JP2001131108A - 新規な不飽和2級アルコールおよびその製造法 - Google Patents
新規な不飽和2級アルコールおよびその製造法Info
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Abstract
用である新規な不飽和2級アルコールを提供する。 【解決手段】 新規な化合物として、一般式(I) 〔式中、Rはビニル基-CH=CH2またはエチニル基-C≡CH
であり、また式中に示されたフェニル基上のtert-ブト
キシ基は該フェニル基のパラ位またはメタ位にある〕で
表される不飽和2級アルコールが得られた。これはビニ
ルまたはエチニル・マグネシウムハライドとp-またはm-
tert-ブトキシベンズアルデヒドとをグリニヤール反応
により反応させ、次いで加水分解させるか、あるいはp-
またはm-tert-ブトキシフェニル・マグネシウムハライ
ドとアクロレインとをグリニヤール反応により反応さ
せ、次いで加水分解させることから成る方法により効率
よく高純度で製造できる。
Description
アルコールに関し、またその製造法に関する。
液晶などの製造の原料として有用である新規な不飽和2
級アルコールとしての1-(p-またはm-tert-ブトキシフェ
ニル)-2-プロペンまたは-プロピン-1-オールに関し、ま
たこれら不飽和2級アルコールの製造法に関する。
ールに類似の化学構造を有する不飽和2級アルコール
は、例えば下記のいくつかが知られている。
1-オールが知られ、これはp-メトキシベンズアルデヒド
とビニルマグネシウムクロライドの反応により収率79%
で製造される(「ジャーナル オブ アメリカン ケミ
カル ソサイエティ(Journal of American Chemical S
ociety)」第100巻、第6407頁〜第6413頁(1978年)参
照)。 1-(p-メトキシフェニル)-2-プロピン-1-オールが知
られ、これはp-メトキシベンズアルデヒドとエチニルマ
グネシウムブロマイドの反応により収率95%で製造され
る(「ジャーナル オブ ケミカル ソサイエティ、パ
ーキン トランス I(Journal of Chemical Societ
y., Perkin Trans.I)」第6巻、第1425頁〜第1430頁
(1988年)、参照)。 1-(p-tert-ブトキシ)-1-エタノールは、p-tert-ブ
トキシベンズアルデヒドとメチルマグネシウムクロライ
ドの反応により収率97.9%で製造される(特開昭61-115
040号公報、参照)。
農薬、液晶などの製造に原料または中間体原料として有
用である新しい不飽和2級アルコールを提供すること、
またこれを工業的に容易な操作で高収率で得る製造法を
提供することが望まれている。
的を達成するために鋭意検討した。その結果、1-(p-ま
たはm-tert-ブトキシフェニル)-2-プロペンまたはプロ
ピン-1-オールを合成することに成功し、これら不飽和
2級アルコールが新規な化合物であることを見出し、ま
たこの新規化合物を工業的に容易な操作で高収率で得る
のに有効な製造法を見出して本発明を完成するに至っ
た。
式(I) 〔式中、Rはビニル基-CH=CH2またはエチニル基-C≡CH
であり、また式中に示されたフェニル基上のtert-ブト
キシ基は該フェニル基のパラ位またはメタ位にある〕で
表される不飽和2級アルコールが提供される。第1の本
発明による一般式(I)の不飽和2級アルコールの好ま
しい例には、1-(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロペン
-1-オール、1-(m-tert-ブトキシフェニル)-2-プロペン-
1-オール、1-(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロピン-1
-オールまたは1-(m-tert-ブトキシフェニル)-2-プロピ
ン-1-オールがある。
(II) R-MgX (II) 〔式中、Rはビニル基またはエチニル基であり、Xはハ
ロゲン原子、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素原子で
