
する巻回構造とした構成のものであり、この構成によれ
ば、抵抗率の低い電子導電性高分子を誘電体酸化皮膜上
に設け、これを電解質として利用することで、コンデン
サの抵抗率を低くすることができるので、コンデンサの
インピーダンスを低くすることができる上、誘電体酸化
皮膜上に抵抗率の非常に高い(場合によっては絶縁性で
あっても良い)非電子伝導性の高分子を併せて設けてい
るため、誘電体酸化皮膜の損傷部より電子なだれ現象が
生じ、著しい漏れ電流の増大が生じた際にも、非電子伝
導性の高分子を誘電体酸化皮膜上に設けているためにそ
の部位で電子なだれ現象を止めることができ、誘電体破
壊(ショート)に至るまでにその現象を局所的な範囲に
止めることができるので、漏れ電流が小さく、かつエー
ジング中にショートの発生しにくい固体電解コンデンサ
を構成することができるという作用を有する。
高分子の構成を選定することで、誘電体酸化皮膜上へ電
子導電性高分子の被覆率を向上する効果が得られ、これ
により容量引き出し率の高い大容量の固体電解コンデン
サを構成することができるものである。
2に記載の発明において、陽極体の誘電体酸化皮膜上に
設けた層の電子導電性高分子の抵抗率を1.0×1010
Ω/□以下とし、かつ導電性の乏しい高分子の抵抗率を
1.0×1010Ω/□を超える値に限定するものであ
り、この構成によれば、電子導電性高分子の抵抗率を
1.0×1010Ω/□以下に設定することでコンデンサ
のインピーダンス性能を損なうことがなく、かつ導電性
の乏しい高分子の抵抗率を1.0×1010Ω/□を超え
る値に設定することで、電子なだれ現象を局所的な範囲
に止めるに十分な絶縁性能を誘電体酸化皮膜上の層に具
備できるので、インピーダンス性能を損なうことなく、
漏れ電流が小さく、かつエージング中にショートの発生
しにくい固体電解コンデンサを構成することができると
いう作用を有する。
×1010Ω/□を超える範囲では電解質の抵抗率が高く
なるため、コンデンサのインピーダンス性能が悪化する
ので好ましくない。また、導電性の乏しい高分子の抵抗
率が1.0×1010Ω/□以下の範囲では電子なだれ現
象を局所的な範囲に止めるに十分な絶縁性能を誘電体酸
化皮膜上の層に具備することが困難となるので好ましく
ない。
いずれか一つに記載の発明において、陽極体の誘電体酸
化皮膜上に設けた層の導電性の乏しい高分子を、ポリビ
ニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、
ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリスチレ
ン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリブタジ
エン、ポリイソプレン、ポリエーテル、ポリエステル、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリアミド、ポリイミド、ブチラール樹脂、シリ
コーン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、セルロー
ス、ニトロセルロース、ビスフェノールA型エポキシ、
ビスフェノールF型エポキシ、脂環式エポキシおよびこ
れらの誘導体よりなる群より選ばれる1つ以上を含有す
る高分子または共重合体の1つ以上に限定するものであ
り、この構成によれば、これらの高分子または共重合体
は導電性の乏しい高分子であり、かつこれらの抵抗率を
1.0×1010Ω/□を超える値に設定することで容易
であるため、電子なだれ現象を局所的な範囲に止めるに
十分な絶縁性能を有する誘電体酸化皮膜上の層を構成で
きるので、漏れ電流が非常に小さく、かつエージング中
にショートの発生しにくい固体電解コンデンサを構成す
ることができるという作用を有する。なお、ナイロン類
は導電性の乏しい高分子ではあるが、吸水率が高いた
め、電子なだれ現象が生じた際に吸水した水の影響によ
り、電子なだれ現象の阻止率が低下するので好ましくな
い。
の発明において、陽極体の誘電体酸化皮膜上に設けた層
の導電性の乏しい高分子を、グリシジル変性ポリエステ
ル、スルホン酸変性ポリエステル、カルボン酸変性ポリ
