JP2001139606A - 水溶性ビニル系モノマーの高分子量重合体の製造方法及び該重合体を含有する凝集剤 - Google Patents

水溶性ビニル系モノマーの高分子量重合体の製造方法及び該重合体を含有する凝集剤

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JP2001139606A
JP2001139606A JP32545399A JP32545399A JP2001139606A JP 2001139606 A JP2001139606 A JP 2001139606A JP 32545399 A JP32545399 A JP 32545399A JP 32545399 A JP32545399 A JP 32545399A JP 2001139606 A JP2001139606 A JP 2001139606A
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Shusuke Hamabe
秀典 浜辺
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Kurita Water Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】分子量が大きく、有機性汚泥の脱水処理におけ
る凝集剤として有用な水溶性ビニル系モノマーの高分子
量重合体の製造方法及び該重合体を含有する凝集剤を提
供する。 【解決手段】水溶性ビニル系モノマーを水溶液中で重合
開始剤の存在下に重合する方法において、水溶液中にニ
トロキシラジカルを重合開始剤に対して0.01〜2モ
ル倍存在させ、重合温度を20〜60℃とすることを特
徴とする水溶性ビニル系モノマーの高分子量重合体の製
造方法、及び、該重合体を含有することを特徴とする凝
集剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性ビニル系モ
ノマーの高分子量重合体の製造方法及び該重合体を含有
する凝集剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、分子
量が大きく、有機性汚泥の脱水処理における凝集剤とし
て有用な水溶性ビニル系モノマーの高分子量重合体の製
造方法及び該重合体を含有する凝集剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、都市下水やし尿処理などから発生
する生物処理汚泥を含む有機性汚泥は、有機物含有量の
増加や腐敗などにより、汚泥脱水に必要な脱水剤の添加
率が増加し、脱水ケーキの含水率が高く、汚泥処理量も
低く抑えざるを得ないなど、難脱水化の傾向にある。こ
れらの難脱水性汚泥に対しては、従来より種々の脱水方
法が試みられ、両性有機高分子凝集剤の添加が有効であ
ることが知られている。 例えば、特開昭63−158200号公報には、脱水ケ
ーキの含水率が低く、ろ布剥離性が良好な汚泥の脱水方
法として、無機凝集剤添加後のpH値が5〜8である有機
質汚泥に対して両性有機高分子凝集剤を添加し、次いで
脱水する汚泥の脱水方法が提案されている。また、特公
平6−239号公報には、汚泥の処理能力が大きく、懸
濁物質の回収率が高く、ろ布からの脱水ケーキの剥離性
が良好であり、脱水ケーキの含水率を低減することので
きる有機性汚泥の脱水方法として、有機性汚泥に無機凝
集剤を添加し、さらに特定のコロイド当量値とアニオン
量/カチオン量の比を有する両性有機高分子凝集剤を添
加したのち、脱水する方法が提案されている。しかし、
これらの従来の技術には、使用する薬品の量が多く、処
理コストが高い、効果に汎用性が乏しい、設備や作業が
煩雑になるなどの問題点がある。有機高分子化合物を高
分子凝集剤として用いると、重合体分子が2個以上の粒
子を橋かけ吸着することにより橋かけ凝集が起こる。吸
着層の厚さが大きいほど橋かけ凝集に有利なので、高分
子凝集剤には分子量が大きいことが要求され、水溶性ビ
ニル系モノマーの重合体も高分子量重合体であることが
好ましい。このために、凝集剤として優れた性能を発揮
し、下水、し尿、産業排水などから生ずる生物処理汚泥
を含む有機性汚泥に広く適用することができ、少量の薬
剤の添加により効果的に脱水して、フロックの強度が大
きく、含水率の低いケーキを得ることができる水溶性ビ
ニル系モノマーの高分子量重合体が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、分子量が大
きく、有機性汚泥の脱水処理における凝集剤として有用
な水溶性ビニル系モノマーの高分子量重合体の製造方法
及び該重合体を含有する凝集剤を提供することを目的と
してなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水溶性ビニル系モ
ノマーを水溶液中で重合開始剤の存在下に重合させる際
に、水溶液中にニトロキシラジカルを重合開始剤に対し
て0.01〜2.0モル倍存在させ、かつ重合温度を20
〜60℃とすることにより、凝集剤として優れた性能を
有する水溶性ビニル系モノマーの高分子量重合体を容易
に製造し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発