ある〕で表されるビニルまたはエチニル・マグネシウム
ハライドと一般式(III) で表わされるp-またはm-tert-ブトキシベンズアルデヒ
ドとをグリニヤール反応により反応させ、次いで加水分
解させることを特徴とする、一般式(I) 〔式中、Rはビニル基-CH=CH2またはエチニル基-C≡CH
であり、また式中に示されたフェニル基上のtert-ブト
キシ基は該フェニル基のパラ位またはメタ位にある〕で
表される不飽和2級アルコールの製造法が提供される。
(IV) (式中、Xは、ハロゲン原子を示す)で表わされるp-ま
たはm-tert-ブトキシフェニル・マグネシウムハライド
と、一般式(Va) Ra-CHO (Va) 〔式中、Raはビニル基である〕のアクロレインとをグ
リニヤール反応により反応させ、次いで加水分解させる
ことを特徴とする、一般式(Ia) 〔式中、Raはビニル基-CH=CH2であり、また式中に示さ
れたフェニル基上のtert-ブトキシ基は該フェニル基の
パラ位またはメタ位にある〕で表される不飽和2級アル
コールの製造法が提供される。
する。第1の本発明による一般式(I)の化合物のう
ち、下記の一般式(I′)の新規な1-(p-またはm-tert-
ブトキシフェニル)-2-プロペン-1-オールは、以下の反
応式による第2の本発明方法に準ずるの反応経路(A)あ
るいは第3の本発明方法に準ずる反応経路(B)で合成す
るのが都合よい。
原料であるグリニヤール試薬の式(II′)の化合物は、公
知の化合物であり、公知の方法により得るか、または市
販品を用いればよい。また、式(III)のアルデヒド化
合物は、公知の化合物であり、公知の方法により得るこ
とができる。
であり、好ましくは、塩素、ヨウ素、臭素などが挙げら
れる。この式(II′)の化合物の溶液中に式(III)のア
ルデヒド化合物を滴下し、1〜2時間攪拌して合成経路
(A)に従って反応を行う。この反応に用いる溶媒として
は、テトラヒドロフランの単独、あるいはこれとベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒との
混合溶媒、またジエチルエーテル、ジブチルエーテルな
どが挙げられる。反応温度は10〜40℃が好ましい。
る合成原料であるグリニヤール試薬の式(IV)の化合物
は、公知の化合物であり、公知の方法により得ることが
できる。また、式(V′)のアルデヒド化合物すなわち
アクロレインは、公知の化合物であり、公知の方法によ
り得ることができる。
り、好ましくは、塩素、ヨウ素、臭素などが挙げられ
る。この式(IV)の化合物の溶液中に式(V′)のアクロレ
インを滴下し、1〜2時間攪拌して合成経路(B)に従っ
て反応を行う。この反応に用いる溶媒としては、テトラ
ヒドロフランの単独あるいはこれとベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒との混合溶媒、
またジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどが挙げら
れる。反応温度は10〜40℃が好ましい。反応終了後は、
飽和の塩化アンモニウム水または水を、反応液に加え10
〜30℃の温度で加水分解すると、式(I′)の1-(p-又はm-
tert-ブトキシフェニル)-2-プロペン-1-オールが生成す
る。さらに式(I′)の化合物を含む有機層を分取し、溶
媒を留去して残留物を減圧蒸留すると、高純度の式
(I′)の化合物を得ることができる。
化合物のうち、下記の一般式(I″)で表される新規な1-
(p-又はm-tert-ブトキシフェニル)-2-プロピン-1-オー
ルを、以下の反応式により第2の本発明方法に準ずる反
応経路(C)で合成できる。
あるグリニヤール試薬の式(II″)のハライド化合物は、
公知の化合物であり、公知の方法により得るか、また
は、市販品を用いればよい。また、式(III)の化合物
は、公知の化合物であり、公知の方法により得ることが
できる。
ゲン原子であり、好ましくは、塩素、ヨウ素、臭素など
が挙げられる。この式(II″)の化合物の溶液中に式(I
II)のアルデヒド化合物を滴下し、1〜2時間攪拌して
合成経路(C)に従って反応を行う。この反応に用いる溶
媒としては、テトラヒドロフランの単独あるいはこれと
