JP2001143235A - 磁気記録媒体およびその製造方法、ならびに磁気記録媒体の製造装置 - Google Patents
磁気記録媒体およびその製造方法、ならびに磁気記録媒体の製造装置Info
- Publication number
- JP2001143235A JP2001143235A JP32396699A JP32396699A JP2001143235A JP 2001143235 A JP2001143235 A JP 2001143235A JP 32396699 A JP32396699 A JP 32396699A JP 32396699 A JP32396699 A JP 32396699A JP 2001143235 A JP2001143235 A JP 2001143235A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic
- thin film
- metal thin
- recording medium
- magnetic metal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Thin Magnetic Films (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Magnetic Record Carriers (AREA)
- Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 量産に適し、かつ優れた記録特性を呈する磁
性金属薄膜で記録層が構成されている、オーデイオ、ビ
デオ機器、および各種情報機器に用いられる磁気記録媒
体を提供する。 【解決手段】 非磁性基板の一方の面に磁性金属薄膜を
真空蒸着法により形成するに際し、ガスを2箇所以上か
ら、磁性金属蒸気流または非磁性基板に蒸着された磁性
金属薄膜に導入することにより、複数のコラムから成る
柱状結晶構造を有し、各コラムが、上側部分、中間部分
および下側部分の3つの部分から実質的に成り、上側部
分と中間部分との間および中間部分と下側部分との間
で、磁束密度、磁性金属薄膜の厚さ方向からの傾き、お
よび酸素濃度の少なくとも1つが異なっている磁性金属
薄膜を形成し、当該磁性金属薄膜を記録層として有する
磁気記録媒体を得る。
性金属薄膜で記録層が構成されている、オーデイオ、ビ
デオ機器、および各種情報機器に用いられる磁気記録媒
体を提供する。 【解決手段】 非磁性基板の一方の面に磁性金属薄膜を
真空蒸着法により形成するに際し、ガスを2箇所以上か
ら、磁性金属蒸気流または非磁性基板に蒸着された磁性
金属薄膜に導入することにより、複数のコラムから成る
柱状結晶構造を有し、各コラムが、上側部分、中間部分
および下側部分の3つの部分から実質的に成り、上側部
分と中間部分との間および中間部分と下側部分との間
で、磁束密度、磁性金属薄膜の厚さ方向からの傾き、お
よび酸素濃度の少なくとも1つが異なっている磁性金属
薄膜を形成し、当該磁性金属薄膜を記録層として有する
磁気記録媒体を得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報機器、オーデ
イオ機器およびビデオ機器で利用される磁気記録用媒
体、特に、高記録密度が要求される磁気記録媒体に関す
る。
イオ機器およびビデオ機器で利用される磁気記録用媒
体、特に、高記録密度が要求される磁気記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、高機能性薄膜の技術的発展は目ざ
ましく、その応用分野も多岐にわたっている。例えば磁
気記録媒体においては磁気記録密度の向上に見られるよ
うに、その技術的発展はめざましいものがある。従来の
磁気記録媒体の例として、オーディオ、ビデオ用テープ
材料に用いられるγ−Fe2O3粉末、CrO2粉末、純
鉄粉末等を樹脂等のバインダーとともに高分子フィルム
上に塗着せしめた、いわゆる塗布型の磁気記録媒体があ
る。
ましく、その応用分野も多岐にわたっている。例えば磁
気記録媒体においては磁気記録密度の向上に見られるよ
うに、その技術的発展はめざましいものがある。従来の
磁気記録媒体の例として、オーディオ、ビデオ用テープ
材料に用いられるγ−Fe2O3粉末、CrO2粉末、純
鉄粉末等を樹脂等のバインダーとともに高分子フィルム
上に塗着せしめた、いわゆる塗布型の磁気記録媒体があ
る。
【0003】そしてこの塗布型磁気記録媒体より更に記
録密度を高めるために、真空蒸着、イオンプレーティン
グ、スパッタリング、クラスターイオンビームなどの方
法で、Fe、Co、Ni、Cr等の磁性金属を単独、も
しくは合金の形態で高分子フィルムまたはガラス基板上
に蒸着する金属薄膜型磁気記録媒体の検討がなされてい
る。また、強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体として、斜
方入射蒸着法を用いたビデオ用テープが、またガラス基
板にスパッタ法で薄膜形成したハードディスク媒体が既
に実用化されている。
録密度を高めるために、真空蒸着、イオンプレーティン
グ、スパッタリング、クラスターイオンビームなどの方
法で、Fe、Co、Ni、Cr等の磁性金属を単独、も
しくは合金の形態で高分子フィルムまたはガラス基板上
に蒸着する金属薄膜型磁気記録媒体の検討がなされてい
る。また、強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体として、斜
方入射蒸着法を用いたビデオ用テープが、またガラス基
板にスパッタ法で薄膜形成したハードディスク媒体が既
に実用化されている。
【0004】ここで、従来の金属薄膜型磁気記録媒体を
製造する方法を、図7を参照して説明する。図7は、非
磁性基板に、記録層として磁性金属薄膜を真空蒸着法に
より形成する方法を模式的に示している。図7に示す真
空蒸着法は、連続巻取真空蒸着法とも呼ばれるもので、
生産性において優れており、現実的な量産方法として有
力な製造方法である。図7において、非磁性基板は高分
子フィルム(201)である。高分子フィルム(201)は巻
出軸(202)にセットされ、ここから連続的に送り出さ
れ、冷却ドラム(206)を経て、巻取軸(210)で巻取ら
れる。この時、下方より電子ビーム(212)で強磁性金
属(214)を溶解して蒸発させ、高分子フィルム(201)
の表面上に蒸着する。蒸着中、不用な磁性金属は遮蔽板
(216,220)でカットされる。非磁性基板の蒸着終了点
付近に設けられたノズル(218)は、酸素ガスを磁性金
属蒸気流に導入するためものである。酸素ガスの導入に
より、磁性金属薄膜の表面には酸素濃度が高い部分が形
成される。酸素の導入により磁性金属薄膜の磁気特性が
改善され、また、酸素濃度の高い部分は他の部分よりも
硬く、したがって、磁性層の耐久性の向上に寄与してい
る。磁性層の真空蒸着が終了した後、必要に応じて磁性
層の上に潤滑剤層等を形成し、更にスリッティングし
て、例えばテープ状の磁気記録媒体を得る。
製造する方法を、図7を参照して説明する。図7は、非
磁性基板に、記録層として磁性金属薄膜を真空蒸着法に
より形成する方法を模式的に示している。図7に示す真
空蒸着法は、連続巻取真空蒸着法とも呼ばれるもので、
生産性において優れており、現実的な量産方法として有
力な製造方法である。図7において、非磁性基板は高分
子フィルム(201)である。高分子フィルム(201)は巻
出軸(202)にセットされ、ここから連続的に送り出さ
れ、冷却ドラム(206)を経て、巻取軸(210)で巻取ら
れる。この時、下方より電子ビーム(212)で強磁性金
属(214)を溶解して蒸発させ、高分子フィルム(201)
の表面上に蒸着する。蒸着中、不用な磁性金属は遮蔽板
(216,220)でカットされる。非磁性基板の蒸着終了点
付近に設けられたノズル(218)は、酸素ガスを磁性金
属蒸気流に導入するためものである。酸素ガスの導入に
より、磁性金属薄膜の表面には酸素濃度が高い部分が形
成される。酸素の導入により磁性金属薄膜の磁気特性が
改善され、また、酸素濃度の高い部分は他の部分よりも
硬く、したがって、磁性層の耐久性の向上に寄与してい
る。磁性層の真空蒸着が終了した後、必要に応じて磁性
層の上に潤滑剤層等を形成し、更にスリッティングし
て、例えばテープ状の磁気記録媒体を得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】さて、記録層を蒸着に
より形成したテープを、例えばビデオ用テープとして使
用する場合には、高画質で信頼性の高い記録媒体である
ことが要求され、また、情報機器において使用する場合
には、記録密度が高いこと、耐久性に優れていること、
および低コストであることが要求される。
より形成したテープを、例えばビデオ用テープとして使
用する場合には、高画質で信頼性の高い記録媒体である
ことが要求され、また、情報機器において使用する場合
には、記録密度が高いこと、耐久性に優れていること、
および低コストであることが要求される。
【0006】磁気記録媒体の記録密度を向上させ、ま
た、磁気記録媒体の高画質化を実現するには、図7に示
すように、冷却用回転ドラムを用い、一定範囲内に制限
された入射角で蒸着を行って、高出力化および低ノイズ
化を図る必要がある。一般には、最小入射角αを40度
以上とし、それより小さい角度成分の磁性金属蒸気流を
遮蔽しなければ、充分に満足できる電磁変換特性を有す
る磁気記録媒体を得ることはできない。
た、磁気記録媒体の高画質化を実現するには、図7に示
すように、冷却用回転ドラムを用い、一定範囲内に制限
された入射角で蒸着を行って、高出力化および低ノイズ
化を図る必要がある。一般には、最小入射角αを40度
以上とし、それより小さい角度成分の磁性金属蒸気流を
遮蔽しなければ、充分に満足できる電磁変換特性を有す
る磁気記録媒体を得ることはできない。
【0007】一方、蒸着時の最小入射角が大きい程、磁
性金属の付着効率は低くなる。例えば、図7に示すよう
にして、最小入射角(α)を40度、最大入射角(β)
を90度として40〜90°の範囲の入射角で連続的に
蒸着を実施した場合、付着効率は、蒸発させた金属の全
体量の10重量%程度であり、非常に生産性が悪い。こ
のことは、磁気記録媒体の生産コストの上昇を招く。ま
た、電磁変換特性を更に向上させるには最小入射角を5
0度以上にする必要があるが、それにより生産性は更に
低下し、従って、生産コストは更に上昇することとな
る。
性金属の付着効率は低くなる。例えば、図7に示すよう
にして、最小入射角(α)を40度、最大入射角(β)
を90度として40〜90°の範囲の入射角で連続的に
蒸着を実施した場合、付着効率は、蒸発させた金属の全
体量の10重量%程度であり、非常に生産性が悪い。こ
のことは、磁気記録媒体の生産コストの上昇を招く。ま
た、電磁変換特性を更に向上させるには最小入射角を5
0度以上にする必要があるが、それにより生産性は更に
低下し、従って、生産コストは更に上昇することとな
る。
【0008】記録密度を高める別の方法として、非磁性
基板上に特定の金属を酸素雰囲気中で蒸着して下地層を
形成し、その後、強磁性金属を蒸着して下地層に強磁性
金属薄膜を形成する方法が提案されている(特公平5−
72017号公報参照)。この方法によれば、下地層が
存在するために、より小さい入射角で磁性金属層を形成
することができる。また、蒸着レートおよび蒸着スピー
ドを改善するために、強磁性金属の蒸気流の中間入射角
成分の入射を阻止して、高入射角成分と低入射角成分と
を不連続的に蒸着積層する方法も提案されている(特開
平8−53755号公報参照)。
基板上に特定の金属を酸素雰囲気中で蒸着して下地層を
形成し、その後、強磁性金属を蒸着して下地層に強磁性
金属薄膜を形成する方法が提案されている(特公平5−
72017号公報参照)。この方法によれば、下地層が
存在するために、より小さい入射角で磁性金属層を形成
することができる。また、蒸着レートおよび蒸着スピー
ドを改善するために、強磁性金属の蒸気流の中間入射角
成分の入射を阻止して、高入射角成分と低入射角成分と
を不連続的に蒸着積層する方法も提案されている(特開
平8−53755号公報参照)。
【0009】しかし、特公平5−72017号公報に記
載の方法においては2つの蒸着槽において蒸着を2回実
施する必要があり、特開平8−53755号公報に記載
の方法においては遮蔽板で中間入射角成分を正確にカッ
トする必要がある。これらの操作により全体の蒸着が複
雑となることは否めず、従って、上記の方法によっても
磁気記録媒体のコストを大幅に低下させることは困難で
ある。
載の方法においては2つの蒸着槽において蒸着を2回実
施する必要があり、特開平8−53755号公報に記載
の方法においては遮蔽板で中間入射角成分を正確にカッ
トする必要がある。これらの操作により全体の蒸着が複
雑となることは否めず、従って、上記の方法によっても
磁気記録媒体のコストを大幅に低下させることは困難で
ある。
【0010】このように、真空蒸着法により磁性金属薄
膜を形成する場合、付着効率(即ち生産性)を向上させ
ようとすると記録特性が低下し、記録特性を向上させよ
うとすると生産性が低下する。そのため、優れた記録特
性を発揮する磁性金属薄膜を効率良く形成し得る真空蒸
着方法が望まれていた。本発明は、かかる実情に鑑みて
なされたものであり、真空蒸着法により効率良く形成さ
れ、かつ優れた記録特性を呈する磁性金属薄膜で記録層
が構成された磁気記録媒体を提供することを課題とす
る。
膜を形成する場合、付着効率(即ち生産性)を向上させ
ようとすると記録特性が低下し、記録特性を向上させよ
うとすると生産性が低下する。そのため、優れた記録特
性を発揮する磁性金属薄膜を効率良く形成し得る真空蒸
着方法が望まれていた。本発明は、かかる実情に鑑みて
なされたものであり、真空蒸着法により効率良く形成さ
れ、かつ優れた記録特性を呈する磁性金属薄膜で記録層
が構成された磁気記録媒体を提供することを課題とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、非磁性基板上に真空蒸着法により形成さ
れた磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄
膜が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コ
ラムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分
から実質的に成り、各コラムにおいて中間部分の磁束密
度が上側部分および下側部分のそれよりも高い磁気記録
媒体を第1の磁気記録媒体として提供する。
め、本発明は、非磁性基板上に真空蒸着法により形成さ
れた磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄
膜が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コ
ラムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分
から実質的に成り、各コラムにおいて中間部分の磁束密
度が上側部分および下側部分のそれよりも高い磁気記録
媒体を第1の磁気記録媒体として提供する。
【0012】「コラム」とは、柱状結晶構造を構成する
単位をいう。磁性金属薄膜面に平行な方向におけるコラ
ムの断面形状は一般に略円形である。コラムは、長手方
向(金属薄膜の厚さ方向)においては必ずしも真っ直ぐ
ではなく、屈曲または湾曲しているものもあるが、本明
細書においてはそれらすべてを含む意味において、「コ
ラム」なる用語を使用する。
単位をいう。磁性金属薄膜面に平行な方向におけるコラ
ムの断面形状は一般に略円形である。コラムは、長手方
向(金属薄膜の厚さ方向)においては必ずしも真っ直ぐ
ではなく、屈曲または湾曲しているものもあるが、本明
細書においてはそれらすべてを含む意味において、「コ
ラム」なる用語を使用する。
【0013】中間部分の磁束密度が上側部分および下側
部分のそれよりも高いとは、同じ強さの磁界(磁界の強
さが0の場合を含む)において、中間部分における磁束
密度が上側部分および下側部分における磁束密度よりも
大きくなることをいう。磁束密度の高低は、例えば、面
内磁気記録媒体にあっては、各部分における磁化方向
(または磁化容易方向)の面内配向性の高低を指標とし
て、決定できる。ここで、面内磁気記録媒体とは、記録
層である磁性金属薄膜の磁化が、垂直方向(金属薄膜の
厚さ方向)よりも面内方向(膜面方向)において容易で
ある磁気記録媒体をいう。一般に、そのような磁気記録
媒体においては、磁性層は、磁化方向が面内方向である
磁性粒子が、磁化方向が垂直である磁性粒子よりも多く
存在している。面内磁気記録媒体は、その磁性金属薄膜
の磁化方向の面内配向性が高いほど、MIGヘッド、メ
タルヘッド、フェライトへッド、MRヘッド、GMRヘ
ッド、TMRヘッドを用いる場合において記録密度の向
上が図れるものである。
部分のそれよりも高いとは、同じ強さの磁界(磁界の強
さが0の場合を含む)において、中間部分における磁束
密度が上側部分および下側部分における磁束密度よりも
大きくなることをいう。磁束密度の高低は、例えば、面
内磁気記録媒体にあっては、各部分における磁化方向
(または磁化容易方向)の面内配向性の高低を指標とし
て、決定できる。ここで、面内磁気記録媒体とは、記録
層である磁性金属薄膜の磁化が、垂直方向(金属薄膜の
厚さ方向)よりも面内方向(膜面方向)において容易で
ある磁気記録媒体をいう。一般に、そのような磁気記録
媒体においては、磁性層は、磁化方向が面内方向である
磁性粒子が、磁化方向が垂直である磁性粒子よりも多く
存在している。面内磁気記録媒体は、その磁性金属薄膜
の磁化方向の面内配向性が高いほど、MIGヘッド、メ
タルヘッド、フェライトへッド、MRヘッド、GMRヘ
