JP2001139492A - 消炎鎮痛剤含有エアゾール組成物およびエアゾール製品 - Google Patents

消炎鎮痛剤含有エアゾール組成物およびエアゾール製品

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JP2001139492A
JP2001139492A JP32145799A JP32145799A JP2001139492A JP 2001139492 A JP2001139492 A JP 2001139492A JP 32145799 A JP32145799 A JP 32145799A JP 32145799 A JP32145799 A JP 32145799A JP 2001139492 A JP2001139492 A JP 2001139492A
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Japan
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actuator
aerosol
inflammatory
injection hole
inflammatory analgesic
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JP32145799A
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Inventor
Toshiro Matsumura
敏郎 松村
Yoshiharu Suzuki
美映 鈴木
Ken Ogata
謙 尾形
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Toyo Aerosol Industry Co Ltd
Original Assignee
Toyo Aerosol Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原液が非ステロイド系消炎鎮痛剤を含有し、
吐出物が液だれが生じにくいエアゾール組成物、並びに
この組成物が充填されてなり、適用個所に正確に適用で
きて周囲への飛散が抑制されたエアゾール製品を提供す
ること。 【解決手段】 エアゾール組成物は、0.5〜2.5質
量%の非ステロイド系消炎鎮痛剤および30〜85質量
%の1価の低級脂肪族アルコールを含有する原液99〜
30質量部と、噴射剤1〜70質量部とを含有してな
る。エアゾール製品は、この組成物がエアゾール容器内
に充填されてなり、エアゾール容器は、噴射孔が設けら
れたアクチュエーターを有してなり、アクチュエーター
には、噴射孔よりも前方に突出し、その先端が適用面に
対接されるアクチュエーター作動部が設けられている。
このアクチュエーター作動部により飛散防止部が形成さ
れていることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消炎鎮痛剤含有エ
アゾール組成物およびエアゾール製品に関するものであ
り、特に非ステロイド系消炎鎮痛剤を含有する原液と噴
射剤とよりなるエアゾール組成物およびこれをエアゾー
ル容器内に充填してなるエアゾール製品に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、非ステロイド系消炎鎮痛剤を配合
してなる消炎鎮痛剤は、液剤、クリーム剤、パップ剤な
どの剤型で開発されまた提供されているが、最近におい
ては、投与あるいは適用の簡便性などの理由から、エア
ゾールとしての剤型のものが使用され始めている。
【0003】従来、人体用の消炎鎮痛剤として用いられ
ているエアゾール製品としては、サリチル酸メチルなど
の消炎鎮痛成分を含有する原液と噴射剤とがエアゾール
容器内に充填されてなり、内容物が霧状に噴射されるミ
ストタイプのものと、泡沫状に噴射されるフォームタイ
プのものが知られている。然るに、消炎鎮痛剤として非
ステロイド系消炎鎮痛剤が含有されるミストタイプのエ
アゾール製品においては、使用者や周囲の者が噴射物の
ミストを吸入したり眼や口腔に入るとアレルギー症を発
症する場合があり、これを防止するためには、適用の際
に噴射物のミストが適用個所の周囲に飛散しない特性を
有することが肝要である。
【0004】このような要請から、噴射物が飛散せず、
あるいは飛散が少ないエアゾール組成物の剤型が検討さ
れており、例えば特開平11−35419号公報では、
内容物がジェル状に吐出されるものが提案されており、
また、シャーベット状に吐出されるエアゾール組成物も
提案されている(WO90/11068号)。