明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)水
溶性ビニル系モノマーを水溶液中で重合開始剤の存在下
に重合する方法において、水溶液中にニトロキシラジカ
ルを重合開始剤に対して0.01〜2モル倍存在させ、
重合温度を20〜60℃とすることを特徴とする水溶性
ビニル系モノマーの高分子量重合体の製造方法、(2)
ニトロキシラジカルが、2,2,6,6−テトラメチル−
1−ピペリジニルオキシラジカル又は4−ヒドロキシ−
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ
ラジカルである第1項記載の水溶性ビニル系モノマーの
高分子量重合体の製造方法、及び、(3)第1項記載の
方法により製造された水溶性ビニル系モノマーの高分子
量重合体を含有することを特徴とする凝集剤、を提供す
るものである。さらに、本発明の好ましい態様として、
(4)重合開始剤が、ペルオキソ二硫酸塩である第1項
記載の水溶性ビニル系モノマーの高分子量重合体の製造
方法、(5)水溶性ビニル系モノマーが、第4級アンモ
ニウム基を有するモノマー10〜70モル%、(メタ)ア
クリルアミド15〜80モル%及び(メタ)アクリル酸3
〜55モル%を含有する混合物である第1項記載の水溶
性ビニル系モノマーの高分子量重合体の製造方法、
(6)ニトロキシラジカルの存在量が、重合開始剤に対
して0.1〜1モル倍である第1項記載の水溶性ビニル
系モノマーの高分子量重合体の製造方法、(7)重合温
度が、30〜50℃である第1項記載の水溶性ビニル系
モノマーの高分子量重合体の製造方法、(8)水溶性ビ
ニル系モノマーの高分子量重合体の、1モル/L(1規
定)硝酸ナトリウム水溶液を溶媒として30℃において
測定した固有粘度が、6dL/g以上である第3項記載の
凝集剤、及び、(9)ペルオキソ二硫酸塩が、ペルオキ
ソ二硫酸カリウムであり、水溶液中のペルオキソ二硫酸
カリウムの濃度が、0.01〜0.5ミリモル/Lである
第4項記載の水溶性ビニル系モノマーの高分子量重合体
の製造方法、を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の水溶性ビニル系モノマー
の高分子量重合体の製造方法においては、水溶液中にニ
トロキシラジカルを重合開始剤に対して0.01〜2モ
ル倍存在させ、重合温度を20〜60℃として、水溶性
ビニル系モノマーを水溶液中で重合開始剤の存在下に重
合させる。本発明方法により製造された水溶性ビニル系
モノマーの高分子量重合体は、分子量が大きく、分子量
分布が狭く、低分子量の重合体を含まない。本発明の凝
集剤は、かかる高分子量重合体を含有するものであり、
優れた凝集性能を有している。本発明方法に用いる非水
溶性ニトロキシラジカルとしては、例えば、式[1]で
表されるジ−t−ブチルアミンオキシラジカル、一般式
[2]で表される2,2,5,5−テトラメチル−1−ピ
ロリジニルオキシラジカル類、一般式[3]で表される
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ
ラジカル類、一般式[4]で表される2,2,7,7−テ
トラメチル−1−シクロヘキシルアミンオキシラジカル
類などを挙げることができる。
【化1】 ただし、一般式[2]〜[4]において、Xは、水素、
ヒドロキシル基、アミノ基又はカルボキシル基である。
【0006】一般式[2]で表される2,2,5,5−テ
トラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル類として
は、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオ
キシラジカル、3−ヒドロキシ−2,2,5,5−テトラ
メチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、3−アミノ
−2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキ
シラジカル、3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメ
チル−1−ピロリジニルオキシラジカルを挙げることが
できる。一般式[3]で表される2,2,6,6−テトラ
メチル−1−ピペリジニルオキシラジカル類としては、
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ
ラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ル−1−ピペリジニルオキシラジカル、4−アミノ−
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ
ラジカル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ル−1−ピペリジニルオキシラジカルを挙げることがで
きる。一般式[4]で表される2,2,7,7−テトラメ
チル−1−シクロヘキシルアミンオキシラジカル類とし
ては、2,2,7,7−テトラメチル−1−シクロヘキシ
ルアミンオキシラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,7,