ッド、TMRヘッドを用いる場合において記録密度の向
上が図れるものである。
【0014】また、上記課題を解決するため、本発明
は、非磁性基板上に真空蒸着法により形成された磁性金
属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜が、複数
のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラムは上側
部分、中間部分および下側部分の3つの部分から実質的
に成り、各コラムにおいて、上側部分と中間部分との間
および中間部分と下側部分との間が屈曲し、中間部分は
上側部分および下側部分よりも磁性金属薄膜の厚さ方向
から傾斜している磁気記録媒体を第2の磁気記録媒体と
して提供する。
は、非磁性基板上に真空蒸着法により形成された磁性金
属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜が、複数
のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラムは上側
部分、中間部分および下側部分の3つの部分から実質的
に成り、各コラムにおいて、上側部分と中間部分との間
および中間部分と下側部分との間が屈曲し、中間部分は
上側部分および下側部分よりも磁性金属薄膜の厚さ方向
から傾斜している磁気記録媒体を第2の磁気記録媒体と
して提供する。
【0015】磁性金属薄膜の厚さ方向から傾斜している
とは、柱状結晶が金属薄膜面に対して垂直な方向から傾
斜していることをいい、傾斜が大きいほど柱状結晶の結
晶成長方向の面内方向性が高いともいえ、また傾斜が小
さいほど柱状結晶の結晶成長方向の垂直配向性が高いと
もいえる。したがって、本明細書においては、便宜的
に、コラムを構成する各部分について、磁性金属薄膜の
厚さ方向からの傾斜が大きいことを「結晶成長方向の面
内配向性が高い」といい、磁性金属薄膜の厚さ方向から
の傾斜が小さいことを「結晶成長の垂直配向性が高い」
という場合がある。また、磁性金属薄膜の厚さ方向から
の傾斜がない場合、結晶成長方向は垂直であるといえ
る。
とは、柱状結晶が金属薄膜面に対して垂直な方向から傾
斜していることをいい、傾斜が大きいほど柱状結晶の結
晶成長方向の面内方向性が高いともいえ、また傾斜が小
さいほど柱状結晶の結晶成長方向の垂直配向性が高いと
もいえる。したがって、本明細書においては、便宜的
に、コラムを構成する各部分について、磁性金属薄膜の
厚さ方向からの傾斜が大きいことを「結晶成長方向の面
内配向性が高い」といい、磁性金属薄膜の厚さ方向から
の傾斜が小さいことを「結晶成長の垂直配向性が高い」
という場合がある。また、磁性金属薄膜の厚さ方向から
の傾斜がない場合、結晶成長方向は垂直であるといえ
る。
【0016】上側部分と中間部分との間および中間部分
と下側部分との間が「屈曲」しているとは、磁性金属薄
膜の厚さ方向からの傾斜の度合いが、上側部分と中間部
分との間および中間部分と下側部分との間で不連続的に
変化していることを意味する。上側部分および下側部分
は厚さ方向に対して平行であること、即ち、結晶成長方
向が垂直であることが好ましい。
と下側部分との間が「屈曲」しているとは、磁性金属薄
膜の厚さ方向からの傾斜の度合いが、上側部分と中間部
分との間および中間部分と下側部分との間で不連続的に
変化していることを意味する。上側部分および下側部分
は厚さ方向に対して平行であること、即ち、結晶成長方
向が垂直であることが好ましい。
【0017】本発明はまた、上記課題を解決するため、
非磁性基板上に真空蒸着法により形成された酸素を含む
磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜
が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラ
ムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分か
ら実質的に成り、各コラムにおいて、上側部分の酸素濃
度が最も大きく、中間部分の酸素濃度が最も小さく、下
側部分の酸素濃度が中間部分のそれよりも大きい磁気記
録媒体を第3の磁気記録媒体として提供する。
非磁性基板上に真空蒸着法により形成された酸素を含む
磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜
が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラ
ムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分か
ら実質的に成り、各コラムにおいて、上側部分の酸素濃
度が最も大きく、中間部分の酸素濃度が最も小さく、下
側部分の酸素濃度が中間部分のそれよりも大きい磁気記
録媒体を第3の磁気記録媒体として提供する。
【0018】酸素は磁性金属薄膜内にどのような形態で
含まれていてもよく、例えば、磁性金属の酸化物とし
て、あるいは分子のまま物理的に磁性金属薄膜内に取り
込まれた状態で含まれていてよい。
含まれていてもよく、例えば、磁性金属の酸化物とし
て、あるいは分子のまま物理的に磁性金属薄膜内に取り
込まれた状態で含まれていてよい。
【0019】本発明はまた、上記課題を解決するため、
非磁性基板上に真空蒸着法により形成された磁性金属薄
膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜が、複数のコ
ラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラムは上側部
分、中間部分および下側部分の3つの部分から実質的に
成り、各コラムにおいて、中間部分の磁束密度が上側部
分および下側部分のそれよりも高く、各コラムにおい
て、上側部分と中間部分との間および中間部分と下側部
分との間が屈曲し、中間部分は上側部分および下側部分
よりも磁性金属薄膜の厚さ方向から傾斜している磁気記
録媒体を第4の磁気記録媒体として提供する。この磁気
記録媒体は、上記第1の磁気記録媒体および第2の磁気
記録媒体の性質を兼ね備えたものである。
非磁性基板上に真空蒸着法により形成された磁性金属薄
膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜が、複数のコ
ラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラムは上側部
分、中間部分および下側部分の3つの部分から実質的に
成り、各コラムにおいて、中間部分の磁束密度が上側部
分および下側部分のそれよりも高く、各コラムにおい
て、上側部分と中間部分との間および中間部分と下側部
分との間が屈曲し、中間部分は上側部分および下側部分
よりも磁性金属薄膜の厚さ方向から傾斜している磁気記
録媒体を第4の磁気記録媒体として提供する。この磁気
記録媒体は、上記第1の磁気記録媒体および第2の磁気
記録媒体の性質を兼ね備えたものである。
【0020】更に、本発明は、上記課題を解決するた
め、非磁性基板上に真空蒸着法により形成された磁性金
属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜が、複数
のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラムは上側
部分、中間部分および下側部分の3つの部分から実質的
に成り、各コラムにおいて、中間部分の磁束密度が上側
部分および下側部分のそれよりも高く、各コラムにおい
て、上側部分の酸素濃度が最も大きく、中間部分の酸素
濃度が最も小さく、下側部分の酸素濃度が中間部分のそ
れよりも大きい磁気記録媒体を第5の磁気記録媒体とし
て提供する。この磁気記録媒体は、上記第1の磁気記録
媒体および第3の磁気記録媒体の性質を兼ね備えたもの
である。
め、非磁性基板上に真空蒸着法により形成された磁性金
属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜が、複数
のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラムは上側
部分、中間部分および下側部分の3つの部分から実質的
に成り、各コラムにおいて、中間部分の磁束密度が上側
部分および下側部分のそれよりも高く、各コラムにおい
て、上側部分の酸素濃度が最も大きく、中間部分の酸素
濃度が最も小さく、下側部分の酸素濃度が中間部分のそ
れよりも大きい磁気記録媒体を第5の磁気記録媒体とし
て提供する。この磁気記録媒体は、上記第1の磁気記録
媒体および第3の磁気記録媒体の性質を兼ね備えたもの
である。
【0021】更にまた、本発明は、上記課題を解決する
ため、非磁性基板上に真空蒸着法により形成された磁性
金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜が、複
数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラムは上
側部分、中間部分および下側部分の3つの部分から実質
的に成り、各コラムにおいて、上側部分と中間部分との
間および中間部分と下側部分との間が屈曲し、中間部分
は上側部分および下側部分よりも磁性金属薄膜の厚さ方
向から傾斜しており、各コラムにおいて、上側部分の酸
素濃度が最も大きく、中間部分の酸素濃度が最も小さ
く、下側部分の酸素濃度が中間部分のそれよりも大きい
磁気記録媒体を第6の磁気記録媒体として提供する。こ
の磁気記録媒体は、上記第2の磁気記録媒体および第3
の磁気記録媒体の性質を兼ね備えたものである。
ため、非磁性基板上に真空蒸着法により形成された磁性
金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜が、複
数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラムは上
側部分、中間部分および下側部分の3つの部分から実質
的に成り、各コラムにおいて、上側部分と中間部分との
間および中間部分と下側部分との間が屈曲し、中間部分
は上側部分および下側部分よりも磁性金属薄膜の厚さ方
向から傾斜しており、各コラムにおいて、上側部分の酸
素濃度が最も大きく、中間部分の酸素濃度が最も小さ
く、下側部分の酸素濃度が中間部分のそれよりも大きい
磁気記録媒体を第6の磁気記録媒体として提供する。こ
の磁気記録媒体は、上記第2の磁気記録媒体および第3
の磁気記録媒体の性質を兼ね備えたものである。
【0022】これらに加えて、本発明は、上記課題を解
決するため、非磁性基板上に真空蒸着法により形成され
た磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜
が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラ
ムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分か
ら実質的に成り、各コラムにおいて、中間部分の磁束密
度が上側部分および下側部分のそれよりも高く、各コラ
ムにおいて、上側部分と中間部分との間および中間部分
と下側部分との間が屈曲し、中間部分は上側部分および
下側部分よりも磁性金属薄膜の厚さ方向から傾斜してお
り、各コラムにおいて、上側部分の酸素濃度が最も大き
く、中間部分の酸素濃度が最も小さく、下側部分の酸素
濃度が中間部分のそれよりも大きい磁気記録媒体を第7
の磁気記録媒体として提供する。この磁気記録媒体は、
上記第1、第2、および第3の磁気記録媒体の性質を兼
ね備えたものである。
決するため、非磁性基板上に真空蒸着法により形成され
た磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄膜
が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コラ
ムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分か
ら実質的に成り、各コラムにおいて、中間部分の磁束密
度が上側部分および下側部分のそれよりも高く、各コラ
ムにおいて、上側部分と中間部分との間および中間部分
と下側部分との間が屈曲し、中間部分は上側部分および
下側部分よりも磁性金属薄膜の厚さ方向から傾斜してお
り、各コラムにおいて、上側部分の酸素濃度が最も大き
く、中間部分の酸素濃度が最も小さく、下側部分の酸素
濃度が中間部分のそれよりも大きい磁気記録媒体を第7
の磁気記録媒体として提供する。この磁気記録媒体は、
上記第1、第2、および第3の磁気記録媒体の性質を兼
ね備えたものである。
【0023】上記の磁気記録媒体はいずれも、磁性金属
薄膜(即ち記録層)が、複数のコラムから成る柱状結晶
構造を有する。蒸着により複数のコラムから成る柱状結
晶構造が得られることは一般に知られており、例えば特
公昭56−23208号公報に記載されている。
薄膜(即ち記録層)が、複数のコラムから成る柱状結晶
構造を有する。蒸着により複数のコラムから成る柱状結
晶構造が得られることは一般に知られており、例えば特
公昭56−23208号公報に記載されている。
【0024】本発明の磁気記録媒体に含まれる磁性金属
薄膜は、各コラムが上側部分、中間部分および下側部分
の3つの部分から実質的に成ることを特徴としている。
但し、本発明の磁気記録媒体において、磁性金属薄膜を
構成する上側部分、中間部分および下側部分は必ずしも
明確に区別され得ず、上側部分と中間部分、および中間
部分と下側部分との間には各部分を特徴付ける性質が混
在している遷移領域とも呼べる部分が存在する。本明細
書では、そのような遷移領域を含む磁性金属薄膜も包含
されるように、「3つの部分から『実質的に』に成る」
という用語を使用している。また、本明細書において
は、「下」とは非磁性基板に近い側をいい、「上」とは
非磁性基板から遠い側をいうものとする。
薄膜は、各コラムが上側部分、中間部分および下側部分
の3つの部分から実質的に成ることを特徴としている。
但し、本発明の磁気記録媒体において、磁性金属薄膜を
構成する上側部分、中間部分および下側部分は必ずしも
明確に区別され得ず、上側部分と中間部分、および中間
部分と下側部分との間には各部分を特徴付ける性質が混
在している遷移領域とも呼べる部分が存在する。本明細
書では、そのような遷移領域を含む磁性金属薄膜も包含
されるように、「3つの部分から『実質的に』に成る」
という用語を使用している。また、本明細書において
は、「下」とは非磁性基板に近い側をいい、「上」とは
非磁性基板から遠い側をいうものとする。
【0025】各コラムを構成している上側部分、中間部
分および下側部分は、 1)中間部分の磁束密度が上側部分および下側部分のそ
れよりも大きい; 2)各部分間が屈曲しており、中間部分が上側部分およ
び下側部分よりも磁性金属薄膜の厚さ方向から傾斜して
いる;または 3)上側部分の酸素濃度が最も大きく、中間部分の酸素
濃度が最も小さく、下側部分の酸素濃度が中間部分のそ
れよりも大きいように特徴付けられており、あるいは、 4)上記1)および2)のいずれにも相当する(即ち、
各部分が上記1)および2)に記載の性質を備える);
または 5)上記1)および3)のいずれにも相当する(即ち、
各部分が上記1)および3)に記載の性質を備える) 6)上記2)および3)のいずれにも相当する(即ち、
各部分が上記2)および3)に記載の性質を備える) 7)上記1)、2)および3)のいずれにも相当する
(即ち、各部分が上記1)、2)および3)に記載の性
質を備える)ように特徴付けられている。この特徴によ
り、本発明の磁気記録媒体は、図7に示す従来の方法で
製造される磁気記録媒体よりも優れた記録特性を呈する
ものとなる。
分および下側部分は、 1)中間部分の磁束密度が上側部分および下側部分のそ
れよりも大きい; 2)各部分間が屈曲しており、中間部分が上側部分およ
び下側部分よりも磁性金属薄膜の厚さ方向から傾斜して
いる;または 3)上側部分の酸素濃度が最も大きく、中間部分の酸素
濃度が最も小さく、下側部分の酸素濃度が中間部分のそ
れよりも大きいように特徴付けられており、あるいは、 4)上記1)および2)のいずれにも相当する(即ち、
各部分が上記1)および2)に記載の性質を備える);
または 5)上記1)および3)のいずれにも相当する(即ち、
各部分が上記1)および3)に記載の性質を備える) 6)上記2)および3)のいずれにも相当する(即ち、
各部分が上記2)および3)に記載の性質を備える) 7)上記1)、2)および3)のいずれにも相当する
(即ち、各部分が上記1)、2)および3)に記載の性
質を備える)ように特徴付けられている。この特徴によ
り、本発明の磁気記録媒体は、図7に示す従来の方法で
製造される磁気記録媒体よりも優れた記録特性を呈する
ものとなる。
【0026】本発明の磁気記録媒体が上記の性質を有す
ることにより、優れた記録特性を呈する理由は次のとお
りであると考えられるが、これは本発明を何ら拘束する
ものではない。
ることにより、優れた記録特性を呈する理由は次のとお
りであると考えられるが、これは本発明を何ら拘束する
ものではない。
【0027】磁性金属薄膜を構成する各コラムの下側部
分は、磁束密度が小さいこと、磁性金属膜の厚さ方向か
らの傾きが小さいこと(即ち結晶成長方向の垂直配向性
が高いこと)、酸素濃度が高いことのいずれか1または
複数に起因して、コラム径を小さくせしめるとともに、
中間部分の磁束密度および/または結晶成長方向の面内
配向性をより高くしていると考えられる。「コラム径」
とは円柱状のコラムの直径に相当し、コラム径が小さい
ほど、高密度記録が可能となる。
分は、磁束密度が小さいこと、磁性金属膜の厚さ方向か
らの傾きが小さいこと(即ち結晶成長方向の垂直配向性
が高いこと)、酸素濃度が高いことのいずれか1または
複数に起因して、コラム径を小さくせしめるとともに、
