JP2001135648A - 回り止め装置及びこれを用いた倣い装置 - Google Patents

回り止め装置及びこれを用いた倣い装置

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秀和 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】小型化及び製造コストの低減を図ること。 【解決手段】 対象物の特定面に当接して同特定面と平
行に倣う揺動体20の回動を規制する回り止め装置は、
第1板バネ37a,37bと第2板バネ37c,37d
とを備える。第1板バネ37a,37bは、揺動体20
がY軸周りに回動するとき、X軸方向及びZ軸方向に沿
って撓み易く、かつZ軸を中心とする回転方向に撓み難
い形状を有する。又、第2板バネ37c,37dは、揺
動体20がX軸周りに回動するとき、Y軸方向及びZ軸
方向に沿って撓み易く、かつZ軸を中心とする回転方向
に撓み難い形状を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回り止め装置及び
これを用いた倣い装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、ダイシングされた半導体チップ
をダイ・ボンディング装置のリードフレーム上に搬送す
るチップマウンタ等に用いられる倣い装置がある。この
倣い装置は、凹状半球面を有する基台に、凸状半球面を
有する揺動体が回動可能に支持されている。そして、半
導体チップの特定面に、凸状及び凹状半球面の曲率中心
にある揺動体のワーク当接面(倣い面)を当接させる
と、揺動体が同一平面において互いに直交するX軸及び
Y軸を中心に回動する。この回動により、揺動体のワー
ク当接面が半導体チップの特定面に合わせて傾動する。
これにより、揺動体のワーク当接面が半導体チップの特
定面に対し平行になる。
【0003】かかる倣い装置においては、基台と揺動体
との摩擦抵抗が極めて低いため、揺動体はX軸及びY軸
周りのみならず、X軸及びY軸を含む平面に対して直交
するZ軸周りにも回動してしまう。この結果、倣い精度
に悪影響を及ぼす。
【0004】そこで、揺動体がZ軸周りに回動するのを
防止する手段としては、一般にゴニオステージと呼ばれ
る装置が知られている。このゴニオステージは、複数の
揺動ブロックを連設して構成されている。各揺動ブロッ
クの界面には、水平面において互いに直交する方向に延
びる円弧面がそれぞれ形成されている。そして、倣いを
行う際には、それぞれの円弧面に沿って各揺動ブロック
が傾動するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の装置
においては、各円弧面の曲率中心を、揺動ブロックのワ
ーク当接面(倣い面)上に、0〜1μmの範囲で一致さ
せなければならない。従って、極めて高精度な加工及び
組み立てが必要であった。又、複数の揺動ブロックによ
って揺動体の回り止めが阻止されるため、装置全体が大
型化するとともに複雑化する。この結果、コストが高く
なるという問題がある。
【0006】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、小型化及び製造コストの低減を図
ることが可能な回り止め装置及びこれを用いた倣い装置
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明では、対象物の特定面に当
接して同特定面と平行に倣う可動部材の回動を規制する
回り止め装置において、前記可動部材がY軸周りに回動
するとき、X軸方向及びZ軸方向に沿って撓み易く、か
つZ軸を中心とする回転方向に撓み難い第1弾性部材
と、前記可動部材がX軸周りに回動するとき、Y軸方向
及びZ軸方向に沿って撓み易く、かつZ軸を中心とする
回転方向に撓み難い第2弾性部材とを備えたことを要旨
とする。
【0008】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の回り止め装置において、前記両弾性部材は、薄板状
に形成され、Z軸を中心とする回転方向への剛性が高い
形状であることを要旨とする。
