JP2001139321A - シリカエアロゲル薄膜の製法 - Google Patents

シリカエアロゲル薄膜の製法

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JP2001139321A
JP2001139321A JP31985799A JP31985799A JP2001139321A JP 2001139321 A JP2001139321 A JP 2001139321A JP 31985799 A JP31985799 A JP 31985799A JP 31985799 A JP31985799 A JP 31985799A JP 2001139321 A JP2001139321 A JP 2001139321A
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gel
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JP31985799A
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Hiroshi Yokogawa
弘 横川
Masaru Yokoyama
勝 横山
孝一 ▲高▼濱
Koichi Takahama
Kenji Sonoda
健二 園田
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 白化や収縮、クラックが発生することなく、
シリカエアロゲルの薄膜を得る。 【解決手段】 アルコキシシランと、このアルコキシシ
ランの加水分解重合反応触媒と、水を含有して調製され
るアルコキシシラン溶液を基板の表面にコーティングし
た後、アルコキシシランを加水分解重合反応させて薄膜
状のゲル状化合物を形成する。次にこのゲル状化合物を
水及びアルコキシシランの加水分解重合反応触媒を含有
する養生溶液に浸漬して養生する。この後にゲル状化合
物を超臨界乾燥する。養生の際にゲル状化合物が乾燥す
ることを防ぐことができると共に、ゲル状化合物中の加
水分解重合反応触媒が拡散されることを防ぐことがで
き、ゲル状化合物の膜に白化や収縮、クラックが発生す
ることを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断熱性、電気絶縁
性、低屈折率、低誘電率などの特性を有するシリカエア
ロゲル薄膜の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シリカエアロゲルは、米国特許第440
2927号明細書、米国特許第443296号明細書、
米国特許第4610863号明細書に開示されているよ
うに、アルコキシシラン(シリコンアルコキシドやアル
キルシリケートとも称する)を加水分解し、これを縮重
合して得られるゲル状化合物を、分散媒の存在下で、こ
の分散媒の臨界点以上の超臨界条件で乾燥することによ
って得ることができる。また、特開平5−279011
号公報、特開平7−138375号公報に開示されるよ
うに、シリカエアロゲルを疎水化処理することによっ
て、シリカエアロゲルの耐湿性を高め、シリカエアロゲ
ルの特性が低下することを防ぐようにすることができ
る。
【0003】そしてシリカエアロゲルは、高断熱性、高
電気絶縁性、低屈折率、低誘電率などの特性を有してお
り、これらの特性を利用して各種の方面に応用すること
が期待されている。
【0004】ところが、シリカエアロゲルは非常に強度
が弱い材料であるため、それをシート状やボード状で使
用するには厚み数mm以上に作製しないと、単体で取り
扱うことは現実的に不可能である。
【0005】そこで、シリカエアロゲルを薄膜として使
用する場合には、アルコキシシランと、このアルコキシ
シランの加水分解重合反応触媒と、水を含有して調製さ
れるアルコキシシラン溶液を基板の表面に薄くコーティ
ングし、この溶液中のアルコキシシランを加水分解重合
反応させて薄膜状のゲル状化合物を基板上に作製し、そ
してこのゲル状化合物を超臨界乾燥することによって、
基板の上にシリカエアロゲルの薄膜を積層した状態で作
製することが好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
アルコキシシラン溶液を基板の表面にコーティングして
ゲル化させると共にゲル状化合物を超臨界乾燥して、シ
