JP3298505B2 - 赤外線吸収フィルタ - Google Patents
赤外線吸収フィルタInfo
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Description
するもので、特に可視光線領域の光線透過率が高く、赤
外線領域の光線を大幅に遮断する光学フィルタに関する
ものである。
ラ視感度補正用フィルタ等には、次に示すような構成の
フィルタが広く使われてきた。燐酸系ガラスに、銅や
鉄などの金属イオンを含有したフィルタ(特開昭60−
235740号公報、特開昭62−153144号公報
など)。透明基板上に屈折率の異なる層を積層し、透
過光を干渉させることで特定の波長の光を透過させる干
渉フィルタ(特開昭55−21091号公報、特開昭5
9−184745号公報など)。共重合体に銅イオン
を含有するアクリル系樹脂フィルタ(特開平6−324
213号公報)。分散媒としてのバインダー樹脂に色
素を分散した構成のフィルタ(特開昭57−21458
号公報、特開昭57−198413号公報、特開昭60
−43605号公報など)。
てきた赤外線吸収フィルタには、それぞれ以下に示すよ
うな問題点がある。
領域に急峻に吸収が有り、赤外線遮断性は非常に良好で
あるが可視領域の赤色の一部も大きく吸収してしまい、
透過色は青色に見える。ディスプレー用フィルタの用途
では色バランスが重視され、このような場合、ディスプ
レー用のフィルタに使用するのは不適当である。また、
ガラスであるために加工性にも問題がある。
の光学特性は自由に設計でき、ほぼ設計と同等のフィル
タを製造することが可能であるが、その為には、屈折率
差を有する層の積層枚数が非常に多くなり、製造工程が
複雑になるばかりでなくコストが高くなる欠点がある。
また、大面積のフィルタを必要とする場合も全面にわた
って高い精度で均一な膜厚であることが要求され、製造
が困難である。
で問題であった加工性は改善される。しかし、の方式
のフィルタと同様に、近赤外線領域に急峻な吸収特性が
有るが、やはり、赤色部分にも吸収が有り、フィルタが
青く見えてしまう問題点は変わらない。
収色素として、フタロシアニン系、ニッケル錯体系、ア
ゾ化合物、ポリメチン系、ジフェニルメタン系、トリフ
ェニルメタン系、キノン系、など多くの色素が用いられ
ている。しかし、それぞれ単独では、赤外線領域吸収が
不十分であったり、可視光線領域で特定の波長の吸収が
あるなどの問題点を有している。さらに、これらのフィ
ルタの中には高温下や高湿下に長時間放置すると、赤外
線吸収色素の分解や、酸化が起こり可視光線領域での吸
収が発生したり、赤外線領域での吸収が無くなってしま
うなどの問題が発生するものがある。
の有する問題点を解決し、赤外線領域、特に近赤外線領
域に急峻な吸収があり、可視光線領域の光線透過率が高
く、且つ、可視光線領域に持定波長の大きな吸収を持つ
ことがなく、更に、フィルタの生産性、フィルタを種々
の用途に用いるための加工性が良好で、しかも、熱的に
安定な赤外線吸収フィルタ、特に近赤外線吸収フィルタ
を提供することを目的とする。
め、本発明の赤外線吸収フィルタは、トリシクロデカン
ジメタノールをジオール成分として含み、ガラス転移温
度が赤外線吸収フィルタを利用する機器の使用保証温度
以上90℃以下である共重合ポリエステルに、ジイモニ
ウム化合物と含フッ素フタロシアニン系化合物又はニッ
ケル錯体系化合物の少なくとも1種以上との赤外線吸収
色素を分散させたポリマー組成物からなることを特徴と
する。
外線吸収フィルタを組込んだ機器の使用者に保証する最
高使用温度であって、当該温度を超える温度で使用する
ことは想定しない温度のことである。
は、トリシクロデカンジメタノールをジオール成分とし
て含み、ガラス転移温度が赤外線吸収フィルタを利用す
る機器の使用保証温度以上90℃以下である共重合ポリ
エステルに、ジイモニウム化合物とフッ素フタロシアニ
ン系化合物又はニッケル錯体の少なくとも1種以上との
赤外線吸収色素が混合されていることにより、赤外線領
域、特に近赤外線領域に急峻な吸収があり可視光線領域
の光線透過率が高く、且つ、可視光線領域に特定波長の
大きな吸収を持つことがなくて分光曲線がフラットであ
り、フィルタが特定の色に着色しているようなことがな
い。更に、フィルタの生産性、フィルタを種々の用途に
用いるための加工性が良好で、しかも、熱的に安定であ
る。
比が、ジイモニウム化合物1重量部あたり含フッ素フタ
ロシアニン系化合物の場合0.5重量部以下、好ましく
は0.5〜0.01重量部、ニッケル錯体系化合物の場
合1重量部以下、好ましくは1〜0重量部であることが
できる。
2〜0.8の範囲の共重合ポリエステルを用いることが
できる。
を分散したポリマー組成物を透明基材に積層してなるこ
とができる。
が、ポリエステルフィルムであることができる。
タの詳細を説明する。
合量は、特に限定するものではないが赤外線吸収フィル