【0009】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
2に記載の回り止め装置において、前記両弾性部材のう
ちいずれか一方は可動部材に連結され、他方は両弾性部
材を支持する支持体に連結されていることを要旨とす
る。
【0010】請求項4に記載の発明では、凹状半球面及
び凸状半球面のうちいずれか一方を備える固定部材に、
他方を備える可動部材を回動可能に設け、対象物の特定
面に前記可動部材を当接させることにより、その当接面
を前記対象物の特定面に対し平行となるように倣わせる
ようにした倣い装置であって、前記両部材との間に加圧
流体を噴出することにより、前記両部材同士を非接触に
し、可動部材を前記当接面に対して直交する軸線周りに
回動規制するために請求項1〜3のいずれかに記載の回
り止め装置を備えたことを要旨とする。
【0011】請求項5に記載の発明では、請求項4に記
載の倣い装置において、前記可動部材を対象物に当接さ
せた状態で所定の位置に保持する位置ずれ防止手段が設
けられていることを要旨とする。
【0012】以下、本発明の「作用」について説明す
る。請求項1に記載の発明によると、対象物の特定面が
X軸方向に沿って傾いている場合に、可動部材が対象物
の特定面に当接されると、第1弾性部材がX軸及びZ軸
方向に沿って撓み、可動部材はY軸周りに回動する。
又、対象物の特定面がY軸方向に沿って傾いている場合
に、可動部材が対象物の特定面に当接されると、第2弾
性部材がY軸及びZ軸方向に沿って撓み、可動部材はX
軸周りに回動する。以上のようにして、可動部材が対象
物の特定面に沿って倣う。可動部材が倣うときにおい
て、両弾性部材はいずれもZ軸を中心とする回転方向に
撓みにくいため、可動部材がZ軸周りに回動するのを規
制することができる。従って、可動部材がZ軸周りに回
動するのを規制するのに、例えばエア等の静圧を利用し
ていないので、装置全体が複雑化及び大型化することが
ない。
【0013】請求項2に記載の発明によると、両弾性部
材は、薄板状に形成されているため、装置全体を小型化
することが可能になる。しかも、補強部材等を取り付け
ることなく、弾性部材の形状によってZ軸を中心とする
回転方向への剛性を高くしているため、部品点数を少な
くすることができ、製造コストの低減につなげることが
できる。
【0014】請求項3に記載の発明によると、両弾性部
材のうちいずれか一方は可動部材に連結され、他方は両
弾性部材を支持する支持体に連結されている。そのた
め、可動部材の回転中心を含む面上に、弾性部材を配置
する必要がない。従って、倣い装置の設計の自由度を高
くすることができる。
【0015】請求項4に記載の発明によると、固定部材
と可動部材との間に加圧流体が噴出されるため、その加
圧流体のもたらす静圧が両部材の間に作用する。これに
より、両部材は非接触となるため、両部材間に摺動抵抗
がほとんど作用しない。よって、両部材のうちいずれか
を回動させて、当接面を対象物の特定面に対して平行に
することが可能になる。このとき、回り止め装置によ
り、回動する部材は、その当接面に対して直交する軸線
周りの回動が規制される。従って、高精度な倣いを行う
ことが可能になる。
【0016】請求項5に記載の発明によると、位置ずれ
防止手段によって、対象物に当接している可動部材を所
定の位置に保持することが可能になる。そのため、可動
部材が極めて小さい荷重で動作する場合であっても、そ
れを対象物に対して倣わせた状態に確実に保持すること
ができる。
【0017】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明を
具体化した第1実施形態を図面に基づき詳細に説明す
る。なお、本実施形態において、倣い装置10の上下
(鉛直)方向をZ軸方向とし、このZ軸方向に対して直
交し、かつ同一水平面上において互いに直交する方向を
X軸方向及びY軸方向とする。
【0018】図1〜図3に示すように、金属製の基台1
1の下面には、凹状半球面12aを有する環状多孔質材
12が設けられている。固定部材である環状多孔質材1
2の形成材料としては、例えば焼結アルミニウム、焼結
銅、焼結ステンレス等の金属材料を使用することができ