中間部分の磁束密度および/または結晶成長方向の面内
配向性をより高くしていると考えられる。「コラム径」
とは円柱状のコラムの直径に相当し、コラム径が小さい
ほど、高密度記録が可能となる。
【0028】磁性金属薄膜を構成する各コラムの上側部
分は、磁束密度が小さいこと、磁性金属薄膜の厚さ方向
からの傾きが小さいこと(即ち結晶成長方向の垂直配向
性が高いこと)、酸素濃度が最も高いことのいずれか1
または複数に起因して、磁性金属薄膜の表面に硬い皮膜
を形成し、それにより磁性金属薄膜の耐久性および信頼
性の向上に寄与していると考えられる。
分は、磁束密度が小さいこと、磁性金属薄膜の厚さ方向
からの傾きが小さいこと(即ち結晶成長方向の垂直配向
性が高いこと)、酸素濃度が最も高いことのいずれか1
または複数に起因して、磁性金属薄膜の表面に硬い皮膜
を形成し、それにより磁性金属薄膜の耐久性および信頼
性の向上に寄与していると考えられる。
【0029】磁性金属薄膜を構成する各コラムの中間部
分は、磁気記録媒体の記録性能を確保する主たる部分で
あり、上側部分および下側部分により磁気特性が改善さ
れて、磁気記録媒体の電磁変換特性の向上に寄与する。
分は、磁気記録媒体の記録性能を確保する主たる部分で
あり、上側部分および下側部分により磁気特性が改善さ
れて、磁気記録媒体の電磁変換特性の向上に寄与する。
【0030】磁性金属薄膜がこれらの特徴を有する磁気
記録媒体は、非磁性基板の一方の面に磁性金属薄膜を真
空蒸着法により形成するに際し、ガスを2箇所以上か
ら、磁性金属蒸気流または蒸着された磁性金属薄膜に導
入することによって得られる。ガスを2箇所以上から磁
性金属蒸気流または蒸着された磁性金属薄膜に導入する
態様としては、 ガスを2以上の場所から、磁性金属蒸気流の異なる2
以上の位置に導入する態様; ガスを2以上の場所から、磁性金属蒸気流の1もしく
は複数の所定箇所および蒸着された磁性金属薄膜の1も
しくは複数の所定箇所に導入する態様;および ガスを2以上の場所から、蒸着された磁性金属薄膜の
1もしくは複数の所定箇所に導入する態様がある。本発
明においては、得ようとする磁性金属薄膜の特徴に応じ
て、適当な態様を選択すればよい。
記録媒体は、非磁性基板の一方の面に磁性金属薄膜を真
空蒸着法により形成するに際し、ガスを2箇所以上か
ら、磁性金属蒸気流または蒸着された磁性金属薄膜に導
入することによって得られる。ガスを2箇所以上から磁
性金属蒸気流または蒸着された磁性金属薄膜に導入する
態様としては、 ガスを2以上の場所から、磁性金属蒸気流の異なる2
以上の位置に導入する態様; ガスを2以上の場所から、磁性金属蒸気流の1もしく
は複数の所定箇所および蒸着された磁性金属薄膜の1も
しくは複数の所定箇所に導入する態様;および ガスを2以上の場所から、蒸着された磁性金属薄膜の
1もしくは複数の所定箇所に導入する態様がある。本発
明においては、得ようとする磁性金属薄膜の特徴に応じ
て、適当な態様を選択すればよい。
【0031】この製造方法は、ガスを磁性金属蒸気流ま
たは蒸着された磁性金属薄膜に2箇所以上から導入する
ことを必要とする点を除いては、通常の真空蒸着法と同
様にして実施でき、複数の真空蒸着槽および複雑な工程
を必要としないから、生産に要する時間およびコストは
従来の製造方法と同程度である。従って、本発明の製造
方法により得られる磁気記録媒体の記録特性が従来のも
のよりも大幅に向上することに鑑みれば、本発明の製造
方法は、生産性向上および低コスト化を実現したもので
あるといえる。
たは蒸着された磁性金属薄膜に2箇所以上から導入する
ことを必要とする点を除いては、通常の真空蒸着法と同
様にして実施でき、複数の真空蒸着槽および複雑な工程
を必要としないから、生産に要する時間およびコストは
従来の製造方法と同程度である。従って、本発明の製造
方法により得られる磁気記録媒体の記録特性が従来のも
のよりも大幅に向上することに鑑みれば、本発明の製造
方法は、生産性向上および低コスト化を実現したもので
あるといえる。
【0032】導入するガスの圧力はゲージ圧で147k
Pa以上であることが好ましい。147kPa未満である
と、中間部分の上下に中間部分と区別し得る上側部分お
よび下側部分が形成されない場合があり、本発明の所期
の効果を得ることができない。
Pa以上であることが好ましい。147kPa未満である
と、中間部分の上下に中間部分と区別し得る上側部分お
よび下側部分が形成されない場合があり、本発明の所期
の効果を得ることができない。
【0033】ガスは、適当な導入手段を用いて導入する
ことができる。例えば、ガスの吐出部が矩形(またはス
リット)であるノズルをガス導入手段として用い、吐出
部からガスを吐出させて、幕状のガスのフローを形成
し、このフローを磁性金属蒸気流または蒸着された磁性
金属薄膜に当てればよい。
ことができる。例えば、ガスの吐出部が矩形(またはス
リット)であるノズルをガス導入手段として用い、吐出
部からガスを吐出させて、幕状のガスのフローを形成
し、このフローを磁性金属蒸気流または蒸着された磁性
金属薄膜に当てればよい。
【0034】本発明の方法は、適当なガスを選択し、こ
れを磁性金属蒸気流に導入して実施する。磁性金属蒸気
流に導入するガスは、金属と反応するガスであることが
好ましく、具体的には金属を酸化するガスを含むガスで
あることが好ましい。金属を酸化するガスを用いれば、
各コラムは酸素を含んだものとなる。また、後述するよ
うにガスの導入箇所やガスの導入量を調節することで、
各コラムにおいて酸素濃度の異なる複数の部分を形成す
ることができる。各コラムは、好ましくは、磁性金属の
酸化物の形態で酸素を含む。金属を酸化するガスとして
は、例えば、空気、酸素、オゾン、および過酸化水素が
あり、これらを単独で、または必要に応じて他のガスと
混合して磁性金属蒸気流に導入するとよい。金属を酸化
するガスと混合するガスとしては、例えば、アルゴン、
窒素、水素または空気を使用できる。
れを磁性金属蒸気流に導入して実施する。磁性金属蒸気
流に導入するガスは、金属と反応するガスであることが
好ましく、具体的には金属を酸化するガスを含むガスで
あることが好ましい。金属を酸化するガスを用いれば、
各コラムは酸素を含んだものとなる。また、後述するよ
うにガスの導入箇所やガスの導入量を調節することで、
各コラムにおいて酸素濃度の異なる複数の部分を形成す
ることができる。各コラムは、好ましくは、磁性金属の
酸化物の形態で酸素を含む。金属を酸化するガスとして
は、例えば、空気、酸素、オゾン、および過酸化水素が
あり、これらを単独で、または必要に応じて他のガスと
混合して磁性金属蒸気流に導入するとよい。金属を酸化
するガスと混合するガスとしては、例えば、アルゴン、
窒素、水素または空気を使用できる。
【0035】本発明の製造方法において、ガスは、非磁
性基板の蒸着開始点付近および蒸着終了点付近にて、磁
性金属蒸気流または非磁性基板に蒸着された磁性金属薄
膜に導入されることが好ましい。この2箇所にてガスを
導入することにより、磁性金属薄膜を、上側部分、中間
部分および下側部分の3つの部分を有するコラムから成
る柱状結晶構造とすることができる。そして、ガスの種
類、ガスの導入方向、およびガスの圧力等を適宜選択す
ることにより、磁性金属薄膜が上記1)〜7)のいずれ
か1つの性質を有するように特徴付けられる。
性基板の蒸着開始点付近および蒸着終了点付近にて、磁
性金属蒸気流または非磁性基板に蒸着された磁性金属薄
膜に導入されることが好ましい。この2箇所にてガスを
導入することにより、磁性金属薄膜を、上側部分、中間
部分および下側部分の3つの部分を有するコラムから成
る柱状結晶構造とすることができる。そして、ガスの種
類、ガスの導入方向、およびガスの圧力等を適宜選択す
ることにより、磁性金属薄膜が上記1)〜7)のいずれ
か1つの性質を有するように特徴付けられる。
【0036】本発明の磁気記録媒体の製造方法におい
て、ガスは蒸着開始点および蒸着終了点付近以外の場所
から導入してもよい。ガスの導入箇所を増やし、磁気特
性に悪影響を及ぼさない限りにおいて、磁性金属蒸気流
または非磁性基板に蒸着された磁性金属薄膜への酸素導
入量を増やせば、磁性金属薄膜の磁気特性をより向上さ
せ、電磁変換特性をより改善することができる。また、
ガスの導入箇所(位置)、ガスの導入量および角度等を
調節することによって、磁性金属蒸気流の一部にのみガ
スを導入することや、磁性金属蒸気流の向きを変えるこ
とが可能となるので、磁性金属薄膜の所定部分(例えば
上側部分)の結晶成長方向の配向および/または酸素濃
度をコントロールできる。
て、ガスは蒸着開始点および蒸着終了点付近以外の場所
から導入してもよい。ガスの導入箇所を増やし、磁気特
性に悪影響を及ぼさない限りにおいて、磁性金属蒸気流
または非磁性基板に蒸着された磁性金属薄膜への酸素導
入量を増やせば、磁性金属薄膜の磁気特性をより向上さ
せ、電磁変換特性をより改善することができる。また、
ガスの導入箇所(位置)、ガスの導入量および角度等を
調節することによって、磁性金属蒸気流の一部にのみガ
スを導入することや、磁性金属蒸気流の向きを変えるこ
とが可能となるので、磁性金属薄膜の所定部分(例えば
上側部分)の結晶成長方向の配向および/または酸素濃
度をコントロールできる。
【0037】本発明の磁気記録媒体の製造方法におい
て、2箇所以上から磁性金属蒸気流を非磁性基板に蒸着
してよい。即ち、2以上の蒸発源から磁性金属蒸気流を
発生させてよい。この方法に基づいて、例えば、1つの
蒸発源を蒸着開始点付近に配した場合、磁性金属薄膜の
下側部分に蒸着される磁性金属の量を増やすことがで
き、また、磁性金属蒸気流の付着効率を改善(または向
上)するという効果がもたらされる。
て、2箇所以上から磁性金属蒸気流を非磁性基板に蒸着
してよい。即ち、2以上の蒸発源から磁性金属蒸気流を
発生させてよい。この方法に基づいて、例えば、1つの
蒸発源を蒸着開始点付近に配した場合、磁性金属薄膜の
下側部分に蒸着される磁性金属の量を増やすことがで
き、また、磁性金属蒸気流の付着効率を改善(または向
上)するという効果がもたらされる。
【0038】非磁性基板に磁性金属薄膜を蒸着する上記
の方法は、ガスを金属蒸気流または基板に蒸着された金
属薄膜に導入するガス導入手段が2箇所以上に配置され
ている真空蒸着槽を含む金属薄膜形成装置において実施
できる。
の方法は、ガスを金属蒸気流または基板に蒸着された金
属薄膜に導入するガス導入手段が2箇所以上に配置され
ている真空蒸着槽を含む金属薄膜形成装置において実施
できる。
【0039】本発明の金属膜形成装置において、ガス導
入手段は、例えば、上述したような矩形の吐出部を有す
るノズルであってよい。矩形の吐出部は、ガスのフロー
が基板の幅全体に均等に吹きつけられるように、その横
方向の長さが基板の幅と同じ幅、またはそれよりも大き
い幅を有することが好ましい。吐出部の面積が大きいほ
ど、吐出部から放出されるガスが広がる傾向にあるた
め、ガスの広がりを考慮して矩形の縦方向の長さを決定
するとよい。そして、このような矩形の吐出部を有する
ノズルは基板の幅と吐出部の幅とが平行となるように配
置させるとよい。また、ノズルの吐出部は、その横方向
に垂直な断面形状がラッパ形となっていてよい。ノズル
の吐出部は、微細な開口部を形成し得る適当な機械加
工、またはレーザ加工等によって形成できる。ノズルは
適当な管状部材等によってガス供給源に接続される。ガ
ス導入手段の位置は、真空蒸着槽内の蒸発源の位置およ
び基板の走行方向等に応じて、適当な角度でガスが導入
されるように適宜選択する。
入手段は、例えば、上述したような矩形の吐出部を有す
るノズルであってよい。矩形の吐出部は、ガスのフロー
が基板の幅全体に均等に吹きつけられるように、その横
方向の長さが基板の幅と同じ幅、またはそれよりも大き
い幅を有することが好ましい。吐出部の面積が大きいほ
ど、吐出部から放出されるガスが広がる傾向にあるた
め、ガスの広がりを考慮して矩形の縦方向の長さを決定
するとよい。そして、このような矩形の吐出部を有する
ノズルは基板の幅と吐出部の幅とが平行となるように配
置させるとよい。また、ノズルの吐出部は、その横方向
に垂直な断面形状がラッパ形となっていてよい。ノズル
の吐出部は、微細な開口部を形成し得る適当な機械加
工、またはレーザ加工等によって形成できる。ノズルは
適当な管状部材等によってガス供給源に接続される。ガ
ス導入手段の位置は、真空蒸着槽内の蒸発源の位置およ
び基板の走行方向等に応じて、適当な角度でガスが導入
されるように適宜選択する。
【0040】また、2箇所以上から磁性金属蒸気流を非
磁性基板に蒸着する方法は、蒸発源を2以上有する真空
蒸着槽を含む金属薄膜形成装置において実施できる。各
蒸発源は、例えば、坩堝に入った金属であってよい。あ
るいは、1つの蒸発源から金属蒸気流を発生させたとき
に、蒸気流の一部を適当な板状体(例えば、防着マス
ク)に蒸着させ、これを蒸発源として用いてもよい。板
状体に蒸着した金属は、イオンビーム等を照射すること
によって再度蒸気となり、基板に蒸着される。
磁性基板に蒸着する方法は、蒸発源を2以上有する真空
蒸着槽を含む金属薄膜形成装置において実施できる。各
蒸発源は、例えば、坩堝に入った金属であってよい。あ
るいは、1つの蒸発源から金属蒸気流を発生させたとき
に、蒸気流の一部を適当な板状体(例えば、防着マス
ク)に蒸着させ、これを蒸発源として用いてもよい。板
状体に蒸着した金属は、イオンビーム等を照射すること
によって再度蒸気となり、基板に蒸着される。
【0041】本発明の金属薄膜形成装置は、磁気記録媒
体の製造装置を構成するのに特に適しているが、非磁性
基板以外の適当な基板に、磁性金属以外の金属で薄膜を
形成する場合にも用いることができる。当該装置におい
て上記の方法に従って金属薄膜を形成すれば、形成され
る金属薄膜には、上記において説明した特徴が顕現す
る。即ち、本発明は、磁気記録媒体のみならず、種々の
用途に適用できる金属薄膜を真空蒸着により形成する方
法をも提供するものである。
体の製造装置を構成するのに特に適しているが、非磁性
基板以外の適当な基板に、磁性金属以外の金属で薄膜を
形成する場合にも用いることができる。当該装置におい
て上記の方法に従って金属薄膜を形成すれば、形成され
る金属薄膜には、上記において説明した特徴が顕現す
る。即ち、本発明は、磁気記録媒体のみならず、種々の
用途に適用できる金属薄膜を真空蒸着により形成する方
法をも提供するものである。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明の磁気記録媒体を構成する非磁性基板とし
て、高分子フィルム、ガラス基板、アルミニウム等の非
磁性金属材料から成る金属製シートまたは金属板、セラ
ミックから成る基板等が使用される。本発明において
は、高分子フィルムを使用することが特に好ましい。具
体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニ
ルまたはポリカーボネートから成るフィルムを使用でき
る。
する。本発明の磁気記録媒体を構成する非磁性基板とし
て、高分子フィルム、ガラス基板、アルミニウム等の非
磁性金属材料から成る金属製シートまたは金属板、セラ
ミックから成る基板等が使用される。本発明において
は、高分子フィルムを使用することが特に好ましい。具
体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニ
ルまたはポリカーボネートから成るフィルムを使用でき
る。
【0043】非磁性基板の表面には、走行性を改善する
ためSiO2、TiO2、Al2O3、またはZrO2等の
無機材料から成る粒子、あるいはポリサルホン等の有機
材料から成る粒子を分散させることが好ましい。粒子
は、粒子により形成される突起部の高さが5〜50nmと
なるような寸法および形状を有するものであることが好
ましい。突起部の高さが5nm未満であると粒子が分散せ
ず凝集しやすくなるたため表面状態が悪くなり、50nm
を超えるとスペイシング損が生じるため、このような非
磁性基板を含む磁気記録媒体は実際の使用に耐えること
ができない。突起部は、粒子と高分子樹脂とを混合した
ものを非磁性基板表面にコーティングすることにより形
成できる。
ためSiO2、TiO2、Al2O3、またはZrO2等の
無機材料から成る粒子、あるいはポリサルホン等の有機
材料から成る粒子を分散させることが好ましい。粒子
は、粒子により形成される突起部の高さが5〜50nmと
なるような寸法および形状を有するものであることが好
ましい。突起部の高さが5nm未満であると粒子が分散せ
ず凝集しやすくなるたため表面状態が悪くなり、50nm
を超えるとスペイシング損が生じるため、このような非
磁性基板を含む磁気記録媒体は実際の使用に耐えること
ができない。突起部は、粒子と高分子樹脂とを混合した
ものを非磁性基板表面にコーティングすることにより形
成できる。
【0044】本発明の磁気記録媒体の記録層を形成する
磁性金属薄膜は、磁性金属材料を真空蒸着させて形成し
たものである。蒸着に使用する磁性金属材料は、Co、
Fe、Ni、Cr、あるいはこれらをベースにした各種
の合金、例えばCo−Ni、Co−Fe、Co−Cr、
Co−Cu、Co−Pt、Co−Pd、Co−Sn,C
o−Ni−Crであることが好ましい。これらの磁性金
属材料から成る磁性金属薄膜の磁化方向は、合金中の各
金属の原子比および/または蒸着条件によって、面内方
向または垂直方向に配向させ得る。
磁性金属薄膜は、磁性金属材料を真空蒸着させて形成し
たものである。蒸着に使用する磁性金属材料は、Co、
Fe、Ni、Cr、あるいはこれらをベースにした各種
の合金、例えばCo−Ni、Co−Fe、Co−Cr、
Co−Cu、Co−Pt、Co−Pd、Co−Sn,C
o−Ni−Crであることが好ましい。これらの磁性金
属材料から成る磁性金属薄膜の磁化方向は、合金中の各
金属の原子比および/または蒸着条件によって、面内方
