JP2001131566A - 潤滑剤組成物ならびに磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

潤滑剤組成物ならびに磁気記録媒体および磁気記録媒体の製造方法

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JP2001131566A
JP2001131566A JP31508699A JP31508699A JP2001131566A JP 2001131566 A JP2001131566 A JP 2001131566A JP 31508699 A JP31508699 A JP 31508699A JP 31508699 A JP31508699 A JP 31508699A JP 2001131566 A JP2001131566 A JP 2001131566A
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magnetic recording
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Kenji Kuwabara
賢次 桑原
Yukikazu Ochi
幸和 大地
Tetsuo Fuchi
鉄男 渕
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた潤滑性能を呈する潤滑剤組成物、なら
びに電磁変換特性を損なうことなく、走行耐久性および
スチル耐久性等の実用信頼性を向上させた磁気記録媒体
を得る。 【解決手段】 潤滑剤組成物は、分子内にパーフルオロ
アルキル基またはパーフルオロポリエーテル基、および
アルキル基またはアルケニル基を有する含フッ素モノカ
ルボン酸から選ばれた少なくとも1種類の化合物、なら
びに分子内にリン、硫黄およびフッ素を有する化合物か
ら選ばれる少なくとも1種類の化合物を含んで成り、こ
の潤滑剤組成物は、非磁性基板(1)上の一方の面に、
強磁性金属薄膜(2)、炭素膜(3)および潤滑剤層
(4)がこの順に形成され、他方の面にバックコート層
(5)が形成されて成る磁気記録媒体の潤滑剤層(4)
に含有される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた潤滑性能を
呈する潤滑剤組成物、ならびに、例えばデジタルビデオ
テープレコーダや高精細度ビデオテープレコーダに最適
の、磁気記録層として強磁性金属薄膜、その上の炭素
膜、および更にその上の潤滑剤層を有する磁気記録媒体
ならびにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の分野においては、記
録、再生機器のデジタル化、小型化および使用時間の長
時間化等の高性能化に伴い、それに適した高密度磁気記
録媒体の開発が活発に行なわれており、最近では塗布型
磁気記録媒体に代わって、短波長記録に極めて有利な、
金属薄膜型磁気記録媒体が実用化されている。一般に、
金属薄膜型磁気記録媒体とは、非磁性基板上に、記録層
として強磁性金属薄膜からなる磁性層を設けたテープお
よびディスク等をいう。
【0003】しかしながら、金属薄膜型磁気記録媒体の
磁性層は、極めて良好な表面性を有する、すなわち磁性
層の面の粗度が小さいために磁気ヘッドとの接触面積が
増えるので、信号の記録・再生の過程において磁気ヘッ
ドと高速摺動する間に大きな摩擦力を受けて摩耗されや
すい。磁性層の摩耗は、磁気記録媒体の走行耐久性ある
いはスチル耐久性等に大きな影響を与えるため、これを
低減させることは金属薄膜型磁気記録媒体の研究開発に
おいて大きな課題となっている。
【0004】そこで、磁性層表面に潤滑剤層を設けるこ
とによって摩耗を低減し、走行耐久性およびスチル耐久
性を改善しようとする試みがなされている。潤滑剤層を
設ける場合、磁気記録媒体と磁気ヘッドとのスペーシン
グロスによる出力低下を極力抑えて高出力化を図るべ
く、磁性層表面の潤滑剤層は僅か数nmの厚さで潤滑特性
を発揮することが求められている。そのため、優れた潤
滑特性を示すフッ素系化合物を用いることが広く検討さ
れ、各種化合物の使用が提案されている。例えば、化学
式(x1):
【0005】
【化7】 で示される含フッ素長鎖カルボン酸エステル(特開昭6
2−46431号公報参照)や化学式(x2):
【化8】 で示されるカルボキシル基を有する含フッ素カルボン酸
モノエステル(特開昭61−107529号公報参照)
等を使用することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、磁気記
録媒体の性能向上に関する要求は厳しく、上記した従来
の潤滑剤では十分な潤滑特性を得ることが困難であり、
走行耐久性およびスチル耐久性において一層の改善が望
まれている。
【0007】また、例えばビデオテープ等では、その使
用時に摩擦面に荷重が加えられるため、磁気ヘッド表面
で焼き付きが発生する場合がある。そこで、焼き付きを
防止するために、潤滑剤に有機リン系化合物を極圧添加
剤として添加することがある。一般に、極圧添加剤は反
応性が高く、その使用量が多いと潤滑剤の潤滑性能を低
下させる場合がある。そのため、かかる問題を生ぜしめ
ることなく優れた耐圧性を示す潤滑剤組成物もまた望ま
れていた。
【0008】本発明は、上記問題に鑑み、電磁変換特性
を損なうことなく、走行耐久性およびスチル耐久性に優
れ、実用信頼性の高い磁気記録媒体を得ることを可能に
する潤滑剤組成物、ならびにその潤滑剤組成物を用いた
磁気記録媒体およびその製造方法を提供することを課題
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、分子内にパーフルオロアルキル基または
パーフルオロポリエーテル基とアルキル基またはアルケ
ニル基とを有する、一般式(a)および(b)で示され
る化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物、なら
びに一般式(c)で示される化合物から選ばれる少なく
とも1種類の化合物を含んで成る潤滑剤組成物:
【化9】 (式中、R1はアルキル基またはアルケニル基であり、
2はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
エーテル基であり、Aは0〜20の整数であり、Bは0
または1である)
【化10】 (式中、R3はアルキル基またはアルケニル基であり、
4はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
エーテル基であり、R5はOまたはSであり、Cは0〜
20の整数であり、Dは0または1である)
【化11】 [式中、fは0〜10の整数であり、X、YおよびZ
は、以下の基: 1)−O−Cm2m+1(mは1〜24の整数); 2)−S−Cm2m+1(mは1〜24の整数); 3)−O−Cq2q−COOH(qは6〜24の整
数); 4)−S−Cq2q−COOH(qは6〜24の整
数); 5)−O−(CH2a(CF2h−CF2−A(Aは水
素またはフッ素であり、aは0〜6の整数、hは0〜2
2の整数); 6)−O−[(CH2a−(CF2bO]e−(Cd2d
O)g−(CF2h−CF2−A(Aは水素またはフッ素
であり、aは0〜6の整数、bは0〜6の整数、eは0
〜23の整数、dは1〜4の整数、gは0〜23の整
