JPH11191213A - 磁気記録媒体とその製造装置及び製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体とその製造装置及び製造方法

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JPH11191213A
JPH11191213A JP35879897A JP35879897A JPH11191213A JP H11191213 A JPH11191213 A JP H11191213A JP 35879897 A JP35879897 A JP 35879897A JP 35879897 A JP35879897 A JP 35879897A JP H11191213 A JPH11191213 A JP H11191213A
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magnetic recording
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vapor deposition
film
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Kaji Maezawa
可治 前澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オーデイオ、ビデオ機器、各種情報機器に用
いる薄膜型磁気記録媒体において蒸着効率と磁気記録密
度の問題点を解決し、量産性に優れた高画質で信頼性の
高い薄膜媒体とその量産装置を提供する。 【解決手段】 高分子基板1に強磁性金属薄膜を蒸着す
る場合、ドラム5,6の間に板状ベルト7を張架し、こ
れに沿って高分子フィルム1を搬送する。そして遮蔽板
12,13により蒸着源10の蒸着流の入射角を38〜
85度の範囲とする。こうすれば記録媒体の表面形状を
高分子フィルムの表面粗さとの比が1:1.3以下とな
る。こうして記録密度の高い磁性記録媒体を実現するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体とその
製造装置及び製造方法に関し、特に情報関連機器やオー
ディオ,ビデオ関連機器等に利用される高記録密度が要
求される磁気記録媒体とその製造装置及び製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高機能性薄膜の技術的発展は目ざ
ましく、その応用分野も多岐にわたっている。例えば磁
気記録媒体においては磁気記録密度の向上に見られるよ
うに、その技術的発展はめざましいものがある。従来の
磁気記録媒体の例として、オーディオ,ビデオ用テープ
材料に用いられる、いわゆる塗布型の磁気記録媒体があ
る。塗布型記録媒体はγ−Fe2 3 粉末、CrO2
末、純鉄粉末等を樹脂等のバインダーと共に高分子フィ
ルム上に塗着せしめたものである。
【0003】そしてこの塗布型磁気記録媒体より更に記
録密度を高めるために、真空蒸着,イオンプレーティン
グ,スパッタリング,クラスターイオンビーム等の方法
で、Fe,Co,Ni,Cr等の磁性金属を単独、もし
くは合金で高分子フィルム基板上に蒸着する金属薄膜型
磁気記録媒体の検討がなされている。又強磁性金属薄膜
型の記録媒体として、斜方入射蒸着法によって金属薄膜
を蒸着したビデオ用テープが既に実用化されている。
【0004】ここで、従来の真空蒸着法による金属薄膜
型テープの製造方法について、図5により説明する。図
5において、送り軸31にセットした高分子フィルム3
2を連続的に送り出して、冷却ドラム33を経て、巻取
軸34で巻取る。このとき下方より電子ビーム35で強
磁性金属36を溶解し、蒸発させ、高分子フィルム32
の表面上に蒸着する。蒸着時に不用な磁性金属は遮蔽板
37でカットする。蒸着後、テープ化して金属薄膜テー
プとする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】蒸着テ−プをビデオ用
テ−プとして使用する場合、高画質で信頼性の高い記録
媒体でなければならない。それを実現するため蒸着時に
は限定された入射角の範囲で蒸着を行い、電磁変換特性
におけるY信号の高出力でノイズの低い膜形成を行う。
例えば最小入射角θを40度とし、それより小さい角度
成分は遮蔽しなければ満足な電磁変換特性が得られな
い。しかし蒸着時の最小入射角が大きい程磁性金属の付
着効率は小さく、最小入射角40度から最高入射角90