向または垂直方向に配向させ得る。
【0045】本発明の磁気記録媒体において、その磁性
金属薄膜が複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、
各コラムが3つの部分から実質的に成るものとするため
には、磁性金属薄膜は酸素を含むものであることが好ま
しい。酸素は、上記磁性金属の金属酸化物の形態で含ま
れてよい。酸素が磁性金属薄膜内に含まれるようにする
には、酸化雰囲気にて真空蒸着を実施すればよく、具体
的には、本発明の製造方法に従って、金属を酸化するガ
スを含むガスを、磁性金属蒸気流または非磁性基板に蒸
着した磁性金属薄膜に導入すればよい。
金属薄膜が複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、
各コラムが3つの部分から実質的に成るものとするため
には、磁性金属薄膜は酸素を含むものであることが好ま
しい。酸素は、上記磁性金属の金属酸化物の形態で含ま
れてよい。酸素が磁性金属薄膜内に含まれるようにする
には、酸化雰囲気にて真空蒸着を実施すればよく、具体
的には、本発明の製造方法に従って、金属を酸化するガ
スを含むガスを、磁性金属蒸気流または非磁性基板に蒸
着した磁性金属薄膜に導入すればよい。
【0046】本発明の磁気記録媒体は、その磁性金属薄
膜が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コ
ラムが上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分
から成るものである。
膜が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コ
ラムが上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分
から成るものである。
【0047】本発明の第1の磁気記録媒体においては、
各コラムの中間部分の磁束密度が上側部分および下側部
分のそれよりも高い。磁性金属薄膜がかかる特徴を有す
ることは、磁気記録媒体(磁性金属薄膜)の厚さ方向の
破断面をTEMで観察し、その結晶構造と酸化状態を分
析する方法によって確認でき、あるいは磁気記録媒体の
表面を順次エッチングし、VSMで磁気特性を測定する
ことによって確認できる。磁束密度の高低は、例えば、
コラムの各部分における酸素濃度の大小によってもたら
される。例えば、酸化数の高い金属元素の金属酸化物
(即ち、高次の酸化物)が高い割合で含まれる部分で
は、磁束密度は低くなる傾向にある。
各コラムの中間部分の磁束密度が上側部分および下側部
分のそれよりも高い。磁性金属薄膜がかかる特徴を有す
ることは、磁気記録媒体(磁性金属薄膜)の厚さ方向の
破断面をTEMで観察し、その結晶構造と酸化状態を分
析する方法によって確認でき、あるいは磁気記録媒体の
表面を順次エッチングし、VSMで磁気特性を測定する
ことによって確認できる。磁束密度の高低は、例えば、
コラムの各部分における酸素濃度の大小によってもたら
される。例えば、酸化数の高い金属元素の金属酸化物
(即ち、高次の酸化物)が高い割合で含まれる部分で
は、磁束密度は低くなる傾向にある。
【0048】本発明の第2の磁気記録媒体においては、
各コラムを構成する各部分間が屈曲しており、中間部分
が上側部分および下側部分よりも、磁性金属膜の厚さ方
向から傾斜している。そのような磁性金属薄膜の一例の
厚さ方向の断面図を模式的に図2の(a)に示す。図2
の(a)に示す磁気記録媒体において、非磁性基板
(1)に形成された磁性金属薄膜(100)の各コラム(1
00A)は、結晶成長方向の垂直配向性が高い上側部分
(100a)および下側部分(100c)の間に、結晶成長方
向の面内配向性が高い傾斜した中間部分(100b)を有
する構造となっている。比較のために、図2の(b)
に、図7に示すような従来の方法で蒸着して得た磁性金
属薄膜の厚さ方向の断面図を模式的に示す。図2の
(b)に示す磁性金属薄膜を構成する各コラム(100
A)は全体が象牙形状であり、コラム内には結晶成長方
向が明確に異なる複数の部分が存在せず、従って、複数
の部分から成るコラム構造であるとはいえない。
各コラムを構成する各部分間が屈曲しており、中間部分
が上側部分および下側部分よりも、磁性金属膜の厚さ方
向から傾斜している。そのような磁性金属薄膜の一例の
厚さ方向の断面図を模式的に図2の(a)に示す。図2
の(a)に示す磁気記録媒体において、非磁性基板
(1)に形成された磁性金属薄膜(100)の各コラム(1
00A)は、結晶成長方向の垂直配向性が高い上側部分
(100a)および下側部分(100c)の間に、結晶成長方
向の面内配向性が高い傾斜した中間部分(100b)を有
する構造となっている。比較のために、図2の(b)
に、図7に示すような従来の方法で蒸着して得た磁性金
属薄膜の厚さ方向の断面図を模式的に示す。図2の
(b)に示す磁性金属薄膜を構成する各コラム(100
A)は全体が象牙形状であり、コラム内には結晶成長方
向が明確に異なる複数の部分が存在せず、従って、複数
の部分から成るコラム構造であるとはいえない。
【0049】中間部分は、磁性金属薄膜の厚さ方向から
20〜80°の角度で傾斜していることが好ましく、3
0〜70°の角度で傾斜していることがより好ましい。
上側部分および下側部分は、磁性金属薄膜の厚さ方向か
ら、中間部分よりも小さい角度で傾斜している必要があ
り、この条件の下で、上側部分および下側部分の磁性金
属薄膜の厚さ方向からの傾斜角は0〜60°であること
が好ましく、0〜50°であることがより好ましい。
20〜80°の角度で傾斜していることが好ましく、3
0〜70°の角度で傾斜していることがより好ましい。
上側部分および下側部分は、磁性金属薄膜の厚さ方向か
ら、中間部分よりも小さい角度で傾斜している必要があ
り、この条件の下で、上側部分および下側部分の磁性金
属薄膜の厚さ方向からの傾斜角は0〜60°であること
が好ましく、0〜50°であることがより好ましい。
【0050】本発明の第3の磁気記録媒体においては、
各コラムにおいて、上側部分の酸素濃度が高く、中間部
分の酸素濃度が最も小さく、下側部分の酸素濃度が中間
部分のそれよりも大きい。磁性金属薄膜がかかる特徴を
有することは、例えば、オージェ電子分光法によって確
認できる。具体的には、試料(ここでは磁性金属薄膜)
を厚さ方向で段階的にエッチングし、エッチングした各
位置にて酸素からの信号強度を測定して確認する。酸素
濃度が高いほど信号強度は大きくなるので、信号強度を
厚さの関数としてグラフに示せば、グラフの信号強度
は、表面側および非磁性基板側で強くなり、従って、酸
素濃度の高い上側および下側部分の間に酸素濃度の低い
中間部分が挟まれていることが判る。
各コラムにおいて、上側部分の酸素濃度が高く、中間部
分の酸素濃度が最も小さく、下側部分の酸素濃度が中間
部分のそれよりも大きい。磁性金属薄膜がかかる特徴を
有することは、例えば、オージェ電子分光法によって確
認できる。具体的には、試料(ここでは磁性金属薄膜)
を厚さ方向で段階的にエッチングし、エッチングした各
位置にて酸素からの信号強度を測定して確認する。酸素
濃度が高いほど信号強度は大きくなるので、信号強度を
厚さの関数としてグラフに示せば、グラフの信号強度
は、表面側および非磁性基板側で強くなり、従って、酸
素濃度の高い上側および下側部分の間に酸素濃度の低い
中間部分が挟まれていることが判る。
【0051】各部分において、酸素は、磁性金属と酸化
物を形成した状態で含まれていてよい。その場合、酸素
濃度の高い上側部分および下側部分では、金属元素の酸
化数が高い酸化物を含み、中間部分は上側部分および下
側部分に含まれる酸化物よりも金属元素の酸化数が小さ
い酸化物を含む。例えば、磁性金属としてCoを用いる
場合、上側部分ではCo2O3およびCo3O4が含まれる
割合が高く、中間部分ではCoおよびCoOが含まれる
割合が高くなると考えられる。
物を形成した状態で含まれていてよい。その場合、酸素
濃度の高い上側部分および下側部分では、金属元素の酸
化数が高い酸化物を含み、中間部分は上側部分および下
側部分に含まれる酸化物よりも金属元素の酸化数が小さ
い酸化物を含む。例えば、磁性金属としてCoを用いる
場合、上側部分ではCo2O3およびCo3O4が含まれる
割合が高く、中間部分ではCoおよびCoOが含まれる
割合が高くなると考えられる。
【0052】本発明の第4〜第7の磁気記録媒体は、上
記第1〜第3の磁気記録媒体のいずれか1つまたはすべ
ての特徴を有するものである。従って、例えば、第2お
よび第3の磁気記録媒体の特徴を有する第5の磁気記録
媒体においては、図2の(a)のようなコラム形状が観
察されるとともに、オージェ電子分光法によって酸素濃
度を測定すれば、上側および下側部分の酸素濃度が中間
部分のそれよりも高くなる。
記第1〜第3の磁気記録媒体のいずれか1つまたはすべ
ての特徴を有するものである。従って、例えば、第2お
よび第3の磁気記録媒体の特徴を有する第5の磁気記録
媒体においては、図2の(a)のようなコラム形状が観
察されるとともに、オージェ電子分光法によって酸素濃
度を測定すれば、上側および下側部分の酸素濃度が中間
部分のそれよりも高くなる。
【0053】磁性金属薄膜を構成する各コラムは、その
コラム径が下側部分において最も小さくなっているもの
であることが好ましい。コラムの下側部分の径が小さい
ほど、その上に結晶成長して形成される中間部分および
上側部分のコラム径も小さくなる傾向にあるため、下側
部分のコラム径を小さくすれば、コラム全体の径を小さ
くでき、それにより磁気記録媒体の記録密度をより向上
させることができる。
コラム径が下側部分において最も小さくなっているもの
であることが好ましい。コラムの下側部分の径が小さい
ほど、その上に結晶成長して形成される中間部分および
上側部分のコラム径も小さくなる傾向にあるため、下側
部分のコラム径を小さくすれば、コラム全体の径を小さ
くでき、それにより磁気記録媒体の記録密度をより向上
させることができる。
【0054】コラム径は、磁性金属薄膜の表面を原子間
力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)で観察
するとともに、磁性金属薄膜の厚さ方向の断面を透過型
電子顕微鏡(TEM)で観察することにより測定でき
る。下側部分のコラム径は、5〜50nmであることが好
ましい。また、各部分のコラム径の比は、上側部分:中
間部分:下側部分=1.5〜10:0.8〜5:1であ
ることが好ましく、4〜8:2〜4:1であることがよ
り好ましい。なお、各部分のコラム径は、各部分の厚さ
方向における中間地点のコラム径をもって、当該部分の
コラム径とする。
力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)で観察
するとともに、磁性金属薄膜の厚さ方向の断面を透過型
電子顕微鏡(TEM)で観察することにより測定でき
る。下側部分のコラム径は、5〜50nmであることが好
ましい。また、各部分のコラム径の比は、上側部分:中
間部分:下側部分=1.5〜10:0.8〜5:1であ
ることが好ましく、4〜8:2〜4:1であることがよ
り好ましい。なお、各部分のコラム径は、各部分の厚さ
方向における中間地点のコラム径をもって、当該部分の
コラム径とする。
【0055】磁性金属薄膜は、その全体の厚さが3〜5
00nmであることが好ましく、5〜300nmであること
がより好ましい。3nmよりも小さいと、磁性金属薄膜に
破れが生じ、電磁変換特性の確保および/または耐久性
等の信頼性を確保することが困難となる。500nmを超
えると、蒸着膜にクラック傷が生じたり、厚み損失によ
って電磁変換特性が劣化するおそれがある。
00nmであることが好ましく、5〜300nmであること
がより好ましい。3nmよりも小さいと、磁性金属薄膜に
破れが生じ、電磁変換特性の確保および/または耐久性
等の信頼性を確保することが困難となる。500nmを超
えると、蒸着膜にクラック傷が生じたり、厚み損失によ
って電磁変換特性が劣化するおそれがある。
【0056】磁性金属薄膜の厚さが上述した範囲内にあ
る場合、各コラムにおいて、上側部分、中間部分および
下側部分の厚さの比は、1〜10:2〜100:1
(上:中:下)であることが好ましく、1〜5:2〜8
0:1であることがより好ましい。上側部分および/ま
たは下側部分の占める割合が大きいと、中間部分の占め
る割合が小さくなる。中間部分の占める割合が小さい
と、厚み損失により電磁変換特性が劣化し、また、記録
密度が低下するおそれがある。一方、中間部分の占める
割合が大きいと、上側部分および/または下側部分の占
める割合が小さくなる。下側部分の占める割合が小さい
と、コラム全体の径が大きくなって媒体ノイズが高くな
り、CN比が悪くなる場合がある。上側部分の占める割
合が小さいと、磁気記録媒体が繰り返しの使用に耐えら
れず、耐久性の点で劣る場合がある。
る場合、各コラムにおいて、上側部分、中間部分および
下側部分の厚さの比は、1〜10:2〜100:1
(上:中:下)であることが好ましく、1〜5:2〜8
0:1であることがより好ましい。上側部分および/ま
たは下側部分の占める割合が大きいと、中間部分の占め
る割合が小さくなる。中間部分の占める割合が小さい
と、厚み損失により電磁変換特性が劣化し、また、記録
密度が低下するおそれがある。一方、中間部分の占める
割合が大きいと、上側部分および/または下側部分の占
める割合が小さくなる。下側部分の占める割合が小さい
と、コラム全体の径が大きくなって媒体ノイズが高くな
り、CN比が悪くなる場合がある。上側部分の占める割
合が小さいと、磁気記録媒体が繰り返しの使用に耐えら
れず、耐久性の点で劣る場合がある。
【0057】次に本発明の磁気記録媒体の製造方法を、
当該製造方法を実施するのに適した金属薄膜形成装置と
ともに説明する。
当該製造方法を実施するのに適した金属薄膜形成装置と
ともに説明する。
【0058】本発明の磁気記録媒体の製造方法は、記録
層である磁性金属薄膜の形成方法に特徴を有する。その
特徴は、ガスを2箇所以上から磁性金属蒸気流または非
磁性基板に蒸着された磁性金属薄膜に導入することに存
する。
層である磁性金属薄膜の形成方法に特徴を有する。その
特徴は、ガスを2箇所以上から磁性金属蒸気流または非
磁性基板に蒸着された磁性金属薄膜に導入することに存
する。
【0059】磁性金属蒸気流は、常套の方法により発生
させることができ、例えば、蒸発源に電子ビームを照射
することにより発生させることができる。蒸発源は、例
えば、坩堝に入れた磁性金属材料である。
させることができ、例えば、蒸発源に電子ビームを照射
することにより発生させることができる。蒸発源は、例
えば、坩堝に入れた磁性金属材料である。
【0060】磁性金属薄膜は斜方蒸着により形成するこ
とが好ましい。斜方蒸着は、真空蒸着槽内において、適
当な支持体上を移動する非磁性基板上に、所定の高入射
角成分から低入射角成分の磁性金属蒸気流を蒸着するこ
とによって実施される。非磁性基板は、キャン状回転支
持体またはベルト状支持体上を移動させるとよく、生産
性の点からはベルト状支持体上を移動させることが好ま
しい。
とが好ましい。斜方蒸着は、真空蒸着槽内において、適
当な支持体上を移動する非磁性基板上に、所定の高入射
角成分から低入射角成分の磁性金属蒸気流を蒸着するこ
とによって実施される。非磁性基板は、キャン状回転支
持体またはベルト状支持体上を移動させるとよく、生産
性の点からはベルト状支持体上を移動させることが好ま
しい。
【0061】斜方蒸着を実施するに際しては、磁性金属
薄膜(特に磁性金属薄膜の中間部分)の電磁特性を良好
なものとし、かつ、工業的な生産に適した付着効率を達
成するために、蒸発源および支持体を適当な位置に配
し、必要に応じて金属蒸気流の高入射角成分および低入
射角成分を所定範囲内に制限するために、遮蔽板を更に
設けるとよい。
薄膜(特に磁性金属薄膜の中間部分)の電磁特性を良好
なものとし、かつ、工業的な生産に適した付着効率を達
成するために、蒸発源および支持体を適当な位置に配
し、必要に応じて金属蒸気流の高入射角成分および低入
射角成分を所定範囲内に制限するために、遮蔽板を更に
設けるとよい。
【0062】例えば、ベルト状支持体を用いる場合、真
空蒸着の際の最小入射角(α)が35°以上となり、最
大入射角(β)が90°以下となるようにすることが好
ましい。最小入射角が35°未満では、蒸着された磁性
金属薄膜(特に中間部分)において保磁力が小さくな
り、磁気記録媒体において満足な電磁変換特性が得られ
ない。
空蒸着の際の最小入射角(α)が35°以上となり、最
大入射角(β)が90°以下となるようにすることが好
ましい。最小入射角が35°未満では、蒸着された磁性
金属薄膜(特に中間部分)において保磁力が小さくな
り、磁気記録媒体において満足な電磁変換特性が得られ
ない。
【0063】ベルト状支持体は、ベルト部と蒸発源の溶
解面(通常は水平面)との間に形成される傾斜角(θ)
が20°〜80°となるように傾けて設置する。θが小
さいと、付着効率は良くなるが、蒸着した磁性金属薄膜
の磁気特性は悪くなり、電磁変換特性も低下する。ま
た、θが大きいと、蒸着した磁性金属薄膜の磁気特性は
良好であり、電磁変換特性も向上するが、付着効率は悪
い。よって、蒸着した磁性金属薄膜の磁気特性と生産性
とを考慮すれば、θは上記範囲内にあることが好まし
く、30〜70°の範囲内にあることがより好ましい。
解面(通常は水平面)との間に形成される傾斜角(θ)
が20°〜80°となるように傾けて設置する。θが小
さいと、付着効率は良くなるが、蒸着した磁性金属薄膜
の磁気特性は悪くなり、電磁変換特性も低下する。ま
た、θが大きいと、蒸着した磁性金属薄膜の磁気特性は
良好であり、電磁変換特性も向上するが、付着効率は悪
い。よって、蒸着した磁性金属薄膜の磁気特性と生産性
