JP2001133623A - 赤外線吸収フィルター - Google Patents

赤外線吸収フィルター

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JP2001133623A
JP2001133623A JP31277199A JP31277199A JP2001133623A JP 2001133623 A JP2001133623 A JP 2001133623A JP 31277199 A JP31277199 A JP 31277199A JP 31277199 A JP31277199 A JP 31277199A JP 2001133623 A JP2001133623 A JP 2001133623A
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infrared
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filter according
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JP31277199A
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Tetsuo Shimomura
哲生 下村
Shinya Onomichi
晋哉 尾道
Seiichiro Yokoyama
誠一郎 横山
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 近赤外線領域に吸収があり、可視領域の光透
過性が高く、且つ、可視領域に特定波長の大きな吸収を
持つことがなく、更に、加工性及び生産性が良好な赤外
線吸収フィルターを提供する。 【解決手段】 波長850nmから1100nmの近赤
外線領域における透過率の最大値と最小値の差が10%
以下でかつ、該範囲の透過率が30%以下であり、波長
450nmから650nmの可視領域での透過率が50
%以上であることを特徴とする赤外線吸収フィルター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学フィルターに
関するもので、特に可視光線領域に透過率が高く、赤外
線を遮断する光学フィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱線吸収フィルターやビデオカメ
ラ視感度補正用フィルター等には次に示されるような物
が広く使われてきた。 燐酸系ガラスに、銅や鉄などの金属イオンを含有した
フィルター(特開昭60−235740号公報、特開昭
62−153144号公報など) 基板上に屈折率の異なる層を積層し、透過光を干渉さ
せることで特定の波長を透過させる干渉フィルター(特
開昭55−21091号公報、特開昭59−18474
5号公報など) 共重合体に銅イオンを含有するアクリル系樹脂フィル
ター(特開平6−324213号公報) バインダー樹脂に色素を分散した構成のフィルター
(特開昭57−21458号公報、特開昭57−198
413号公報、特開昭60−43605号公報など)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来使用されて
きた赤外線吸収フィルターには、それぞれ以下に示すよ
うな問題点がある。前記の方式では近赤外領域に急峻
に吸収が有り、赤外線遮断率は非常に良好であるが、可
視領域の赤色の一部も大きく吸収してしまい、透過色は
青色に見える。ディスプレー用途では色バランスを重視
され、このような場合、使用するのに困難である。ま
た、ガラスであるために加工性にも問題がある。前記
の方式の場合、光学特性は自由に設計でき、ほぼ設計と
同等のフィルターを製造することが可能であるが、その
為には、屈折率差のある層の積層枚数が非常に多くな
り、製造コストが高くなる欠点がある。また、大面積を
必要とする場合、全面積にわたって高い精度の膜厚均一
性が要求され、製造が困難である。
【0004】前記の方式の場合、の方式の加工性は
改善される。しかし、方式と同様に、急峻な吸収特性
が有るが、やはり、赤色部分にも吸収が有りフィルター
が青く見えてしまう問題点は変わらない。前記の方式
は、赤外線吸収色素として、フタロシアニン系、ニッケ
ル錯体系、アゾ化合物、ポリメチン系、ジフェニルメタ
ン系、トリフェニルメタン系、キノン系、など多くの色
素が持ちいられている。しかし、それぞれ単独では、吸
収が不十分であったり、可視領域で特定の波長の吸収が
有るなどの問題点を有している。さらに、同フィルター
を高温下、や加湿下に長時間放置すると、色素の分解
や、酸化が起こり可視領域での吸収が発生したり、赤外
領域での吸収が無くなってしまうなどの問題がある。