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶
媒との混合溶媒、またジエチルエーテル、ジブチルエー
テルなどが挙げられる。反応温度は10〜40℃が好まし
い。反応終了後は、飽和の塩化アンモニウム水または、
水を反応液に加え10〜30℃の温度で加水分解すると式
(I″)の1-(p-又はm-tert-ブトキシフェニル)-2-プロピ
ン-1-オールが生成する。さらに式(I″)の化合物を含む
有機層を分取し、溶媒を留去して残留物を減圧蒸留する
と、高純度の式(I″)の化合物を得ることができる。
-オールの合成(第2の本発明方法による) 窒素置換した1l容量の4つ口フラスコに削り状の金属
マグネシウム9.7 g(0.4 mol)と無水テトラヒドロフラン
30 mlを加え、さらに臭化エチル約2 mlを加えて攪拌
し、発泡による反応を確認した。次いで、無水テトラヒ
ドロフランを300ml加えた後、塩化ビニル8960 ml(0.4 m
ol)を30〜40℃で5時間を要して吹き込みで(マグネシ
ウムが消失した)、ビニル・マグネシウムクロライドの
溶液(0.4mol)を調製した。
ヒド71.3 g(0.4 mol)を30〜40℃で2時間を要して滴下
し、さらに同温度で1時間攪拌を続けた。反応終了後、
この反応液を室温まで冷却し、水60 mlを、30℃以下で
加えて加水分解した。次いで、通常の後処理を行った後
(すなわち、反応混合物を食塩水で洗浄し、水層と有機
層とに層分離させ、得られる有機層から溶媒を留去した
後)、得られた粗生成物に重合防止剤として第三級ブチ
ルカテコールを添加し、減圧条件下で蒸留を行うことに
より、1-(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロペン-1-オ
ールが72.5 g(ガスクロマトグラフィーによる純度99.0
%、収率88.0%)得られた。得られた化合物の物性値は
以下のとおりであった。 沸点:133℃/8 mmHg1 H-NMR(CDCl3)のピーク値 δ:1.35(s、9H)、2.40(s、1H)、5.20-5.75(m、3H)、5.
90-6.15(m、1H)、6.93(d、2H)、7.60(d、2H)
2-プロペン-1-オールの合成 実施例1において、p-tert-ブトキシベンズアルデヒド
の代りにm-tert-ブトキシベンズアルデヒドを用いた以
外は、実施例1と同様な操作を行い、1-(m-tert-ブトキ
シフェニル)-2-プロペン-1-オールが70.9 g(ガスクロマ
トグラフィーによる純度99.0%、収率86.0%得られた。
得られた化合物の物性値は以下のとおりであった。 沸点:135℃/9 mmHg1 H-NMR(CDCl3)のピーク値 δ:1.34(s、9H)、2.60(s、1H)、5.20-5.75(m、3H)、5.
90-6.10(m、1H)、7.05-7.40(m、4H)
2-プロペン-1-オールの合成(第3の本発明方法によ
る) 窒素置換した1l容量の4つ口フラスコに削り状の金属
マグネシウム9.7 g(0.4 mol)と無水テトラヒドロフラン
30 mlを加え、さらに臭化エチル約2 mlを加えて攪拌
し、発泡による反応を確認した。次いでp-tert-ブトキ
シクロルベンゼン73.9 g(0.4 mol)を、300 mlの無水テ
トラヒドロフランに溶解し、これを還流温度(70℃)で5
時間を要して滴下した。さらに2時間同温度で攪拌を続
けて、p-tert-ブトキシフェニルマグネシウムクロライ
ドの溶液(0.4 mol)を調製した。
g(0.4 mol)を30〜40℃で2時間を要して滴下し、さら
に同温度で1時間攪拌を続けた。反応終了後、この反応
液を室温まで冷却し、水60 mlを、30℃以下で加えて加
水分解した。次いで、通常の後処理を行った後(すなわ
ち、反応混合物を食塩水で洗浄し、水層と有機層とに層
分離させ、得られる有機層から溶媒を留去した後)、得
られた粗生成物に重合防止剤として第三級ブチルカテコ
ールを添加し、減圧条件下で蒸留を行うことにより、1-
(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロペン-1-オールが70.
