JP2001133554A - 放射線検出器及び放射線診断装置 - Google Patents
放射線検出器及び放射線診断装置Info
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Abstract
部位の表示を明確に行うにあたってエネルギサブトラク
ション法により差分像を取得するにつき、当該被検体へ
の被曝量を増加させず、かつ該差分像をX線情報の収集
と同時に表示することが可能な放射線診断装置及び放射
線検出器を提供する。 【解決手段】 本発明に係るX線診断装置は、被検体を
透過したX線の強度を検出しこれを電荷情報に変換する
第一検出器1と、該第一検出器1を透過したX線の一部
を吸収するX線吸収フィルタ2と、該フィルタ2を透過
したX線の強度を検出しこれを電荷情報に変換する第二
検出器3とが三層に積層された構成となるX線検出器を
備えている。また、本装置は、前記第一検出器1及び前
記第二検出器3から各々出力される前記電荷情報に基づ
き再構成される第一画像及び第二画像の差分処理を行う
画像処理装置7を備える。
Description
し、特に、その構成要素であるところの放射線検出器に
関するものである。
射線(ないし光)を電荷情報に変換するための画素電極
を所定位置に配置・配列した放射線検出部と、前記電荷
情報を読み出す読み出し部とを有し、この読み出した電
荷情報に基づき濃淡強度分布を有する画像を再構成する
ものである。より具体的には、例えば、液晶ディスプレ
イ(LCD)アレイと同様、単一のガラス基板上に画素
電極が二次元マトリックス状に配置されて構成され、該
画素電極に付設されるコンデンサに蓄えられた電荷情報
を薄膜トランジスタ(TFT)を介して読み出すこと等
により、画像を再構成するようになっている。なお、放
射線としてX線が対応し、かつ画素電極が上記のように
二次元マトリックス状となるものは、特に、平面型X線
検出器あるいはX線平面検出器と呼称されている。
おいて検出されるX線情報、換言すれば被検体を透過し
てくるX線に基づき得られる情報については、一般的に
次のようなX線の性質を考慮にいれておく必要がある。
すなわち、被検体に入射したX線は、該被検体内におけ
る軟部組織については透過しやすく、骨のような硬い組
織については透過しにくいことが知られている。また、
X線の線質によっても透過量は異なり、低エネルギレベ
ルのX線(軟X線)は被検体を透過しにくく、高エネル
ギレベルのX線(硬X線)は透過しやすい。
(Interventional Radiology)の手法が普及しつつあ
り、被検体に挿入されたカテーテルやガイドワイヤをX
線によって描写することが重要になってきている。しか
しながら、カテーテルは樹脂で成形されており、X線の
吸収が少ないため、一般にそれを描出することが困難で
ある。さらにまた、ガイドワイヤは、年々細くなってい
く傾向にあり、カテーテル同様やはり描出しにくい。こ
のようなカテーテルやガイドワイヤの描出は、従来にお
いて、見えにくい部分を補うような所定の画像処理によ
って画像を強調する手法によっていたが、今般では処理
内容の増加が著しく、表示までに時間がかかるという点
が指摘されている。
を利用することにより、被検体内の目的部位を特に明確
に表示する手段として、従来、一般に「エネルギ差分
法」ないしは「エネルギ・サブトラクション(energy-s
ubtraction)法」と呼ばれる手法が提案されている。こ
こに「被検体内の目的部位」の表示とは、例えば上述し
た被検体内におけるカテーテル等の表示が具体的に想定
される。
なるエネルギスペクトルを有するX線、つまり例えば高
エネルギと低エネルギとの二種のエネルギレベルを有す
るX線を同一被検体に曝射して、これらに関する各々の
断層像を取得し、当該二枚の断層像につき差分をとる方
法である。このことにより、いわゆるビームハードニン
グ効果を軽減することが可能となったり、また、上述し
た課題、すなわち被検体内における目的部位の明確な表
示に寄与することとなる。
具体的に、次の二つの方法が提案されている。1つは、
例えば特開昭54−25189号公報に示されているよ
うに、X線管球(X線発生源)の管電圧を変えることに
より、高エネルギレベルと低エネルギレベルが多く発生
するX線を各々被検体に対して曝射してそれぞれに関す
る画像を収集し、当該二枚の画像を差分する方法であ
る。2つは、X線感度について高エネルギレベルと低エ
ネルギレベルのそれぞれに高感度特性を有する検出器ま