7−テトラメチル−1−シクロヘキシルアミンオキシラ
ジカル、4−アミノ−2,2,7,7−テトラメチル−1
−シクロヘキシルアミンオキシラジカル、4−カルボキ
シ−2,2,7,7−テトラメチル−1−シクロヘキシル
アミンオキシラジカルを挙げることができる。これらの
式[1]又は一般式[2]〜[4]で表される化合物
は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以
上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ
ラジカル及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメ
チル−1−ピペリジニルオキシラジカルを特に好適に用
いることができる。式[1]又は一般式[2]〜[4]
で表されるニトロキシラジカルが非水溶性である場合
は、本発明方法においては、これらの非水溶性ニトロキ
シラジカルを水溶液中に分散させることが好ましい。非
水溶性ニトロキシラジカルを水溶液中に分散させる方法
に特に制限はなく、例えば、非水溶性ニトロキシラジカ
ルを有機溶媒に溶解し、水溶性ビニル系モノマーの重合
を行う水溶液に添加して分散させることができ、あるい
は、非水溶性ニトロキシラジカルをボールミルなどを用
いて水中に微細粒子として分散させ、この水を水溶性ビ
ニル系モノマーの重合媒体として用いることもできる。
これらの中で、非水溶性ニトロキシラジカルを有機溶媒
に溶解して水溶液に添加する方法を好適に用いることが
できる。使用する有機溶媒に特に制限はないが、メタノ
ール、エタノール、アセトンなどの親水性有機溶媒であ
ることが好ましい。
【0007】本発明方法により重合させる水溶性ビニル
系モノマーに特に制限はなく、例えば、カチオン性モノ
マー、ノニオン性モノマー、アニオン性モノマーなどを
挙げることができる。カチオン性モノマーとしては、例
えば、一般式[5]で表される第4級アンモニウム基を
有するモノマーなどを挙げることができる。
【化2】 ただし、一般式[5]において、R1は水素又はメチル
基であり、R2は水素又はメチル基であり、R3はメチル
基又はベンジル基であり、R4はメチル基であり、Aは
O又はNHであり、Xは塩素、臭素又は1/2SO4
ある。一般式[5]で表されるモノマーとしては、例え
ば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルのメチルク
ロライド塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルの
メチルブロマイド塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノ
エチルのベンジルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジメ
チルアミノエチルの硫酸塩、(メタ)アクリル酸ジメチル
アミノエチルの塩酸塩、(メタ)アクリロイルアミノエチ
ルトリメチルアンモニウムクロライドなどを挙げること
ができる。本発明方法により重合させるノニオン性モノ
マーとしては、例えば、一般式[6]で表される(メタ)
アクリルアミドなどを挙げることができる。
【化3】 ただし、一般式[6]において、R5は水素又はメチル
基である。本発明方法により重合させるアニオン性モノ
マーとしては、例えば、一般式[7]で表される重合性
不飽和カルボン酸などを挙げることができる。
【化4】 ただし、一般式[7]において、R6は水素、メチル基
又はカルボキシメチル基であり、Zは水素又はナトリウ
ムである。一般式[7]で表されるモノマーとしては、
例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸及びこれらのナ
トリウム塩などを挙げることができる。本発明方法によ
り重合させるアニオン性モノマーとしては、2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの重合性
不飽和スルホン酸及びそのナトリウム塩なども挙げるこ
とができる。
【0008】本発明の凝集剤は、本発明方法により製造
された水溶性ビニル系モノマーの高分子量重合体を含有
するものである。水溶性ビニル系モノマーの高分子量重
合体としては、ノニオン性重合体、アニオン性重合体、
ジメチルアミノエチルメタクリレート系カチオン性重合
体、ジメチルアミノエチルアクリレート系カチオン性重
合体及び両性重合体のいずれをも用いることができる。
ノニオン性重合体は、一般式[6]で表されるモノマー
95〜100モル%及び一般式[7]で表されるモノマ
ー0〜5モル%の共重合体であることが好ましい。アニ
オン性重合体は、一般式[7]で表されるモノマー5〜
50モル%及び一般式[6]で表されるモノマー50〜
95モル%の共重合体であることが好ましく、一般式
[7]で表されるモノマー20〜40モル%及び一般式
[6]で表されるモノマー60〜80モル%の共重合体
であることがより好ましい。ジメチルアミノエチルメタ
クリレート系カチオン性重合体は、一般式[5]におい
てR1がメチル基であるモノマー10〜100モル%及
び一般式[6]で表されるモノマー0〜90モル%の共
重合体であることが好ましく、一般式[5]においてR