度の場合、付着効率は蒸発させた全体量の10重量%位
と非常に悪い。
【0006】又従来の円筒形冷却ドラムを用いる斜方蒸
着法による蒸着膜は、例えば図7に示すように蒸着する
PETフィルム自体の表面粗さに比べて金属膜を形成し
た後は1.5〜2倍位粗くなっている。この表面粗さの
増加がスペーシングロスとなり電磁変換特性の短波長に
影響し、画質を悪くするという欠点があった。
【0007】このように真空蒸着法等による金属薄膜テ
ープの場合、蒸着レ−トの低い斜方蒸着法によるため、
フィルム表面の形状が蒸着の前後で変化しており、又表
面粗さも1.5〜2倍粗くなっている。
【0008】このように従来の磁性金属薄膜の表面が高
分子フィルム表面の粗さより1.5倍以上粗くなるの
は、高入射角成分のシャドウイング効果と蒸発金属の蒸
発レ−トの影響による。蒸着テ−プは通常ポリエステル
フィルムの表面にシリカ(SiO2 )粒子等の形状付与
粒子39を分散し、300Å位の形状を付与することで
摩擦係数を下げ、走行性を改善している。しかし例えば
1500Åの厚さに磁性金属を蒸着すると、この形状付
与粒子を付与した表面の膜厚は蒸着後、最大2000Å
の厚みとなる。即ち形状付与粒子自体の300Åの高さ
より200Å高くなっている。このためスペ−シング損
失が表面設計より大きくなり、電磁変換特性の低下,画
質の劣化の原因となるという欠点があった。
【0009】一方、表面設計を高分子フィルムの形状付
与にあわせず、蒸着後の高さで設計できるが、形状付与
粒子の大きさと分散性に限界があるため、あまり小さい
形状付与粒子を用いることができず、高分子フィルムの
表面形状に限界があった。このため金属薄膜型磁気記録
体は表面粗さを高分子フィルムの表面と同等に設計する
ことが急務である。
【0010】本発明は上記問題点に鑑み、形状付与し粒
子を分散した高分子フィルム上に表面形状、及び高さを
あまり変えることなく蒸着レートの高い製膜法で磁性金
属薄膜を形成した磁気記録媒体とその製造装置、製造方
法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1の発明
は、真空蒸着法で高分子フィルム上に磁性金属化合物を
形成した磁気記録媒体において、前記高分子フィルム上
に斜方真空蒸着法により磁性金属化合物を形成すること
により、フィルムと記録媒体の表面粗さとの比を1から
1.3の範囲としたことを特徴とするものである。
【0012】本願の請求項2の発明は、表面粗さの平均
値が50〜500Åの高分子フィルム上に斜方真空蒸着
法で磁性金属化合物を500〜3000Å形成した磁気
記録媒体において、フィルムと媒体の表面粗さの比が1
から1.3の範囲にあることを特徴とするものである。
【0013】本願の請求項3の発明は、高分子フィルム
を複数の冷却ドラムの間に巻回されたベルトに沿って搬
送し、このベルト上の前記高分子フィルムに対向させて
磁性金属化合物の蒸着源を配置し、蒸着源である磁性金
属化合物の蒸着時の前記高分子フィルムに対する入射角
を38度〜85度の範囲内となるように遮蔽板を配置
し、磁性金属化合物を斜方より蒸着させることにより蒸
気流を前記高分子フィルムに付着させて磁気記録媒体を
製造することを特徴とするものである。
【0014】本願の請求項4の発明は、一対のドラム及
び前記一対のドラムの間に平行に張り渡されたベルトを
含み、前記高分子フィルムを一定速度で搬送する搬送手
段と、前記ベルト上を搬送される高分子フィルムに対向
して配置された磁性金属化合物の蒸着源と、前記蒸着源
の蒸着時に蒸気流の前記ベルト上の高分子フィルムに対
する入射角を38度から85度の範囲内とする遮蔽板と
を具備することを特徴とするものである。
【0015】本願の請求項5の発明は、請求項4の磁気
記録媒体の製造装置において、前記遮蔽板は蒸着源の蒸
気流を通過させるスリットを有することを特徴とするも
のである。
【0016】本願の請求項6の発明は、請求項4又は5
記載の磁気記録媒体の製造装置により製造されたことを
特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、各図を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態
による磁気記録媒体の断面図を示す。本図において高分
子フィルム1上に形状付与粒子2を付与し、その面に磁
性金属薄膜層3を蒸着して磁気記録媒体を構成する。そ
の表面性状は高分子フィルムの表面状態と同じでAFM
(Atomic Force Microscope)で表面粗さで平均1〜1.