リカエアロゲルの薄膜を作製するにあたって、基板上の
コーティング液をゲル化させ、さらにゲル状化合物を養
生する過程で薄膜の乾燥が進行すると、白化が発生した
り、薄膜が収縮して、収縮による密度上昇で薄膜の厚み
が所望厚みより薄くなったり、薄膜に微細なクラックが
発生したりして、所望のシリカエアロゲル薄膜を得るこ
とは困難である。
【0007】そこでこのような乾燥を防止するために、
アルコキシシラン溶液の溶媒として低揮発性溶剤を用い
たり、ゲル状化合物を溶媒の飽和蒸気圧雰囲気に保管し
て養生を行なったり、ゲル状化合物をアルコキシシラン
の加水分解重合反応触媒のガス雰囲気に保管して養生を
行なったりすることが試みられているが、これらのいず
れの方法でも、ゲル状化合物の乾燥による白化や収縮、
クラックの発生を完全に回避することは困難であった。
【0008】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、白化や収縮、クラックが発生することなく、シリ
カエアロゲルの薄膜を得ることができるシリカエアロゲ
ル薄膜の製法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るシリカエア
ロゲル薄膜の製法は、アルコキシシランと、このアルコ
キシシランの加水分解重合反応触媒と、水を含有して調
製されたアルコキシシラン溶液を基板の表面にコーティ
ングした後、アルコキシシランを加水分解重合反応させ
て薄膜状のゲル状化合物を形成し、次にこのゲル状化合
物を水及びアルコキシシランの加水分解重合反応触媒を
含有する養生溶液に浸漬して養生し、この後にゲル状化
合物を超臨界乾燥することを特徴とするものである。
【0010】また請求項2の発明は、養生溶液として、
水の濃度及びアルコシキシランの加水分解重合反応触媒
の濃度が、アルコキシシラン溶液中の水の濃度及びアル
コキシシランの加水分解重合反応触媒の濃度に対して、
それぞれ50%以内の差異の範囲に設定したものを用い
ることを特徴とするものである。
【0011】また請求項3の発明は、超臨界乾燥を行な
う前に、薄膜状のゲル状化合物を有機シラン化合物によ
って疎水化処理することを特徴とするものである。
【0012】また請求項4の発明は、アルコキシシラン
溶液及び養生溶液に、メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、アセトニトリルから選ばれる一種以上の溶
媒を含有することを特徴とするものである。
【0013】また請求項5の発明は、アルコキシシラン
溶液及び養生溶液に含有されるアルコキシシランの加水
分解重合反応触媒が、塩基性触媒であることを特徴とす
るものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0015】本発明においてアルコキシシラン溶液は、
アルコキシシラン(シリコンアルコキシド、アルキルシ
リケートとも称される)と、アルコキシシランを加水分
解重合反応させる触媒と、水と、さらに必要に応じて溶
媒を混合して、調合することによって調製することがで
きる。
【0016】上記のアルコキシシランとしては、特開平
5−279011号公報等で開示されている、シリカエ
アロゲルの原料として従来より公知の各種のものを用い
ることができるものであり、2官能アルコキシシラン、
3官能アルコキシシラン、4官能アルコキシシランがあ
る。2官能アルコキシシランとしては例えば、ジメチル
ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェ
ニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、
メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメ
トキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ
メトキシシラン等を、3官能アルコキシシランとしては
例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトシキシラン等を、4官能アルコキシシランとして
は例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン等をそれぞれ挙げることができる。