たはフィルムを用意して、1度のX線曝射で感度の異な
る画像を二枚収集し、これらを差分する方法が知られて
いる。
つのエネルギ差分法においては、次のような問題点があ
った。すなわち、X線管球の管電圧を変更する前者の方
法では、二枚の画像を取得する際、特別な装置を設ける
必要がないかわりに、1枚の差分像を得るにつき、被検
体に対するX線曝射を、短時間に2度実施する必要があ
る。したがって、この方法では、被検体に対する被曝量
が増加することになる点、あまり好ましい方法とはいえ
ない。また、X線を2回続けて曝射する間の時間的なず
れが不可避なため、その間に被検体内臓器等が動くこと
により発生するアーチファクト、いわゆる「モーション
アーチファクト(体動によるアーチファクト)」を防止
することが困難である。
後者の方法では、上述したような問題は発生しないが、
従来、この方法は、上述したような異なる感度を備える
X線フィルムやIP(イメージングプレート)を単に用
意するのみで実現されており、これでは取得すべき差分
像を、X線情報収集と同時に表示できない問題点があっ
た。つまり、リアルタイムな差分像取得が不可能であっ
た。
であり、その目的とするところは、被検体内におけるカ
テーテル等その他の目的部位の表示を明確に行うにあた
ってエネルギサブトラクション法により差分像を取得す
るにつき、当該被検体への被曝量を増加させず、かつ該
差分像を放射線情報の収集と同時に表示することが可能
な放射線診断装置及び放射線検出器を提供することにあ
る。
するために以下の手段をとった。
は、被検体を透過した放射線の強度を検出する第一の放
射線検出部からなる層と、該第一の放射線検出部を透過
した放射線の一部を吸収する放射線吸収部からなる層
と、該放射線吸収部を透過した放射線の強度を検出する
第二の放射線検出部からなる層とが積層された構成とな
ることを特徴とするものである。
記載の同検出器において、前記第一の放射線検出部及び
前記第二の放射線検出部は、入射した放射線を電荷に変
換する変換素子と該変換素子により変換した電荷を蓄積
する蓄積素子が設けられた画素電極を有し、複数の該画
素電極が二次元マトリックス状に配列された構造を有す
ることを特徴とする。
又は2に記載の同検出器において、前記放射線吸収部か
らなる層が、前記第一の放射線検出部からなる層と前記
第二の放射線検出部からなる層との間に着脱可能に構成
されていることを特徴とする。
から3のいずれかに記載の同検出器において、前記放射
線吸収部からなる層が、その中央部に凹部を設けてなる
平面板形状とされていることを特徴とする。
から4のいずれかに記載の同検出器において、前記放射
線検出部からなる層が、異なる放射線吸収率を有する複
数の材質により構成されていることを特徴とする。
から4のいずれかに記載の同検出器において、前記放射
線吸収部が、アルミニウムにより構成されていることを
特徴とする。
放射線発生源から発生した放射線を被検体を介して放射
線検出器に照射し、該放射線検出器の出力に基づき前記
被検体の断層像を画像処理手段により再構成し、前記断
層像を表示手段により表示する放射線診断装置におい
て、前記放射線検出器は、被検体を透過した放射線の強
度を検出しこれを電荷情報に変換する第一の放射線検出
部からなる層と、該第一の放射線検出部を透過した放射
線の一部を吸収する放射線吸収部からなる層と、該放射
線吸収部を透過した放射線の強度を検出しこれを電荷情
報に変換する第二の放射線検出部からなる層とが積層さ
れた構成とされ、前記画像処理手段は、前記第一の放射
線検出部及び前記第二の放射線検出部から各々出力され
る前記電荷情報に基づき第一画像及び第二画像を再構成
するとともに、該第一画像及び該第二画像の差分処理を
行い、前記表示手段は、前記差分処理された画像を表示
することを特徴とするものである。
7記載の同装置において、前記第一の放射線検出部及び
前記第二の放射線検出部が、入射した放射線を電荷に変
換する変換素子と該変換素子により変換した電荷を蓄積
する蓄積素子が設けられた画素電極を有し、複数の該画
素電極が二次元マトリックス状に配列された構造を有す
ることを特徴とする。
7又は8に記載の同装置において、前記放射線吸収部か
らなる層が、前記第一の放射線検出部からなる層と前記
第二の放射線検出部からなる層との間に着脱可能に構成
されていることを特徴とする。
項7から9のいずれかに記載の同装置において、前記放
射線吸収部からなる層が、その中央部に凹部を設けてな