【0005】しかしながら、これらのエアゾール組成物
においては、その成分処方を調整することにより、吐出
物を蒸散性の低いものとしているため、当該組成物の処
方において種々の制約があるのみでなく、皮膚面に適用
されたときに付着物が流れてしまう、いわゆる液だれを
生ずる問題点がある。そして、液だれを防ぐためには、
噴射された吐出物を指先などによって適用すべき個所に
塗り付けることが必要となって、手指を吐出物に触れさ
せることなしに適用することができるという、エアゾー
ル剤型の利便性が大きく損なわれることとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基づいてなされたものであって、本発明の目的
は、原液が非ステロイド系消炎鎮痛剤を含有し、しかも
吐出物が高い蒸散性を有しているために液だれが生じに
くいエアゾール組成物を提供することにある。本発明の
他の目的は、上記のエアゾール組成物が充填されてな
り、目的とする適用個所に正確に適用することができ、
しかも適用個所の周囲に飛散することが抑制されたエア
ゾール製品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の消炎鎮痛剤含有
エアゾール組成物は、0.5〜2.5質量%の非ステロ
イド系消炎鎮痛剤および30〜85質量%の1価の低級
脂肪族アルコールを含有する原液99〜30質量部と、
噴射剤1〜70質量部とを含有してなることを特徴とす
る。
【0008】このエアゾール組成物においては、非ステ
ロイド系消炎鎮痛剤が、インドメタシン、ケトプロフェ
ン、ブフェキサマックおよびピロキシカムから選ばれた
少なくとも1種であることが好ましい。
【0009】噴射剤としては、液化石油ガスおよびジメ
チルエーテルから選ばれた少なくとも一種、あるいは、
窒素ガス、炭酸ガスおよび亜酸化窒素ガスから選ばれた
少なくとも一種またはそれらの混合ガスを用いることが
できる。
【0010】本発明の消炎鎮痛剤含有エアゾール製品
は、上記の消炎鎮痛剤含有エアゾール組成物がエアゾー
ル容器内に充填されてなり、当該エアゾール容器は、内
容物を噴射する噴射孔が設けられたアクチュエーターを
有してなり、当該アクチュエーターには、噴射孔よりも
噴射物の噴射方向前方に突出し、その先端が適用面に対
接されることにより当該アクチュエーターが作動される
アクチュエーター作動部が設けられていることを特徴と
する。
【0011】この消炎鎮痛剤含有エアゾール製品におい
ては、エアゾール容器のアクチュエーターにおいて、そ
の作動方向が、噴射物の噴射方向と一致していることが
好ましい。
【0012】また、エアゾール容器のアクチュエーター
においては、その前面に噴射孔が設けられると共に、ア
クチュエーター作動部が当該噴射孔を包囲する位置に設
けられており、このアクチュエーター作動部により飛散
防止部が形成されていることが好ましい。
【0013】上記の場合において、特に、アクチュエー
ター作動部が複数の突起部により構成されており、当該
複数の突起部は、アクチュエーターの前面において噴射
孔を多重に包囲する複数の環状ラインの各々に沿って互
いに隣接するものが離間した状態で配置されており、噴
射孔を中心とするすべての放射方向に少なくとも1つの
突起部が存在することにより、全体として噴射孔をその
全周において包囲する飛散防止部が形成されていること
が好ましい。
【0014】以上のエアゾール容器のアクチュエーター
において、噴射孔は、アクチュエーター作動部の先端か
ら作動方向に後退した位置に設けられており、その後退
距離の長さが5〜20mmとされていることが好まし
い。
【0015】
【作用】本発明のエアゾール組成物によれば、原液が非
ステロイド系消炎鎮痛剤を含有するが、同時に、当該原
液は1価の低級脂肪族アルコールを30〜85質量%と
いう相当に高い割合で含有するものであるため、噴射物
が霧状となるにもかかわらず、適用された吐出物は人体
の体温によって高い蒸散性を有するものとなり、従って
液だれを生ずることなしに、すなわちエアゾール製剤と
しての利便性を損なうことなしに、消炎鎮痛剤を目的と
する患部に適用することができる。
【0016】また、本発明のエアゾール製品によれば、
エアゾール容器における噴射孔が設けられたアクチュエ
ーターは、噴射方向前方に突出するアクチュエーター作
動部の先端が適用面に対接されることにより作動される
ため、目的とする適用個所に正確にしかも高い付着率で
非ステロイド系消炎鎮痛剤を適用することができ、不用
意に内容物が噴射されたり、適用個所以外の個所に消炎
鎮痛剤が適用されることが十分確実に回避され、従っ
て、基本的に噴射物が周囲に飛散することが少ない。
【0017】そして、アクチュエーターの前面に設けら