【0017】またアルコキシシランを加水分解重合反応
させる触媒としては、アンモニア、フッ化アンモニウ
ム、水酸化ナトリウムなどの塩基性触媒を用いることが
できる。
【0018】さらに溶媒としては、水と相溶性を有し且
つアルコキシシランを溶解するものを用いるのが好まし
く、このような溶媒として、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、アセトニトリルから選ばれたものを
一種あるいは複数種を混合して用いることができる。ま
たアルコキシシラン溶液中には、ポリエチレングリコー
ル、N,Nジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル等の低揮発性の溶媒を含有させ
てもよいが、この低揮発性溶媒の含有量が多いと、ゲル
状化合物を形成させる過程で、所望のゲル状化合物を得
ることができなくなる可能性があるので、20質量%以
内の濃度に留めておくのが好ましい。
【0019】本発明のアルコキシシラン溶液において、
アルコキシシランと、アルコキシシランの加水分解重合
反応触媒と、水と、溶媒の配合比率は、アルコキシシラ
ン100質量部に対して、アルコキシシランの加水分解
重合反応触媒を0.01〜1質量部、水を50〜200
質量部、溶媒を100〜1000質量部の範囲に設定す
るのが好ましい。
【0020】そしてまずこのアルコキシシラン溶液を基
板の表面に薄くコーティングする。この基板としてはガ
ラス板、樹脂板、樹脂フィルムなど特に制限されること
なく使用することができるが、アルコキシシラン溶液の
濡れ性及び薄膜の密着性を良好にする表面処理を事前に
行なっておくのが望ましい。例えば基板がガラスである
場合、オルトケイ酸ナトリウムを含有するアルカリ水溶
液によるアルカリエッチング、プラズマエッチング、U
Vオゾン照射エッチングなどのエッチングを行なった
り、密着性付与のためのプライマーコーティング液の塗
布・乾燥を行なったりすることができる。樹脂板や樹脂
フィルムの場合も同様な処理を行なうことができる。
【0021】また基板の表面にアルコキシシラン溶液を
コーティングする方法は、スピンコーティング、ディッ
プコーティング、バーコーティング、ロールコーティン
グ、スプレーコーティングなど任意の方法を用いること
ができる。アルコキシシラン溶液の組成に起因する粘
度、ゲル化時間、ゲル化までの特性の経時変化などに応
じて適宜の方法を採用することができるが、これらの方
法の中でも、汎用性を考慮するとスピンコーティング法
が最も好ましい。
【0022】このように基板の表面にアルコキシシラン
溶液をコーティングするにあたって、コーティングの雰
囲気はアルコキシシラン溶液が含む溶媒の飽和蒸気圧雰
囲気であることが好ましい。またコーティング条件は、
アルコキシシラン溶液の粘度やゲル化時間、基板の表面
特性に応じて適宜選定されるものである。例えば、アル
コキシシラン溶液は調合直後からゲル化までの間に親油
性から親水性へ変化し、また粘度は経時的に上昇するの
で、基板へのコーティング開始時間と、スピンコーティ
ングの場合は回転数、ディップコーティングの場合は浸
漬・引き上げ時間、バーコーティングの場合はバー溝の
パターン、スプレーコーティングの場合は吐出量など
を、目的とする膜厚に応じて選定するものである。コー
ティング開始時間が早すぎると、基板との濡れ性が悪
く、均一な膜厚でシリカエアロゲル薄膜を形成すること
が困難であり、コーティング開始時間が遅すぎると、粘
度が上昇し過ぎて、この場合もシリカエアロゲル薄膜の
膜厚にムラが生じるおそれがある。コーティング開始時
間は、例えば密度0.1g/cm3のシリカエアロゲル
薄膜を形成する場合には、アルコキシシラン溶液を調合
後、1〜3分の範囲であることが好ましい。
【0023】アルコキシシラン溶液のコーティング厚み
については特に制限はないが、1μm〜2mmの範囲に
設定するのが好ましい。厚みがこの範囲を超えて大きく
なると、シリカエアロゲル薄膜は形成できるものの、シ
リカエアロゲル薄膜が形成された基板を曲げるなど取り
扱う際にシリカエアロゲル薄膜に表面損傷が生じ易くな
る。厚みがこの範囲を超えて小さくなると、コーティン
グ雰囲気を溶媒の飽和蒸気圧雰囲気にしていても、ゲル
状化合物からの微量の溶媒揮発によってクラックが発生
し易くなる。このクラック発生は瞬時に起こるため、こ