3倍以内とする。この構成により、電磁変換特性の優れ
た高信頼性磁気記録媒体となる。
【0018】本発明に使用される高分子フィルム1とし
ては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、
ポリカーボネート等から適時選択される。形状付与粒子
2はSiO2 、TiO2 ,Al2 3 ,ZrO2 等の無
機粒子材料あるいは、ポリサルホン等の有機粒子材料を
用いる。その形状は適時調整し、突起形状の高さは50
から500Åの範囲とする。又これらの形状付与粒子2
は高分子樹脂と混合して高分子基板にコーティングす
る。50Å以下の表面形状を維持することはむずかし
く、又500Å以上の大きさではスペーシング損が生じ
磁気記録媒体に用いることはできない。
【0019】本発明においては、この高分子フィルム1
上に強磁性金属酸化物を反応性蒸着による斜方蒸着法で
形成する。蒸着入射角は最低入射角38度以上とする。
使用できる磁性金属材料はCo,Fe、Ni、Crある
いはこれらをベースにした各種の合金、例えばCo−N
i,Co−Fe,Co−Cr,Co−Cu,Co−P
t,Co−Pd,Co−Sn,Co−Ni−Cr及びこ
れらの金属の金属化合物の混晶である。蒸着後の全厚
は、一般には300から5000Å、好ましくは500
から3000Åである。300Å以下の場合、磁気特
性、電磁変換特性として満足出来ない、5000Å以上
では蒸着膜にクラック傷が生じたり、長波長域での電磁
変換特性が劣化する。
【0020】又磁気記録媒体の表面粗さは蒸着前後で1
〜1.3倍の範囲内とする。この場合粗くなると摩擦係
数が低下するが、スペーシングによるロスファクターが
大きくなり1以下になると摩擦係数が高くなるため、バ
ランスのよい構成で設計することが重要である。
【0021】図2は本発明の磁気記録媒体を形成する製
造装置の実施の形態を示す図である。この実施の形態に
よる製造装置において、高分子フィルム1は送り軸4に
セットされる。この製造装置は冷却用回転ドラムとドラ
ム間に張架されたベルトを含み、これらのドラムを駆動
して高分子フィルムを搬送する搬送手段を有している。
即ち一対の回転ドラムである上部冷却回転ドラム5,下
部冷却回転ドラム6の間に板状ベルト7が一定の張力で
張架されている。高分子フィルム1は送り軸4よりロー
ラ8を介して上部冷却回転ドラム5に沿わせ、板状ベル
ト7及び下部冷却回転ドラム6に沿わせて巻取軸9によ
って巻取る。そして板状ベルト7に対向するように強磁
性金属10を電子ビーム11で溶解し、下方より斜方蒸
着で蒸着する。ここで図示のように強磁性金属の回転ド
ラム5,6とを通過するベルト上の高分子フィルムへの
入射角を規定するため、遮蔽板12,13を設ける。こ
の遮蔽板を用いることによって蒸着流の高分子フィルム
1への低入射角を38度以上、高入射角を85度以下と
なるように設定する。こうして板状ベルト7上の定の範
囲で高分子フィルム1を通過させながら磁性金属の蒸着
を行う。このとき低入射角側では酸素ガス14をフィル
ムの進行方向と逆向きで平行となるように導入し、高入
射角側でフィルムと垂直となるように酸素ガス15を導
入する。こうして蒸着した後に高分子フィルム1を所定
の幅に裁断し、カセット内に収納してテープカセットを
構成する。
【0022】図3は本発明の第2の実施の形態による磁
気記録媒体の製造装置に関するものであり、特に真空蒸
着部分を示している。本実施の形態において前述した第
1の実施の形態と同一部分は同一符号を付している。こ
の実施の形態では遮蔽板13にスリット13aを設ける
ようにしたものである。その他の構成は第1の実施の形
態と同様である。スリット13aを設けることにより蒸
気流をスリット13aを介して遮蔽板13の上部に導
き、高分子フィルム1に蒸着できるため、特性を改善す
ることができる。
【0023】図4は本発明の第3の実施の形態による磁
気記録媒体の製造装置を示す図である。本図ににおいて
送り軸21より高分子フィルム22を送り出し、回転ド
ラム23,24の間にローラ25を介して高分子フィル
ムを張架して一定速度で搬送し、巻取軸26で巻取る。
そして高分子フィルムの面に対向する位置に蒸着源27
を配置する。この場合にも複数の遮蔽板28を配置し、
蒸着金属の入射角を38〜85度の範囲となるように配
置する。こうすれば付着効率20%以上の高い効率で磁
性金属を蒸着することができる。
【0024】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。 (実施例1)図2に示す製造装置において高分子フィル
ム1としてポリエステルフィルム(PET)を送り軸4
にセットし、上部冷却回転ドラム5、板状ベルト7、下
部冷却回転ドラム6を経て巻取軸9で巻取った。強磁性
