JPH09169515A - 密度傾斜性エアロゲルの製法 - Google Patents

密度傾斜性エアロゲルの製法

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JPH09169515A
JPH09169515A JP7332387A JP33238795A JPH09169515A JP H09169515 A JPH09169515 A JP H09169515A JP 7332387 A JP7332387 A JP 7332387A JP 33238795 A JP33238795 A JP 33238795A JP H09169515 A JPH09169515 A JP H09169515A
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Hiroshi Yokogawa
弘 横川
Masaru Yokoyama
勝 横山
Kenji Sonoda
健二 園田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、断熱性に優れ、かつ、取り扱い性良
好な強度を有する密度傾斜性エアロゲルの製法を提供す
る。 【解決手段】 縮重合性を有するアルコキシシランを加
水分解したゾルを、縮重合反応によりゲル化させること
によってゲル状化合物とし、このゲル状化合物を疎水化
剤との反応により疎水化処理した後に、超臨界乾燥を施
してエアロゲルにするエアロゲルの製法において、アル
コキシシラン又は加水分解重合を促進させる触媒のいず
れか一方のみを含む溶液を含浸させた溶液含浸フィルタ
ーと、アルコキシシラン、触媒、水及び溶媒を含む反応
物とを当接した状態で、反応物を縮重合反応させること
によりゲル状化合物にする。前記反応物がゾルである。
前記反応物がゲルである。前記ゲルの両面に前記溶液含
浸フィルターを当接する。前記触媒がアンモニアであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリカの多孔質骨
格からなる密度の分布を存在させた密度傾斜性エアロゲ
ルの製法に関し、詳しくは、例えば、透明性を有するガ
ラス等の板や中空容器の間に充填する採光性、光透過
性、透明性及び断熱性に優れた高強度透明断熱層などを
構成する充填材料等の様々な用途に用いることができる
密度傾斜性エアロゲルの製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱伝導率が小さく、かつ、光透過
性を有する材料として、シリカからなるエアロゲルが知
られている。このエアロゲルは、USP4402927
号、同4432956号、同4610863号の各明細
書に開示されているように、アルコキシシラン(シリコ
ンアルコキシド、アルキルシリケート等とも称される)
を加水分解、重合して得られるシリカ骨格からなる湿潤
状態のゲル状化合物を、アルコ−ル、又は液化二酸化炭
素等の溶媒(分散媒)の存在下で、この溶媒の臨界点以
上の超臨界状態で乾燥し、必要に応じてはその後にさら
に500〜750℃程度もしくはそれ以上に加熱処理を
施すことにより製造することができる。また、USP5
137927号、同5124364号のように、ケイ酸
ナトリウムを原料として同様にゲル状化合物を得、この
ゲル状化合物を超臨界乾燥することによっても製造する
ことができる。このような製造方法により得られるエア
ロゲルは、例えば、光透過性を有する断熱材料等として
有用な素材である。
【0003】しかし、この前記のようなエアロゲルは非
常に軽量であり、強度が小さく脆いため、割れや壊れが
発生し易く、取り扱いが非常に困難であるという欠点を
有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、一般的に、密度が大きいエアロゲルほど強度が大き
くなるということに着目し、特願平7−105299号
で開示したように、高密度エアロゲルを作製することに
成功したが、エアロゲルの密度を大きくし過ぎると、肝
心の断熱性や透明性が損なわれる傾向にあるという問題
があった。また、発明者らは、特願平6−216870
号で開示したように、高密度部分と低密度部分のサンド
イッチ構造をしたエアロゲルを発明したが、この場合、
取り扱いの際に、密度の異なる部分の界面で剥離を起こ
し易い傾向にあるという問題があった。
【0005】本発明は前記の事実に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、透明性、断熱性に優れ、
かつ、取り扱い性良好な強度を有する密度傾斜性エアロ
ゲルの製法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