数、hは0〜22の整数であって、e=0のときg≠0
でありg=0のときe≠0); 7)−S−[(CH2a−(CF2bO]e−(Cd2d
O)g−(CF2h−CF2−A(Aは水素またはフッ素
であり、aは0〜6の整数、bは0〜6の整数、eは0
〜23の整数、dは1〜4の整数、gは0〜23の整
数、hは0〜22の整数);および 8)−OHから成る群から、X、YおよびZのうち少な
くとも1つが基1)、2)、3)または4)のいずれか
であり、かつX、YおよびZの組み合わせにおいて少な
くとも1つの硫黄およびフッ素が含まれるように選択さ
れ、Eは、以下の基: 9)−O−(CH2i−O−(iは1〜22の整数); 10)−S−(CH2i−S−(iは1〜22の整数); 11)−O−(CH2i−S−(iは1〜22の整数); 12)−O−(CH2a−(CF2j−(CH2a−O−
(aは0〜6の整数、jは4〜12の整数); 13)−S−(CH2a−(CF2j−(CH2a−S−
(aは0〜6の整数、jは4〜12の整数); 14)−O−(CH2a−(CF2j−(CH2a−S−
(aは0〜6の整数、jは4〜12の整数); 15)−O−[(CH2)a−(CF2)bO]e−(Cd2dO)g
(CF2)b−(CH2a−O−(aは0〜6の整数、bは
0〜6の整数、eは0〜23の整数、dは1〜4の整
数、gは0〜23の整数); 16)−S−[(CH2)a−(CF2)bO]e−(Cd2dO)g
(CF2)b−(CH2a−S−(aは0〜6の整数、bは
0〜6の整数、eは0〜23の整数、dは1〜4の整
数、gは0〜23の整数);および 17)−O−[(CH2)a−(CF2)bO]e−(Cd2dO)g
(CF2)b−(CH2a−S−(aは0〜6の整数、bは
0〜6の整数、eは0〜23の整数、dは1〜4の整
数、gは0〜23の整数)から成る群から選択される]
を提供することを第1の要旨とする。
【0010】本発明の潤滑剤組成物は、特定の二種以上
の含フッ素化合物を含んで成るものである。それによ
り、例えば、この潤滑剤組成物を用いて磁気記録媒体の
潤滑剤層を形成した場合、潤滑剤層のその下に位置する
炭素膜への付着強度が向上し、かつ優れた潤滑特性が磁
気記録媒体に付与されるので、磁気記録媒体はその電磁
変換特性が損なわれることなく優れた走行耐久性および
スチル耐久性を呈するものとなる。
【0011】一般式(a)〜(c)で示される化合物
は、いずれも含フッ素化合物である。この潤滑剤組成物
は、 I)一般式(a)および(b)で示される含フッ素モノ
カルボン酸から選択される少なくとも1種の化合物;お
よび II)一つの分子内に少なくとも1個のリン原子、硫黄原
子およびフッ素原子に加え、酸素または硫黄を介して結
合しているアルキル基(−Cm2m+1)および/または
カルボキシアルキル基(−Cn2n−COOH)を有す
る一般式(c)で示される化合物から選択される少なく
とも1種の化合物を含んで成るものである。
【0012】一般式(a)および(b)で示される化合
物から選ばれる少なくとも1種類の化合物は潤滑剤とし
ての主たる性能を確保して優れた潤滑性能を本発明の潤
滑剤組成物に付与し、一般式(c)で示される化合物か
ら選ばれる少なくとも1種類の化合物はそれ自体、潤滑
剤として作用するとともに、極圧添加剤としても作用し
て耐圧性を潤滑剤組成物に付与すると考えられる。
【0013】本発明は、非磁性基板上に、強磁性金属薄
膜、炭素膜および潤滑剤層がこの順に形成されて成る磁
気記録媒体であって、潤滑剤層が上記潤滑剤組成物を含
む磁気記録媒体を提供することを第2の要旨とする。上
記特定の含フッ素化合物を2種以上組み合わせた潤滑剤
組成物を用いることにより、潤滑剤層のその下に位置す
る炭素膜への付着強度が向上し、かつ優れた潤滑特性が
磁気記録媒体に付与され、その潤滑特性は高荷重下にお
いても維持される。そしてこれらの相乗効果により、本
発明の磁気記録媒体は、その電磁変換特性が損なわれる
ことなく走行耐久性およびスチル耐久性が向上した実用
信頼性の高いものとなる。
【0014】本発明は、上記本発明の磁気記録媒体の製
造方法を提供することを第3の要旨とする。本発明の磁
気記録媒体の製造方法は、潤滑剤層の形成工程に特徴を
有する。それ以外の製造工程は、従来から磁気記録媒体
の製造に用いられている工程であってよい。本発明の製
造方法における潤滑剤層の形成工程は、炭化水素系溶媒
とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に上述の潤滑剤組
成物を溶解して調製した塗布液を、相対湿度が10〜4
0%の範囲内にある環境下において、炭素膜上に塗布
し、混合有機溶媒を乾燥させる工程を含むことを特徴と
する。
【0015】炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒の混合
有機溶媒を用い、特定の湿度条件下で潤滑剤組成物を含
む塗布液を塗布することにより、潤滑剤層と炭素膜との
間の付着強度が向上し、かつ塗布ムラが極めて少ない均
一な薄い潤滑剤層が形成され得る。よって本発明の製造
方法によれば、優れた潤滑性能を有する実用信頼性の高
い磁気記録媒体を得ることが可能である。
【0016】上記本発明の製造方法において、炭化水素
系溶媒とアルコール系溶媒との混合割合は重量比で1:
9〜9:1の範囲にあることが好ましい。この範囲で両
者を混合することは、塗布ムラを極力少なくすることを
可能とし、またコスト面でも有利である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の第1の要旨である潤滑剤
組成物は、上記一般式(a)および(b)で示される化
合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物、ならびに
上記一般式(c)で示される化合物から選ばれる少なく
とも1種類の化合物を含んで成る。
【0018】一般式(a):
【化12】 (式中、R1はアルキル基またはアルケニル基であり、
2はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
エーテル基であり、Aは0〜20の整数であり、Bは0
または1である)で示される化合物は一つのカルボキシ
ル基を有する含フッ素カルボン酸モノエステルともいえ
るものである。この化合物は、例えば、コハク酸のよう
なジカルボン酸に含まれる二つのカルボキシル基のう
ち、一つのカルボキシル基をエステルにすることにより
得られる。
【0019】一般式(a)において、R1はアルキル基
またはアルケニル基であり、R2はパーフルオロアルキ
ル基またはパーフルオロポリエーテル基である。Aは通
常0〜20の整数であり、好ましくは1〜10の整数で
ある。Bは0または1である。一般式(a)におけるR
1の炭素数は6〜30であることが好ましく、10〜2
4であることがより好ましい。炭素数が6未満である場
合または30を越える場合には潤滑性が低下することが
ある。
【0020】R2がパーフルオロアルキル基である場
合、その炭素数は6〜12であることが好ましく、6〜
10がより好ましい。R2がパーフルオロポリエーテル
基である場合、その分子量は約200〜約6000程度
であることが好ましく、約300〜約4000であるこ
とがより好ましい。分子量が200未満である場合もし
くは6000を越える場合には潤滑性および保存信頼性
が低下する場合がある。