【0005】すなわち、本発明の目的は、近赤外線領域
に吸収があり、可視領域の光透過性が高く、且つ、可視
領域に特定波長の大きな吸収を持つことがなく、更に、
加工性及び生産性が良好な赤外線吸収フィルターを提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決す
ることができた赤外線吸収フィルターとは、以下の通り
である。
【0007】即ち、本発明の第1の発明は、波長850
nmから1100nmの近赤外線領域における透過率の
最大値と最小値の差が10%以下でかつ、該範囲の透過
率が30%以下であり、波長450nmから650nm
の可視領域での透過率が50%以上であることを特徴と
する赤外線吸収フィルターである。第2の発明は、波長
450nmから650nmの可視領域での透過率の最大
値と最小値の差が10%以下であることを特徴とする前
記1の発明に記載の赤外線吸収フィルターである。第3
の発明は、前記赤外線吸収フィルターを温度60℃、湿
度95%の空気雰囲気中に1000時間放置した後の、
波長850nmから1100nmの近赤外線領域におけ
る透過率の最大値と最小値の差が10%以下で、かつ、
前記波長範囲の透過率が30%以下であることを特徴と
する前記1または2記載の赤外線吸収フィルターであ
る。第4の発明は、赤外線吸収色素または染顔料を分散
したポリマーを透明基材上に塗布することを特徴とする
前記1乃至3の発明に記載の赤外線吸収フィルターであ
る。
【0008】第5の発明は、前記4の発明に記載のポリ
マーがポリエステル樹脂であることを特徴とする赤外線
吸収フィルターである。第6の発明は、前記透明基材が
ポリエステルフィルムであることを特徴とする前記4ま
たは5の発明に記載の赤外線吸収フィルターである。第
7の発明は、前記色素を分散する分散媒として用いるポ
リマーのガラス転移温度が、本発明のフィルターを使用
する想定保証温度以上であることを特徴とする前記4乃
至6の発明に記載の赤外線吸収フィルターである。第8
の発明は、赤外線吸収層の上部、または下部、及び反対
面に電磁波吸収層として、可視光透過率が60%以上の
金属メッシュ、または透明導電性薄膜層を設けているこ
とを特徴とする前記1乃至7の発明に記載の赤外線吸収
フィルターである。第9の発明は、前記赤外線吸収フィ
ルターの少なくとも片面に粘着材層を設けてなることを
特徴とする前記1乃至8の発明に記載の赤外線吸収フィ
ルターである。
【0009】
【作用】本発明の赤外線吸収フィルターは、波長850
nmから1100nmの近赤外線領域における透過率の
最大値と最小値の差が10%以下でかつ、前記範囲の透
過率が30%以下であることが必要である。この近赤外
線領域における透過率を30%以下に小さくすることに
よって、プラズマディスプレー等に用いた場合、ディス
プレーから放射される、不要な赤外線を吸収し、赤外線
を使ったリモコンの誤動作を防ぐことが出来る。また、
この近赤外線領域における透過率の最大値と最小値の差
を10%以下に安定して小さくすることにより、誤動作
をより効果的に低減することが可能となる。さらに、本
発明の赤外線吸収フィルターは、波長450nmから6
50nmの可視領域での透過率が50%以上であること
が必要である。この可視光領域の透過率が50%未満で
は、本発明の赤外線吸収フィルターをディスプレー前面
に設置した場合に非常に暗いディスプレーとなる。
【0010】また、波長450nmから650nmの可
視領域での透過率の最大値と最小値の差が10%以内で
あると色調がグレーとなり、ディスプレー前面においた
場合、ディスプレーから発せられる色調が変らずに表現
することができるので好ましい。さらに、本発明の赤外
線吸収フィルターを、温度60℃、湿度95%の空気雰
囲気中に1000時間放置した後の、波長850nmか
ら1100nmの近赤外線領域における透過率の最大値
と最小値の差が10%以下で、かつ、前記波長範囲の透
過率が30%以下であることが好ましい。このことによ
り、例え環境変化の大きい場所で保管されたり、使用さ
れたりしても、安定した赤外線吸収効果を維持すること
ができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の赤外線吸収フィル
ムにおける実施の形態を説明する。本発明では、赤外線
吸収色素または染顔料をポリマー中に分散し、更にこれ
を透明な基板上にコーティングした構成が好ましい。こ
のような構成とすることによって、製作が簡単になり、
小ロットの生産にも対応可能となる。
【0012】本発明で使用する赤外線吸収色素は特に限
定されるものではないが、例えば、ジイモニウム塩化合
物、チオニッケル錯体化合物、含フッ素系フタロシアニ
ン化合物などが好ましく、以下のようなものが挙げられ
る。ジイモニウム塩化合物としては、日本化薬社製 Ka