密度傾斜性エアロゲルの製法は、縮重合性を有するアル
コキシシランを加水分解したゾルを、縮重合反応により
ゲル化させることによってゲル状化合物とし、このゲル
状化合物を疎水化剤との反応により疎水化処理した後
に、超臨界乾燥を施してエアロゲルにするエアロゲルの
製法において、アルコキシシラン又は加水分解重合を促
進させる触媒のいずれか一方のみを含む溶液を含浸させ
た溶液含浸フィルターと、アルコキシシラン、触媒、水
及び溶媒を含む反応物とを当接した状態で、反応物を縮
重合反応させることによりゲル状化合物にすることを特
徴とする。
【0007】本発明の請求項2に係る密度傾斜性エアロ
ゲルの製法は、前記反応物がゾルであることを特徴とす
る。
【0008】本発明の請求項3に係る密度傾斜性エアロ
ゲルの製法は、前記反応物がゲルであることを特徴とす
る。
【0009】本発明の請求項4に係る密度傾斜性エアロ
ゲルの製法は、前記ゲルの両面に前記溶液含浸フィルタ
ーを当接することを特徴とする。
【0010】本発明の請求項5に係る密度傾斜性エアロ
ゲルの製法は、前記触媒がアンモニアであることを特徴
とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明に用いるアルコキシシランとは、下
記の一般式で表されるアルコキシシランであり、より
具体的には、下記の一般式で表される2官能のアルコ
キシシラン、下記の一般式で表される3官能のアルコ
キシシラン、下記の一般式で表される4官能のアルコ
キシシラン及び下記の一般式で表されるアルコキシシ
ランのオリゴマー等である。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】本発明に係るゲル状化合物(湿潤アルコゲ
ル)は、前記の一般式〜一般式で表されるアルコキ
シシランからなる群から選択される少なくとも1種、又
は前記の一般式〜一般式で表されるアルコキシシラ
ンからなる群から選択される少なくとも1種と前記の一
般式で表されるアルコキシシランとを含有する混合物
を加水分解し、縮重合することによって得られる。
【0019】本発明で用いられる前記の一般式〜一般
式で表されるアルコキシシランの具体例を挙げると、
2官能アルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジ
メトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニ
ルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メ
チルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメト
キシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジメ
トキシシラン等があり、3官能アルコキシシランとして
は、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリ
エトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニ
ルトリエトキシシラン等があり、4官能アルコキシシラ
ンとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン等があるが特に、限定されない。
【0020】前記の一般式で表されるアルコキシシラ
ンのオリゴマーとしては、重合度が10(以下重合度が
nのものはn量体と記す。)以下であることが好ましい
が、無色透明な液状であれば、これに限定されない。前
記アルコキシシランのオリゴマーは、この重合度が均一
な化合物である必要はなく、重合度の分布が存在したり
分子構造が鎖状、分岐状及び環状で混在していても構わ
ない。物質としての安定性や、ゲル状化合物を作製する
ための反応時間を考慮すれば、2〜6量体のものが好ま
しい。前記アルコキシシランのオリゴマー内のRはアル
キル基、フェニル基を表し、中でも、メチル基(−CH
3 )、エチル基(−C2 5 )が好ましい。具体的には
メトキシシランのオリゴマーの場合には平均分子量が2
50〜700、エトキシシランのオリゴマーの場合には
平均分子量が300〜900のオリゴマーが好ましい。
【0021】本発明で前記アルコキシシランを効率よく
加水分解し、縮重合を行うためには、このアルコキシシ
ランを含む反応溶液に、予め触媒を添加しておくことが
好ましい。このような触媒としては、酸性触媒、塩基性
触媒等が挙げられる。具体的に述べると、酸性触媒とし
ては、塩酸、クエン酸、硝酸、硫酸、フッ化アンモニウ