金属としてCo−Ni合金を電子ビーム11で溶解し、
下方より斜方蒸着で蒸着した。このとき蒸着は遮蔽板1
2,13により、高入射角85度から低入射角成分38
度以上が蒸着される。蒸着は酸素ガス14,15と蒸着
金属との反応性蒸着法を用いた。そして図示のようにフ
ィルムの進行方向と逆向きで、平行となるように酸素ガ
ス14を導入した。蒸着した磁性金属薄膜の厚みは全厚
を1500Åとした。蒸着効率はCos3乗則を適用し
て蒸発有効角から付着効率を見積もると約45%であ
る。
【0025】(実施例2)図3に示す製造装置におい
て、高分子フィルム1としてポリエチレンテレフタレー
トフィルム(PEN)を送り軸4にセットし、上部冷却
回転ドラム5,板状ベルト7,下部冷却回転ドラム6を
経て巻取軸9で巻取った。強磁性金属Co−Ni合金1
0を電子ビーム11で溶解し、下方より斜方蒸着で蒸着
した。この時蒸着の遮蔽板13は、低入射角成分40度
以上とスリット13aを有する遮蔽板12で高入射角成
分85度以上が蒸着される。蒸着は実施例1と同様に酸
素ガスと蒸着金属との反応性蒸着法を用い、低入射角の
所で酸素ガス14の導入はフィルムの進行方向と逆向き
で平行となるようにする。蒸着磁性金属薄膜媒体の厚み
は全厚を1500Åとした。蒸着効率は計算上43.5
%となる。
【0026】(比較例1)は本実施例と比較するため図
5に示す従来例を比較例1とする。高分子基板としてポ
リエステルフィルム(PET)32を送り軸31にセッ
トし、冷却ドラム33を経て巻取り軸34で巻取る。強
磁性金属Co−Ni合金36を電子ビーム35で溶解
し、下方より斜方蒸着で蒸着した。このとき蒸着の遮蔽
板37は、低入射角成分40度以上の蒸着成分が蒸着さ
れる。蒸着は実施例1と同様に酸素ガスと蒸着金属との
反応性蒸着法を用い、低入射角の酸素ガス38の導入は
フィルムの進行方向と逆向きで平行となるようにした。
磁性金属薄膜の厚みは全厚を1500Å形成した。蒸着
時の付着効率は計算上15%である。
【0027】(比較例2)図6は第2の比較例の製造装
置を示す図である。この例は斜方蒸着でなく垂直方向に
蒸着した例を示す。高分子基板としてポリエステルフィ
ルム(PET)42を送り軸41にセットし、冷却ドラ
ム43を経て巻取軸44で巻取った。強磁性金属Co−
Cr合金45を電子ビーム46で溶解し、下方より垂直
蒸着で蒸着する。ここで2つの遮蔽板47,48を用い
ることにより、入り側角成分−25度から出側角+25度の
50度範囲の入射角で蒸着される。磁性金属薄膜媒体の厚
みは全厚を1500Å形成した。蒸着時の付着効率は計
算上35%である。真空蒸着法による付着効率の計算は
るつぼ幅とフィルム幅を無限長とし、Cos3乗則によ
って行ったものである。
【0028】磁性金属薄膜媒体の評価は、市販のデジタ
ルビデオデッキを評価用デッキに改造して電磁変換特
性、及び繰り返し走行試験をおこなった。電磁変換特性
は20MHzでのカラー出力とノイズ比を求め、比較例
との相対比較した。走行試験は繰り返し走行前後の摩擦
係数ukを測定した。表面粗さはAFMで蒸着前後を測
定した。本実施例による磁気記録媒体の特性と比較例に
よる磁気記録媒体の特性を表1に示す。
【表1】 ここで蒸着効率は比較例1を1とした相対値である。
【0029】この結果、本発明の実施例と比較例とをデ
ジタルビデオ用評価デッキによる電磁変換特性について
比較した場合、本発明の実施例を用いたデッキからの再
生出力(Y信号)は、比較例と比較していずれも高く、
特にスリット付きの遮蔽板を高入射角に導入する実施例
2は3dB以上の改善がなされた。この原因を調べるた
め、AFMで蒸着前後のフィルムと磁気記録媒体の表面
粗さと性状を調べた。蒸着前のフィルム表面の平均粗さ
は320Åで本発明の実施例は340、320Åといず
れも表面状態の変化は従来例と比較して少なかった。こ
れは、本実施例は従来例と比較してスペ−シング損が少
なく短波長域での出力が高いことによると思われる。
【0030】又、AFMの表面観察、透過型電子顕微鏡
の観察から磁性金属の結晶粒子の大きさは比較例の方が
本実施例より1.5倍位大きいことが解った。
【0031】一方、表面粗さの違いによる摩擦係数の比
較を行ったが、本発明と従来例とはあまり差は見られず
問題はなかった。蒸着レ−トの高い状態での蒸着は結晶
粒子が細かく成長し、表面形状に影響を与えないが、レ
−トの低い状態では結晶粒子が大きく成長し、表面形状
も大きく粗くなると考えられる。
【0032】比較例2は同じ蒸着効率であっても満足な
電磁変換特性が得られない。これは、垂直蒸着を行った
が十分な結晶配向のない磁気記録媒体で且つ、デジタル
ビデオデッキを用いた評価法では磁気記録方法として不
適なためである。
【0033】斜方蒸着法で蒸着した本発明の実施例1,