れた噴射孔より前方に伸びるアクチュエーター作動部
が、当該噴射孔の周囲を包囲する形態に設けられている
ことにより、噴射孔よりの噴射物が前方以外の方向に飛
散することを確実に防止することができる。特に、アク
チュエーター作動部を構成する複数の突起部が、アクチ
ュエーターの前面において噴射孔を多重に包囲する複数
の環状ラインの各々に沿って互いに隣接するものが離間
した状態で配置されていることにより、噴射孔を中心と
するすべての放射方向に少なくとも1つの突起部が存在
する場合には、全体として噴射孔をその全周において包
囲する飛散防止部が形成されるので、噴射物の飛散を完
全に防止することができる。
【0018】更に、アクチュエーターにおいて、噴射孔
の位置が、アクチュエーター作動部の先端からその作動
方向に5〜20mmの距離だけ後退した位置とされるこ
とにより、きわめて適切な状態で、目的とする消炎鎮痛
剤の適用を確実に行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明のエアゾール組成物
について詳細に説明する。本発明のエアゾール組成物
は、必須成分として、非ステロイド系消炎鎮痛剤と1価
の低級脂肪族アルコールとを含有してなる原液と、噴射
剤とにより構成される。
【0020】原液は、有効となる割合の非ステロイド系
消炎鎮痛剤と、原液において特定の割合となる量の1価
の低級脂肪族アルコールと、他の必要に応じて含有され
る添加成分とにより構成される。
【0021】〔非ステロイド系消炎鎮痛剤〕本発明にお
いて、原液を構成する必須成分の非ステロイド系消炎鎮
痛剤は、特に限定されるものではないが、具体的には、
インドメタシン、ケトプロフェン、ブフェキサマックお
よびピロキシカムから選ばれた少なくとも1種を用いる
ことが好ましい。これらの非ステロイド系消炎鎮痛剤と
共に、他の消炎鎮痛剤を併用することもできる。
【0022】この非ステロイド系消炎鎮痛剤の原液にお
ける含有割合は、0.5〜2.5質量%、好ましくは
0.7〜1.5質量%である。この非ステロイド系消炎
鎮痛剤の含有割合が0.5質量%以上であることによ
り、消炎鎮痛効果が充分に発現される。すなわち、この
含有割合が0.5質量%未満では、消炎鎮痛効果が不十
分となるおそれがある。一方、この含有割合が2.5質
量%を超えると、適用した個所に過度な刺激が生ずるお
それがある。
【0023】〔1価の低級脂肪族アルコール〕原液に
は、上記の非ステロイド系消炎鎮痛剤と共に、1価の低
級脂肪族アルコールが必須成分として含有される。この
1価の低級脂肪族アルコールは、原液において、非ステ
ロイド系消炎鎮痛剤に対して溶剤として作用し、また、
エアゾール組成物において、適用されたときに吐出物に
高い蒸散性を付与する作用を発揮し、これにより、液だ
れが有効に防止される。
【0024】この1価の低級脂肪族アルコールは、炭素
数が2〜4のものであり、その具体例は、エタノールも
しくは変性エタノール、ノルマルプロパノール、イソプ
ロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノールであ
る。これらは単独でまたは2種類以上を併用することが
できる。
【0025】原液における1価の低級脂肪族アルコール
の含有割合は、30〜85質量%、好ましくは30〜6
5質量%、特に好ましくは45〜65質量%である。こ
の含有割合が30質量%未満の場合には、適用された吐
出物の液だれを有効に防止することができず、また非ス
テロイド系消炎鎮痛剤の原液への溶解性が低下したもの
となるので好ましくない。一方この含有割合が85質量
%を超える場合には、適用されたときに皮膚の脂肪分を
過度に溶解させ、脱脂による皮膚あれが生ずるおそれが
あるので、好ましくない。
【0026】〔添加成分〕非ステロイド系消炎鎮痛剤お
よび1価の低級脂肪族アルコールを含有する原液には、
必要に応じて、種々の添加成分を適宜含有させることが
できる。この添加成分の具体例としては、例えば、水、
多価アルコール、高級アルコール、高級脂肪酸、脂肪酸
エステル、ポリシロキサン、界面活性剤、増粘剤、炭化
水素油、pH調整剤、粉末、着色剤、香料、その他を挙
げることができる。また、原液には、用いる非ステロイ
ド系消炎鎮痛剤の経皮吸収促進剤あるいは溶解補助剤を
含有させることも可能であるが、上記の添加成分の或る
物質は、そのような機能を有するものがある。
【0027】添加成分について具体的に説明する。 (1)水としては、精製水、イオン交換水などを利用す
ることができる。 (2)多価アルコールは、非ステロイド系消炎鎮痛剤の
経皮吸収促進剤として機能する。その具体例としては、