ム等が用いられ、塩基性触媒としては、アンモニア、ピ
ペリジン等が用いられるが、これらに限定されるもので
はない。
【0022】アルコキシシランの加水分解、縮重合に用
いられる溶媒としては、通常、原料となるアルコキシシ
ランと水とを均一に溶解混合するために、アルコ−ル、
アセトン等が用いられるが、これらに限定されるわけで
はなく、アルコキシシランと水との両方が溶解しやすい
溶媒であればよい。しかし、ゲル状化合物の生成過程の
加水分解反応でアルコ−ルが生成すること、また、超臨
界乾燥のことを考慮すると、溶媒としては、例えば、エ
タノール等のアルコールが好ましい。
【0023】本発明に係る密度傾斜性エアロゲルは、後
述する方法で得たゲル状化合物を疎水化剤との反応によ
り疎水化処理した後に、超臨界乾燥を施して作製され
る。密度傾斜性エアロゲル作製のためのゲル状化合物の
作製方法としては、例えば、次のような方法があるが、
これらに限定されるものではない。
【0024】図1は第1の実施の形態の概略説明図であ
る。図1(a)に示すように、アルコキシシラン若しく
はアルコキシシランのみをエタノール等の溶媒に溶解さ
せたアルコキシシラン溶液、又は、水とアンモニア等の
触媒若しくは水と触媒とを溶媒に溶解させた溶液を、例
えば、フェルト状の多孔質材等のフィルターに含浸させ
ておき、この溶液含浸フィルター1を容器2内で、アル
コキシシラン、水及び触媒を溶媒に溶解させた反応物で
あるゾル3と接触させた状態で、ゾル3をゲル化させる
ことにより、図1(b)に示すように、ゲル状化合物4
を得る。すなわち、溶液含浸フィルター1の溶液からゾ
ル3に、シリカの原料となるアルコキシシランが供給さ
れるか、又は、アルコキシシランのシリカへの化学変化
を促進させる水及び触媒が供給され、結果的に、溶液含
浸フィルター1に接している面に近い程、シリカ濃度が
高く、溶液含浸フィルター1に接している面から遠ざか
る程、シリカ濃度が低くなるというシリカ濃度分布を有
するゲル状化合物4が得られる。従って、このゲル状化
合物4を疎水化処理後、超臨界乾燥すると、図3に示す
ように、溶液含浸フィルター1に接していた当接面に近
い程、密度が高く、溶液含浸フィルター1に接している
面から遠ざかる反対面に近い程、密度が低くなるとい
う、密度に傾斜性を有するシリカエアロゲルが得られ
る。
【0025】図2は第2の実施の形態の概略説明図であ
る。図2(a)に示すように、アルコキシシラン、水及
び触媒を溶媒に溶解させた反応物であるゾル3を容器2
内に流し込み、図2(b)、図2(c)に示すように、
ゾル3をゲル化した直後のゲル5の片面又は両面に前記
溶液含浸フィルター1を当接して、さらに所定時間放置
して、縮重合反応をさせることにより密度傾斜性のゲル
状化合物4を得る。すなわち、溶液含浸フィルター1の
溶液からゾル3に、アルコキシシランのシリカへの化学
変化を促進させる水及び触媒が供給され、結果的に、溶
液含浸フィルター1に接している面である当接面に近い
程、シリカ濃度が高く、溶液含浸フィルター1に接して
いる面から遠ざかる反対面に近い程、シリカ濃度が低く
なるという、シリカ濃度分布を有するゲル状化合物4が
得られる。従って、ゲル5の両面に前記溶液含浸フィル
ター1を当接した場合には、前記ゲル状化合物4を疎水
化処理後、超臨界乾燥すると、図4に示すように、溶液
含浸フィルター1に接していた上面及び下面に近い程、
密度が高く、溶液含浸フィルター1に接していた面から
遠ざかる程、すなわち、中心に近い程、密度が低くなる
という、密度に傾斜性を有するシリカエアロゲルが得ら
れる。
【0026】また、ゾル調製の際の配合比は限定され
ず、透明性、断熱性、比表面積、密度、光屈折率など要
求される性能によって様々に変化させることが可能であ
る。本発明で作製される密度傾斜性エアロゲルの密度は
特に限定されないが、0.01〜0.5g/cm3 であ
ることが好ましく、さらには、0.04〜0.25g/
cm3 であることがより好ましい。すなわち、このエア
ロゲルの密度が0.01g/cm3 未満の場合には、ゲ
ル化させるのに多大の時間を要し、あるいは、超臨界乾
燥時の収縮が避けられず、あまりに軽量な為、作業者の
手や容器、部材など接触するものに付着して割れる等、
現実的には取扱いが困難なものとなるといった問題が生
じ、0.5g/cm3 を越える場合には、エアロゲルの
熱伝導率もやや大きくなり、断熱性の点でさほど優れた
素材ではなくなり、透光性等の性能も低下し、さらには
エアロゲルの調製が困難となる。したがって、超臨界乾
燥後の密度が前記範囲であるようにゾルの配合比が決定
される。
【0027】得られたゲル状化合物に対しては、超臨界
乾燥前に疎水化処理を行う。疎水化剤は、ゲル状化合物
が有するシラノール基に対して反応する官能基と疎水基