とを考慮すれば、θは上記範囲内にあることが好まし
く、30〜70°の範囲内にあることがより好ましい。
【0064】また、坩堝の中央から延び、金属蒸気流の
最小入射角および最大入射角を規定する2つの線分の間
に形成される立体角(ω)は18°〜60°であること
が好ましい。18°より小さいと生産性が低下し、60
°を超えると生産性は向上するが、蒸着した磁性金属薄
膜の磁気特性が悪くなり、磁気記録媒体に必要な電磁変
換特性が得られない。
最小入射角および最大入射角を規定する2つの線分の間
に形成される立体角(ω)は18°〜60°であること
が好ましい。18°より小さいと生産性が低下し、60
°を超えると生産性は向上するが、蒸着した磁性金属薄
膜の磁気特性が悪くなり、磁気記録媒体に必要な電磁変
換特性が得られない。
【0065】図3に、ベルト状支持体を使用する場合
の、最小入射角(α)、最大入射角(β)、ベルト部の
傾斜角(θ)、および立体角(ω)を示す。最小入射角
(α)は、遮蔽板(16,20)によって広がりが制限され
た磁性金属蒸気流と、非磁性基板(1)の進行方向(図
示した態様ではベルト(8)の進行方向)に対する法線
とが、法線から見て進行方向側に形成する角度のうち、
最も小さい角度に相当する。最大入射角(β)は、遮蔽
板(16,20)によって広がりが制限された磁性金属蒸気
流と非磁性基板(1)の進行方向に対する法線(図示し
た態様では冷却ドラム(6)の半径方向に相当)とが、
法線から見て進行方向側に形成する角度のうち、最も大
きい角度に相当する。図示した態様において、蒸発源
(14)の溶解面は水平面であるため、ベルトの傾斜角
(θ)は水平面とベルト(8)との間に形成される角度
に相当する。立体角(ω)は、磁性金属蒸気流の最小入
射角(α)および最大入射角(β)を規定する2つの線
分の間に形成され、磁性金属蒸気流の広がりを示してい
る。
の、最小入射角(α)、最大入射角(β)、ベルト部の
傾斜角(θ)、および立体角(ω)を示す。最小入射角
(α)は、遮蔽板(16,20)によって広がりが制限され
た磁性金属蒸気流と、非磁性基板(1)の進行方向(図
示した態様ではベルト(8)の進行方向)に対する法線
とが、法線から見て進行方向側に形成する角度のうち、
最も小さい角度に相当する。最大入射角(β)は、遮蔽
板(16,20)によって広がりが制限された磁性金属蒸気
流と非磁性基板(1)の進行方向に対する法線(図示し
た態様では冷却ドラム(6)の半径方向に相当)とが、
法線から見て進行方向側に形成する角度のうち、最も大
きい角度に相当する。図示した態様において、蒸発源
(14)の溶解面は水平面であるため、ベルトの傾斜角
(θ)は水平面とベルト(8)との間に形成される角度
に相当する。立体角(ω)は、磁性金属蒸気流の最小入
射角(α)および最大入射角(β)を規定する2つの線
分の間に形成され、磁性金属蒸気流の広がりを示してい
る。
【0066】キャン状回転支持体を使用する場合、最小
入射角(α)は40°以上であることが好ましく、最大
入射角(β)は90°であることが好ましい。また、立
体角(ω)は10〜18°であることが好ましい。α、
βおよびωの好ましい範囲がこのように制限される理由
は、ベルト状支持体に関連して説明したとおりであるか
ら、ここではその説明を省略する。
入射角(α)は40°以上であることが好ましく、最大
入射角(β)は90°であることが好ましい。また、立
体角(ω)は10〜18°であることが好ましい。α、
βおよびωの好ましい範囲がこのように制限される理由
は、ベルト状支持体に関連して説明したとおりであるか
ら、ここではその説明を省略する。
【0067】図4にキャン状回転支持体を使用する場合
の、最小入射角(α)、最大入射角(β)、および立体
角(ω)を示す。最小入射角(α)および最大入射角
(β)は、遮蔽板(116,120)によって広がりが制限さ
れた磁性金属蒸気流と非磁性基板(101)の進行方向に
対する法線(キャン状回転支持体(106)の半径方向)
とがなす角度のうち、最も小さい角度および最も大きい
角度にそれぞれ相当する。立体角(ω)は、磁性金属蒸
気流の最小入射角(α)および最大入射角(β)を規定
する2つの線分の間に形成され、磁性金属蒸気流の広が
りを示している。
の、最小入射角(α)、最大入射角(β)、および立体
角(ω)を示す。最小入射角(α)および最大入射角
(β)は、遮蔽板(116,120)によって広がりが制限さ
れた磁性金属蒸気流と非磁性基板(101)の進行方向に
対する法線(キャン状回転支持体(106)の半径方向)
とがなす角度のうち、最も小さい角度および最も大きい
角度にそれぞれ相当する。立体角(ω)は、磁性金属蒸
気流の最小入射角(α)および最大入射角(β)を規定
する2つの線分の間に形成され、磁性金属蒸気流の広が
りを示している。
【0068】なお、磁性金属蒸気流は、図3および4を
参照して説明したように、遮蔽板によってその広がりが
ほぼ直線的に規定されるが、場合によっては、遮蔽板側
に回り込むようにして磁性金属蒸気流が広がることもあ
る。その場合には、この回り込んだ磁性金属蒸気流をも
利用して蒸着を実施してよい。
参照して説明したように、遮蔽板によってその広がりが
ほぼ直線的に規定されるが、場合によっては、遮蔽板側
に回り込むようにして磁性金属蒸気流が広がることもあ
る。その場合には、この回り込んだ磁性金属蒸気流をも
利用して蒸着を実施してよい。
【0069】本発明においては、上述した最小入射角
(α)等の条件を満たすように、磁性金属を蒸着させる
ときに、ガスを、2箇所以上から金属蒸気流または非磁
性基板に蒸着された磁性金属薄膜に導入する。ガスを磁
性金属蒸気流に導入すると磁性金属蒸気流は偏向するた
め、1つのコラムにおいて、偏向した磁性金属蒸気流で
形成された部分とそうでない部分とでは、磁性金属膜の
厚さ方向からの傾斜の度合いが異なることとなる。ま
た、ガスの成分(原子または分子)が磁性金属と反応性
を有するものである場合、あるいはガスの成分が磁性金
属薄膜に物理的に取り込まれるものである場合、少量の
ガスが導入された部分と、多量のガスが導入された部分
とでは、蒸着している化合物の種類、および/または元
素の組成比等が異なり、その結果、例えば各部分間で磁
束密度が異なることとなる。
(α)等の条件を満たすように、磁性金属を蒸着させる
ときに、ガスを、2箇所以上から金属蒸気流または非磁
性基板に蒸着された磁性金属薄膜に導入する。ガスを磁
性金属蒸気流に導入すると磁性金属蒸気流は偏向するた
め、1つのコラムにおいて、偏向した磁性金属蒸気流で
形成された部分とそうでない部分とでは、磁性金属膜の
厚さ方向からの傾斜の度合いが異なることとなる。ま
た、ガスの成分(原子または分子)が磁性金属と反応性
を有するものである場合、あるいはガスの成分が磁性金
属薄膜に物理的に取り込まれるものである場合、少量の
ガスが導入された部分と、多量のガスが導入された部分
とでは、蒸着している化合物の種類、および/または元
素の組成比等が異なり、その結果、例えば各部分間で磁
束密度が異なることとなる。
【0070】ガスを磁性金属蒸気流に導入するには、ガ
スを磁性金属蒸気流に効率良く当てるようにガスのフロ
ーを形成する必要がある。また、ガスを非磁性基板に蒸
着された磁性金属薄膜のみに導入する場合、ガスのフロ
ーが非磁性基板に当たるようにすればよく、磁性金属蒸
気流に当てる必要はない。但し、ガスが磁性金属蒸気流
に導入されない場合には、各コラムにおいて、磁性金属
薄膜の厚さ方向からの傾きの度合いの相異によって区別
できる部分を形成することができないから、ガスの導入
により他の部分と区別される部分を形成するには、ガス
は蒸着された磁性金属と反応する、または蒸着された磁
性金属薄膜内に物理的に取り込まれるものであることが
好ましい。そのようなガスは、例えば、磁性金属を酸化
するガスである。
スを磁性金属蒸気流に効率良く当てるようにガスのフロ
ーを形成する必要がある。また、ガスを非磁性基板に蒸
着された磁性金属薄膜のみに導入する場合、ガスのフロ
ーが非磁性基板に当たるようにすればよく、磁性金属蒸
気流に当てる必要はない。但し、ガスが磁性金属蒸気流
に導入されない場合には、各コラムにおいて、磁性金属
薄膜の厚さ方向からの傾きの度合いの相異によって区別
できる部分を形成することができないから、ガスの導入
により他の部分と区別される部分を形成するには、ガス
は蒸着された磁性金属と反応する、または蒸着された磁
性金属薄膜内に物理的に取り込まれるものであることが
好ましい。そのようなガスは、例えば、磁性金属を酸化
するガスである。
【0071】ガスは、非磁性基板の蒸着開始点付近およ
び蒸着終了点付近にて磁性金属蒸気流または非磁性基板
に蒸着された磁性金属薄膜に導入することが好ましい。
例えば、図3に示すように、ベルト状支持体を使用する
場合には、ガスの吐出部を備えたノズル(18,22)を遮
蔽板(16,20)にそれぞれ近接して設けるとよい。同様
に、図4に示すように、キャン状回転支持体を使用する
場合にも、同様のノズル(118,122)を遮蔽板(116,1
20)にそれぞれ近接して設けるとよい。図示した態様の
いずれにおいても、ガスは金属蒸気流に導入される角度
でノズルから吐出されている。
び蒸着終了点付近にて磁性金属蒸気流または非磁性基板
に蒸着された磁性金属薄膜に導入することが好ましい。
例えば、図3に示すように、ベルト状支持体を使用する
場合には、ガスの吐出部を備えたノズル(18,22)を遮
蔽板(16,20)にそれぞれ近接して設けるとよい。同様
に、図4に示すように、キャン状回転支持体を使用する
場合にも、同様のノズル(118,122)を遮蔽板(116,1
20)にそれぞれ近接して設けるとよい。図示した態様の
いずれにおいても、ガスは金属蒸気流に導入される角度
でノズルから吐出されている。
【0072】ガスは、非磁性基板の蒸着開始点付近にお
いて、非磁性基板に向かって非磁性基板と20〜150
°の角度をなす方向に導入されることが好ましい。非磁
性基板に向かって導入されるガスと非磁性基板とで形成
される角度とは、図1の(a)に示すように、非磁性基
板までのガスのフローに相当する線分Kと非磁性基板と
の間で、非磁性基板の進行方向の後側に形成される角度
γ1をいう。ガスのフローが非磁性基板の曲面に衝突す
る場合には、図1の(a)に示すように、フローの衝突
点における接線hと線分K’との間に形成される角度を
γ1とする。なお、角度γ1は、フローの主たる流れと
非磁性基板との間に形成される角度であり、実際の蒸着
に際して、ガスはこの主たる流れを中心とする広がりを
有するフローとして導入される。
いて、非磁性基板に向かって非磁性基板と20〜150
°の角度をなす方向に導入されることが好ましい。非磁
性基板に向かって導入されるガスと非磁性基板とで形成
される角度とは、図1の(a)に示すように、非磁性基
板までのガスのフローに相当する線分Kと非磁性基板と
の間で、非磁性基板の進行方向の後側に形成される角度
γ1をいう。ガスのフローが非磁性基板の曲面に衝突す
る場合には、図1の(a)に示すように、フローの衝突
点における接線hと線分K’との間に形成される角度を
γ1とする。なお、角度γ1は、フローの主たる流れと
非磁性基板との間に形成される角度であり、実際の蒸着
に際して、ガスはこの主たる流れを中心とする広がりを
有するフローとして導入される。
【0073】上記角度γ1が20°よりも小さい場合、
下側部分の結晶成長方向の垂直配向性を高くすることが
難しい。また、150°よりも大きい場合には、磁性金
属蒸気流および非磁性基板上に蒸着した磁性金属薄膜の
いずれにもガスが導入されにくく、従って、中間部分と
区別し得る下側部分を形成することができない。下側部
分の結晶成長方向の垂直配向性を高くする、または磁性
金属薄膜の厚さ方向からの傾斜を小さくする場合には、
上記角度γ1を40〜130°にすることが好ましい。
下側部分の結晶成長方向の垂直配向性を高くすることが
難しい。また、150°よりも大きい場合には、磁性金
属蒸気流および非磁性基板上に蒸着した磁性金属薄膜の
いずれにもガスが導入されにくく、従って、中間部分と
区別し得る下側部分を形成することができない。下側部
分の結晶成長方向の垂直配向性を高くする、または磁性
金属薄膜の厚さ方向からの傾斜を小さくする場合には、
上記角度γ1を40〜130°にすることが好ましい。
【0074】ガスは、非磁性基板の蒸着終了点付近にお
いて、非磁性基板の進行方向とは反対側の方向に向かっ
て非磁性基板から遠ざかるように非磁性基板と+90〜
−90°の角度をなす方向に導入されることが好まし
い。ここで、ガスを非磁性基板から遠ざかるように導入
するとは、ガスが進行するにつれて非磁性基板から離れ
るようにすることをいう。このように導入されるガスと
非磁性基板とで形成される角度とは、図1の(b)に示
すように、ガスのフローjとフローjの始点における非
磁性基板の進行方向と平行な面(図1の(b)の点線に
相当)との間で非磁性基板の進行方向の後側に形成され
る角度γ2をいう。フローj'''のように、フローの始
点において非磁性基板が曲面に沿って進行している場合
には、その点における非磁性基板の接線hと平行な面と
の間で形成される角度をγ2とする。γ2が0°である
場合、ガスのフローは非磁性基板と平行になる。ガスの
フローと非磁性基板とがマイナスの角度を形成する場
合、図1の(b)のフローj’のように、ガスは非磁性
基板に近づくように、即ち、非磁性基板と衝突するよう
に導入される。なお、角度γ1と同様、角度γ2はフロ
ーの主たる流れと非磁性基板との間に形成される角度で
あり、実際の蒸着に際して、ガスはこの主たる流れを中
心とする広がりを有するフローとして導入される。
いて、非磁性基板の進行方向とは反対側の方向に向かっ
て非磁性基板から遠ざかるように非磁性基板と+90〜
−90°の角度をなす方向に導入されることが好まし
い。ここで、ガスを非磁性基板から遠ざかるように導入
するとは、ガスが進行するにつれて非磁性基板から離れ
るようにすることをいう。このように導入されるガスと
非磁性基板とで形成される角度とは、図1の(b)に示
すように、ガスのフローjとフローjの始点における非
磁性基板の進行方向と平行な面(図1の(b)の点線に
相当)との間で非磁性基板の進行方向の後側に形成され
る角度γ2をいう。フローj'''のように、フローの始
点において非磁性基板が曲面に沿って進行している場合
には、その点における非磁性基板の接線hと平行な面と
の間で形成される角度をγ2とする。γ2が0°である
場合、ガスのフローは非磁性基板と平行になる。ガスの
フローと非磁性基板とがマイナスの角度を形成する場
合、図1の(b)のフローj’のように、ガスは非磁性
基板に近づくように、即ち、非磁性基板と衝突するよう
に導入される。なお、角度γ1と同様、角度γ2はフロ
ーの主たる流れと非磁性基板との間に形成される角度で
あり、実際の蒸着に際して、ガスはこの主たる流れを中
心とする広がりを有するフローとして導入される。
【0075】上記角度γ2が+90°よりも大きい場合
には、ガスの導入量が不十分で上側部分の厚さが小さく
なり、優れた磁気特性を磁性金属薄膜に付与できない。
角度γ2が−90°よりも小さい場合にも、ガスの導入
量が不十分となり、例えば上側部分における酸素濃度が
小さくなるため、磁性金属薄膜は十分な耐久性を有する
ことができず、また、磁気特性の点でも劣ったものとな
る。
には、ガスの導入量が不十分で上側部分の厚さが小さく
なり、優れた磁気特性を磁性金属薄膜に付与できない。
角度γ2が−90°よりも小さい場合にも、ガスの導入
量が不十分となり、例えば上側部分における酸素濃度が
小さくなるため、磁性金属薄膜は十分な耐久性を有する
ことができず、また、磁気特性の点でも劣ったものとな
る。
【0076】特に、上側部分の結晶成長方向の垂直配向
性を高くしたい場合には、磁性金属蒸気流(遮蔽板側に
回り込む磁性金属蒸気流を含む)にガスのフローが接触
する(または当てられる)ことを条件として、上記角度
γ2を70〜−80°にして磁性金属蒸気流の外側から
ガスを磁性金属蒸気流に導入することが好ましい。ある
いは、図1の(b)のフローj”のように、磁性金属蒸
気流内を通過してから、非磁性基板と衝突するように、
即ちγ2がマイナスの角度となるように、ガスを導入す
ることによっても、上側部分の結晶成長方向の垂直配向
性を高くすることができる。
性を高くしたい場合には、磁性金属蒸気流(遮蔽板側に
回り込む磁性金属蒸気流を含む)にガスのフローが接触
する(または当てられる)ことを条件として、上記角度
γ2を70〜−80°にして磁性金属蒸気流の外側から
ガスを磁性金属蒸気流に導入することが好ましい。ある
いは、図1の(b)のフローj”のように、磁性金属蒸
気流内を通過してから、非磁性基板と衝突するように、
即ちγ2がマイナスの角度となるように、ガスを導入す
ることによっても、上側部分の結晶成長方向の垂直配向
性を高くすることができる。
【0077】一方、例えば、ノズルを磁性金属蒸気流の
外に配置し、γ2がマイナスとなるようにガスを導入し
た場合において、ガスのフローが磁性金属蒸気流(遮蔽
板側に回り込む磁性金属蒸気流を含む)に接触しない
(または当てられない)ときは、磁性金属蒸気流にはガ
スは導入されず、蒸着された磁性金属薄膜にガスが導入
されることとなる。
外に配置し、γ2がマイナスとなるようにガスを導入し
た場合において、ガスのフローが磁性金属蒸気流(遮蔽
板側に回り込む磁性金属蒸気流を含む)に接触しない
(または当てられない)ときは、磁性金属蒸気流にはガ
スは導入されず、蒸着された磁性金属薄膜にガスが導入
されることとなる。
【0078】ガス導入手段は、非磁性基板の蒸着開始点
付近および蒸着終了点付近以外の箇所に設けてもよい。
例えば、後述する実施例2のように、3箇所にノズルを
設けてもよい(図5参照)。
付近および蒸着終了点付近以外の箇所に設けてもよい。
例えば、後述する実施例2のように、3箇所にノズルを
設けてもよい(図5参照)。
【0079】本発明において、磁性金属薄膜を形成する