1がメチル基であるモノマー40〜100モル%及び一
般式[6]で表されるモノマー0〜60モル%の共重合
体であることがより好ましい。ジメチルアミノエチルア
クリレート系カチオン性重合体は、一般式[5]におい
てR1が水素であるモノマー10〜80モル%及び一般
式[6]で表されるモノマー20〜90モル%の共重合
体であることが好ましく、一般式[5]においてR1
水素であるモノマー40〜80モル%及び一般式[6]
で表されるモノマー20〜60モル%の共重合体である
ことがより好ましい。両性重合体は、一般式[5]で表
されるモノマー10〜70モル%、一般式[7]で表さ
れるモノマー3〜55モル%及び一般式[6]で表され
るモノマー15〜80モル%の共重合体であることが好
ましく、一般式[5]で表されるモノマー20〜40モ
ル%、一般式[7]で表されるモノマー5〜45モル%
及び一般式[6]で表されるモノマー20〜70モル%
の共重合体であることがより好ましい。
【0009】本発明方法に用いる重合開始剤に特に制限
はなく、例えば、ペルオキソ二硫酸塩、アゾ系開始剤、
レドックス開始剤、光重合開始剤などを挙げることがで
きる。ペルオキソ二硫酸塩としては、例えば、ペルオキ
ソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、
ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸バリウム
などを挙げることができる。アゾ系開始剤としては、例
えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス
(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4−アゾビス
(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2−アゾビ
ス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プ
ロパン]二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾ
リン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2−アゾビス
[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などを挙
げることができる。レドックス開始剤としては、例え
ば、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸カリウムなどの過酸
化物と、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄などの還元
剤の組み合わせを挙げることができる。光重合開始剤と
しては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテ
ル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどを挙げること
ができる。これらの中で、ペルオキソ二硫酸塩を好適に
用いることができ、ペルオキソ二硫酸カリウムを特に好
適に用いることができる。
【0010】本発明方法により水溶性ビニル系モノマー
を水溶液中で重合すると、開始剤ラジカルI・とモノマ
ー(I)とニトロキシラジカル(II)との反応により、
ドーマント種と呼ばれる安定な共有結合種(III)が生
成する。ドーマント種と、生長ラジカル(IV)とニトロ
キシラジカルとの解離状態の間には、平衡状態が成立す
る。
【化5】 したがって、重合開始剤と水溶性ビニル系モノマーとニ
トロキシラジカルが存在する水溶液を加熱すると、重合
開始剤より発生したラジカルは、反応系内においてドー
マント種を生成する。生成したドーマント種と生長ラジ
カルの間には平衡状態が成立し、生長ラジカルへのモノ
マーの付加による生長反応が開始される。通常は、生長
ラジカル2分子間の反応速度は、生長ラジカルへのモノ
マーの付加反応速度に比べて著しく速く、また、生長ラ
ジカルからモノマー、重合開始剤などへの連鎖移動が起
こるが、生長ラジカルがドーマント種との間の平衡状態
にある場合には、生長ラジカル2分子間の停止反応や、
生長ラジカルの連鎖移動反応は起こらず、いわゆるリビ
ングラジカル重合が進行する。このために、ニトロキシ
ラジカルが存在しない場合には、重合が起こらないよう
な少量の重合開始剤によっても、重合が進行して高分子
量重合体が得られる。また、生長反応の初期に停止反応
や連鎖移動反応が起こらないので、低分子量の重合体分
子が存在しない、分子量が大きく、分子量分布の狭い高
分子量重合体が得られる。
【0011】本発明方法において、ニトロキシラジカル
は、重合開始剤に対して0.01〜2モル倍、より好ま
しくは0.1〜1モル倍存在させる。重合開始剤が熱分
解すると、多くの場合、重合開始剤1モルから、開始剤
ラジカル2モルが発生するが、重合の開始に有効にはた
らく開始剤ラジカルの発生量は、重合開始剤の開始剤効
率として求められる。例えば、ペルオキソ二硫酸カリウ
ムの40℃における開始剤効率は、10〜20%と推定
される。本発明方法において、ニトロキシラジカルの存
在量は、重合の開始に有効にはたらく重合開始剤の0.