とを有しているものを用いる。シラノール基に対して反
応する官能基としては、例えば、ハロゲン、アミノ基、
イミノ基、カルボキシル基、アルコキシル基及び水酸基
が挙げられる。疎水基としては、例えば、アルキル基、
フェニル基及びそれらのフッ化物等が挙げられる。疎水
化剤は前記官能基及び疎水基を、それぞれ1種のみを有
してもよいし、2種以上を有してもよい。具体的には、
ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、
トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、
トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラ
ン、トリエチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシ
ラン、エチルトリクロロシラン等の有機シラン化合物が
挙げらる。
【0028】ここで、疎水化処理は、超臨界乾燥を行う
前に予め、液体を媒体として行うか、後述する超臨界乾
燥中に超臨界流体を媒体として行う。これらの媒体とし
ては、疎水化剤との反応性が低く、かつ、疎水化剤を溶
解するものであればよく、特に限定されない。液体で疎
水化処理を行う場合はアルコールなどの溶媒に前記疎水
化剤を溶解させたものを疎水化溶液として調製し、この
疎水化溶液中にゲル状化合物を浸漬することで行う。ま
た、反応については必要に応じて加熱を行う。
【0029】超臨界乾燥を行う際に用いられる溶媒とし
ては、特に限定されないが、例えば、エタノ−ル、メタ
ノ−ル、イソプロパノール、ジクロロジフルオロメタ
ン、二酸化炭素、水等の単独系または2種以上の混合系
を挙げることができる。混合系ではなく単一の溶媒で超
臨界乾燥を行う場合は、一般的にはオ−トクレ−ブ中に
溶媒と、同一の溶媒に溶媒置換を行ったゲル状化合物を
一緒に入れ、その溶媒の臨界点以上の温度、圧力まで上
昇させた後に溶媒を徐々に除き、最終的に常温常圧の状
態に戻すことによって乾燥を終了する。また、2種以上
の混合系で超臨界乾燥を行う場合は、乾燥容器内でその
混合系での超臨界状態になるよう設定した温度、圧力ま
で上昇させる方法、乾燥容器内でゲル状化合物の第1の
溶媒から超臨界状態にしたい第2の溶媒に置換し、ほぼ
溶媒置換を完結させてから、第2の溶媒の超臨界状態で
溶媒を除去する方法等がなされている。
【0030】この発明のエアロゲルは、非常に微細なシ
リカ粒子からなる構造体で、その粒子径は光の波長より
もはるかに小さく空隙構造も非常に均質であることか
ら、多孔体であるにもかかわらず透明性を有する。ここ
で光透過性とは、例えば、可視光波長領域等に対する視
覚的な透明性や、赤外領域に対する透過性であるが、こ
れに限定されない。しかも疎水性を有するため耐湿性に
優れ、性能や寸法が経時的に安定な材料である。
【0031】本発明に係る密度傾斜性エアロゲルの製法
は、縮重合性を有するアルコキシシランを加水分解した
ゾルを、縮重合反応によりゲル化させることによってゲ
ル状化合物とし、このゲル状化合物を疎水化剤との反応
により疎水化処理した後に、超臨界乾燥を施してエアロ
ゲルにするエアロゲルの製法において、アルコキシシラ
ン又は加水分解重合を促進させる触媒のいずれか一方の
みを含む溶液を含浸させた溶液含浸フィルターと、アル
コキシシラン、触媒、水及び溶媒を含む反応物とを当接
した状態で、反応物を縮重合反応させることによりゲル
状化合物にするので、高密度部分から低密度部分へと密
度が徐々に変化する密度傾斜性エアロゲルが得られる。
すなわち、少なくとも一方の外殻部の密度が大きいため
に取り扱い性が良く、しかも低密度部分で断熱性を発現
するので、良好な透明性断熱材料となる。また、本発明
による密度傾斜性エアロゲルでは、低密度部分と高密度
部分の明確な界面が存在しないため、取り扱いによる界
面での剥離等による破損もなくなる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0033】以下に、この発明の具体的な実施例及び比
較例を示すが、この発明は、下記実施例に限定されるも
のではない。
【0034】(実施例1)図1に示すように、溶液とし
て、平均分子量470のテトラメトキシシランのオリゴ
マー〔コルコート株式会社製;商品名メチルシリケート
51〕を用い、この溶液をフェルトに含浸させた溶液含
浸フィルター1を容器2内に敷いた。
【0035】前記テトラメトキシシランのオリゴマーと
水と28重量%のアンモニア水溶液とをエタノールに溶
解させたものを、モル比がテトラメトキシシランのオリ
ゴマー:水:アンモニア:エタノール=1:20:0.