【0021】R2がパーフルオロポリエーテル基である
場合、そのパーフルオロポリエーテル基は、一般式
(d)、(e)および(f):
【化13】
【化14】
【化15】 のいずれかで示されるものであることが好ましい。
【0022】上記のパーフルオロポリエーテル基を有す
る化合物が潤滑剤組成物に含まれることにより、例え
ば、この組成物が金属薄膜型磁気記録媒体の潤滑剤層に
含まれる場合には、潤滑剤層の炭素膜への付着強度がよ
り向上し、かつより優れた潤滑特性が磁気記録媒体に付
与される。そしてこれらの相乗効果により、電磁変換特
性が損なわれることなく走行耐久性およびスチル耐久性
が向上した実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
【0023】一般式(d)におけるpは1以上の整数で
ある。また一般式(e)におけるrおよびtは1以上の
整数である。また、一般式(f)において、R12はパー
フルオロアルキル基であり、uは通常1〜6の整数であ
り、vは通常1〜30の整数であり、より好ましくは1
〜8の整数である。uおよびvがこれらの範囲外である
と、例えば、この組成物が磁気記録媒体の潤滑剤層に含
まれる場合に当該磁気記録媒体の潤滑性および保存信頼
性が低下することがある。p、r、t、uおよびvなら
びにR12の炭素数は、パーフルオロポリエーテル基の分
子量が上述の好ましい範囲、すなわち約200〜約60
00程度、好ましくは約300〜約4000の範囲内に
あるように適宣選択される。
【0024】一般式(b):
【化16】 で示される化合物において、R3はアルキル基またはア
ルケニル基であり、R4はパーフルオロアルキル基また
はパーフルオロポリエーテル基である。R5は酸素原子
または硫黄原子である。Cは通常0〜20の整数であ
り、好ましくは1〜10の整数である。Dは0または1
である。一般式(b)におけるR3の炭素数は6〜30
が好ましく、10〜24がより好ましい。炭素数が6未
満である場合または30を超える場合には潤滑性が低下
することがある。
【0025】R4がパーフルオロアルキル基である場
合、その炭素数は1〜12が好ましく、6〜10がより
好ましい。R4がパーフルオロポリエーテル基である場
合において、その分子量は約200〜約6000程度で
あることが好ましく、約300〜約4000であること
がより好ましい。分子量が200未満である場合もしく
は6000を超える場合には潤滑性および保存信頼性が
低下する場合がある。
【0026】R4がパーフルオロポリエーテル基である
場合には、一般式(a)におけるR2と同様、R4は上記
一般式(d)、(e)および(f)のいずれかで示され
る基であることが好ましい。一般式(d)、(e)およ
び(f)については先に一般式(a)に関連して説明し
たとおりであり、ここではその説明を引用することによ
り、詳細な説明を省略する。
【0027】一般式(c):
【化17】 で示される化合物は、先に述べたように、一分子内にリ
ン、硫黄、フッ素、ならびに酸素または硫黄を介してリ
ンに結合したアルキル基および/またはカルボキシアル
キル基を有するものである。この化合物は、フッ素なら
びにアルキル基および/またはカルボキシアルキル基の
存在により、それ自体が潤滑剤として作用し得、また、
リンおよび硫黄の存在により高荷重下においても潤滑剤
の強度(油膜強度)を低下させない。従って、この化合
物は、本発明の潤滑剤組成物において潤滑剤としてだけ
でなく極圧添加剤としても作用するから、極圧潤滑剤と
呼べるものである。
【0028】一般式(c)においては、リンはP=Oの
形態で含まれている。硫黄は、一分子内において、スル
フィド(チオエーテル)を形成するように含まれていて
よい。フッ素は炭化水素の水素がフッ素で置換された形
態で含まれていてよい。一般式(c)の具体的な化学構
造は、X、YおよびZ、ならびにE(f=が0でない場
合)の組み合わせによって決定される。
【0029】X、YおよびZの少なくとも1つは、 1)−O−Cm2m+1(mは1から24の整数); 2)−S−Cm2m+1(mは1〜24の整数); 3)−O−Cq2q−COOH(qは6〜24の整
数);および 4)−S−Cq2q−COOH(qは6〜24の整数)
から選択される。かかる選択により、一般式(c)で示
される化合物内に、−C m2m+1または−Cq2q−で示
されるアルキル基部分が含まれることを確保する。な
お、本明細書において一般式(c)に関連して単に「ア
ルキル基部分」というときは、基1)〜4)に由来する
−Cm2m+1または−Cq2q−を指す。アルキル基部分
は、直鎖状であることが好ましいが、分岐したものであ
ってもよい。
【0030】基1)および2)において、mは1〜24
であることが好ましく、8〜22であることがより好ま
しく、10〜18であることが最も好ましい。
【0031】基3)および4)において、qは6〜24
であることが好ましく、8〜22であることがより好ま
しく、10〜18であることが最も好ましい。基3)お
よび4)がリンに結合すると、一般式(a)で示される
化合物にはカルボキシル基が存在することなる。カルボ
キシル基を有する化合物を磁気記録媒体の潤滑剤層に使
用すると、潤滑剤層が保護膜の表面に強く付着するとい
う利点がもたらされる。
【0032】一般式(c)には、X、YおよびZの組み
合わせにおいて、少なくとも1つの硫黄およびフッ素が
含まれることが必要である。基1)〜4)はフッ素を含
まず、従って、X、YおよびZの少なくとも1つは以下
の基: 5)−O−(CH2a(CF2h−CF2−A(Aは水
素またはフッ素であり、aは0〜6の整数、hは0〜2
2の整数); 6)−O−[(CH2a−(CF2bO]e−(Cd2d
O)g−(CF2h−CF2−A(Aは水素またはフッ素
であり、aは0〜6の整数、bは0〜6の整数、eは0
〜23の整数、dは1〜4の整数、gは0〜23の整
数、hは0〜22の整数であって、e=0のときg≠0
でありg=0のときe≠0);および 7)−S−[(CH2a−(CF2bO]e−(Cd2d
O)g−(CF2h−CF2−A(Aは水素またはフッ素
であり、aは0〜6の整数、bは0〜6の整数、eは0
〜23の整数、dは1〜4の整数、gは0〜23の整
数、hは0〜22の整数)から選択される。
【0033】基5)、6)または7)がリンに結合して
いる場合、フッ素(F)が分子内に必然的に含まれるこ
ととなる。基5)においてa=0であり、A=Fである
場合には、化合物にパーフルオロアルキル基が含まれる
こととなる。基6)または7)がリンに結合している場
合、一分子内にはエーテル結合またはチオエーテル結合
が少なくとも1つ含まれることになる。
【0034】X、Y、Zを選択するにあたり留意すべき
ことは、その組み合わせにおいて少なくとも1つの硫黄
およびフッ素が含まれるようにすることである。従っ
て、例えば、XおよびYとしてそれぞれ基1)および基
3)を選択した場合には、Zは硫黄およびフッ素を含む
基、即ち、基7)を選択しなければならない。
【0035】また、X、YおよびZのうち、2つの基の
組み合わせが、硫黄およびフッ素に加えて、基1)〜
4)に由来するアルキル基部分を含む場合、残りの1つ
は、8)−OH即ち、水酸基であってよい。
【0036】fが0でない場合、Eは以下に示す基: 9)−O−(CH2i−O−(iは1〜22の整数); 10)−S−(CH2i−S−(iは1〜22の整数); 11)−O−(CH2i−S−(iは1〜22の整数); 12)−O−(CH2a−(CF2j−(CH2a−O−