5〜2モル倍であることが好ましい。ニトロキシラジカ
ルの存在量が、重合の開始に有効にはたらく重合開始剤
の0.5モル倍未満であると、ドーマント種を形成しな
い開始剤ラジカルが多くなり、リビングラジカル重合が
困難となるおそれがある。ニトロキシラジカルの存在量
が、重合の開始に有効にはたらく重合開始剤の2モル倍
を超えると、ドーマント種と生長ラジカルの間の平衡が
ドーマント種側へ片寄り、重合速度が遅くなるおそれが
ある。ニトロキシラジカルの存在量は、適用する重合条
件における重合開始剤の開始剤効率を考慮して適宜選択
することができるが、ニトロキシラジカルの存在量が重
合開始剤に対して0.01モル倍未満であると、重合の
開始に有効にはたらく開始剤ラジカルに対して、ニトロ
キシラジカルが著しく不足するおそれがある。重合開始
剤から発生する開始剤ラジカルは、通常は重合開始剤1
モルに対して2モル以下であるので、重合開始剤に対し
て2モル倍を超えるニトロキシラジカルを存在させる必
要はない。多くの場合、ニトロキシラジカルを重合開始
剤に対して0.1〜1モル倍存在させることにより、重
合の開始に有効にはたらく重合開始剤の0.5〜2モル
倍という条件を満たすことができる。
【0012】本発明方法においては、重合温度を20〜
60℃、より好ましくは30〜50℃とする。重合温度
が20℃未満であると、重合開始剤の分解速度が遅く、
あるいは、ドーマント種と生長ラジカルの間の平衡がド
ーマント種側へ片寄り、重合が進行しないおそれがあ
る。重合温度が60℃を超えると、生成する水溶性ビニ
ル系モノマーの重合体の分子量が低下するおそれがあ
る。本発明方法において、重合開始剤の添加量は、その
種類、重合温度などに応じて適宜選択することができ
る。例えば、重合開始剤としてペルオキソ二硫酸カリウ
ムを用い、重合温度を40℃とする場合、ペルオキソ二
硫酸カリウムの濃度は0.01〜0.5ミリモル/Lであ
ることが好ましい。本発明方法において、重合時間は、
使用する重合開始剤、ニトロキシラジカル、モノマー、
重合温度などに応じて適宜選択することができるが、通
常は2〜24時間であることが好ましい。有機高分子化
合物を高分子凝集剤として用いると、重合体分子が2個
以上の粒子を橋かけ吸着することにより橋かけ凝集が起
こる。吸着層の厚さが大きいほど橋かけ凝集に有利なの
で、高分子凝集剤には分子量が大きいことが要求され
る。従来の方法により製造された水溶性ビニル系モノマ
ーの重合体は、分子量分布が広く、橋かけ凝集にはほと
んど寄与しない低分子量の重合体分子が含まれている
が、本発明方法により製造された水溶性ビニル系モノマ
ーの高分子量重合体は、低分子量の重合体分子を含ま
ず、すべての重合体分子がある一定値以上の分子量を有
して橋かけ凝集に寄与するので、凝集剤として優れた性
能を発揮するものと考えられる。
【0013】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、実施例において、ポリマ
ーの固有粘度は、1モル/L(1規定)の硝酸ナトリウ
ム水溶液を溶媒として、30℃において測定した。 実施例1 ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライ
ド4級化物(DAM)1.0g(0.005モル)、ジメ
チルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド4級
化物(DAA)28.1g(0.145モル)、アクリル
アミド12.4g(0.175モル)、アクリル酸12.
6g(0.175モル)、ペルオキソ二硫酸カリウム0.
81mg(0.003ミリモル)及び脱イオン水45.0g
を300mLセパラブルフラスコに取り、均一に溶解し
た。この水溶液を撹拌しながら、2,2,6,6−テトラ
メチル−1−ピペリジニルオキシラジカル0.09mg
(0.0006ミリモル)をメタノール0.9mLに溶解さ
せた溶液を添加し、水溶液中に2,2,6,6−テトラメ
チル−1−ピペリジニルオキシラジカルを分散させた。
次に、氷浴中で窒素ガスを500mL/分で3時間通気
し、モノマー混合物を含む水溶液中の溶存酸素ガスを除
去した。この水溶液を、40℃で10時間加熱して熱重
合を行った。ゲル状になったポリマーを取り出し、アセ
トン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマーを得
た。このポリマーの固有粘度は、8.2dL/gであっ
た。このポリマーを、ポリマーAとする。 比較例1 重合温度を15℃とした以外は、実施例1と同じ操作を
繰り返した。10時間後も、重合は進まず、ポリマーは
得られなかった。 比較例2 重合温度を65℃とした以外は、実施例1と同じ操作を
繰り返した。10時間後、ゲル状になったポリマーを取
り出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポ
リマーを得た。このポリマーの固有粘度は、5.2dL/
gであった。 比較例3 2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ
ラジカルの添加量を1.17mg(0.0075ミリモル)
とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返した。10
時間後も、重合は進まず、ポリマーは得られなかった。 比較例4 2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ
ラジカルを添加しなかった以外は、実施例1と同じ操作
を繰り返した。10時間後も、重合は進まず、ポリマー
は得られなかった。 参考例1 ペルオキソ二硫酸カリウムの添加量を27.03mg(0.
1ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペ
リジニルオキシラジカルの添加量を3.13mg(0.02
ミリモル)とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返
した。10時間後、ゲル状になったポリマーを取り出
し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマ
ーを得た。このポリマーの固有粘度は、5.5dL/gで
あった。 参考例2 ペルオキソ二硫酸カリウムの添加量を0.14mg(0.0
005ミリモル)、2,2,6,6−テトラメチル−1−
ピペリジニルオキシラジカルの添加量を0.02mg(0.