例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセ
リン、1,3−ブチレングリコールなどの水酸基を2〜
3個有するものが好ましい。 (3)高級アルコールは、炭素数が8〜20のアルコー
ルであり、これも非ステロイド系消炎鎮痛剤の溶解補助
剤としての作用を有する。その具体例としては、例えば
オクチルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアル
コール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール
などを挙げることができる。
【0028】(4)高級脂肪酸は、皮膚に対する付着性
を付与する作用を有する。その具体例としては、例えば
オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸などの炭素数12〜20の脂肪酸を挙
げることができる。 (5)脂肪酸エステルは、非ステロイド系消炎鎮痛剤の
経皮吸収促進剤あるいは溶解補助剤としての作用を有す
る。その具体例としては、例えばアジピン酸ジイソプロ
ピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプ
ロピル、オクタン酸セチルなどの炭素数10〜30のエ
ステルを挙げることができる。
【0029】(6)ポリシロキサンは、適用されたとき
の付着性を向上させる作用を有する。その具体例として
は、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポ
リシロキサンなどの鎖状ポリシロキサン、デカメチルポ
リシロキサンなどの環状ポリシロキサンなどを挙げるこ
とができる。 (7)界面活性剤は原液の状態を安定化する作用を有す
るものであり、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面
活性剤、陽イオン性界面活性剤および両性界面活性剤が
あるが、本発明においては、特に非イオン性界面活性剤
を用いることが好ましい。
【0030】(8)増粘剤は原液の粘度状態を調整して
良好な噴射特性を実現する作用を有する。その具体例と
しては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化
セルロース、キサンタンガム、グアガム、デンプン、ヒ
アルロン酸ナトリウム、アルギン酸、カラギーナン、カ
ルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリビニル
アルコール、ポリエチレングリコールなどを挙げること
ができる。 (9)炭化水素油は、適用個所に対する付着性を向上さ
せ、有効成分である非ステロイド系消炎鎮痛剤を拡散状
態に保持し、その有効性を高める作用を有する。その具
体例としては、例えば流動パラフィン、スクワレン、ス
クワラン、ワセリンなどを挙げることができる。
【0031】(10)pH調整剤は、原液の水素イオン
濃度を調整してエアゾール容器に対する非腐食性を確保
すると共に、適用される皮膚に対する適合性を確保する
ために用いられる。その具体例としては、例えば水酸化
ナトリウム、アンモニア水、トリエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、クエン酸、乳酸などを挙げることが
できる。 (11)粉末は、含有されることにより、皮膚に対する
付着性を向上させる作用を有し、場合によっては、原液
の安定性を向上させる効果を有する。その具体例として
は、例えば酸化亜鉛、炭酸カルシウム、ナイロンパウダ
ー、シリカ、タルク、シリコンパウダーなどを挙げるこ
とができる。
【0032】以上の添加成分は、その種類によっても異
なるが、原液における含有割合の合計が、0.1〜2
0.0質量%、好ましくは5〜15質量%となる量で添
加することができる。
【0033】以上の原液と、噴射剤とによりエアゾール
組成物が構成され、これがエアゾール容器内に充填され
て消炎鎮痛剤含有エアゾール製品が得られる。噴射剤と
しては、液化石油ガスおよびジメチルエーテルから選ば
れた少なくとも1種、または窒素ガス、炭酸ガスおよび
亜酸化窒素ガスから選ばれた少なくとも1種またはそれ
らの混合ガスよりなる圧縮ガスを用いることができる。
更に、液化石油ガスおよびジメチルエーテルの少なくと
も一方と、適宜の圧縮ガスとを併用することもできる。
【0034】原液と噴射剤の割合は、原液が99〜30
質量部で噴射剤が1〜70質量部となる割合とされる
が、具体的には、噴射剤として用いられるガスの種類に
よっても異なる。例えば噴射剤として圧縮ガスである窒