エステルよりなる群より選ばれる1つ以上を含有する高
分子に限定するものであり、この構成によれば、これら
の高分子または共重合体は導電性の乏しい高分子であ
り、かつこれらの抵抗率を1.0×1010Ω/□を超え
る値に設定することで容易であるため、電子なだれ現象
を局所的な範囲に止めるに十分な絶縁性能を有する誘電
体酸化皮膜上の層を構成できる上、変性置換基の効果に
より、誘電体酸化皮膜上への電子導電性高分子の被覆率
を向上する効果を有するので、漏れ電流が非常に小さ
く、かつエージング中にショートが発生しにくい上、容
量引き出し率の高い大容量の固体電解コンデンサを構成
することができるという作用を有する。
いずれか一つに記載の発明において、陽極体の誘電体酸
化皮膜上に設けた層の電子導電性高分子を、ポリピロー
ル、ポリアニリン、スルホン化ポリアニリン、ポリチオ
フェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリスチレ
ンスルホン酸および以上の化合物の誘導体からなる群よ
り選ばれる1つ以上に限定するものであり、この構成に
よれば、これらの電子導電性高分子は導電率が非常に高
いため、陽極誘電体酸化皮膜上に設けた層の電子導電性
高分子の抵抗率を1.0×1010Ω/□以下に設定しや
すい上、前記した導電性の乏しい高分子、例えば、グリ
シジル変性ポリエステル、スルホン酸変性ポリエステ
ル、カルボン酸変性ポリエステル等との相溶性が極めて
高いので、これらの非電子伝導性高分子との併用によ
り、誘電体酸化皮膜上へこれらの電子導電性高分子の被
覆率が高められるという効果を有するので、漏れ電流が
非常に小さく、かつエージング中にショートが発生しに
くい上、容量引き出し率の高い大容量の固体電解コンデ
ンサを構成することができるという作用を有する。
2〜6のいずれか一つに記載の発明において、セパレー
タをポリエチレンテレフタレート樹脂および/またはポ
リブチレンテレフタレート樹脂を含有するスパンボンド
法により作製された不織布と湿式法により作製された不
織布に限定するものであり、この構成によれば、合成樹
脂の中でもとりわけポリアルキレンテレフタレート樹脂
(更に好ましくはポリエチレンテレフタレート樹脂、ポ
リブチレンテレフタレート樹脂)と請求項4〜6のいず
れか一つに記載の導電性の乏しい高分子(より具体的に
は、グリシジル変性ポリエステル、スルホン酸変性ポリ
エステル、カルボン酸変性ポリエステル等)や電子導電
性高分子(より具体的には、ポリピロール、ポリアニリ
ン、スルホン化ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチ
オフェン、ポリエチレンジオキシシオフェンポリスチレ
ンスルフォネート)との密着性・接着性が極めて良いた
め、他の合成樹脂からなるセパレータ材質を使用した場
合と比較して高周波領域でのインピーダンスをより一層
低くすることができる。
織布と湿式法により作製された不織布はその他の合成樹
脂不織布と異なり、シート化の際に繊維どうしを接着す
るための接着剤を用いることなく熱接着法や機械的交絡
法によりシート化することができるので、接着剤成分の
影響による化学重合阻害や剥離が生じ難いため、化学重
合性の電子導電性高分子をセパレータに保持させ易く、
高周波領域でのインピーダンスの低い固体電解コンデン
サを構成することができるという作用を有する。
のはメルトブロー法やトウ開繊法のものと比較して1本
の繊維長が長いため、同じ厚み、秤量で比較した場合、
引っ張り強度が強くなり、コンデンサ素子の巻回時にセ
パレータ切れの頻度が少なくなるので好ましい。
を形成した陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回
したコンデンサ素子に、少なくとも請求項6に記載の電
子導電性高分子と請求項4または5に記載の導電性の乏
しい高分子を含有する溶液を含浸させ、続いてこのコン
デンサ素子を加熱することにより上記溶液の溶剤成分を
蒸発させて陽極箔の誘電体酸化皮膜上に電子導電性高分
子と導電性の乏しい高分子とを含有する層を設け、上記
コンデンサ素子を複素環式モノマーを含有する溶液と酸
化剤を含有する溶液に個々に含浸、または複素環式モノ