(aは0〜6の整数、jは4〜12の整数); 13)−S−(CH2a−(CF2j−(CH2a−S−
(aは0〜6の整数、jは4〜12の整数); 14)−O−(CH2a−(CF2j−(CH2a−S−
(aは0〜6の整数、jは4〜12の整数); 15)−O−[(CH2)a−(CF2)bO]e−(Cd2dO)g
(CF2)b−(CH2a−O−(aは0〜6の整数、bは
0〜6の整数、eは0〜23の整数、dは1〜4の整
数、gは0〜23の整数); 16)−S−[(CH2)a−(CF2)bO]e−(Cd2dO)g
(CF2)b−(CH2a−S−(aは0〜6の整数、bは
0〜6の整数、eは0〜23の整数、dは1〜4の整
数、gは0〜23の整数);および 17)−O−[(CH2)a−(CF2)bO]e−(Cd2dO)g
(CF2)b−(CH2a−S−(aは0〜6の整数、bは
0〜6の整数、eは0〜23の整数、dは1〜4の整
数、gは0〜23の整数)から選択される。
【0037】いずれを選択する場合においても、Eの両
端には、酸素(O)または硫黄(S)が位置することと
なる。また、−(CH2aを含む基においてaが0であ
れば、Eを構成する炭化水素はその水素がすべてフッ素
で置換されたものとなる。なお、上記の基9)〜17)に
おいては、炭素に結合している水素またはフッ素がトリ
フルオロメチル基で置換されていてもよい。
【0038】上記において例示したX、YおよびZ、な
らびにEとして選択できる基の中の幾つかには共通する
添字が含まれている。これは、例えばaに関していえ
ば、すべての基において、メチレン(−CH2−)の数
がとり得る値の範囲が共通していることを意味してい
る。また、同じメチレンであっても、基によってはその
数がとり得る値の範囲が異なるため、添字として別のも
の(例えばi)を採用している場合がある。
【0039】なお、基13)のように、1つの基の中に同
じ添字が複数含まれている場合には、それらは同一の値
をとる。一方、X、YおよびZの組み合わせにおいて、
上記の基1)〜8)のうち同じ式で示される基が2つ選
択される場合、あるいは異なる式で示される基が選択さ
れたときに各式が同じ添字を有する場合には、同じ添字
であっても式間で異なる値をとってもよく、または同じ
値であってもよい。後述する実施例で使用する化合物
(c6)は、そのような化合物に該当する。表1に示す
とおり、化合物(c6)においてYは−SCH2CH2
OOHであり、Zは−OC1734COOHであって、そ
れぞれ同じ添字qを含む基3)および基4)に相当する
ものの、Yにおいてqは2であり、Zにおいてqは17
である。これは選択した2つの基が同じ添字を有してい
る場合に、当該添字が各式において異なる値をとる例を
明らかに示している。
【0040】上記の基のいずれにおいても、aは0〜6
の整数、bは0〜6の整数、eは0〜23の整数、dは
1、2、3または4の整数、gは0〜23の整数、hは
0〜22の整数、iは1〜22の整数、jは4〜12の
整数であることが好ましい。また、aは1〜6の整数で
あることがより好ましく、1〜2の整数であることが最
も好ましい。bは0〜3の整数であることがより好まし
く、1〜3の整数であることが最も好ましい。eは1〜
2の整数であることがより好ましい。dは2〜4の整数
であることがより好ましい。gは1〜9の整数であるこ
とがより好ましい。hは0〜17の整数であることがよ
り好ましく、0〜11の整数であることが最も好まし
い。iは2〜12の整数であることがより好ましく、2
〜10の整数であることが最も好ましい。jは1〜10
の整数であることがより好ましく、4〜8の整数である
ことが最も好ましい。
【0041】一般式(c)において、f=0である場合
にはEは含まれず、化合物は、
【化18】 で表される構造を有するものとなる。
【0042】一方、fが0でない場合には、一分子内に
少なくとも2以上のエーテル結合またはチオエーテル結
合が含まれ、当該化合物はオリゴマーの性質を有するも
のとなる。そのような化合物は、例えば、潤滑剤として
磁気記録媒体の潤滑剤層に含まれると磁気記録媒体の耐
久性を向上させる。また、当該化合物は分子設計および
合成が容易である。fが0でない場合、fは10以下で
あることが好ましく、5以下であることがより好まし
い。
【0043】また、X、Y、ZおよびEは、一分子の分
子量が10000以下となるように選択することが好ま
しい。分子量が大きいと、溶媒に対する溶解性が低下
し、あるいは溶媒に当該化合物を溶解させて得た溶液の
粘度が上昇する傾向にある。この化合物を含む潤滑剤組
成物を用いて磁気記録媒体の潤滑剤層を形成する場合、
潤滑剤層は潤滑剤組成物を溶媒に溶解したものを塗布す
ることにより形成されるため、溶媒に対する溶解性の低
下および溶液の粘度上昇は、潤滑剤層の形成を困難にす
る可能性がある。より好ましい分子量は500〜800
0、最も好ましい分子量は1000〜5000である。
【0044】一般式(c)で示される化合物において
は、一分子内にリンおよび硫黄がそれぞれ2〜5重量
%、フッ素が30〜60重量%、ならびに上記の基1)
〜4)に含まれるアルキル基部分を構成する炭素原子お
よび水素原子が合わせて15〜45重量%の割合で含ま
れることをが好ましい。リンおよび硫黄の割合が2重量
%未満であると、高荷重下において潤滑性能を維持でき
ず、5重量%を超えると、他の成分の割合が小さくなっ
て潤滑性能が悪くなるおそれがある。フッ素の割合が3
0重量%未満であると、潤滑性能が悪くなるおそれがあ
り、60重量%を超えると、溶媒に対する溶解性が著し
く低下するため、これを用いて磁気記録媒体の潤滑剤層
を形成する場合には、その形成が困難となることがあ
る。またアルキル基部分を構成する炭素原子および水素
原子が合わせて15重量%未満であると、溶媒に対する
溶解性が著しく低下するため、これを用いて磁気記録媒
体の潤滑剤層を形成するときに、その形成が困難となる
場合があり、45重量%を超えると極圧性能が低下する
おそれがある。
【0045】具体的には、f=0の場合において、特に
好ましいX、YおよびZの組み合わせは、後述する実施
例において使用する化合物(c1)〜(c7)における
X、YおよびZの組み合わせである。
【0046】また、fが0でない場合において、特に好
ましいX、Y、ZおよびEの組み合わせは、後述する実
施例において使用する化合物(c8)〜(c10)にお
けるX、YおよびZの組み合わせである。
【0047】一般式(c)で示される化合物は、例え
ば、含フッ素アルコール系化合物または含フッ素チオー
ル系化合物と塩化ホスホリルとを反応させて中間体化合
物を合成する第1反応工程;および第1反応工程で得ら
れた中間体化合物と、脂肪族アルコール系化合物、脂肪
族チオール系化合物、ジオール系化合物、ジチオール系
化合物、およびメルカプトアルコール系化合物から選択
される少なくとも1つの化合物とを反応させる第2反応
工程を含む製造方法によって製造できる。
【0048】本発明の潤滑剤組成物は、一般式(a)お
よび(b)で示される化合物から選ばれる少なくとも1
種類の化合物、ならびに一般式(c)で示される化合物
から選ばれる少なくとも1種類の化合物とが混合されて
成るものである。前者と後者の混合比率は、モル比で
8:2〜2:8の範囲であることが好ましく、モル比で
7:3〜4:6の範囲であることがより好ましい。前者