素ガスを用いる場合には、原液/噴射剤の割合が質量割
合で、99/1〜95/5、好ましくは99/1〜98
/2であり、また炭酸ガスを用いる場合には、同じく9
8/2〜90/10、好ましくは97/3〜94/6で
ある。一方、噴射剤として液化ガスを用いる場合には、
原液/噴射剤の割合が質量割合で、70/30〜30/
70、好ましくは60/40〜40/60である。ま
た、噴射剤としてジメチルエーテルを用いる場合には、
インドメタシンなどの非ステロイド系消炎鎮痛剤の分解
を抑制する効果が得られると共に、その溶解助剤として
の作用をも有する。
【0035】以上の原液と噴射剤とよりなるエアゾール
組成物は、耐圧容器にエアゾール用のバルブおよびこの
バルブを開閉するよう作動されるアクチュエーターが取
り付けられてなるエアゾール容器内に充填され、これに
より、消炎鎮痛剤含有エアゾール製品とされる。図1〜
図3は、本発明に好適に用いられるエアゾール容器の一
例を示し、図1はアクチュエーター部分を図2における
X−X線に沿った断面で表した、容器全体の説明用断面
図、図2は、図1の例におけるキャップを外した状態の
平面図、図3は、図1の例におけるキャップを外した状
態のアクチュエーター部分を正面方向から見た説明用外
観図である。
【0036】この例のエアゾール容器10は、例えば金
属缶よりなる耐圧容器12の開口部を気密に塞ぐようマ
ウンテンカップ15が装着され、バルブ(図示せず)の
ステムから伸びてマウンテンカップ15より前方(図1
で上方)に突出し、先端に噴射孔18を有する噴射ノズ
ル16が、バルブのステムを支持するスプリングに抗し
て下方に移動可能に設けられており、バルブを開閉する
よう作動されるアクチュエーター20が、この噴射ノズ
ル16に固定されて設けられている。
【0037】従って、このエアゾール容器10において
は、アクチュエーター20を下方に押下して作動させる
ことによりバルブが開かれ、内容物が噴射ノズル16の
先端の噴射孔18から、噴射ノズル16の伸びる方向、
すなわち前方に噴射され、アクチュエーター20に対す
る押下力を除去すると、その位置が復帰して噴射が停止
される。上記のバルブは、特に限定されるものではない
が、1回のアクチュエーター操作によって一定量の内容
物が噴射される定量バルブであることが好ましい。
【0038】そして、このエアゾール容器10において
は、アクチュエーター20の前面領域21において、各
々前方に突出して伸びる棒状あるいは柱状の突起部Pが
複数形成されており、これにより、アクチュエーター作
動部が形成されている。
【0039】図示の例においては、突起部Pは、具体的
には次のように設けられている。すなわち、当該前面領
域21における噴射孔18を中心とする二重の円の内側
の円周上に位置するよう、6個の小径突起部PAが等間
隔で配置されていると共に、外側の円周上に位置するよ
う、6個の大径突起部PBが等間隔で配置されててお
り、しかも、大径突起部PBの各々が、小径突起部PA
の隣接するものの間の半径方向外方位置に位置され、こ
れにより、噴射孔18を中心とするすべての放射方向に
小径突起部PAおよび大径突起部PBの少なくとも1つ
が存在する状態とされ、この二重の環状突起部により、
全体として噴射孔をその全周において包囲する飛散防止
部が形成されている。
【0040】上記において、小径突起部PAおよび大径
突起部PBは、いずれも、その先端が噴射孔18より前
方に位置され、これにより、噴射孔18の位置が相対的
に後退しており、その後退距離、すなわち噴射孔18の
先端から適用個所(皮膚)までの距離dは、5〜20m
m、好ましくは10〜15mmとされる。
【0041】また、アクチュエーター20には、筒状の
カバー部材25が装着されており、このカバー部材25
は、アクチュエーター20の前面領域21を越えて前方
に伸び、従って突起部Pを包囲するが、その前端位置
は、噴射孔18よりも前方でしかも突起部Pの先端より
若干後退した位置とされており、これにより、アクチュ
エーター20のストローク幅が確保されている。そし
て、このカバー部材25に嵌合するキャップ30が設け
られている。
【0042】このような構成のエアゾール容器10によ
れば、キャップ30を外した状態で突起部Pの先端を患
部などの適用個所に押し当て、この状態において更に耐
圧容器12の部分を押すことにより、相対的にアクチュ
エーター20が作動され、これにより、バルブが開いて
内容物が噴射孔18から噴射される。
【0043】然るに、噴射ノズル16の噴射孔18から
の噴射物は、この例では突起部Pの突出する前方に噴射
されるが、このときに、噴射孔18から適用個所に至る
までの当該噴射物の経路となる空間は、その周囲に配設