る。その他にも、焼結三ふっ化樹脂、焼結四ふっ化樹
脂、焼結ナイロン樹脂、焼結ポリアセタール樹脂等のよ
うな合成樹脂材料や、焼結カーボン、焼結セラミックス
などが使用可能である。
【0019】基台11の一側面(図1の左側)にはポー
ト13が形成され、このポート13は図示しない圧力供
給源に接続されている。ポート13はエア通路13aを
介して基台11に形成された環状溝14に連通されてい
る。この環状溝14は前記環状多孔質材12の裏面に開
口されている。そして、図示しない圧力供給源から加圧
流体としての加圧エアが、ポート13、エア通路13a
及び環状溝14を介して環状多孔質材12の表面全体か
ら噴出される。
【0020】環状多孔質材12において凹状半球面12
aの外周縁に位置する箇所には、吸引用環状溝17が形
成されている。基台11の他側面(図1の右側)には、
真空引きポート18が形成され、その真空引きポート1
8には図示しない吸引ポンプが接続されている。この真
空引きポート18はエア通路18aを介して吸引用環状
溝17に連通されている。そして、吸引ポンプから真空
引きポート18、エア通路18aを介してエアが吸引さ
れ、吸引用環状溝17に沿ってエアによる吸引力が作用
する。
【0021】環状多孔質材12の下側には、金属製の揺
動体20が設けられている。揺動体20の上面には、凸
状半球面20aが形成され、この凸状半球面20aの曲
率半径は、前記凹状半球面12aの曲率半径と同じにな
っている。従って、揺動体20の凸状半球面20aは、
環状多孔質材12の凹状半球面12aに対して係合され
ており、凸状半球面20aに沿って揺動する。
【0022】揺動体20の中央部下面には、対象物とし
ての基板Kの上面(特定面)に半導体チップを接着する
ためのツール21が突設されている。なお、図1に示す
符号Rは、凸状半球面20a及び凹状半球面12aの曲
率半径を示し、その曲率中心はツール21の先端面(基
板Kの上面)にある。従って、本実施形態では、ツール
21の先端面がワーク当接面21a、いわゆる倣い面と
なっており、その面上に揺動体20の回転中心Cが存在
している。ちなみに、揺動体20によるX軸及びY軸周
りの回動可能な角度(倣い角度)は、平常時のバランス
状態を0゜とすると、±0.5゜に設定されている。本
実施形態では、揺動体20とツール21とから可動部材
が構成されている。
【0023】基台11の中央部には、位置ずれ防止手段
としてのマグネット23がマグネットホルダ24を介し
てネジ25によって取り付けられている。揺動体20の
中心には上下方向に沿って延びるシャフト26が複数の
ネジ27によって固定されている。そのシャフト26の
先端部は、前記マグネット23及びマグネットホルダ2
4にそれぞれ形成された挿通孔23a,24aを介して
同ホルダ24の上面から突出されている。
【0024】マグネット23は、その磁力によって揺動
体20が微妙に位置ずれするのを防止する役割を果た
す。従って、極めて小さい荷重で動作する揺動体20で
あっても、倣わせた状態に確実に保持することが可能で
ある。又、倣い装置10の電源が突然遮断され、真空引
きポート18に対するエアの吸引が停止した場合でも、
マグネット23の磁力のみで揺動体20を倣わせた状態
に保持することが可能になる。
【0025】次に、本実施形態の要部について説明す
る。図1〜図3に示すように、前記基台11上には回り
止め装置31が設けられている。この回り止め装置31
は、下面が開口された支持体としての固定ケーシング3
2を備え、この固定ケーシング32は複数のネジ33に
よって基台11上に取り付けられている。これにより、
固定ケーシング32の下部開口部が基台11によって塞
がれている。固定ケーシング32においてシャフト26
の先端部に位置する箇所には、円柱状の連結ブロック3
5が設けられている。連結ブロック35は、揺動体20
が揺動するのに伴い一体的に可動する。
【0026】固定ケーシング32において連結ブロック
35の上方に位置する箇所には、正方形状をなす金属製
の薄板36が収容されている。薄板36には、その中央
部がワイヤカット等によって切り抜かれることにより複
数の板バネ37a,37b,37c,37dが形成され