る平面板形状とされていることを特徴とする。
項7から10のいずれかに記載の同装置において、前記
放射線検出部からなる層が、異なる放射線吸収率を有す
る複数の材質により構成されていることを特徴とする。
項7から11のいずれかに記載の同装置において、前記
画像処理手段が、前記差分処理を行う前に、ある一の軌
跡を辿る放射線に関して、前記第一の放射線検出部から
なる層及び前記第二の放射線検出部からなる層の各々に
おける当該放射線を感受する位置の相違に起因するずれ
を補正するキャリブレーション処理を実施することを特
徴とする。
項7から12のいずれかに記載の同装置において、前記
画像処理手段が、前記第一画像、前記第二画像、及び前
記差分処理された画像、並びにこれらのうちの複数の画
像を組み合わせた画像、を適宜選択して前記表示手段に
送出することを特徴とする。
項13記載の同装置において、前記複数の画像を組み合
わせた画像においては、該複数の画像の一々につき表示
色が異なるものとされることを特徴とする。
ついて図を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に
係るX線診断装置(放射線診断装置)ないしX線検出器
(放射線検出器)の構成例を示す概要図である。この図
において、X線検出器は、X線平面検出器1及び3並び
にX線吸収フィルタ(放射線吸収部)2が層状に構成さ
れたものとなっている。この層状構造は、最も表層とな
る第一層としてX線平面検出器(第一の放射線検出部、
以下、第一検出器という)1が、その直下に第二層とし
てX線吸収フィルタ2が、さらに直下に第三層としてX
線平面検出器(第二の放射線検出部、以下、第二検出器
という)3が、それぞれ備えられている。換言すれば、
第一検出器1と第二検出器3との間に、X線吸収フィル
タ2が備えられた構成となっているということがいえ
る。
向するように、X線管球(X線発生源)4が備えられて
いる。該X線管球4は、X線発生装置5と接続されてい
る。X線管球4より発生したX線6は、直截には上記第
一検出器1に対して照射される。なお、第一検出器1及
び第二検出器3の検出面は、前記X線管球4に対向する
ようになっている。また、常態においては、前記X線管
球4と第一検出器1との間に被検体が介される。
には、第一検出器1及び第二検出器3に接続された画像
処理装置(画像処理手段)7が設けられている。該画像
処理装置7は、上記各検出器1及び3から出力された画
像データを処理するものである。また、画像処理装置7
で処理された画像データは、表示装置(表示手段)8上
で表示されるようになっている。
る。
示すように、二次元マトリックス状に配置・配列された
複数の画素電極10により構成されている。これら画素
電極10は、その各行方向において、各画素電極10
毎、薄膜トランジスタ11を介してゲート走査線12に
接続され、その各列方向において信号線13に接続され
ている。また、各ゲート走査線12はゲート走査線駆動
部14に接続され、各信号線13はマルチプレクサ15
に接続されている。ゲート走査線駆動部14は、マトリ
ックス各行毎のゲート走査線12の駆動態様(シーケン
ス)を決定し、マルチプレクサ15はマトリックス各列
の信号線13を通じてまとめて送られてくる電荷情報
を、適宜選択し以降の回路に送出するものである。な
お、マルチプレクサ15の直前、かつ信号線13上に
は、画素電極10から送られてくる信号を増幅するため
の増幅器16が通常設けられる。また、マルチクプレク
サ15以降には、上記画像処理装置7が接続される。
ると、これは、検出された入射X線強度に応じ、変換素
子において発生した電荷(=画素電荷)を収集するもの
である。また、この収集した画素電荷を蓄積するための
蓄積コンデンサ(蓄積素子)が、画素電極10に付随し
て設けられている。
への変換方式としては、前記光電変換膜として高電界下
のフォトコンダクタとして機能する「アモルファスセレ
ニウム(Se)層」を用いる直接変換方式と、入射した
X線を一旦光に変換するヨウ化セシウム(CsI)結晶
により構成された「シンチレーション層」を用いる間接
変換方式とが存在する。
構成がとられ、電源100により電圧印加電極101に
高電圧が印加された状態で、前記アモルファスセレニウ
ム層102にX線が入射すると、入射したX線が電荷の
生成に寄与し、電荷蓄積用電極103を通して各画素に
設けられているコンデンサ104に電荷が蓄積される。
したがって、図3に示す構成においては、X線−電荷と