14:33の混合比になるように調製し、反応物である
ゾル3を得た。このゾル3を前記溶液含浸フィルター1
を敷いた容器2内に流し込んだ後、室温下で放置するこ
とでゲル状化合物4を得た。次に、このゲル状化合物4
を、容器3内から取り出し、さらに溶液含浸フィルター
1も取り外した後に、ゲル状化合物4をエタノール洗浄
し、その後、ヘキサメチルジシラザン〔トーレダウコー
ニングシリコーン株式会社製;品番SZ6079〕の
1.2モル/リットルのエタノール溶液中に浸漬し、疎
水化処理を施した。
【0036】次に、高圧容器内にこのゲル状化合物を入
れ、さらにエタノールを満たした後、この容器内に18
℃、55kg/cm2 の二酸化炭素を添加し、ゲル内及
び容器内のエタノ−ルを二酸化炭素に置換する操作を2
〜3時間行った。その後、容器内を二酸化炭素の超臨界
条件である、80℃、160kg/cm2 にして、超臨
界乾燥(溶媒除去)を2時間行った後に減圧し、ゲル状
化合物に含まれるエタノールを除去して、密度傾斜性シ
リカエアロゲル試料を作製した。
【0037】(実施例2)実施例1において、溶液含浸
フィルター1に含浸させる溶液として、テトラメトキシ
シランのオリゴマーに代えて、1Nのアンモニア水を用
いて、溶液含浸フィルター1を作製したこと以外は、実
施例1と同様にして密度傾斜性シリカエアロゲル試料を
作製した。
【0038】(実施例3)図2(a)に示すように、テ
トラメトキシシランのオリゴマーと水と28重量%のア
ンモニア水溶液とをエタノールに溶解させたものを、モ
ル比がテトラメトキシシランのオリゴマー:水:アンモ
ニア:エタノール=1:20:2.2:120の混合比
になるように調製し、ゾル3を得た。このゾル3を前記
容器2内に流し込んだ後、室温下で放置することで反応
物であるゲル5を得た。溶液としてテトラメトキシシラ
ンのオリゴマーを用い、この溶液をフェルトに含浸させ
た溶液含浸フィルター1を図2(b)に示すように、別
の容器2内に敷いた。この溶液含浸フィルター1の上に
前記ゲル5を当接し、さらに、このゲル5の上にも、前
記溶液含浸フィルター1を当接し、さらに室温で放置し
て、図2(c)に示すように、ゲル状化合物4を得た。
【0039】次にこのゲル状化合物4を、ジメチルジメ
トキシシラン〔トーレダウコーニングシリコーン株式会
社製;品番AY43−004〕の2.4モル/リットル
エタノール溶液に浸漬し、疎水化処理を施した。さら
に、このゲル状化合物を高圧容器内に入れ、エタノール
を満たした後、この容器内に二酸化炭素を添加しながら
加熱し、80℃、160kg/cm2 にした。この条件
で容器内のエタノールを二酸化炭素に置換した後に減圧
し、ゲル状化合物4に含まれるエタノールを除去して、
密度傾斜性シリカエアロゲル試料を作製した。
【0040】(実施例4)実施例3において、溶液含浸
フィルター1に含浸させる溶液として、テトラメトキシ
シランのオリゴマーに代えて、5Nのアンモニア水を用
いて、溶液含浸フィルター1を作製したこと以外は、実
施例3と同様にして、密度傾斜性シリカエアロゲル試料
を作製した。
【0041】(比較例1)テトラメトキシシランのオリ
ゴマーと水と28重量%のアンモニア水溶液とをエタノ
ールに溶解させたものを、モル比がテトラメトキシシラ
ンのオリゴマー:水:アンモニア:エタノール=1:2
0:2.2:120の混合比になるように調製し、ゾル
3を得て、このゾル3を前記容器2内に流し込んだ後、
室温下で放置することでゲル状化合物4を得た以外は、
実施例1と同様にして、疎水化処理及び超臨界乾燥を施
し、シリカエアロゲル試料を作製した。
【0042】(比較例2)テトラメトキシシランのオリ
ゴマーと水と0.075Nのアンモニア水溶液とをエタ
ノールに溶解させたものを、モル比がテトラメトキシシ
ランのオリゴマー:水:アンモニア:エタノール=1:
7:0.027:3.8の混合比になるように調製し、
ゾル3を得て、このゾル3を前記容器2内に流し込んだ
後、室温下で放置することでゲル状化合物4を得た以外
は、実施例3と同様にして、疎水化処理及び超臨界乾燥
を施し、シリカエアロゲル試料を作製した。
【0043】実施例1〜実施例4並びに比較例1及び比
較例2で得たシリカエアロゲルの密度、可視光透過率、
熱伝導率及び曲げ強度を測定した。
【0044】ここで、熱伝導率は、英弘精機(株) 製の
定常法による熱伝導率測定装置を使用して、ASTM−