ている。本実施形態において、板バネ37a〜37dは
4つ存在し、X軸方向において第1弾性部材としての第
1板バネ37a,37bが2つ対向配置され、Y軸方向
において第2弾性部材としての第2板バネ37c,37
dが2つ対向配置されている。
【0027】各板バネ37a〜37dは、その先端部に
おいて薄板36の中心側に向けて突設された接続部38
を有している。各接続部38は同一円周上において等間
隔(90゜)に配置されている。そして、X軸方向に配
置された第1板バネ37a,37bの接続部38には、
上方に突設された第1連結ピン39が挿入固定されてい
る。第1連結ピン39の先端部は前記固定ケーシング3
2の内頂面に嵌入され、第1板バネ37a,37bと固
定ケーシング32とが互いに連結されている。
【0028】又、第2板バネ37c,37dの接続部3
8には、下方に突設された第2連結ピン40が挿入固定
されている。この第2連結ピン40の先端部は連結ブロ
ック35の上面に嵌入され、第2板バネ37c,37d
と連結ブロック35とが互いに連結されている。
【0029】各板バネ37a〜37dは、薄板36の外
縁に沿って延びる細長U字状にそれぞれ形成されてい
る。この形状により、第1板バネ37a,37bは、そ
れぞれX軸方向及びZ軸方向に沿って撓み易く、かつZ
軸を中心とする回転方向に撓み難くなっている。これに
対して、第2板バネ37c,37dは、それぞれY軸方
向及びZ軸方向に沿って撓み易く、かつZ軸周りに撓み
難くなっている。要するに、各板バネ37a〜37d
は、いずれもZ軸を中心とする回転方向への剛性が高い
形状となっている。
【0030】従って、揺動体20がY軸周りに回動する
場合には、第2板バネ37c,37dはX軸方向に沿っ
て撓み難く、第1板バネ37a,37bがX軸方向及び
Z軸方向に沿って撓み易い。又、揺動体20がX軸周り
に回動する場合には、第1板バネ37a,37bはY軸
方向に沿って撓み難く、第2板バネ37c,37dがY
軸方向及びZ軸方向に沿って撓み易い。そして、揺動体
20がX軸周り及びY軸周りに回動すると、揺動体20
は、全ての板バネ37a〜37dが抵抗力となってZ軸
周りに回動するのが規制される。
【0031】次に、上記のように構成された倣い装置1
0を用いて基板Kに半導体チップを圧着するには次のよ
うに行う。ワークWを吸着する前において、ポート13
からエア通路13aを介して加圧エアが供給され、環状
多孔質材12の表面全体から揺動体20の上面に向けて
加圧エアが噴出される。これにより、揺動体20と環状
多孔質材12との界面に静圧がもたらされ、揺動体20
は環状多孔質材12から離間する。それと同時に、真空
引きポート18からエア通路18aを介してエアが吸引
され、環状溝17内は負圧になる。そして、揺動体20
には凹状半球面12aへの吸引力が働き、同揺動体20
は基台11に引き寄せられる。よって、環状多孔質材1
2から揺動体20が離れる力と、揺動体20が環状多孔
質材12側に引き寄せられる力とが釣り合うことによ
り、揺動体20は環状多孔質材12に対して非接触な状
態で回動可能に支持される。
【0032】この状態で倣い装置10全体が下降して基
板Kに接近すると、ツール21の先端面が基板Kに当接
する。例えば、基板Kの上面がY軸方向に沿って傾斜し
ていれば、その傾斜角度に追従するように、揺動体20
はX軸周りに回動する。このとき、揺動体20がZ軸周
りに回動しようとしても、各板バネ37a〜37dが撓
み難いため、それが抵抗力となって同Z軸周りに回動す
ることがない。
【0033】ここで、図4(a)に示すように、揺動体
20の重心Gは、その回転中心Cよりも上方に位置して
いる。そのため、揺動体20の姿勢バランスが悪く、揺
動体20及びツール21の自重により傾動しやすい。環
状多孔質材12の凹状半球面12aに沿って揺動体20
がX軸方向に傾動すると、連結ブロック35も傾動す
る。つまり、連結ブロック35はXZ両軸方向へ移動す
ることになる。このとき、連結ブロック35が傾動する
側の第1板バネ37a,37bの弾性力により、連結ブ
ロック35が傾動前の位置に押し戻される。これによ
り、揺動体20の傾動が規制される。
【0034】一方、凹状半球面12aに沿って揺動体2