マーと酸化剤を含有する混合液に含浸することにより化
学重合性導電性高分子を電極箔間に形成して保持する工
程を設けた固体電解コンデンサの製造方法というもので
あり、この方法により、漏れ電流に優れた大容量の固体
電解コンデンサを安定して製造することができるという
作用を有する。
載の発明において、導電性高分子と非導電性高分子を含
有する溶液が少なくとも水溶媒を含有するものである製
造方法としたものであり、この方法によれば、特に合成
樹脂を主体とするセパレータと組み合わせた場合(ほと
んどの合成樹脂は疎水性であるため)、溶液中に水を存
在させることで溶液中の溶剤成分を乾燥させ、電子導電
性高分子と導電性の乏しい高分子を含有する層を誘電体
酸化皮膜上に形成させる際、層を疎水性のセパレータ繊
維上よりもむしろ親水性の誘電体酸化皮膜上に多く分布
させるように分布制御を行うことができるので、特に誘
電体酸化皮膜への電子導電性高分子と導電性の乏しい高
分子の被覆率をより一層高め、誘電体酸化皮膜より高効
率に静電容量を取り出すことで大容量の固体電解コンデ
ンサを得ようとする際に好ましいという作用を有する。
を含有する溶液中の水の含有率としては好ましくは1重
量%以上、更に好ましくは10重量%以上である。
の場合では、この分布制御が困難となるものである。
は10に記載の発明において、複素環式モノマーを含有
する溶液、酸化剤を含有する溶液、複素環式モノマーと
酸化剤を含有する混合液の少なくとも1つに、導電性の
乏しい高分子を含有させるようにした製造方法というも
のであり、この方法によれば、誘電体酸化皮膜上だけで
なく、これに加えて陽極体と陰極体の間に形成された電
解質層(この場合は、複素環式モノマーを含有する溶液
と酸化剤を含有する溶液との反応の結果得られる化学重
合性の電子導電性高分子、または複素環式モノマーと酸
化剤を含有する混合溶液中での反応の結果得られる化学
重合性の電子導電性高分子)中においても、電子なだれ
現象を抑制する効果を具備できるので、前記方法と比較
して更に漏れ電流に優れた大容量の固体電解コンデンサ
を安定して製造することができるという作用を有する。
図面に基づいて説明する。
の構成を示した部分断面斜視図および同素子の要部を拡
大した概念図であり、同図に示すように、エッチング処
理により表面を粗面化した後に酸化処理により誘電体酸
化皮膜11を形成したアルミニウム箔からなる陽極体と
しての陽極箔1と、アルミニウム箔をエッチング処理し
た陰極体としての陰極箔2とをセパレータ3を介して巻
き取ることによりコンデンサ素子12を作製し、上記誘
電体酸化皮膜11の上に電子導電性高分子と導電性の乏
しい高分子とを含有する層4が形成されている。また、
上記陽極箔1と陰極箔2との間に(電子導電性高分子と
導電性の乏しい高分子とを含有する層4に接するように
して)化学重合性電子導電性高分子を含有する層5を形
成してコンデンサ素子12が構成されている。
ルミニウムケース9内に収納すると共に、アルミニウム
ケース9の解放端をゴム製の封口材8により陽極箔1及
び陰極箔2のそれぞれから導出した外部導出用の陽極リ
ード6と陰極リード7を封口材8を貫通するように封止
して構成したものである。
しい高分子とを含有する層4は、少なくとも誘電体酸化
皮膜11の上に形成されていれば良いが、同時に陰極箔
2の上やセパレータ3の表面に形成されていても良い。
これにより本発明の効果は影響されないものである。
て説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。以下、部はすべて重量部を示す。
ポリエチレンテレフタレート製スパンボンド不織布のセ
パレータ(厚さ50μm、秤量25g/m2)を介在さ
せて巻回することにより巻回形のコンデンサ素子を構成
した(このコンデンサ素子にアジピン酸アンモニウムの
10重量%エチレングリコール溶液を含浸させた際の周
波数120Hzにおける静電容量は670μFであっ
た)。
ンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸(導電性
の高い電子導電性高分子)の濃度が1.0重量%でグリ
シジル変性ポリエステル(導電性の乏しい高分子)の濃
度3.0重量%の水溶液(合計の溶液中固形分濃度4.