いう直接的な変換機能を有することになる。一方、後者
については、例えば図4に示すような構成がとられ、前
記シンチレーション層105に入射したX線が一旦光に
変換された後、変換された光の強度が、電源(不図示)
により電圧が印加されているフォトダイオード106に
よって、電荷に変換される。さらに、この変換された電
荷は電荷蓄積用電極107を通して各画素に設けられて
いるコンデンサ108に蓄積される。したがって、図4
に示す構成においては、X線−光−電荷という間接的な
変換機能を有することになる。なお、図3及び図4にお
ける符号11は、上記した薄膜トランジスタである。
7とはつまり前記画素電極10に、上記コンデンサ10
4、108とはつまり前記蓄積コンデンサに、そして、
図3におけるアモルファスセレニウム層102と図4に
おけるシンチレーション層105及びフォトダイオード
106とはつまり変換素子に、各々対応する関係にあ
る。
のいずれの方式であっても適用可能であることに変わり
はない。また、このとき、上記した具体的な物質(セレ
ニウム、ヨウ化セシウム)はあくまでも例示であるにす
ぎず、本発明はこれによって特に限定されるものではな
い。
1を透過してきたX線について、その一部を吸収するフ
ィルタである。その材質としては、例えばアルミニウム
や銅、あるいはタンタルを使用するとよい。したがっ
て、第二検出器3においては、当該X線吸収フィルタ2
において吸収されず該フィルタ2を透過したX線のみが
到達し、これが検出されることになる。
(a)〜(c)に示すように、様々な形態を適用するこ
とが本発明において可能である。図5(a)は、適用し
得る最も単純なもので、全面において同一の厚さとなる
平面板形状の形態となるものを示している。図5(b)
は、図5(a)に示す板形状の中央部に凹部2aを設け
た形態となるものを示している。また、図5(c)は、
図5(a)に示す板形状の半面のみの板厚を大きくした
段差部2bを有する形態となるものを示している。これ
らは、被検体の撮影箇所や第一検出器1を透過するX線
の性質、あるいはX線吸収フィルタ2の材質や、さらに
は診療者(装置使用者)の要求乃至好み等を勘案し、こ
れに応じてX線の吸収度合いを位置的に変化させること
を可能とするものである。
のような目的に応じて決定されるものであるから、本質
的に、図5(a)〜(c)に示した以外の形態について
も様々なバリエーションを想定することができる。本発
明は、どのような形態となるX線吸収フィルタ2であっ
ても、その範囲内に収めるものである。
した材質(アルミニウム、銅、タンタル)についても同
様である。すなわち、アルミニウム、銅、タンタル以外
の材質となるX線吸収フィルタ2を使用することは当然
に可能であるし、さらにいえば、X線吸収フィルタ2
を、異なるX線吸収率を有する複数の材質を使用しつつ
も、これを一枚に構成するような形態のものとしてよ
い。
第一検出器1及び第二検出器3間の空隙に対して、着脱
可能な構成となっている。したがって、上記した様々な
形態ないし材質となるX線吸収フィルタ2を予め幾種か
用意しておけば、状況に応じて、それらを適宜変更する
ことが可能である。このことにより、第二検出器3へ入
射するX線量及びX線のエネルギレベルを変化させるこ
とができる。
いしはX線検出器の作用効果について説明する。なお、
ここでは特に、上記画像処理装置7に関する作用に着目
した説明を詳細に行う。
X線管球4と、X線検出器、より厳密に言えば第一検出
器1との間に、被検体を介した上で、X線を当該被検体
に曝射することになる。いまの場合においては、IVR
手法を実施することを念頭に置くことで、当該被検体に
対してはカテーテルが挿入され、X線撮影の実施と並行
して医師の処置が行われるような場合を想定することと
する。
検出器1における画素電極10において電荷情報として
一時蓄えられ、その後に画像処理装置7へと送られる。
ここにおいては、変換素子によるX線情報の電荷情報へ
の変換、当該電荷情報の(画素電極10を介した)蓄積
コンデンサにおける蓄積、及び当該電荷情報の薄膜トラ
ンジスタ11及びゲート走査線12並びに信号線13に
よる読み出し等、図2並びに図3及び図4を参照して説
明した作用が実現される。
X線を除き、第一検出器1を透過したX線は、X線吸収
フィルタ2によってその一部が吸収されることになる。
いま例えば、X線吸収フィルタ2として、図5(b)に
示す平面中央に凹部2aが形成された形態のものを使用