0がY軸方向に傾動すると、その傾動に伴って連結ブロ
ック35も傾動する。つまり、連結ブロック35はYZ
両軸方向へ移動することになる。このとき、連結ブロッ
ク35が傾動する側の第2板バネ37c,37dの弾性
力により、連結ブロック35が傾動前の位置に押し戻さ
れる。これにより、揺動体20の傾動が規制される。従
って、板バネ37a〜37dの弾性力により、揺動体2
0の中心は、基台11の中心と一致するように保持され
る。
【0035】図4(b)に示すように、揺動体20が傾
いた状態においては、揺動体20及びツール21が傾動
する方向に、それらの自重による回転モーメントMが作
用する。例えばX軸方向に揺動体20が傾動した場合
に、第1板バネ37a,37bの弾性力により、連結ブ
ロック35が反傾動側に押し戻されようとする。すなわ
ち、X軸方向の回転モーメントMは、第1板バネ37
a,37bの弾性力により軽減される。
【0036】Y軸方向に揺動体20が傾動した場合に、
第2板バネ37c,37dの弾性力により、連結ブロッ
ク35が反傾動側に押し戻されようとする。すなわち、
Y軸方向の回転モーメントMは、第2板バネ37c,3
7dの弾性力により軽減される。以上説明したように、
X軸方向及びY軸方向における回転モーメントMの軽減
により、ワークWにかかる偏荷重mgを軽減することが
可能になる。ちなみに、偏荷重mgは、理論上ゼロにす
ることが可能である。
【0037】倣い動作が終了した後は、ポート13への
加圧エアの供給が停止されて、環状多孔質材12の表面
から加圧エアの噴出が停止される。これに対して、真空
引きポート18からエアの真空引きは継続される。その
ため、環状多孔質材12から揺動体20を離そうとする
力はゼロになり、揺動体20を環状多孔質材12に引き
寄せようとする力のみが働くことになる。これにより、
揺動体20は環状多孔質材12側に押圧される。従っ
て、揺動体20が回動不能に固定されるため、ツール2
1は倣った状態に保持される。
【0038】この状態で、倣い装置10及びツール21
が上昇して基板Kから離れ、ツール21の先端面に図示
しない半導体チップが取り付けられた後、倣い装置10
及びツール21を再び下降させる。そして、ツール21
が基板Kに押し付けられ、ツール21の先端部に取り付
けられた半導体チップが基板Kに圧着される。
【0039】従って、本実施形態によれば以下のような
効果を得ることができる。 (1) 回り止め装置31は、薄板状の第1板バネ37
a,37bと、第2板バネ37c,37dとを備えてい
る。そのため、揺動体20の回り止めするのに、エア等
の静圧を利用していないので、回り止め装置31の構成
を簡略化することができる。よって、回り止め装置31
の製造コストを低減することができ、倣い装置10全体
の製造コストの低減につなげることができる。
【0040】(2) 薄い板バネ37a〜37dによっ
て、固定ケーシング32と揺動体20とを連結している
にすぎないので、回り止め装置31が上下方向の長さを
短くでき、回り止め装置31を小型化することができ
る。従って、倣い装置10全体を小型化することができ
る。
【0041】(3) 第1板バネ37a,37bは、揺
動体20がY軸周りに回動するとき、X軸方向及びZ軸
方向に沿って撓み易く、かつZ軸線を中心とする回転方
向に撓み難くなっている。又、第2板バネ37c,37
dは、揺動体20がX軸周りに回動するとき、Y軸方向
及びZ軸方向に沿って撓み易く、かつZ軸周りに撓み難
くなっている。そのため、基板Kからツール21を離し
た際に、これら板バネ37a〜37dの弾性力によっ
て、基台11の中心に揺動体20の中心を一致させ易く
することができる。つまり、揺動体20の中心を、基準
となる元の位置(Z軸上の点)に正確かつ迅速に復帰さ
せることができ、再現性の向上を図ることができる。
【0042】(4) 第1板バネ37a,37bと固定
ケーシング32とが、第1連結ピン39を介して互いに
連結されている。又、第2板バネ37c,37dと揺動
体20とが第2連結ピン40を介して互いに連結されて
いる。そのため、揺動体20の回転中心Cを含む面上
に、各板バネ37a〜37dを配置する必要がない。別
の言い方をすれば、板バネ37a〜37dがある位置と