0重量%、以下この溶液を下地液Aと呼ぶ)中に浸漬し
て引き上げた後、150℃で5分間乾燥処理を行い、少
なくとも誘電体酸化皮膜上に電子導電性高分子であるポ
リエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸
と導電性の乏しい高分子であるグリシジル変性ポリエス
テルを含有する層を形成した。
ジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸の層を形成
して測定した場合の抵抗率は、1.0×104〜5Ω/□
であった。また、ガラス板上に膜厚10μmのグリシジ
ル変性ポリエステル層を形成して測定した場合の抵抗率
は、抵抗率測定器の測定限界である1.0×1010Ω/
□を超える値であった。
ノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤
であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤で
あるn−ブタノール4部を含む溶液(以下この溶液を重
合液Aと呼ぶ)に浸漬して引き上げた後、85℃で60
分間放置することにより化学重合性の電子導電性高分子
であるポリエチレンジオキシチオフェンを電極箔間に形
成した。
した後、樹脂加硫ブチルゴム封口材(ブチルゴムポリマ
ー30部、カーボン20部、無機充填剤50部から構
成、封口体硬度:70IRHD[国際ゴム硬さ単位])
と共にアルミニウム製の外装ケースに封入した後、カー
リング処理により開口部を封止し、更に陽極箔、陰極箔
から夫々導出された両リード端子をポリフェニレンサル
ファイド製の座板に通し、リード線部を扁平に折り曲げ
加工することにより面実装型の固体電解コンデンサを構
成した(サイズ:直径10mm×高さ10mm)。
て、重合液Aの代わりに、複素環式モノマーにエチレン
ジオキシチオフェン1部、酸化剤にナフタレンスルホン
酸第二鉄1部とトリイソプロピルナフタレンスルホン酸
第二鉄1部とを用い、重合溶剤にエタノール4部を用い
た。
ンボンド不織布のセパレータの代わりにポリエチレンテ
レフタレート樹脂を湿式法により作製した不織布のセパ
レータ(厚さ50μm、秤量22.5g/m2)を用い
た以外は実施の形態1と同様に作製した。
て、重合液Aの代わりに、複素環式モノマーにピロール
1部、酸化剤に過硫酸アンモニウム2部、重合溶剤にメ
タノール1部と水3部との混合溶剤を用いた以外は実施
の形態1と同様に作製した。
て、セパレータにポリブチレンテレフタレート樹脂を湿
式法により作製したセパレータ(厚さ50μm、秤量2
2.5g/m2)を用いた以外は実施の形態1と同様に
作製した。
て、セパレータにガラス繊維を含有する不織布(厚み8
0μm、秤量10g/m2)を用いた以外は実施の形態
1と同様に作製した。
て、陽極箔と陰極箔との間にマニラ麻からなる電解紙
(厚さ50μm)を介在させて巻回し、このコンデンサ
素子を窒素雰囲気中、275℃で2時間加熱することで
電極箔間に介在する電解紙を炭化させてコンデンサ素子
を構成した以外は実施の形態1と同様に作製した。
て、下地液Aの代わりに電子導電性高分子であるスルホ
ン化ポリアニリンの濃度が1.0重量%で、グリシジル
変性ポリエステルの濃度が3.0重量%の水溶液(合計
の溶液中固形分濃度4.0重量%)を用いた以外は実施
の形態1と同様に作製した。
ン化ポリアニリン層を形成して測定した場合の抵抗率
は、1.0×108〜9Ω/□であった。
て、下地液Aの代わりにポリエチレンジオキシチオフェ
ンポリスチレンスルホン酸の濃度が1.0重量%で、導
電性の乏しい高分子であるスルホン酸変性ポリエステル
の濃度が1.5重量%で、導電性の乏しい高分子である
カルボン酸変性ポリエステルの濃度が1.5重量%の水
溶液(合計の溶液中固形分濃度4.0重量%)を用いた
以外は実施の形態1と同様に作製した。
性ポリエステル層を形成して測定した場合の抵抗率は、
抵抗率測定器の測定限界である1.0×1010Ω/□を
超えるものであった。また、ガラス板上に膜厚10μm
のカルボン酸変性ポリエステル層を形成して測定した場
合の抵抗率は、抵抗率測定器の測定限界である1.0×
1010Ω/□を超えるものであった。
て、重合液Aの代わりに複素環式モノマーであるエチレ
ンジオキシチオフェン1部と、酸化剤であるp−トルエ
ンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノー
ル4部と導電性の乏しい高分子であるグリシジル変性ポ
リエステル(下地液A中の成分と同一のもの)0.5部
からなる溶液を用いた以外は実施の形態1と同様に作製
した。
下地液Aの代わりに電子導電性高分子であるポリエチレ
ンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸の濃度が
4.0重量%の水溶液を用いた以外は実施の形態1と同
様に作製した。
下地液Aの代わりに、導電性の乏しい高分子であるグリ
シジル変性ポリエステルの濃度が4.0重量%の水溶液
を用いた以外は実施の形態1と同様に作製した。
1〜9と比較例1〜2の固体電解コンデンサについて、
その静電容量(測定周波数120Hz)、インピーダン
ス(測定周波数100kHz)、漏れ電流(定格電圧
6.3V印加後2分値)、エージング処理中のショート
発生(不良)を比較した結果を(表1)に示す。
静電容量、インピーダンス、漏れ電流は、ショート品を
除いたサンプルについての平均値で示した。
施の形態1〜9の固体電解コンデンサは、弁作用金属か
らなる陽極体の誘電体酸化皮膜上に電子導電性高分子と
導電性の乏しい高分子とを含有する層を設けた構成とし
ているため、抵抗率の低い電子導電性高分子を誘電体酸
化皮膜上に設け、これを電解質として利用することでコ
ンデンサの抵抗率(インピーダンス)を低くすることが
できる。また、誘電体酸化皮膜上に抵抗率の非常に高い
非電子伝導性の高分子を併せて設けているため、誘電体
酸化皮膜の損傷部より電子なだれ現象が生じ、著しい漏
れ電流の増大が生じた際にも、非電子伝導性の高分子を
誘電体酸化皮膜上に設けているため、その部位で電子な
だれ現象を止めることができ、誘電体破壊(ショート)
に至るまでにその現象を局所的な範囲に止めることがで
きるので、比較例1の固体電解コンデンサと比較して、
漏れ電流が小さく、かつエージング中にショートの発生
しにくい固体電解コンデンサが構成できるものである。
導電性の乏しい高分子が誘電体酸化皮膜上に設けられて
いる効果により、電子導電性高分子の誘電体酸化皮膜上
への被覆率が高められているので、グリシジル変性ポリ
エステル等の導電性の乏しい高分子を誘電体酸化皮膜上
に設けていない比較例1と比較して、静電容量の高い大
容量の固体電解コンデンサを構成することができる。
は、誘電体酸化皮膜上に抵抗率の大きな導電性の乏しい
高分子のみしか設けていないために、電子なだれ現象の
抑制効果は大きく、ショート発生数は0である一方、電
子導電性高分子と導電性の乏しい高分子を併せて設けた
場合の本発明の実施の形態1〜9と比較して著しくイン
ピーダンスも高く、また誘電体酸化皮膜上からの容量引
き出し率も悪いために静電容量値も小さい。
サは、弁作用金属からなる陽極体の誘電体酸化皮膜上に
電子導電性高分子と導電性の乏しい高分子とを含有する
層を設けた構成としているため、抵抗率の低い電子導電
性高分子を誘電体酸化皮膜上に設け、これを電解質とし
て利用することで、コンデンサの抵抗率(インピーダン
ス)を低くすることができる。また、誘電体酸化皮膜上
に抵抗率の非常に高い非電子伝導性の高分子を併せて設
けているため、誘電体酸化皮膜の損傷部より電子なだれ
現象が生じ、著しい漏れ電流の増大が生じた際にも、非
電子伝導性の高分子を誘電体酸化皮膜上に設けているた
め、その部位で電子なだれ現象を止めることができ、誘
電体破壊(ショート)に至るまでにその現象を局所的な
範囲に止めることができるので、漏れ電流が小さく、か
つエージング中にショートの発生しにくい固体電解コン
デンサを得ることができるものであり、この工業的価値
は大なるものである。
の構成を示した部分断面斜視図
する層 5 化学重合性電子導電性高分子を含有する層 6 陽極リード 7 陰極リード 8 封口材 9 アルミニウムケース 11 誘電体酸化皮膜 12 コンデンサ素子
Claims (11)
- 【請求項1】 弁作用金属からなる陽極体の誘電体酸化
皮膜上に電子導電性高分子と導電性の乏しい高分子とを
含有する層を設けた固体電解コンデンサ。 - 【請求項2】 誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔と陰極
箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子の少
なくとも陽極箔の誘電体酸化皮膜上に、電子導電性高分
子と導電性の乏しい高分子とを含有する層を設けた請求