各コラムの上側部分、中間部分および下側部分の結晶構
造、コラム径、結晶成長の方向、ならびに金属を酸化す
るガスを導入した場合の各部分における磁性金属の酸化
数等は、ガスの種類、ガスの圧力、ガスの流量、及びノ
ズルの吐出部の形状等によりコントロールできる。
各コラムの上側部分、中間部分および下側部分の結晶構
造、コラム径、結晶成長の方向、ならびに金属を酸化す
るガスを導入した場合の各部分における磁性金属の酸化
数等は、ガスの種類、ガスの圧力、ガスの流量、及びノ
ズルの吐出部の形状等によりコントロールできる。
【0080】本発明の製造方法においては、磁性金属蒸
気流を2箇所以上から生じさせて蒸着を実施してもよ
い。そのためには、真空蒸着槽内に磁性金属の蒸発源を
1つまたは複数、追加する必要がある。追加の蒸発源
は、通常の真空蒸着を実施するための蒸発源(例えば、
坩堝に入った磁性金属)であってよく、またはスパッタ
蒸着を実施するためのターゲットであってもよい。
気流を2箇所以上から生じさせて蒸着を実施してもよ
い。そのためには、真空蒸着槽内に磁性金属の蒸発源を
1つまたは複数、追加する必要がある。追加の蒸発源
は、通常の真空蒸着を実施するための蒸発源(例えば、
坩堝に入った磁性金属)であってよく、またはスパッタ
蒸着を実施するためのターゲットであってもよい。
【0081】スパッタ蒸着を実施するためのターゲット
は、例えば、真空蒸着槽内の適当な位置に遮蔽板を追加
し、これに磁性金属薄膜を真空蒸着させることによって
形成できる。その場合には、ターゲットを別途用意する
必要がなく、1つの真空蒸着槽内で、追加の蒸発源を形
成できると同時に、主蒸着として真空蒸着を、補助的な
蒸着として、主蒸着により形成された蒸発源を用いるス
パッタ蒸着を実施できる。スパッタ蒸着は、スパッタ蒸
発した金属が高入射角成分として蒸着されることが好ま
しく、従って、ターゲットは非磁性基板の蒸着終了点付
近に設けることが好ましい。
は、例えば、真空蒸着槽内の適当な位置に遮蔽板を追加
し、これに磁性金属薄膜を真空蒸着させることによって
形成できる。その場合には、ターゲットを別途用意する
必要がなく、1つの真空蒸着槽内で、追加の蒸発源を形
成できると同時に、主蒸着として真空蒸着を、補助的な
蒸着として、主蒸着により形成された蒸発源を用いるス
パッタ蒸着を実施できる。スパッタ蒸着は、スパッタ蒸
発した金属が高入射角成分として蒸着されることが好ま
しく、従って、ターゲットは非磁性基板の蒸着終了点付
近に設けることが好ましい。
【0082】以上、本発明の磁気記録媒体およびその製
造方法、ならびに当該方法を実施するのに適した金属薄
膜形成装置を説明したが、上記において特に言及しなか
った要素または部材は、常套的に採用されている材料お
よび方法を用いて構成することができる。例えば、磁気
記録媒体は、非磁性基板の一方の面に形成された磁性金
属薄膜の上に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)
等から成る保護膜、および含フッ素化合物を含む潤滑剤
層がこの順に形成され、非磁性基板の他方の面にバック
コート層が形成された構造としてよい。
造方法、ならびに当該方法を実施するのに適した金属薄
膜形成装置を説明したが、上記において特に言及しなか
った要素または部材は、常套的に採用されている材料お
よび方法を用いて構成することができる。例えば、磁気
記録媒体は、非磁性基板の一方の面に形成された磁性金
属薄膜の上に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)
等から成る保護膜、および含フッ素化合物を含む潤滑剤
層がこの順に形成され、非磁性基板の他方の面にバック
コート層が形成された構造としてよい。
【0083】真空蒸着を実施するに際し、ベルト状支持
体を使用する場合には、冷却回転ドラムの数を増やす、
あるいは回転ドラムの径を変えることによって、冷却効
果を高めることができる。ベルトの張力を高めるため
に、テンションローラ等を設けてもよい。また、ベルト
の走行を安定させるために、冷却ドラムの形状をクラウ
ンの太鼓型にすること、ベルトにローラガイドを設ける
こと、またはエッジポジチョンコントロ−ル(EPC)を設
けることが可能である。
体を使用する場合には、冷却回転ドラムの数を増やす、
あるいは回転ドラムの径を変えることによって、冷却効
果を高めることができる。ベルトの張力を高めるため
に、テンションローラ等を設けてもよい。また、ベルト
の走行を安定させるために、冷却ドラムの形状をクラウ
ンの太鼓型にすること、ベルトにローラガイドを設ける
こと、またはエッジポジチョンコントロ−ル(EPC)を設
けることが可能である。
【0084】上記においては、斜方蒸着法により形成す
る面内磁気記録媒体に関連して本発明を説明したが、本
発明は、磁性金属薄膜がCo、Co-Cr等から成る垂
直磁気記録媒体にも適用できる。
る面内磁気記録媒体に関連して本発明を説明したが、本
発明は、磁性金属薄膜がCo、Co-Cr等から成る垂
直磁気記録媒体にも適用できる。
【0085】また、本発明は、磁気記録媒体に限られ
ず、酸化ケイ素を用いる液晶用配向膜あるいは太陽電池
において変換効率を高くするために形成されるシリコン
系の高配向膜等、各種の機能性薄膜等の形成にも応用で
きる。そのような薄膜を形成するには、非磁性基板およ
び磁性金属の代わりに、用途に適した基板および金属を
用い、上記の方法と同様の方法にて蒸着を実施すればよ
い。
ず、酸化ケイ素を用いる液晶用配向膜あるいは太陽電池
において変換効率を高くするために形成されるシリコン
系の高配向膜等、各種の機能性薄膜等の形成にも応用で
きる。そのような薄膜を形成するには、非磁性基板およ
び磁性金属の代わりに、用途に適した基板および金属を
用い、上記の方法と同様の方法にて蒸着を実施すればよ
い。
【0086】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
明する。
【0087】(実施例1)図3に示すようにして、非磁
性基板上に磁性金属薄膜を形成した。本実施例では非磁
性基板(1)として、ポリエステル(PET)フィルム
を使用し、磁性金属(14)としてCo金属を使用した。
また、上部および下部冷却回転ドラム(6a、6b)を
冷却する冷媒の設定温度は−20℃とした。非磁性基板
(1)は送り軸(2)にセットし、蒸着時のライン速度
を200m/分に設定して、ニップローラ(4)、上部
冷却回転ドラム(6a)、板状ベルト(8)、下部冷却
回転ドラム(6b)を経て巻取り軸(10)で巻き取るよ
うにした。エンドレスベルト(8)の傾斜角(θ)は磁
性金属(14)の溶解面(本実施例においては水平面に相
当)に対し55°とした。真空蒸着は、強磁性金属Co
(14)に電子ビーム(12)を照射して、当該合金を溶解
および蒸発させ、下方より斜方蒸着されるようにして実
施した。金属蒸気流の広がりは2つの遮蔽板(16,20)
により制限し、最大入射角(β)87°から最小入射角
(α)38°までの成分が蒸着されるようにした。この
とき、立体角(ω)は34°であった。
性基板上に磁性金属薄膜を形成した。本実施例では非磁
性基板(1)として、ポリエステル(PET)フィルム
を使用し、磁性金属(14)としてCo金属を使用した。
また、上部および下部冷却回転ドラム(6a、6b)を
冷却する冷媒の設定温度は−20℃とした。非磁性基板
(1)は送り軸(2)にセットし、蒸着時のライン速度
を200m/分に設定して、ニップローラ(4)、上部
冷却回転ドラム(6a)、板状ベルト(8)、下部冷却
回転ドラム(6b)を経て巻取り軸(10)で巻き取るよ
うにした。エンドレスベルト(8)の傾斜角(θ)は磁
性金属(14)の溶解面(本実施例においては水平面に相
当)に対し55°とした。真空蒸着は、強磁性金属Co
(14)に電子ビーム(12)を照射して、当該合金を溶解
および蒸発させ、下方より斜方蒸着されるようにして実
施した。金属蒸気流の広がりは2つの遮蔽板(16,20)
により制限し、最大入射角(β)87°から最小入射角
(α)38°までの成分が蒸着されるようにした。この
とき、立体角(ω)は34°であった。
【0088】蒸着中、156kPa(1.6Kgf/cm2)
の酸素ガスを、遮蔽板(16,20)に近接して設けたノズ
ル(18,22)から金属蒸気流に導入した。使用したノズ
ルはいずれも、横方向の長さがPETフィルムの幅と同
寸であり、縦方向の長さが40mmである矩形の吐出部を
有し、200cm3/分の流量でガスを吐出できるもので
ある。酸素ガスは、ノズル(22)からは非磁性基板
(1)に向かって非磁性基板(1)と80°の角度をな
す方向に導入し、ノズル(18)からは非磁性基板(1)
の進行方向とは反対側の方向に向かって非磁性基板
(1)から遠ざかるように非磁性基板(1)と25°の
角度をなす方向に導入した。蒸着は、磁性金属薄膜の全
体の厚さが150nmとなるまで実施した。蒸着後、磁性
金属薄膜の表面にDLC保護層と潤滑剤層を形成し、非
磁性基板の磁性金属薄膜が形成されていない面にバック
コ−ト層を設け、これをスリッテイングしてテープ状の
磁気記録媒体を得た。
の酸素ガスを、遮蔽板(16,20)に近接して設けたノズ
ル(18,22)から金属蒸気流に導入した。使用したノズ
ルはいずれも、横方向の長さがPETフィルムの幅と同
寸であり、縦方向の長さが40mmである矩形の吐出部を
有し、200cm3/分の流量でガスを吐出できるもので
ある。酸素ガスは、ノズル(22)からは非磁性基板
(1)に向かって非磁性基板(1)と80°の角度をな
す方向に導入し、ノズル(18)からは非磁性基板(1)
の進行方向とは反対側の方向に向かって非磁性基板
(1)から遠ざかるように非磁性基板(1)と25°の
角度をなす方向に導入した。蒸着は、磁性金属薄膜の全
体の厚さが150nmとなるまで実施した。蒸着後、磁性
金属薄膜の表面にDLC保護層と潤滑剤層を形成し、非
磁性基板の磁性金属薄膜が形成されていない面にバック
コ−ト層を設け、これをスリッテイングしてテープ状の
磁気記録媒体を得た。
【0089】(実施例2)図5に示すようにして、非磁
性基板上(1)に磁性金属薄膜を形成した。本実施例で
は非磁性基板(1)として、ポリエチレンナフタレート
(PEN)フィルムを使用し、磁性金属(14)としてC
o−Ni合金(Co/Niは4/1(重量比))を使用
した。また、上部および下部冷却回転ドラム(6a、6
b)を冷却する冷媒の設定温度は−15℃とした。非磁
性基板(1)は送り軸(2)にセットし、蒸着時のライ
ン速度を150m/分に設定して、ニップローラ
(4)、上部冷却回転ドラム(6a)、板状ベルト
(8)、下部冷却回転ドラム(6b)を経て巻取り軸
(10)で巻き取るようにした。エンドレスベルト(8)
の傾斜角(θ)は磁性金属(14)の溶解面(本実施例に
おいては水平面に相当)に対し70°とした。真空蒸着
は、実施例1と同様にして実施した。金属蒸気流の広が
りは2つの遮蔽板(16,20)により制限し、最大入射角
(β)80°から最小入射角(α)40°までの成分が
蒸着されるようにした。立体角(ω)は20°であっ
た。
性基板上(1)に磁性金属薄膜を形成した。本実施例で
は非磁性基板(1)として、ポリエチレンナフタレート
(PEN)フィルムを使用し、磁性金属(14)としてC
o−Ni合金(Co/Niは4/1(重量比))を使用
した。また、上部および下部冷却回転ドラム(6a、6
b)を冷却する冷媒の設定温度は−15℃とした。非磁
性基板(1)は送り軸(2)にセットし、蒸着時のライ
ン速度を150m/分に設定して、ニップローラ
(4)、上部冷却回転ドラム(6a)、板状ベルト
(8)、下部冷却回転ドラム(6b)を経て巻取り軸
(10)で巻き取るようにした。エンドレスベルト(8)
の傾斜角(θ)は磁性金属(14)の溶解面(本実施例に
おいては水平面に相当)に対し70°とした。真空蒸着
は、実施例1と同様にして実施した。金属蒸気流の広が
りは2つの遮蔽板(16,20)により制限し、最大入射角
(β)80°から最小入射角(α)40°までの成分が
蒸着されるようにした。立体角(ω)は20°であっ
た。
【0090】蒸着中、196kPa(2kgf/cm2)の酸素
ガスを、遮蔽板(16,20)に近接して設けたノズル(1
8,22)および蒸発源(14)に近い最大入射角成分に近
接して設けたノズル(24)から金属蒸気流に導入した。
使用したノズルはいずれも実施例1と同じものである。
酸素ガスは、ノズル(22)からは非磁性基板に向かって
非磁性基板と70°の角度をなす方向に導入し、ノズル
から(18)は、非磁性基板(1)の進行方向とは反対側
の方向に向かって非磁性基板(1)から遠ざかるように
非磁性基板(1)と0°の角度をなす方向に導入し、さ
らに、ノズル(24)からは、非磁性基板(1)に向かっ
て、非磁性基板(1)と90°の角度をなす方向に導入
した。蒸着は、磁性金属薄膜の全体の厚さが150nmと
なるまで実施した。蒸着後、実施例1と同様にして磁気
記録媒体を作製した。
ガスを、遮蔽板(16,20)に近接して設けたノズル(1
8,22)および蒸発源(14)に近い最大入射角成分に近
接して設けたノズル(24)から金属蒸気流に導入した。
使用したノズルはいずれも実施例1と同じものである。
酸素ガスは、ノズル(22)からは非磁性基板に向かって
非磁性基板と70°の角度をなす方向に導入し、ノズル
から(18)は、非磁性基板(1)の進行方向とは反対側
の方向に向かって非磁性基板(1)から遠ざかるように
非磁性基板(1)と0°の角度をなす方向に導入し、さ
らに、ノズル(24)からは、非磁性基板(1)に向かっ
て、非磁性基板(1)と90°の角度をなす方向に導入
した。蒸着は、磁性金属薄膜の全体の厚さが150nmと
なるまで実施した。蒸着後、実施例1と同様にして磁気
記録媒体を作製した。
【0091】(実施例3)図4に示すようにして、非磁
性基板上に磁性金属薄膜を形成した。本実施例では非磁
性基板(101)として、ポリエステル(PET)フィル
ムを使用し、磁性金属(114)としてCo金属を使用し
た。非磁性基板(101)は送り軸(102)にセットし、蒸
着時のライン速度を60m/分に設定して、冷却回転ド
ラム(106)を経て巻取り軸(110)で巻き取るようにし
た。また、冷却回転ドラム(106)を冷却する冷媒の設
定温度は0℃とした。真空蒸着は、電子ビーム(112)
を使用して実施例1と同様にして実施した。金属蒸気流
の広がりは2つの遮蔽板(116,120)により制限し、最
大入射角(β)90°から最小入射角(α)45°まで
の成分が蒸着されるようにした。立体角(ω)は15°
であった。
性基板上に磁性金属薄膜を形成した。本実施例では非磁
性基板(101)として、ポリエステル(PET)フィル
ムを使用し、磁性金属(114)としてCo金属を使用し
た。非磁性基板(101)は送り軸(102)にセットし、蒸
着時のライン速度を60m/分に設定して、冷却回転ド
ラム(106)を経て巻取り軸(110)で巻き取るようにし
た。また、冷却回転ドラム(106)を冷却する冷媒の設
定温度は0℃とした。真空蒸着は、電子ビーム(112)
を使用して実施例1と同様にして実施した。金属蒸気流
の広がりは2つの遮蔽板(116,120)により制限し、最
大入射角(β)90°から最小入射角(α)45°まで
の成分が蒸着されるようにした。立体角(ω)は15°
であった。
【0092】蒸着中、245kPa(2.5kgf/cm2)
の酸素ガスを、遮蔽板(116,120)に近接して設けたノ
ズル(118,120)から金属蒸気流に導入した。使用した
ノズルはいずれも実施例1と同じものである。酸素ガス
は、ノズル(122)からは非磁性基板に向かって非磁性
基板(1)と90°の角度をなす方向に導入し、ノズル
(118)からは、非磁性基板(1)の進行方向とは逆向
きの方向に(即ち、ガスのフローと非磁性基板(1)と
の間に形成される角度を0°として)導入した。蒸着
は、磁性金属薄膜の全体の厚さが150nmとなるまで実
施した。蒸着後、実施例1と同様にして磁気記録媒体を
作製した。
の酸素ガスを、遮蔽板(116,120)に近接して設けたノ
ズル(118,120)から金属蒸気流に導入した。使用した
ノズルはいずれも実施例1と同じものである。酸素ガス
は、ノズル(122)からは非磁性基板に向かって非磁性
基板(1)と90°の角度をなす方向に導入し、ノズル
(118)からは、非磁性基板(1)の進行方向とは逆向
きの方向に(即ち、ガスのフローと非磁性基板(1)と
の間に形成される角度を0°として)導入した。蒸着
は、磁性金属薄膜の全体の厚さが150nmとなるまで実
施した。蒸着後、実施例1と同様にして磁気記録媒体を
作製した。
【0093】(実施例4)図6に示すようにして、非磁
性基板上に磁性金属薄膜を形成した。本実施例では非磁
性基板(1)として、アラミド(PPTA)フィルムを
使用し、磁性金属(14)としてCo金属を使用した。非
磁性基板(1)は、蒸着時のライン速度を200m/分
に設定して、ニップローラ(4)、上部冷却回転ドラム
(6a)、板状ベルト(8)、下部冷却ドラム(6b)
を経て巻取り軸(10)で巻き取るようにした。また、上
部および下部冷却回転ドラム(6a、6b)を冷却する
冷媒の設定温度は−20℃とした。エンドレスベルト
(8)の傾斜角(θ)は磁性金属(14)の溶解面(本実
施例においては水平面に相当)に対し50°とした。真
空蒸着は、実施例1と同様にして実施した。金属蒸気流
の広がりは2つの遮蔽板(16,20)により制限し、最大
入射角(β)90°から最小入射角(α)40°までの
成分が蒸着されるようにした。立体角(ω)は32°で
あった。
性基板上に磁性金属薄膜を形成した。本実施例では非磁
性基板(1)として、アラミド(PPTA)フィルムを
使用し、磁性金属(14)としてCo金属を使用した。非
磁性基板(1)は、蒸着時のライン速度を200m/分
に設定して、ニップローラ(4)、上部冷却回転ドラム