揺動体20の回転中心Cとを離れた位置に設定すること
ができる。従って、倣い装置10の設計の自由度を高く
することができる。
【0043】(5) 各板バネ37a〜37dは、揺動
体20の中心を基台11の中心に一致させる戻し力とし
ても働く。そのため、倣い状態において、揺動体20及
び連結ブロック35が傾動する方向に、それらの自重に
よる回転モーメントMが作用しても、それらを反傾動側
に押し戻すことができる。よって、X軸方向及びY軸方
向の回転モーメントMを軽減することができるので、基
板Kにかかる偏荷重mgを軽減することができる。
【0044】(6) 基台11の中央部には、揺動体2
0に取り付けられたシャフト26を引きつけるためのマ
グネット23が設けられている。そのため、マグネット
23による磁力と、吸引用環状溝17で発生するエアの
吸引力とによって、揺動体20が微妙に位置ずれするの
を防止できる。従って、極めて小さい荷重で動作する揺
動体20であっても、倣わせた状態に確実に保持するこ
とができる。又、倣い装置10の電源が突然遮断され、
真空引きポート18からのエアの吸引が停止した場合で
も、マグネット23の磁力のみで揺動体20を倣わせた
状態に保持することができる。
【0045】(7) 環状多孔質材12は基台11の下
面全体を占めている。これにより、揺動体20の凸状半
球面20a全体を環状多孔質材12にてカバーできるの
で、加圧エアを凸状半球面20a全体に当てることがで
きる。従って、より大きい荷重で基板Kの上面に可動部
材21のワーク当接面21bを当接させても、揺動体2
0を滑らかに揺動させることができるので、高精度な倣
い動作を実現することができる。
【0046】(8) 環状多孔質材12には吸引用環状
溝17が形成されている。ツール21を倣わせたり、揺
動体20を吸着する際に、揺動体20の凸状半球面20
aが吸引用環状溝17の開口部付近に当っても、金属製
の揺動体20は合成樹脂製の吸引用環状溝17よりも明
らかに硬質であるので、凸状半球面20aの損傷を防止
できる。
【0047】(9)吸引用環状溝17は環状多孔質材1
2の外周縁に沿って設けられている。そのため、内周縁
にある場合と比較して吸着面積を大きくすることがで
き、揺動体20の吸着力を向上することができる。それ
とともに、揺動体20の凸状半球面20aの外縁部が吸
引されるため、揺動体20を安定した状態で吸着保持す
ることができる。
【0048】(第2実施形態)図5,図6に示すよう
に、本実施形態における倣い装置80に設けられた基台
11の凹状半球面12aには、半球凹状多孔質材81が
設けられている。基台11の凹状半球面12aには、凹
部82が形成されている。この凹部82は、半球凹状多
孔質材81の裏面全体に開口されている。そして、ポー
ト13から供給される加圧エアがエア通路13a、凹部
82を介して半球凹状多孔質材81に供給される。
【0049】図5〜図7に示すように、揺動体20は半
球状に形成されており、半球凹状多孔質材81に係合さ
れている。本実施形態では、前記ツール21が省略さ
れ、揺動体20の上面がワーク当接面20bとなってい
るため、揺動体20のみで可動部材が構成されている。
【0050】ワーク当接面20bの外縁には、90゜ピ
ッチで矩形状の取付溝83が4箇所形成されている。こ
の取付溝83には、同じく平面から見て矩形状をなす板
バネ84a〜84dが係合されている。各板バネ84a
〜84dの一端はスポット溶接等により揺動体20に固
定され、他端は基台11の上面に固定されている。これ
により、揺動体20はZ軸周りの回動が規制されてい
る。
【0051】各板バネ84a〜84dの中央部には、半
円筒状の折曲部88が形成されている。この折曲部88
は、基台11の上面に形成された環状段部87に非接触
状態で配置されている。折曲部88の存在により、各板
バネ84a〜84dはX軸周り及びY軸周りにねじれ変
形可能となっている。従って、X軸上にある板バネ84
a,84cの折曲部88がねじれ変形することにより、
揺動体20はX軸周りへの回動が許容される。これに対
して、Y軸上にある板バネ84b,84dの折曲部88
がねじれ変形することにより、揺動体20はY軸周りの
回動が許容される。ちなみに、本実施形態において、揺