された突起部Pにより包囲されているため、飛散する方
向に向かう噴射物は突起部Pによって遮蔽され、突起部
Pに付着することとなる。その結果、噴射物を有効に適
用個所に付着させることができると共に、噴射物が周囲
に飛散することが有効に防止され、従って、内容物の原
液が非ステロイド系消炎鎮痛剤を含有するものであって
も、その飛散による弊害を十分に防止しながらその薬効
を利用することができる。
【0044】上記の例において、突起部Pの先端からの
噴射孔18の後退距離dは既述のように5〜20mmの
範囲内とされるが、この後退距離dが5mm未満の場合
には適用個所において凍傷が生じやすい場合があり、一
方、後退距離が20mmよりも長いと、突起部Pに付着
する量が増加する結果、適用個所に実際に付着する噴射
物の量が減少することとなり、また噴射物の飛散が生じ
やすくなる。
【0045】また、突起部P、具体的には小径突起部P
Aおよび大径突起部PBの各々の先端は、半球状で湾曲
した滑面状の表面であることが好ましい。これにより、
適用個所に対接させたときに、好適な感触が得られ、当
該適用個所に痛みを感じさせることが防止される。
【0046】上記のように、アクチュエーター20の作
動によるストローク方向(図1の例では上下方向)に対
して、噴射物の噴射方向は一致していることが好ましい
が、これに限定されるものではなく、アクチュエーター
のストローク方向に対して垂直に噴射させるものであっ
てもよい。しかし、噴射方向がストローク方向と一致す
ることにより、噴射物の適用個所に対して高い付着率を
得ることができる利点がある。
【0047】図4および図5は、本発明に用いられるエ
アゾール容器の他の例を示し、図4はアクチュエーター
部分の平面図、図5は、正面方向から見た説明用外観図
である。この例のエアゾール容器は、突起部Pの態様が
異なっていることの他は、基本的に既述の例と同一であ
る。すなわち、この例では、アクチュエーター20の前
面領域21において、各々の前端に半球状先端部32が
形成された、比較的大きい外径を有する柱状突起部PC
の3個が、各々前方に突出する状態で、噴射孔18を中
心とする円周に沿って等しい角度間隔で配置されてお
り、これらの柱状突起部PCにより、アクチュエーター
作動部が形成されている。
【0048】このようなエアゾール容器によっても、基
本的に、既述の例と同様の作用効果が得られる。しか
し、この例では、隣接する柱状突起部PCの間に、噴射
孔18を直接外部から臨むことのできる空隙35が形成
されており、この空隙35を介して若干の噴射物が飛散
する可能性があるが、柱状突起部PCの各々の径を大き
いものとすることにより当該空隙35を小さいものとす
ることができ、従って、エアゾール組成物が飛散性の少
ないもの、例えば原液の粘度が比較的大きい場合には、
十分有効に飛散を防止することができる。
【0049】アクチュエーター作動部を構成する突起部
は、既述の図示の例に限られるものではなく、同様の作
用効果が得られるものであれば、適宜の形態とすること
ができる。図6は、そのようなものの一例を示し、この
例では、アクチュエーター作動部は、各々前方に突出す
る複数の舌片38が外周に沿って互いに離間して形成さ
れた円板状のディスク40により構成されており、これ
らの舌片38により、既述の例の突起部と同様の作用効
果が発揮される。この舌片38は、その先端が湾曲して
いることが好ましい。
【0050】以上のように、アクチュエーター作動部を
形成する突起部が噴射孔18を包囲するようその周囲に
配置されることにより飛散防止部が形成されるが、この
飛散防止部は、その目的のみからは、噴射孔18を実質
的に完全に包囲する状態、すなわち、複数の突起部が全
体として噴射孔をその全周において包囲する状態に形成
されていることが好ましい。そのためには、例えば、噴
射孔を二重あるいは三重以上の多重に包囲する円などの
環状ラインに沿って突起部が配置された構成とすること
も可能である。ただし、噴射孔から適用個所に至る空間
は、その外周方向において、外部の大気と或る程度の大
きさの空隙を介して連通していることが必要であり、そ
のために、例えばアクチュエーターの前面領域の外周縁
に、当該前面領域に連通するスリットなどを形成するこ
とが有効である。
【0051】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらにより限定されるものではない。 〔実施例〕表1に示す処方により、非ステロイド系消炎
鎮痛剤と1価の低級脂肪族アルコールを必須成分とする
原液を調製し、この原液と噴射剤とを、図1〜図3に示
す構成を有し、噴射孔の後退距離dが5.0mm、1
0.0mmまたは15.0mmであるアクチュエーター