する場合を想定すると、当該凹部2aにおいてはより多
くのX線が透過し、その周辺部においてはより少ないX
線が透過することになる。
X線は、最終的に第二検出器3によって検出される。な
お、この第二検出器3において検出されるX線は、上記
X線吸収フィルタ2の作用により、通常、高エネルギレ
ベルのX線のみとなる。したがって、被検体中に挿入さ
れている前記カテーテル等がX線をほとんど吸収しない
ことを鑑みるに、第二検出器3に到達するX線は、当該
カテーテル等に関する情報をのせたものであると考える
ことができる。なお、第二検出器3においては、上記し
た第一検出器1におけるX線情報から電荷情報への変換
及びこの読み出しに係る作用と、全く同様な作用が実現
され、読み出された電荷情報は後段の画像処理装置7へ
と送られることになる。
び第二検出器3から送られてきた電荷情報、すなわち出
力画像データに関し、基本的には、これら各々について
の差分処理を行って、差分画像を取得するのであるが、
この他、本実施形態においては、以下のような処理を行
うことになる。
の軌跡を辿るX線に関して、第一検出器1及び第二検出
器3の各々における当該X線を感受する位置(画素位
置)の相違に起因する「ずれ」を補正するため、キャリ
ブレーション処理を行う。ここに「ずれ」とは、具体的
には図6中符号aに示すようなものである。すなわち、
被検体中同一軌跡を辿るX線は、X線吸収フィルタ2を
装着するために設けられている第一検出器1と第二検出
器3との間隔D(図6参照)に応じて、これら検出器の
周辺ほど、両検出器において到達する画素点が異なるこ
とになる。そして、これら異なる画素点間の水平距離
が、上記ずれaに相当する。
わち「キャリブレーションデータ」の具体的な取得は、
被検体を介したX線照射を実施する前に、例えば十字型
のファントムを予め撮影し、第一検出器1から読み出さ
れた電荷情報、換言すれば出力画像(以下、第一画像と
いう)と、第二検出器3からの出力画像(以下、第二画
像という)に写った当該十字ファントムの像に関する画
素位置を比較することで、第一画像と第二画像の上下及
び左右のずれaを検出し、これに基づいて決定するよう
にすればよい。
は、上記ずれaが、一画素分を越えない範囲で有効に行
えることになる。つまり、ずれaは、画素電極10の幅
r0(図2参照)よりも小さいこと、すなわち a<r0 …‥… (1) であることが必要である。
に位置する画素電極10(以下、中心画素10´とい
う)からn画素分離れた水平距離をRnとすれば、 Rn=r0×n … (2) である。
達する第二検出器3における画素電極10(以下、対応
画素10”という)について、当該対応画素10”から
第二検出器3の中心に位置する画素電極10までの水平
距離をAn、X線管球から中心画素10´までの距離を
SID、第一検出器1と第二検出器3との間隔をDとす
ると、ずれaは、図6に見られる二つの三角形の相似関
係と(2)式から、 a=D×Rn/SID =D×r0×n/SID … (3) ただし、n=0,1,2,3,…と表される。
るところの第一検出器1における画素数nを規定するも
のとなる。つまり、上記(4)式を満たさない画素数
n、すなわち、D/SIDよりも大きい範囲におけるず
れaは、一画素分を越えるものとなるから、そのキャリ
ブレーションは実施不可能である。
は、X線診断装置の設計段階において、D及びSIDが
予め適当な値となるよう考慮すべきことを要請するもの
として考えることができる。すなわち、例えば、なるべ
く広範囲の画像取得を正確になしたい場合には、nをよ
り大きくしなければならないから、(4)式から、Dは
より大きくし、SIDはより小さくする、等の設計の指
標となるのである。
ョンデータは、上記した差分画像を求める際に、補正デ
ータとして用いられる。つまり、第一画像に対する第二
画像の上記ずれaを、上記キャリブレーションデータを
利用して補正した後に、両画像の差分処理を行えば、被
検体中、同一の軌跡を辿ったX線が、両検出器において
異なる画素電極10で検出されたとしても、当該同一性
を保ちつつ正確に差分処理を行うことが可能となる。
ることとなる差分画像は、X線吸収フィルタ2として図
5(b)に示す形態となるものを利用する想定に立って
いたから、平面中央部のみが選択的にエネルギサブトラ
クションされた画像となる。
置及びX線検出器によれば、従来においてその表示が困
難とされていたカテーテル等の表示を、エネルギサブト
ラクション法を用いて確実に実施することができるだけ