動体20によるX軸及びY軸周りの回動可能な角度は、
平常時のバランス状態を0゜とすると、±0.5゜にな
っている。
【0052】次に、上記のように構成された第2実施形
態における倣い装置80の作用について説明する。ポー
ト13に加圧エアが供給され、揺動体20が半球凹状多
孔質材81に対して非接触な状態で回動可能に支持され
る。倣い装置80全体が上昇して対象物としてのワーク
Wに接近すると、揺動体20のワーク当接面20bがワ
ークWに当接する。すると、ワークWの下面(特定面)
がY軸方向に沿って傾斜していれば、各板バネ84a,
84cがねじれ変形し、その傾斜角度に追従するよう
に、揺動体20はX軸周りに回動する。これに対して、
ワークWの下面がX軸方向に沿って傾斜していれば、各
板バネ84b,84dがねじれ変形し、その傾斜角度に
追従するように、揺動体20はY軸周りに回動する。以
上のように、揺動体20はZ軸周りに回動することな
く、ツール21のワーク当接面20bがワークWに対し
平行となるように倣う。
【0053】従って、この第2実施形態においても、前
述した第1実施形態とほぼ同様の効果を発揮させること
ができる。又、この第2実施形態においては、第1実施
形態に示す回り止め装置31と異なり、その構成を簡略
化することができるため、倣い装置80の製造コストを
低減することができる。又、この実施形態の回り止め装
置は、複数の板バネ84a〜84dによって、基台11
と揺動体20とを単に連結しているにすぎないので、倣
い装置80が大型化するのを防止できる。
【0054】更に、各板バネ84a〜84dには、折曲
部88が形成されている。そのため、各板バネ84a〜
84dがねじれ変形しやすくなる。そのため、揺動体2
0はワークWの傾斜面に沿って確実に追従させることが
できる。
【0055】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ・ 第1実施形態の別例として、薄板36の形状を円形
状又は多角形状にしてもよい。
【0056】・ 第1及び第2実施形態において、揺動
体20をより強固に回動不能にするために、揺動体20
を倣わせた後に加圧用ポート13からもエアの真空引き
を行ってもよい。
【0057】・ 前記第1及び第2実施形態では、揺動
体20に凸状半球面20aが形成され、環状多孔質材1
2に凹状半球面12aが形成されている。これ以外に
も、凸状半球面20aと環状多孔質材12aとの関係を
逆にしてもよい。すなわち、揺動体20に凹状半球面を
形成し、環状多孔質材12に凸状半球面を形成し、揺動
体20と環状多孔質材12とを係合してもよい。
【0058】・ 第1及び第2実施形態の別例として、
倣い装置10,80をそれぞれ上下反対向きにして使用
してもよい。 ・ 第2実施形態の別例として、折曲部88を省略し、
各板バネ84a〜84dの形状を単なる片状にしてもよ
い。
【0059】・ 第2実施形態の別例として、図8に示
すように、各板バネ84a〜84dの形状をS字状に形
成してもよい。又、図示しないが、直線状に形成された
板バネ84a〜84dをX軸又はY軸に対して斜めに配
置してもよい。
【0060】・ 第1及び第2実施形態の別例として、
図9,図10に示すように、基台11のX軸方向両側面
及びY軸方向両側面に支持体90,91を固定する。X
軸方向における支持体90同士、Y軸方向における支持
体91同士が対向する側面には、揺動体20の中心に向
けてピン92,93を突設し、各ピン92,93の先端
部を揺動体20の側面に形成した係合孔94,95に係
入する。そして、各ピン92,93の先端部にOリング
96,97を設け、そのOリング96,97の外周面
を、それぞれの係合孔94,95の内周面に当接させ
る。なお、この場合のOリング96,97の硬度は30
゜〜70゜となっている。
【0061】この構成にすれば、Y軸方向にあるOリン
グ96,97が弾性変形することにより、揺動体20は
X軸周りに回動する。又、X軸方向にあるOリング9
6,97が弾性変形することにより、揺動体20はY軸
周りに回動する。なおピン92,93、係合孔94,9
5及びOリング96,97の設置は、X軸方向又はY軸
方向のいずれか一方だけでもよい。