00001ミリモル)とした以外は、実施例1と同じ操
作を繰り返した。10時間後も、重合は進まず、ポリマ
ーは得られなかった。実施例1、比較例1〜4及び参考
例1〜2の結果を、第1表に示す。
【0014】
【表1】
【0015】第1表に見られるように、2,2,6,6−
テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカルをペル
オキソ二硫酸カリウムの0.2モル倍存在させ、重合温
度を40℃とした実施例1においては、固有粘度8.2d
L/gという高分子量のポリマーが得られている。これ
に対して、同じ処方であっても、重合温度を15℃とし
た比較例1では重合が進行せず、重合温度を65℃とし
た比較例2では得られるポリマーの分子量が低い。2,
2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジ
カルとペルオキソ二硫酸カリウムのモル比を2.5とし
た比較例3と、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペ
リジニルオキシラジカルを添加しなかった比較例4で
は、いずれも重合が進行しない。比較例4のペルオキソ
二硫酸カリウムの添加量は、実施例1と同じであるが、
実施例1では高分子量のポリマーが得られるのに対し
て、比較例4では重合しないことから、2,2,6,6−
テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカルの存在
によりリビングラジカル重合が起こり、通常の熱重合が
進まないような少量の重合開始剤によっても、効果的に
重合が進行することが分かる。参考例1と参考例2は、
いずれも2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニ
ルオキシラジカルとペルオキソ二硫酸カリウムのモル比
は0.2であるが、参考例1のように重合開始剤の量が
多すぎると得られるポリマーの分子量が低くなり、参考
例2のように重合開始剤の量が少なすぎると重合が進ま
ないことから、他の重合条件を考慮して重合開始剤の添
加量を選択する必要があることが分かる。 比較例5 ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライ
ド4級化物(DAM)1.0g(0.005モル)、ジメ
チルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド4級
化物(DAA)28.1g(0.145モル)、アクリル
アミド12.4g(0.175モル)、アクリル酸12.
6g(0.175モル)、ペルオキソ二硫酸カリウム2.
70mg(0.01ミリモル)及び脱イオン水45.9gを
300mLセパラブルフラスコに取り、均一に溶解した。
次に、氷浴中で窒素ガスを500mL/分で3時間通気
し、モノマー混合物を含む水溶液中の溶存酸素ガスを除
去した。この水溶液を、40℃で10時間加熱して熱重
合を行った。ゲル状になったポリマーを取り出し、アセ
トン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリマーを得
た。このポリマーの固有粘度は、8.0dL/gであっ
た。このポリマーを、ポリマーBとする。 比較例6 ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライ
ド4級化物(DAM)1.0g(0.005モル)、ジメ
チルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド4級
化物(DAA)28.1g(0.145モル)、アクリル
アミド12.4g(0.175モル)、アクリル酸12.
6g(0.175モル)及び脱イオン水45.0gを30
0mLセパラブルフラスコに取り、均一に溶解した。この
水溶液を撹拌しながら、ベンゾインイソプロピルエーテ
ル2.54mg(0.01ミリモル)をメタノール0.9mL
に溶解した溶液を添加し、水溶液中にベンゾインイソプ
ロピルエーテルを分散させた。次に、氷浴中で窒素ガス
を500mL/分で3時間通気し、モノマー混合物を含む
水溶液中の溶存酸素ガスを除去した。この水溶液を、あ
らかじめ窒素ガスで置換したガラス製フタ付きステンレ
ス鋼製容器に移し、中心波長365nmの紫外線を照射
して、1時間光重合を行った。重合中、ステンレス鋼製
容器は15℃に保った。ゲル状になったポリマーを取り
出し、アセトン精製、真空乾燥、破砕を行って粉末ポリ
マーを得た。このポリマーの固有粘度は、8.0dL/g
であった。このポリマーを、ポリマーCとする。実施例
1及び比較例5〜6で得られたポリマーの特性を、第2
表に示す。
【0016】
【表2】
【0017】実施例2 実施例1で得られたポリマーAを用い、浄化センター消
化汚泥について、遠心脱水機適用机上試験を行った。用
いた消化汚泥の性状は、pH6.70、電気伝導率0.6m
S/m、SS1.84重量%、VSS/SS59.7重量
%、繊維分/SS3.0重量%であった。汚泥200mL
を500mLステンレス製容器に採取し、ホモジナイザー
(NIHONSEIKI KAISHA、EXCEL A
UTO HOMOGENIZER)を用いて5,000rp