(6a)、板状ベルト(8)、下部冷却ドラム(6b)
を経て巻取り軸(10)で巻き取るようにした。また、上
部および下部冷却回転ドラム(6a、6b)を冷却する
冷媒の設定温度は−20℃とした。エンドレスベルト
(8)の傾斜角(θ)は磁性金属(14)の溶解面(本実
施例においては水平面に相当)に対し50°とした。真
空蒸着は、実施例1と同様にして実施した。金属蒸気流
の広がりは2つの遮蔽板(16,20)により制限し、最大
入射角(β)90°から最小入射角(α)40°までの
成分が蒸着されるようにした。立体角(ω)は32°で
あった。
【0094】更に、遮蔽板(20)の付近に、別の遮蔽板
(26)を非磁性基板(1)と対向するように設け、金属
蒸気流の一部が蒸着されるようにするとともに、当該遮
蔽板に蒸着された磁性金属をターゲットとしてイオンビ
ーム(28)を照射することにより、非磁性基板(1)に
磁性金属を補助的にスパッタ蒸着させた。
(26)を非磁性基板(1)と対向するように設け、金属
蒸気流の一部が蒸着されるようにするとともに、当該遮
蔽板に蒸着された磁性金属をターゲットとしてイオンビ
ーム(28)を照射することにより、非磁性基板(1)に
磁性金属を補助的にスパッタ蒸着させた。
【0095】蒸着中、196kPa(2kgf/cm2)の酸
素ガスを、遮蔽板(16,20)に近接して設けたノズル
(18,22)から金属蒸気流に導入した。使用したノズル
は実施例1と同じものである。酸素ガスは、ノズル(2
2)からは非磁性基板に向かって非磁性基板と90°の
角度をなす方向に導入し、ノズル(18)からは、非磁性
基板(1)の進行方向とは反対側の方向に向かって非磁
性基板(1)から遠ざかるように非磁性基板(1)と1
0°の角度をなす方向に導入した。蒸着は、磁性金属薄
膜の全体の厚さが150nmとなるまで実施した。蒸着
後、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
素ガスを、遮蔽板(16,20)に近接して設けたノズル
(18,22)から金属蒸気流に導入した。使用したノズル
は実施例1と同じものである。酸素ガスは、ノズル(2
2)からは非磁性基板に向かって非磁性基板と90°の
角度をなす方向に導入し、ノズル(18)からは、非磁性
基板(1)の進行方向とは反対側の方向に向かって非磁
性基板(1)から遠ざかるように非磁性基板(1)と1
0°の角度をなす方向に導入した。蒸着は、磁性金属薄
膜の全体の厚さが150nmとなるまで実施した。蒸着
後、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0096】(実施例5)酸素ガスをノズル(22)から
は非磁性基板に向かって非磁性基板と90°の角度をな
す方向に導入し、ノズル(18)からは、非磁性基板
(1)の進行方向とは反対側の方向に向かって非磁性基
板(1)から遠ざかるように非磁性基板(1)と15°
の角度をなす方向に導入し、また、いずれのノズルにお
いても酸素の流量を3/4倍にしたことを除いては、実
施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
は非磁性基板に向かって非磁性基板と90°の角度をな
す方向に導入し、ノズル(18)からは、非磁性基板
(1)の進行方向とは反対側の方向に向かって非磁性基
板(1)から遠ざかるように非磁性基板(1)と15°
の角度をなす方向に導入し、また、いずれのノズルにお
いても酸素の流量を3/4倍にしたことを除いては、実
施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0097】(実施例6)酸素ガスをノズル(22)から
は非磁性基板に向かって非磁性基板と80°の角度をな
す方向に導入し、ノズル(18)からは、非磁性基板
(1)の進行方向とは反対側の方向に向かって非磁性基
板(1)から遠ざかるように非磁性基板(1)と35°
の角度をなす方向に導入し、また、いずれのノズルにお
いても酸素の流量を半分にしたことを除いては、実施例
1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
は非磁性基板に向かって非磁性基板と80°の角度をな
す方向に導入し、ノズル(18)からは、非磁性基板
(1)の進行方向とは反対側の方向に向かって非磁性基
板(1)から遠ざかるように非磁性基板(1)と35°
の角度をなす方向に導入し、また、いずれのノズルにお
いても酸素の流量を半分にしたことを除いては、実施例
1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0098】(実施例7)2つのノズル(22,18)のい
ずれにおいても、酸素の流量を2倍としたことを除いて
は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
ずれにおいても、酸素の流量を2倍としたことを除いて
は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0099】(比較例1)図7に示すようにして、非磁
性基板上に磁性金属薄膜を形成した。ここで実施した真
空蒸着法は、従来の真空蒸着法に相当する。真空蒸着
は、蒸着開始点付近で金属蒸気流にガスを導入しなかっ
たことを除いては(即ち、図4のノズル(122)に相当
するノズルを設けなかったことを除いては)、実施例3
と同様の条件にて行った。
性基板上に磁性金属薄膜を形成した。ここで実施した真
空蒸着法は、従来の真空蒸着法に相当する。真空蒸着
は、蒸着開始点付近で金属蒸気流にガスを導入しなかっ
たことを除いては(即ち、図4のノズル(122)に相当
するノズルを設けなかったことを除いては)、実施例3
と同様の条件にて行った。
【0100】(比較例2)実施例3と同様の装置を用い
て、ポリイミドフイルムに磁性金属薄膜を真空蒸着によ
り形成した。下方より最大入射角(β)+20°から最
小入射角(α)−20°までの成分が蒸着されるように
した。
て、ポリイミドフイルムに磁性金属薄膜を真空蒸着によ
り形成した。下方より最大入射角(β)+20°から最
小入射角(α)−20°までの成分が蒸着されるように
した。
【0101】蒸着は、フイルム温度が250℃となるよ
うに実施し、また、176kPa(1.8kgf/cm2)の圧
力を有する酸素ガスとアルゴンガスの混合ガス(混合比
(体積比)は5(O2)/1(Ar))をノズル(122、
118)から金属蒸気流に導入した。その他の条件等は実
施例3と同様にして、磁性金属薄膜を形成し、蒸着後、
実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
うに実施し、また、176kPa(1.8kgf/cm2)の圧
力を有する酸素ガスとアルゴンガスの混合ガス(混合比
(体積比)は5(O2)/1(Ar))をノズル(122、
118)から金属蒸気流に導入した。その他の条件等は実
施例3と同様にして、磁性金属薄膜を形成し、蒸着後、
実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0102】(磁性金属薄膜の観察)実施例1〜7のテ
ープ破断面を電子顕微鏡により観察したところ、いずれ
も、磁性金属薄膜が図2の(a)に示すように、上側部
分および下側部分は結晶成長方向の垂直配向性が高く、
中間部分と上側部分および下側部分との間は屈曲してお
り、中間部分は磁性金属薄膜の厚さ方向から大きく傾い
ており結晶成長方向の面内配向性が高かった。また、実
施例1〜7のいずれにおいても、1つのコラム径は比較
例1のそれよりも小さかった。
ープ破断面を電子顕微鏡により観察したところ、いずれ
も、磁性金属薄膜が図2の(a)に示すように、上側部
分および下側部分は結晶成長方向の垂直配向性が高く、
中間部分と上側部分および下側部分との間は屈曲してお
り、中間部分は磁性金属薄膜の厚さ方向から大きく傾い
ており結晶成長方向の面内配向性が高かった。また、実
施例1〜7のいずれにおいても、1つのコラム径は比較
例1のそれよりも小さかった。
【0103】一方、比較例1のテープ破断面を同様にし
て観察したところ、磁性金属薄膜は、上側ほどコラム径
が大きくなっている象牙形状のコラムから成り、磁性金
属薄膜の厚さ方向からの傾きが小さい(即ち、結晶成長
方向の垂直配向性が高い)上側部分、および磁性金属薄
膜の厚さ方向から傾いている(即ち、結晶成長方向の面
内配向性が高い)下側部分が形成されていた。比較例2
についても同様に観察したところ、中間部分は上側部分
および下側部分よりも、磁性金属薄膜の厚さ方向からの
傾きが小さかった。
て観察したところ、磁性金属薄膜は、上側ほどコラム径
が大きくなっている象牙形状のコラムから成り、磁性金
属薄膜の厚さ方向からの傾きが小さい(即ち、結晶成長
方向の垂直配向性が高い)上側部分、および磁性金属薄
膜の厚さ方向から傾いている(即ち、結晶成長方向の面
内配向性が高い)下側部分が形成されていた。比較例2
についても同様に観察したところ、中間部分は上側部分
および下側部分よりも、磁性金属薄膜の厚さ方向からの
傾きが小さかった。
【0104】(コラムの構造等)磁性金属薄膜が得られ
た段階で(即ち、DLCおよび潤滑剤層を形成する前
に)、磁性金属薄膜の表面を原子間力顕微鏡で観察し、
磁性金属薄膜の厚さ方向の断面を透過型電子顕微鏡(T
EM)で観察して、コラムの構造および中間部分におけ
る結晶成長方向の配向性を調べた。
た段階で(即ち、DLCおよび潤滑剤層を形成する前
に)、磁性金属薄膜の表面を原子間力顕微鏡で観察し、
磁性金属薄膜の厚さ方向の断面を透過型電子顕微鏡(T
EM)で観察して、コラムの構造および中間部分におけ
る結晶成長方向の配向性を調べた。
【0105】また、コラムを構成する各部分の膜厚比
を、オ−ジェ電子分光分析法によって求めた。オージェ
電子分光分析は、磁性金属薄膜を、厚さ方向で段階的に
エッチングし、エッチングした各位置にて酸素からの信
号強度を測定して行った。そして、酸素の信号強度のデ
ップスプロフアイルを作成し、当該プロファイルとTE
Mの観察結果を参酌して、上側部分、中間部分、下側部
分を画定し、各部分の膜厚および各部分の厚さの比、な
らびに各部分のコラム径の比を求めた。なお、下側部分
が極めて薄く、デップスプロファイルでは下側部分の形
成を確認できなかったものについては、蒸着開始点付近
において、ガスが導入された金属蒸気流に曝される時間
と蒸着レートから、下側部分の厚さを求めた。
を、オ−ジェ電子分光分析法によって求めた。オージェ
電子分光分析は、磁性金属薄膜を、厚さ方向で段階的に
エッチングし、エッチングした各位置にて酸素からの信
号強度を測定して行った。そして、酸素の信号強度のデ
ップスプロフアイルを作成し、当該プロファイルとTE
Mの観察結果を参酌して、上側部分、中間部分、下側部
分を画定し、各部分の膜厚および各部分の厚さの比、な
らびに各部分のコラム径の比を求めた。なお、下側部分
が極めて薄く、デップスプロファイルでは下側部分の形
成を確認できなかったものについては、蒸着開始点付近
において、ガスが導入された金属蒸気流に曝される時間
と蒸着レートから、下側部分の厚さを求めた。
【0106】(磁性金属の酸化状態)Co金属の酸化状
態を、TEMでの電子線回折像から得られた回折強度と
結晶方位に基づいて評価した。評価結果は、Co金属の
酸化数が高い部分を表示することにより示した。
態を、TEMでの電子線回折像から得られた回折強度と
結晶方位に基づいて評価した。評価結果は、Co金属の
酸化数が高い部分を表示することにより示した。
【0107】(磁気記録媒体の性能評価)市販のデジタ
ルビデオデッキを評価用デッキに改造して電磁変換特性
を評価した。電磁変換特性は20MHzでのCN比を求
め、比較例1との相対比較により評価した。
ルビデオデッキを評価用デッキに改造して電磁変換特性
を評価した。電磁変換特性は20MHzでのCN比を求
め、比較例1との相対比較により評価した。
【0108】実施例及び比較例のコラム構造および中間
部分の結晶成長方向の配向、各コラムにおける上側部
分、中間部分および下側部分のコラム径の比および膜厚
比、Coの酸化状態、ならびに電磁変換特性を表1に示
す。
部分の結晶成長方向の配向、各コラムにおける上側部
分、中間部分および下側部分のコラム径の比および膜厚
比、Coの酸化状態、ならびに電磁変換特性を表1に示
す。
【0109】
【表1】
【0110】表1より、本発明の磁気記録媒体に相当す
る実施例1〜7はいずれも、従来の磁気記録媒体に相当
する比較例1よりも、優れた電磁変換特性を有してい
る。これは実施例1〜7のコラム径が、下側部分の存在
により、全体として比較例1のコラム径よりも小さくな
ったためであると考えられる。ただし、実施例7は、他
の実施例と異なり、下側部分のコラム径が中間部分のそ
れよりも大きく、中間部分の膜厚の占める割合が最も小
さかった。これは、酸素の流量を倍にしたために下側部
分において酸素を媒介として粒子が凝集したこと、ま
た、酸素の影響が蒸着開始点付近および蒸着終了点付近
の広い範囲にわたって及んだためであると考えられる。
実施例5および実施例6は、酸素の流量が少なかったた
めに、他の実施例と比べて、上側部分および下側部分の
膜厚に占める割合が小さい。
る実施例1〜7はいずれも、従来の磁気記録媒体に相当
する比較例1よりも、優れた電磁変換特性を有してい
る。これは実施例1〜7のコラム径が、下側部分の存在
により、全体として比較例1のコラム径よりも小さくな
ったためであると考えられる。ただし、実施例7は、他
の実施例と異なり、下側部分のコラム径が中間部分のそ
れよりも大きく、中間部分の膜厚の占める割合が最も小
さかった。これは、酸素の流量を倍にしたために下側部
分において酸素を媒介として粒子が凝集したこと、ま
た、酸素の影響が蒸着開始点付近および蒸着終了点付近
の広い範囲にわたって及んだためであると考えられる。
実施例5および実施例6は、酸素の流量が少なかったた
めに、他の実施例と比べて、上側部分および下側部分の
膜厚に占める割合が小さい。
【0111】また、磁性金属薄膜全体の厚さが同じ場合
には、上側部分の厚さ/中間部分の厚さの比が小さいほ
ど良好な電磁変換特性が得られた。これは、上側部分を
形成するCo酸化物の厚さが大きいほどスペ−シング損
失が大きくなることによるものと考えられる。実施例7
のCN比が他の実施例よりも小さいことも同様の理由に
よると考えられる。
には、上側部分の厚さ/中間部分の厚さの比が小さいほ
ど良好な電磁変換特性が得られた。これは、上側部分を
形成するCo酸化物の厚さが大きいほどスペ−シング損
失が大きくなることによるものと考えられる。実施例7
のCN比が他の実施例よりも小さいことも同様の理由に
よると考えられる。
【0112】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、記録層を構成
する磁性金属薄膜が、真空蒸着により形成された柱状結
晶構造を有し、柱状結晶構造を構成する各コラムにおい
て、磁束密度、結晶成長方向の配向、および酸素濃度分
布のうち少なくとも1つで区分される3つの部分が存在
することを特徴とする。この特徴により、本発明の磁気
記録媒体は、優れた磁気特性および磁気変換特性ならび
に耐久性を有する。
する磁性金属薄膜が、真空蒸着により形成された柱状結
晶構造を有し、柱状結晶構造を構成する各コラムにおい
て、磁束密度、結晶成長方向の配向、および酸素濃度分
布のうち少なくとも1つで区分される3つの部分が存在
することを特徴とする。この特徴により、本発明の磁気
記録媒体は、優れた磁気特性および磁気変換特性ならび
に耐久性を有する。
【0113】また、本発明の磁気記録媒体の製造方法お
よび製造装置において実施される真空蒸着は、ガスを適
当な角度にて金属蒸気流および/または非磁性基板に蒸
着された磁性金属薄膜に導入することを必要とするだけ
で、複雑な工程または装置等を必要としない。よって、
本発明の製造方法および製造装置によれば、磁気特性等
が大幅に向上した高品質の磁気記録媒体を、従来の真空
蒸着法と同程度の生産性およびコストにて製造すること
ができるという利点がもたらされる。
よび製造装置において実施される真空蒸着は、ガスを適
当な角度にて金属蒸気流および/または非磁性基板に蒸
着された磁性金属薄膜に導入することを必要とするだけ
で、複雑な工程または装置等を必要としない。よって、
本発明の製造方法および製造装置によれば、磁気特性等
が大幅に向上した高品質の磁気記録媒体を、従来の真空
蒸着法と同程度の生産性およびコストにて製造すること
ができるという利点がもたらされる。
【図1】 図1の(a)および(b)は、それぞれ蒸着
開始点付近および蒸着終了点付近において導入されるガ
スの非磁性基板に対する角度の決定方法を示す。
開始点付近および蒸着終了点付近において導入されるガ
スの非磁性基板に対する角度の決定方法を示す。
【図2】 図2の(a)は、本発明の磁気記録媒体にお
ける磁性金属薄膜の模式的断面図であり、図2の(b)
は、従来の磁気記録媒体における磁性金属薄膜の模式的
断面図である。
ける磁性金属薄膜の模式的断面図であり、図2の(b)
は、従来の磁気記録媒体における磁性金属薄膜の模式的
断面図である。
【図3】 図3は、本発明の金属薄膜形成装置の一例の
模式図である。
模式図である。
【図4】 図4は、本発明の金属薄膜形成装置の一例の
模式図である。
模式図である。
【図5】 図5は、本発明の金属薄膜形成装置の一例の
模式図である。
模式図である。
【図6】 図6は、本発明の金属薄膜形成装置の一例の
模式図である。
模式図である。
【図7】 図7は、従来の金属薄膜形成装置の模式図で
ある。
ある。
1,101,201...非磁性基板、100...磁性金属薄膜、100
A...コラム、100a...上側部分、100b...中間部分、1
00c...下側部分、2,102,202...送り軸、4...ニッ
プローラ、6a,6b...冷却回転ドラム、106,206...