【0062】次に、特許請求の範囲に記載された技術的
思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技
術的思想を以下に示す。 (1)請求項4又は5において、前記固定部材は、前記
可動部材の表面に向けて加圧エアを噴出可能な多孔質材
から形成され、その多孔質材に前記凹状の曲面が形成さ
れていることを特徴とする倣い装置。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
小型化及び製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における倣い装置の断面図。
【図2】要部を示す分解斜視図。
【図3】要部を示す平面図。
【図4】(a)はバランス状態における倣い装置の説明
図、(b)は倣った状態における倣い装置の説明図。
【図5】第2実施形態における倣い装置の平面図。
【図6】図5の6−6断面図。
【図7】要部を示す分解斜視図。
【図8】別例を示す倣い装置の平面図。
【図9】図8とは異なるタイプの倣い装置の平面図。
【図10】図9の10A−10A断面図。
【符号の説明】
10…倣い装置、12…環状多孔質材(固定部材)、1
2a…凹状半球面、20…揺動体(可動部材)、21…
ツール(可動部材)、23…マグネット位置ずれ防止手
段)、31…回り止め装置、32…支持体(固定ケーシ
ング)、37a,37b…第1弾性部材(第1板バ
ネ)、37c,37d…第2弾性部材(第2板バネ)、
K…基板(対象物)、基板Kの上面(特定面)。
フロントページの続き (72)発明者 中村 征司 愛知県小牧市応時二丁目250番地 シーケ ーディ 株式会社内 (72)発明者 下山 竜郎 愛知県小牧市応時二丁目250番地 シーケ ーディ 株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象物の特定面に当接して同特定面と平
    行に倣う可動部材の回動を規制する回り止め装置におい
    て、 前記可動部材がY軸周りに回動するとき、X軸方向及び
    Z軸方向に沿って撓み易く、かつZ軸を中心とする回転
    方向に撓み難い第1弾性部材と、 前記可動部材がX軸周りに回動するとき、Y軸方向及び
    Z軸方向に沿って撓み易く、かつZ軸を中心とする回転
    方向に撓み難い第2弾性部材とを備えたことを特徴とす
    る回り止め装置。
  2. 【請求項2】 前記両弾性部材は、薄板状に形成され、
    Z軸を中心とする回転方向への剛性が高い形状であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の回り止め装置。
  3. 【請求項3】 前記両弾性部材のうちいずれか一方は可
    動部材に連結され、他方は両弾性部材を支持する支持体
    に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の回り止め装置。
  4. 【請求項4】 凹状半球面及び凸状半球面のうちいずれ
    か一方を備える固定部材に、他方を備える可動部材を回
    動可能に設け、対象物の特定面に前記可動部材を当接さ
    せることにより、その当接面を前記対象物の特定面に対
    し平行となるように倣わせるようにした倣い装置であっ
    て、 前記両部材との間に加圧流体を噴出することにより、前
    記両部材同士を非接触にし、可動部材を前記当接面に対
    して直交する軸線周りに回動規制するために請求項1〜
    3のいずれかに記載の回り止め装置を備えたことを特徴
    とする倣い装置。
  5. 【請求項5】 前記可動部材を対象物に当接させた状態
    で所定の位置に保持する位置ずれ防止手段が設けられて
    いることを特徴とする請求項4に記載の倣い装置。
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JP2010027988A (ja) * 2008-07-23 2010-02-04 Ckd Corp 倣い装置
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