yasorb IRG-022、IRG-023など、含フッ素系フタロシア
ニン化合物としては、日本触媒社製 Excolor IR1、IR
2、IR3、IR4、TX‐EX808K、TX-EX810Kなど、チオニッケ
ル錯体化合物としては、三井化学社製SIR-128、SIR-13
0、SIR-132、SIR-159などが挙げられるが、上記赤外吸
収色素は一例であり、特に限定される物ではない。ま
た、少なくともジイモニウム塩化合物、含フッ素フタロ
シアニン系化合物及び、チオニッケル錯体のうちいずれ
か2種類を含有することが好ましい。該色素配合比は、
ジイモニウム塩化合物を1重量部当たり、含フッ素フタ
ロシアニン系化合物の場合0.5〜0.01重量部、チ
オニッケル錯体系化合物の場合1〜0重量部の範囲が好
ましい。
【0013】本発明で赤外線吸収色素を分散させるバイ
ンダー樹脂は、前記色素を均一に分散できるものであれ
ば特に限定されないが、ポリエステル系、アクリル系、
ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポ
リカーボネート系樹脂が好適である。なかでも、ポリエ
ステル系が特に好ましい。また、本発明での色素を分散
するバインダー樹脂は、そのガラス転移温度が、本発明
のフィルタを使用する想定保証温度以上の温度であるこ
とが好ましい。これにより、色素の安定性が向上する。
前記フィルターを使用する想定保証温度は80℃以上が
好ましく、85℃以上が特に好ましい。
【0014】本発明で、コーティング時のコーティング
液に用いる溶剤は、本発明で用いる赤外線吸収色素とバ
インダー樹脂を均一に分散できるものであれば何でもよ
い。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール、エチルセロ
ソルブ、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロ
フラン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、塩化メチレン、
クロロホルム、N、N−ジメチルホルムアミド、水等が
挙げられるが、これらに限定させるものではない。
【0015】また、本発明において、赤外線吸収色素を
分散したポリマーを基材にコーティングする場合、使用
する透明基材は特に限定されない。例えば、ポリエステ
ル系、アクリル系、セルロース系、ポリエチレン系、ポ
リプロピレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル
系、ポリカーボネート、フェノール系、ウレタン系樹脂
などが挙げられるが、分散安定性、環境負荷などの観点
から、ポリエステル系樹脂が好ましい。
【0016】前記透明基材である高分子フィルムは、全
光線透過率が89%以上で、且つヘイズが1.6以下で
あり、更に静摩擦係数及び動摩擦係数が0.6以下であ
ることが好ましい。本発明の赤外線吸収フィルターは、
ディスプレー用途に用いられる場合が多い為、全光線透
過率が高いものが好まれる。また、ヘイズも小さいほう
が良い。しかし、フィルムの全光線透過率を高くし、ヘ
イズを低くするために、表面凹凸を付与する不活性粒子
を少なくすると、一般に摩擦係数が高くなり滑り性や巻
き性などのハンドリング性が悪化しやすくなる。透明性
とハンドリング性を両立させるためには、基材高分子フ
ィルム中に不活性粒子を含有させずに、基材高分子フィ
ルム上に厚みが30〜300nmのコーティング層を設
け、該コーティング層に可視光線の波長以下の平均粒径
が小さい不活性粒子を含有させることが好ましい。
【0017】かかる不活性粒子の例としては、炭酸カル
シウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タル
ク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カ
ルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデ
ン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム
等の有機粒子を挙げることができる。なかでもシリカ粒
子はポリエステル樹脂と屈折率が比較的近く、高透明の
フィルムを得やすいため最も好適である。
【0018】上記コーティング層に含有させる不活性粒
子の平均粒径は、0.01〜1.0μmが好ましく、さ
らに好ましくは0.02〜0.5μm、特に好ましくは
0.03〜0.3μmである。平均粒径が1.0μmを
超えると、フィルムの透明性が低下する傾向がある。一
方、平均粒径が0.01μm未満では、フィルムのハン
ドリング性(滑り性、巻き性、ブロッキング防止など)
が悪化する傾向がある。また、上記コーティング層中に
含まれる粒子含有量は、易接着層の固形分量に対し、