を有するエアゾール容器内に充填することにより、本発
明の消炎鎮痛剤含有エアゾール製品を作製した。表中、
噴射剤における「混合ガス」は、液化石油ガスとジメチ
ルエーテルとを質量で70:30の割合で混合してなる
ガスである。
【0052】このようにして得られたエアゾール製品に
ついて、恒温槽により25℃の温度に30分間以上保持
した後、縦20cm、横20cmの金属板の表面にアク
チュエーター作動部を対接させた上で更に押圧して3秒
間だけ噴射動作させた。そして、エアゾール製品におけ
る質量の減少量W1(g)と、金属板上の付着物の質量
W2(g)を求め、用いたエアゾール組成物における原
液の割合r(質量%)を用いて、次式により、付着率
(%)を求めた。 付着率=W2/(r×W1) 結果を表1に示す。
【0053】〔比較例〕エアゾール容器として通常のボ
タン型アクチュエーターを有するものを用いたこと以外
は、実施例と同様にして比較用のエアゾール製品を作製
した。ここに、当該アクチュエーターは、押下して作動
させたときにそのストローク方向と略直角方向に噴射さ
れるものを備えてなり、その噴射方向には突起物は存在
せず、噴射孔が最前位置にあるものである。このように
して得られた比較用のエアゾール製品を用いて、金属板
からの離間距離が5.0mm、10.0mmまたは1
5.0mmとなる状態で実施例と同様の金属板にその直
角方向から3秒間だけ噴射して付着させた。そして、実
施例と同様にして、付着率を求めた。結果を表2に示
す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】以上の結果から、本発明のエアゾール製品
によれば、高い付着率が得られることが明らかであり、
従って飛散が少ないことが理解される。なお、以上の実
施例および比較例では、いずれも液だれは生じなかっ
た。
【0057】一方、実施例1の処方において、原液中の
エチルアルコールの割合を25.0質量%とし、精製水
の割合を5.0質量%増加させたこと以外は同様にして
エアゾール製品を作製し、これについて同様に適用テス
トを行ったところ、適用個所に液だれが生ずることが認
められた。
【0058】
【発明の効果】本発明のエアゾール組成物によれば、原
液が非ステロイド系消炎鎮痛剤を含有するが、同時に、
当該原液は1価の低級脂肪族アルコールを30〜85質
量%という相当に高い割合で含有するものであるため、
噴射物が霧状となるにもかかわらず、適用された吐出物
は人体の体温によって高い蒸散性を有するものとなり、
従って液だれを生ずることなしに、従ってエアゾール製
剤としての利便性を損なうことなしに、消炎鎮痛剤を目
的とする患部に適用することができる。
【0059】また、本発明のエアゾール製品によれば、
エアゾール容器における噴射孔が設けられたアクチュエ
ーターは、噴射方向前方に突出するアクチュエーター作
動部の先端が適用面に対接されることにより作動される
ため、目的とする適用個所に正確にしかも高い付着率で
非ステロイド系消炎鎮痛剤を適用することができ、不用
意に内容物が噴射されたり、適用個所以外の個所に消炎
鎮痛剤が適用されることが十分確実に回避され、従っ
て、基本的に噴射物が周囲に飛散することが少ない。
【0060】そして、アクチュエーターの前面に設けら
れた噴射孔より前方に伸びるアクチュエーター作動部
が、当該噴射孔の周囲を包囲する形態に設けられている
ことにより、噴射孔よりの噴射物が前方以外の方向に飛
散することを確実に防止することができる。特に、アク
チュエーター作動部を構成する複数の突起部が、アクチ
ュエーターの前面において噴射孔を多重に包囲する複数
の環状ラインの各々に沿って互いに隣接するものが離間
した状態で配置されていることにより、噴射孔を中心と
するすべての放射方向に少なくとも1つの突起部が存在
する場合には、全体として噴射孔をその全周において包
囲する飛散防止部が形成されるので、噴射物の飛散を完
全に防止することができる。
【0061】更に、アクチュエーターにおいて、噴射孔
の位置が、アクチュエーター作動部の先端からその作動
方向に5〜20mmの距離だけ後退した位置とされるこ
とにより、きわめて適切な状態で、目的とする消炎鎮痛
剤の適用を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に好適に用いられるエアゾール容器の一
例であって、アクチュエーター部分を図2におけるX−
X線に沿った断面で表した、容器全体の説明用断面図で
ある。
【図2】図1の例のエアゾール容器のキャップを外した
状態を示す平面図である。
【図3】図1の例のエアゾール容器のキャップを外した
状態のアクチュエーター部分を正面方向から見た説明用
外観図である。