れを回避するのは実際の工程では困難である。
【0024】上記のようにして基板の表面にアルコキシ
シラン溶液を薄くコーティングすると、アルコキシシラ
ン溶液中のアルコキシシランが水と加水分解重合反応触
媒の作用で加水分解すると共に重合反応してゲル化し、
シリカ骨格からなる湿潤状態のゲル状化合物の薄膜が形
成される。そして基板の表面のこの薄膜状のゲル状化合
物を養生する。この養生工程を省くと、シリカエアロゲ
ルはその構造の弱さから、超臨界乾燥工程において白化
や収縮を起こしてしまう。またこの養生を非乾燥雰囲気
で行なわないと、同様に白化や収縮を起こし、さらにク
ラックが発生するおそれがある。非乾燥雰囲気で養生を
行なうために、一般には、アルコキシシラン溶液をコー
ティングした基板を密閉容器中に入れて放置したり、ア
ルコキシシラン溶液が含有する溶媒の飽和蒸気圧雰囲気
下に放置したりすることがなされているが、本発明のよ
うに薄膜を作製する場合には、密閉容器や飽和蒸気圧雰
囲気の容積に対するゲル状化合物の表面積が大きいこと
から、薄膜状のゲル状化合物から含有溶媒や含有触媒の
揮発や拡散が進行し易く、白化や収縮、クラックの発生
を有効に防ぐことは難しい。含有触媒のゲル状化合物外
への拡散を防止するために、養生雰囲気に触媒のガスを
飽和させることも考えられるが、この方法では、ゲル状
化合物の表面と内部の養生条件の差異から不均一な薄膜
になり、この場合もクラックの発生や物性変化を防ぐこ
とは難しい。また、アルコキシシラン溶液に含有されて
いる溶媒中にゲル状化合物を浸漬した状態で養生を行な
うことも考えられるが、この場合には、乾燥による損傷
は免れるものの、ゲル状化合物が含有している触媒や水
が溶媒に拡散して出てしまうおそれがあり、同様にクラ
ックの発生や物性変化を防ぐことは難しい。
【0025】そこで本発明では基板の表面の薄膜状のゲ
ル状化合物の養生を、水と、アルコキシシランの加水分
解重合反応触媒を含有して調製された養生溶液を用い、
ゲル状化合物をこの養生溶液に浸漬して行なうものであ
る。アルコキシシラン溶液に溶媒が含有されているとき
には、養生溶液には溶媒も含有させるのが好ましい。養
生溶液中の水、加水分解重合反応触媒、溶媒の含有量
は、アルコキシシラン溶液と同じ容積濃度やモル濃度に
設定するのが好ましいが、必ずしも同一である必要はな
く、それぞれアルコキシシラン溶液中の濃度の数値の±
50%の範囲内であれば、目的とする養生に支障は来さ
ない。
【0026】ここで、養生溶液中のアルコキシシランの
加水分解重合反応触媒としては、アルコキシシラン溶液
に含有される加水分解重合反応触媒と同じものを用いる
のが好ましく、また養生溶液中の溶媒も、アルコキシシ
ラン溶液に含有される溶媒と同じものを用いるのが好ま
しい。
【0027】そして基板の表面の薄膜状のゲル状化合物
を養生するにあたって、このように、水と、アルコキシ
シランの加水分解重合反応触媒と、溶媒を含有する養生
溶液中に浸漬することによって、ゲル状化合物が乾燥す
ることを防ぐことができると共に、ゲル状化合物中の加
水分解重合反応触媒が拡散されたり、溶媒が揮発された
りすることを防ぐことができ、薄膜状のゲル状化合物に
白化や収縮、クラックが発生することを有効に防止する
ことができるものである。ここで、コーティング終了
後、ゲル化が確認されてから1時間以内に養生溶液に浸
漬するのが好ましく、養生溶液への浸漬時間は、温度に
もよるが、1週間以内に留めるのが好ましい。
【0028】上記のようにして基板の表面にアルコキシ
シランのゲル状化合物の薄膜を形成した後、ゲル状化合
物を超臨界乾燥するが、この超臨界乾燥に先立って、薄
膜状のゲル状化合物を疎水化処理することによって、シ
リカエアロゲル膜に疎水性を付与することが好ましい。
このように疎水性を付与した疎水性シリカエアロゲル
は、湿気や水等が浸入し難くなり、シリカエアロゲル膜
の屈折率や光透過性、断熱性等の性能が劣化することを
防ぐことができるものである。疎水化処理は、ゲル状化
合物の表面に存在するシラノール基の水酸基を疎水化処
理剤の官能基と反応させ、疎水化処理剤の疎水基と置換
させることによって疎水化するために行なうものであ
る。疎水化処理を行なう手法としては、特開平5−27
9011号公報、特開平7−138375号公報に開示
されているように、例えば、疎水化処理剤を溶媒に溶解
させた疎水化処理液中にゲルを浸漬し、混合するなどし