タを構成するポリマー100重量部当たり通常0.00
01〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部であ
る。
としては、商品化されている例として日本化薬社製Kaya
sorbIRG−022、同IRG−023などが挙げられ
るが、特にKayasorbIRG−022が実用上好ましい特
性を示す。
ロシアニン系化合物としては、商品化されている例とし
て日本触媒社製ExcolorIR1、同IR2、同IR3、
同IR4などが挙げられるが、特にExcolorIR1が実
用上好ましい特性を示す。
体系化合物としては、商品化されている例として三井化
学社製SIR−128、SIR−130、SIR−13
2、SIR−159などが挙げられるが、特にSIR−
159が実用上好ましい特性を示す。
一例を示したものであり、これらに限定される物ではな
い。
赤外線吸収色素を分散させてフィルタを形成するが、赤
外線吸収色素を含有するポリマー組成物をシート状に成
形したフィルタであっても、別の透明基材上にコーティ
ングまたはラミネート法などで積層したものであって
も、さらに他の構造物に積層したものであってもよい。
ィルタを利用する機器の使用保証温度以上90℃以下で
あればよいが、更に好ましくは使用保証温度+5〜40
℃の範囲であって90℃以下の温度である。ポリマーの
ガラス転移温度が左記使用保証温度より低い場合は、赤
外線吸収色素の分解の原因となったり、赤外線吸収色素
の酸化の原因となりフィルタが可視光線領域で吸収が発
生したり、赤外線領域での吸収がなくなってしまうなど
の問題が発生する。
ジカルボン酸成分とジオール成分とからなる飽和ポリエ
ステル樹脂、より具体的には、融点が約150℃〜26
0℃程度のトリシクロデカンジメタノールをジオール成
分として含むポリエステル樹脂を挙げることができる。
上記ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、コハク
酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、ダイマー
酸、インダンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ス
ルホイソフタル酸金属塩等が挙げられる。また、ジオー
ル成分としては、エチレングリコール、トリシクロデカ
ンジメタノールのほか、プロパンジオール、ブタンジオ
ール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘ
キサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフ
ェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノー
ルSのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
特に好ましいポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分と
してテレフタル酸を主成分とし、ジオール成分としてエ
チレングリコール及びトリシクロデカンジメタノールを
主成分とする共重合ポリエステルであり、共重合成分の
種類、割合は、その種類にもよるが結果としてポリエス
テル樹脂のガラス転移温度が、本発明のフィルタを利用
する機器の使用保証温度以上90℃以下であればよい。
ステル樹脂は、その製造方法によって限定されることは
ない。例えば、エステル交換法や直接重合法で、溶融下
に縮重合することにより得ることができる。
樹脂は、固有粘度は特に限定しないが、例えば0.2〜
0.8、より好ましくは0.3〜0.5の範囲である。
固有粘度が0.2未満であると、本発明の赤外線フィル
タを曲げた場合、割れ、ひび等が発生し、加工性に問題
が発生する。固有粘度が0.8を越えると、樹脂を溶剤
に溶解した場合、その溶液の粘度が高くなり透明基材等
にコーティングする場合に困難となる。
材としては、特に限定される物ではないが、ポリエステ
ル系、アクリル系、セルロース系、ポリエチレン系、ポ
リプロピレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル
系、ポリカーボネート系、フェノール系、ウレタン系な
どの重合体からなるフィルム、シート又は薄板(単にフ
ィルムという)が挙げられるが、更に好ましくは、分散
安定性、環境負荷などの観点から、ポリエステル系重合
体からなるフィルムを選ぶことができる。
光性を向上させる目的で、紫外線吸収剤を含有するもの
が好ましく、また、赤外線吸収フィルタの特性を害さな
い範囲で、必要に応じさらに他の添加剤、例えば滑剤、
ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止
剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤等の公知の添加剤を含有し
ていてもよい。
必要に応じて更に他の色素を混合しても良い。
例によって説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しな
い限り以下の実施例に限定されるものではない。
の要領で製造した。温度計、撹拌機を備えたオートクレ
ーブ中に、 テレフタル酸ジメチル 136重量部 イソフタル酸ジメチル 58重量部 エチレングリコール 96重量部 トリシクロデカンジメタノール 137重量部 三酸化アンチモン 0.09重量部 を仕込み170〜220℃で180分間加熱してエステ
ル交換反応を行った。次いで反応系の温度を245℃ま
で昇温し、系の圧力を1〜10mmHgとして180分
間反応を続けた結果、共重合ポリエステル(A1)を得
た。共重合ポリエステル(A1)の固有粘度は0.4、
ガラス転移温度は90℃であった。またNMR分析によ
る共重合組成比は、 ・酸成分として テレフタル酸 71モル% イソフタル酸 29モル% ・アルコール成分として エチレングリコール 28モル% トリシクロデカンジメタノール 72モル% であった。
成で、赤外線吸収色素と製造した樹脂、溶剤を、フラス
コにいれ、加熱しながら撹拌し、赤外線吸収色素及び上
記ポリエステル樹脂を溶解した。
材(2軸延伸ポリエステルフィルム:東洋紡績社製コス
モシャインA4100)に、ギャップが100μmのア
プリケーターを用いてコーティングし、乾燥温度約90
℃で1時間乾燥させた。このとき、コーティング厚さは
約25μmであった。得られた赤外線吸収フィルタは、
目視での色目はダークグレーであった。また、図1
(a)にその分光特性を示す。図1(a)に示すよう
に、波長400〜650nmまでの可視領域においては
吸収が平らで、波長700nm以上では急峻に吸収があ
る赤外線吸収フィルタが得られた。
囲気中に500時間放置し、再度分光特性を測定したと
ころ図1(b)のようになり、若干の色変化は見られる
が、近赤外線吸収特性を維持していた。
合ポリエステル(東洋紡績社製バイロンRV200(比
重1.26、ガラス転移温度67℃))を用いて表2に
示すような組成で、赤外線吸収色素と、ポリエステル樹
脂、溶剤をフラスコにいれ、加熱しながら撹拌し、溶解
した。
(2軸延伸ポリエステルフィルム:東洋紡績社製コスモ
シャインA4100)に、ギャップが100μmのアプ
リケーターを用いてコーティングし、乾燥温度約90℃
で1時間乾燥させた。このとき、コーティング厚さは約
25μmであった。得られた赤外線吸収フィルタは、目
視での色目はダークグレーであった。また、図2(a)
にその分光特性を示す。図2(a)に示すように、波長
400〜650nmまでの可視領域においては吸収が平
らで、波長700nm以上では急峻に吸収がある赤外線
吸収フィルタが得られた。
囲気中に500時間放置し、再度分光特性を測定したと
ころ図2(b)のようになり、見た目が緑色に変化し、
近赤外線吸収特性は極めて悪くなってしまっていた。
近赤外線領域に急峻な吸収があり可視光線領域の光線透
過率が高く、且つ、可視光線領域に特定波長の大きな吸
収を持つことがなくて分光曲線がフラットであり、フィ
ルタが特定の色に着色しているようなことがない。更
に、フィルタの生産性、フィルタを種々の用途に用いる
ための加工性が良好で、しかも、熱的に安定である。
タの分光曲線である。(b)は熱処理後の本発明の赤外
線吸収フィルタの分光曲線である。
タの分光曲線である。(b)は熱処理後の比較例の赤外
線吸収フィルタの分光曲線である。
Claims (5)
- 【請求項1】 トリシクロデカンジメタノールをジオー
ル成分として含み、ガラス転移温度が赤外線吸収フィル
タを利用する機器の使用保証温度以上90℃以下である
共重合ポリエステルに、ジイモニウム化合物と含フッ素
フタロシアニン系化合物又はニッケル錯体系化合物の少
なくとも1種以上との赤外線吸収色素を分散させたポリ
マー組成物からなることを特徴とする赤外線吸収フィル
タ。 - 【請求項2】 赤外線吸収色素の配合比が、ジイモニウ
ム化合物1重量部あたり含フッ素フタロシアニン系化合
物の場合0.5重量部以下、ニッケル錯体系化合物の場
合1重量部以下であることを特徴とする請求項1記載の
赤外線吸収フィルタ。 - 【請求項3】 共重合ポリエステルの固有粘度が0.2
〜0.8の範囲であることを特徴とする請求項1又は2
記載の赤外線吸収フィルタ。 - 【請求項4】 赤外線吸収色素を分散したポリマー組成
物を透明基材に積層してなることを特徴とする請求項
1、2又は3記載の赤外線吸収フィルタ。 - 【請求項5】 透明基材が、ポリエステルフィルムであ
ることを特徴とする請求項4記載の赤外線吸収フィル
タ。
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