mの回転数で撹拌した。回転数が安定した時点で、20
重量%ポリ硫酸鉄水溶液をポリ硫酸鉄の濃度が3,00
0mg/Lになるように添加し、続いて、ポリマーAの
0.2重量%水溶液をポリマーAの濃度が100mg/L
になるように添加し、5秒間撹拌した。凝集した汚泥の
フロック径は、8.0mmであった。ナイロンろ布を敷い
たブフナーロートに内径50mmの硬質塩化ビニル製円筒
を置き、その中へ凝集した汚泥を一気に注ぎ込んだ。2
0秒後の重力ろ液量は、138mLであった。さらに、ろ
過後のナイロンろ布上に堆積した汚泥をベルトプレス用
ろ布に取り、49kPa(0.5kg/cm2)の圧力で1分間
圧搾を行って脱水ケーキを得た。得られた脱水ケーキの
含水率は、75.2重量%であった。 比較例7 実施例1で得られたポリマーAの代わりに、比較例5で
熱重合法により製造した同一モノマー組成で、固有粘度
8.0dL/gのポリマーBを用い、ポリマーBの濃度が
200mg/LになるようにポリマーBの水溶液を添加し
た以外は、実施例2と同じ操作を行った。凝集した汚泥
のフロック径は、3.0mmであった。20秒後の重力ろ
液量は、64mLであった。脱水ケーキの含水率は、7
5.4重量%であった。 比較例8 ポリマーBの濃度が250mg/Lになるようにポリマー
Bの水溶液を添加した以外は、比較例7と同じ操作を行
った。凝集した汚泥のフロック径は、4.5mmであっ
た。20秒後の重力ろ液量は、76mLであった。脱水ケ
ーキの含水率は、75.5重量%であった。 比較例9 実施例1で得られたポリマーAの代わりに、比較例6で
光重合法により製造した同一モノマー組成で、固有粘度
8.0dL/gのポリマーCを用い、ポリマーCの濃度が
200mg/LになるようにポリマーCの水溶液を添加し
た以外は、実施例2と同じ操作を行った。凝集した汚泥
のフロック径は、3.0mmであった。20秒後の重力ろ
液量は、80mLであった。脱水ケーキの含水率は、7
5.7重量%であった。 比較例10 ポリマーCの濃度が250mg/Lになるようにポリマー
Cの水溶液を添加した以外は、比較例9と同じ操作を行
った。凝集した汚泥のフロック径は、4.5mmであっ
た。20秒後の重力ろ液量は、76mLであった。脱水ケ
ーキの含水率は、75.8重量%であった。実施例2及
び比較例7〜10の結果を、第3表に示す。
【0018】
【表3】
【0019】第3表に見られるように、本発明方法によ
り得られたポリマーAを用いて凝集処理を行った実施例
2では、凝集により生成したフロックの直径が大きく、
重力ろ過試験において、ろ過速度が速く、ろ過性が良好
であり、また圧搾試験において得られる脱水ケーキの含
水率が低い。これに対して、従来の高分子凝集剤である
ポリマーB又はポリマーCを用いて凝集処理を行った比
較例7〜10では、ポリマーの添加量を増しても、凝集
により生成したフロックの直径が小さく、重力ろ過試験
において、ろ過速度が遅く、ろ過性が不良であり、また
圧搾試験において得られる脱水ケーキの含水率も高い。 実施例3 実施例1で得られたポリマーAを用い、浄化センター混
合汚泥について、ベルトプレス型脱水機適用机上試験を
行った。用いた混合汚泥の性状は、pH5.86、電気伝
導率114.2mS/m、SS1.68重量%、VSS/
SS83.2重量%、繊維分/SS27.3重量%であっ
た。汚泥200mLを500mLビーカーに採取し、20重
量%塩化第二鉄水溶液を塩化第二鉄の濃度が3,000m
g/Lになるように添加し、ハンドミキサーを用いて7
50rpmの回転数で30秒間撹拌した。次いで、ポリマ
ーAの0.2重量%水溶液をポリマーAの濃度が60mg
/Lになるように添加し、スパーテルを用いて180rp
mの回転数で30秒間撹拌した。凝集した汚泥のフロッ
ク径は、4.0mmであった。ナイロンろ布を敷いたブフ
ナーロートに内径50mmの硬質塩化ビニル製円筒を置
き、その中へ凝集した汚泥を一気に注ぎ込んだ。20秒
後の重力ろ液量は、123mLであった。さらに、ろ過後
のナイロンろ布上に堆積した汚泥をベルトプレス用ろ布
に取り、98kPa(1kg/cm2)の圧力で1分間圧搾を行
って脱水ケーキを得た。得られた脱水ケーキの含水率
は、71.5重量%であった。 実施例4 ポリマーAの濃度が80mg/LになるようにポリマーA
の水溶液を添加した以外は、実施例3と同じ操作を行っ
た。凝集した汚泥のフロック径は、5.0mmであった。
20秒後の重力ろ液量は、128mLであった。脱水ケー
キの含水率は、71.8重量%であった。 実施例5 ポリマーAの濃度が100mg/Lになるようにポリマー
Aの水溶液を添加した以外は、実施例3と同じ操作を行
った。凝集した汚泥のフロック径は、6.0mmであっ
た。20秒後の重力ろ液量は、118mLであった。脱水
ケーキの含水率は、72.1重量%であった。 比較例11 実施例1で得られたポリマーAの代わりに、比較例5で
熱重合法により製造した同一モノマー組成で、固有粘度
8.0dL/gのポリマーBを用い、ポリマーBの濃度が
80mg/LになるようにポリマーBの水溶液を添加した
以外は、実施例3と同じ操作を行った。凝集した汚泥の
フロック径は、2.0mmであった。20秒後の重力ろ液
量は、58mLであった。脱水ケーキの含水率は、72.