【図4】本発明に用いられるエアゾール容器の他の例で
あって、アクチュエーター部分の平面図である。
【図5】図4の例のエアゾール容器を正面方向から見た
説明用外観図である。
【図6】本発明に用いられるエアゾール容器の更に他の
例を正面方向から見た説明用外観図である。
【符号の説明】
10 エアゾール容器 12 耐圧容器 15 マウンテンカップ 16 噴射ノズル 18 噴射孔 20 アクチュエーター 21 前面領域 P 突起部 PA 小径突起部 PB 大径突起部 25 カバー部材 30 キャップ 32 半球状先端部 PC 柱状突起部 35 空隙 38 舌片 40 ディスク
フロントページの続き (72)発明者 尾形 謙 東京都千代田区内幸町1丁目3番1号 東 洋エアゾール工業株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA25 BB31 CC05 DD37A FF68 4C084 AA17 MA13 MA63 ZA082 ZB112

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.5〜2.5質量%の非ステロイド系
    消炎鎮痛剤および30〜85質量%の1価の低級脂肪族
    アルコールを含有する原液99〜30質量部と、噴射剤
    1〜70質量部とを含有してなることを特徴とする消炎
    鎮痛剤含有エアゾール組成物。
  2. 【請求項2】 非ステロイド系消炎鎮痛剤が、インドメ
    タシン、ケトプロフェン、ブフェキサマックおよびピロ
    キシカムから選ばれた少なくとも1種であることを特徴
    とする請求項1に記載の消炎鎮痛剤含有エアゾール組成
    物。
  3. 【請求項3】 噴射剤が、液化石油ガスおよびジメチル
    エーテルから選ばれた少なくとも一種であることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の消炎鎮痛剤含有
    エアゾール組成物。
  4. 【請求項4】 噴射剤が、窒素ガス、炭酸ガスおよび亜
    酸化窒素ガスから選ばれた少なくとも一種またはそれら
    の混合ガスであることを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載の消炎鎮痛剤含有エアゾール組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の
    消炎鎮痛剤含有エアゾール組成物がエアゾール容器内に
    充填されてなり、 当該エアゾール容器は、内容物を噴射する噴射孔が設け
    られたアクチュエーターを有してなり、 当該アクチュエーターには、噴射孔よりも噴射物の噴射
    方向前方に突出し、その先端が適用面に対接されること
    により当該アクチュエーターが作動されるアクチュエー
    ター作動部が設けられていることを特徴とする消炎鎮痛
    剤含有エアゾール製品。
  6. 【請求項6】 エアゾール容器のアクチュエーターにお
    いて、その作動方向が、噴射物の噴射方向と一致してい
    ることを特徴とする請求項5に記載の消炎鎮痛剤含有エ
    アゾール製品。
  7. 【請求項7】 エアゾール容器のアクチュエーターにお
    いて、その前面に噴射孔が設けられると共に、アクチュ
    エーター作動部が当該噴射孔を包囲する位置に設けられ
    ており、このアクチュエーター作動部により飛散防止部
    が形成されていることを特徴とする請求項5または請求
    項6に記載の消炎鎮痛剤含有エアゾール製品。
  8. 【請求項8】 アクチュエーター作動部が複数の突起部
    により構成されており、当該複数の突起部は、アクチュ
    エーターの前面において噴射孔を多重に包囲する複数の
    環状ラインの各々に沿って互いに隣接するものが離間し
    た状態で配置されており、噴射孔を中心とするすべての
    放射方向に少なくとも1つの突起部が存在することによ
    り、全体として噴射孔をその全周において包囲する飛散
    防止部が形成されていることを特徴とする請求項7に記
    載の消炎鎮痛剤含有エアゾール製品。
  9. 【請求項9】 エアゾール容器のアクチュエーターにお
    いて、噴射孔は、アクチュエーター作動部の先端から作
    動方向に後退した位置に設けられており、その後退距離
    の長さが5〜20mmであることを特徴とする請求項5
    〜請求項8のいずれかに記載の消炎鎮痛剤含有エアゾー
    ル製品。
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