でなく、かつそれをX線情報の収集と同時にリアルタイ
ムに実施することができる。換言すれば、差分画像の取
得を、連続的に実施することができるということである
し、より応用的には、任意のレートによる差分画像取得
も可能である。また、被検体に対するX線の曝射は一度
でよいから、その被曝量を増加させるようなことがな
く、また当然に、モーションアーチファクトの発生する
余地もない。
断装置及びX線検出器は、特に、X線撮影とともに医師
の処置を並行して実施するIVRにおいて非常に有効な
ものであるといえよう。
び3間に対して着脱可能とされ、かつ様々な形状あるい
は材質の該フィルタ2を予め準備することを想定した本
実施形態におけるX線診断装置及びX線検出器において
は、医師その他の診療者の要求等に応じて、当該要求等
に対し最も好ましい差分画像の取得を可能とするもので
ある。
置7は、図7に示すような画像選択処理を実施すること
も可能である。すなわち、画像処理装置7には、上記し
たようなキャリブレーション処理及び差分処理を経て得
られた差分画像、そして第一画像及び第二画像の各々に
つき、これらのうちの一を適宜選択する又はこれらのう
ちの複数の画像を組み合わせる(すなわちオーバーレイ
処理を行う)、画像選択処理部7aが設けられている。
表示装置8へは、当該処理が施された後に画像データが
送られるようになっている。
像の表示を初めとして、第一検出器1で検出された第一
画像のみの表示、同じく第二画像のみの表示、又はオー
バーレイ処理された画像の表示を行うことができる。こ
こで、オーバーレイ表示を行う際には、組み合わされる
各画像の表示色を異なるものとして表示することも可能
である。
被検体中の軟部組織を強調して観察したい場合には、低
エネルギレベルのX線をも検出している第一検出器1か
ら得られた第一画像のみを表示するようにすればよい
し、逆に、被検体中の硬い組織やカテーテル等を強調し
たい場合には、差分画像や第二画像のみの表示をするよ
うにすればよい。また、軟硬両部を同時に観察したい場
合には、オーバーレイ表示を選択すればよい。さらに、
この場合において、各画像の表示色が異なっていれば、
画像全体の概観を観察しつつも、臓器あるいはカテーテ
ル等の部分的な詳細を確認することが可能である。
した本実施形態におけるX線診断装置及びX線検出器に
係る効果を、より有効なものとすることは明らかであ
る。また、この場合においてもやはり、本診断装置及び
検出器を、IVR手法を実施する上で利用する場合を想
定した形態が、その効果を最大限有効に生かせるもので
あるといえよう。
装置及びX線検出器を、専らIVR手法において適用す
る場合を念頭に置く説明を行ったが、本発明の適用は、
無論このような形態のみ限定されるものではない。例え
ば、よく知られている通常のCT撮影に適用することは
当然に可能であるし、さらに言えば、透視像撮影、CT
像撮影の如何に拘らず、いずれについても適用すること
が可能である。
断装置及び放射線検出器によれば、被検体に対するX線
の曝射を一度実施するだけで二枚の画像が得られ、これ
らの画像による差分画像を取得することができる。よっ
て、被検体に対する被曝量を低減することができ、また
当然にモーションアーチファクト等の不具合が発生する
余地はない。
にリアルタイムに取得することができるから、従来差分
画像を表示するまでかかっていた処理時間分の作業短縮
が可能となり、連続的な差分画像を取得することができ
る。また、より応用的には、任意のレートによる差分画
像を得ることも可能である。
装置及びX線検出器は、IVRにおいてカテーテル等を
表示する際に、非常に有効なものであるといえる。
の構成を示す概要図である。
面図である。
となる、画素電極周囲の構成例を示す横断面図である。
となる、画素電極周囲の構成例を示す横断面図である。
て、(a)は平面板状形態となるもの、(b)は(a)
図において中央部に凹部を設けた形態となるもの、
(c)は(a)図において半面のみを厚くした段差部を
有する形態となるもの、をそれぞれ示している。
検出器と第二検出器との間に生じる「ずれ」を示す説明
図である。
流れを模式的に示すブロック図である。
Claims (14)
- 【請求項1】 被検体を透過した放射線の強度を検出す
る第一の放射線検出部からなる層と、該第一の放射線検
出部を透過した放射線の一部を吸収する放射線吸収部か
らなる層と、該放射線吸収部を透過した放射線の強度を
検出する第二の放射線検出部からなる層とが積層された