てゲル内に疎水化処理剤を浸透させた後、必要に応じて
加熱して、疎水化反応を行なわせる方法がある。
【0029】ここで、疎水化処理剤としては、ゲル状化
合物の有するシラノール基に対して反応可能な官能基と
疎水基を有する有機シラン化合物を用いるものであり、
例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロ
キサン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキ
シシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメト
キシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン等を挙げるこ
とができる。
【0030】また疎水化処理に用いる溶媒としては、例
えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、キ
シレン、トルエン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルム
アミド、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることがで
きるが、疎水化処理剤が容易に溶解し、かつ、疎水化処
理前のゲル状化合物が含有する溶媒と置換可能なもので
あればよく、これらに限定されるものではない。また後
の工程で超臨界乾燥が行なわれる場合、超臨界乾燥の容
易な媒体、例えばメタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、液体二酸化炭素などと同一種類もしくはそれと
置換可能なものが好ましい。
【0031】このように薄膜状のゲル状化合物を疎水化
処理した後、アルコールあるいは二酸化炭素等の溶媒
(分散媒)の存在下で、この溶媒の臨界点以上の超臨界
状態で乾燥することによって、基板の表面に積層された
状態で、シリカエアロゲルの薄膜を得ることができるも
のである。超臨界乾燥は、例えば基板の表面のゲル状化
合物を液化二酸化炭素(50〜60気圧(5.1〜6.
1MPa)程度)中に浸漬し、ゲル状化合物が含む溶媒
の全部又は一部をこの溶媒よりも臨界点が低い液化二酸
化炭素に置換し、この後、二酸化炭素の単独系、あるい
は二酸化炭素と溶媒との混合系の超臨界条件下で乾燥す
ることによって、行なうことができる。
【0032】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0033】(実施例1)テトラメトキシシランのオリ
ゴマー(コルコート社製「メチルシリケート51」)と
メタノールを質量比47:81で混合してA液を調製
し、また水、28質量%アンモニア水、メタノールを質
量比50:1:81で混合してB液を調製した。
【0034】そしてA液とB液を16:17の質量比で
混合して得たアルコキシシラン溶液を、混合開始後1分
30秒、混合終了後50秒経過した時点で、予め表面を
アルカリ洗浄したソーダガラスの基板の上に滴下し、ス
ピンコーターの回転室にこの基板を入れ、基板を回転さ
せて基板の表面にアルコキシシラン溶液をスピンコーテ
ィングした。ここで、スピンコーターの回転室には予め
メタノールを入れてメタノール雰囲気になるようにして
あり、また基板の回転は700min-1の回転数で10
秒間行なった。
【0035】このようにアルコキシシラン溶液をスピン
コーティングした後、3分間放置してアルコキシシラン
をゲル化させ、次いでこの薄膜状のゲル状化合物を形成
した基板を、水:28質量%アンモニア水:メタノール
=162:4:640の質量比の組成の養生溶液中に浸
漬し、室温にて1昼夜養生した。
【0036】次に、基板の表面に形成した薄膜状のゲル
状化合物をイソプロパノール中へ浸漬することで洗浄し
た後、高圧容器中に入れ、高圧容器内を液化炭酸ガスで
満たし、80℃、16MPa、2時間の条件で超臨界乾
燥をすることによって、基板の表面に積層されたシリカ
エアロゲル薄膜を得た。
【0037】(実施例2)実施例1と同様にしてアルコ
キシシラン溶液を基板の上にスピンコーティングし、ま
た実施例1と同様にして養生を行なった薄膜状のゲル状
化合物を、ヘキサメチルジシラザンの10質量%イソプ
ロパノール溶液中に1時間浸漬し、疎水化処理をした。
この疎水化処理をしたゲル状化合物をさらに実施例1と