項1に記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項3】 陽極体の誘電体酸化皮膜上に設けた層の
電子導電性高分子成分単体の抵抗率が1.0×1010Ω
/□以下であり、かつ導電性の乏しい高分子成分単体の
抵抗率が1.0×1010Ω/□を超えるものである請求
項1または2に記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項4】 陽極体の誘電体酸化皮膜上に設けた層の
導電性の乏しい高分子の成分が、ポリビニルアルコー
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリレ
ート、ポリメタアクリレート、ポリスチレン、ポリウレ
タン、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリイ
ソプレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリア
ミド、ポリイミド、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、
メラミン樹脂、アルキッド樹脂、セルロース、ニトロセ
ルロース、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノー
ルF型エポキシ、脂環式エポキシおよびこれらの誘導体
よりなる群より選ばれる少なくとも1つ以上を含有する
高分子または共重合体の1つ以上である請求項1〜3の
いずれか一つに記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項5】 陽極体の誘電体酸化皮膜上に設けた層の
導電性の乏しい高分子が、グリシジル変性ポリエステ
ル、スルホン酸変性ポリエステル、カルボン酸変性ポリ
エステルよりなる群より選ばれる1つ以上を含有する高
分子または共重合体の1つ以上である請求項4に記載の
固体電解コンデンサ。 - 【請求項6】 陽極体の誘電体酸化皮膜上に設けた層の
電子導電性高分子が、ポリピロール、ポリアニリン、ス
ルホン化ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレン
ジオキシチオフェン、ポリスチレンスルホン酸およびこ
れらの化合物の誘導体からなる群より選ばれる1つ以上
である請求項1〜5のいずれか一つに記載の固体電解コ
ンデンサ。 - 【請求項7】 セパレータがポリエチレンテレフタレー
ト樹脂および/またはポリブチレンテレフタレート樹脂
を含有するスパンボンド法により作製された不織布であ
る請求項2〜6のいずれか一つに記載の固体電解コンデ
ンサ。 - 【請求項8】 セパレータがポリエチレンテレフタレー
ト樹脂および/またはポリブチレンテレフタレート樹脂
を含有する湿式法により作製された不織布である請求項
2〜6のいずれか一つに記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項9】 誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔と陰極
箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に少
なくとも請求項6に記載の導電性高分子と請求項4また
は5に記載の導電性の乏しい高分子を含有する溶液を含
浸させ、続いてこのコンデンサ素子を加熱することによ
り上記溶液の溶剤成分を蒸発させて陽極箔の誘電体酸化
皮膜上に電子導電性高分子と導電性の乏しい高分子とを
含有する層を設け、上記コンデンサ素子を複素環式モノ
マーを含有する溶液と酸化剤を含有する溶液に個々に含
浸、または複素環式モノマーと酸化剤を含有する混合液
に含浸することにより化学重合性導電性高分子を電極箔
間に形成して保持する工程を有した固体電解コンデンサ
の製造方法。 - 【請求項10】 導電性高分子と導電性の乏しい高分子
を含有する溶液が少なくとも水溶媒を含有するものであ
る請求項9に記載の固体電解コンデンサの製造方法。 - 【請求項11】 複素環式モノマーを含有する溶液、酸
化剤を含有する溶液、複素環式モノマーと酸化剤を含有
する混合液の少なくとも1つに、導電性の乏しい高分子
を含有するようにした請求項9または10に記載の固体
電解コンデンサの製造方法。
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