0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜50重量%、
さらに好ましくは1.0〜40重量%になるよう添加す
る。コーティング層中の粒子含有量が60重量%を超え
ると、フィルムの易接着性が損なわれたり、透明性も悪
化しやすくなる。一方、コーティング層中の粒子含有量
が0.1重量%未満では、フィルムのハンドリング性
(滑り性、巻き性、ブロッキング防止など)が悪化しや
すくなる。
【0019】また、本発明の赤外線吸収フィルターで
は、耐光性を向上させる目的で、UV吸収剤を添加した
ものが好ましい。さらに、本発明では、耐候性、耐溶剤
性を付与させるために、赤外線吸収色素を分散するポリ
マーを、架橋剤を用いて架橋させても良い。
【0020】ディスプレー用途、特にプラズマディスプ
レー用途においては、電磁波も吸収する必要がある場合
が多い。このような場合、本発明では、赤外線吸収層の
上部、または下部、及び反対面に電磁波吸収層として、
可視光透過率が60%以上の金属メッシュ、または透明
導電性薄膜層を設けても良い。本発明に用いる金属メッ
シュとしては、可視光を60%以上透過すればいかなる
ものでも良いが、導電性繊維の織物や、金属箔をエッチ
ング処理して製作しても良い。さらに、本発明に用いる
明導電性薄膜も特に限定されるものでは無いが、例え
ば、インジウム酸化物、錫酸化物、インジウム錫酸化
物、などが挙げられる。なかでも、前記導電性酸化物と
銀の薄層との多層導電性薄膜が好ましい。
【0021】本発明の赤外線吸収フィルムは、他フィル
ムや透明基材と貼り合わせることを目的として該赤外線
吸収フィルムのどちらか片方または両面に粘着材層を設
けても良い。本発明に用いる粘着材層は特に限定される
ものでは無いが、好ましくはアクリル系粘着材が良い。
【0022】
【実施例】本発明を下記の実施例にて説明するが、本発
明はこれに限定されるものではない。また、本発明で使
用した特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通
りである。 (1)分光特性 自記分光光度計(日立U−3500型)を用い、波長1
500〜200nmの範囲で測定した。 (2)環境安定性 温度60℃、湿度95%の雰囲気下でサンプルを100
0時間放置した後、上記記載の分光特性を測定した。
【0023】実施例1 分散媒となるベースポリエステルを以下の要領で製作し
た。温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中に、 テレフタル酸ジメチル 136重量部、 イソフタル酸ジメチル 58重量部 エチレングリコール 96重量部、 トリシクロデカンジメタノール 137重量部 三酸化アンチモン 0.09重量部 を仕込み170〜220℃で180分間加熱してエステ
ル交換反応を行った。次いで、反応系の温度を245℃
まで昇温し、系の圧力1〜10mmHgとして180分
間反応を続けた結果、共重合ポリエステル樹脂(A1)
を得た。共重合ポリエステル樹脂(A1)の固有粘度は
0.4dl/g、ガラス転移温度は90℃であった。ま
たNMR分析による共重合組成比は、 酸成分に対して テレフタル酸 71mol% イソフタル酸 29mol% アルコール成分に対して エチレングリコール 28mol% トリシクロデカンジメタノール 72mol% であった。
【0024】次に、この樹脂を用いて表1に示すような
組成で、赤外線吸収色素と製作した樹脂、溶剤を、フラ
スコにいれ、加熱しながら攪拌し、色素及びバインダー
樹脂を溶解した。更に溶解した樹脂を高透明性ポリエス
テルフィルム基材(東洋紡績製 コスモシャインA41
00)に、ギャップが50μmのアプリケーターを用い
てコーティングし、乾燥温度90℃で1時間乾燥させ
た。この時コーティング厚さは10μmであった。得ら
れた赤外線吸収フィルターは、目視での色目がダークグ
レーであった。また、図1にその分光特性を示す。図1
に示すように、波長850nmから1100nmまでの
近赤外線領域での最大透過率は7.7%で、その最大値
と最小値との差は2.6%であった。また、波長450
nmから650nmまでの可視領域においても吸収がほ
ぼ平らで、波長450nmから650nmの間での透過
率の最大値と最小値の差は5.7%、最小透過率は6
4.3%であった。
【0025】得られたフィルターを温度60℃、湿度9
5%の雰囲気中に1000時間放置し、再度分光特性を
測定したところ図2のようになり、ほとんど変化は見ら
れず、波長850nmから1100nmまでの近赤外線
領域での最大透過率は9.5%で、最大値と最小値の差
は3.2%と近赤外吸収特性を維持していた。また、波
長450nmから650nmまでの可視領域での透過率
の最大値と最小値の差は6.1%、最小透過率は65.