冷却回転ドラム(キャン状回転支持体)、8...ベル
ト、10,110,210...巻取り軸、12,112,212...電子ビ
ーム、14,114,214...磁性金属(蒸発源)、16,116,
216...遮蔽板(低入射角)、18,118,218,22,122,2
4...ノズル、20,120,220...遮蔽板(高入射角)、2
6...遮蔽板、28...イオンビーム。
A...コラム、100a...上側部分、100b...中間部分、1
00c...下側部分、2,102,202...送り軸、4...ニッ
プローラ、6a,6b...冷却回転ドラム、106,206...
冷却回転ドラム(キャン状回転支持体)、8...ベル
ト、10,110,210...巻取り軸、12,112,212...電子ビ
ーム、14,114,214...磁性金属(蒸発源)、16,116,
216...遮蔽板(低入射角)、18,118,218,22,122,2
4...ノズル、20,120,220...遮蔽板(高入射角)、2
6...遮蔽板、28...イオンビーム。
フロントページの続き Fターム(参考) 4K029 AA11 AA25 BA06 BA24 BB08 CA02 CA15 DA06 DB14 DB21 GA03 JA10 KA03 5D006 BB07 BB09 EA03 FA09 5D112 AA05 BB07 FA02 FB20 FB28 5E049 AA01 AA04 AA07 AA09 BA06 HC01
Claims (23)
- 【請求項1】 非磁性基板上に真空蒸着法により形成さ
れた磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄
膜が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コ
ラムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分
から実質的に成り、各コラムにおいて中間部分の磁束密
度が上側部分および下側部分のそれよりも高い磁気記録
媒体。 - 【請求項2】 非磁性基板上に真空蒸着法により形成さ
れた磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄
膜が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コ
ラムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分
から実質的に成り、各コラムにおいて、上側部分と中間
部分との間および中間部分と下側部分との間が屈曲し、
中間部分は上側部分および下側部分よりも磁性金属薄膜
の厚さ方向から傾斜している磁気記録媒体。 - 【請求項3】 非磁性基板上に真空蒸着法により形成さ
れた、酸素を含む磁性金属薄膜を記録層として有し、当
該磁性金属薄膜が、複数のコラムから成る柱状結晶構造
を有し、各コラムは上側部分、中間部分および下側部分
の3つの部分から実質的に成り、各コラムにおいて、上
側部分の酸素濃度が最も大きく、中間部分の酸素濃度が
最も小さく、下側部分の酸素濃度が中間部分のそれより
も大きい磁気記録媒体。 - 【請求項4】 非磁性基板上に真空蒸着法により形成さ
れた磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄
膜が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コ
ラムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分
から実質的に成り、 各コラムにおいて、中間部分の磁束密度が上側部分およ
び下側部分のそれよりも高く、 各コラムにおいて、上側部分と中間部分との間および中
間部分と下側部分との間が屈曲し、中間部分は上側部分
および下側部分よりも磁性金属薄膜の厚さ方向から傾斜
している磁気記録媒体。 - 【請求項5】 非磁性基板上に真空蒸着法により形成さ
れた磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄
膜が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コ
ラムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分
から実質的に成り、 各コラムにおいて、中間部分の磁束密度が上側部分およ
び下側部分のそれよりも高く、 各コラムにおいて、上側部分の酸素濃度が最も大きく、
中間部分の酸素濃度が最も小さく、下側部分の酸素濃度
が中間部分のそれよりも大きい磁気記録媒体。 - 【請求項6】 非磁性基板上に真空蒸着法により形成さ
れた磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄
膜が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コ
ラムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分
から実質的に成り、 各コラムにおいて、上側部分と中間部分との間および中
間部分と下側部分との間が屈曲し、中間部分は上側部分
および下側部分よりも磁性金属薄膜の厚さ方向から傾斜
しており、 各コラムにおいて、上側部分の酸素濃度が最も大きく、
中間部分の酸素濃度が最も小さく、下側部分の酸素濃度
が中間部分のそれよりも大きい磁気記録媒体。 - 【請求項7】 非磁性基板上に真空蒸着法により形成さ
れた磁性金属薄膜を記録層として有し、当該磁性金属薄
膜が、複数のコラムから成る柱状結晶構造を有し、各コ
ラムは上側部分、中間部分および下側部分の3つの部分
から実質的に成り、 各コラムにおいて、中間部分の磁束密度が上側部分およ
び下側部分のそれよりも高く、 各コラムにおいて、上側部分と中間部分との間および中
間部分と下側部分との間が屈曲し、中間部分は上側部分
および下側部分よりも磁性金属薄膜の厚さ方向から傾斜
しており、 各コラムにおいて、上側部分の酸素濃度が最も大きく、
中間部分の酸素濃度が最も小さく、下側部分の酸素濃度
が中間部分のそれよりも大きい磁気記録媒体。 - 【請求項8】 上側部分および下側部分は中間部分より
も酸化数の高い金属元素の酸化物を含む請求項3および
5〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項9】 各コラムにおいて、上側部分、中間部
分、および下側部分のコラム径が異なる請求項1〜8の
いずれか1項に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項10】 上側部分、中間部分および下側部分の
厚さの比が、1〜10:2〜100:1である請求項1
〜9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項11】 磁性金属薄膜の厚さが3〜500nmで
ある請求項1〜10のいずれか1項に記載の磁気記録媒
体。 - 【請求項12】 非磁性基板の一方の面に磁性金属薄膜
が形成されて成る磁気記録媒体を製造する方法におい
て、磁性金属薄膜を真空蒸着法により形成するに際し、
ガスを2箇所以上から、磁性金属蒸気流または非磁性基
板に蒸着された磁性金属薄膜に導入することを特徴とす
る磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項13】 ガスの圧力(ゲージ圧)が147kPa
以上である請求項12に記載の磁気記録媒体の製造方
法。 - 【請求項14】 請求項12または請求項13に記載の
磁気記録媒体の製造方法において、ガスが金属を酸化す
るガスを含むものである磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項15】 請求項12〜14のいずれか1項に記
載の磁気記録媒体の製造方法において、ガスを、非磁性
基板の蒸着開始点付近および蒸着終了点付近にて磁性金
属蒸気流または非磁性基板に蒸着された磁性金属薄膜に
導入する磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項16】 請求項12〜15のいずれか1項に記
載の磁気記録媒体の製造方法において、非磁性基板の蒸
着開始点付近において、ガスを非磁性基板に向かって非
磁性基板と20〜150°の角度をなす方向に導入し、
蒸着終了点付近において、ガスを非磁性基板から遠ざか
るように非磁性基板と+90〜−90°の角度をなす方
向に導入する磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項17】 請求項12〜16のいずれか1項に記
載の磁気記録媒体の製造方法において、2箇所以上から
磁性金属蒸気流を非磁性基板に蒸着する磁気記録媒体の
製造方法。 - 【請求項18】 請求項12〜17のいずれか1項に記
載の方法で製造される磁気記録媒体。 - 【請求項19】 請求項12〜17のいずれか1項に記
載の方法で製造される請求項1〜11のいずれか1項に
記載の磁気記録媒体。 - 【請求項20】 金属薄膜を基板上に真空蒸着法により
形成するに際し、ガスを2箇所以上から、金属蒸気流ま
たは基板に蒸着された金属薄膜に導入することを特徴と
する金属薄膜の製造方法。 - 【請求項21】 基板上に金属薄膜を形成する装置であ
って、真空蒸着槽を含み、当該真空蒸着槽において、ガ
スを金属蒸気流または基板に蒸着された金属薄膜に導入
するガス導入手段が2箇所以上に配置されていることを
特徴とする金属薄膜形成装置。 - 【請求項22】 真空蒸着槽が金属の蒸発源を2以上有
するものである請求項21に記載の金属薄膜形成装置。 - 【請求項23】 請求項21または請求項22に記載の
金属薄膜形成装置を含む磁気記録媒体の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32396699A JP2001143235A (ja) | 1999-11-15 | 1999-11-15 | 磁気記録媒体およびその製造方法、ならびに磁気記録媒体の製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32396699A JP2001143235A (ja) | 1999-11-15 | 1999-11-15 | 磁気記録媒体およびその製造方法、ならびに磁気記録媒体の製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001143235A true JP2001143235A (ja) | 2001-05-25 |
Family
ID=18160629
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32396699A Pending JP2001143235A (ja) | 1999-11-15 | 1999-11-15 | 磁気記録媒体およびその製造方法、ならびに磁気記録媒体の製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001143235A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006156855A (ja) * | 2004-11-30 | 2006-06-15 | Tdk Corp | 磁気素子およびインダクタ、ならびに磁気素子の製造方法 |
JP2006156854A (ja) * | 2004-11-30 | 2006-06-15 | Tdk Corp | 磁性薄膜およびその形成方法 |
JP2006338996A (ja) * | 2005-06-01 | 2006-12-14 | Sony Corp | 二次電池用負極、二次電池および二次電池用負極の製造方法 |
JP2008111160A (ja) * | 2006-10-31 | 2008-05-15 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 真空蒸着装置 |
JP2008231454A (ja) * | 2007-03-16 | 2008-10-02 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 真空蒸着装置 |
-
1999
- 1999-11-15 JP JP32396699A patent/JP2001143235A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006156855A (ja) * | 2004-11-30 | 2006-06-15 | Tdk Corp | 磁気素子およびインダクタ、ならびに磁気素子の製造方法 |
JP2006156854A (ja) * | 2004-11-30 | 2006-06-15 | Tdk Corp | 磁性薄膜およびその形成方法 |
JP4529081B2 (ja) * | 2004-11-30 | 2010-08-25 | Tdk株式会社 | 磁性薄膜 |
JP4645178B2 (ja) * | 2004-11-30 | 2011-03-09 | Tdk株式会社 | 磁気素子およびインダクタ |
JP2006338996A (ja) * | 2005-06-01 | 2006-12-14 | Sony Corp | 二次電池用負極、二次電池および二次電池用負極の製造方法 |
US8722245B2 (en) | 2005-06-01 | 2014-05-13 | Sony Corporation | Anode for secondary battery, secondary battery, and method of manufacturing anode for secondary battery |
US9203079B2 (en) | 2005-06-01 | 2015-12-01 | Sony Corporation | Anode for secondary battery, secondary battery, and method of manufacturing anode for secondary battery |
JP2008111160A (ja) * | 2006-10-31 | 2008-05-15 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 真空蒸着装置 |
JP2008231454A (ja) * | 2007-03-16 | 2008-10-02 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 真空蒸着装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0151445B2 (en) | Production of magnetic recording medium | |
JP2001143235A (ja) | 磁気記録媒体およびその製造方法、ならびに磁気記録媒体の製造装置 | |
KR0185237B1 (ko) | 자기기록매체 및 그 제조방법 | |
JP3323660B2 (ja) | 磁気記録媒体と薄膜の製造方法及び薄膜の製造装置 | |
US5759710A (en) | Magnetic recording medium with a magnetic layer having a specific oxygen signal strength profile in the thickness direction | |
US6251496B1 (en) | Magnetic recording medium method and apparatus for producing the same | |
JP3139181B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2006048840A (ja) | 磁気記録媒体およびその製造方法、ならびに磁気記録媒体の記録再生方法 | |
JP4371881B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造装置及び製造方法 | |
JP2004039078A (ja) | 磁気記録媒体 | |
JP3241538B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2729544B2 (ja) | 磁気記録媒体およびその製造方法 | |
JP2001344736A (ja) | 磁気記録媒体および磁気記録方法 | |
JP3335803B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法及び薄膜の製造装置並びに磁気記録媒体 | |
JP2976699B2 (ja) | 磁気記録媒体とその製造方法 | |
JPH06231457A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2000195045A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法および製造装置 | |
JP2004039195A (ja) | 磁気記録媒体 | |
JPH11191213A (ja) | 磁気記録媒体とその製造装置及び製造方法 | |
JP2001143236A (ja) | 磁気記録媒体及びその製造方法 | |
JPH06116729A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2005100536A (ja) | 磁気記録媒体 | |
JPH11259845A (ja) | 磁気記録媒体及びその製造方法 | |
JP2006146995A (ja) | 磁気記録媒体及びその製造方法 | |
JPH0954933A (ja) | 磁気記録媒体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050412 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050802 |