0 g(ガスクロマトグラフィーによる純度98.9%、収率8
5.0%)得られた。
2-プロピン-1-オールの合成(第2の本発明方法によ
る) 窒素置換した1l容量の4つ口フラスコに削り状の金属
マグネシウム9.7 g(0.4 mol)と無水テトラヒドロフラン
30 mlを加え、さらに臭化エチル約2 mlを加えて攪拌
し、発泡による反応を確認した。次いで、無水テトラヒ
ドロフランを300ml加えた後、塩化メチル8960 ml(0.4 m
ol)を30〜40℃で5時間を要して吹き込んで(マグネシ
ウムが消失した)、メチルマグネシウムクロライドの溶
液(0.4 mol)を調製した。さらにこの溶液を20℃以下に
冷却し、アセチレン8960 ml(0.4 mol)を10〜20℃で5時
間を要して吹き込んでエチニルマグネシウムクロライド
の溶液(0.4 mol)を調製した。
ヒド71.3 g(0.4 mol)を30℃〜40℃で2時間を要して滴
下し、さらに同温度で1時間攪拌を続けた。反応終了
後、この反応液を室温まで冷却し、水60 mlを、30℃以
下で加えて加水分解した。次いで、通常の後処理を行っ
た後(すなわち、反応混合物を食塩水で洗浄し、水層と
有機層とに層分離させ、得られる有機層から溶媒を留去
した後)、得られた粗生成物に重合防止剤として第三級
ブチルカテコールを添加し、減圧条件下で蒸留を行うこ
とにより、1-(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロピン-1
-オールが74.2 g(ガスクロマトグラフィーによる純度9
9.8%、収率91.0%)得られた。得られた化合物の物性
値は以下のとおりであった。 沸点:135℃/5 mmHg1 H-NMR(CDCl3)のピーク値 δ:1.15(s、9H)、2.55(s、1H)、2.80(d、1H)、5.25
(d、1H)、6.85(d、2H)、7.35(d、2H)
アルコールは、医薬、農薬、液晶などの原料として有用
である。また、本発明方法によると、高収率で、しかも
簡単な操作で高純度品が得られるため、工業的に極めて
有利である。
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式(I) 〔式中、Rはビニル基-CH=CH2またはエチニル基-C≡CH
であり、また式中に示されたフェニル基上のtert-ブト
キシ基は該フェニル基のパラ位またはメタ位にある〕で
表される不飽和2級アルコール。 - 【請求項2】 一般式(I)の不飽和2級アルコールが
1-(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロペン-1-オール、1
-(m-tert-ブトキシフェニル)-2-プロペン-1-オール、1-
(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロピン-1-オールまた
は1-(m-tert-ブトキシフェニル)-2-プロピン-1-オール
である請求項1に記載の2級アルコール。 - 【請求項3】 一般式(II) R-MgX (II) 〔式中、Rはビニル基またはエチニル基であり、Xはハ
ロゲン原子、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素原子で
ある〕で表されるビニルまたはエチニル・マグネシウム
ハライドと一般式(III) で表わされるp-またはm-tert-ブトキシベンズアルデヒ
ドとをグリニヤール反応により反応させ、次いで加水分
解させることを特徴とする、一般式(I) 〔式中、Rはビニル基-CH=CH2またはエチニル基-C≡CH
であり、また式中に示されたフェニル基上のtert-ブト
キシ基は該フェニル基のパラ位またはメタ位にある〕で
表される不飽和2級アルコールの製造法。 - 【請求項4】 一般式(IV) (式中、Xは、ハロゲン原子を示す)で表わされるp-ま
たはm-tert-ブトキシフェニル・マグネシウムハライド
と、一般式(Va) Ra-CHO (Va) 〔式中、Raはビニル基である〕のアクロレインとをグ
リニヤール反応により反応させ、次いで加水分解させる
ことを特徴とする、一般式(Ia) 〔式中、Raはビニル基-CH=CH2であり、また式中に示さ
れたフェニル基上のtert-ブトキシ基は該フェニル基の
パラ位またはメタ位にある〕で表される不飽和2級アル
コールの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30840299A JP4243397B2 (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 新規な不飽和2級アルコールおよびその製造法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP30840299A JP4243397B2 (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 新規な不飽和2級アルコールおよびその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2001131108A true JP2001131108A (ja) | 2001-05-15 |
JP4243397B2 JP4243397B2 (ja) | 2009-03-25 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30840299A Expired - Lifetime JP4243397B2 (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 新規な不飽和2級アルコールおよびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP4243397B2 (ja) |
-
1999
- 1999-10-29 JP JP30840299A patent/JP4243397B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JP4243397B2 (ja) | 2009-03-25 |
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