2と比較例1との蒸着効率を比較した場合、計算上は本
発明のほうが従来例より約3倍優れており、又蒸着前後
の磁性金属の重量変化と付着量の測定から見積もった蒸
着効率でも同じ結果が得られた。これは同じ斜方蒸着の
場合であっても本発明が面積の大きな板状のエンドレス
ベルトを用いるため、金属蒸気流の多くがフィルム上に
蒸着され、高い付着効率が得られる。
【0034】本発明を実施する場合、酸素、窒素、水
素、オゾン、アルゴン等のガスを単独あるいは混合し、
又その他の反応性ガスを用いた反応蒸着法を用いても同
様の効果がある。又蒸着時のマスク位置、酸素ガスノズ
ル、回転ドラム、板状のエンドレスベルト等の位置関係
は、ここで示した実施の形態に限定されない。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明は蒸着時に蒸着効率
を高めることで蒸着テ−プの表面の表面粗さが蒸着後の
表面粗さとの比が1/1.3倍の磁気記録媒体を実現す
ることができる。磁気記録媒体の表面形状は蒸着前の高
分子フィルムの表面性状と大差がなく、スペ−シングロ
スの少ない、高画質で信頼性が高く、量産性に優れた磁
気記録媒体を得ることができる。このように本発明で
は、記録密度の高い量産性に優れた製造装置、製造方法
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による磁気記録媒体の断
面図である。
【図2】実施の形態1の磁気記録媒体の製造装置の構成
図である。
【図3】実施の形態2の磁気記録媒体の製造装置の構成
図である。
【図4】実施の形態3の磁気記録媒体の製造装置の構成
図である。
【図5】比較例1の磁気記録媒体の製造装置の構成図で
ある。
【図6】比較例2の磁気記録媒体の製造装置の構成図で
ある。
【図7】従来例による磁気記録媒体の断面図である。
【符号の説明】 1 高分子フィルム 2 形状付与粒子 3 磁性金属薄膜層 4,21 送り軸 5 上部冷却回転ドラム 6 下部冷却回転ドラム 7 板状ベルト 9,26 巻取軸 10 強磁性金属 11 電子ビーム 12,13,28 遮蔽板 13a スリット 23,24 回転ドラム 25 ローラ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空蒸着法で高分子フィルム上に磁性金
    属化合物を形成した磁気記録媒体において、 前記高分子フィルム上に斜方真空蒸着法により磁性金属
    化合物を形成することにより、フィルムと記録媒体の表
    面粗さとの比を1から1.3の範囲としたことを特徴と
    する磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 表面粗さの平均値が50〜500Åの高
    分子フィルム上に斜方真空蒸着法で磁性金属化合物を5
    00〜3000Å形成した磁気記録媒体において、フィ
    ルムと媒体の表面粗さの比が1から1.3の範囲にある
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 高分子フィルムを複数の冷却ドラムの間
    に巻回されたベルトに沿って搬送し、 このベルト上の前記高分子フィルムに対向させて磁性金
    属化合物の蒸着源を配置し、 蒸着源である磁性金属化合物の蒸着時の前記高分子フィ
    ルムに対する入射角を38度〜85度の範囲内となるよ
    うに遮蔽板を配置し、 磁性金属化合物を斜方より蒸着させることにより蒸気流
    を前記高分子フィルムに付着させて磁気記録媒体を製造
    することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 一対のドラム及び前記一対のドラムの間
    に平行に張り渡されたベルトを含み、前記高分子フィル
    ムを一定速度で搬送する搬送手段と、 前記ベルト上を搬送される高分子フィルムに対向して配
    置された磁性金属化合物の蒸着源と、 前記蒸着源の蒸着時に蒸気流の前記ベルト上の高分子フ
    ィルムに対する入射角を38度から85度の範囲内とす
    る遮蔽板と、を具備することを特徴とする磁気記録媒体
    の製造装置。
  5. 【請求項5】 前記遮蔽板は蒸着源の蒸気流を通過させ
    るスリットを有するものであることを特徴とする請求項
    4記載の磁気記録媒体の製造装置。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5記載の磁気記録媒体の製
    造装置により製造されたことを特徴とする磁気記録媒
    体。
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