の割合が小さいと潤滑性能が低下するおそれがある。後
者の割合が小さいと炭素膜への付着強度が低下するおそ
れがあり、また高荷重下での潤滑性能が低下し、例え
ば、そのような潤滑剤組成物で磁気記録媒体の潤滑剤層
を形成すると、磁気記録媒体の使用中に磁気ヘッド表面
で焼き付きが発生するおそれがある。
【0049】本発明の潤滑剤組成物は、一般式(a)、
(b)および(c)で示される化合物以外の成分、例え
ば、防錆剤、または従来公知の潤滑剤を含んでよい。そ
の場合、一般式(a)、(b)および(c)で示される
化合物以外の成分が占める割合は、組成物の全量中、4
0重量%未満であることが好ましく、30重量%未満で
あることがより好ましい。40重量%以上であると、例
えば、この組成物で磁気記録媒体の潤滑剤層を形成した
場合に、良好な潤滑特性を磁気記録媒体に付与すること
ができない場合がある。
【0050】本発明の第2の要旨である磁気記録媒体
は、非磁性基板上に、強磁性金属薄膜、炭素膜および潤
滑剤層がこの順に形成されてなる磁気記録媒体であっ
て、潤滑剤層が上記の潤滑剤組成物を含有するものであ
る。そこで、次に、本発明の磁気記録媒体を構成する各
層について、その製造方法とともに図面を参照しながら
説明する。
【0051】図1は本発明の磁気記録媒体の一態様であ
る金属薄膜型磁気テープ(以下、単に磁気テープとい
う)の断面図である。この磁気テープは下から順にバッ
クコート層(5)、非磁性基板(1)、強磁性金属薄膜
(2)、炭素膜(3)および潤滑剤層(4)が積層され
た構成となっている。
【0052】先に述べたように潤滑剤層以外の層および
その形成方法については公知であり、常套の材料および
形成方法を採用することができる。
【0053】例えば、非磁性基板(1)として、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、芳
香族ポリアミドもしくは芳香族ポリイミドから成るフイ
ルム、アルミ基板またはガラス基板等を使用することが
できる。実用信頼性と良好なRF出力とを両立するため
に、この非磁性基板(1)における表面、すなわち強磁
性金属薄膜と接する面には直径50〜700nm、高さ5
〜70nmの突起形成処理が施されていることが好まし
い。
【0054】強磁性金属薄膜(2)はイオンプレーティ
ング法、スパッタリング法もしくは電子ビーム蒸着法等
で形成することができる。薄膜材料としては、Co、F
eおよびNi等の強磁性金属、ならびにCo−Ni、C
o−Ni−O、Co−OまたはCo−Cr等の合金から
適宣選択される。強磁性金属薄膜(2)の厚さは50nm
〜300nmが一般的である。
【0055】炭素膜(3)は、ビッカース硬度が約2.
45×104N/mm2(約2500kgf/mm2)と高く、磁
気テープのダメージを潤滑剤層(4)と共に防止してい
る。実用信頼性と出力とのバランスを考慮すれば、その
厚さは10nmから20nmであることが好ましい。この炭
素膜(3)は、炭化水素ガスのみ、あるいは炭化水素ガ
スと不活性ガスとの混合ガスを用いたプラズマCVD法
により形成される。具体的には、真空容器中に炭化水素
ガスまたは炭化水素ガスとアルゴン等の不活性ガスの混
合ガスを導入し、容器内の圧力を1.33×10-1
1.33×102Pa(0.001〜1Torr)に保った状
態で真空容器内部で放電を発生させ、炭化水素ガスのプ
ラズマを発生させて炭素膜(3)を強磁性金属薄膜
(2)上に形成させる。放電形式は外部電極方式および
内部電極方式のいずれでも良く、放電周波数は実験的に
決めることができる。また、非磁性基板(1)側に配置
される電極に0KVから−3KVの電圧を印加すること
によって、炭素膜(3)の硬度を増大させることがで
き、また炭素膜(3)と強磁性金属薄膜(2)との密着
性を向上させることができる。炭化水素ガスとしては、
メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタンもしくはベンゼン等を用いるこ
とができる。
【0056】なお、硬質の炭素膜(3)を形成するため
には、放電エネルギーを大きくすることが望ましく、併
せて非磁性基板(1)の温度を高温に維持することが望
ましい。例えば、放電エネルギーは、交流電流、例えば
高周波電流と直流電流を重畳して実効値を600V以上
にすることが望ましい。
【0057】本発明においては、炭素膜(3)の表層部
に含窒素プラズマ重合膜(図示省略)を形成し、潤滑剤層
(4)が炭素膜の含窒素プラズマ重合膜上に形成されて
いることが好ましい。含窒素プラズマ重合膜により、炭
素膜の表層部にアミノ基が存在することとなり、その結
果、潤滑剤層と炭素膜との間の付着強度がより大きくな
り、磁気記録媒体の耐久性がより向上することとなる。
そして、潤滑剤層に特定の含フッ素化合物を含有させる
ことと相俟って電磁変換特性が損なわれることなく優れ
た潤滑性能を有する走行耐久性およびスチル耐久性が向
上した実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
【0058】含窒素プラズマ重合膜は、真空容器中にプ
ロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロ
ピレンジアミンもしくはテトラメチレンジアミン等のア
ミン化合物をガス化して導入し、容器内の圧力を1.3
3×10-1〜1.33×10 2Pa(0.001〜1Tor
r)に保った状態で真空容器内部に高周波放電させて形
成する。含窒素プラズマ重合膜を形成することにより潤
滑剤組成物の化学吸着力が向上し、その結果、潤滑剤層
と炭素膜との間の付着強度が向上する。含窒素プラズマ
重合膜の膜厚は3nm未満が適当であり、これよりも含窒
素プラズマ重合膜が厚い場合には炭素膜の保護効果が低
下する。なお、炭素膜の表層部に含窒素プラズマ重合膜
を形成する方法は、米国特許第5,540,957号およ
び第5,637,393号に開示されており、この引用に
よりこれらの特許に開示された内容は本明細書の一部を
構成する。
【0059】潤滑剤層(4)を構成する潤滑剤組成物は
前述したとおりである。潤滑剤層(4)の形成工程は、
上記一般式(a)および(b)で示される化合物から選
ばれる少なくとも1種の化合物と上記一般式(c)で示
される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを
混合して成る潤滑剤組成物を炭化水素系溶媒とアルコー
ル系溶媒の混合有機溶媒に溶解して塗布液を調製し、こ
れを相対湿度が10〜40%の範囲内にある環境下で炭
素膜(3)に塗布する工程を含む。
【0060】本発明で使用できる炭化水素系溶媒は、例
えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタン等
であり、本発明で使用できるアルコール系溶媒は、例え
ばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアル
コールおよびイソプロピルアルコール等の低級アルコー
ルである。アルコール系溶媒の割合が大きすぎると塗布
ムラが生じやすく、一方、炭化水素系溶媒の割合が大き
すぎると不経済であるため、両者は混合割合が重量比で
1:9〜9:1の範囲、好ましくは3:7〜7:3の範
囲となるように混合して使用することが好ましい。塗布
液の濃度および塗布厚は、溶媒が蒸発した後に炭素膜