0%であった。また、得られたフィルターを、プラズマ
ディスプレー等の前面に配置したところ、色目の変化は
なく、コントラストが向上しかつ、近赤外線の放射も低
減されていた。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2 透明導電性薄膜として、東洋紡績社製導電性フィルム
(AGHT−6)を用い、このフィルムの導電性膜の反
対面に、実施例1で調製したコート液を実施例1と同様
の方法でコーティングを行った。乾燥後のコーティング
層の厚みは10μmであった。得られた赤外線吸収フィ
ルターは、目視での色目がダークグレーであった。図3
にその分光特性を示す。図3に示すように、波長850
nmから1100nmまでの近赤外線領域での最大透過
率は4.5%で、その最大値と最小値との差は2.77
%であった。また、波長450nmから650nmまで
の可視領域における最小透過率は51.1%で、波長4
50nmから650nmの間での透過率の最大値と最小
値の差は9.38%であった。
【0028】実施例3 実施例2で得られた近赤外線吸収フィルターの導電膜面
に、リンテック社製粘着フィルム(SY)を介してガラ
ス板とラミネートした近赤外線吸収フィルターを得た。
得られたサンプルの透過率は実施例2とほぼ同等だっ
た。また、該サンプルを温度60℃、湿度95%の雰囲
気中に1000時間放置し、再度分光特性を測定したと
ころ図4のようになり、分光特性にはほとんど変化は見
られず、初期特性を維持していた。
【0029】比較例1 ベースポリマーとして東洋紡績製バイロンRV200
(比重1.26、ガラス転移温度67℃)を用いて表2
に示すような組成で、赤外線吸収色素、バインダー樹
脂、および溶剤をフラスコにいれ、加熱しながら攪拌
し、色素及びバインダー樹脂を溶解した。次に、溶解し
た樹脂を高透明性ポリエステルフィルム基材(東洋紡績
製 コスモシャインA4100)に、ギャップが100
μmのアプリケーターを用いてコーティングし、乾燥温
度90℃で1時間乾燥させた。乾燥後の塗布厚みは25
μmであった。得られた赤外線吸収フィルターは、目視
での色目が褐色であった。図5にその分光特性を示す。
図5に示されるように、波長800nm以上では急峻に
吸収があるフィルターが得られ、波長850nmから1
100nmの範囲の近赤外線領域での最大透過率は2
4.4%で、最大値と最小値の差は22.6%と非常に
大きかった。また、波長450nmから650nmまで
の可視領域において、560nmと610nmにピーク
を持つような山形の特性になり、波長450nmから6
50nmの間での透過率の最大値と最小値の差は11.
5%、最小透過率は71.4%であった。
【0030】得られたフィルターを温度60℃、湿度9
5%の雰囲気中に1000時間放置し、再度分光特性を
測定した。図6にその分光特性を示す。図6に示される
ように、波長850nmから1100nmの範囲での最
大透過率は32.8%に増加し、最大値と最小値の差も
24.2%と増加した。また、波長450nmから65
0nmの間での透過率の最大値と最小値の差が、処理前
には11.5%であったものが処理後には28.6%に
増加し、最小透過率は54%に低下した。目視での色目
は、緑色に変化していた。また、得られたフィルターを
プラズマディスプレー等の前面に配置したところ、色バ
ランスが崩れ、緑がかった色調となった。
【0031】
【表2】
【0032】比較例2 ベースポリマーとして東洋紡績製バイロンRV200
(比重1.26、ガラス転移温度67℃)を用いて表3
に示すような組成で、赤外線吸収色素、バインダー樹
脂、及び溶剤をフラスコにいれ、加熱しながら攪拌し、
色素及びバインダー樹脂を溶解した。次に、溶解した樹
脂を高透明性ポリエステルフィルム基材(東洋紡績製
コスモシャインA4100)に、ギャップが100μm
のアプリケーターを用いてコーティングし、乾燥温度9
0℃で1時間乾燥させた。乾燥後の塗布層の厚みは25
μmであった。得られた赤外線吸収フィルターは、目視
での色目がダークグレーであった。その分光特性を図7
に示す。波長850nmから1100nmでは最大透過
率が20.9%であり、透過率の最大値と最小値の差が
17.8%であった。また、波長450nmから650
nmまでの可視領域においては吸収がほぼ一定であり、
波長450nmから650nmの間での透過率の最大値
と最小値の差は4.8%、最小透過率は69.4%であ
った。
【0033】得られたフィルターを温度60℃、湿度9
5%の雰囲気中に1000時間放置し、再度分光特性を
測定したところ図8のようになり、波長850nmから
1100nmの範囲での最大透過率は47.2%に増加
した。また、波長450nmから650nmの間での透
過率の最大値と最小値の差は4.8%であったものが2
7.4%に増加し、最小透過率は44.0%に低減し