同様にして洗浄し、超臨界乾燥することによって、基板
の表面に積層された疎水性シリカエアロゲル薄膜を得
た。
【0038】(実施例3)テトラメトキシシランのオリ
ゴマー(コルコート社製「メチルシリケート51」)と
エタノールを質量比47:198で混合してA液を調製
し、また水、28質量%アンモニア水、エタノールを質
量比36:5:198で混合してB液を調製した。
【0039】そしてA液とB液を16:15の質量比で
混合して得たアルコキシシラン溶液を、混合開始後2
分、混合終了後1分30秒経過した時点で、予め表面を
アルカリ洗浄したソーダガラスの基板の上に滴下し、ス
ピンコーターの回転室にこの基板を入れ、基板を回転さ
せて基板の表面にアルコキシシラン溶液をスピンコーテ
ィングした。ここで、スピンコーターの回転室には予め
エタノールを入れてエタノール雰囲気になるようにして
あり、また基板の回転は700min-1の回転数で10
秒間行なった。
【0040】このようにアルコキシシラン溶液をスピン
コーティングした後、7分間放置してアルコキシシラン
をゲル化させ、次いでスピンコーターの回転室に水:2
8質量%アンモニア水:エタノール=36:5:470
の質量比の組成の養生溶液を入れ、薄膜状のゲル状化合
物を形成した基板をこの養生溶液中に浸漬し、室温にて
1昼夜養生した。
【0041】次に、基板の表面に形成した薄膜状のゲル
状化合物を実施例2と同様にして疎水化処理した後、さ
らに実施例1と同様にして超臨界乾燥し、基板の表面に
積層された疎水性シリカエアロゲル薄膜を得た。
【0042】(比較例1)実施例1と同様にしてアルコ
キシシラン溶液を基板の上にスピンコーティングした
後、養生溶液の代わりにメタノール中に薄膜状のゲル状
化合物を1昼夜浸漬して養生を行ない、後は実施例1と
同様にして洗浄し、超臨界乾燥することによって、基板
の表面に積層されたシリカエアロゲル薄膜を得た。
【0043】(比較例2)実施例1と同様にしてアルコ
キシシラン溶液を基板の上にスピンコーティングした
後、アンモニアガスとメタノールガスが充満されたグロ
ーブボックス内に薄膜状のゲル状化合物を一昼夜放置し
て養生を行ない、後は実施例1と同様にして洗浄し、超
臨界乾燥することによって、基板の表面に積層されたシ
リカエアロゲル薄膜を得た。
【0044】上記の実施例1乃至3及び比較例1,2に
ついて、触針式の表面粗さ計(Sloan社製「DEK
TAK3030」)を用いてシリカエアロゲル薄膜の膜
厚を測定し、またシリカエアロゲル薄膜の膜厚と重量か
らシリカエアロゲル薄膜の密度を計算した。さらに分光
光度計(日立製作所製「U3200」)を用いて、シリ
カエアロゲル膜が積層されたガラス基板の光透過率を測
定した。これらの結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1にみられるように、比較例1,2のシ
リカエアロゲル薄膜は収縮しており、密度が高いもので
あったが、実施例1〜3のシリカエアロゲル薄膜は密度
が低くこのような収縮はみられなかった。また比較例
1,2のシリカエアロゲル膜は白化が発生しており、特
に比較例2のシリカエアロゲル薄膜はクラックが発生し
ており、光透過率が低いが、実施例1〜3のシリカエア
ロゲル薄膜は白化やクラックの発生が見られず、透過率
が高いものであった。
【0047】
【発明の効果】上記のように本発明に係るシリカエアロ
ゲル薄膜の製法は、アルコキシシランと、このアルコキ
シシランの加水分解重合反応触媒と、水を含有して調製
したアルコキシシラン溶液を基板の表面にコーティング
した後、アルコキシシランを加水分解重合反応させて薄
膜状のゲル状化合物を形成し、次にこのゲル状化合物を
水及びアルコキシシランの加水分解重合反応触媒を含有
する養生溶液に浸漬して養生し、この後にゲル状化合物
を超臨界乾燥するようにしたので、養生の際にゲル状化
合物が乾燥することを防ぐことができると共に、ゲル状
化合物中の加水分解重合反応触媒が拡散されることを防
ぐことができ、ゲル状化合物の薄膜に白化や収縮、クラ
ックが発生することを有効に防止して、白化や収縮、ク
ラックのないシリカエアロゲル薄膜を得ることができる
ものである。
【0048】また請求項2の発明は、養生溶液として、
水の濃度及びアルコシキシランの加水分解重合反応触媒
の濃度が、アルコキシシラン溶液中の水の濃度及びアル
コキシシランの加水分解重合反応触媒の濃度に対して、