構成となることを特徴とする放射線検出器。 - 【請求項2】 前記第一の放射線検出部及び前記第二の
放射線検出部は、入射した放射線を電荷に変換する変換
素子と該変換素子により変換した電荷を蓄積する蓄積素
子が設けられた画素電極を有し、 複数の該画素電極が二次元マトリックス状に配列された
構造を有することを特徴とする請求項1記載の放射線検
出器。 - 【請求項3】 前記放射線吸収部からなる層は、前記第
一の放射線検出部からなる層と前記第二の放射線検出部
からなる層との間に着脱可能に構成されていることを特
徴とする請求項1又は2に記載の放射線検出器。 - 【請求項4】 前記放射線吸収部からなる層は、その中
央部に凹部を設けてなる平面板形状とされていることを
特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の放射線検
出器。 - 【請求項5】 前記放射線検出部からなる層は、異なる
放射線吸収率を有する複数の材質により構成されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の放
射線検出器。 - 【請求項6】 前記放射線吸収部は、アルミニウムによ
り構成されていることを特徴とする請求項1から4のい
ずれかに記載の放射線検出器。 - 【請求項7】 放射線発生源から発生した放射線を被検
体を介して放射線検出器に照射し、該放射線検出器の出
力に基づき前記被検体の断層像を画像処理手段により再
構成し、前記断層像を表示手段により表示する放射線診
断装置において、 前記放射線検出器は、被検体を透過した放射線の強度を
検出しこれを電荷情報に変換する第一の放射線検出部か
らなる層と、該第一の放射線検出部を透過した放射線の
一部を吸収する放射線吸収部からなる層と、該放射線吸
収部を透過した放射線の強度を検出しこれを電荷情報に
変換する第二の放射線検出部からなる層とが積層された
構成とされ、 前記画像処理手段は、前記第一の放射線検出部及び前記
第二の放射線検出部から各々出力される前記電荷情報に
基づき第一画像及び第二画像を再構成するとともに、該
第一画像及び該第二画像の差分処理を行い、 前記表示手段は、前記差分処理された画像を表示するこ
とを特徴とする放射線診断装置。 - 【請求項8】 前記第一の放射線検出部及び前記第二の
放射線検出部は、入射した放射線を電荷に変換する変換
素子と該変換素子により変換した電荷を蓄積する蓄積素
子が設けられた画素電極を有し、 複数の該画素電極が二次元マトリックス状に配列された
構造を有することを特徴とする請求項7記載の放射線診
断装置。 - 【請求項9】 前記放射線吸収部からなる層は、前記第
一の放射線検出部からなる層と前記第二の放射線検出部
からなる層との間に着脱可能に構成されていることを特
徴とする請求項7又は8に記載の放射線診断装置。 - 【請求項10】 前記放射線吸収部からなる層は、その
中央部に凹部を設けてなる平面板形状とされていること
を特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の放射線
診断装置。 - 【請求項11】 前記放射線検出部からなる層は、異な
る放射線吸収率を有する複数の材質により構成されてい
ることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載
の放射線診断装置。 - 【請求項12】 前記画像処理手段は、前記差分処理を
行う前に、 ある一の軌跡を辿る放射線に関して、前記第一の放射線
検出部からなる層及び前記第二の放射線検出部からなる
層の各々における当該放射線を感受する位置の相違に起
因するずれを補正するキャリブレーション処理を実施す
ることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載
の放射線診断装置。 - 【請求項13】 前記画像処理手段は、前記第一画像、
前記第二画像、及び前記差分処理された画像、並びにこ
れらのうちの複数の画像を組み合わせた画像、を適宜選
択して前記表示手段に送出することを特徴とする請求項
7から12のいずれかに記載の放射線診断装置。 - 【請求項14】 前記複数の画像を組み合わせた画像に
おいては、該複数の画像の一々につき表示色が異なるも
のとされることを特徴とする請求項13記載の放射線診
断装置。
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