た。さらに、目視での色目が緑色に変化していた。ま
た、得られたフィルターを、プラズマディスプレー等の
前面に配置したところ、緑色に着色して見えた。
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】近赤外領域に広く吸収があり、可視領域
の透過率が高く、かつ可視領域に特定波長の大きな吸収
がなく、更に加工性及び生産性が良好な赤外線吸収フィ
ルターであるため、プラズマディスプレー等に用いた場
合、ディスプレーから放射される不要な赤外線を吸収で
きるため赤外線を使ったリモコンの誤動作を防げる。ま
た、色調がグレーなため、ビデオカメラ、ディスプレー
などに使用しても色ずれが少ない。さらに、環境安定性
に優れているため、高温・高湿の環境下でも前記特性を
維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た赤外線吸収フィルターの分光特
性を示した説明図である。
【図2】実施例1で得た赤外線吸収フィルターを温度6
0℃、湿度95%の雰囲気下で1000時間放置した後
の分光特性を示した説明図である。
【図3】実施例2で得た赤外線吸収フィルターの分光特
性を示した説明図である。
【図4】実施例3で得た赤外線吸収フィルターを温度6
0℃、湿度95%の雰囲気下で1000時間放置した後
の分光特性を示した説明図である。
【図5】比較例1で得た赤外線吸収フィルターの分光特
性を示した説明図である。
【図6】比較例1で得た赤外線吸収フィルターを温度6
0℃、湿度95%の雰囲気下で1000時間放置した後
の分光特性を示した説明図である。
【図7】比較例2で得た赤外線吸収フィルターの分光特
性を示した説明図である。
【図8】比較例2で得た赤外線吸収フィルターを温度6
0℃、湿度95%の雰囲気下で1000時間放置した後
の分光特性を示した説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 CA04 CA09 CA12 CA19 CA21 CA25 CA26 CA29 2K009 BB24 CC03 CC14 CC21 EE03 4J002 BB001 BG001 CF001 CG001 CK021 CL001 FD010 FD096 GF00 GH01 GP00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長850nmから1100nmの近赤
    外線領域における透過率の最大値と最小値の差が10%
    以下でかつ、該範囲の透過率が30%以下であり、波長
    450nmから650nmの可視領域での透過率が50
    %以上であることを特徴とする赤外線吸収フィルター。
  2. 【請求項2】 波長450nmから650nmの可視領
    域での透過率の最大値と最小値の差が10%以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の赤外線吸収フィルタ
    ー。
  3. 【請求項3】 前記赤外線吸収フィルターを温度60
    ℃、湿度95%の空気雰囲気中に1000時間放置した
    後の、波長850nmから1100nmの近赤外線領域
    における透過率の最大値と最小値の差が10%以下で、
    かつ、前記波長範囲の透過率が30%以下であることを
    特徴とする請求項1または2記載の赤外線吸収フィルタ
    ー。
  4. 【請求項4】 赤外線吸収色素または染顔料を分散した
    ポリマーを透明基材上に塗布することを特徴とする請求
    項1乃至3記載の赤外線吸収フィルター。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のポリマーがポリエステル
    樹脂であることを特徴とする赤外線吸収フィルター。
  6. 【請求項6】 前記透明基材がポリエステルフィルムで
    あることを特徴とする請求項4または5記載の赤外線吸
    収フィルター。
  7. 【請求項7】 前記色素を分散する分散媒として用いる
    ポリマーのガラス転移温度が、本発明のフィルターを使
    用する想定保証温度以上であることを特徴とする請求項
    4乃至6記載の赤外線吸収フィルター。
  8. 【請求項8】 赤外線吸収層の上部、または下部、及び
    反対面に電磁波吸収層として、可視光透過率が60%以
    上の金属メッシュ、または透明導電性薄膜層を設けてい
    ることを特徴とする請求項1乃至7記載の赤外線吸収フ
    ィルター。
  9. 【請求項9】 前記赤外線吸収フィルターの少なくとも
    片面に粘着材層を設けてなることを特徴とする請求項1
    乃至8記載の赤外線吸収フィルター。
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