それぞれ50%以内の差異の範囲に設定したものを用い
るようにしたので、ゲル状化合物の乾燥や、ゲル状化合
物中の加水分解重合反応触媒の拡散を確実に防ぐことが
できるものである。
【0049】また請求項3の発明は、超臨界乾燥を行な
う前に、薄膜状のゲル状化合物を有機シラン化合物によ
って疎水化処理するようにしたので、シリカエアロゲル
薄膜に疎水性を付与することができ、シリカエアロゲル
に湿気や水等が浸入し難くなって、シリカエアロゲル薄
膜の屈折率や光透過性、断熱性等の性能が劣化すること
を防ぐことができるものである。
【0050】また請求項4の発明は、アルコキシシラン
溶液及び養生溶液に、メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、アセトニトリルから選ばれる一種以上の溶
媒を含有するので、均一分散性や透明性に優れたアルコ
キシシラン溶液を調製することができ、ゲル化後も透明
性の高いシリカエアロゲル薄膜を形成することができる
ものである。
【0051】また請求項5の発明は、アルコキシシラン
溶液及び養生溶液に含有されるアルコキシシランの加水
分解重合反応触媒が、塩基性触媒であるので、シリカエ
アロゲル薄膜内のシリカ骨格が三次元的に均一な構造に
なり、収縮によるシリカエアロゲルの特性変化が起こり
難くなるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲高▼濱 孝一 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 園田 健二 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 4G072 AA28 BB09 CC08 FF00 FF01 GG03 HH29 HH30 JJ11 JJ38 KK03 LL06 LL11 LL14 MM01 MM31 NN21 PP05 PP06 RR05 RR12 UU30 4G075 AA24 AA62 AA63 BA05 BB02 BD16 BD26 CA57 CA61

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコキシシランと、このアルコキシシ
    ランの加水分解重合反応触媒と、水を含有して調製され
    たアルコキシシラン溶液を基板の表面にコーティングし
    た後、アルコキシシランを加水分解重合反応させて薄膜
    状のゲル状化合物を形成し、次にこのゲル状化合物を水
    及びアルコキシシランの加水分解重合反応触媒を含有す
    る養生溶液に浸漬して養生し、この後にゲル状化合物を
    超臨界乾燥することを特徴とするシリカエアロゲル薄膜
    の製法。
  2. 【請求項2】 養生溶液として、水の濃度及びアルコキ
    シシランの加水分解重合反応触媒の濃度が、アルコシキ
    シラン溶液中の水の濃度及びアルコキシシランの加水分
    解重合反応触媒の濃度に対して、それぞれ50%以内の
    差異の範囲に設定したものを用いることを特徴とする請
    求項1に記載のシリカエアロゲル薄膜の製法。
  3. 【請求項3】 超臨界乾燥を行なう前に、薄膜状のゲル
    状化合物を有機シラン化合物によって疎水化処理するこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載のシリカエアロゲ
    ル薄膜の製法。
  4. 【請求項4】 アルコキシシラン溶液及び養生溶液に、
    メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニ
    トリルから選ばれる一種以上の溶媒を含有することを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシリカエア
    ロゲル薄膜の製法。
  5. 【請求項5】 アルコキシシラン溶液及び養生溶液に含
    有されるアルコキシシランの加水分解重合反応触媒が、
    塩基性触媒であることを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれかに記載のシリカエアロゲル薄膜の製法。
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