(3)上に形成される潤滑剤層(4)の厚さが所望の厚
さになるように塗布する。一般には、潤滑剤組成物の濃
度が100ppm〜4000ppmである塗布液を、1
μm〜50μmの厚さで塗布することが好ましい。
【0061】塗布液は、相対湿度が10〜40%の範囲
内にある環境下で塗布することが好ましい。相対湿度が
10%未満では静電気が発生しやすく、また、そのよう
な湿度の環境を作るための設備に費用がかかるという問
題があり、相対湿度が40%を超えると塗布ムラが生じ
やすくなるという問題がある。
【0062】潤滑剤層(4)は潤滑剤組成物に応じて最
適膜厚が決定され、その厚さは一般に3〜5nmである。
塗布方法はバーコーティング法、グラビアコーティング
法、リバースロールコーティング法、ダイコーティング
法、ディピッング法もしくはスピンコート法等の湿式塗
布法あるいは有機蒸着法のいずれを採用してもよい。塗
布液を塗布した後、乾燥処理して有機溶媒を蒸発させる
と、炭素膜(3)上に潤滑剤組成物の層(4)が形成さ
れる。乾燥処理は加熱することにより、もしくは自然乾
燥によって実施することができる。
【0063】特定の混合有機溶媒を用いて所定の相対湿
度下で潤滑剤層を形成することにより、塗布ムラのない
均一な厚さの潤滑剤層が得られ、しかも溶媒が最終的に
蒸発した後には数nmという非常に薄い潤滑剤層を形成さ
せることができる。その結果、優れた潤滑性能を有する
実用信頼性の高い磁気記録媒体が得られる。
【0064】バックコート層(5)は、ポリウレタン、
ニトロセルロース、ポリエステル、カーボンおよび炭酸
カルシウム等から選ばれる一つもしくは複数の材料によ
り形成される層であり、その厚さは約500nmとするこ
とが好ましい。
【0065】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例を説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0066】潤滑剤組成物を構成する一般式(a)で示
される化合物として、下記の一般式(a1)〜(a6)
で示される化合物を用意した。
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】
【化21】
【0070】
【化22】
【0071】
【化23】
【0072】
【化24】
【0073】潤滑剤組成物を構成する一般式(b)で示
される化合物として、下記の一般式(b1)〜(b5)
で示される化合物を用意した。
【0074】
【化25】
【0075】
【化26】
【0076】
【化27】
【0077】
【化28】
【0078】
【化29】
【0079】潤滑剤組成物を構成する一般式(c)で示
される化合物として、一般式(c)におけるX、Y、Z
およびEが表1に示す組み合わせである化合物(c1)
〜(c10)を用意した。
【0080】
【表1】
【0081】化合物(c1)〜(c10)におけるリ
ン、硫黄およびフッ素の割合(重量%)、ならびにアル
キル基部分の炭素および水素を合わせた割合(重量%)
は表2に示すとおりである。
【0082】
【0083】(実施例1)非磁性基板(1)として、幅
が500mm、厚さが6.3μmであって、表面に高さが
30nm、直径が200nmの突起が1mm2あたり105から
109個形成されたポリエチレンテレフタレートフィル
ムを使用した。なお、突起の数はSTM分析で測定した
値である。この非磁性基板(1)の表面に、酸素を導入
しながら斜方真空蒸着法によりCo(80)−Ni(2
0)(カッコ内は混合モル比率)から成る厚さ180nm
の強磁性金属薄膜(2)を形成した。
【0084】次いで、非磁性基板(1)の裏面に、ポリ
ウレタン、ニトロセルロースおよびカーボンブラックで
構成された固形分30%のメチルエチルケトン/トルエ
ン/シクロヘキサノン溶液をリバースロールコータによ
り塗布して、乾燥後の厚さが約500nmのバックコート
層(5)を形成した。
【0085】次に強磁性金属薄膜(2)上に、プラズマ
CVD法によって厚さ15nmの炭素膜(3)を形成し
た。炭素膜は、真空容器中にヘキサンガスとアルゴンガ
スとを4:1の比(圧力比)で混合したガスを導入し、
トータルガス圧を4.0×10 1Pa(0.3Torr)に保
ちながら、周波数20KHz、電圧1500Vの交流と
1000Vの直流を重畳し、これを放電管内の電極に印
加することによって形成した。さらに、炭素膜(3)上
にプロピルアミンガスを導入し、6.67Pa(0.05
Torr)の圧力を保った状態で10KHzの高周波プラズ
マ処理を行ない、炭素膜(3)の表層部に厚さ2.5nm
の含窒素プラズマ重合膜を形成した。
【0086】次に、化学式(a1)で示される化合物と
表1に示す化合物(c1)とをモル比で1:1となるよ
うに配合した潤滑剤組成物を、イソプロピルアルコール
とトルエンとを重量比で1:1となるように混合した混
合有機溶媒に、その濃度が2000ppmとなるように
溶解して塗布液を調製した。そしてこの塗布液を、23
℃、30%RH環境下で、リバースロールコータを用い
て湿式塗布法で塗布した後、乾燥した。最終的に炭素膜
(3)上には厚さ4nmの潤滑剤層(4)が形成された。
【0087】以上のようにして作製したテープ素材をス
リッタで8mm幅に裁断して8mm幅の磁気テープ試料(全
厚7μm、60分長)を作製した。
【0088】(実施例2〜実施例56)化学式(a1)
〜(a6)で示される化合物、化学式(b1)〜(b
5)で示される化合物、および化合物(c1)〜(c1
0)から、化合物を表3〜表7に示すように選択し、そ
れぞれ同表に示す割合で配合して、実施例1と同様の方
法で磁気テープ試料をそれぞれ作製した。
【0089】(実施例57)炭素膜(3)の表層部に含
窒素プラズマ重合膜を形成する工程を省略したこと以外
は、実施例1と同様の方法で磁気テープ試料を作製し
た。
【0090】(実施例58)イソプロピルアルコールお
よびトルエンから成る有機溶媒の重量比を1:1から
8:1に変化させたこと以外は、実施例1と同様の方法
で磁気テープ試料を作製した。
【0091】(実施例59)イソプロピルアルコールお
よびトルエンから成る有機溶媒の重量比を1:1から
1:8に変化させたこと以外は、実施例1と同様の方法
で磁気テープ試料を作製した。
【0092】(比較例1)化学式(a1)で示される化
合物と化合物(c1)とを配合した2成分系の潤滑剤組
成物に代えて、公知の潤滑剤である上記化学式(x1)
で示される化合物のみを用いたこと以外は、実施例1と
同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0093】(比較例2)化学式(a1)で示される化
合物と化合物(c1)とを配合した2成分系の潤滑剤組
成物に代えて、公知の潤滑剤である上記化学式(x2)
で示される化合物のみを用いたこと以外は、実施例1と
同様の方法で磁気テープ試料を作製した。
【0094】(比較例3)化学式(a1)で示される化
合物と化合物(c1)とを配合した2成分系の潤滑剤組
成物に代えて、化学式(a1)で示される化合物のみを
用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ
試料を作製した。
【0095】(比較例4)化学式(a1)で示される化
合物と化合物(c1)とを配合した2成分系の潤滑剤組
成物に代えて、化学式(b1)で示される化合物のみを