C518に準拠した方法で、設定温度20℃と40℃の
条件で測定した。可視光透過率は、1cm厚み試料につ
いて、可視光域の光透過率分布を測定し、可視光透過率
をJIS−R3106に基づいて求めた。
【0045】試料の主な内容及び測定結果を表1に示し
た。
【0046】
【表1】
【0047】表1の結果、実施例の密度傾斜性シリカエ
アロゲルは、比較例のシリカエアロゲルに比べて、断熱
性、光透過性及び機械的強度のバランスに優れており、
かつ、取り扱い性も良好なものであった。
【0048】本発明によって得られる密度傾斜性シリカ
エアロゲルは、断熱性等、多孔質材料に特有の機能に優
れ、かつ光透過性に優れている。しかも本発明による製
法により得られる密度傾斜性シリカエアロゲルは、特性
を最大限に生かしながら、取り扱い性等の強度も十分に
有するものが得られる。
【0049】本発明によって得られるエアロゲルは、例
えば、太陽光集熱に有用な光透過性断熱材、または、音
響材料、触媒担体、チェレンコフカウンター媒体等の様
々な用途に用いることができる。
【0050】
【発明の効果】本発明の請求項1乃至請求項5に係る密
度傾斜性エアロゲルの製法は、アルコキシシラン又は加
水分解重合を促進させる触媒のいずれか一方のみを含む
溶液を含浸させた溶液含浸フィルターと、アルコキシシ
ラン、触媒、水及び溶媒を含む反応物とを当接した状態
で、反応物を縮重合反応させることによりゲル状化合物
にするので、本発明の請求項1乃至請求項5に係るエア
ロゲルの製法によると、高密度部分から低密度部分へと
密度が徐々に変化する密度傾斜性エアロゲルが得られ、
少なくとも一方の外殻部の密度が大きいために取り扱い
性が良く、しかも低密度部分で断熱性を発現するので、
良好な透明性断熱材料となるとともに、低密度部分と高
密度部分の明確な界面が存在しないため、取り扱いによ
る界面での剥離等による破損が低減される。すなわち、
透明性、断熱性に優れ、かつ、取り扱い性良好な強度を
有する密度傾斜性エアロゲルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る密度傾斜性ゲ
ル状化合物の作製方法の概略説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る密度傾斜性ゲ
ル状化合物の作製方法の概略説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る密度傾斜性シ
リカエアロゲルの密度分布図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る密度傾斜性シ
リカエアロゲルの密度分布図である。
【符号の説明】
1 溶液含浸フィルター 2 溶液 3 ゾル 4 ゲル状化合物 5 ゲル

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縮重合性を有するアルコキシシランを加
    水分解したゾルを、縮重合反応によりゲル化させること
    によってゲル状化合物とし、このゲル状化合物を疎水化
    剤との反応により疎水化処理した後に、超臨界乾燥を施
    してエアロゲルにするエアロゲルの製法において、アル
    コキシシラン又は加水分解重合を促進させる触媒のいず
    れか一方のみを含む溶液を含浸させた溶液含浸フィルタ
    ーと、アルコキシシラン、触媒、水及び溶媒を含む反応
    物とを当接した状態で、反応物を縮重合反応させること
    によりゲル状化合物にすることを特徴とする密度傾斜性
    エアロゲルの製法。
  2. 【請求項2】 前記反応物がゾルであることを特徴とす
    る請求項1記載の密度傾斜性エアロゲルの製法。
  3. 【請求項3】 前記反応物がゲルであることを特徴とす
    る請求項1記載の密度傾斜性エアロゲルの製法。
  4. 【請求項4】 前記ゲルの両面に前記溶液含浸フィルタ
    ーを当接することを特徴とする請求項3記載の密度傾斜
    性エアロゲルの製法。
  5. 【請求項5】 前記触媒がアンモニアであることを特徴
    とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の密度傾斜
    性エアロゲルの製法。
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