8重量%であった。 比較例12 ポリマーBの濃度が100mg/Lになるようにポリマー
Bの水溶液を添加した以外は、比較例11と同じ操作を
行った。凝集した汚泥のフロック径は、3.0mmであっ
た。20秒後の重力ろ液量は、84mLであった。脱水ケ
ーキの含水率は、72.7重量%であった。 比較例13 ポリマーBの濃度が120mg/Lになるようにポリマー
Bの水溶液を添加した以外は、比較例11と同じ操作を
行った。凝集した汚泥のフロック径は、3.0mmであっ
た。20秒後の重力ろ液量は、66mLであった。脱水ケ
ーキの含水率は、72.8重量%であった。 比較例14 実施例1で得られたポリマーAの代わりに、比較例6で
光重合法により製造した同一モノマー組成で、固有粘度
8.0dL/gのポリマーCを用い、ポリマーCの濃度が
100mg/LになるようにポリマーCの水溶液を添加し
た以外は、実施例3と同じ操作を行った。凝集した汚泥
のフロック径は、1.0mmであったので、重力ろ過試験
は行わなかった。 比較例15 ポリマーCの濃度が120mg/Lになるようにポリマー
Cの水溶液を添加した以外は、比較例14と同じ操作を
行った。凝集した汚泥のフロック径は、1.0mmであっ
たので、重力ろ過試験は行わなかった。 比較例16 ポリマーCの濃度が140mg/Lになるようにポリマー
Cの水溶液を添加した以外は、比較例14と同じ操作を
行った。凝集した汚泥のフロック径は、1.0mmであっ
たので、重力ろ過試験は行わなかった。実施例3〜5及
び比較例11〜16の結果を、第4表に示す。
【0020】
【表4】
【0021】第4表に見られるように、本発明方法によ
り得られたポリマーAを用いて凝集処理を行った実施例
3〜5では、凝集により生成したフロックの直径が大き
く、重力ろ過試験において、ろ過速度が速く、ろ過性が
良好であり、また圧搾試験において得られる脱水ケーキ
の含水率が低い。これに対して、従来の高分子凝集剤で
あるポリマーBを用いて凝集処理を行った比較例11〜
13では、凝集により生成したフロックの直径が小さ
く、重力ろ過試験において、ろ過速度が遅く、ろ過性が
不良であり、また圧搾試験において得られる脱水ケーキ
の含水率も高い。また、ポリマーCを用いて凝集処理を
行った比較例14〜16では、凝集により生成したフロ
ックの直径が極端に小さく、ろ過試験に進むことができ
なかった。
【0022】
【発明の効果】本発明の水溶性ビニル系モノマーの高分
子量重合体の製造方法によれば、重合媒体である水溶液
中に、ニトロキシラジカルを存在させることにより、生
長ラジカルをドーマント種に変換して生長反応を開始
し、かつ重合初期における停止反応を防ぐことができる
ので、低分子量の重合体分子を含まない分子量分布の狭
い高分子量重合体を容易に製造することができる。本発
明方法により製造した水溶性ビニル系モノマーの高分子
量重合体は、凝集剤としての効果に乏しい低分子量の重
合体分子を含まないので、有機高分子凝集剤として優れ
た性能を発揮する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性ビニル系モノマーを水溶液中で重合
    開始剤の存在下に重合する方法において、水溶液中にニ
    トロキシラジカルを重合開始剤に対して0.01〜2モ
    ル倍存在させ、重合温度を20〜60℃とすることを特
    徴とする水溶性ビニル系モノマーの高分子量重合体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】ニトロキシラジカルが、2,2,6,6−テ
    トラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル又は4−
    ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリ
    ジニルオキシラジカルである請求項1記載の水溶性ビニ
    ル系モノマーの高分子量重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の方法により製造された水溶
    性ビニル系モノマーの高分子量重合体を含有することを
    特徴とする凝集剤。
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