用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープ
試料を作製した。
【0096】(比較例5)イソプロピルアルコールおよ
びトルエンからなる混合有機溶媒に代えてイソプロピル
アルコールのみを用いたこと以外は、実施例1と同様の
方法で磁気テープ試料を作製した。
【0097】(比較例6)イソプロピルアルコールおよ
びトルエンから成る混合有機溶剤に代えてトルエンのみ
を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テー
プ試料を作製した。
【0098】(比較例7)23℃、55%RH環境下に
おいて、塗布液をリバースロールコータを用いて湿式塗
布法で塗布したこと以外は、実施例1と同様の方法で磁
気テープ試料を作製した。
【0099】実施例1〜59および比較例1〜7で得ら
れた8mm幅の磁気テープ試料について、それぞれ以下に
示す評価試験(1)〜(2)を実施した。それぞれの試
験で得られた結果を、表3〜表8に示す。
【0100】(1)走行耐久性試験 RF(高周波)出力測定用に改造した市販8mmVTR
(ソニー(株)製 EV−S900)を用い、各8mm幅
テープ試料を5℃、80%RHの環境下で300パス、
300時間繰り返し再生を行った後のRF出力変化を測
定した。試験前に対する試験後の変化をデシベル表示で
示した。
【0101】テープダメージは、テープ試料を目視観察
および微分干渉顕微鏡で状態観察し、5段階で評価し
た。評価基準は次のとおりである。 5:実用上全く問題ない。 4:実用上問題ない。 3:実用可能であるが、改善が必要である。 2:テープダメージがひどく、実用性は殆どない。 1:テープダメージがあまりにもひどく、実用性は全く
ない。
【0102】(2)スチル寿命試験 初期スチル寿命は、スチル寿命測定用に改造した市販8
mmVTR(ソニー(株)製 EV−S900)を用い、
3℃、5%RH環境下において測定した。なお、初期ス
チル寿命は初期から出力が6dB低下するまでの時間で
示した。
【0103】保存後スチル寿命は、40℃、80%RH
環境下に1ヶ月放置した後、初期スチル寿命の測定と同
様の方法で測定した。
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
【0108】
【表7】
【0109】
【表8】
【0110】上記表3〜表8より明らかなように、比較
例1〜7との比較において、実施例1〜59の出力低下
は小さく、かつテープダメージの問題は発生せず、さら
に初期、保存後のスチル寿命はいずれも良好であった。
【0111】実施例1〜56、58および59は、従来
の潤滑剤を用いた比較例1および2、ならびにそれぞれ
一般式(a)または一般式(b)で示される化合物のみ
で潤滑剤層を形成した比較例3および4と比較して、い
ずれも優れた走行耐久性ならびにスチル寿命を示した。
このように、炭素膜(3)上に、一般式(a)および
(b)で示される化合物から選ばれた少なくとも1種類
の化合物と、一般式(c)で示される化合物から選ばれ
た少なくとも1種類の化合物とを含有する潤滑剤組成物
で潤滑剤層(4)を形成した実施例1〜56、58およ
び59の各磁気テープ試料は、走行耐久性、スチル寿命
等の実用信頼性の点で優れていることが明らかである。
なお、上記の性能試験は、いずれもVTRを用いた試験
であって、テープ試料の試験は高荷重下で実施されてお
り、かかる試験において性能が良いことは、潤滑剤層が
高荷重下でも破断することなく潤滑性能を維持し得るこ
とを意味している。
【0112】実施例57の磁気テープ試料は実施例1と
同じ潤滑剤組成物を用いたものであるが、炭素膜(3)
上に含窒素プラズマ重合膜を形成しなかったものであ
る。実施例57の走行耐久性およびスチル寿命は実施例
1のそれらに比べてやや劣っている。このことは含窒素
プラズマ重合膜が磁気テープの潤滑性能の向上に寄与し
ていることを示している。
【0113】実施例1と比較例5および6から、潤滑剤
層(4)の潤滑剤組成物を炭化水素系溶媒とアルコール
系溶媒との混合有機溶媒に溶解して調製した塗布液を炭
素膜(3)上に塗布して潤滑剤層(4)を形成すること
により、走行耐久性およびスチル寿命等の実用信頼性の
点で優れた磁気テープ試料を安定して作製できることが
判る。また、高い湿度の下で潤滑剤組成物を含む塗布液
を塗布した比較例7は、実施例1と同じ潤滑剤組成物を
使用しているにもかかわらず、走行耐久性およびスチル
寿命ともに劣り、高湿度下での塗布が望ましくないこと
を示している。
【0114】実施例1〜59では、潤滑剤層(4)の形
成工程において湿式塗布法であるリバースロールコーテ
ィング法を用いたが、有機蒸着法によっても同様の作用
効果を有する潤滑剤層(4)を形成することが可能であ
る。
【0115】なお、以上説明した実施例1〜59では、
本発明の磁気記録媒体およびその製造方法を市販8mmV
TR用テープに適用した場合についてのみ説明したが、
本発明の磁気記録媒体およびその製造方法はこれに限定
されるものではなく、他の金属薄膜型磁気テープや磁気
ディスク等についても適用できるものである。
【0116】
【発明の効果】以上説明したように、特定の含フッ素化
合物が二種類以上組み合わされて成る本発明の潤滑剤組
成物は優れた潤滑性能を呈する。そして、この潤滑剤組
成物で潤滑剤層を形成することによって、潤滑剤層の炭
素膜への付着強度が向上した、良好な潤滑性能を呈する
本発明の磁気記録媒体を得ることができる。また、本発
明の潤滑剤組成物は、極圧添加剤としての機能を併せ持
つ化合物の存在により、高荷重下においても潤滑性能を
維持することができる。従って、本発明の潤滑剤を潤滑
剤層とする本発明の磁気記録媒体は、これらの相乗効果
により、電磁変換特性を損なうことなく、走行耐久性、
スチル耐久性等の実用信頼性が向上したものとなる。
【0117】また、本発明の磁気記録媒体において炭素
膜の表層部に含窒素プラズマ重合膜を形成することによ
り潤滑剤組成物の化学吸着力が向上するので、潤滑剤層
の炭素膜への付着強度がさらに向上し、優れた潤滑性能
を呈する磁気記録媒体を得ることができる。そしてこれ
らの相乗効果により、本発明の磁気記録媒体は、電磁変
換特性を損なうことなく、走行耐久性、スチル耐久性等
の実用信頼性が向上する。
【0118】本発明の磁気記録媒体は、潤滑剤層の形成
工程が、潤滑剤組成物を特定の溶媒に溶解して調製した
塗布液を、特定の湿度条件の下で炭素膜上に塗布する工
程を含む製造方法によって製造される。この塗布液を用
いることにより塗布ムラのない均一な厚さの潤滑剤層が
得られる。また、湿度の範囲を限定することにより、潤
滑剤層の性能低下を防止している。従って、本発明の製
造方法によれば、走行耐久性およびスチル寿命等の実用
信頼性の点で優れた本発明の磁気記録媒体を安定して作
製することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気記録媒体の一態様である金属薄
膜型磁気テープの模式的断面図である。
【符号の説明】
1 非磁性基板 2 強磁性金属薄膜 3 炭素膜 4 潤滑剤層 5 バックコート層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/725 G11B 5/725 5/84 5/84 B // C10N 30:00 C10N 30:00 Z 40:18 40:18 (72)発明者 渕 鉄男 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4H104 BD07A BH03A BH06A CD04A CH09A LA20 PA16 5D006 AA01 AA02 AA06 BB01 BB03 EA03 FA06 5D112 AA07 AA22 BC01 BC02 BC05 CC01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内にパーフルオロアルキル基または
    パーフルオロポリエーテル基とアルキル基またはアルケ
    ニル基とを有する、一般式(a)および(b)で示され
    る化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物、なら
    びに一般式(c)で示される化合物から選ばれる少なく
    とも1種類の化合物を含んで成る潤滑剤組成物: 【化1】 (式中、R1はアルキル基またはアルケニル基であり、
    2はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基であり、Aは0〜20の整数であり、Bは0
    または1である) 【化2】 (式中、R3はアルキル基またはアルケニル基であり、
    4はパーフルオロアルキル基またはパーフルオロポリ
    エーテル基であり、R5はOまたはSであり、Cは0〜
    20の整数であり、Dは0または1である)で示される
    化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物、ならび
    に分子内にリン、硫黄およびフッ素を有する、一般式
    (c): 【化3】 [式中、fは0〜10の整数であり、X、YおよびZ
    は、以下の基: 1)−O−Cm2m+1(mは1〜24の整数); 2)−S−Cm2m+1(mは1〜24の整数); 3)−O−Cq2q−COOH(qは6〜24の整
    数); 4)−S−Cq2q−COOH(qは6〜24の整
    数); 5)−O−(CH2a(CF2h−CF2−A(Aは水
    素またはフッ素であり、aは0〜6の整数、hは0〜2
    2の整数); 6)−O−[(CH2a−(CF2bO]e−(Cd2d
    O)g−(CF2h−CF2−A(Aは水素またはフッ素
    であり、aは0〜6の整数、bは0〜6の整数、eは0
    〜23の整数、dは1〜4の整数、gは0〜23の整
    数、hは0〜22の整数であって、e=0のときg≠0
    でありg=0のときe≠0); 7)−S−[(CH2a−(CF2bO]e−(Cd2d
    O)g−(CF2h−CF2−A(Aは水素またはフッ素
    であり、aは0〜6の整数、bは0〜6の整数、eは0
    〜23の整数、dは1〜4の整数、gは0〜23の整
    数、hは0〜22の整数);および 8)−OH から成る群から、X、YおよびZのうち少なくとも1つ
    が基1)、2)、3)または4)のいずれかであり、か
    つX、YおよびZの組み合わせにおいて少なくとも1つ
    の硫黄およびフッ素が含まれるように選択され、 Eは、以下の基: 9)−O−(CH2i−O−(iは1〜22の整数); 10)−S−(CH2i−S−(iは1〜22の整数); 11)−O−(CH2i−S−(iは1〜22の整数); 12)−O−(CH2a−(CF2j−(CH2a−O−
    (aは0〜6の整数、jは4〜12の整数); 13)−S−(CH2a−(CF2j−(CH2a−S−
    (aは0〜6の整数、jは4〜12の整数); 14)−O−(CH2a−(CF2j−(CH2a−S−
    (aは0〜6の整数、jは4〜12の整数); 15)−O−[(CH2)a−(CF2)bO]e−(Cd2dO)g
    (CF2)b−(CH2a−O−(aは0〜6の整数、bは
    0〜6の整数、eは0〜23の整数、dは1〜4の整
    数、gは0〜23の整数); 16)−S−[(CH2)a−(CF2)bO]e−(Cd2dO)g
    (CF2)b−(CH2a−S−(aは0〜6の整数、bは
    0〜6の整数、eは0〜23の整数、dは1〜4の整
    数、gは0〜23の整数);および 17)−O−[(CH2)a−(CF2)bO]e−(Cd2dO)g
    (CF2)b−(CH2a−S−(aは0〜6の整数、bは
    0〜6の整数、eは0〜23の整数、dは1〜4の整
    数、gは0〜23の整数)から成る群から選択され
    る]。
  2. 【請求項2】 一般式(c)で示される化合物が、一分
    子内に、リンが2〜5重量%、硫黄が2〜5重量%、フ
    ッ素が30〜60重量%、ならびに基1)〜4)から選
    択された基のアルキル基部分の炭素原子および水素原子
    が合わせて15〜45重量%の割合で含まれるものであ
    る請求項1に記載の潤滑剤組成物。
  3. 【請求項3】 パーフルオロポリエーテル基が、一般式
    (d)、(e)および(f): 【化4】 (式中、pは1以上の整数である) 【化5】 (式中、rおよびtは1以上の整数である) 【化6】 (式中、R12はパーフルオロアルキル基であり、uは1
    〜6の整数であり、vは1〜30の整数である)のいず
    れかで示されるものである請求項1または請求項2に記
    載の潤滑剤組成物。
  4. 【請求項4】 非磁性基板上に、強磁性金属薄膜、炭素
    膜および潤滑剤層がこの順に形成されて成る磁気記録媒
    体であって、潤滑剤層が請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の潤滑剤組成物を含有する磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 炭素膜が表層部に含窒素プラズマ重合膜
    を有し、潤滑剤層が炭素膜の含窒素プラズマ重合膜上に
    形成されている請求項4に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項4または請求項5に記載の磁気記
    録媒体の製造方法であって、潤滑剤層の形成工程が、炭
    化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に潤
    滑剤組成物を溶解して調製した塗布液を、相対湿度が1
    0〜40%の範囲内にある環境下において炭素膜上に塗
    布する工程を含む磁気記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との
    混合割合が重量比で1:9〜9:1の範囲にある請求項
    6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6958876B2 (en) * 2001-07-27 2005-10-25 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands B.V. Leak detection system of hard disk drives with lubricant reservoir

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